相州の、1:1250スケール艦船模型ブログ 主力艦の変遷を追って

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

再録:護衛艦「いそかぜ」その三形態 (「亡国のイージス」から「空母いぶき」へ)、そして架空DDGの制作

先週に引き続き、ちょっとお仕事でバタバタ。そして溜まっていた模型の制作で、今回も過去記事の再録でご容赦を。

 

今回、再録するのは、本稿の134投稿の中で2019年11月4日に投稿されてから、ずっとトップのアクセス数を保ち続けている「護衛艦いそかぜ」その三形態 (「亡国のイージス」から「空母いぶき」へ)」というタイトルの投稿です。

 

本稿は2018年9月4日に初回を投稿して以来、fw688i.hatenablog.com

ずっといわゆる「主力艦:戦艦・巡洋戦艦装甲巡洋艦」の発達史を1:1250スケールの模型の紹介を軸に続けてきました。このメインの主題であった「主力艦発達史」が2019年7月に一応の終了を迎え、

fw688i.hatenablog.com

2019年9月から海上自衛隊護衛艦発達史のミニシリーズを展開、その締め括り的な位置付けでとして取りあげたのが表題に掲げた「護衛艦いそかぜ」その三形態 (「亡国のイージス」から「空母いぶき」へ)」でした。

本稿が利用させていただいている「はてなブログ」には、アクセス解析という機能があり、ここではアクセス先としてどの投稿が多いのかが分かるのですが、Google  Yahooなどのいわゆる大手の検索サイトからこの投稿が常にトップにランキングされている、そういうことなのです。

 

まあ、護衛艦いそかぜ 」の映画や小説、コミックの関連でアクセスが多いのだろうと推測はするのですが、投稿以来、ずっとトップの座に座り続けており、それはそれで筆者としては「不思議」ではある訳です。

まあ、ちょっとうがった見方をすると、そもそも本稿のアクセス数全体がそれほど多いわけでもないので、ちょっとエッジが立っていると(エッジ=この場合には映画関連や小説・コミックとの関連ということになりますかね?)「すぐにトップに」という構造的な流れがあるのかもしれません。

まあ、理由はともあれ、筆者自身でも結構気にいっているし、まあ一度見ていただけたらなあ、という訳です。

 

ということで、ここから、以下、再録です。

いそかぜ」と言う護衛艦

今回は、海上自衛隊護衛艦開発史のスピンアウト第二弾(誰が勝手にシリーズにしたんだ?)として、護衛艦いそかぜ」について、いろいろと。

 

まず最初に、本稿を読んでいらっしゃるような方ならば(艦船好きな、というほどの意味です)、おそらくご承知のこととは思いますが、海上自衛隊に「いそかぜ」と言う名前の護衛艦は、その創設以来、かつて存在していません。

にも関わらず、護衛艦いそかぜ」の名前は、そこそこ「有名」なのです。(そもそも、護衛艦の名前の認知率などは、たかが知れていますので、「有名」の基準とは何か、などと言う話は、まあ、それは、ちょっと横に置いておきましょう)

そして、実在しない護衛艦ながら、実は「いそかぜ」には、三つの形態があるのです。

今回は、そういうお話です。

 

まず最初に「いそかぜ」第二形態 

海上自衛隊 護衛艦いそかぜ」の名は、筆者の知る限り福井晴敏さんの小説「亡国のイージス」で初めて登場します。そしてこの小説が映画化され、その名は一層広く世に出ることになりました。(2005年)

福井晴敏」という原作者にして優れたプロデューサーを持つ「亡国のイージス」は、小説に始まり、映画に続き漫画にもなる、と言ういわゆるメディアミックス展開されます。

ja.wikipedia.orgYouTube 

 https://www.youtube.com/watch?v=moqAqiyJ4eo&t=66s

 

 

www.youtube.co 

www.youtube.com

「艦船好き」の皆さんなら、おそらく既にこの作品はご覧になったでしょうが、ざっとこの作品のあらすじをご紹介しておくと、イージス護衛艦いそかぜ」を舞台として、「いそかぜ」を乗っ取り、東京湾でグソー(GUSOH)という化学兵器(毒ガス)によるテロを実行し、世界に反北朝鮮の世論を沸騰させ、祖国の政治形態を転覆させようとする北朝鮮の元工作員ホ・ヨンファ(中井貴一)と、それを防ごうとして、乗組員として潜入した防衛省情報局(DAIS)の工作員如月(勝地領)の死闘を描いたものでした。

 

映画では、「こんごう」級イージス護衛艦の3番艦「みょうこう」(DDG-175)が、「いそかぜ」の撮影舞台として使用されています。ですので映画に登場する艦番号は「175」なのです。

(直下の写真は、F-toysの「みょうこう」をストレートに組み立てたもの)

f:id:fw688i:20191104140951j:image

映画の中で、「いそかぜ」に乗組員として潜入した防衛省情報局の工作員に協力する「いそかぜ」の先任伍長仙石(真田広之)が、「グソー(化学兵器)を発射するなら、前部のVLSか、後部のVLSか・・・」と迷うシーンがありますが、下の写真は艦首と後甲板の艦番号。それぞれの少し後ろ(前?)に前後部のVLSが写っています。
f:id:fw688i:20191104140954j:image

 仙石と如月は凄惨な死闘ののち、ホ・ヨンファの計画を阻止するのですが、最後に「いそかぜ」は自爆して沈没してしまいます。

 

余談ですが、亡国のイージスに登場する化学兵器「グソー(GUSOH)」は、アメリカ軍が沖縄で開発したVXガスの50倍の毒性を持つとされる神経ガスですが、福井晴敏さんの小説には数度にわたり登場します。(もちろんフィクションの世界です。・・・と筆者は希望します)

最初は「Twelve Y.O.」という小説で登場し、そのあまりに強力な毒性のために、漏出事件の末、ほぼ唯一効果を無効にできるテルミット・プラスという兵器(架空の強力な特殊焼夷弾)で、漏出を起こした辺野古基地ごと焼き払われてしまいます。(「辺野古ディストラクション」:福井作品では、しばしば登場します)

この残り(試料)が移送中に元北朝鮮工作員のホ・ヨンファに奪われて、「亡国のイージス」事件に話が繋がって行くのですが、さらに、これが驚くべきことに、数千年後にやはり福井晴敏さんの「ターンA・ガンダム」(小説名「月に繭 地には果実』)にも登場するのです。

ちなみに「グソー(GUSOH)」とは「後生」の沖縄方言読みで、冥界(死後の世界)を意味するそうです。

  

次に「いそかぜ」第三形態

そして「いそかぜ」は2019年に、もう一度映画に登場します。

それは本稿でも紹介した「空母いぶき」。「いそかぜ」は「いぶき」が所属する第五護衛隊群の一隻で、やはりここでも「こんごう」級イージス護衛艦の一隻、という設定です。

映画では「いそかぜ」ですが、原作であるコミックでは実在するイージス護衛艦「ちょうかい」として登場し、「いそかぜ」は登場しません。
ja.wikipedia.org

www.youtube.com

ちなみに、第五護衛隊群は原作コミックでは、「空母いぶき」(DDV-192)を中心に、これを護衛するイージス護衛艦「あたご」(DDG-177)、同じくイージス護衛艦「ちょうかい」(DDG-176)、汎用護衛艦「ゆうぎり」(DD-153)、「せとぎり」(DD-156)、AIP推進潜水艦「けんりゅう」(SS-504)、補給艦「おうみ」(AOE-426)で編成されていることになっています。

一方、映画では、諸々の設定の違い(周辺への配慮?)から、第五護衛隊群は全て架空艦で編成されています。「空母いぶき」(DDV-192)はそのままですが(これは元々架空艦です)、これを護衛するイージス護衛艦「あしたか」(DDG-190):原作では「あたご」、同じくイージス護衛艦いそかぜ」(DDG-161):原作では「ちょうかい」、汎用護衛艦「はつゆき」(DD-122):原作では「ゆうぎり」、「しらゆき」(DD-124):原作では「せとぎり」、AIP推進潜水艦「はやしお」(SS-515):原作では「けんりゅう」、というような変更が加えられています。

 

(直下の写真は、「空母いぶき」版イージス護衛艦いそかぜ」。F-toysの「ちょうかい」をベースにして、艦番号をデカールを貼り替えて変更しました。ちなみに艦番号「161」は、現用艦では使用されておらず、初代「あきづき」級護衛艦の一番艦「あきづき」の番号です)

f:id:fw688i:20191104141016j:plain

(直下の写真は、艦首部、艦後甲板の艦番号の拡大)
f:id:fw688i:20191104141019j:image

 そして、「いそかぜ」をこの映画で一際目立たせた要因は、なんと言っても山内圭哉さんが扮する浮舟艦長の「いてまえ〜!」ではなかったでしょうか?

www.youtube.com

 原作コミックでも「ちょうかい」艦長の浮舟一佐は、ここぞと言う時には関西弁で指揮をとります。

 

そして「いそかぜ」第一形態

さて、なぜ、本稿が「いそかぜ」第二形態から始まったか、と言うお話になるのですが、これまで二形態の「いそかぜ」をご紹介してきましたが、この2隻はいずれも「こんごう」級イージス護衛艦の外観を示してきました(あまり明言はされていないような記憶があります)。

が、実は「亡国のイージス」の原作小説に登場するいわゆる初代「いそかぜ」は、「はたかぜ」級ミサイル護衛艦の3番艦として登場します。

皆さんはご承知だと思いますが、「はたかぜ」級ミサイル護衛艦は、海上自衛隊の対空ミサイル護衛艦としては第三世代にあたり、搭載するシステムはイージス・システムではなく、ターター・システムでした。ターター・システム搭載艦としては、「はたかぜ」級は最終世代に属し、システムもデジタル技術の導入により高度化し、イージス以前のミサイル駆逐艦としては頂点に立つ、という評価を得ていましたが、やはり弱点として、2-3目標までしか捕捉追尾出来ないと言う限界を抱えていました。

海上自衛隊でも次世代DDGとしてイージス・システム搭載艦が就役しており、第一線で活躍できる期間はそれほど長くないと思われていました。

一方、次々と就役が予定されているイージス艦は、従来のDDHを中心とした護衛隊群の艦隊防空の他に、周辺有事の状況変化(相次ぐ北朝鮮弾道ミサイルの発射実験など)に伴い、弾道ミサイル防衛(BMD)の役割も担うこととなります。実はこの二つの役割は迎撃高度、タイミングの差異から、同時対応、つまり両立が難しく、新たに艦隊防空の任務の分担を検討することが必要になってきます。

現在、実際にはこの役割は、イージス艦とコンビを組む汎用護衛艦に一部負担させるべく、汎用護衛艦の高性能化で対応することになっていますが、「亡国のイージス」では、「はたかぜ」級3番艦の「いそかぜ」に試験的に白羽の矢が立ち、この対策の一つとして、試験艦「あすか」で試験されてきた「ミニ・イージス・システム」を搭載し、それに関連する改装を行った、と言う設定になっています。

これに関連した記事(もちろん架空)が下のURLにあります。

http://www.masdf.com/news/isokaze.html

www.masdf.com

この、ミニ・イージス・システムの搭載に伴い、艦橋前に搭載されていたアスロック・ランチャーを16セルのVLSに換装し、従来から搭載されていた艦首のMK.13ミサイル発射基に加え発射即応性を高め、主砲も従来の54口径5インチ単装速射砲(Mk.42)から、オート・メララ製の54口径5インチ単装速射砲(127mmコンパット砲)に変更し、対空能力の向上が図られました。

(直下の写真は、F-toys製「はたかぜ」をベースに改装された「いそかぜ」。「はたかぜ」の艦橋上部にDesktop Fleet 製のAsukaの艦橋上部のイージスシステムドームを追加。主砲を換装し、アスロックランチャーに換えて16セルのVLSを搭載しました。さらに艦番号を183に変更)

f:id:fw688i:20191104141042j:image

www.shapeways.com

(艦橋上部に追加搭載されたイージスシステムドームと、換装した主砲、VLSのアップ。艦番号を変更)

f:id:fw688i:20191104141115j:image

 

いそかぜ」という名前

ところで、本稿を読んでいただいているような方ならば、映画で「いそかぜ」が「こんごう」級 イージス護衛艦の姿で登場したことに若干の違和感を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

イージス護衛艦「こんごう」級は「こんごう」「きりしま」「みょうこう」「ちょうかい」と全て「山」の名前がつけられており、その後の「あたご」級でも、「あたご」「あしがら」と山の名前を命名することが踏襲されています。これは旧海軍の重巡洋艦巡洋戦艦(後に高速戦艦)が「山」の名前を艦名としてことを踏襲しています。

 

元来、護衛艦はDDの分類符号からも、多くは駆逐艦に分類され、旧海軍の慣例に倣って(慣例かどうかはよく知りませんが、多分そうですよね)「つき」「なみ」「きり」「ゆき」「あめ」そして「かぜ」など気象関連の名前が付けられる事が、創設以来一般的でした。

その慣例は海上自衛隊初のヘリコプター搭載護衛艦「はるな」級の就役から変わって行きます。「はるな」級は「はるな」「ひえい」、続く「しらね」級では「しらね」「くらま」と、以降、大型艦には「山」の名前がつけられるようになります。前出のイージス護衛艦もこの系列にありますね。(さらに最近はさらに大型の全通甲板型のDDHには日本の律令制以来の旧国名が艦名として使われ始めています。「ひゅうが」級の「ひゅうが:日向」「いせ:伊勢」、「いずも」級の「いずも:出雲」「かが:加賀」という感じですね)

そうした意味では、「こんごう」級イージス護衛艦の形態を示す艦に「いそかぜ」と気象関連の名前を付けることには違和感を覚えずにはいられません。

では、護衛隊群の防空を担うイージス艦以前のミサイル護衛艦(DDG)にはどのような名前がつけられていたか、というと、その初代は「あまつかぜ」、第二世代「たちかぜ」級は「たちかぜ」「あさかぜ」「さわかぜ」、そして第三世代「はたかぜ」級は前出のように「はたかぜ」「しまかぜ」と、全て「かぜ」で統一されています。

従って、「はたかぜ」級の3番艦であれば、「いそかぜ」の名はふさわしい、と言うべきでしょう。

 

もう一つ、ついでに艦番号について。

艦隊防空を担うDDGは、「あまつかぜ」DDG-163、「たちかぜ」級3隻がDDG-168~170、「はたかぜ」級2隻がDDG-171, 172、続くイージス艦「こんこう」級の4隻がDDG-173~176、「あたご」級2隻はDDG-177,178、そして最新の「まや」級2隻がDDG-179,180と続きます。

艦隊防空、という視点で言えば、初代「あきづき」級の2隻も、そういう役割を負っていましたが、艦番号はDD-161,162でしたし、「あまつかぜ」と「たちかぜ」級の間の「たかつき」級4隻(DDA-164,165,166,167)も、新型の54口径5インチ単装速射砲(Mk.42)を2基搭載する対空能力に優れた艦でした。「こんごう」級の就役以前には、ターター・システム搭載のDDGとDDA「たかつき」級が護衛隊群の防空を担当するという時期がありました。

こうした観点で見れば、「空母いぶき」に登場した浮舟艦長の「いそかぜ」第二形態がDDG-161の艦番号を継承したことも、なんとなく納得ですね。

f:id:fw688i:20191104221821j:image

一方で「はたかぜ」級3番艦である「いそかぜ」第三形態が背負っているDDG-183は、現在、DDH「いずも」の番号になっていますが、当時はおそらく「いずも」級の計画前であり、この番号を付与された、と考えることもできるでしょう。

f:id:fw688i:20191104221943j:image

 と、名前、艦番号にも選択や付与に一定の法則がありそうです。これもまた興味深い。

 

幻の「亡国のイージス」前日譚:Call the Role

余談ですが、長編小説「亡国のイージス」には、その姉妹編として、この改装にまつわる前日譚を描いた短編小説集があるのです。

その改装は非常に大規模で、約9ヶ月を要しました。更にその後の公試などで再就役までに、「いそかぜ」はほぼ1年を要しているのです。

その改装工事中には、前出の「いそかぜ」の仙石先任伍長 は、造船所とのやり取りに疲れ果て、完工後には艦橋上に現れた「芽の生えたタマネギ」のようなミニイージスシステムのドームを見て「おれの艦を、こんなに不細工に造り変えやがって」と憤慨し、更に彼自身の部署であったターター・システムがミニ・イージス・システムによって無用の長物化したことに、自分も時代遅れになったかのように寂しい思いをするのです。

さらに、艦長と副長以外ほとんどの幹部クルーが入れ替わり(実は、この異動は、その後のテロ実行に向け仕組まれたものだったのですが)、乗組員たちも入れ替わり、これから先の混乱を予想して、先任伍長はため息をつくのです。

・・・と言うような「亡国のイージス」前日談が、実は「Call The Role」という別冊小説になっています。この本は仙石先任伍長だけでなく、その他の主要な本編登場人物の前日譚の短編集というような趣の本になっています。(「Call The Role」というのは「点呼」というような意味合いだそうです)

f:id:fw688i:20191104190652j:image

この本、実はピットロード社製の「いそかぜ」のフィギュアとセットで販売されていたのですが、今や入手が非常に困難な「幻の本」となっています。

https://www.amazon.co.jp/原作版《いそかぜ》-精密フィギュアセット-福井-晴敏/dp/4062751518

フィギュアはさておき、本だけでも再版されればいいと思うのですが。できれば文庫本でね。

この本にはもう一つ、大変貴重な点があります。実はその後書き(?)がフィギュアを手掛けた模型メーカー「ピットロード」の企画開発部のお二人(そのうちの一人は原型製作者)によって書かれているのです。前述の「後書き」という言葉に?をつけたのは理由があって、後書きと言うよりも、「いそかぜ」のFRAMによる性能向上と意義を記述された内容になっています。大変コンパクトで面白い!

欲しくなってきたでしょう。再版してくれればいいのに。

 

おまけ?

さて、最後に直下の写真は、「はたかぜ」級ミサイル護衛艦のそろい踏み(?)。手前からDDG-172「しまかぜ」、DDG-171「はたかぜ」、DDG-183「いそかぜ」の順。
f:id:fw688i:20191104141113j:image

 前出の「DDG-183」の記事www.masdf.comには、僚艦「うらかぜ」と共に第65護衛隊を編成、という記載があります(もちろん架空ですよ)。どうしようかな、「うらかぜ」も作ってみようかな。

しかし、同記事の中にはしかしこの近代改修工事は、いそかぜの場合で450億円と高額であるため財務省片山さつき担当主計官は「近年の緊縮財政期においてこのような費用対効果が悪い計画に意味があるのか?ミニ・イージス戦艦なんて時代遅れよ!」と、今後の予算化には消極的。またアメリカ政府も日本の「ミニ・イージスシステム」開発に対して日本の軍事的独立を警戒し不快感を募らせており、今後順調に計画が進行するかどうかはまったく不透明である」という記載があり、その後さらにミニ・イージス化が進められたのかどうか。

つまり「うらかぜ」をミニ・イージス搭載艦形態で作るべきかどうか、はっきりしませんね。ちょっと困った。

・・・ああ、そうか、いいこと思いついた。両方作っちゃえ!

まあ、これも新たな楽しみ発見、ということで。

(再録、ここまで。そして、オリジナルは下記を。内容は「再録」なので、全く一緒です)

fw688i.hatenablog.com

 

ここからは架空DDGの制作の話

ということで、上記「再録」部分では、最後に護衛艦いそかぜ 」第三形態が小説「亡国のイージス」で第65護衛隊を形成した僚艦「うらかぜ」の話が出てきますが、実は上記では「「うらかぜ」を「はたかぜ」級DDGの4番艦(あるいは3番艦?いずれにせよ現実では「はたかぜ」級護衛艦は2隻しか実在しませんので、架空艦の話ではあるのですが)として扱っていたのですが、実は福井晴敏氏の原作小説では1世代前の「たちかぜ」級の4番艦(これも3隻しか実在しないので架空艦です)であることが判明し、結局、「うらかぜ」を「たちかぜ級」として制作したりしています。

 

そしていよいよ、ここからが架空DDGの制作のお話、その「パート1」です。

fw688i.hatenablog.com

(以下、上記投稿より、その関連部分の再録)

「たちかぜ」級の4番艦、と言うことになりますが、実際には「たちかぜ」級は3隻しか建造されていないので、いわゆる架空艦を制作することにします。

 

本稿で、以前、架空の護衛艦いそかぜ」(DDG-183)について述べたことがあります。

fw688i.hatenablog.com

いそかぜ」と言う護衛艦は実在しないのですが、一方で、「亡国のイージス」(小説版・映画版)あるいは「空母いぶき」(映画版)で活躍する「有名な護衛艦」なのです、と言うのが、この回の主題だったのですが、この「亡国のイージス」に登場する「いそかぜ」の第65護衛隊を構成する僚艦が「うらかぜ」として登場します。

本稿の上記URLでも、ほんの少しだけ「うらかぜ」について触れているのですが、その際には、私の勉強不足から、てっきり「うらかぜ」は「いそかぜ」と同様、「はたかぜ」級DDGなのだと決め付けていました。

しかし、その後、原作等を読み返すと、「隊司令の衣笠一佐が、あえて旧型の第二世代ミサイル護衛艦「うらかぜ」を座乗艦に選んだのも・・」と言う記述があるではないですか。

ありゃリャ、これは「たちかぜ」級だぞ。と言うわけで、残った一隻は「うらかぜ」として制作することに・・・。

 

「うらかぜ」(DDG-162):架空護衛艦

(直下の写真:DDG-162: うらかぜ Amature Wargame Figures製 WNV素材モデル。写真を下記のようにアップにすると、やはりWNV素材の仕上がりの荒さが気になりますね。肉眼で見ている分には、それほど気にならないのですが)

f:id:fw688i:20200112135938j:image

細部は、武装の換装など、ほぼ「さわかぜ」と同じ仕様で仕上げてあります。最後に艦番号「162」を貼付して、出来上がり。

この艦番号、決定までに少し紆余曲折がありました。

と言うのも、「いそかぜ」については原作中に「183」と言う艦番号が明記されているのですが、「うらかぜ」については、艦番号に関する記述はありません(少なくとも、私が読みこんが限りでは。もしどこかに記載があったら、是非お知らせ下さい)

そこで、「たちかぜ」級の4番艦であれば、本来は艦番号「171」が付与されるべきなのですが、この番号は実際には、すでに次級「はたかぜ」級DDGのネームシップ「はたかぜ」に付与されています。その後はミサイル護衛艦の番号は最新型の「まや」級の「はぐろ」の「180」まで、すべていっぱいで、さらにその後は181から184までDDHの「ひゅうが」級、「いずも」級に付与されていて、空きがありません。(そう言う意味では小説版「亡国のイージス」の「いそかぜ」の183番も、実際にはDDH「いずも」の艦番号になってはいるのですが)

止むを得ず、「うらかぜ」の就役時点ではすでに退役していたであろう防空担当護衛艦の番号を、と言うことで、初代「あきづき」級の2番艦「てるづき」(1981年、特務艦籍に変更 この時点で、DD-162からASU-7012に艦番号を変更)の番号をいただいた、と言うわけです。「うらかぜ」の前の「たちかぜ」級3番艦の「さわかぜ」の就役が1983年ですので、少なくとも「うらかぜ」の就役はそれ以降と想定できますので、なんとか辻褄は合うかと。(余談ですが、前述の「いそかぜ」の項でも触れましたが、映画版「空母いぶき」の「いそかぜ」は初代「あきづき」の艦番号「161」をもらっています)

と言うことで、少し苦労しましたが、艦番号は「162」に決定。

 

第65護衛隊(「いそかぜ」(DDG-183), 「うらかぜ」(DDG-162))

(直下の写真は、第65護衛隊の2隻。手前:「うらかぜ」(DDG-162) と奥:ミニ・イージスシステム搭載艦に改装後の「いそかぜ」(DDG-183))

f:id:fw688i:20200112142303j:image

(直下の写真:参考までにターターシステムからイージスシステムへの換装後の「いそかぜ」(DDG-183)。「はたかぜ」級DDGをベースに、艦橋上部にミニ・イージスシステム用のドームを追加。主砲をオート・メララ製の54口径コンパット砲に換装、併せて、アスロック・ランチャー設置箇所に、16セルのVLSを設置して即応性を高めるなどの工夫があります)

f:id:fw688i:20200112142252j:image

 

と言うことで、第二世代ミサイル護衛艦「たちかぜ」級4隻(一隻は架空艦です)が完成しました。

(直下の写真:DDG第二世代たちかぜ級の揃い踏み。手前から「たちかぜ」「あさかぜ」「さわかぜ」そして架空艦「うらかぜ」の順)

f:id:fw688i:20200112135930j:image

 

 そしてここからが、架空DDG制作編の「パート2」

本稿では、Shapewaysをはじめとする3D printing modelを数多くご紹介しています。筆者にとってコレクションの充実には欠かせない調達ソース、ということです。現在展開中の「スウェーデン海軍」艦艇も多くがShapewaysで調達されています。

そして本稿では一時期集中的に3D printing modelをご紹介した時期がありました。その中で、別の架空DDGの制作について触れた回がありましたので、それも併せてご紹介します。

ちょっと補足しておくと、今回の「架空艦」は純粋な「架空艦」ではなく、実在する「海上自衛隊護衛艦」を改装してできた「架空艦」です(ややこしいなあ)。

(以下、下記の投稿よりの抜粋です)

fw688i.hatenablog.co

 

架空艦の製作へ

さて、SFD素材の竣工時モデルがもう1隻残ったけど、どうしよう?

f:id:fw688i:20191201163317j:plain

そうだ、そもそも、このモデルストックは「いずれは加工して架空艦を作成する際の素材として入手したものです」と書いてたんじゃないか。

 

と言うことで、ちょっと頭の中をゴソゴソ。

そう言えば、海上自衛隊初のDDG「あまつかぜ」の就役が 1965年。第二世代DDGの「たちかぜ」級の就役が1976年。この間、「あまつかぜ」は唯一のDDGであったわけで、ターター・システムの複数艦での運用データを得るためにも、この空白を埋めるために、1967年から就役の始まった「たかつき」級の1隻が早々にDDGへ改装・転用された、と言うカバーストーリーがなんとなくいい感じなのでは?

 

DDG「もちづき」の制作

こうして、DDG「もちづき」の誕生です。

SFD素材の竣工時モデルのいくつかのパーツを撤去。撤去部分は、艦首から前部主砲、アスロック・ランチャー、前部マスト上部、後部煙突上部、後部上部構造物、後部主砲。

換装、もしくは追加したパーツ:前部主砲(Ftoys)、アスロック・ランチャー(Ftoiys)、前部マスト上部(Ftoiys:「しらね」前部マストを転用)、短魚雷発射管(ロッドより製作)、ハープーン・ランチャーを追加(Ftoys)、後部煙突上部(Ftoiys:「しらね」後部煙突上部を転用)、ボートを両舷に追加(Ftoys)、イルミネーター2基を追加(Ftoys「しまかぜ」より転用)、Mk13対空ミサイル・ランチャーを追加(Ftoys「しまかぜ」より転用)、CIWSを追加(Ftoys)

下の写真は、上記の作業後、下地処理を経てざっと塗装をしてみたものです。艦中央部の白いパーツは、ロッドで製作した短魚雷発射管です。

f:id:fw688i:20191221115434j:image

 

少し制作の裏話を。

当初、艦後部のイルミネーターの後方に2番主砲を残していたのですが、Mk13ミサイル発射機とCIWSをその後ろに追加すると、2基のイルミネーターの配置に余裕がなく、併せてあまりにも艦後部が荷重になるように思われ、2番主砲の設置を断念しました。

その上で、少しイルミネーターの間隔に余裕を持たせ、Mk13対空ミサイル発射機をDASH無人対潜攻撃ヘリコプター格納庫上に設置、DASHの運用甲板であった後甲板にCIWSを設置、と言う配置にしました。CIWSの射界を広く持たせるためにはMk13とCIWSの配置を逆に、とも考えたのですが、Mk13の下に収納されるミサイル弾庫を考慮すると、この順序が良いのではないかと言う結論です。なんとなく、DASHの格納庫をそのままに、と言う状況も活かせたような気もしています。

直下の写真:DDG改装後の「もちづき」

f:id:fw688i:20191222153119j:image

直下の写真:僚艦「あまつかぜ」と共に。

上記のカバーストーリーでは、DDG「もちづき」は「あまつかぜ」と組んで活躍することになります。

f:id:fw688i:20191222153156j:image

直下の写真:そしてやがては第二世代DDGの「たちかぜ」級と共に行動する機会もあるかもしれませんね。

f:id:fw688i:20191222153137j:image
 さて、どちらのクラスと護衛隊を組んでも、いくつもカバーストーリーが書けそうな・・・。

 

とうわけで、「再録」編集でお茶を濁させていただいた今回でした。

 

さて次回は、模型の到着次第ではあるのですが、もう一度「再録」を続けるか、新着モデルの情報をお届けするか、たぶんどちらかで。

それと近々、前々回投稿の「第二次世界大戦下のドイツ海軍駆逐艦水雷艇」を改定させていただくことになると考えています。ご紹介した模型が精度の高い「Neptune社製」のもので統一できそうなのです。写真を貼り替えるだけにするか、少し加筆などするか、それは検討中、ということで。

 もちろん、もし「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

併せて模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

ブログランキングに参加しました。クリック していただけると励みになります。


艦船ランキング

 

 

 

 

 

再録:模型ならでは、If艦・計画艦のデザイン・ヴァリエーションの一例

前回、予告しましたが、今週末はお仕事でした。

ということで、今回は過去掲載の中から、If艦・未成艦のデザイン・ヴァリエーションのご紹介。模型ならでは、というか、筆者が一人で思い切り遊んだ、という記録です。

 

まず、米海軍のダニエルズ・プランから米海軍初の巡洋戦艦レキシントン級」のデザイン・ヴァリエーション。

 

レキシントン級巡洋戦艦(オリジナルデザイン) 

レキシントン級巡洋戦艦について、少し基礎知識のおさらいを。

レキシントン級巡洋戦艦は、ダニエルズプランで建造に着手された、米海軍初の巡洋戦艦の艦級です。元々、米海軍は、戦艦の高速化には淡白で、21ノットを標準速度としてかたくなに固守しつづけ、巡洋戦艦には触手延ばしてきませんでした。

しかし本稿でも既述のとおり、第一次世界大戦の英独両海軍主力艦による「ドッカー・バンク海戦」や「ユトランド沖海戦」の戦訓から、機動性に劣る艦隊は決戦において戦力化することは難しいという情況が露見し、米海軍も遅ればせながら(と敢えて言っておきます)高速艦(巡洋戦艦)の設計に着手した、というわけです。

(背景情報は下記を)

fw688i.hatenablog.com

 

レキシントン級巡洋戦艦の設計当初のオリジナル・デザインでは、34300トンの船体に、当時、米海軍主力艦の標準主砲口径だった14インチ砲を、3連装砲塔と連装砲塔を背負式で艦首部と艦尾部に搭載し、35ノットの速力を発揮する設計でした。

その外観的な特徴は、なんと言ってもその高速力を生み出す巨大な機関から生じる7本煙突という構造でしょう。

モデルは、Masters of Miitaly社製で、White Natural Versatile Plasticでの出力を依頼していました。

(直下の写真は、到着したレキシントン級巡洋戦艦のモデル概観。Masters of Miitaly社製。素材はWhite Natural Versatile Plastic)

f:id:fw688i:20200516145002j:image

本稿で行った「レキシントン級デザイン人気投票」では、「籠マスト+巨大集合煙突デザイン」に継ぎ第二位という結果で、私も大変気になりながらも、14インチ砲搭載艦というところに少し引っかかりがあり(あまりたいした理由はないのですが、この巨体なら16インチ砲だろう、という思いが強く)、なかなか手を出していなかったのですが、この人気投票に背中を押してもらった感じです。ありがたいことです。(なんでも都合よく解釈できる、この性格もありがたい)

www.shapeways.com

 

と言うわけで、今回はその完成形のご紹介です。

f:id:fw688i:20200525135226j:image

モデルは非常にバランスの取れたスッキリとしたプロポーションを示しています。どこか手を入れるとしたら、当時の米主力艦の特徴である「籠マスト」をもう少しリアルな感じに、かなあ、とは思いますが、今回は手を入れずに仕上げることにしました。

なんかいいアイディアあれば、是非お聞かせください。

 

レキシントン級巡洋戦艦(デザインバリエーション)

上記のように、同級の原案設計の当時には、米海軍の主力艦標準備砲ということで14インチ砲搭載の予定だったのですが、その後、日本の八八艦隊計画が「全て16インチ砲搭載艦で主力艦を揃える」という設計であることを知り、急遽16インチ砲搭載に設計変更した、という経緯があったようです。

こうして同級は、結局16インチ砲搭載の巡洋戦艦として着工されるのですが、その後、ワシントン軍縮条約で制約、整理の対象となり、同級のうち2隻がその高速性と長大な艦形を活かして大型の艦隊空母として完成されました。「レキシントン」と「サラトガ」ですね。

つまり巡洋戦艦としては、同級はいわゆる「未成艦」に分類されるわけですが、その「未成」故に、完成時の姿を想像することは、大変楽しいことです。

 

筆者もご他聞に漏れず想像の羽を伸ばしたがるタイプですので、今回の「オリジナル・デザイン案」の完成に勢いづいて、筆者の想定するバリエーションの完結を目指してみました。

肝は「煙突」かな?

 

バリエーション1:二本煙突シリーズ

竣工時:籠マスト+二本煙突

en.wikipedia.org

上記リンクにあるように、実際に16インチ砲搭載巡洋戦艦として起工されたものが、完成していたら、と言う想定ですね。(こちらは本稿でも既にご紹介しています)

起工当時の米主力艦の標準デザインであった籠マストと、さすがに7本煙突という嬉しいほどユニークではあるけれど何かと問題のありそうなデザインは、実現しなかったんだろうなあ、と、その合理性には一定の納得感がありながら、一方では若干の落胆の混じる(かなり正直なところ)デザインですね。アメリカの兵器は時として、量産性や合理性にともすれば走り、デザインは置き去りになったりします。あくまで筆者の好みですが、「デザイン置き去り」が、「無骨さ」として前に出るときは、言葉にできないような「バランス感の無さ」につながり、それはそれで「大好き」なのですが(M3グラント戦車、M4シャーマン、F4Fワイルドキャット、ニューオーリンズ重巡洋艦等がこれに当たるかなあ)、正直今回の「レキシントン・二本煙突デザイン」これは「味気なさ」が先に立つと言うか・・・)
f:id:fw688i:20190310173715j:image

(42,000t, 30knot, 16in *2*4, 2 ships, 213mm in 1:1250 by Delphin :こちらはDelphin社のモデルに少しだけ色を入れた程度です)

 

最終改装時:塔状艦橋+二本煙突

同級の近代化改装後の姿で、米海軍が主力艦に対し行なった、射撃システムの変更、副砲撤去、両用砲を砲塔形式で装備、上部構造物の一新、等々を実施、と言う想定です。艦様が一変してしまいました。

特に、外観上での米海軍主力艦の特徴の一つであった艦上部構造の前後に佇立する篭マストが、塔状の構造物に置き換えられました。

f:id:fw688i:20190503153339j:plain

(直上の写真:舷側に迷彩塗装を施しています。筆者のオリジナルですので、ご容赦を。本級は未成艦であるため新造時の模型は製造されていましたが、近代化改装後の模型までは存在せず、ごく最近になって近代化改装後の3Dプリンティングモデルを発見し、その製作者Tiny Thingajigsに発注をかけ、模型の到着を心待ちにしていました。ベースとなったモデルはこちら)

www.shapeways.com

 

f:id:fw688i:20190503154025j:plain

(直上の写真は、上)と最終改装後(下)の艦様の比較)

 

バリエーション2:巨大集合煙突シリーズ(こちらは筆者の妄想デザインです)

竣工時:籠マスト+巨大集合煙突

そもそも発端は、ワシントン・ロンドン体制で、巡洋戦艦から空母に転用された「レキシントン」の巨大な煙突からの妄想でした。

f:id:fw688i:20200425193850p:plain

この煙突がついている主力艦は、どんな感じだったろうか、作っちゃおうか、という訳です。で、その巨大な煙突の背景には大きな機関があり、元々は7本の煙突が初期の設計段階では予定されていたことを知る訳です。おそらくは転用されたのが「空母」なので、高く排気を誘導する必要があったんでしょうが、まあ、今回はそれはそれで少し置いておきましょう。

完成後に改めて見ると、ああ、半分くらいの高さ、と言うデザインもあったなあ、と。(うう、こんな事に気が付いてしまうと、いつか手を付けるんだろうなあ)

f:id:fw688i:20200525135229j:image

 直上の写真は、今回急遽製作した竣工時の「レキシントン級巡洋戦艦」で、籠マストと「レキシントン級」空母譲りの巨大集合煙突が特徴です。

本稿でも以前ご紹介しましたが、本来は下記のTiny Thingajigs製の3D Printing Modelをベースに制作する予定だったのです。

www.shapeways.com

f:id:fw688i:20200426111625j:plain

しかしShapeways側のデータ不備とかの理由で入手できず、この計画が頓挫。では、ということで、ebay等で、これも前出のDelphin社製のダイキャストモデルを新たに入手しそれを改造しようかと計画変更。しかし少し古いレアモデルだけに新たに入手が叶わず(ebayで、格好の出品を発見。入札するも、落札できず:ebayは1:1250スケールの艦船モデルの場合、当然ですが多くがヨーロッパの出品者で、終了時間が日本時間の明け方であることが多く、寝るまでは最高入札者だったのに、目が覚めると「ダメだった」というケースが多いのです)、結局、手持ちのDelphinモデルをつぶす事にしました。(つまり、これ↓を潰す事に・・・)f:id:fw688i:20190310173715j:image

Delphin社のモデルは、こうした改造にはうってつけで、パーツが構造化されており、その構造が比較的把握しやすいのです。従って、少し注意深く作業をすればかなりきれいに分解することができます。今回は上部構造のうち、前後の煙突部と中央のボート甲板を外し、少し整形したのち、Deagostini社の空母「サラトガ」の完成模型(プラスティックとダイキャストのハイブリッドモデル)から拝借した巨大な集合煙突(プラスティック製)を装着する、という作業を行いました。

f:id:fw688i:20200525135229j:image

で、出来上がりがこちら。設計の合理性は爪の先ほども感じませんが、なんかいいなあ、と自画自賛。この巨大な煙突は格好の標的になるでしょうから、まず、この設計案は採用されないでしょうねえ。

或いは、上掲の2本煙突デザインでは、7本煙突からこのデザインへの変更の際には機関そのものの見直しが必須のように思うのですが、それが何らかの要因で困難だった(あまりに時間がかかる、とか、費用が膨れ上がる、或いは新型の機関を搭載するには一から設計し直したほうが早い、とか)というような状況で、ともあれ完成を早めた、というような条件なら、有りかもしれませんね。

(やっぱり、煙突の高さ、半分でも良かったかもしれません。ああ、気になってきた!

 

最終改装時:塔状艦橋+巨大集合煙突

そして、巨大集合煙突のまま、近代化改装が行われます。米海軍が主力艦に対し行なった、射撃システムの変更、副砲撤去、両用砲をこの場合には単装砲架で装備、上部構造物の一新、等々の近代化改装を受けた後の姿、と言う想定です。

この場合でも、やはり篭マストが、塔状の構造物に置き換えられました。煙突の中央に太い縦線が入れられ、2本煙突への偽装が施されています。

f:id:fw688i:20200426140053j:image

こちらは下記の3Dプリンティングモデルをベースとしています。

www.shapeways.com

このモデルの煙突をゴリゴリと除去し、Deagostini社の空母「サラトガ」の完成模型(プラスティックとダイキャストのハイブリッドモデル)から拝借した巨大な集合煙突(プラスティック製)を移植したものが、下の写真です。f:id:fw688i:20200328161044j:image

 この後、下地処理をして、少し手を加え塗装を施し完成です。

 

 (直下の写真は、巨大煙突デザインの竣工時(上)と最終改装時(下)の艦様の比較)

f:id:fw688i:20200530192743j:image

 

レキシントン級巡洋戦艦」デザインバリエーションの一覧

上から・・・もう説明はいいですかね。

f:id:fw688i:20200530200006j:image

こうやって一覧すると、「どれが好きですか?」と聞きたくなるのですが・・・。また、アンケートかよ、という声が聞こえてきそうなので、今回はやめておきます。

(そのうち、もう一回、巨大集合煙突の高さ、ちょっと変えてみました、なんて紹介をするかもしれませんね。きっとするなあ、これは)

 

ともあれ、合理性はさておき、やはり巨大煙突、いいと思うんですがねえ。

 

次は記憶に新しいところで、最近のA-140号計画艦(いわゆる「大和」ですね)のヴァリエーションから最大の特徴である18インチ主砲を全て艦首部に集中配置したA-140a計画艦。

大和級計画案( A-140号計画)」のデザインバリエーション

まず、A-140計画艦のお話です。

「A-140計画艦」には20数種のデザイン案があると言われています。これはその中でも最初期の案とされる「A-140a」をベースにし、これに「大和級」建造の実現技術を反映した形としています。副砲の配置も、「大和級」の配置案に準じています。

f:id:fw688i:20210227115419j:image

 (A-140a案の資料を示しておきます。諸々、Net上で見つけた資料から)

 

大和級」設計案での機関に関する議論

大和級」の多様な設計案の一つの重要な軸は、主機選択の変遷であったと言ってもいいかもしれません。

資源の乏しい日本にとって、燃料問題は常に重大な課題であり、従って高速力と航続距離を並立させることを考慮すると、燃費に優れるディーゼル機関の導入は重要な目標であったわけです。さらに大型潜水艦用のディーゼル機関の開発の進展など、これを後押しする要素も現れ始めていました。

このため原案はタービン機関のみの搭載案でしたが、その後の案は全てディーゼル機関とタービンの併載案、あるいはディーゼル機関のみの搭載案、でした。

艦隊決戦の想定戦場を、日本海軍はマーシャル諸島辺りとしていたので、航続距離はできるだけ長くしたかった、そういう事ですね。

最終的には、当時のディーゼル機関の故障の多さ、性能不足(潜水艦なら「大型」と言っても2000トン程度、1番大きな潜特型(伊400型)でも3500トン程度だったのですが、10000トン級の潜水母艦「大鯨」のディーゼル機関は所定の性能を発揮できませんでした)から、工期との兼ね合いを考え、結局ダービン機関のみの搭載案が採用されましたが。「大和級」他の戦艦群が大戦中に後方(トラック等)からなかなか前に出れなかった理由の一つは、この辺りにありそうです。

 

そして制作へ

発端は京商製「大和」「武蔵」の1:1250モデルのストックを棚の奥から発見したこと。京商製のこのモデルは、樹脂製のパーツで構成されており、下の写真にあるように非常にバランスが良く、かつディテイルもかなりしっかり作られています。

ただ、大変惜しいことに、船体の長さが197mmで、一般に知られている「大和級」の船体長263.3mの1:1250モデルとしては、やや船体長が短いのです(Neptune社製のモデルは約210mm)。このため筆者の1:1250コレクションには加われず、長い時間、デッドストックとして棚の奥に眠っていました。これが4隻発見された(単に筆者が忘れてただけなんですが)わけです。(就役時=副砲塔4基搭載を再現した「武蔵」が3隻と、対空兵装強化後の「大和」が1隻)

f:id:fw688i:20210221133126j:image

京商製の「武蔵」立派な台座に乗っています。ディテイルはバッチリです。下段はDelphin社製の船体との大きさ比較。約13mm短い!)

よく見ると、船体長こそ短いものの、その他の主砲、副砲、上部構造等はそれほど小さいわけではなく(まあ、誤差程度、小振りではありますが)、 ムクムクとこれを何かに生かせないだろうか、とイタズラ心が蠢き始めました。

 

大和級」で残っているものと言えば・・・

そもそもこのブログは、実は筆者が「大和級」のバリエーションとして海上自衛隊のイージス護衛艦「やまと 」を制作したところからスタートしています。かつ、筆者の制作していた「八八艦隊」の戦艦群バリエーションの完成と、超「大和」、スーパー「大和」などのコレクションを備忘録的にまとめておきたい、という想いからスタートしています。

(以下のリンクは、上記に関連しそうな回を総覧したもの。ちょっと手前味噌な宣伝ぽくて申し訳ないですが。よろしければお楽しみください)

fw688i.hatenablog.com

fw688i.hatenablog.com

fw688i.hatenablog.com

fw688i.hatenablog.com

fw688i.hatenablog.com

というようなわけで、今回発見された京商製のモデル以外にも、これら「大和級」のバリエーション制作過程で、お蔵入りした試作品、あるいは制作のための部品取りで入手したモデルのストックなどがいくつか眠っているのです。

f:id:fw688i:20210221130140j:image

(上の写真:眠っていたDelphin社製「大和」の船体部分(上段および下段左)と、京商製「武蔵」就役時モデルの上部構造と主砲塔(下段右))

これらを組み合わせて、比較的大きなモデル改造を伴う「A-140計画艦」のうち「主砲前部集中搭載案」を実現してみます。

 

大和級計画案(A-140計画)」から、戦艦「甲斐」(仮称)の制作

大和級」の建造にあたっては、その設計案が20数案あったことはよく知られています。

そのヴァリエーションは多岐にわたり、例えば排水量では50000トン案から70000トン案、主砲も18インチ砲10門搭載案から16インチ砲9門搭載案等々、種々検討されて、最終案として纏まったのが我々が知る「大和級」ということになります。

その概観も種々あり、その中でも筆者が気になっていたのは原案の当初から数案に展開され続けた「主砲前方集中配置案」とでも呼ぶべき形状でした。

他のディテイルの再現はさておき、この「主砲前方集中配置」だけでも再現できないか、というのが筆者のぼんやりとした「想い」だったのですが、今回それを一気に形にすることに。

f:id:fw688i:20210221104955j:plain

(戦艦「甲斐」(=「大和級」というより「A-140計画艦」というべきか。主砲前部集中搭載案から)の概観:主砲の前部集中配置で防御装甲の配置を効率化し、タービンとディーゼルの混載と共に、日本海軍悲願の高速性と長い航続距離を両立させることを目指しました)

f:id:fw688i:20210221104952j:image

(直上の写真:「大和」(奥)と「甲斐」の概観比較:「甲斐」がほんの少し小振りで、主砲搭載位置の差異など見ていただけるかと。何故か主砲前部集中配置の方が、機動性が高そうな気がしませんか?写真ではわかりにくいですが、煙突が「甲斐」の方がやや細く、タービンとディーゼルの混載だから、と無理やり・・・)

 

 

『A-140a号計画艦」主砲塔山形配置案の制作

f:id:fw688i:20210228115635j:image

(戦艦「美濃」A-140a案の山形主砲配置デザイン:主砲の配置位置がよりコンパクトになっていることがよくわかります。主砲配置以外は上掲の「甲斐」と同じスペックです)

そして次に制作したのは、主砲の山形配置案(重巡那智級」などでお馴染みの配置)です。後方への主砲斉射界を広く取ることができると言う点と、主砲弾庫をコンパクトにまとめられる、と言うメリットもあるかも。もしこのメリットがあるとすると、機関に余裕を持たせることができたかもしれませんね。f:id:fw688i:20210228115632j:image

(直上の写真:主砲配置と副砲配置の拡大カット)

(下の写真は「甲斐」と「美濃」のレイアウト比較:中段は主砲の前方斉射の射角比較。下段は後方斉射の射角比較。かなり両者の斉射射角に差があることがわかります)

f:id:fw688i:20210228115638j:image

「東郷元帥は戦艦の主砲は首尾線の砲力を重視せよ、とおっしゃった」というお言葉が、こういう場合にも影響するのかな?

 

残り1隻分のストックをどう使おうか

こうして2隻を製作した後、残り1隻分のストックで、対空兵装の強化改装後を制作するか、副砲を「A-140a」案に準じて艦尾部に集中配置する艦を作成するか、迷っていました。副砲の集中配置案がいまいち筆者の感覚にしっくりこなかった、というところに迷いの源泉がありました。

 

「A-140号計画艦」副砲集中配置案の制作

上記にうだうだと書いていますが、結局製作したのは「副砲集中配置案」でした。

f:id:fw688i:20210307095908j:image

(A-140a案の副砲艦尾集中配置デザイン:副砲塔の配置位置は原案のA-140aに近いものにしてみました。両舷副砲の配置はもう少し後方でも良かったのかも。副砲塔の配置以外は上掲の「甲斐」と同じスペックです)

この副砲の集中配置は「感覚的に好きじゃない」とか書いていましたが、結局、「模型的に面白い」方を取ってしまった、という感じです。

f:id:fw688i:20210307095905j:image

(前々回でご紹介した戦艦「甲斐」とのレイアウト比較)。

副砲塔の配置は意外と違和感がないかも。これはこれでアリかもしれないなと、制作してみて思います。作った意味があった、ということでしょうかね。どうですか、なかなか「面白い」と思いませんか?作ってみないとわからない!(模型作ってて良かったなあ)

 

ちょっと未練がましく:対空火器強化案の再現にもトライしてみます

せっかくなので、対空火器強化案の制作用に準備しておいた両舷の対空砲座増設パーツを仮置きしてみます。(マスキングテープでそっと固定して設置してみました)

f:id:fw688i:20210307105539j:image

なんとなく「大和級」で見慣れた配置なので、違和感はありません。しかし実際にはかなりの重量増になるでしょうね。速力低下や復元性に課題が間違いなく出たでしょう。

しかも下の比較カットでわかるように、両舷の副砲塔の射界は大きく制限されてしまいます。やはり対空火器強化の際には実用性と重量を考慮すると、両舷の副砲塔は撤去されるべきだ、ということでしょうね。もしかすると副砲は全て撤去、でも良いのかもしれません。
f:id:fw688i:20210307105542j:image

 

「A-140a号計画艦」デザインバリエーションの一覧

f:id:fw688i:20210328230628j:image

この船は横からのシルエットではあまり違いが出ないですね。もっと言うと、デザインヴァリエーションの幅が狭いのかも。

まあ、お決まりの質問ですが、どれが好きですかね?

 

と言うわけで、今回は少々手抜きですが、ここまで。 

模型なら、こんなこともできるんですよ、と言うことで。

 

次回は・・・???

 もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

ブログランキングに参加しました。クリック していただけると励みになります。


艦船ランキング

 

 

 

 

第二次世界大戦下のドイツ海軍駆逐艦、水雷艇

今回は、このところ続けてきた「脇道探索」は、一休みして、溜まっていた懸案のお題を一つこなすことにします。

 

ドイツ海軍の駆逐艦水雷艇

第一次世界大戦敗戦後、ドイツはベルサイユ条約により海軍軍備に大きな制限を受けます。具体的には、駆逐艦は800トン以下に排水量制限が設けられ予備艦4隻を含め16隻、水雷艇は200トン以下の排水量のものを、やはり予備艦4隻を含め16隻という保有制限でした。加えて艦齢15年を越える場合にのみ代艦建造が認められていました。

こうした厳しい制限下で、ドイツ海軍は、特に大型戦闘艦の分野ではこの制約を逆手に取ったような「ポケット戦艦」などの新機軸の新造艦を建造し始めました。

 

ヴェルサイユ条約の制約下での新造駆逐艦

1923年の建艦計画から、旧式駆逐艦の代艦の建造計画が始動し始めます。この流れは1924年度の建艦計画でも継続し、併せて12隻の駆逐艦の代艦建造が始められました。

1923年型水雷艇同型艦6隻)1924年水雷艇同型艦6隻)

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210321123447j:image

(「1923年級」水雷艇の概観:70mm in 1:1250 by Hansa?)  

両級合わせて12隻が1926年から1929年にかけて就役しました。

就役当初は、前出のベルサイユ条約の制約から駆逐艦に分類されていました。

公称800トン(実際には900トンを少し超えていました)の制限いっぱいの船体を持ち、4インチ砲3基と500mm三連装発射管2基を搭載し、33ノットの速力を発揮することができました。このスペックは例えば本稿前回でご紹介したスウェーデン海軍の「エレンスコルド級駆逐艦(1927年就役)にほぼ準じるもので、同じクラスの艦級と比較して見劣りするものでありませんでしたが、列強の駆逐艦の標準は1500トンクラスに移行しており、これらと比較すると「格下」の感は否めませんでした。「1924年型」ではこれらに対するせめてもの対策として、主砲口径を4インチから5インチに拡大する設計が盛り込まれたようですが、連合国の反対にあって4インチ砲の実装となりました。

 

ナチス政権の台頭後、1935年にドイツは再軍備を宣言、同年には英独海軍協定が結ばれ、実質上、ベルサイユ条約の制限下から解き放たれました。この結果建造されることとなった2000トン級の船体を持つ「1934年級」駆逐艦(後述)の誕生とともに、同級は水雷艇に艦種変更されました。同時期に搭載魚雷の口径を21インチに拡大し、対空兵装の増設を行うなど、兵装強化が実行されました。

第二次世界大戦期には、同級に続けて建造された後述する新型「水雷艇」の艦級(800トン級、1200トン級)とともに、護衛任務、機雷戦任務等に、使い勝手の良い汎用艦として活躍しました。

第二次世界大戦前に僚艦との衝突事故で沈没した1隻を除き、残り11隻全てが第二次世界大戦中に失われました。

 

ドイツ再軍備宣言後、英独海軍協定後の駆逐艦

「Z1級:1934級」駆逐艦同型艦4隻)

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210321125657j:image

(「Z1級」駆逐艦の概観:95mm in 1:1250 by Hansa) 

同級は前述のドイツ最軍備宣言、英独海軍協定の締結を経て、それまでのベルサイユ条約の制限を脱した艦級として新たに建造されました。

それまでドイツの駆逐艦は800トンの排水量制限を受けていましたが、同級は同時期にフランスやポーランドが整備中であった大型駆逐艦に対抗するため、いきなり2200トン級の大きな船体を与えられています。f:id:fw688i:20210321125652j:image

搭載兵装は、5インチ単装砲5基と21インチ4連装魚雷発射管2基と標準的で、36ノットの速力を有していました。しかし搭載した新型の高圧ボイラー等の機関の整備が難しいなど、課題が見つかったため、4隻で建造が打ち切られ、改良型の後述の「Z5級」に建造は移行しました。

4隻中3隻が第二次世界大戦で失われ、生き残った一隻は英国に賠償艦として移譲されました。

 

「Z5級:1934A級」駆逐艦同型艦12隻)

ja.wikipedia.or

f:id:fw688i:20210321125911j:image

(「Z5級」駆逐艦の概観:96mm in 1:1250 by Hansa) 

 前出の「Z1級」駆逐艦の改良型で、12隻が建造されました。

前級で課題のあった機関に改良が加えられ、併せて凌波性を改善するために船首楼を若干高くするなど設計に手が入れられ、結果やや船体が大きくなり、速力も38ノットに向上しています。一方兵装とその配置はほぼ前級を踏襲しています。

第二次世界大戦では12隻中7隻が失われ、残りの5隻は賠償艦として連合国に引き渡されました。

 

「Z 17級:1936級」駆逐艦同型艦6隻) 

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210321130147j:image

(「Z17級」駆逐艦の概観:97mm in 1:1250 by Hansa) 

f:id:fw688i:20210321130144j:image

 同級は前級「Z5級」の改良型で、若干船体が大きくなっています。外見的には煙突が低くなる、後檣の位置の変更、艦首形状の変更などが見られます。

兵装は前級に準じています。

6隻が建造され、5隻が1940年4月の第二次ナルヴィク海戦で失われました。生き残った一隻は第二次世界大戦を戦い抜き、戦後、賠償艦としてソ連に引き渡されました。

 

<<ちょっと模型の話>>

下の写真は、「Z17級」のNeptune社製モデルです。ドイツ駆逐艦で唯一筆者が保有するNeptune製モデルです。筆者のコレクションではドイツ艦は基本的にHansa社製で統一するということにしてきましたが、改めて細部等の造作にはかなりの差があることに気がつきました。やっぱりNeptune社製でコレクションをしてみようかな?Hansa社製はしっかりしてはいますし、寸法等に何か大きな誤差があるわけではないのですが、全体に大柄、というか「ゴツイ」印象を受けますね。まあ、上の写真と比べてみてください。皆さん、ご感想はいかがでしょうか?Hansa社の方が手に入りやすんだよねえ。特に金額的に・・・。ちょっと考えどころですね。

f:id:fw688i:20210321130502j:image
f:id:fw688i:20210321130458j:image

 

さて、ドイツ駆逐艦を語る際に、やはりナルヴィク攻略戦での活躍と悲劇を紹介しないわけにはいかないかな、と。 

ナルヴィク攻略戦 :ドイツ駆逐艦の墓場

1940年4月、ドイツはノルウェー侵攻を開始します。(ウェーゼル演習作戦)

ノルウェーの北極圏に位置するナルヴィクはオーフォートフィヨルドの最深部に位置し、北大西洋海流に影響されて冬季でも利用可能な不凍港でした。ドイツは鉄鉱石の多くをスウェーデンから供給されていましたが、そのボスニア海に面した積み出し港が冬季には凍結するため、ナルヴィクはその搬出ルートとして大変重要でした。

ja.wikipedia.org

侵攻戦の一環として、ドイツはエデュアルト・ディートルの指揮する山岳猟兵連隊を基幹とする精鋭部隊約2000名を、当時22隻しか保有していなかった駆逐艦のうち10隻を割いてナルヴィクに直接送り込みました。

ja.wikipedia.org

この際に陸兵輸送に使用された駆逐艦は、Z1級1隻、Z5級4隻、Z17級5隻でした。

当時ナルヴィク港にはノルウェー海軍の主力ともいうべきノルゲ級海防戦艦2隻が守備についていて、侵入するドイツ駆逐艦に対し砲撃を加えましたが、両艦共にドイツ駆逐艦の魚雷で撃沈され、ドイツ軍山岳猟兵連隊は無事に上陸を果たし、ナルヴィクを無血占領しました。

ノルゲ級海防戦艦

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210321131306j:image

ノルウェー海軍「ノルゲ級」海防戦艦の概観:75mm in 1:1250 by C.O.B. Constructs and Miniature: 3D printing modelです)  

f:id:fw688i:20210321131303j:image

 3500トン級の船体に21cm単装砲2基と15cm単装砲6基を搭載するノルウェー海軍の保有する最大最強の海防戦艦です。ああ、こんなところで「脇道探索」の海防戦艦コレクションが役に立つとは・・・。

 

第一次ナルヴィク海戦

陸兵を下ろしたドイツ駆逐艦部隊は、帰途につくために燃料補給を行いますが、給油船の手配に齟齬があり、予定より時間を要してしまいました。

その間に、イギリス海軍のH級駆逐艦5隻からなる駆逐艦部隊がオーフォートフィヨルドに侵入し、ドイツ艦隊を奇襲しました。ドイツ駆逐艦もこれに反撃し、双方2隻づつの駆逐艦を失いました。規模としては小さな戦闘でしたが、双方の指揮官が戦死するなど、狭い海面での激戦だったと言えるでしょう(第一次ナルヴィク海戦:1940年4月9日)。

この戦闘の結果、ドイツ駆逐艦部隊は2隻の損失の他4隻が損傷を受け、損傷のない4隻は給油を受けていない状況で帰途につける状態ではありませんでした。

「H級」駆逐艦

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210321132612j:image

(「H級」駆逐艦とほぼ同等の外観を持つ「G級」駆逐艦の概観:79mm in 1:1250 by Neptune: そして直下の写真は、「G級」と「I級」駆逐艦の艦橋のアップ。「H級」の艦橋は下の「I級」の方が近い形状をしているかもしれません。こうして整理するまで、実は「H級」のモデルが手元にないことに気がつきませんでした。やれやれ) 

f:id:fw688i:20210321132616j:image

 

第二次ナルヴィク海戦

4月13日、戦艦「ウォースパイト」と「トライバル級駆逐艦を中心に9隻の駆逐艦で構成された英艦隊がオーフォートフィヨルドに再び侵入し、ドイツ駆逐艦部隊と交戦しました。

戦艦「ウォースパイト」

f:id:fw688i:20190413191254j:image

(「クイーン・エリザベス級」戦艦の1942近代化改装後: 32,930t, 23knot, 15in *2*4, 5 ships,154mm in 1:1250: 戦艦「ウォースパイト」は第一次世界大戦中に建造された「クイーン・エリザベス」級の一隻で、数次改装を経たとは言え、第二次世界大戦期にはすでにロートル艦と言っても良い艦齢でした。しかし大戦中には八面六臂ともいえる活躍をし、多くの識者から「大戦中の最優秀戦歴戦艦」の呼び声が高い船ですね。 日本海軍でも最も活躍した「金剛級」の4隻もやはり主力艦中の最旧式艦であり、旧式艦ならでは、物惜しみされずいろいろな戦場に投入される、ということなのかもしれません。

ナルヴィクでの戦闘でもフィヨルド外まで「ウォースパイト」と同行していた「レナウン」は、その稀な高速性からオーフォートフィヨルドの狭い海面での戦闘での不測の事態を懸念して温存方針が出され、フィヨルド侵入戦に投入されませんでした。

 

トライバル級駆逐艦

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20201004125525j:image

 (直上の写真:「トライバル級駆逐艦の概観。91mm in 1:1250 by Neptune

イギリス海軍第一次世界大戦後新たな設計のもとで1920年代以降建造してきた一連の駆逐艦の集大成というべき艦級で、駆逐艦部隊の旗艦として巡洋艦の代替も出来る様に設計された大型駆逐艦です。1900トンクラスの船体を持ち、これに12cm連装砲4基、53.3cm4連装魚雷発射管1基を搭載し、36.5ノットの速力を発揮しました。

 

4隻の損傷艦と初期の侵攻戦と第一次海戦で弾薬の欠乏したドイツ駆逐艦部隊は次第に追いつめられ、最終的には10隻全てが失われました。英艦隊は駆逐艦3隻が損傷しました。

冒頭にも記述しましたが、当時ドイツ海軍は駆逐艦を22隻しか保有しておらず、そのうち10隻が一気に失われたことは大打撃でした。

f:id:fw688i:20210321132925j:image

直上の写真は、ドイツ海軍の「Z17級」駆逐艦(左)と英海軍の「トライバル級」(中央)、「G級」(右)の大きさ比較。かなりドイツの駆逐艦が大きいことがわかります。Neptune社製モデル同士の比較なので、ほぼ見た目通りと思っていただければ)

 

その後、ナルヴィクを巡ってはノルウェー軍とそれを支援するイギリス軍、フランス軍ポーランド軍部隊により、5月ナルヴィクは奪還され、ドイツ陸軍の山岳猟兵部隊は周辺の山地に追いやられましたが、結局、フランスでの英仏軍の敗北により、連合軍は撤退を決定し、ドイツ軍が再度占領することとなりました。

 

「Z 23級:1936A級」駆逐艦同型艦前後期型あわせて15隻)

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210321130713j:image

(「Z23級」駆逐艦の概観:101mm in 1:1250 by Hansa)  

f:id:fw688i:20210321130716j:image

(直上の写真:「Z23級」の特徴である150mm砲の配置のアップ。艦首部に単装砲1基と艦尾部に3基の配置)

 同級では搭載主砲の大口径化が行われています。具体的にはそれまでの5インチ単装砲5基搭載という標準的な駆逐艦の主砲兵装を、軽巡洋艦並の150mm単装砲4基に搭載口径を強化し、それに伴い船体がさらに大型化しました。前期型・後期型(「Z31級」とされる場合もあります)併せて15隻が建造されました。

主砲搭載の形式については、設計当初では艦首部に150mm連装砲塔を搭載し、後檣周辺に単装砲3基、計5門の搭載とする予定でしたが、連装砲塔の製造が間に合わず、初期型の8隻は単装砲4基搭載で建造され、後に4隻が連装砲塔に換装しています。

後期型7隻は建造時から艦首には連装砲塔を搭載していました。

f:id:fw688i:20210321130929j:image

(「Z 23級後期型=Z31級」駆逐艦の概観:101mm in 1:1250 by Hansa: 直下の写真は、「後期型」の最大の特徴である艦首部の連装砲塔) 

f:id:fw688i:20210321130924j:image

第二次世界大戦で前期型・後期型併せて15隻中6隻が先頭で失われ、残り9隻は賠償艦として連合国に引き渡されました。

150mm砲の話

砲力強化を狙い採用された150mm主砲でしたが、小型の駆逐艦には負担が大きく、連装砲塔の重量(単装砲の3倍:60トン)による艦首浮力の低下と凌波性の悪化、砲弾重量の増加に伴う射撃速度の低下(装弾等は人力で行われたようです)と主戦場の北海等の荒れる海での運用の困難さ等から、主砲口径の大きさの有利さを活かすことができず、次級では再び5インチ主砲に戻されました。

駆逐艦の艦名の話

同級から駆逐艦の艦名はZ(Zerstorer)の「駆逐艦艦種記号」と番号の組み合わせのみで表記されることとなりました。ちなみに同級以前の駆逐艦には第一次世界大戦で戦死したドイツ帝国海軍軍人の名前が与えられていました。

 

「Z 35級:1936B級」駆逐艦同型艦3隻 建造途中2隻)

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210321131110j:image

(「Z35級」駆逐艦の概観:102mm in 1:1250 by Hansa:  直下の写真、「Z35級」では不評だった前級の150mm主砲を再び4インチ砲に変更しています)  

f:id:fw688i:20210321131108j:image

 ナチス・ドイツ海軍が建造した最後の駆逐艦の艦級です。

 前級で採用した150mm主砲が、課題のみ多く、大口径の有利さを発揮できないことが明確になったため、主砲は同級では5インチ砲に戻されています。

主砲口径を除いては、基本的には前級「Z23級」を継承しており、5隻の建造が計画されていましたが、うち3隻が就役、残りの2隻は敗戦のためそのままスクラップにされました。

就役した3隻は2隻が自軍機雷で失われ、残る1隻も敗戦時に自沈しています。

 

水雷艇

「T1級:1935級」「T13級:1937級」水雷艇同型艦21隻)

ja.wikipedia.org

 同級は前級にあたる「1923年級」水雷艇が、前述のように本来はベルサイユ条約の制限下での代艦駆逐艦として設計されたのに対し、ロンドン条約での駆逐艦の定義から逃れるために制限外の600トン級の船体の「水雷艇」として設計されました。結果両者は、最終的には同じような大きさとなりましたが、そのため全く異なる外観を持つ艦級となりました。

f:id:fw688i:20210321124044j:image

(「T1級」水雷艇の概観:66mm in 1:1250 by Neptune) 

f:id:fw688i:20210321124039j:image

(直上の写真は、「T1級」から始まる新水雷艇のシリーズの特徴的な兵装配置。主砲は艦尾に4インチ砲を1基のみ搭載し、主兵装が魚雷であることがよくわかります。後々、この砲兵装の弱さは課題となってゆきます。しかし意欲的な設計であることは伝わってきますよね)

 f:id:fw688i:20210321124036j:image

(「T13級」水雷艇の概観:68mm in 1:1250 by Neptune: 艦首部にバウチェイサーと言われる機関砲を搭載し砲力を少し強化しています) 

 同級の主兵装は21インチ三連装魚雷発射管2基で、砲兵装は艦尾に4インチ単装砲1基を搭載するのみで、他には機関砲しか搭載しておらず、このクラスの艦種に期待される警備活動や、船団護衛、機雷戦等の用途には少し物足りない結果となりました。

800トン級の船体を持ち、35ノットの速力を発揮することができました。

「T13級」はやや船体を大型化して航続距離等を伸ばしていますが、基本的な兵装等には大きな差異はありませんでした。

f:id:fw688i:20210321124349j:image

(「T1級」(手前)と「T13級」の比較:直下の写真では艦首形状の違いやボートダビッドの形状の違いなどをみていただければ。上が「T1級」)
f:id:fw688i:20210321124354j:image

「T1級」「T13級」あわせて21隻が建造されましたが、12隻が戦没しています。

 

「T22級:1939級」水雷艇同型艦15隻) 

ja.wikipedia.o

f:id:fw688i:20210321124605j:image

(「T22級」水雷艇の概観:81mm in 1:1250 by Neptune:  直下の写真では、「T22級」の特徴的な主砲配置。前級で課題であった砲兵装の弱点を各段に強化し、汎用性の高い小型駆逐艦を実現しました)

f:id:fw688i:20210321124608j:image

 「同級」は前級「T1級・T13 級」が砲兵装に課題があったことを踏まえ、砲兵装を著しく強化した設計となりました。1200トン級の船体を持ち32.5ノットの速力を発揮しました。前級から飛躍的に大きくなった船体に4インチ単装砲を4基搭載し、21インチ三連装魚雷発射管2基を搭載しています。大型化した船体に各種の機関砲等も搭載し火力が強化され、小型駆逐艦としての汎用性が向上しています。

 

15隻が建造され、11隻が戦没しています。

 

ちょっとおまけで、

Sボート:高速戦闘艇

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210321125039j:image

(直上の写真:「Sボート」前期型(左:26mm)中期型(中央:28mm)後期型(右: 29mm)の概観比較: 下の写真では概観の最大の違いである魚雷発射管の装備形態の比較:上から前期型、中期型、後期型の順)
f:id:fw688i:20210321125043j:image

ドイツ海軍は「Sボート」の呼称で知られる高速戦闘艇を多数戦闘に投入しています。2基の魚雷発射管を搭載し、予備魚雷も含め4本程度(一部は予備魚雷なし)の魚雷を搭載しこれを主兵器としているところから、魚雷艇と分類されています。主兵装の魚雷以外に複数の機関砲を搭載しており、後期型になる程、重武装化が進んでゆきます。

連合国の魚雷艇に比べ、船体が100トン程度と概ね大きく(連合国の代表的なPTボート「エルコ80フィート級」は51トン)、40ノット程度の速力を出すことができました。特に後期型は魚雷発射管が船首楼内に格納され、凌波性、航洋性が優れていました。

形式には各種ありますが、外見的には艦首の魚雷発射管を露出している前期型と、魚雷発射管を船首楼に格納した中期型(S-30型)、船体を延長して機関砲を増強した後期型( S-26型、S-100型)に大分類ができるでしょう。

「Sボート」は247隻(?)が建造され、沿岸哨戒や警備活動のほか、船団護衛、あるいは通商破壊戦、 機雷敷設など幅広い目的で運用され、第二次世界大戦期間中を通じ、水上戦闘による戦果21万トン、機雷戦による戦果15万トン、計36万トンの戦果をあげました

f:id:fw688i:20210321125420j:image

ということで今回は第二次世界大戦期のドイツ海軍艦艇で紹介できていなかった「駆逐艦水雷艇」そしておまけで「Sボート」をご紹介しました。

今回はここまで。

 

来週末は、多分、「本業対応」で一回スキップ、あるいは新着モデルがあればサクッとその辺りをご紹介、ということで。

 もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

ブログランキングに参加しました。クリック していただけると励みになります。


艦船ランキング

 

 

脇道探索:スウェーデン海軍第二次世界大戦期の艦隊駆逐艦総覧

このところ、「脇道探索」にはまっています。具体的にはご紹介の続いている「スウェーデン海軍」の諸艦艇であり(もう一つ、なんとか、急に沸き起こった「A-140計画艦」の方は先週で一応の一段落をしましたので)、筆者の知識不足もあり、なかなか体系的な理解に進んでいきません。

本稿では、「日本海軍の航空母艦小史」(4回シリーズ)、「フランス海軍の第二次世界大戦期の巡洋艦総覧」「ドイツ海軍:第二次世界大戦期の駆逐艦」「英海軍:第二次世界大戦期の巡洋艦/駆逐艦」(2−3回シリーズ)等、ずっと温めて準備中のテーマがいくつかあるのですが、筆者の興味・関心がすっかり「スウェーデン」の方へ行ってしまっていて、気持ちをそちらに持っていけない、というのは実情なのです。

加えて非常に現実的な話をすると、来週末とその次の週末には、もしかすると珍しく週末に仕事をせねばならないかもしれず(筆者も本業があるのです)、そんなこんなで、集中力のいるテーマを手がけるのは少し先になりそうです。

ということで、もうしばらく、このところ続いている「取り止めのない感じ」は続くと思います。何卒、ご容赦願います。

 

スウェーデン海軍の近代的艦隊駆逐艦の系譜

気を取り直し、今いまの関心事である「スウェーデン海軍」です。現在第二次世界大戦期(中立を貫き、参戦はしませんでしたが)の艦艇は結構充実してきました。ともあれ、艦隊駆逐艦の6艦級 がなんとか揃いましたので、そちらのご紹介を。

 

第一次世界大戦期、スウェーデンはこの大戦にも中立を貫き、参戦しませんでしたが、当時、海軍は10隻の駆逐艦と29隻の水雷艇を運用していたとされています。この時期の同海軍の駆逐艦は、おおむね他のヨーロッパ諸国の海軍と同様、500トン前後、3インチ砲を主砲として搭載し18インチの魚雷発射管を搭載している、いわゆる第一次世界大戦型の標準的なものでした。バルト海での運用という特性もあり、同海軍の駆逐艦はその中でもやや小型の部類に属していた、と言ってもいいかもしれません。

スウェーデン海軍の代表的な第一次世界大戦駆逐艦「フギン級:Hugin Class (1911)」

en.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210307101021j:image

(「フギン級」二等駆逐艦の概観:就役時の姿:53mm in 1:1250 by Argonaut) 

第一次世界大戦前に建造された駆逐艦で、400トン級の船体に就役時には75mm砲3基と457mm魚雷発射管2基を搭載し、30ノットの速力を出すことができました。

第二次世界大戦期には、主砲を100mm砲3基とし、その他対空火器、対潜水艦装備等を搭載し速力22ノットの護衛艦艇として就役していたようです。

Spec: 460 tons. /22 knots in operation./3 x 100mm, 4 x 40 mm AA, 3 x 20 mm AA, TLT 533 mm, 4 ASM mortars and 20 mines. /Crew 80. from Swedish Navy in WW2

 

そして、これらの一連の「第一次世界大戦型」の駆逐艦からの脱却を図り設計されたのが。「エレンスコルド級駆逐艦でした。

「エレンスコルド級:Ehrenskold-class」級駆逐艦:2隻:1927年より就役

en.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210314133240j:image

(「エレンスコルド級駆逐艦の概観:74mm in 1:1250 by Rhenania :下の写真は「エレンスコルド級駆逐艦の主砲等の配置を拡大したもの) 

f:id:fw688i:20210314133242j:image

それまでの駆逐艦と比較するとほぼ倍程度の900トン級の大きな平甲板型の船体に、12cm(4.7インチ)主砲を3基搭載していました。21インチ級の三連装魚雷発射管2基を搭載し、36ノットの速力を発揮することができました。

同級の搭載兵装、武装配置等は、以降の駆逐艦の標準となりました。

Spec: 974 tons. /36 knots in operation./3 x 120mm, 2 x 2-pdr AA,  2x3TLT 533 mm /Crew 120. from Swedish Navy in WW2

 

「クラース・ホルン級:Klas Horn-class」駆逐艦:2隻:1932年より就役

en.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210314134236j:image

(「クラス・ホルン級」駆逐艦の概観:74mm in 1:1250 by  semi-scratch from Wiking:Wiking 社製の次級「ヨーテボリ級」駆逐艦のモデルを使用し、寸法の調整等行いました)

同級は前級「エレンスコルド級」の改良型です。やや船体を拡大し、搭載兵装等はほとんど同じでした。準同型艦とみなす場合もあるようです。

1941年に原因不明の爆発により両艦とも大きな損傷を受けましたが、「クラス・ホルン」のみ修復され増した(「クラス・ウグラ」は「クラス・ホルン」の再建のために部品供給し、再建されませんでした)。

Spec: 1020 tons. /36 knots in operation./3 x 120mm, 2 x 40mm AA, 2x3TLT 533 mm /Crew 130from Swedish Navy in WW2

 

ヨーテボリ級:Goteborg-class」駆逐艦:6隻:1936年より就役
en.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210314134519j:image

(「クラス・ホルン級」駆逐艦の概観:76mm in 1:1250 by Wiking:主砲のみ、少しディテイルアップしています)

同級は、「エレンスコルド級駆逐艦の系譜の最終形と言えるでしょう。船体は1040トンに拡大され、39ノットの高速を発揮することができました。兵装等は、「エレンスコルド級」「クラス・ホルン級」と同等のものを継承しています。

駆逐艦勢力の中核として6隻が建造され、後にフリゲート艦に改装されて、1960年代まで活躍しました。

Spec: 1040 tons. /39 knots in operation./3 x 120mm, 6x 25mm AA, 2x3TLT 533 mm /Crew 135from Swedish Navy in WW2

 

コラム:少し模型の話

下の写真は、Wiking 社の「ヨーテボリ級」(上段:今回、筆者が紹介している、筆者の所有するモデル)」とRhenania社の「ヨーテボリ級」を比較したものです。(下段:Rhenania社モデルの写真はネットより) もちろん基本的なレイアウトなどは同じですが、全体のフォルムやできているの再現など、Rhenania社の方が優れているのが、理解いただけると思います。f:id:fw688i:20210314141427j:image

また、下の写真はRhenania社製の「エレンスコルド級」(上段)と「ヨーテボリ級」の比較。今回文章ではご案内しているように、「ヨーテボリ級」が「エレンスコルド級」の発展型であるということがよくわかると思います。

f:id:fw688i:20210314141424j:image
やはりこうして比較すると、水準の高いモデルにあわせてコレクションをしたくなります。幸いなことに、筆者は現在、本稿の2月21日の投稿でもご紹介したように、Rhenania社と直接交渉し、同社の「ヨーテボリ級」駆逐艦のモデルを入手できる目処がつきました。入手次第、アップデートし差し替える予定です。

 

「プシランデル級:Psilander class」駆逐艦:2隻:1941年より就役(この部分は前回と同じ内容です)

「プシランデル級」駆逐艦は、1920年台後半に建造されたイタリア海軍の「セラ級」駆逐艦の3番艦と4番艦で、1940年にスウェーデン海軍に売却されました。

f:id:fw688i:20210307100826j:image

(「プシランデル級」駆逐艦の概観:67mm in 1:1250 by Brown Water Navy Miniature)

Spec: 1250 tons. / 35 knots /4 x 120mm, 2 x 40 mm AA, 2 x 13.2 mm AA, 4 TLT 533 mm, 10 mines /Crew 106.from Swedish Navy in WW2

 

ja.wikipedia.org

1250トンの船体に12cm連装砲を2基、連装魚雷発射管を2基搭載し、イタリア海軍では既に旧式艦に分類されながらも35ノットの高速を発揮することができました。これは当時のスウェーデン海軍の艦隊駆逐艦(上記の3艦級)よりも少し大きく、兵装はこれらを上回っており、同じく内海である地中海での行動を想定された設計とも併せて、購入が決められたのかもしれません。

イタリアからの回航途上、既にイタリアと開戦直前の緊張関係にあった英国に1ヶ月間、抑留されています。そのような苦労の末入手した同級駆逐艦でしたが、バルト海での運用には不向きであった、という評価だったようです。1947年まで在籍していました。

(使用したモデルはこちら:いつものShapeways

www.shapeways.com

 

コラム:再び模型の話

下の写真は、本稿前回でご紹介したBrown Water Navy Miniaturem製の「プシランデル級」駆逐艦(奥)とArgonaut社製「セラ級」駆逐艦の模型を塗装したものの比較。実は前回ご紹介のために入手したものの制作途中から、BWNM社のモデルがやや小さいことが気になっていました。3D printingのモデルは、素材によってはディテイルの再現性が高く(もちろん製作者によりばらつきはありますが、BWNM社は非常に高い水準にあるメーカさんだと認識しています)、その割には価格が安いので、非常に頼りにしているのですが、今回はArgonaut 社製のモデルの方がしっくりきますね。ということで、イタリア海軍からスウェーデン海軍に移籍。あらら、イタリア海軍の駆逐艦コレクションには穴が開いちゃうけど、まあ、こういうこともあります。

f:id:fw688i:20210314133705j:image

ということで、本文中の写真を下記の写真にいずれ差し替えます。

f:id:fw688i:20210314133708j:image
f:id:fw688i:20210314133702j:image

 

「ヴィズビュー級:Visby-class」駆逐艦:4隻:1943年から就役

en.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210314134828j:image

(「ヴィズビュー級」駆逐艦の概観:77mm in 1:1250 by Star: 主砲のみ少しディテイルアップしています)

 (下の写真は、「ヴィズビュー級:駆逐艦お特徴である主砲と煙突の配置の拡大)

f:id:fw688i:20210314134824j:image

同級はスウェーデン海軍が第二次世界大戦中に建造した駆逐艦の艦級です。4隻が建造されましたが、うち2隻の予算は前述の爆発事故で損傷した「クラス・ホルン級」の代艦として認められたものでした。

前級「ヨーテボリ級」までの「エレンスコルド級」をタイプシップとした駆逐艦お系譜とは異なり、船体が一気に200トン近く大型化し、かつ艦尾形状も角型に改められるなど、新機軸が盛り込まれています。

一方主要兵装は、前級までの装備をほぼ継承していますが、艦尾に搭載した対潜戦闘装備、機雷戦装備等が充実しています。

1960年代に全てがフリゲート艦に艦種変更され、内2隻はヘリコプター搭載能力を付与されるまでの改装を受けています。

1980年前後まで現役で活躍しました

Spec: 1200tons. / 39 knots /3 x 120mm, 4 x 40 mm AA, 3 x 20 mm AA, 6 TLT 533 mm, 4 ASM mortars and 20 mines /Crew 140 .from Swedish Navy in WW2

 

「エーランド級:Oland ~class」駆逐艦:2隻:1947年より就役

en.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210314135236j:image

(「エーランド級駆逐艦の概観:88mm in 1:1250 by Delphine)

 (下の写真は、「エーランド級駆逐艦の特徴である連装主砲塔の拡大と角形の艦尾形状)

f:id:fw688i:20210314135626j:image

同級はスウェーデン海軍が第二次世界大戦中に建造した駆逐艦です。どう海軍としては、初めて2000トンを超える大型駆逐艦で、主砲の搭載も連装砲塔を採用するなど、それまでの同海軍の駆逐艦とは一線を画する外観を示しています。

当初4隻の建造が計画されていましたが、大戦の終結とともに2隻がキャンセルされました。就役は大戦終了後となりました。

6基の40mm対空機関砲、8基の25mm対空機関砲など、対空装備と対潜戦闘装備、機雷戦装備が充実しています。

Spec: 2000tons. / 35 knots /4 x 120mm, 6 x 40 mm AA, 8 x 25mm AA, 6 TLT 533 mm,  /Crew 210 .from Swedish Navy in WW2

 

スウェーデン海軍は上記の「エーランド級」の後も、「ハッランド級」「エステルイェートランド級」の2艦級の駆逐艦を建造しますが、その後、コルベットと高速戦闘艇中心への計画の転換があり、現在は駆逐艦を運用していません。

やはりバルト海沿岸の警備、という同海軍の主要任務を考慮すると、小回りの効く艦艇が有効ということでしょうか?今回ご紹介した駆逐艦も、同時期の他国海軍に比べると小ぶりな艦級が多く、これも同じ背景なのかもしれません。

 

・・・と、つらつらと書いてきましたが、今回、一番書きたかったのは、「二つのコラム」かもしれません。つまり、コレクションが進むにつれ(今回も含め、最近の一連の「スウェーデン海軍」話の流れの中で、皆さんにも、「コレクションの充実過程」を一緒に体験してもらっています)、モデルの品質のばらつきがどうしょうもなく気になってくる、という一種の「業」について、だったのかもしれない、と感じています。

 

というわけで今回はここまで。

 

次回は・・・??? Rhenania社からはまだ「準備できたから発送します。お金払って頂戴」という連絡が来ませんので、多分、次回も間に合わないでしょうね。来週末は時間作れるのかな?

 もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

ブログランキングに参加しました。クリック していただけると励みになります。


艦船ランキング

 

 

 

続続「脇道探索」:A-140計画艦のデザインバリエーション(第1期?)は最終回、その他のアップデート

A-140計画艦:3隻目の制作

さて、前回の続きです。

fw688i.hatenablog.com

fw688i.hatenablog.com

本稿では、上掲の前々回、前回で、手持ちの「大和級」戦艦のストックを用いて、「大和級」設計当初に考案された設計案の中からA-140a案を実現していたら、という「IF」艦を試作し、ご紹介してきました。

「A-140」計画艦は帝国海軍が140番目に計画した軍艦、という意味であり、aからfまでの枝符号分けがされた上で、さらにそれぞれに機関のバリエーションなどがあり、全部で20数種(23種?)の計画案があったとされています。

「A-140a」というのは、その枝番が示す通りその最初期の案で、外観的には主砲を全て艦首部に集中配置しており、さらにその特長として計画案の中でオリジナル(A-140)とともに、30ノットを超える速力を有した計画案でした。少し補足すると実際のA-140a計画艦は、実際にはもう少し長い船体を持っていました(今回制作したモデルは、Delphine社製の船体を用いている「筆者事情」から、実在の「大和級」とほぼ同じ長さになっています)。

もう一つ、この20数種の計画案を見て興味深いのは、オリジナル案(A-140)と実在の「大和級」のみがタービン機関搭載艦であるのに対し、他の案は全てタービンとディーゼルの混載艦であったというところだと考えています。つまり日本海軍は機関にディーゼルを採用することにより、なんとか燃料効率を改善し、つまりは搭載燃料に比して長い航続距離を持ち、さらにタービン機関との混載により高速力をも併せ持つ戦艦を作ろうと足掻いた、ということだと思います。このうち高速力という点は比較的早い段階で諦めがついたのか、A-140b案で既に27.5ノットとし、その後、実現案に至るまで30ノットクラスの高速艦の案は提示されませんでした。

しかし残念なことに信頼できるディーゼル機関が間に合わず、実在の「大和級」はタービン機関のみの搭載となっています。

 

少しこれまでの制作艦をおさらいしておくと・・・。

前々回掲載の「A-140a」計画艦:「甲斐」と命名(If艦ですので、もちろん架空名です)

f:id:fw688i:20210221104955j:plain

(戦艦「甲斐」(=「大和級」というより「A-140計画艦」というべきか。主砲前部集中搭載案から)の概観:主砲の前部集中配置で防御装甲の配置を効率化し、タービンとディーゼルの混載と共に、日本海軍悲願の高速性と長い航続距離を両立させることを目指しました)

f:id:fw688i:20210221104952j:image

(直上の写真:「大和」(奥)と「甲斐」の概観比較:「甲斐」がほんの少し小振りで(これは狙ったわけではなく、単純にNeptune社(大和)とDelphine社のモデルフォルムの違いに起因しています)、主砲搭載位置の差異など見ていただけるかと。何故か主砲前部集中配置の方が、機動性が高そうな気がしませんか?写真ではわかりにくいですが、煙突が「甲斐」の方がやや細く、タービンとディーゼルの混載だから、と無理やり・・・)

 

前回掲載の「A-140a」計画艦:「美濃」と命名(If艦ですので、もちろん架空名です

f:id:fw688i:20210228115635j:image

(戦艦「美濃」A-140a案の山形主砲配置デザイン:主砲の配置位置がよりコンパクトになっていることがよくわかります。主砲配置以外は上掲の「甲斐」と同じスペックです)

f:id:fw688i:20210228115638j:image

(上の写真は「甲斐」と「美濃」のレイアウト比較:中段は主砲の前方斉射の射角比較。下段は後方斉射の射角比較。かなり両者の斉射射角に差があることがわかります)

 

残り1隻分のストックをどう使おうか

前回で、ストックが残り1隻分であるとご案内し、筆者の中では上掲の「甲斐」の対空兵装強化後を作成するか、副砲を「A-140a」案に準じて艦尾部に集中配置する艦を作成するか、迷っている、というご紹介をしました。どちらかというと、対空兵装強化後のモデルに気持ちは傾いている、とも・・・。

 

で、結局作成したのは、副砲艦尾部集中配置案を作成

f:id:fw688i:20210307095908j:image

(A-140a案の副砲艦尾集中配置デザイン:副砲塔の配置位置は原案のA-140aに近いものにしてみました。両舷副砲の配置はもう少し後方でも良かったのかも。副砲塔の配置以外は上掲の「甲斐」と同じスペックです)

本稿前回では。この副砲の集中配置は「感覚的に好きじゃない」とか書いていましたが、結局、「模型的に面白い」方を取ってしまった、という感じです。

f:id:fw688i:20210307095905j:image

(前々回でご紹介した戦艦「甲斐」とのレイアウト比較)。

副砲塔の配置は意外と違和感がないかも。これはこれでアリかもしれないなと、制作してみて思います。作った意味があった、ということでしょうかね。どうですか、なかなか「面白い」と思いませんか?作ってみないとわからない!(模型作ってて良かったなあ)

 

ちょっと未練がましく:対空火器強化案の再現にもトライしてみます

せっかくなので、対空火器強化案の制作用に準備しておいた両舷の対空砲座増設パーツを仮置きしてみます。(マスキングテープでそっと固定して設置してみました)

f:id:fw688i:20210307105539j:image

なんとなく「大和級」で見慣れた配置なので、違和感はありません。しかし実際にはかなりの重量増になるでしょうね。速力低下や復元性に課題が間違いなく出たでしょう。

しかも下の比較カットでわかるように、両舷の副砲塔の射界は大きく制限されてしまいます。やはり対空火器強化の際には実用性と重量を考慮すると、両舷の副砲塔は撤去されるべきだ、ということでしょうね。もしかすると副砲は全て撤去、でも良いのかもしれません。
f:id:fw688i:20210307105542j:image

 

「脇道探索」のアップデート

そしてもう一つの今回のお題は、この所のマイブームである「脇道探索」、つまり「スウェーデン海軍」のモデル収集のアップデートを少し。駆逐艦が少し充実しました。

 

イタリア製駆逐艦の購入

スウェーデン海軍は、いわゆる大戦間に自国製の艦隊駆逐艦を、下記の3艦級あわせて10隻保有していました。

「エレンスコルド級:Ehrenskjold-class」:2隻

「クラース・ホルン級:Klas Horn-class」:2隻

ヨーテボリ級:Goteborg-class」:6隻

しかし駆逐艦の絶対数が不足しているのは否めず、第二次世界大戦の勃発を受け、急遽、イタリアから2隻の艦隊駆逐艦を購入しました。 

 

「プシランデル級:Psilander class」駆逐艦

「プシランデル級」駆逐艦は、1920年台後半に建造されたイタリア海軍の「セラ級」駆逐艦の3番艦と4番艦で、1940年にスウェーデン海軍に売却されました。

f:id:fw688i:20210307100826j:image

(「プシランデル級」駆逐艦の概観:67mm in 1:1250 by Brown Water Navy Miniature)

Spec: 1250 tons. / 35 knots /4 x 120mm, 2 x 40 mm AA, 2 x 13.2 mm AA, 4 TLT 533 mm, 10 mines /Crew 106.from Swedish Navy in WW2

 

ja.wikipedia.org

1250トンの船体に12cm連装砲を2基、連装魚雷発射管を2基搭載し、イタリア海軍では既に旧式艦に分類されながらも35ノットの高速を発揮することができました。これは当時のスウェーデン海軍の艦隊駆逐艦(上記の3艦級)よりも少し大きく、兵装はこれらを上回っており、同じく内海である地中海での行動を想定された設計とも併せて、購入が決められたのかもしれません。

イタリアからの回航途上、既にイタリアと開戦直前の緊張関係にあった英国に1ヶ月間、抑留されています。そのような苦労の末入手した同級駆逐艦でしたが、バルト海での運用には不向きであった、という評価だったようです。1947年まで在籍していました。

(使用したモデルはこちら:いつものShapeways

www.shapeways.com

 
ロムルス級:Romulus class」沿岸警備駆逐艦:Coastal Destroyer

上記の「プシランデル級」駆逐艦とほぼ同時期に、スウェーデン海軍は、やはりイタリアから「スピカ級」水雷艇を2隻購入し、これを「ロムルス級」沿岸警備駆逐艦(小型駆逐艦)として就役させています。f:id:fw688i:20210307100820j:image

(「ロムルス級」沿岸警備駆逐艦の概観:66mm in 1:1250 by XP Forge)

Spec: 620 tons. /34 knots /3 x 100mm, 3 x 20 mm AA, 4 TLT 450 mm, 2 ASM mortars and 18 mines. /Crew 100. from Swedish Navy in WW2

ja.wikipedia.org

「スピカ級」水雷艇は、1930年代に32隻が建造されました。軍縮条約の制限を受けない600トン級の船体を持ち、これに10cm単装砲3基と魚雷発射管4基を搭載し、34ノットの速力を発揮することができました。

 スウェーデン海軍はその1番艦と2番艦を購入し、寒冷地仕様に改造し就役させています。同級もイタリアからの回航途上、英海軍に1ヶ月間抑留されています。

同級は1958年まで、在籍していました。

(使用したモデルはこちら)https://xpforge.com/listing/765979483/destroyer-spica-class-italian-navy

 

第二次世界大戦開戦時のスウェーデン海軍保有駆逐艦の一覧f:id:fw688i:20210307100824j:image

 (左から「エレンスコルド級:Ehrenskjold-class」、「クラース・ホルン級:Klas Horn-class」、ヨーテボリ級:Goteborg-class」、「プシランデル級:Psilander class」、「ロムルス級:Romulus class」沿岸警備駆逐艦の順:)

 

2nd class destroyer:二等駆逐艦

スウェーデン海軍は、上記のように10隻の自国製駆逐艦と2隻のイタリアから購入した駆逐艦、同じくイタリアから購入した2隻の沿岸警備駆逐艦という戦力で、第二次世界大戦に中立国として臨みましたが、これ以外にも第一次世界大戦期の500トン以下の旧式駆逐艦を沿岸警備等の任務に就役させていました。

これらは2nd class destroyer:二等駆逐艦と分類され、以下の4つの艦級、9隻が第二次世界大戦期に就役していました。

「マグニ級:Magne Class (1906)」:2隻

「シグルズ級:Sigurd class (1909)」:3隻

「フギン級:Hugin Class (1911)」:2隻

「ウランゲル級:Wrangel Class (1918)」:2隻

 

今回、上記のうち「フギン級」のモデルが入手出来ましたので、ご紹介します。

「フギン級:Hugin Class (1911)」:2隻

en.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210307101021j:image

(「フギン級」二等駆逐艦の概観:就役時の姿:53mm in 1:1250 by Argonaut) 

第一次世界大戦前に建造された駆逐艦で、400トン級の船体に就役時には75mm砲3基と457mm魚雷発射管2基を搭載し、30ノットの速力を出すことができました。

第二次世界大戦期には、主砲を100mm砲3基とし、その他対空火器、対潜水艦装備等を搭載し速力22ノットの護衛艦艇として就役していたようです。

Spec: 460 tons. /22 knots in operation./3 x 100mm, 4 x 40 mm AA, 3 x 20 mm AA, TLT 533 mm, 4 ASM mortars and 20 mines. /Crew 80. from Swedish Navy in WW2

 

スウェーデン海軍の二等駆逐艦については、「ウランゲル級」も入手の手当て済みではありますが、その他の艦級については入手の目処が立っていません。鋭意、探索中!

というわけで今回はここまで。

 

次回は・・・???

 もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

ブログランキングに参加しました。クリック していただけると励みになります。


艦船ランキング

 

 

 

続「脇道探索」:脇道彷徨のさらなるアップデートと、A-140計画艦のデザインバリエーション

A-140計画艦のデザインバリエーション

表題とは後先になりますが、まず、A-140計画艦のお話です。

本稿前回をお読みいただいた方はお分かりになると思いますが、このところA-140計画艦のうち、主砲前部集中配置案から発想を得た「大和級」戦艦のバリエーションのセミクラッチに勤しんでいます。

少し前回と重複になりますが、発端は京商製「大和」「武蔵」の1:1250モデルのストックを棚の奥から発見したこと。京商製のこのモデルは、樹脂製のパーツで構成されており、下の写真にあるように非常にバランスが良く、かつディテイルもかなりしっかり作られています。

ただ、大変惜しいことに、船体の長さが197mmで、一般に知られている「大和級」の船体長263.3mの1:1250モデルとしては、やや船体長が短いのです(Neptune社製のモデルは約210mm)。このため筆者の1:1250コレクションには加われず、長い時間、デッドストックとして棚の奥に眠っていました。これが4隻発見された(単に筆者が忘れてただけなんですが)わけです。(就役時=副砲塔4基搭載を再現した「武蔵」が3隻と、対空兵装強化後の「大和」が1隻)

f:id:fw688i:20210221133126j:image

京商製の「武蔵」立派な台座に乗っています。ディテイルはバッチリです。下段はDelphin社製の船体との大きさ比較。約13mm短い!)

よく見ると、船体長こそ短いものの、その他の主砲、副砲、上部構造等はそれほど小さいわけではなく(まあ、誤差程度、小振りではありますが)、 ムクムクとこれを何かに生かせないだろうか、とイタズラ心が蠢き始めました。

 

大和級」で残っているものと言えば・・・

そもそもこのブログは、実は筆者が「大和級」のバリエーションとして海上自衛隊のイージス護衛艦「やまと 」を制作したところからスタートしています。かつ、筆者の制作していた「八八艦隊」の戦艦群バリエーションの完成と、超「大和」、スーパー「大和」などのコレクションを備忘録的にまとめておきたい、という想いからスタートしています。

(以下のリンクは、上記に関連しそうな回を総覧したもの。ちょっと手前味噌な宣伝ぽくて申し訳ないですが。よろしければお楽しみください)

fw688i.hatenablog.com

fw688i.hatenablog.com

fw688i.hatenablog.com

fw688i.hatenablog.com

fw688i.hatenablog.com

というようなわけで、今回発見された京商製のモデル以外にも、これら「大和級」のバリエーション制作過程で、お蔵入りした試作品、あるいは制作のための部品取りで入手したモデルのストックなどがいくつか眠っているのです。

f:id:fw688i:20210221130140j:image

(上の写真:眠っていたDelphin社製「大和」の船体部分(上段および下段左)と、京商製「武蔵」就役時モデルの上部構造と主砲塔(下段右))

これらを組み合わせて、比較的大きなモデル改造を伴う「A-140計画艦」のうち「主砲前部集中搭載案」を作ってみよう、というのが前回の試みでした。

 

A-140計画艦:主砲搭載形式のバリエーション

と前置きが長くなったのですが、結局、今回はその主砲搭載案のバリエーションを制作しました。

まずは、前回ご紹介した前方への主砲斉射界を広くとった「主砲配置案」が、下の前回紹介した戦艦「甲斐」(もちろん仮称・If称(?))です。

f:id:fw688i:20210221104955j:plain

(戦艦「甲斐」(=「大和級」というより「A-140計画艦」というべきか。主砲前部集中搭載案から)の概観:主砲の前部集中配置で防御装甲の配置を効率化し、ちょっとこの写真ではわかりにくいのですが、やや細めの煙突で確認できるタービンとディーゼルの混載により、日本海軍悲願の高速性と長い航続距離を両立させることを目指しました)

 

これも前回と重複しますが「A-140計画艦」には20数種のデザイン案があると言われています。これはその中でも最初期の案とされる「A-140a」をベースにし、これに「大和級」建造の実現技術を反映した形としています。副砲の配置も、「大和級」の配置案に準じています。

f:id:fw688i:20210227115419j:image

 (A-140a案の資料を示しておきます。諸々、Net上で見つけた資料から)

 

主砲塔山形配置案の制作

f:id:fw688i:20210228115635j:image

(戦艦「美濃」A-140a案の山形主砲配置デザイン:主砲の配置位置がよりコンパクトになっていることがよくわかります。主砲配置以外は上掲の「甲斐」と同じスペックです)

そして今回制作したのは、主砲の山形配置案(重巡那智級」などでお馴染みの配置)です。後方への主砲斉射界を広く取ることができると言う点と、主砲弾庫をコンパクトにまとめられる、と言うメリットもあるかも。もしこのメリットがあるとすると、機関に余裕を持たせることができたかもしれませんね。f:id:fw688i:20210228115632j:image

(直上の写真:主砲配置と副砲配置の拡大カット)

(下の写真は「甲斐」と「美濃」のレイアウト比較:中段は主砲の前方斉射の射角比較。下段は後方斉射の射角比較。かなり両者の斉射射角に差があることがわかります)

f:id:fw688i:20210228115638j:image

「東郷元帥は戦艦の主砲は首尾線の砲力を重視せよ、とおっしゃった」というお言葉が、こういう場合にも影響するのかな?

 

どっちがいいかな?

と言うのも、あとワンセット、船体と上部構造にストックがあるのです。代わりに京商製の「大和級」のモデルは使い切ってしまうのですが・・・。

f:id:fw688i:20210227185502j:image

(手持ちストック:京商「武蔵」とDelphine製「大和級」の船体。上部構想を撤去して下地処理などしてあります)

 

このストックを用いて大戦後期向けの対空兵装強化案を作るか、それとも副砲の配置バリエーションを作るか。

今回制作したセミ・スクラッチは意図的に上掲のスケッチの「A-140a案」とは異なり、実在の「大和級」と同じく、舷側の2基の副砲塔は上部構造物の中央配置、としています。こんなに何隻も作る予定はなかったので、1隻だけ作るとしたら実在の「大和級」に準じた配置にしようと決めていました。「どうもこの副砲の集中配置は、納得いかない」と言うような理論的な選択ではなく、感覚的に好きじゃない、と言うのが正直なところなのですが。

Ifの話をすると、この主砲前部集中配置型の戦艦はタービンとディーゼルの混載で30ノットの高速と長い航続距離を持っています(歴史的に見て、大型ディーゼルが不調だった、と言う話は少し脇に置いておきます)。すると重巡洋艦等と同じ戦場に投入され続けて、つまりソロモン諸島方面の戦場に展開して(第二艦隊?第八艦隊?)、改装機会がなかった、とすると、対空兵装強化方は不要、と言うことになります。一方で、同様の特性から、空母機動部隊直衛として帯同するため、早期に対空兵装が強化された、とするか・・・。

模型として面白いのは「副砲集中配置案」の制作で、史実としてありそうなのは(もともと架空艦の話なので「何を言っているんでしょう」と言う感じではありますが)「対空兵装強化改装タイプ」の制作、なんでしょうね。まあ、両方面白い、ということか・・・。

さて、少し時間をかけて考えてみようかな。

 

ご希望や、ご意見があれば、是非、教えてください。

ストックは1隻分しかないので、早い者勝ちになるかも。今のところ筆者の中で有力なのは「対空兵装強化改装タイプ」の方です。

 

さて、ここからは話題が変わって。

脇道彷徨:第二次世界大戦期のスウェーデン海軍の海防戦艦:その近代化

何度か繰り返しているのですが、スウェーデンは二度の世界大戦を中立の態度で貫いた稀有な国の一つです。従って、長い期間に渡り同海軍は戦闘を経験せず、もちろん戦没艦もありません。(事故等での喪失艦はありますが)

以前本稿では、スウェーデン海防戦艦6艦級のご紹介をしました。

fw688i.hatenablog.com

少しおさらいしておくと、その6艦級とは以下の通りです

スヴェア級(同型艦3隻:1886年から就役)

オーディン級(同型艦3隻:1897年から就役)

ドリスへティン(同型艦なし:1901年から就役)

アラン級(同型艦4隻:1902年から就役)

オスカー2世(同型艦無し:1907年から就役)

スヴァリイェ級(同型艦3隻:1921年から就役)

上記のうち「スヴェア級」3隻、「オーディン級」3隻については、1920年代に海防戦艦の艦籍を外れ、「スヴェア」は潜水母艦に、残りは「ハルク」つまり宿泊施設や燃料や弾薬その他物資の収納施設として転用され、1930年台から徐々に解体されました。

 

ドリスへティン(1927年に水上機母艦に改装)

en.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210228113327j:image
海防戦艦「ドリスへティン」の概観:72mm in 1:1250 by Brown Water Navy Miniature in Shapeways:竣工時の姿)

海防戦艦「ドリスへティン」は1901年に就役した海防戦艦で、同型艦はありません。ほぼ前級である「オーディン級」と同じ規模の3400トンクラスの船体に、主砲を新型の44口径8.2インチ単装砲に変更し2基を搭載しています。副砲に6インチ単装速射砲6基を搭載し、魚雷発射管2基を装備していました。16.5ノットの速力を発揮することが出来ました。

 

水上機母艦への改装(1927年)

1927年に主砲、副砲等を撤去し、水上機母艦に改装されました。主兵装は高角砲、高角機関砲として、水上機3期の運用能力を有していました。

f:id:fw688i:20210228113321j:image

(「ドリスへティン」の水上機母艦への改装後の概観:72mm in 1:1250 by C.O.B. Construvts and Miniature in Shapewaysからのセミ・スクラッチ)f:id:fw688i:20210228113324j:image

(艦首・艦尾の主砲を撤去し、飛行整備甲板を装備し、対空火器を増強しています。)

少し制作の裏話:水上機母艦形態の「ドリスへティン」には、Mercator社から、1:1250スケールのモデルが発売されています。しかし、なかなか見かけないし、入手の目処が立たなかったので、「では、ストックしているモデルをベースにセミ・スクラッチしてみようか」と。

実はこのセミ・スクラッチには、Brown Water Navy MiniatureのDristighetenのモデルをベースにはしていません。ベースとなったのは同じくShapewaysに出品されているC.O.B. Construvts and Miniatureのスウェーデン海防戦艦「アラン級」の近代化改装後のモデルです。ほぼ同寸であることと、近代化後の姿ということで、前部艦級、三脚マストなどが再現されていた、というのが主な理由です。

主砲塔を削り、副砲等部分をマスクして上甲板を制作、というのが大まかな工程ですが、実は飛行整備甲板の形状を少し簡略化し過ぎてしまっているのです。正確な写真も図面も見つけられなかった、という背景はあるものの、「まあ、ベースも違うし、ダメならダメでいいか」といわゆる習作のつもりで作ったので、今一度、Brown Water Navy MiniatureのDristighetenをベースに制作し直すかもしれません。

 

アラン級(同型艦4隻:1902年から就役)

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210228113658j:image
海防戦艦「アラン級」の概観:70mm in 1:1250 by Brown Water Navy Miniature in Shapeways:竣工時の姿)

「アラン級」海防戦艦は前級「ドリスへティン」の改良型として建造されました。3600トン級にやや拡大された船体を持ち、前級と同じ44口径8.2インチ単装砲を主砲として2基装備していました。副砲も同様に6インチ単装速射砲を6基、魚雷発射管を2基装備していました。

石炭専焼缶とレシプロ主機の組み合わせで、17ノットの速力を出すことが出来ました。

 

近代化改装

f:id:fw688i:20210228113652j:image

海防戦艦「アラン級」近代化改装後の概観:by Rhenania)

 1910年ごろから順次、前部マストを3脚化し射撃指揮所を設置したのを皮切りに、機関の重油専焼缶への換装、魚雷発射管の撤去、対空兵装の強化など近代化改装が行われました。改装のレベルは艦によって異なり、外観にも差異が生じました。f:id:fw688i:20210228113655j:image

(近代改装で概観の変化が大きかった前部艦橋部と後橋部分の拡大:主砲塔上に対空砲、後部艦橋上にも対空火器を増強しています) 

 

オスカーII世(同型艦無し:1907年から就役)

ja.wikipedia.org
f:id:fw688i:20210228114030j:image

海防戦艦「オスカーII世」の概観:86mm in 1:1250 by Brown Water Navy Miniature in Shapeways:竣工時の姿)

 前級「アラン級」の武装強化版として1隻だけ建造されました。船体は4200トン級に拡大され、主砲は44口径8.2インチ単装砲塔2基のままですが、副砲が6インチ連装砲塔4基に強化されました。魚雷発射管を2基装備していました。

機関は、石炭専焼缶の搭載数が増やされ、18.5ノットの速力を出すことが出来ました。

 

近代化改装

f:id:fw688i:20210228114025j:image

海防戦艦「オスカー2世」の近代化改装後の概観:by Mercator)

 1911年に近代化改装が行われ、前部マストを3脚化し射撃指揮所が設けられ、1937年にボイラーを重油・石炭混焼缶に変更した際に煙突の太さが変更されるなどの外観の変更がありました。兵装面では魚雷発射管の撤去が行われ、一方で対空火器の近代化、増強が行われました。
f:id:fw688i:20210228114032j:image

(上掲の「アラン級」と同じく、近代改装で概観の変化が大きかった前部艦橋部と後橋部分の拡大:主砲塔上に対空砲、後部艦橋上にも対空火器を増強しています) 

 

スヴァリイェ級(同型艦3隻:1921年から就役)
ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210117114736j:image

海防戦艦「スヴァリイェ級」の概観:96mm in 1:1250 by Navis:ほぼ竣工時の姿を再現しています)

 

同級は結果的に、スウェーデン海軍が建造した最後の海防戦艦の艦級となりました。

設計段階で各国海軍の装備は弩級戦艦の時期に達しており、これに準じてそれまでの海防戦艦とは一線を画する設計となりました。

船体は前級を大幅に上回る6800トン級となり、これに石炭専焼缶と初めてのタービン機関を組み合わせ22.5ノットの速力を有することが出来ました。

主砲には44口径11インチ砲を連装砲塔形式で2基搭載し、副砲として6インチ連装速射砲1基と同単装砲6基、魚雷発射管2基を装備していました。

 

近代化改装

f:id:fw688i:20210228114709j:image

海防戦艦「スヴァリイェ級」1番艦「スヴァリイェ」の近代化改装後の概観:湾曲煙突が特徴的。by Argonaut: )

f:id:fw688i:20210228114705j:image

(他の海防戦艦の近代化改装と同じく、近代改装で概観の変化が大きかった前部艦橋部と後橋部分の拡大:後部艦橋上にも対空火器を増強しています) 

1920年代には主として射撃管制関連の改装が行われ、前部マストが三脚化され同時に艦橋が大型化されました。1930年代には主として機関の換装が行われ、全て重油専焼缶と改められました。その際に煙突形状の改装が行われ、「スヴァリィエ」は湾曲煙突、「ドロットニング・ヴィクトリア」は前部煙突にキャップ、「グスタフ5世」は集合煙突に、それぞれ外観が変わりました。

f:id:fw688i:20210227163256j:plain

(上掲の写真は、同級3番艦の「グスタフ5世」の近代化改装後の概観。集合煙突を搭載しています。写真はebayへの出品物の写真から。落札できなかった!

英国王ジョージ6世の戴冠記念観艦式に参加する際に、長距離の外洋航行能力を持たない隣国フィンランド海防戦艦「イルマリネン」を曳航したのは、同級の「ドロットニング・ヴィクトリア」でした。

f:id:fw688i:20210227164213j:plain

(上掲の写真は、同級2番艦の「ドロットニング・ヴィクトリア」の近代化改装後の概観(from wikipedia)。煙突の形状は就役時のままですが、先端にキャップをつけています。こちらもebayで見かけましたが、落札できなかった!

 

少し模型コレクション的な話を。上掲の「グスタフ5世」「ドロットニング・ヴィクトリア」ともにArgonaut社からモデルが出ています。ただし、おそらく流通量が少なく、ebayでも滅多に見かけませんし、大変高額な落札金額になってしまい、前回も最終コーナーで持っていかれました(ヨーロッパの出品者が多いので、終了時刻が日本時間では未明になることが多く、筆者が眠っている時間なのです)。

そこで現在、困ったときのShapewaysということでもないのですが(実際にはそうなのですが)、海防戦艦で出品の多いBrown Water Navy Miniatureにシリーズ制作を依頼中です。実は既に「やる予定だよ。でもその前に改装前でしょ」という返事をもらっています。そしてなんと今週。Sverige級の改装前のモデルがShapewaysにアップされました。このまま近代化改装後のモデルに進んでくれるのか、あるいは史実に従い他の海防戦艦の近代化改装から着手されるのかはわかりませんが、ラインナップの完成に少し光が見えてきました。

 

もう一つ、おまけ。未成海防戦艦のデザイン・バリエーション・モデルを入手しました。

未成海防戦艦:Project 1934

1933年(34年?)に設計された未成の海防戦艦がありました。www.naval-encyclopedia.comf:id:fw688i:20210117120604j:image

(未成海防戦艦「Project 1934」の概観:103mm in 1:1250 by Anker) 

それまでの「海防戦艦」と異なり、塔形状の前部マストやコンパクトにまとめられた上部構造など、フィンランド海軍の「イルマリネン級」にやや似た近代的な(?)外観をしています。7500トン級の船体に、武装は11インチ連装砲2基と、5インチ両用連装砲(多分)6基を予定していたようです。速力は22−23ノット程度。

 

こちらもデザインバリエーションを入手。(と言うか、こちらの方が上掲の図面には近いのかも)

f:id:fw688i:20210228114734j:image

(直上の写真と直下の写真:未成海防戦艦「Project 1934」の別案の概観:by Anker: 対空砲等を艦の左右舷側に配置し、対空砲を強化したデザインになっています。図面にはこちらのほうが近いかもしれません) 

f:id:fw688i:20210228114757j:image

(下の写真は両案の比較)
f:id:fw688i:20210228114813j:image

というわけで今回はここまで。

 

次回は・・・。

前回の「スウェーデン駆逐艦の調達」に何らかの進展があれば、それも併せてご紹介します。多分、続々と後続艦が到着する予定ですしね。

 

もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

ブログランキングに参加しました。クリック していただけると励みになります。


艦船ランキング

 

 

 

 

 

 

「脇道探索」:脇道彷徨のアップデート、と、ちょっと面白いもの(A-140計画艦)作ってみた

彷徨の現在:「スウェーデン海軍艦艇」その後

本稿の読者は既にご存知とは思いますが、このところ、大変目先の「脇道探索」という名目で、「第二次世界大戦期のスウェーデン海軍」の艦艇群に興味が集中しています。

ご承知のように、スウェーデンという国は二度の世界大戦のいずれでも中立を守り続けた、稀有な国です。バルト海という大きな内海に抱かれ大洋に接続海面を持たない、という地勢的な条件が、この中立維持にとって大きな要因だった、というように考えるのですが、いずれにせよ騒然とする周辺情勢の中で「中立」を謳うことは、それ自体に大きな勇気がいったでしょうね。

 

で、そのバルト海沿岸を守った「スウェーデン海軍」の艦艇コレクションですが、二つのトピックがありました。

一つは機雷敷設巡洋艦「クロース・フレミング」の到着。

 

機雷敷設巡洋艦「クロース・フレミング(Clas Fleming)」

詳しくはいずれまた総覧編でご紹介しますが(と言っても、そんなに詳しい情報はないのですが)1750トンの比較的小さな船体に15cm単装砲を主砲として2基搭載し、200基の機雷敷設を行う能力を持っていました。

1912年就役の古い船なのですが、1939年から徹底した近代化が行われ、艦容が一変しています。改装前後のモデルが両方とも到着しました。ちょっとご紹介。

f:id:fw688i:20210221103727j:image

(敷設巡洋艦「クロース・フレミング」就役時の概観:66mm in 1:1250 by Argonaut: 右下カットには機雷敷設用の二つの投下軌条口がよくわかります。就役時の機雷搭載数は100基でした)
f:id:fw688i:20210221103730j:image

(敷設巡洋艦「クロース・フレミング」近代化改装後の概観:69mm in 1:1250 by Rhenania: 1939年次の大改装で機関をディーゼルに換装し、船体も延長されています。煙突の数も増えて、全く別の艦容を示しています。右下カットには機雷敷設用の二つの投下軌条口。これは残ったんですね。改装後の機雷搭載数は200基に。中立を明示する白線が目立ちます)


**既述のように、スウェーデンは両大戦で中立を保ちえたため基本的に「戦没艦」というのがありません(稀に事故等での喪失艦は発生していますが)。このため、大型艦の多くが比較的長く現役に止まっており、近代化改装、あるいは他艦種への大規模改装などを受けています。来るべき「スウェーデン海軍艦艇総覧編」では、その辺りをある程度ご紹介できればいいなあ、と考えつつ、モデルの収集、あるいは保有モデルのアップデートなど行っています。

 

もう一つのトピックは駆逐艦コレクションでの朗報。

駆逐艦コレクション」の現在:かなり嬉しいお話

本稿の前回で、筆者はスウェーデン海軍の駆逐艦を例に挙げ、筆者がどんな手順でそのコレクションを行っているか少しご紹介しました。その中で6艦級あるスウェーデン海軍の第二次大戦期の艦隊駆逐艦のクラスについては「ヴィズビュー級:Visby class」を除いてはほぼ調達の目処が立った、とご紹介していました。

その時点で、「クラース・ホルン級:Klas Horn-class」が筆者向けに出荷されていたのですが、結局手元に着いてみると、大きさ等は再現されているものの、少し「眠たい」モデルでした。

幸いなことに同級は次級の「ヨーテボリ級:Goteborg-class」とほぼ同じ艦容をしており、寸法を少し詰めればなんとか見られる形にはできそうでしたので、結局、手持ちの「ヨーテボリ級:Goteborg-class」を一隻そのように手を入れたわけですが、そもそもがそのベースとした「ヨーテボリ級:Goteborg-class」のモデル自体もあまり納得が行っていないことに対する意識がどんどん強くなってしまいました。

本稿前回で、Rhenania 社がこの分野に充実したラインナップを揃えていそう、というご紹介をしたのですが、筆者は偶々これら一連のスウェーデン海軍の艦隊駆逐艦シリーズの原点ともいうべき「エレンスコルド級:Ehrenskjold-class」のモデルを保有しています。

f:id:fw688i:20210221105646j:image

(「エレンスコルド級駆逐艦の概観:73mm in 1:1250 by Rhenania: 第一次世界大戦後に建造された1000トン足らずの同級は、以降のスウェーデン海軍の駆逐艦タイプシップとなりました。モデルは素晴らしいディテイルを見せてくれます。中立を明示する白線が目立ちます)

このモデルはディテイルまで再現されており素晴らしいモデルです。当然、出来れば同じRhenania社製のモデルで他の艦級を揃えたいと。早速、通常の調達ルートを総浚いしたのですが、「エレンスコルド級:Ehrenskjold-class」とその他既に手元に保有するモデル以外の艦級は見つかりません。どうやら流通してないらしい。古いモデルですし、マイナーな船なので・・・。

f:id:fw688i:20210221105649j:plain

(直上の写真:Rhenania社製の「エレンスコルド級駆逐艦に比べると、手前のWiking社製の「ヨーテボリ級」がやや寝ぼけて見える、というのはわかっていただけるのではないかと。筆者としてはそれなりに手を入れているので、愛着はあるのですが。Rhenania製モデルで揃えたい、という気持ちがわかっていただければ

 
これはダメもとでご本尊に当たるしかないのかな、と、Rhenania社とのコンタクト方法を探し始めました。すると、Facebookで下記を発見。

Rhenaniaとのコンタクト

https://www.facebook.com/rhenaniajuniorminiaturen

早速、「失礼ですが」とドアをノック。「Rhenania製のスウェーデン海軍の駆逐艦を探しているのですが」と。

すると「ああ、それは親父の方だから、Facebookですぐに見つかると思うので、そちらにコンタクトしてよ。在庫してるかどうかは知らないけど、あまり期待しないで、聞いてみて頂戴」というお返事。「Jr.」と確かに表記がありますね。

で、今一度、検索して、発見。

https://www.facebook.com/Rhenania-Miniaturen-100880794897213/

 改めて「すみません」とトントン。「実は・・・」

「ああ、どこかに残っているかもしれないから、少し探してみるね。見つかったら連絡しますよ」と、気軽なお返事。社交辞令かな、と思っていると間髪入れずに「Visby-classと Klas Horn-classは見つからないけどGoteborg-class、Ehrenskjold-classとWrangel-classなら見つかったけど、どれが欲しいの?」

「できればGoteborg-classを何隻か欲しいのですが(Ehrenskjold-classは既に手元にあるし、Wrangel-classは入手の手当が済んでいます。Klas Horn-classがないなら、これまでと同じ要領でGoteborg-classを一隻ベースにしてサブ・スクラッチしようかな、と考えていたので、Goteborg-classが何隻か欲しくなってしまいました)」と、トントンと話が進んでいきます。

「そのクラスは6隻あるでしょ。どの船か指定してよ」

ええっ?一隻づう違うのか?と思いつつ「では、1番艦、2番艦、4番艦、6番艦をお願いします」と返事しました。(2番艦はKlas Horn-classのセミクラッチのベースにするつもり。番号の間隔を開けたのは、相違点があるならきっと数字を飛ばしたほうが差異が目立ったものになるだろうな、となんとなく思ったからで、相違点についての知識があるわけではありません)

「了解した。準備ができたら連絡するから。日本語の宛名も送ってよ。最近息子が韓国の人とやりとりしてるんだけど、どうも韓国語のラベルがあったほうがトラブルがなくて便利らしいんだよね」(筆者の場合、英語表記で配送が滞ったことは一度もありません。日本の郵便屋さん、配送業者さんは、皆さん優秀です。不在票に記載される差出人が時折「外国様」「Germany様」と書かれているのは、ご愛嬌です。でも、筆者でも彼らの作る宛名ラベル、特に差出人が手書きだったりしたら、読めないから)

価格は一隻15€とのこと。通常の筆者の調達ルートでの感覚的な相場が手持ちのEhrenskjold-classの中古で22€、新品で30€位ですので、かなり安い。実は一点、「いくらって言われるんだろう」と、そこが不安だったのですが、これは嬉しい驚き。やり取りの中で「型が生きていたら、また、キャストするという手もあるし」と仰っていたし、「準備ができたら」のメッセージも併せて考えると、キットで届くのかもしれません。(筆者としては、それはそれで、組み立てたり彩色したりと、手がかけられるので、とても嬉しい。パーツが小さいのを除くとね)

さらに「昨日、息子が来て、あなたから連絡あったか、と言ってたよ」と仰っていました。

f:id:fw688i:20210221095229p:plain

(Rhenania: Facebookの住所表記周辺の航空写真:なんか良さげなところ by Google Map)

住所を見るとドイツのライン川沿いの小さな町のようですが(デュッセルドルフの少し北側、オランダとの国境近く)、こういう結びつきがとても簡単にできるのは、それはとても嬉しいです。今は行くことが出来ないのが残念ですが。早くどこにでも安心して行けるようにならないかなあ?

f:id:fw688i:20210221103724j:image

(直上の写真:というような次第で、このまま話が上手くまとまれば、多分、陽の目を見ない現在の「ヨーテボリ級」駆逐艦と、それをベースにセミ・スクラッチした「クラース・ホルン級」駆逐艦(手前:少し小さい)の勇姿を。私事の繰り返しになり恐縮ですが、手を入れた分、愛着はあるのです。特に右下カットの魚雷発射管などはプラロッドからの手作りです

 

ebayでVisby-classの出品を発見!

と、ワクワクしていると、gmailにいつもお世話になっているebay出品者のcroschwigさんから「スウェーデン駆逐艦、今週末に出品しまっせ」とメッセージを受信しました。「おお」と見ると、なんとVisby-classがあるではないですか。RhenaniaのモデルではなくStar製ですが、これもとても嬉しいお知らせ。

f:id:fw688i:20210221093540j:plain

f:id:fw688i:20210220145941j:plain

(Croschwigさんのご出品の写真 by ebay: Star社製のVisby-class  入札結果が判明するのは来週末3/1 手の入れどころはたくさんありそうですが、それはそれで楽しいので。Star社だから、ちょっと乾舷が高すぎる感じなんだろうなあ、とか。まあ、金属ヤスリで削ればいいだけなのですが)

というわけで、早速、入札!

これでなんとか形が整いそう、というお話でした。

 今週をサマライズすれば、「叩け。されば開かれるであろう」ということかと。

 

てなやりとりをしながら、一方で以前から気になっていた「大和級」のヴァリエーションを作ってみました。

ここからは、全く別のお話しです。

大和級計画案(A-140計画)」から、戦艦「甲斐」(仮称)の制作

大和級」の建造にあたっては、その設計案が20数案あったことはよく知られています。

そのヴァリエーションは多岐にわたり、例えば排水量では50000トン案から70000トン案、主砲も18インチ砲10門搭載案から16インチ砲9門搭載案等々、種々検討されて、最終案として纏まったのが我々が知る「大和級」ということになります。

その概観も種々あり、その中でも筆者が気になっていたのは原案の当初から数案に展開され続けた「主砲前方集中配置案」とでも呼ぶべき形状でした。

他のディテイルの再現はさておき、この「主砲前方集中配置」だけでも再現できないか、というのが筆者のぼんやりとした「想い」だったのですが、今回それを一気に形にすることに。

f:id:fw688i:20210221104955j:plain

(戦艦「甲斐」(=「大和級」というより「A-140計画艦」というべきか。主砲前部集中搭載案から)の概観:主砲の前部集中配置で防御装甲の配置を効率化し、タービンとディーゼルの混載と共に、日本海軍悲願の高速性と長い航続距離を両立させることを目指しました)

f:id:fw688i:20210221104952j:image

(直上の写真:「大和」(奥)と「甲斐」の概観比較:「甲斐」がほんの少し小振りで、主砲搭載位置の差異など見ていただけるかと。何故か主砲前部集中配置の方が、機動性が高そうな気がしませんか?写真ではわかりにくいですが、煙突が「甲斐」の方がやや細く、タービンとディーゼルの混載だから、と無理やり・・・)

 

きっかけは棚の整理。そこで「京商」製の「大和級」のモデルを4隻発見。正確にいうと就役時を再現した、つまり副砲4基搭載時の「武蔵」3隻と対空兵装強化時の「大和」1隻の箱入り在庫を、発見したことでした。実はこの「京商」のモデル、樹脂製でディテイルは素晴らしいのですが、船体の長さが197mmで、いっぽう実艦の長さが263.3mであることから1:1250スケールの場合、210mm程度は欲しいのですが、明らかに小ぶりに再現されています。それに併せて上部構造もやや小さめで、このためNeptune社やDelphin社のモデルと一緒に扱えず「お蔵入り」して、棚の奥にしまっていたのです。

f:id:fw688i:20210221133126j:image

京商製の「武蔵」立派な台座に乗っています。ディテイルはバッチリです。下段はDelphin社製の船体との大きさ比較。約13mm短い!)

一方で、何度か本稿では触れてきているのですが、Delphin社製の「大和級」は、安価に入手でき部品取り用として大変重宝するため、何隻か船体(ハル)のみストックされています。(ちなみに本稿の表題バックに掲載されている「イージス艦大和」もベースになっているのはこのDelphin社製のモデルです)

f:id:fw688i:20210221130140j:image

(上の写真:Delphin社製「大和」の船体部分(上段および下段左)と京商製「武蔵」就役時モデルの上部構造と主砲塔(下段右))

(上の写真:Delphin社製「大和」の船体部分に京商製「大和」最終時モデルの上部構造を組み合わせてみたもの(上段):「甲斐」の対空砲強化改装後の姿を再現?)
f:id:fw688i:20210221130136j:image

これも本稿では何度か触れていることですが、このDelphinium 社製のモデルは、構造上パーツの分解が容易で、上部構造を取り払って船体のみを別に使用するなどの用途には大変重宝します。(だから筆者宅のDelphin 社モデルは、たいていバラバラのパーツとして保管されている事が多いのです。ごめんなさい、Delphin社さん)

こうして少し小ぶりな、しかしディテイルのしっかりした「京商」の「大和級」上部構造と、加工のし易いDelphin社製「大和級」ハルの組み合わせで、「主砲前方集中配置案」を作ってみよう、という構想に至ったわけです。

 

大和級」設計案での機関に関する議論

大和級」の多様な設計案の一つの重要な軸は、主機選択の変遷であったと言ってもいいかもしれません。

資源の乏しい日本にとって、燃料問題は常に重大な課題であり、従って高速力と航続距離を並立させることを考慮すると、燃費に優れるディーゼル機関の導入は重要な目標であったわけです。さらに大型潜水艦用のディーゼル機関の開発の進展など、これを後押しする要素も現れ始めていました。

このため原案はタービン機関のみの搭載案でしたが、その後の案は全てディーゼル機関とタービンの併載案、あるいはディーゼル機関のみの搭載案、でした。

艦隊決戦の想定戦場を、日本海軍はマーシャル諸島辺りとしていたので、航続距離はできるだけ長くしたかった、そういう事ですね。

最終的には、当時のディーゼル機関の故障の多さ、性能不足(潜水艦なら「大型」と言っても2000トン程度、1番大きな潜特型(伊400型)でも3500トン程度だったのですが、10000トン級の潜水母艦「大鯨」のディーゼル機関は所定の性能を発揮できませんでした)から、工期との兼ね合いを考え、結局ダービン機関のみの搭載案が採用されましたが。「大和級」他の戦艦群が大戦中に後方(トラック等)からなかなか前に出れなかった理由の一つは、この辺りにありそうです。

 

そんな背景を改めて振り返ると、「京商大和級」の少し小ぶりな上部構造物、特に少し細身の煙突は、念願のディーゼル機関とタービン機関を併載し長い航続距離と高速性を兼ね備えることが実現できた、というようなカバーストーリーにしてみてもいいかもしれません。「しかし就役後、慢性的な機関の不調に悩まされ、期待通りの活躍はできなかった」的なオチなのかもしれませんが。

f:id:fw688i:20210221104949j:image

(筆者の世界では、タービンとディーゼルの混載で、30ノットの高速と長い航続距離を誇り、46cm砲装備戦隊の露払い的な役割で建造された「富士級」高速戦艦と共に第2艦隊に所属し、活躍する想定でした。でも実は機関の故障が多くて・・・、というようなお話かな?)

「富士級」高速戦艦については以下で。

fw688i.hatenablog.com

 

というわけで今回はここまで。

 

次回は・・・。

今回の「スウェーデン駆逐艦の調達」に何らかの進展があれば、それも併せてご紹介します。多分、続々と後続艦が到着する予定ですしね。

 

もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

ブログランキングに参加しました。クリック していただけると励みになります。


艦船ランキング

 

 

 

 

「脇道探索」:脇道彷徨の現在と、新着モデルから少しメーカー比較など

彷徨の現在「スウェーデン海軍艦艇」

本稿の読者は既にご存知とは思いますが、このところ、大変目先の「脇道探索」にはまっています。

少しこの「脇道探索」をおさらいしておきますと、この「脇道」は「イルマリネン級」海防戦艦フィンランド)に始まり、スウェーデン海軍の海防戦艦の発展小史、さらに北欧諸国の海防戦艦の系譜という比較的太い幹と、さらにそこからスウェーデン海軍の第二次世界大戦期の巡洋艦という枝葉を生じ、現在はその先の駆逐艦他の小艦艇、というあたりを彷徨っています。

 

都度、上にあげたような諸国の海軍(現時点では「スウェーデン海軍」ですが)に関する知識のなさに戸惑い、またそこに新たな興味を見出し、少しづつ手探りで進む、という感じです。もちろんこれに本稿の主題である「1:1250スケールの模型の検索とその入手」というプロセスが絡んできますので、結構、多くの時間をかけることになっています。

 

今回は、内輪話的に、少しこの収集プロセスをご紹介しておきます。あまり模型は出てこないけど、ご容赦を。チラチラでてくるのは、いずれまとめてご紹介します。

 

まずは、概要把握から

今回のような、特に予備知識等の少ない領域にあたる際に、まずはベースキャンプを設定します。迷った時にここに戻ろう、という地点ですね。

今回の「スウェーデン海軍」の場合、例えば下記のサイトです。

www.naval-encyclopedia.com

このサイトは、写真等も豊富で、それぞれの海軍の任務やその背景の基礎的な理解に加えて、各艦種の艦級を網羅的に記述していて、模型的な視点(つまり視覚的な要素も加えて)で 各国海軍の艦艇整備史を概観するには、大変便利なサイトです。

 

スウェーデン海軍」の駆逐艦とは?

例えば上記で示した「スウェーデン海軍」で駆逐艦を見てゆくと、いわゆる「駆逐艦」(艦隊駆逐艦)として第二次世界大戦期(1939年−1945年)には6艦級が存在し、さらにこれとは別に「coastal destroyer(「海防駆逐艦」あるいは「沿岸警備駆逐艦」というような訳がいいでしょうか?)」が2艦級存在する、ということがわかります。

細かく見ると「駆逐艦」6艦級のうち、1艦級はイタリア海軍の中古を購入したもので、あまりバルト海での活動には適性が高くなかったようです(Psilander class)。そして続く4艦級(Ehrenskjord class, Klas Horn class, Goteborg class, Visby class)は同系統の改良型であり、最後のOland classは全く新たな設計である、というようなことが理解できてきます。

同様にCoastal Destroyerの艦級を見ると、第二次世界大戦の勃発後に調達されたイタリアからの中古輸入艦(Romulas class)の艦級と、それをベースに少し小型化した国産艦級(Mode class)があることがわかります。Romulas classはイタリアから移送される際に、英海軍によってフェロー諸島スカパフロー のあるところですね)で1ヶ月抑留されたというようなエピソードはあるようですね。

f:id:fw688i:20210213153919j:image

(直上の写真は、現在収集中のスウェーデン海軍駆逐艦群。右から、沿岸警備駆逐艦(coastal destroyer): 「レムス級=旧イアリア水雷艇「スピカ級」」、艦隊駆逐艦「エレンスコルド級」「ヨーテボリ級」「エーランド級」の順。詳細は、また改めてご紹介します。現在続々到着中)

 

ちょっと気になるのが、「2等駆逐艦:2nd class destroyer」4艦級とそれに続いて記述のある「水雷艇:Torpedo boat」3艦級ですね。これらは、第一次世界大戦期の駆逐艦水雷艇を近代化改装の上で補助戦力として配置していたということのようです。どこまで踏み込むのか、これは思案のしどころです。

 

模型探し

まあ、だいたいこの辺りことを頭に入れて、以前ご紹介したことのある1:1250スケール模型のデータベース、頼りになるsammelhafen.deで模型の存在を確認してゆきます。

このサイトは以前にも本稿でご紹介しましたが、筆者が模型収集に最もお世話になっているebay出品者sarge 2012さんのお父さんが運営していらっしゃるサイトです。(sammelhalfen=collection port=コレクションの港!)

sammelhafen.de

上掲のリンクは、検索情報として既にSweden, Destroyer, 2nd WW等で絞り込んだ結果です。

これを見ると、「スウェーデン駆逐艦」ではRehenania社製のモデルが最もラインナップが充実していることがわかります。どうやら私が日頃、その品質を最も評価しているNeptune社はこの領域に興味を示していないらしい、ということもわかります(まあ、マイナーで需要も多くないでしょうから、大手は興味を示さなくてもいいのかも。筆者が興味を示したのも、上掲のような偶然から迷い込んだようなものですので。でもちょっと残念、かも)。

次にストックをゴソゴソさらってみて、筆者の在庫をチェック。

 

そして調達へ 

こうした情報を入手した上で、次に主な調達先として、以下のようなサイトを検索。これらは個別のショップサイトですが、その中でも中古品のコーナーを主に、筆者は常時サーチしています。

Antics Online Model Shops and Hobby Stores

Ships-and-more - Ships-and-more Homepage Startseite webshop

mikes-modelle.de - Index

Waterline-Ships, A great place to buy 1:1200/1250 waterline ships

The World of Miniature Ships – 1250Ships.com

LaWaLu models

Olivers Welt der Schiffsminiaturen - Schiffsmodelle 1:1250

1/1250 Coastal Forces : The Last Square, Gaming and Hobbying for Two Decades

そしてなんと言っても最も利用頻度が高いのは、こちら。

Electronics, Cars, Fashion, Collectibles & More | eBay

そう、eBayですね。

 

これらの過程を経て、懐具合とも慎重に相談の上でモデルの調達に入るわけですが、今回ご紹介した「スウェーデン海軍の第二次世界大戦期の駆逐艦」については、艦隊駆逐艦6艦級と海防駆逐艦(coastal destroyer)2艦級については、Visby classを除いては、ほぼ調達の目処が立ちました。二等駆逐艦(2nd class destroyer)と水雷艇も半分は目処が立ちました。ついでに潜水艦やその他の小艦艇もいくつかは入手できそうです。

後は到着を待ち(だいたい10日前後?)、塗装等、少し手を入れる時間を見て、だいたい1ヶ月後には、本稿でご紹介できそうな感じ。まあ、そこまでこの楽しい「彷徨」は続く、という訳です。

 

さて問題はどうしても見つからないVisby classですが、もう少し前出のサイト等を探しながら、1:1200-1:3000 SCALE NAVAL BUY, SELL,TRADE & COMMISSION GROUP OF ALL ERAS(Face Book上の情報交換グループです。ストックモデルの売買も行われているようなのですが、筆者はまだ使ったことがありません)でも、尋ねてみることにします。見つかるといいなあ。

f:id:fw688i:20210213150116j:plain

(現時点で入手見込みの立たないVisby級駆逐艦。入手不可能なら類似艦を下敷きに作ってしまおうか、という発想になるのですが、実はVisby級は前級のGoteburg級よりも船体が大きく、主砲の装備数は同じく3基ながら中央砲の配置がそれまでの煙突間から艦尾部に2門集中配置に変更されており、筆者の手技ではちょっと難しいかも。大きなモデルをベースに小さくするのは、比較的容易なのですが、大きくする、というのは、これは結構難度が高い。主砲配置の際差異は、煙突の位置を含んだ上部構造全般の配置に及び、これも大変です。こういう際には本来は工作が容易な筈の1:1250スケールがかえって作業にふりに働きます)

f:id:fw688i:20210213154147j:image

(直上の写真は、計画だけに終わったスウェーデン海軍の海防戦艦。1936年計画で設計案が提出されましたが、結局、起工されませんでした。上の2隻は対空砲の配置バリエーション。詳細は、また改めてご紹介します。海防戦艦も近代化改装後のモデル等が続々と到着中。これも併せてまたいずれ)

 

さて、次は新着モデルのご紹介と、そのモデルを巡って、1:1250スケールモデルの製作メーカーについて少しお話を。

新着モデルのご紹介

今回ご紹介する新着モデルはNeptune社製の「セントルイス級」軽巡洋艦です。

f:id:fw688i:20210213153341j:image

(「セントルイス級」軽巡洋艦の概観。150mm in 1:1250 by Neptune:「ブルックリン級」の対空兵装改良型)

 

同級は、2021年の年頭、本稿の「制作モデルのアップデートと、アメリカ海軍:第二次世界大戦期の巡洋艦総覧」の回(2021年1月10日)で、「ブルックリン級」軽巡洋艦の準同型艦として紹介しています。

fw688i.hatenablog.com

この際にはNeptune社製のモデルが未入手でしたので、Hansa社製のモデルで、「ブルックリン級」と「セントルイス級」の比較を行いました。

「ブルックリン級」は、ロンドン条約の制限化で設計されたいわゆる条約型軽巡洋艦の艦級で、重巡洋艦と撃ち合っても引けを取らない重防御の大型船体と、速射性の高い6インチ砲を15門装備して手数の多さで相手を圧倒する高い攻撃力を兼ね備えた軽巡洋艦でした。日本海軍の「最上級」軽巡洋艦(のち主砲を換装して重巡洋艦に改装)や、英海軍の「サウサンプトン級」「グロスター級」「エディンバラ級」などの軽巡洋艦が同様の設計思想で建造されました。

今回モデルを入手した「セントルイス級」軽巡洋艦は、「ブルックリン級」の改良型で、5インチ対空砲を、「ブルックリン級」の単装砲架形式8基から、より機動性の高い連装砲塔形式4基に変更し、艦橋や後橋を併せてやや小型化し復原性をより高めた形状となっています。

 

「ブルックリン級」軽巡洋艦にかんする記述は上掲のリンクから元の回に手読んでいただくとして、本稿ではHansa社製のモデルで「ブルックリン級」「セントルイス級」の比較を行っていました。その際に使用していたのが以下の写真2点でした。

f:id:fw688i:20210110141615j:image
f:id:fw688i:20210110141612j:image

(直上の2点の写真は、「ブルックリン級前期型」と「後期型=セントルイス級」の概観比較をしたもの。対空装備の差が、微妙に艦橋構造や後橋の構造などに及ぼしているのが分かります。モデルはいずれもHansa製)

 

下の写真は今回入手したNeptune社製の「ブルックリン級」と「セントルイス級」の比較で、対空砲の装備形態の他に艦橋・後橋の小型化も再現され、Neptune社製のモデルの品質の高さを改めて認識する結果となりました。

f:id:fw688i:20210213153355j:image

f:id:fw688i:20210213153411j:image

(直上の2点の写真は、「ブルックリン級前期型」と「後期型=セントルイス級」の概観比較をしたもの。対空装備の差と合わせて艦橋・後橋などの上部構造が簡素化、小型化されているのがよくわかります。モデルはいずれもNeptune製)

 

本稿は艦艇の発達史を、可能な限り「模型」で追体験するのが本来の目的ですので 、できればメーカー間の精度の差異などは気にしたくないのですが、各社の模型のラインナップからも、あるいはもう少し現実的な側面では経済的な視点からも、全てを同一供給先(模型メーカー)で揃えるわけにもいかず、筆者の一定基準を満たしたモデルで可能な限り揃えてゆく、という方針でコレクションを続けています。従って上記のようなことも時にはあるかと。

まあ、これからもこの方針で続けてゆきますので、お付き合いくだされば幸いです。

 

ということで今回はおしまい。

 

さて、次回はどうしましょうかね。

北欧編は、もう少し時間がかかりそうです。

あるいは「第二次世界大戦のフランス巡洋艦」なら間に合うか?(何度か繰り返しているので「やるやる詐欺」化しているかも)

第二次世界大戦シリーズなら、「ドイツ海軍駆逐艦」「イギリス海軍駆逐艦」「アメリカ海軍駆逐艦」などもそろそろという感じ。今、揃っていないのは、かなり難航しそうなので、一旦見切りで?大きな展開としては「日本海軍空母発展史」も、一応、モデルは揃ってきました。

後は、いずれもちょっと纏まった時間が作れるかどうか。

 

もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

ブログランキングに参加しました。クリック していただけると励みになります。


艦船ランキング

 

 

 

 

 

DDH「いずも級」二番艦「かが」到着!

DDH「いずも級」二番艦「かが」の到着

前回で少し予告した通り、海上自衛隊護衛艦のうち唯一、コレクションから欠けていた「いずも級」を入手しました。F -toys製のインジェクションキットです。

今回は本稿としては珍しく(?)予告通り、ご紹介します。

 

例によって、本稿の「海上自衛隊 護衛艦発達史(5) 空母型DDHの登場」の回(2019年10月)で、「いずも級」DDHについて触れた記述があるので、少し関連部分も含めて、再掲しておきます。(全文は下記で)

fw688i.hatenablog.com

 

(以下、抜粋)

全通甲板型護衛艦(空母型DDH)の登場

潜水艦の静粛化、高性能化を想定する場合、多数のヘリコプターを搭載する空母型護衛艦保有は、海上自衛隊にとって、多年の念願であった。本稿で既述ではあるが、遡れば、古くは海上自衛隊発足時に既に米海軍からはヘリ空母として運用可能な小型空母の貸与の申し出があった。

併せて、冷戦終結後の複雑化する周辺の国際状況、非正規軍事勢力への対応等を想定した場合、あるいは要請が高まりつつある国際平和活動、災害救援活動等にも、機動性に富む多数の航空機運用が可能な艦艇の保有は、次第に必要性の度合いを高めた。

こうして、いよいよ海上自衛隊は空母型DDHを中心とした編成の時代を迎えるのである。

 

という前文に続いて、海上自衛隊初の空母型護衛艦「ひゅうが級」DDHのご紹介へと続いています。

 

 DDH ひゅうが級ヘリコプター搭載護衛艦(2009- 同型間2隻)

ja.wikipedia.org

Hyūga-class helicopter destroyer - Wikipedia

海上自衛隊が初めて導入した空母型(全通甲板型)ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)である。最大の特徴は、なんと言っても多数のヘリコプターの運用能力がある事で、固有の搭載機こそ、「はるな級」DDHや「しらね級」DDHと同様に3機であるが、格納甲板には8機分の収納スペースが確保されており、最大10機のヘリコプター運用能力があるとされている。

併せて、護衛隊群司令部の収容に対応する司令部施設も設計当初から組み込まれており、高い通信機能等も保有し、災害時の対策本部機能、海外派遣時の統合任務部隊の司令部機能などへの活用が期待されている。

これらを具現化するために、船体は非常に大型化し、護衛艦としては初めて基準排水量が10000トンを大きく超える大型艦となった(13950トン、30ノット)。

(158mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをほぼストレートに組んだもの)

f:id:fw688i:20191020114200j:image

 同級がDDHと規定され、いわゆる通常の航空機の運用に特化した「空母」と異なる点は、Mk.41 VLS 16セルから、対空・対潜ミサイルを発射する護衛艦としての戦闘能力を有し、併せて対潜短魚雷発射管も保有しているところである。

加えて個艦防御用には、2基のCIWS保有している。

f:id:fw688i:20191020114647j:image

(直上の写真は、飛行甲板最後尾に配置されたMk.41 VLS)

 

DDH いずも級ヘリコプター搭載護衛艦(2015- 同型艦2隻)

ja.wikipedia.org

Izumo-class multi-purpose operation destroyer - Wikipedia

f:id:fw688i:20210207143029j:image

(200mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをほぼストレートに組んだもの)

前級「ひゅうが」級をさらに大型化し、航空機運用能力や多用途性を強化したものとなっている。「ひゅうが」級の船体を排水量で6000トン、長さにして51m拡大し、搭載機数も固有の艦載機を7機、最大搭載機数を14機とした。(19500トン、30ノット)

一方で個艦戦闘能力は抑えられ、近接戦闘用のCIWS2基とSea RAM近SAMシステム2基を搭載するのみとなった。

ja.wikipedia.org


f:id:fw688i:20210207143032j:image

(「いずも級」の固有武装のアップ:艦尾に配備されたSea Ram(上段手前)とCIWS。艦首のCIWS(下左)と艦橋前のSea Ram) 

上述のように固有武装を最小限にした背景には、同級はもはや単独での運用を想定されておらず、すなわち常に他の護衛艦を伴い、その旗艦機能を果たすことを想定されていることに準じている。この構想のもと、前級「ひゅうが」級で設定された司令部施設は充実されており、100名規模の統合任務部隊司令部が収容できる多目的スペースを有している。

f:id:fw688i:20210207143520j:image

(「ひゅうが級」(手前)と「いずも級」の大きさ比較。「いずも級」がいかに本格的かを示している?)

「いずも級」は以降の整備時に艦首部を角形に変形しするなど、固定翼機の配備にも対応できるような改修を施される予定。最大の改修ポイントは、飛行甲板や上部構造物の熱耐性を上げることになると思われる。

 

そして同回では、発展形として空母「いぶき」も、こんなふうにご紹介しています。

 

DDHからDDV(固定翼機搭載型護衛艦)へ 

既に前出の「いずも級」DDH 竣工前から本級での固定翼機搭載の可能性が議論されていた。防衛省の公式見解としては、検討の事実すら否定しているが、本級が最も近い距離にある事は間違いない。

「いずも級」で実現するかどうかはさておき、本稿では既にDDV「いぶき」が登場しており、これを再度紹介しておくこととしたい。

 

ja.wikipedia.org

正確には、本稿での「いぶき」は、オリジナルの設定通り「いずも型護衛艦」にスキージャンプ台形式の飛行甲板をつけたもので、例によって「いずも型護衛艦」のモデルを既に上市されていた3D Printing メーカーさんにジャンプ台の追加をリクエストし、制作していただいた。

www.shapeways.com

製作者のAmature Wargame Figures(Nomadire)は、主として第二次大戦以降のいわゆる現用艦(もしくは計画艦)に多くの作品があり、スケールも実に多岐にわたるラインナップを揃えていらっしゃる。今回のリクエストのような既成モデルの改変、あるいはスケール間のコンバージョンにも比較的気楽に対応してくださるので、大変ありがたく利用させていただいている。

モデルの素材は、White Natural Versatile Plasticというやや柔らかめで粘度のある樹脂で、下地処理をした後、普通に塗装ができる。(私の場合にはサーフェサーで下地処理をしたのち、エナメル塗料で塗装をしています。基本、全て筆塗りです)上掲の写真の通り、マスト、CIWS、SeaRAMなどの対空火器も全て一体整形された完成形で手元に届いた。下記の写真ではマストのみ、F-toys製のストックモデルと交換し、仕上げた。

搭載機も同様、3D Printing メーカーさん(SNAFU Store:   SNAFU Store by Echoco - Shapeways Shops)によるもので、F-35JBの他に、X-47Bという無人機(下の写真では、ブリッジ後方の黒っぽく塗装されている数機)を搭載している、という設定になっている。(多分、オリジナルの設定はそんなことにはなっていないと思います。ヘリはF-toysのモデルから流用)

 

(Ibuki: 26,000t, CWIS *2, SeaRAM *2, F-35JB *15 etc, 202mm in 1:1250)

f:id:fw688i:20190608211239j:image

 

f:id:fw688i:20210207145839j:image

(直上の写真は「いずも級」DDH(手前)と「いぶき」の大きさ比較。「いぶき」は「いずも級」の設計をベースにした為、外観や上部構造物の配置は「いずも級」に準じたものになっているのがよくわかる。固定翼機の運用を想定した艦首形状や スキージャンプ台の配置が、架空艦とはいえ興味深い)

kuboibuki.jp

www.youtube.com

 

(これらの内容は前掲の「海上自衛隊 護衛艦発達史(5) 空母型DDHの登場」にも反映しておきます)

 

ドイツ海軍Uボートのコレクションにも新顔が加入 

本稿下記の回で、第二次世界大戦期のドイツ海軍Uボートの各形式についても概論しています。その中で、いくつかコレクションに欠けていたもののうち、II型とVIID型のモデルを入手しましたので、ご紹介します。

fw688i.hatenablog.com

 

沿岸警備用、小型潜水艦:みんな最初はこれで訓練したのかな(?)

II型(A〜Dタイプまで、同型艦60隻)

沿岸警備用に設計された小型潜水艦で、250トン級の船体に艦首部に魚雷発射管3基を持ち、魚雷5本を搭載していました。水上速力は13ノット、水中速力は7ノットで圧壊震度150mとされていました。(いずれもIIA型)

f:id:fw688i:20210207140514j:image

(II型:U9の1:350スケールモデル。下段右の写真は、II型の特徴である艦首の3門の魚雷発射管。(底辺を上にしたような逆三角形配置なんだけど、ちょっと暗くてわかりにくいかな?)私がずいぶん以前に楽しんだUボートのPCゲームでは、II型の艦長からキャリアをスタートしました)

f:id:fw688i:20201122093920g:plain

from uboat.net

小改良を加えながらIIAからIIDまでの3タイプが建造され、同型艦は総数で60隻でした。大戦初期には北海、バルト海等、近海での作戦行動を行いましたが、大西洋等の遠洋に戦場が移ると作戦従事は困難で、主として訓練用と沿岸警備に用いられました。乗組員は25名でした。

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210207150759j:image

(U9:II型とU552:VIIC型の大きさの比較)

 

VII型派生形:機雷敷設潜水艦

VIID型(同型艦6隻)

VIID型はVIIC型をベースに艦橋後方に機雷敷設のための機雷筒ブロックを挿入した機雷敷設潜水艦で、900トン級のやや大きな船体を持ち、魚雷発射管5基と魚雷12本の他に機雷15基を敷設する能力がありました。機雷敷設ブロックの挿入により船体が延長され、燃料搭載量が増えたため、11200海里という長大な航続距離を持っていました。

f:id:fw688i:20210207142531j:image

(直上の写真: VIID型の概観:61mm in 1:1250 by Neptune: 下段右では艦橋後部の特徴である機雷射出筒がよくわかります)。

 

f:id:fw688i:20210207140807j:image

(U214: VIID型の1:350スケールモデル。艦橋後部の機雷射出筒が、よりよくわかります)

f:id:fw688i:20210207142700j:image

f:id:fw688i:20210207141017j:image

(上の二点の写真は、いずれもVIID型とVIIC型の1:1250スケールと1:350スケールでのそれぞれの艦型比較。いずれでもVIID型がVIIC型をベースに艦橋後部に機雷射出筒関連のブロックを挿入して設計されたことがよくわかります)

 

(これらの内容は前掲の「ドイツ海軍の第二次世界大戦での通商破壊戦:Uボート総覧」にも反映しておきます)

 

ということで今回はおしまい。

少し予告編「北欧諸国の海防戦艦

fw688i.hatenablog.com

上記の回で少し火がついた感のある「海防戦艦」ですが、フィンランド、スウエーデンについづいて、続々とバルト沿岸の北欧諸国のモデルが到着中です。現在、鋭意、ディテイルアップと塗装に構想中、あるいは奮闘中。近いうちにご紹介できるかも。

調べるにつれて(そんなに日本語で当たれる資料もないのですが)、奥が深くて結構面白い。興味深い「脇道」ではありますが、なかなか総覧、というところに踏み込むには・・・。でも、そういう迷走も含め、「脇道探検」満喫中です。

f:id:fw688i:20210207141658j:image

(直上の写真は、続々と到着しつつある北欧諸国の海防戦艦群。右から、デンマーク海軍「ヘルルフ・トロル級」ノルウェー海軍「ハーラン・ホールファグレ級」同海軍「ノルゲ級」そしてスウェーデン海軍「ドリスへティン」の水上機母艦への改装後のスクラッチ途上の姿。1番左は北欧でも海防戦艦でもありませんが、制作途上のフランス海軍機雷敷設巡洋艦「プリュトン」。ちょっと塗装がワンパターンになってきているかも、という反省がむくむくと湧き上がりつつ) 

 

という訳で、次回はどうしましょうかね。

北欧編は、もう少し時間がかかりそうです。一旦、北欧海防戦艦編で中間報告、ならありかも。

あるいは「第二次世界大戦のフランス巡洋艦」なら間に合うか?

第二次世界大戦シリーズなら、「ドイツ海軍駆逐艦」「イギリス海軍駆逐艦」「アメリカ海軍駆逐艦」などもそろそろという感じ。今、揃っていないのは、かなり難航しそうなので、一旦見切りで?大きな展開としては「日本海軍空母発展史」も、一応、モデルは揃ってきました。

後は、いずれもちょっと纏まった時間が作れるかどうか。

 

もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

ブログランキングに参加しました。クリック していただけると励みになります。


艦船ランキング

 

 

 

 

 

コレクションのミッシングリングの補填とその周辺(「初鷹級」急設網艦と護衛艦「いしかり」)

今回はこれまでコレクションでかけていたいくつかの艦艇が整備できたので、そのご紹介と、そこから少し派生した話題も。

 

まずは、下記の「日本海軍の機雷戦艦艇小史」で欠けていた「初鷹級」級設網艦のご紹介。

fw688i.hatenablog.com

 

下記の記述は再録です。

「初鷹級」急設網艦 (1939-:同型艦3隻「若鷹」のみ残存)

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210131102922j:image

(「初鷹級」急設網艦の概観:76mm in 1:1250 by Oceanic:モデルは8cm高角砲への主砲換装後の姿)

「初鷹級」急設網艦は、「白鷹」以来、約10年ぶりで建造された急設網艦です。基本設計は「白鷹」の改良型で、乾舷を低くして復原性を改善、主機を「白鷹」のレシプロ機関から蒸気タービンとして速力を20ノットに向上させ、併せて航続距離を「白鷹」の1.5倍としています。重量軽減のために主兵装を40mm機関砲としています。その他、復原性の改善のために煙突を低くするなど、全体的に駆逐艦のようなスマートな艦型となりました。

f:id:fw688i:20210131102930j:image

(日本海軍の急設網艦の比較:「白鷹」(奥)と「初鷹級」(手前)。「初鷹級」が「白鷹」で課題であった復原性に配慮された設計であったことがよくわかります)

 

後に不具合の多い主兵装40mm機関砲を8cm高角砲や25mm機関砲に換装するなど、兵装には変更が加えられました。f:id:fw688i:20210131102927j:image

(本級は船団護衛等の任務につく機会が多く、対空戦闘、特に対潜戦闘での40mm機関砲の威力不足が課題とされ、順次8cm高角砲へ、主砲を換装していました)

「初鷹級」は、いずれの艦も太平洋開戦当初から上陸作戦支援や船団護衛につく事が多く、本来の機雷敷設・防潜網敷設任務に従事する機会はあまりありませんでした。特に1944年からは船団護衛が主任務となり、敷設関連の軌条を撤去して対潜装備が配置されています。

1944年9月に「蒼鷹」、1945年5月に「初鷹」がいずれも米潜水艦の雷撃で失われ、「若鷹」のみ終戦時に残存していました。

 

依然として、機雷敷設艦八重山」と敷設艇は未入手です。引き続き、鋭意検索中、とお伝えしておきますが、いずれも古いモデルだったり、そもそもがマイナー艦(旧日本海軍機雷敷設艦や敷設艇ですからね。誰が欲しいんだろう?)で、全体の流通量が少ないのでしょうね。なかなか巡り会えません。が、「継続は力なり」を信じて。

f:id:fw688i:20210131103223j:image

(急設網艦と敷設艇の艦型比較:手前から、「燕級」敷設艇、「夏島級」敷設艇、「初鷹級」急設網艦、急設網艦「白鷹」の順)

 

海上自衛隊の艦船を少し充実

次は海上自衛隊に時間を下って、護衛艦のコレクションで欠けていた「いしかり」のご紹介を。

「いしかり」は北方警備専従を想定して建造された沿岸警備用の護衛艦です。

 

以下の回で触れた記述があるので、そちらを補完する形式で。

fw688i.hatenablog.com

 

DDE 護衛艦いしかり(1981- 同型艦なし)

ja.wikipedia.org

JDS Ishikari - Wikipedia

f:id:fw688i:20210131103747j:image

(護衛艦「いしかり」の概観:67mm in 1:1250  by Hai: マスト先端部を少し触ったのですが、少し大きすぎたかも)

 護衛艦「いしかり」およびその拡大改良型である「ゆうばり級」護衛艦は、ともに、主として北方配備を想定して建造された沿岸警備用護衛艦(DDE)である。

当時、特に北方海域で仮想敵と想定されたソ連海軍は、艦対艦ミサイルを装備した大型対潜巡洋艦に加え、同じく艦対艦ミサイルを主兵装としたミサイルコルベットなど小型艦の配備傾向が見られ、これに対抗するために艦対艦ミサイルを装備した護衛艦の導入が求められた。

f:id:fw688i:20210131103901j:image

(「いしかり」の主要兵装の拡大:76mmコンパクト砲と艦橋前に据えられたボフォース対潜ロケットランチャー(上段)、対艦ミサイル「ハープーン」の発射キャニスター(下段))

 

「いしかり」および「ゆうばり級」には、艦対艦ミサイルハープーンが特徴的な4連装キャニスター形式で、自衛艦として初めて搭載された。

ja.wikipedia.org

艦対艦タイプのハープーンは約140kmの射程を持ち、発射時に与えられた目標の位置データに向けて完成誘導されたのち、最終段階で自らの搭載レーダーによるアクティヴ・ホーミングにより目標に突入する。

 

また「いしかり」は自衛艦として初めて機関をガスタービンにした記念すべき艦でもある。小型の艦型へのガスタービンの採用により、その船型は中央船楼型となり、この船型は「ゆうばり級」でも踏襲された。

ハープーン以外の兵装としては、対潜装備としてボフォースロケットランチャーと短対潜誘導魚雷を装備している。

主砲には62口径3インチ単装速射砲(76mmコンパクト砲)を、これも自衛艦としては初めて採用した。

ja.wikipedia.org

高い速射性能を持つ速射砲を小型軽量で優れた動作性を有する砲塔に搭載した個艦防御用の無人速射砲システムで、1分間に85発の発射速度を誇っている。(スーパーラピッドタイプでは1分間に120発)砲塔直下に回転式の弾倉を2層、もしくは3層備え、弾丸を供給する。

コンパクトで軽量な特性から、ミサイル艇などの小型艦艇にも搭載可能である。

 

DDE ゆうばり級護衛艦(1983- 同型艦 2隻)

ja.wikipedia.org

Yūbari-class destroyer escort - Wikipedia

(「ゆうばり級」護衛艦の概観:71mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装)

f:id:fw688i:20191005162728j:image

前述のような構想で建造された護衛艦「いしかり」であったが、元来が沿岸警備を担当していた「駆潜艇」の代替から発送された計画であったためもあって、船体が小型で、装備の目覚ましい進歩に対して余裕がなく、かつ北方海域の荒天下での運用にもやや課題があったため、本来同型艦として構想されていた2番艦以降の設計が見直され、一回り大きな「ゆうばり級」護衛艦が誕生した。

機関、兵装等は「いしかり」を踏襲したものとなった。中央船楼が延長されそこにCIWSを追加する計画もあったらしいが、実現されなかった。

 

「いしかり」を拡大改良した本級であったが、艦型が小型に過ぎるという評価は同級でも拭えず、後に「あぶくま級」護衛艦の登場を待たねばならなかった。

f:id:fw688i:20210131103750j:image

(「いしかり」(手前)と「ゆうばり級」の概観比較:「ゆうばり級」が「いしかり」の拡張改良版であることがよくわかります。 「いしかり」:1290トン 25ノット 「ゆうばり級」:1470トン 25ノット)

f:id:fw688i:20210131105949j:image

(手前から「いしかり」「ゆうばり級」そして海上自衛隊のDDEの現時点での最終形「あぶくま級」の艦型比較:これらの3艦級については、以下でご紹介)

fw688i.hatenablog.com

 

この辺りまで、過去の稿へも反映しておきます。 

(コラム)文体のお話:

ちょっと内輪の話で恐縮ですが、本稿ではしばしば文体が変わってきています。実は筆者はすごく気になっていて、どこかで統一すべきだろうか、などど考えています。・・・が、きっとやりません。

少しネタバラシ的にお話しすると、本稿を始めた頃、実は十回くらいのブログで「日本海軍の主力艦の発達史」だけをやるつもりだったのですが、当時、NHKのミニシリーズ「坂の上の雲」の再放送を見ていまして、司馬遼太郎先生の文章をベースとした渡辺謙さんのナレーションがお気に入りでした。ですので、実はブログの最初期は「渡辺謙さんのナレーション」を録音したものを繰り返し聞きながら、筆者が聞きたい文章を書いてみよう、という試みを行ったのです。筆者の周りからは「よくあんなに読みにくい文章が書けるな」という声もあったのですが、「一度、渡辺謙さんの声をイメージして読んでみてください。きっと良さがわかるから」と答えていました。

しかし、次第に回が進むにつれ、そうもいかなくなり、かと言って急に文体を変えるわけにもいかず、「渡辺謙さん」だけがどこかへ行ってしまって、「普通の読みにくい文章」になっていきました。

やがて、当ブログの当初テーマを終えて、海上自衛隊の艦船シリーズが一段落したあたりから、ようやく少し楽な文章に変えていこう、という決心がつき、今に至る、という感じです。

 

ですので今回のように、ミッシングモデルの補完のような場合には、元の回の文体をできるだけ踏襲しようと。読みにくくてごめんなさい(まあ、長い文章でしたが、書きたかったのは最後の一文です。気にはしているんですよ、一応ね)

 

次は、前述の「いしかり」「ゆうばり級」に少し出てきた「海上自衛隊駆潜艇」のご紹介です。これまで本稿では護衛艦の発達史を追ってきたため、「駆潜艇」については触れてきませんでしたが、前述の両級は駆潜艇の代替として設計された沿岸警備護衛艦であるため、少しご紹介しておきましょう。モデルもあるしね。

 

PC うみたか級駆潜艇(1959-1989同型艦 4隻)/PC みずとり級駆潜艇(1960-1989同型艦 8隻)

ja.wikipedia.org

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210131104429j:image

(「みずとり級」駆潜艇の概観:48mm in 1:1250  by Hai)
海上自衛隊は沿岸哨戒、港湾哨戒用の艦艇として「駆潜艇」の艦種を保有していました。「駆潜艇」の艦級としては、上記の2級以前に「かり級」「かもめ級」「はやぶさ」などが存在しました。いずれも400トン程度の大きさの船体を持ち、20ノット程度の速力を有していました。(「はやぶさ」のみやや小型で速力は26ノット)

兵装は40mm機関砲を主砲として、対ヘッジホッグや爆雷投射機、投射軌条を装備しています。

f:id:fw688i:20210131104423j:image

(「みずとり級」駆潜艇の主要兵装:40mm機関砲と艦橋前のヘッジホッグ(上段)と、艦尾部の爆雷投射兵装類。他ん魚雷発射管は未装備か?)

「うみたか級」「みずとり級」は第二世代とも言え、兵装として短魚雷発射管もしくは落射装置を装備しているところが特徴と言えます。

 

周辺諸国の潜水艦配備が原子力潜水艦装備に移行すると、「駆潜艇」的な装備では対応に不足が生じ、本来の対潜哨戒は「護衛艦」へ、水上沿岸哨戒は「ミサイル艇」等の高速艇に移管されて行くことになります。

余談ですが前出の「はやぶさ」の艦名は、現在では「ミサイル艇」に引き継がれています

f:id:fw688i:20210131105208j:image

(「うみどり級」駆潜艇(手前)と「はやぶさ級」ミサイル艇(奥)の艦型比較の概観)

 

はやぶさ級」ミサイル艇(2002- 同型艦6隻

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210131104901j:image

(「はやぶさ級」ミサイル艇の概観:43mm in 1:1250  by  F-toys:本級のモデルはF-toysの「現用艦船キットコレクションの一部のおまけとして同梱されています)
沿岸警備用の現役高速艇です。

200トンの線型を持ち、76mm単装速射砲と90式SSM(艦対艦ミサイル)連装発射機を2基搭載しています。主機をガスタービンとしてウォータジェットポンプを推進機として44ノットの高速を発揮できます。f:id:fw688i:20210131104858j:image

(「はやぶさ級」ミサイル艇の主要兵装:ステルス性に配慮した設計の76mm速射砲(上段)と日本版「ハープーン」というべき90式SMSを搭載しています(下段))

2002年から6隻が配備されています。2021年から順次退役し、新型の護衛艦と建造中の「哨戒艦」(どんな船だろう?)に現在の任務を引き継ぐ予定です。

f:id:fw688i:20210131104904j:plain

(「はやぶさ級」ミサイル艇の勢揃い、というタイトルをつけるには、ああ、一隻足りない。残念!)

一方で「はやぶさ級」はフィリピンとの防衛協力でのフィリピン側からの貸与希望装備のリストにあげらているとの情報もあります。南シナ海に火種を抱えるフィリピン海軍としては、高速・高性能の本級は欲しい装備でしょうね。

 

予告編:「いずも級」DDH  近日入手

さて、「いしかり」のラインアップ入りで、いよいよ現行の護衛艦のうち、手元にないものは最新鋭艦の一つと言っていい「いずも級」DDHだけになりました。これも近日中に入手できる予定ですので、入手次第、ご紹介します。

 

ということで、今回はここまで。

 

次回はもしかすると「いずも級」紹介できるかも。一連の北欧諸国の「海防戦艦」も手元に届く予定です。そのあたりの話でも?

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

ブログランキングに参加しました。クリック していただけると励みになります。


艦船ランキング

 

 

 

 

 

 

続・脇道探検:スウェーデン海軍の巡洋艦、その他・中間報告

今回は前回の流れの続きで、スウェーデン海軍の巡洋艦系譜とその他の艦艇をご紹介。

今回もサクッと。短くて読みやすい、かも。

 

スウェーデン海軍の巡洋艦

少しおさらい。

スウェーデンという国は、ボスニア湾(スウェーデンフィンランドの間の湾)からカテガット海峡スカンジナビア半島デンマーク間の海峡)に及ぶ長い海岸線をバルト海に有しています。その海岸線のほぼ中央に首都ストックホルムが位置しています。

これらの長い海岸線を防備することがスウェーデン海軍の主要な任務で、そうした観点に立つと航洋性の高い巡洋艦のニーズはそれほど高いとは言えないかもしれません。

そのせいか、スウェーデン海軍が保有した巡洋艦は5艦級、そのうち2つの艦級は、沿岸防備に特化した艦級(水雷巡洋艦敷設巡洋艦)と言ってもよく、いわゆる航洋性の高い「巡洋艦」は3艦級4隻です。

 

Örnen級水雷砲艦(同型艦5隻?4隻?:1896年より就役)

en.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210124173735j:image

(Örnen級水雷巡洋艦の概観:53mm in 1:1250 by Oceanic)

いきなりですが、なんて日本語で表記すればいいのでしょう?

Örnen級水雷巡洋艦。800トンの船体を持ち20ノットの速力を持つ小さな巡洋艦です。4.7インチ単装砲を2基搭載し、38cm口径の魚雷発射管を1基装備していました。形態と装備から見て、水雷砲艦という呼称の方がしっくりくるかもしれません。本級を旗艦として、水雷艇を中心とした沿岸警備用の水雷戦隊が構成されました。その後旧式化すると、水上機母艦練習艦として第二次世界大戦期まで使用されました。

f:id:fw688i:20210124175139j:image

(Örnen級水雷巡洋艦の率いる水雷艇部隊:水雷艇は5号型:Class N°5 (1906):かな?)

 

装甲巡洋艦「フィルギア」(1907年就役:同型艦なし)

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210124173955j:image

装甲巡洋艦「フィルギア」の概観:93mm in 1:1250 by Brown Water Navy miniarure: 近代化改装後、第二次世界大戦期の姿)

www.shapeways.com

 スウェーデン海軍が初めて建造した本格的な巡洋艦です。装甲を持ついわゆる装甲巡洋艦で、水雷戦隊の火力支援を行う艦種として設計されました。装甲巡洋艦としては小ぶりの4300トン級の船体に6インチ連装速射砲4基を搭載していました。就役時には21.5ノットの速力を発揮することが出来ました。

f:id:fw688i:20210124174004j:image

(モデルは近代化改装後の姿)

1940年前後に、艦首形状の修正や対空兵装の増強など、近代化改装が行われ、速力は26ノット、外見的には3本煙突から2本煙突となりました。近代化改装後も、ドイツやソ連巡洋艦に対抗するには既に旧式ではありましたが、“White Swan of Sweden”の呼称で親しまれました。1953年に退役するまで、練習艦として使用され続けました。

 

敷設巡洋艦「クロース・フレミング」(1914年就役:同型艦なし)

en.wikipedia.org

(no photo: 新造時のモデルを調達中です)

第一次世界大戦開戦時に建造された敷設巡洋艦です。1500トン級の船体を持ち、4.7インチ単装砲4基を装備し、機雷を190基搭載することが出来ました。スウェーデン海軍初の、タービンを機関として搭載した巡洋艦でもあります。1939年に機関のディーゼルエンジンへの換装を含む近代化改装が行われ、やや船体が拡張され、煙突が3本になるなどの外観が変化しています。第二次世界大戦後、退役しています。

 

航空巡洋艦「ゴトランド」(1934年就役:同型艦なし)

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210124174227j:image

航空巡洋艦「ゴトランド」の概観:109mm in 1:1250 by Amature Wargame Figures)

www.shapeways.com

 スウェーデン海軍は1929年代から艦載機による防空を目的とした巡洋艦の建造を計画しました。本稿の前回でご紹介した海防戦艦「ドリスへティン」が水上機母艦に改造されたのも、この構想の一環です。

「4500トン級の水上機母艦案や5500トンの航空巡洋艦案等の検討を経て、本艦は世界初の航空巡洋艦として建造され、4700トンの船体に、6インチ連装砲塔2基、同単装砲2基(ケースメート形式)計6門の主砲を有し、重油専焼缶とタービンの組み合わせで速力27.5ノットを発揮しました。航空艤装としては艦尾部に広い飛行整備甲板を持ち、搭載機6機を定数とし、最大12機まで搭載できる設計でした。(甲板係止:10機・ハンガー収容:2機)搭載機は飛行整備甲板と艦上部構造の間に据えられた回転式のカタパルトから射出される構造でした。

三連装魚雷発射管を両舷に装備し、機雷敷設能力も兼ね備えていました。

f:id:fw688i:20210124174230j:image

(「ゴトランド」の細部。艦首部の連装主砲(上段)、艦中央部の対空砲群(中段)、艦尾部の連装砲塔と回転式のカタパルト、飛行整備甲板(下段))

巡洋艦という目で見ると、やや速力が物足りないと思われるかもしれませんが、バルト海という主要な行動領域と設計が大戦間の航空機の発達途上の時期であることを考えると、当時としては十分な機動性を持っていたといえるかもしれません。

 

スウェーデンは長く中立を保ったため、大半の艦艇には目立った戦歴がないのですが、同艦はドイツ戦艦「ビスマルク」の最初で最後の戦闘行動である「ライン演習」への出撃に遭遇し、カテガット海峡通過に随伴する形で行動したことでも有名です。結果的にその接触の通報は海軍司令部を経てイギリスに伝達されました。

f:id:fw688i:20210124185021j:image

(「ライン演習」参加時のドイツ戦艦「ビスマルク」と「ゴトランド」の大きさ比較。カテガット海峡を哨戒中の「ゴトランド」の通報から、「ビスマルク」出撃の情報がもたらされました)

 

f:id:fw688i:20210124185210j:image

(「ライン演習」参加時のドイツ重巡洋艦プリンツ・オイゲン」と「ゴトランド」の大きさ比較。やはり重巡洋艦とは大きさに大差がありますね)

 

その後、艦載機種更新にあたって、後継予定機種が機体重量の関係で現有のカタパルトでは射出できないことが判明すると、同艦は航空艤装を廃止し、艦尾部の飛行整備甲板に対空兵装を増強するなどして防空巡洋艦に変更されました。

戦後には電子装備を更新するなどして防空巡洋艦として使用が継続されましたが、1956年に予備役艦に変更され、1963年に解体されました。

 

「トレ・クロノール級」軽巡洋艦(1947年より就役:同型艦2隻)

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210124174452j:image

(「トレ・クノール級」軽巡洋艦の概観:145mm in 1:1250 by Hansa)

 スウェーデン海軍が建造した最後の巡洋艦の艦級です。唯一の本格的航洋型巡洋艦と言ってもいいのではないでしょうか?

第二次世界大戦中に建造されましたが、就役は2隻とも大戦後の1947年となりました。

8200トン級の船体を持ち、重油専焼缶とタービン機関の組み合わせで、33ノットの速力を出すことが出来ました。

主砲として新型の53口径6インチ速射砲を採用し、これを艦首部に3連装両用砲塔1基、艦尾部に連装両用砲塔2基の配置で搭載していました。この主砲は両用砲塔に搭載され70度までの仰角と、毎分10発の発射速度を有していました。当初はこの両用砲が文字通り対空砲を兼ねたため、対空砲を他に有しませんでしたが、後の改装では5.7cm高角機関砲を連装砲塔で2基増設しています。

f:id:fw688i:20210124174455j:image

(「トレ・クノール級」軽巡洋艦の細部:艦首部の3連装砲塔(上段)、艦中央部の対空砲群(中段)、艦尾部の連装砲塔(下段))

 

「トレ・クノール」は1964年まで就役していましたが、僚艦「イェータ・レヨン」は1971年にチリ海軍に売却され、1984年まで同海軍で就役していました。

 

f:id:fw688i:20210124174952j:image

スウェーデン海軍の巡洋艦の系譜:手前から「Örnen級」水雷巡洋艦装甲巡洋艦「フィルギア」、航空巡洋艦『ゴトランド」、「トレ・クノール級」軽巡洋艦の順)

 

その他の駆逐艦警備艇・掃海艇など

ぼちぼちと目に止まったものを収集中です。この辺りはいずれまとめて・・・。だから中間報告、ということで。

f:id:fw688i:20210124174956j:image

 (スウェーデン海軍の小艦艇群:手前から「ランドソルト級」掃海艇、「イェーガレン級」ウーデットボート(汎用警備艇で、哨戒・掃海など種々の任務をこなします)、「エレンスコルド級駆逐艦、「イェーテボリ級」駆逐艦

 

ということで、今回はおしまい。

さて前回から全くの思いつきで、突然、スウェーデン海軍、などという、筆者も馴染みのない領域をまとめて見てきたわけですが、一定の興味はありながらも、こうして体系的にまとめる機会がなければ、スウェーデン海軍の艦艇について理解を深める機会はなかっただろうと思っています。脇道探検は、本当に楽しいし面白い。

「ルーチーン」の持ち方、という話をぼんやりとテレビで見ていました。現在のようなストレスの溜まりやすい状況下では、安定を得るための、さらに何らか自身を成長させるための「ルーティーン」というのは重要だ、というような話だったのですが、「低いハードル=達成感を得やすい」ことを「継続する」というのが重要だそうで、まさに当ブログが筆者の「ルーティーン」なのかもなあ、などと考えています。

「ルーテーン」を継続するためのテーマ探し。そのテーマは「自分の楽しみの中から」。そしてさらに深い興味の領域へ。なんか自画自賛ぽくて申し訳ないですが、「継続しよう」という思いから、何か新しい楽しいことが見つかるサイクルに気づくことが出来て、少し嬉しいのです。それをお伝えしたかった。スウェーデン巡洋艦の発展の知識が深まった、というのが成長か、という疑問があることは重々理解しています。お願いだから、思ったとしても、それは言わないで)

 

ということで、次回はどうしようかな。(毎回、この時点で、次のテーマ探し、というプレッシャーがかかっています。なら、やめればいいのに。まさにその通りなんですが)

実はこのところ、1:144スケールの飛行機ばかり作っています。そしてみんなフィンランドのマークをつけています。そんな話にしようか、それとも本流で「残していること」をしようか。まあ、そこは気まぐれで。

 

いつも申し上げているのですが、模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

***実は模型に関する質問などは、一度もいただいたことがないのです。

 

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

ブログランキングに参加しました。クリック していただけると励みになります。


艦船ランキング

 

 

 

 

 

 

 

 

新着モデルのご紹介/あるいは素晴らしき脇道探検:スウェーデン海軍の海防戦艦の系譜:中間報告

今回は、このところ少し集中してモデルを集めつつあった海防戦艦の、中間報告です。

・・・と言うか、「コレクター」なる人種の一種の心象風景として読んでいただければ。(まあ、毎回そうなんですけどね)

 

さて、海防戦艦のコレクション。火付け役は、昨年末に、以下の回でご紹介したフィンランド海軍の海防戦艦「イルマリネン級」。

fw688i.hatenablog.com

 

以下、同級の概要部分を抜粋してご紹介。

フィンランド海軍「イルマリネン級」海防戦艦 

ja.wikipedia.org

 

f:id:fw688i:20201227164214j:image

(直上の写真は「イルマリネン級」海防戦艦の概観。74mm in 1:1250 by XP Forge:移動式要塞砲台的な感じ?)

 

同級はオランダの企業によって設計され、フィンランド湾での活動を想定し、幅広の吃水の浅い船体を持ち、かつ冬季の海面凍結から砕氷能力も考慮された船型をしていました。4000トン級の船体を持ち、機関には砕氷時の前進後進の操作性、速力の調整等への配慮から、デーゼル・エレクトリック方式の主機が採用され、16ノットの速力を発揮する事ができました。しかしフィンランド湾沿岸での任務に特化した強力な艦として、外洋への航行は想定から外されて設計されたため、燃料搭載量が極めて少なく航続距離は700海里程度に抑えられていました。

武装としては、主砲には 隣国スウェーデンボフォース社が新設計した46口径25.4センチ連装砲を2基装備し、併せてこれもボフォース社製の新設計の10.5センチ高角砲を連装両用砲塔で4基搭載するという沿岸警備用の海防戦艦としては意欲的な設計でした。

これらの砲装備管制のために高い司令塔を装備したために、明らかにトップ・ヘビーな艦容をしています。とはいえ、その主要任務が活動海域を限定した移動要塞砲台的なものであることを考えると、それほど大きな問題ではないのかもしれません。

f:id:fw688i:20201227164217j:image

(直上の写真:「イルマリネン」(左)と「ヴァイナモイネン」(右):塗装は例によって筆者オリジナルですので、資料的な価値はありません)

 

「主力艦の変遷を追う」本稿としては、海防戦艦は、やや避けて通ってきた感のあった領域です。一部、本稿の最初期のあたりで、「バルティック艦隊」の構成艦として何隻か紹介した程度でした。

fw688i.hatenablog.com

(この回では、日本海海戦に参加したロシア海軍海防戦艦「ナワリン」「シソイ・ヴェリキー」「アドミラル・セニャーウィン」「アドミラル・ウシャコフ」「アドミラル・アプラクシン」などを紹介しています)

 

本稿の読者ならば(あるいは本稿に興味を持たれる方ならば)、おおよそ推測はつく(多分、同意もいただける?)と思うのですが、実はこうした一見の枝葉、あるいは脇道こそが、コレクションを続ける醍醐味でもあるわけで、上記のロシア海軍海防戦艦のあたりから少しづつ気になり始め、昨年末のフィンランド海軍の「イルマリネン級」で、「この脇道、一度ちゃんと探検しよう」と決意した(ちょっと大げさ?)という訳です。

 

さてどこから手をつけようか。

前述の「イルマリネン級」の艦歴の中に、1937年5月に同艦は英国のジョージ6世戴冠記念観艦式にフィンランド艦隊旗艦として参加した折に、同艦の航続距離不足から「スウェーデン海軍の海防戦艦「ドロットニング・ヴィクトリア」に曳航してもらった」という記述を見つけました。

「へえ、なるほどお隣の国の海軍に曳航してもらったんだな」と、脇道に一歩。「ところで「ドロットニング・ヴィクトリア」というのはどんな船なんだ?」と二歩め。そんな感じで、いつの間にか「まずはスウェーデン海軍から初めてみようか」という訳です。

でも、この脇道、足を踏み入れてみて、筆者がいかに情報を持っていないかに痛感させられます。まさに手探り状態で本稿書き進めています。脇道探検はこれだから楽しい。

 

海防戦艦という艦種

今回の本題であるスウェーデン海防戦艦に触れる前に、「海防戦艦」という艦種が概ねどういう艦種なのか、少し触れておきたいと思います。

英語では概ね coastal defence ship と表記されます。沿岸防備艦というわけで、この文字通りの意味であれば、警備艦艇はほとんどこの領域の任務に就くことになるのですが、この中でも比較的小型の船体に大口径の主砲を搭載し、かつ一定の装甲を有する艦を特に「海防戦艦」(Coastal defence ship)と呼ぶようです。

保有国には、以下のような大きな二つの地政学的な条件があるように思われます。つまり防備すべき比較的長い海岸線、港湾都市を持つこと。そしてその海岸線が比較的浅い、そして大洋に比べて比較的波の穏やかな内海に面していること。

結果、バルト海、地中海、黒海などに接続海岸を持つ国の占有艦種と言っても良いのではないでしょうか?従って保有国は限定され、バルト海の沿岸諸国として、ロシア帝国、初期のドイツ帝国(彼らは後に大洋海軍を建設します)、スウェーデンデンマークノルウェイフィンランド。地中海ではイタリア(装甲砲艦という艦種で装備されました)、フランス、ギリシアオーストリア=ハンガリー帝国などが同艦種に分類される軍艦を保有しました。(一部、地政学的な条件から見ると例外は南米諸国ですが、これらは新興諸国が海岸線防備のために比較的手軽に装備できる(購入できる)艦種、として整備を競った、という別の歴史的な背景があると、筆者は理解しています)

類似艦種としては沿岸防御の浮き砲台としての「モニター艦」がありますが、これは海防戦艦に比べると、さらに局地的な防御任務に適応しており、航洋性、機動性はより抑えられた設計になっています。

 

 スウェーデン海軍の海防戦艦

繰り返しになりますがスウェーデンという国は、ボスニア湾(スウェーデンフィンランドの間の湾)からカテガット海峡スカンジナビア半島デンマーク間の海峡)に及ぶ長い海岸線をバルト海に有しています。その海岸線のほぼ中央に首都ストックホルムが位置しています。

これらの長い海岸線を防備することがスウェーデン海軍の主要な任務で、19世期の後半から沿岸警備用の大口径砲を搭載した「海防戦艦」の整備に力を入れ始めました。

艦級は以下の6クラスが建造されました。

スヴェア級(同型艦3隻:1886年から就役)

オーディン級(同型艦3隻:1897年から就役)

ドリスへティン(同型艦なし:1901年から就役)

アラン級(同型艦4隻:1902年から就役)

オスカー2世(同型艦無し:1907年から就役)

スヴァリイェ級(同型艦3隻:1921年から就役)

f:id:fw688i:20210117113411j:image

スウェーデン海軍の海防戦艦一覧:右から、「スヴェア級」「オーディン級」「ドリスへティン」「アラン級」「オスカー2世」「スヴァリイェ級」の順)

 

スウェーデン永世中立を唱え、二回の世界大戦には参加していません。従ってこれらの艦級に戦没艦はありません。

しかし第二次世界大戦で顕著になった航空主兵化の中では、機動力の低い海防戦艦には活躍の場面はあまり多くなく、スウェーデン海軍も「スヴァリイェ級」の次級の建造計画を放棄し、その沿岸防備戦力の主力を潜水艦と高速艇に移してゆきます。

1960年代までに全ての艦級が退役しています。

 

スヴェア級(同型艦3隻:1886年から就役)

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210117113659j:image

海防戦艦「スヴェア級」の概観:63mm in 1:1250 by Brown Water Navy Miniature in Shapeways:射撃指揮所が前部マストに設置されているのですが、連装砲塔はそのままなので、近代化改装の途中段階?)

Brown Water Navy Miniatures by MG_Lawson - Shapeways Shops

同級は、スウェーデン海軍が最初に建造した海防戦艦です。32口径の10インチ連装砲を主砲として艦種部に1基搭載していました。他に副砲として6インチ単装砲を6基、艦種部に35.6cm魚雷発射管を装備していました。

3000トン級の船体に石炭専焼缶とレシプロ機関を搭載し、14.7ノットの速力を有していました。

後に1903年ごろから近代化改装が行われ、同型艦3隻のうち2隻は主砲を8.2インチ単装砲に換装し、副砲を速射砲に、魚雷発射管を45.7cmの口径に換装しています。

 

オーディン級(同型艦3隻:1897年から就役) 

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210117113855j:image

海防戦艦オーディン級」の概観:68mm in 1:1250 by Brown Water Navy Miniature in Shapeways:射撃指揮所が前部マストに設置されているので、近代化改装後の姿を再現しているかと思われます)

 

同級はスウェーデン海軍が建造した2番目の海防戦艦の艦級です。主砲は射程距離を延ばした42口径の10インチ砲を採用し、これを単装砲塔で2基、艦種部と艦尾部にそれぞれ1基筒搭載しています。副砲には12センチ速射砲を4基から6基搭載し、艦首には魚雷発射管を有していました。

前級を二回りほど拡大した3400トン級の船体に石炭専焼缶とレシプロ機関を搭載して16.5ノットの速力を発揮することができました。

1910年代に近代化改装が行われ、前部マストに射撃指揮所が設けられ、機関が換装されことに伴い煙突が一本になった艦もあります。

 

ドリスへティン(同型艦なし:1901年から就役)

en.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210117114127j:image

海防戦艦「ドリスへティン」の概観:72mm in 1:1250 by Brown Water Navy Miniature in Shapeways:竣工時の姿)

 

同型艦はありません。3400トン級とほぼ前級と同じ大きさの船体に、44口径8.2インチ単装砲塔2基を主砲として搭載しています。副砲に6インチ単装速射砲6基を搭載し、魚雷発射管2基を装備していました。16.5ノットの速力を発揮することが出来ました。

1927年に主砲等の主武装を対空砲に換装し水上機母艦に改装されました。

 

アラン級(同型艦4隻:1902年から就役)

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210117114313j:image

海防戦艦「アラン級」の概観:70mm in 1:1250 by Brown Water Navy Miniature in Shapeways:竣工時の姿:近代化改装時のモデルを入手中)

 

同級は前級「ドリスへティン」の改良型として建造されました。3600トン級にやや拡大された船体を持ち、前級と同じ44口径8.2インチ単装砲を主砲として2基装備していました。副砲も同様に6インチ単装速射砲を6基、魚雷発射管を2基装備していました。

石炭専焼缶とレシプロ主機の組み合わせで、17ノットの速力を出すことが出来ました。

1910年に前部マストを3脚化し射撃指揮所を設置したのを皮切りに、順次、機関の重油専焼缶への換装、対空兵装の強化など近代化改装が行われました。改装のレベルは艦によって異なり、外観にも差異が生じました。

 

オスカーII世(同型艦無し:1907年から就役)

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210117114606j:image

海防戦艦「オスカーII世」の概観:86mm in 1:1250 by Brown Water Navy Miniature in Shapeways:竣工時の姿:近代化改装時のモデルを入手中)

 

前級「アラン級」の武装強化版として1隻だけ建造されました。船体は4200トン級に拡大され、主砲は44口径8.2インチ単装砲塔2基のままですが、副砲が6インチ連装砲塔4基に強化されました。魚雷発射管を2基装備していました。

機関は、石炭専焼缶の搭載数が増やされ、18.5ノットの速力を出すことが出来ました。

1911年に前部マストを3脚化し射撃指揮所が設けられ、1937年にボイラーを重油・石炭混焼缶に変更した際に煙突の太さが変更されるなどの外観の変更がありました。

 

スヴァリイェ級(同型艦3隻:1921年から就役)
ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210117114736j:image

海防戦艦「スヴァリイェ級」の概観:96mm in 1:1250 by Navis:ほぼ竣工時の姿を再現しています:近代化改装は順次行われ、同型艦3隻はそれぞれ異なった姿となりました。改装後のモデルを探索中ですが、全て揃うのはいつのことやら)

 

同級は結果的に、スウェーデン海軍が建造した最後の海防戦艦の艦級となりました。

設計段階で各国海軍の装備は弩級戦艦の時期に達しており、これに準じてそれまでの海防戦艦とは一線を画する設計となりました。

船体は前級を大幅に上回る6800トン級となり、これに石炭専焼缶と初めてのタービン機関を組み合わせ22.5ノットの速力を有することが出来ました。

主砲には44口径11インチ砲を連装砲塔形式で2基搭載し、副砲として6インチ連装速射砲1基と同単装砲6基、魚雷発射管2基を装備していました。

1920年代には主として射撃管制関連の改装が行われ、前部マストが三脚化され同時に艦橋が大型化されました。1930年代には主として機関の換装が行われ、全て重油専焼缶と改められました。その際に煙突形状の改装が行われ、「スヴァリィエ」は湾曲煙突、「ドロットニング・ヴィクトリア」は前部煙突にキャップ、「グスタフ5世」は集合煙突に、それぞれ外観が変わりました。

冒頭に紹介したフィンランド海軍の海防戦艦「イルマリネン」が英国王ジョージ6世の戴冠記念観艦式に参加する際に同艦を曳航したのは、同級の「ドロットニング・ヴィクトリア」でした。

f:id:fw688i:20210117115159j:image

(英国王ジョージ6世の戴冠記念観艦式に参加したフィンランド海軍戒能戦艦「イルマリネン」(手前)とそれを曳航したスウェーデン海軍海防戦艦「ドロットニング・ヴィクトリア:スヴァリイェ級」の比較)

 

未成海防戦艦:Project 1934

1933年(34年?)に設計された未成の海防戦艦がありました。www.naval-encyclopedia.comf:id:fw688i:20210117120604j:image

(未成海防戦艦「Project 1934」の概観:103mm in 1:1250 by Argonaut)

 

それまでの「海防戦艦」と異なり、塔形状の前部マストやコンパクトにまとめられた上部構造など、フィンランド海軍の「イルマリネン級」にやや似た近代的な(?)外観をしています。7500トン級の船体に、武装は11インチ連装砲2基と、5インチ両用連装砲(多分)6基を予定していたようです。速力は22−23ノット程度。


f:id:fw688i:20210117115636j:image

海防戦艦「Project 1934」(奥)と「スヴァリイェ級」(竣工時)の比較)

f:id:fw688i:20210117115639j:image

海防戦艦「Project 1934」(奥)とフィンランド海軍海防戦艦「イルマリネン級」の比較)

 

 

未成海防戦艦:Project 1940

 

さらに1940年の設計では、さらにこれを拡大したスウェーデンポケット戦艦(15000トン級:11インチ連装砲塔3基、5インチ両用連装砲4基ほか)の計画もあったようです。ちょっと見てみたかった(かも)。Swedish Ansaldo design

 

 Hai社から市販モデルが出ているのですが、入手には至っていません。鋭意、探索中。

 

ということで、今回はおしまい。

なぜ「中間報告」としたかというと、上記に記載した「近代化改装」後のモデルを調達中です。いくつかは多分こちらに発送されているのですが、いくつかは入手の目処が立たず、という状況です。全部は無理だろうなあ。

さらにもう一つ、同様にノルウェーデンマークも数は少ないながら同様の艦種を建造しています。これらは第二次世界大戦では母国のドイツによる占領作戦と共に、作戦途上で撃沈されたものもありますが、何隻かはドイツ海軍に移籍し、防空艦等として運用されました。

これらも鋭意(既に何隻かは手元にあるのですが)収集を試みていますので、いずれはそれらも併せて改めてご紹介の機会を、と考えています。

なので今回は「中間報告」です。

 

次回は、どうしようか? 

もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

ブログランキングに参加しました。クリック していただけると励みになります。


艦船ランキング

 

 

 

 

制作モデルのアップデートと、アメリカ海軍:第二次世界大戦期の巡洋艦総覧

2021年のご挨拶

あけましておめでとうございます。

それにしても、混沌とした新年になってしまいましたね。筆者はおそらく生まれて初めて実家に戻らず自宅で年越しを迎えました。ある意味、のんびりとした数日ではあったのですが、メリハリなく、長めの休日を過ごしてしまった、そんな感じでした。

年が開ければ、何か見えるかと、漠然とした期待があったにもかかわらず、どうも現実はもう少し厳しいようです。どうか安全第一に、お過ごしください。

そして時折、ここを覗きに来ていただけると、幸いだとおもっています。今年もどうぞよろしくお願いします。

 

と言うことで、2021年最初の投稿ですが、表題の通り「第二次世界大戦期のアメリカ海軍の巡洋艦」を総覧してみたいと思います。

筆者の事情としては、引き続き、制作ラッシュが続いており、比較的負担の軽い稿、と言うことで、やや過去の投稿を多用しながら、進めてゆきます。少し文体等、矛盾や揺れ幅が大きいかと懸念しつつ。

 

と言うことで、最初は少し最近のモデル作製のアップデートを。

まずはあの「赤い戦闘飛行艇

直下の写真はあの「赤い戦闘飛行艇」の飛行時の再現。以前本稿でもご紹介しましたが、おそらく世界で唯一の入手可能な1:144スケールのモデルです。ディスプレイ台と飛行士はついていませんのでご注意を。

f:id:fw688i:20210110100241j:image

下の写真は同様に着水時のモデル。ウォーターライン(?)モデルです。こちらも飛行士のフィギュアは付いていませんのでご注意ください。筆者はフィギュアはいずれも1:144モデルのストックから転用しています。
f:id:fw688i:20210110100244j:image

現在、良きライバルである「青いカーチス」を製作中です。

 

次に、フィンランド軍装備から、「冬戦争」時の主力戦闘機を。

「フォッカー D-21」(フィンランド風にいうと「フォッケル」ですかね)

こちらは頼りになるShapeways(Kampffieger models)の製品をストレートに塗装し、Mark I Model製のデカールを貼っています。

素材は White Natural Versatile Plasticで安価なのですが、表面がかなり粗い感じで仕上がります。下地処理はしているのですが、やはり塗装面は光が当たると目立ちますね。どこまでこだわるかですが、別素材でもう一回トライしていようかな。

f:id:fw688i:20210110100716j:image

こちらは本稿の下記の稿にも反映しておきます。

fw688i.hatenablog.com

ああ、なんだか1:144スケールモデルのサイトっぽくなってきたなあ。 

 

という事で、少し長い前置きになりましたが、さていよいよ今回の本論部分へ。

米海軍の第二次世界大戦期の巡洋艦

米海軍は第二次世界大戦に、重巡洋艦6クラス32隻、軽巡洋艦5クラス59隻、そして大型巡洋艦1クラス2隻という大量の巡洋艦を投入しました。

その設計思想は戦術の変遷に従って柔軟に変更され、当初は補助戦闘艦、偵察艦としての性格が強くみられましたが、後半の設計は艦隊の航空主兵化に伴い、空母機動部隊や輸送部隊の艦隊防空に重点が置かれる設計となりました。

 

重巡洋艦

6クラス32隻が投入され7隻が戦没しています。

いわゆる条約型重巡洋艦(カテゴリーA)として5クラス18隻が建造され、条約失効後に1クラス14隻が建造され、第二次世界大戦に参加しています。

 

ペンサコーラ級重巡洋艦同型艦: 2隻)

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210110135447j:image

(直上の写真は、「ペンサコーラ級」重巡洋艦の概観。143mm in 1:1250 by Neptune) 

 「ペンサコーラ級」は米海軍が初めて建造した重巡洋艦です。当初は、日本海軍の「古鷹級」と同様に強化型の軽巡洋艦として設計されましたが、建造途中にロンドン条約により巡洋艦にカテゴリーが生まれそれぞれに制限を課せられたため、「カテゴリーA=重巡洋艦」に類別されたという経緯があり、結果的に条約型重巡洋艦の第一陣となりました。

設計当初は8インチ3連装主砲塔4基を搭載する予定でしたが、艦型の大型化を抑制するために4基のうちの2基を連装主砲塔にあらためて建造されました。雷装としては53.3cm3連装魚雷発射管を2基搭載していました。

やや装甲を抑えめにし9100トンと列強の重巡洋艦としてはやや小ぶりながら、強力な砲兵装を有し、抗堪性に考慮を払い初めて採用された缶室分離方式で配置された主機から32.5ノットの速力を発揮することができました。

強力な兵装配置と、やや変則的な砲塔配置に伴い、トップへービーの傾向があり、復原性に課題があるとされていました。

f:id:fw688i:20210110135450j:image

(直上の写真は、「ペンサコーラ級」重巡洋艦の特徴的な主砲塔配置。連装砲塔を低い位置に、3連装砲塔を背負い式に高い位置に配置しています。高いマストとも相まって、重心がいかにも高そうに見えます) 

 

2隻が建造され、2隻ともに大戦を生き抜きました。

 

ノーザンプトン重巡洋艦同型艦:6隻)

ja.wikipedia.org

Northampton-class cruiser - Wikipedia

f:id:fw688i:20200503120514j:image

(直上の写真は、「ノーザンプトン級」重巡洋艦の概観。146mm in 1:1250 by Neptune) 

ノーザンプトン級」は米海軍が建造した条約型重巡洋艦の第2グループです。

前級「ペンサコーラ級」から8インチ主砲を1門減じて、3連装砲塔3基の形式で搭載しました。砲塔が減った事により浮いた重量を装甲に転換し、防御力を高め、艦首楼形式の船体を用いることにより、凌波性を高めることができました。9000トンの船体に8インチ主砲9門、53.3cm3連装魚雷発射管を2基搭載し、32ノットの速力を発揮しました。

航空艤装には力を入れた設計で、水上偵察機を5機搭載し、射出用のカタパルトを2基、さらに整備用の大きな格納庫を有していました。

f:id:fw688i:20200503120529j:image

(直上の写真は、「ノーザンプトン級」の主砲配置と航空艤装の概観。水上偵察機の格納庫はかなり本格的に見えます(中段)。同級は竣工時には魚雷を搭載していたはずですが、既にこの時点では対空兵装を強化し、魚雷発射管は見当りません) 

 

前級で課題とされた復原性の不足は、細身の艦型から引き継がれており、後に対空装備の増強の際には魚雷兵装を全撤去するなどの対応を取らざるを得ませんでした。

f:id:fw688i:20210110140104j:image

(直上の写真は、「ノーザンプトン級」と前級「ペンサコーラ級」(上段)の主砲配置の差を見たもの) 

同型艦は6隻が建造されましたが、そのうち「ヒューストン」がバタビア沖海戦(1942年3月)で、「ノーザンプトン」がルンガ沖海戦(1942年11月)で、そして「シカゴ」が1943年1月のレンネル沖海戦でいずれも日本海軍と交戦し失われました。

 

 ポートランド重巡洋艦同型艦:2隻)

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210110135835j:image

(直上の写真は、「ポートランド級」重巡洋艦の概観。155mm in 1:1200 by Superior :メーカーの差この場合にはスケールの差も顕著に現れています。1:1250スケールでの寸法は148mmと試算できます) 

 

同級は、前級「ノーザンプトン級」の拡大改良型で、米海軍としては初めて10000トンを超える艦型を持った重巡洋艦となりました。

砲兵装は基本前級「ノーザンプトン級」を継承していますが、復原性を改善するために、建造当初から雷装は廃止されました。しかし一方で対空装備の増強、艦橋の大型化などにより、一見バランスの取れた重厚な艦型に見えますが、実は復原性は悪化した、とされています。

f:id:fw688i:20210110140127j:image

(直上の写真は前級「ノーザンプトン級」(上段)と「 ポートランド級」との艦容の比較。重厚さを増したように見えますが、重心の高さから生じる復原性の課題は改善されませんでした)「

 

同級の「インディアナポリス」が3発目の原子力爆弾の部品をテニアンに輸送中に日本海軍の潜水艦に雷撃され撃沈されたことは大変有名なエピソードです。

 

ニューオーリンズ重巡洋艦同型艦:7隻)

ja.wikipedia.org

New Orleans-class cruiser - Wikipedia 

f:id:fw688i:20200509234627j:plain

(直上の写真は、「ニューオーリンズ級」重巡洋艦の概観 142mm in 1:1250 by Neptune) 

 

f:id:fw688i:20200509234624j:image

(直上の写真は、「ニューオーリンズ級」重巡洋艦の特徴を示したもの。艦橋の構造を、前級までの三脚前檣構造から塔状に改めています(上段)。航空艤装の位置を改めて、運用を改善(中段)。この艦級に限ったことではないですが、アメリカの建造物は理詰めで作られているためか、時として非常に無骨に見える時がある、と感じています(下段)。フランスやイタリアでは、こんなデザインは、あり得ないのでは、と思うことも。「機能美」と言うのは非常に便利な言葉です。でも、この無骨さが良いのです)

 

米海軍の条約型重巡洋艦としては第四段の設計にあたります。

主砲としては8インチ砲3連装砲塔3基を艦首部に2基、艦尾部に1基搭載するという形式は「ノーザンプトン級」「ポートランド級」に続いて踏襲しています。魚雷兵装は、「ポートランド級」につづき、竣工時から搭載していません。航空艤装の位置を少し後方へ移動して、搭載設備をさらに充実させています。

乾舷を低くして艦首楼を延長することで、米重巡洋艦の課題であった復原性を改善し、32.7ノットの速力を発揮することができました。

f:id:fw688i:20210110140701j:image

(直上の写真は、前級「ポートランド級」と「ニューオーリンズ級」の艦橋構造の比較。艦橋構造をそれまでの三脚前檣構造から塔構造に改めています)

 

同型艦は7隻が建造されましたが、そのうち第一次ソロモン海戦に参加した3隻(「アストリア」「ヴィンセンス」「クインシー」)全てが撃沈されてしまいました。

第一次ソロモン海戦については本稿でも以下の回で触れています。

fw688i.hatenablog.com

その後も、ソロモン海域での戦闘では常に第一線で活躍し、サボ島沖夜戦では同級の「サンフランシスコ」が旗艦を務める艦隊がレーダー射撃によって、日本海軍の重巡「青葉」を大破させ、「古鷹」を撃沈する戦果を上げています。一方で、第三次ソロモン海戦では、同じく艦隊旗艦を務めた「サンブランシスコ」が「比叡」「霧島」との乱打戦で大破していますし、ルンガ沖夜戦では、日本海軍の駆逐艦部隊の輸送任務の阻止を試みた同級の「ニューオーリンズ」「ミネアポリス」が、日本駆逐艦の放った魚雷で大破する、といったような損害も被っています。

 

米海軍の「ヤラレ役」を一身に背負った感のある緩急ですが、それだけ「切所」を踏ん張った、と言うことだと考えています。

 

 

重巡洋艦「ウィチタ」

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210110140445j:image

(直上の写真は、重巡洋艦「ウィチタ」の概観 150mm in 1:1250 by Hansa) 

条約型重巡洋艦の第5弾として1隻のみ建造されました。

当初は前級「ニューオーリンズ級」の8番艦として建造される予定でしたが、並行して建造中の条約型軽巡洋艦「ブルックリン級」の設計構想を大幅に取り入れたものとなりました。そのため艦容は「ブルックリン級」に類似しています。f:id:fw688i:20210110140911j:image

(直上の写真は、設計の際にベースとなった「ブルックリン級」軽巡洋艦(上段)との鑑容の比較。基本的な配置は極めてよく似ていることがよくわかります)

 

航空兵装を初めて艦尾配置とした他、対空兵装にMk 12 5インチ両用砲を採用し、これを単装砲塔形式で4基、単装砲架形式で4基、計8基搭載しています。f:id:fw688i:20210110140442j:image

(直上の写真は、「ウィチタ」の対空砲配置。Mk.12 5インチ両用砲を単装砲塔で4基:艦橋周りに3基と後橋直後に1基配置しています(写真上段と下段)単装砲架形式で艦中央部に4基配置しています(写真中段))

 

艦型は条約型巡洋艦としては最大で、速力33ノットを発揮することができました。

 

 

両用砲という先見性

ja.wikipedia.org

この砲は同艦以降後建造された巡洋艦のみならず、戦艦、空母、駆逐艦など米海軍艦艇のほぼ全ての艦級に搭載され、実に1990年まで使用された優秀な砲で、単装砲架から連装砲塔まで、多岐にわたる搭載形式が採用されました。

同砲は楊弾機構付きで毎分15-22発、楊弾機構なしの場合でも毎分12-15発の射撃が可能で、これとMk 33両用方位盤との組み合わせで、それまでに比べ飛躍的な射撃能力を得ることができました。「砲」そのものもさることながら、装填機構や方位盤などの射撃管制機構との組み合わせで「両用砲」と言う「システム」を駆逐艦に搭載したアメリカ海軍の先見性には、本当に驚かされます。

 

ボルチモア重巡洋艦同型艦:14隻)

ja.wikipedia.or

f:id:fw688i:20210110141206j:image

(直上の写真は、「ボルチモア級」の概観 165mm in 1:1250 by Poseidon?) 

 同級はワシントン・ロンドン体制終了後に米海軍が建造した重巡洋艦で、条約による制限が無くなったため排水量14000トンの大型艦となりました。f:id:fw688i:20210110141203j:image

(直上の写真は、同級がタイプシップとした「ウィチタ」との鑑容比較。概観はよく似ていますが艦型が大型化し、対空兵装などが改められています)

 

前級「ウィチタ」をタイプシップとしながらも、大幅に艦型が大型化し、主砲はそれまでの錠悪形重巡洋艦と同等ながら、副兵装として「ウィチタ」で採用したMk 12 5インチ両用砲を連装砲塔6基搭載するなど、充実した対空兵装を保有していました。また装甲が大幅に強化されています

計画では16隻が建造される予定でしたが、14隻が完成し、戦没艦はあリませんでした。ほとんどの艦が1960年代、70年代まで現役に止まり、4隻はミサイル巡洋艦に改造されました。

 

派生形に「オレゴンシティ級」がありますが、同級は全て戦後の就役となりました。

 

軽巡洋艦

5クラス59隻が投入され、3隻が失われました。

 

オマハ軽巡洋艦同型艦:10隻)

(直下の写真は、米海軍が建造した「オマハ級」軽巡洋艦。136mm in 1:1250 by Neptune)

f:id:fw688i:20200412181558j:image

ja.wikipedia.org

Omaha-class cruiser - Wikipedia

オマハ級」軽巡洋艦(1923- 同型艦10)は、「チェスター級」に次いで米海軍が建造した軽巡洋艦で、7000トンのゆとりのある船体に、6インチ砲(15,2センチ)12門と3インチ高角砲8門と言う強力な火力を有していました。4本煙突の、やや古風な外観ながら、主砲の搭載形態には連装砲塔2基とケースメイト形式の単装砲を各舷4門という混成配置で、両舷に対し8射線(後期型は7射線)を確保すことができる等、新機軸を盛り込んだ意欲的な設計でした。最高速力は35ノットと標準的な速度でしたが、20ノットという高い巡航速度を有していました。また最初からカタパルト2基による高い航空索敵能力をもっていました。

f:id:fw688i:20200412181608j:image

(直上の写真は、「オマハ級」の概観 135mm in 1:1250 by Neptune) 

 

f:id:fw688i:20200412181616j:image

(直上の写真は、「オマハ級」軽巡洋艦のカタパルト2基を装備し充実した航空艤装(上段)と連装砲塔とケースメートの混成による主砲配置、写真の艦は後期型で、後部のケースメートが2基減じられています)

 

10隻が第二次世界大戦に参加し、喪失艦はありませんでした。

 

ブルックリン級軽巡洋艦同型艦:9隻=準同型艦セントルイス級2隻を含む)

ja.wikipedia.org

ja.wikipedia.org

Brooklyn-class cruiser - Wikipedia

f:id:fw688i:20200607144028j:image

(直上の写真:「ブルックリン級」の概観。150mm in 1:1250 by Neptune )

本級は日本海軍の「最上級」同様、ロンドン条約保有に制限のかかった重巡洋艦(カテゴリーA)の補完戦力として設計された大型巡洋艦で、それまでの偵察任務等に重点の置かれた軽快な軽巡洋艦とは異なり条約型重巡洋艦に撃ち負けない砲力と十分な防御力を併せもった設計となっていました。

このため主砲にはカテゴリーB=軽巡洋艦に搭載可能な6インチ砲を3連装砲塔5基、15門搭載していました。同砲はMk16 47口径6インチ砲と呼ばれる新設計の砲で、59kgの砲弾を毎分8−10発発射することができました。

en.wikipedia.org

重防御を施した10000トンを超える船体を持ち、33.6ノットの速力を発揮することができました。

魚雷兵装は搭載しませんでしたが、対空兵装としては5インチ高角砲を単装砲架で8基搭載していました。「セントルイス級」として分類されることもある後期型では、「ボルティモア級」重巡洋艦で採用されたMk 12 5インチ両用砲の連装砲塔4基を搭載し、汎用性を高めています。

f:id:fw688i:20200607144044j:image

(直上の写真は、速射性の高Mark 16 15.2cm(47口径)速射砲の3連装砲塔を5基搭載しています。対空砲として5インチ両用砲を8門搭載していますが、後期の2隻はこれを連装砲塔形式で搭載していました。このため後期型の2隻を分類して「セントルイス級」と呼ぶこともあります)

f:id:fw688i:20210110141615j:image
f:id:fw688i:20210110141612j:image

(直上の2点の写真は、「ブルックリン級前期型」と「後期型=セントルイス級」の概観比較をしたもの。対空装備の差が、微妙に艦橋構造や後橋の構造などに及ぼしているのが分かります。モデルはいずれもHansa製)

 

第二次世界大戦では、日本海軍とのクラ湾海戦で後期型の「ヘレナ」が失われました。

 

クリーブランド軽巡洋艦同型艦:27隻)

ja.wikipedia.org

Cleveland-class cruiser - Wikipedia

f:id:fw688i:20200607144055j:image

(直上の写真:「クリーブランド級」の概観。150mm in 1:1250 by Neptune。主砲塔を1基減らし、対空兵装として、連装5インチ両用砲を6基に増やしし、対空戦闘能力を高めています )

同級は、条約失効後に設計された軽巡洋艦です。当初は次に紹介する対空巡洋艦アトランタ級」の拡大版として計画されましたが、設計途上から汎用的な前級「ブルックリン級」「セントルイス級」の対空兵装強化版として設計変更されました。

対空兵装をMk 12 5インチ両用砲の連装砲塔6基にする代わりに、主砲塔を1基減らしています。

戦時の海軍増強のため、計画では52隻が建造される予定でしたが、13隻が同級の改良型である「ファーゴ級」に設計変更され、9隻は「インディペンデンス級」軽空母に転用、3隻が建造中止とされたため、最終的には27隻が就役しました。正確にいうと27隻のうち1隻は就役が戦後となったため第二次世界大戦には参加していません。

f:id:fw688i:20210110142120j:image
f:id:fw688i:20210110142124j:image
f:id:fw688i:20210110142128j:image

(直上の2点の写真は、「ブルックリン級」と「クリーブランド級」の概観比較をしたもの。かんきょうのいちや煙突の位置の差に注意。両級の差は主に主砲塔の数と対空装備の差ですが、艦橋構造や後橋の構造などに及ぼしているのが分かります。モデルはいずれもNeputune製)

 

第二次世界大戦での喪失艦はありませんでした。


アトランタ級軽巡洋艦同型艦:11隻)

ja.wikipedia.org

Atlanta-class cruiser - Wikipedia

f:id:fw688i:20200509234648j:image

(直上の写真は、「アトランタ級軽巡洋艦の概観。131mm in 1:1250 by Neptune) 

 

当初は「オマハ級」軽巡洋艦の代替として、駆逐艦部隊の旗艦を想定して設計がスタートしましたが、設計途上で防空巡洋艦への設計変更が行われました。6000トン級の船体に、主砲とし38口径5インチ両用砲の連装砲塔を8基搭載し、併せて53.3cm魚雷の4連装発射管2基も搭載し、当初設計の駆逐艦部隊の旗艦任務にも適応できました。速力は32.5ノットを発揮することができました。

f:id:fw688i:20200509234700j:image

(直上の写真は、「アトランタ級軽巡洋艦の細部をアップしたもの。なんと言っても全体をハリネズミのように両用砲塔が覆っているのがよくわかります。第一次ソロモン海戦では、持ち場が主戦場から離れていたため(ツラギ東方警備)、戦闘には参加しませんでしたが、こののち、ソロモン海での海戦にはたびたび登場します。前掲の「ニューオーリンズ」級とは一転して、やや華奢な優美な艦形をしています)

 

8基の両用砲塔の搭載により、やや復原性に課題が見出され、5番艦以降では、砲塔数を2基減じて、復原性を改善しています。

同型艦は11隻が建造され、艦隊防空の中核を担いました。

 

ネームシップの「アトランタ」と2番艦「ジュノー」がいずれも日本海軍との交戦で失われました。

 

ファーゴ級軽巡洋艦同型艦:2隻 但し両艦とも就役は終戦

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20210110142715j:image

(直上の写真は、「ファーゴ級」の概観 150mm in 1:1250 by Hansa) 
同級は前級「クリーブランド級」の改良型です。

改良のポイントとしては、兵装の低重心化と同じく低重心化の効果を狙って上部構造の簡素化、小型化に置かれ、併せて期間の配置、煙突の集合化により、外観が「クリーブランド級」とはやや異なっています。

(下の二点の写真は、前級「クリーブランド級」(いずれも上段)と「ファーゴ級」の概観を比較したもの。艦橋の小型化、集合煙突の採用、対空兵装の位置など、米巡洋艦が課題として共通に抱えていた重心のたかさ、復原性の不足に対する改善の試みが見受けられます)

f:id:fw688i:20210110142720j:plain(f:id:fw688i:20210110142723j:image

戦争中に9隻が起工されましたが、7隻は建造中止となり、完成した2隻も就役は終戦後となりました。

 

(直下の写真は、「ブルックリン級」をベースとして発展した米軽巡洋艦の3級の外観比較。手前から「ブルックリン級」「クリーブランド級」「ファーゴ級」の順。重心の低下、復原性の改善を主題に、次第にバランスの良い概観になっていっている?)

f:id:fw688i:20210110142945j:image

 

アラスカ級大型巡洋艦同型艦:2隻)

f:id:fw688i:20200810132028j:image

(直上の写真「アラスカ級大型巡洋艦の概観。194mm in 1:1250 by Hansa)

ja.wikipedia.org

アラスカ級大型巡洋艦は、30000万トン級の船体に主砲として「1939年式 Mark8型 30.5cm(50口径)砲」を3連装砲塔3基、そして米海軍ではお馴染みの5インチ両用砲の連装砲塔を6基搭載していました。空母機動部隊の直衛を意識して33ノットの高速を有しています。6隻が計画され、2隻が完成しています。

主砲として搭載された「1939年式 Mark8型 30.5cm(50口径)砲」は、12インチの口径ながら、米海軍の戦艦の標準主砲であった14インチ砲と同等の重量の砲弾を発射できるという優秀砲でした。(この辺り、本稿でもご紹介した日本海軍の「超甲巡」に搭載予定であった新型31センチ砲と良く似ています)

この両級が、実際に砲火を交えていたら、どんな展開になったんでしょうね。

(直下の写真:上から「シャルンホルスト級」「アラスカ級」「超甲型巡洋艦」の艦型比較。各国が異なる狙いで類似性のある設計をしていたことが興味深いですね) 

f:id:fw688i:20200810132037j:image

 

と、米海軍の第二次世界大戦期の巡洋艦、総覧してみました。戦争中に起工された「デ・モイン級重巡洋艦や「ウースター級」軽巡洋艦の扱いをどうしようかな、と少し迷ったのですが、両級共にコレクションにモデルがないこともあり、登場いただきませんでした。

しかし、改めてこのように一覧してみると、「ボルティモア級」重巡洋艦や「クリーブランド級」軽巡洋艦のように、本来「一点物」であるはずの艦船すら量産してしまうアメリカという国の国力と、迷いなくそれを実行する実行力(合理的な、と呼んでいいのか?)には、改めて驚かされます。

良きにつけ悪しきにつけ、「信じるとやってしまう」あたり、何かこの年明けのトランプ騒動と何か通じるものがあるような・・・。

 

こんな感じで、2021年もよろしくお願いします。

もちろん「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

 

さらに、模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。こんな模型探しているんだけど、どこかにあるだろうか、と言うような問い合わせや、調達方法など、どんなことでも結構です。

 

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

ブログランキングに参加しました。クリック していただけると励みになります。


艦船ランキング

 

 

 

 

 

 

 

2020年も、ありがとうございました。+Encyclopedia of 1:1250 scale model shipのご案内

ご挨拶

2020年、お付き合いいただき、ありがとうございました。

振り返ると2018年9月から2年と3ヶ月、よく続いたものです。最初は10回程度で日本海軍の主力艦をチラチラっと並べて、くらいの気持ちで始めたのですが、手をつけるとコレクター魂に中途半端に火がついてしまいました。まとめが一段落したら全部どこかに片付けて、猫を飼えるように綺麗にしようかなんて考えていたのですが(模型と猫は相性が悪い!)いつの間にか投稿数が120回を超えてしまいました。

コレクションは「片付ける」どころか、ますます深みにはまっていく、というのが現状で、「猫を飼う」なんて言うのは、夢のまた夢、です。

それにしても、こうして自分なりに整理をし始めると、それまで知らなかった事、考えてみみなかった事、「なんでこんなもの作ったんだろう」が「なるほど」そういう事だったのか、と気がつく事、ほとんど毎回新たな発見があって、大変楽しい時間を過ごしています。

たかが模型なのですが、歴史と地政学的な必要性、そこで育った民族性など、「たかが模型」と侮るなかれ。

併せて、それにも増して、どこかで楽しみにいただいている方がいるのかも知れない、それがアクセス数として現れて、これも大きな励みになっていることは間違いありません。

「皆さんに育てていただいた」と、表現としては陳腐ですが、まさに偽らざる心境です。

本当にありがとうござました。

 

それにしても、2020年、これまでに経験したことのない一年でしたね。いろいろな事が、当たり前ではなくなってしまいました。どこかで「この星は今、傷ついている」と言うような言葉をしばしば聞きました。等しい脅威、それが生活の中に入って来ている、というのを日常的に感じる、そんな日々を送られた方も多いのではないでしょうか?

働き方が変わり、子供たちの教育が変わり(筆者は外資系企業に勤めてるのですが、海外の同僚の中には、未だに子供たちの学校は閉鎖、全ての授業はオンラインで、特にネットにアクセスの難しい貧困層の子供たちへの教育は全て放置状態、と言うような話を聞きます)、当たり前の風習を変えざるを得ませんでした(筆者は1月に父を亡くしました。天寿を全うした、と言ってもいい年齢だったので、それはそれで仕方ないと思いながら、葬儀はまだ騒動の始まる前でなんとか執り行えたのですが、その後の法要は最低限のことしかできていません。一周忌もどうなることやら)。

しかも、今のところ、どんな風になったらこの状態を抜け出せるのか、それが見えていません。こんな状況も、おそらく初めてじゃないでしょうか?これは、実は結構辛いですね。

 

そんな中でも、筆者の荷物は毎日海外から届くのです。ああ、ちゃんと仕事してくれている人がいるんだなあ、人の移動がこれだけ制限されながら、筆者の荷物をちゃんと運んでくれている人がいる、これはもう感謝しかないですね。

これは自分もできることを頑張るしかないか、どこかで誰かの助けになっているかもしれない、と信じながら、という、これも「脅威を感じる」一方での偽らざる実感でもあるわけです。

・・・と、何かと考えることの多かった一年でしたが、と言う次第で2021年も「できることを続けていく」(楽しいだけじゃないの、ってそんなこと言わないでくださいよ)つもりですので、何卒、今しばらくお付き合いください。

本当に1年間、ありがとうございました!

そして、2021年もよろしくお願いします。

 

少しお知らせ

これまでの投稿を、以下のブログにまとめています。

**本稿での投稿を適宜そのまま関連がありそうな項目をまとめて移設しているので、実は文体が投稿時期によってまちまちです。大変、気にはなっているのですが、改稿する「勇気」が今のところありませんので、そこはご容赦を。 

本稿と併せて、縦糸と横糸のような関係にできればいいなあ(どっちが縦糸か、と言うようなツッコミは置いといて)、とこれは「小さな野望」ですね。

fw688i.hatenadiary.jp

 

内容をご紹介。

各国海軍の主力艦開発のまとめ

言うまでもなく、本稿では年表風に投稿して来た各国海軍の主力艦開発を、国別にまとめたものです。筆者のお気に入りの順に。

fw688i.hatenadiary.jp

fw688i.hatenadiary.jp

fw688i.hatenadiary.jp

fw688i.hatenadiary.jp

fw688i.hatenadiary.jp

fw688i.hatenadiary.jp

fw688i.hatenadiary.jp

fw688i.hatenadiary.jp

fw688i.hatenadiary.jp

 

そして未成艦・If艦のまとめも

未成艦・If艦のご紹介。今のところ多分主力艦(戦艦・巡洋戦艦)でけですが、いずれは手をもう少し広げるかも。

fw688i.hatenadiary.jp

 

主力艦以外のミニシリーズも。

日本海軍の補助艦艇はこちらで(もう少し残っていますね)

fw688i.hatenadiary.jp

fw688i.hatenadiary.jp

fw688i.hatenadiary.jp

2021年の早い時期に前々から公言している「日本海軍の航空母艦」を多分ミニシリーズで投稿する予定なので、これもいずれは「まとめ」としてこちらにも追加します。

 

さらに本稿でぼちぼち始めている日本海軍以外の補助艦艇のに未シリーズも、適宜、こちらにも掲載していく予定です。

 

海上自衛隊シリーズ

これは説明、いらないですかね。

fw688i.hatenadiary.jp

fw688i.hatenadiary.jp

fw688i.hatenadiary.jp

 

そして模型サイトらしく、こんな話のまとめ 

今のところ3D  Printingの話だけです。そもそも筆者が1:1250スケールのコレクションを始めた当時は、3D printingがこんなに充実するとは考えていませんでした。今や最重要な選択肢、かも。

fw688i.hatenadiary.jp

 

と言うことで、内輪のご紹介、のような投稿になりましたが、こちらも時折、よろしくお願いします。

 

予告編:2021年の本稿の投稿予定を(順不同です)

こうそうちゅうの投稿ラインナップは以下の通りです。

日本海軍の航空母艦開発小史:ミニシリーズで。モデルはほぼ全て揃っています。甲板の白線を整備中。

装甲巡洋艦のミニ・シリーズ:これまで紹介してこなかった海軍の装甲巡洋艦の補完計画。モデルはほぼ揃っています:米海軍、オーストリア=ハンガリー帝国海軍、イタリア海軍

第二次大戦期の巡洋艦総覧シリーズ:英海軍、フランス海軍、米海軍(?)

第二次大戦期の駆逐総覧シリーズ:英海軍、ドイツ海軍、米海軍、フランス海軍(?)、イタリア海軍(?)

残された主力艦のミニシリーズ:バルト海海防戦艦スウェーデンノルウェーデンマークフィンランド

アドリア海の空賊物語:これはどんな展開になるか???

 

こんな感じで、2021年もよろしくお願いします。

もちろん「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

さらに、模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。こんな模型探しているんだけど、どこかにあるだろうか、と言うような問い合わせや、調達方法など、どんなことでも結構です。

 

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

ブログランキングに参加しました。クリック していただけると励みになります。


艦船ランキング

 

 

 

 

 

 

 

寒くなると、やっぱり「フィンランド」

仕込み期間、継続中。今回も、サクッと。

・・・という訳でもないのですが、「訳のわからない」タイトルになりました。

今回は「フィンランド」です。と言っても、行ったことないし、多分、「行きたい、行きたい」と言いながら、きっと行かないんだろうなあ、と思いつつ。でも行ってみたい国の上位にはずっとい続けています。何が見たい、とか、そう言うのないんですけどね。ただ土が踏めればいい、と言う感じ。

 

と、訳の一層わからない冒頭になってしまったので最初に本稿の本分である 1:1250スケールの艦船模型をご紹介してしまいましょう。

フィンランド海軍「イルマリネン級」海防戦艦

ja.wikipedia.org

 

フィンランド第一次世界大戦中のロシア帝国の崩壊の後、フィンランド共和国として念願の独立を果たします。そして独立と同時に小さな海軍を創設します。

創設当初は、崩壊したロシア帝国海軍の統治時代からの残置艦艇を接収する形で発足しましたが、いずれも時代遅れの砲艦などの小艦艇ばかりでした。

そもそもフィンランド海軍の主要な任務は、陸上砲台の運用等も併せて、首都ヘルシンキの面するフィンランド湾の沿岸警備でした。フィンランド湾 - Wikipedia

が、フィンランド湾はその最奥部にサンクトペテルブルグレニングラード)を抱え、これはつまりは、新生ソビエト連邦バルト海への玄関口を扼する位置にあるという微妙な(危険な?)地勢的な背景を抱えているということでもあり、予想される紛争に対し近代的な戦力の整備は必須でした。

1925年の議会で承認された海軍近代化計画の中で、潜水艦5隻、魚雷艇4隻と共に、同海軍初の戦闘艦艇として同級の建造は承認され、1930年、31年と相次いで就役しました。

f:id:fw688i:20201227164214j:image

(直上の写真は「イルマリネン級」海防戦艦の概観。74mm in 1:1250 by XP Forge:移動式要塞砲台的な感じ?)

今回モデル調達には少し複雑な経路をとっています。元々はお馴染みのShapewaysで見つけたGhukek's Miniatures製の1:1800スケールモデル

www.shapeways.com

これを、例によって1:1250スケールへのスケールダウン(アップ?)をお願いしたところ、そういうリクエストはXP Forgeが対応しています、という事で調達はそちらで行いました。

xpforge.com

入手したモデルの主砲塔だけが少し大きさディテイル等、気になったので、手持ちのストックの砲塔と換装しています。

 

同級はオランダの企業によって設計され、フィンランド湾での活動を想定し、幅広の吃水の浅い船体を持ち、かつ冬季の海面凍結から砕氷能力も考慮された船型をしていました。4000トン級の船体を持ち、機関には砕氷時の前進後進の操作性、速力の調整等への配慮から、デーゼル・エレクトリック方式の主機が採用され、16ノットの速力を発揮する事ができました。しかしフィンランド湾沿岸での任務に特化した強力な艦として、外洋への航行は想定から外されて設計されたため、燃料搭載量が極めて少なく航続距離は700海里程度に抑えられていました。

武装としては、主砲には 隣国スウェーデンボフォース社が新設計した46口径25.4センチ連装砲を2基装備し、併せてこれもボフォース社製の新設計の10.5センチ高角砲を連装両用砲塔で4基搭載するという沿岸警備用の海防戦艦としては意欲的な設計でした。

これらの砲装備管制のために高い司令塔を装備したために、明らかにトップ・ヘビーな艦容をしています。とはいえ、その主要任務が活動海域を限定した移動要塞砲台的なものであることを考えると、それほど大きな問題ではないのかもしれません。

 

f:id:fw688i:20201227164217j:image

(直上の写真:「イルマリネン」(左)と「ヴァイナモイネン」(右):塗装は例によって筆者オリジナルですので、資料的な価値はありません)

 

イルマリネン:1931年就役。1941年9月、ドイツ軍がエストニア進出を企図して始動したノルトヴィント作戦に、ロシア艦隊への陽動部隊として参加中に触雷して喪失されました。沈没までの間、同艦はフィンランド艦隊の旗艦を務めていました。

ヴァイナモイネン:1930年就役。就役順としてはこちらの方が早かったため、資料としては同級を「ヴァイナモイネン級」と呼称する場合もあります。大戦終盤、ソ連フィンランドに対し反攻作戦を展開しますが、その中で同艦は、唯一の大型戦闘艦として数次の空襲で重要目標とされましたが、大戦を生き残りました。

大戦終結後は賠償艦としてソ連に引き渡され、バルティック艦隊に編入され、1958年に破棄が決定され、1966年に解体されました。

 

少し予告。

海防戦艦という艦種は、バルト海沿岸諸国で好んで建造された艦種です。古くはロシアのバルティック艦隊が保有していましたし(多くは日本海海戦に参加し、撃沈、あるいは日本海軍に鹵獲されました)、スウェーデン海軍はこの艦種を多く保有していました。現在、このスウェーデン海軍の系譜を整備中。2021年のどこかで、ご紹介できると思っています。その際には今回のフィンランド海軍の2隻も再登場していただくかも。ちょっと予告でした。

 

「冬戦争」と「継続戦争」

少し乱暴に整理しておきますと、フィンランド第二次世界大戦参加は、ソ連との国境問題に起因すると言っていいと思います。従って、彼らの参加は「第二次世界大戦への参加」と言う理解よりも、フィンランド国土をめぐる「冬戦争」と「継続戦争」、と言う整理をした方が理解しやすいと考えています。

 

「冬戦争」

1939年ソ連は国境線の変更とフィンランド国内への軍事施設の設置と軍の駐留を拒むフィンランドに侵攻し、いわゆる「冬戦争」が勃発します。圧倒的な戦力を誇るソ連に対し、フィンランドは抵抗しますが、その善戦も虚しく(なんか、初めて書いたお決まりのフレーズ!)、第二次世界大戦下にあって、頼みのドイツは独ソ不可侵条約により動けず、一方の英仏は対独戦展開中のため支援をフィンランドに送れず、孤立化の中で、領土の割譲など過酷な条件を受け入れ停戦せざるを得なくなりました。

ja.wikipedia.org

 

筆者は、直下に掲げた小さな空軍の活躍を描いた中山雅洋さんの名著「北欧空戦史」に触れたことで、第二次世界大戦の最中に行われた「冬戦争」「継続戦争」と「フィンランド軍」に興味を持ち始めました。

f:id:fw688i:20201227100243j:plain

https://www.amazon.co.jp/北欧空戦史-文庫版航空戦史シリーズ-13-中山-雅洋/dp/4257170131

 

そして「冬戦争」については梅本弘氏の「雪中の奇跡」を忘れることはできません。

f:id:fw688i:20201227100416j:plain

https://www.amazon.co.jp/s?k=梅本弘&i=stripbooks&page=2&__mk_ja_JP=カタカナ&crid=1SH9VFGKLOKCO&qid=1609031006&sprefix=梅本%2Cstripbooks%2C254&ref=sr_pg_2

f:id:fw688i:20201227163318j:image

(手持ちの1:144スケールモデルからのワンショット。冬季装備歩兵(一部はスキーを履いています)と軽戦車部隊。戦車は後にご紹介するBT-42突撃砲と、フィンランド軍が冬戦争当時主力戦車として30両保有していただビッケルス軽戦車(もしくは鹵獲したT-26戦車:いずれも英国製のビッカ-ス6t戦車がベースになっています。ビッケルスはビッカースのフィンランド語読み))

 

そして下記の映画はあまりにも有名。

www.youtube.com

 

そして「継続戦争」へ

1941年6月ドイツ軍が独ソ不可侵条約を一方的に破棄してソ連侵攻を始めると、フィンランドに駐留していたドイツ軍も同様に活動を開始し、これに反撃したソ連空軍がフィンランド空爆フィンランドも対ソ連戦を開始します。

フィンランドとしてはこの戦争を「冬戦争」から継続したソ連との領土問題に起因する二国間の戦争であると主張して、「継続戦争」の呼称が使われています。

この戦争では、フィンランドは「冬戦争」の停戦条件としてソ連軍の駐留を許し、軍事施設の設置を認めざるを得なかったフィンランド領内のハンコ半島を取り戻し、カレリア地方へ侵攻しレニングラード包囲戦の一翼を担います。一方で、ドイツ軍第36山岳軍団と協力し、北極海の米国からソ連に向けての支援物資の窓口であるムルマンスク方面等ラップランドへの侵攻作戦にも参加しますが、こちらは米国からの政治圧力等でフィンランド軍が侵攻を中止したため、作戦は成功しませんでした。

ja.wikipedia.org

 

「継続戦争」に興味を持たれた方、必読書をご紹介しておきます。

f:id:fw688i:20201227100934j:plain

https://www.amazon.co.jp/流血の夏-梅本-弘/dp/449922702X/ref=sr_1_3?__mk_ja_JP=カタカナ&dchild=1&keywords=梅本弘&qid=1609031326&s=books&sr=1-3

 

最近はこんな映画も。

プライベートライアン」や「ブラックホーク・ダウン」などの迫力に比べれば地味ながらも・・・。

www.youtube.com

 

最大の魅力は、その装備の「寄せ集め」感?

表題はフィンランド軍の魅力を一言で言うと、こんな感じかな、と筆者が思うこと、です。「分かる人はわかる」そんな感じでしょうか?とにかく独立直後の小さな新興国が、手に入る兵器はともあれ入手して、と言う感じがあります。当時の余剰兵器の見本市のような状態。そして、これはミリタリーマニア、あるいは模型マニアにとっては、とても魅力的。

 

まずは「冬戦争」時の主力戦闘機。

「フォッカー D-21」(フィンランド風にいうと「フォッケル」ですかね)

ja.wikipedia.org

オランダ製の固定脚の単葉戦闘機で、21機を完成機あるいは組み立てキットで購入し、さらに21機をライセンス生産しています。105日間の「冬戦争」で、12機が失われましたが、120機以上の撃墜記録を残したとか。

f:id:fw688i:20210110100716j:image

(こちらは頼りになるShapeways(Kampffieger models)の製品をストレートに塗装し、Mark I Model製のデカールを貼っています。欲を言うと、スキーを履いたモデルがあるともっと雰囲気が出たかもしれません。全長57mm 翼端長77mm

www.shapeways.com

 「冬戦争」当時ですら、既に一般的には旧式機として認識されていましたが、その後の継続戦争でも引き続き地上攻撃機として使われ続けました。

 

鹵獲兵器もどんどん活用。その代表格として。

Iー16

f:id:fw688i:20201230193130j:image

(鹵獲兵器もどんどん投入されました。冬戦争当時のソ連軍主力戦闘機の一つ「I-16」もその一つ。F-toys ウイング・キット・コレクション Vol.3?から。全長45mm 翼端長63mm)

 

そのほとんどが、型落ち、正式採用を見送られたような、本国ではちょっと「ポンコツ」評価をされながら、フィンランド軍の手にかかると第一線兵器として蘇る、そんな魔法を見る事があります。

その代表格が、次にご紹介するF2A戦闘機。

 

F2A艦上戦闘機ja.wikipedia.org

F2A艦上戦闘機は米海軍初の全金属単葉戦闘機として採用された艦上戦闘機ですが、 当時新興の航空機メーカーであったブルースター社は、生産能力の点で納期に所定の数量を間に合わせる事ができず、主力艦上戦闘機の座は、結局グラマン社のF4F「ワイルドキャット」に奪われてしまいます。

その後、F2Aは米軍では海兵隊で採用され、さらに輸出仕様の機体がイギリス空軍、オランダ空軍等で採用されましたが、いずれのケースでも特に太平洋戦線で配備されたF2Aは日本軍の零式艦上戦闘機や陸軍の一式戦闘機「隼」には歯が立たず、次第に第一線から姿を消してゆきます。

一方、同時期、「冬戦争」での経緯から、戦闘機をかき集めていたフィンランド空軍にも採用され、44機が納入されました。これらの機体は、それまでフィンランド軍が保有していたどの戦闘機よりも性能が上回るところから、「冬戦争」でフォッカーD-21の機体を運用して大戦果を挙げた第24戦闘機隊に配備され「ブルーステル」の通称で親しまれました。「継続戦争」初期には、同部隊で実に456機のソ連軍機を撃墜し、35人のエース・パイロットを生み出すと言う大活躍をし、「空の真珠:タイバーン・ヘルミ(Taivaan helmi)」と賞賛されました。

f:id:fw688i:20201227161633j:image

(直上の写真:筆者の手持ちストックから1:144のF2Aフィンランド空軍仕様。F-toys ウイング・キット・コレクション Vol.9から。全長55mm 翼端長74mmの可愛いモデルです)

1943年にドイツ軍からメッサーシュミット109G 型の供給が始まると、流石にエース戦隊はこちらに装備替えをしてゆきますが、運用は継続され、戦争末期のソ連軍による反攻作戦ではカレリア方面で再び活躍しました。

f:id:fw688i:20201230193035j:image

 (直上の写真はF2Aの後継主力戦闘機となったMe-109G。直下の写真は3機種の比較。意外とMe-109Gが小さい!)

f:id:fw688i:20201230193110j:image

 

一方で、魅力的なオリジナル兵器も。

その代表格がスオミ短機関銃。この銃は、歩兵といえば小銃(単発式ライフル銃)の時代にあって、時代を先取りする形で、見通しの悪い森林での運用を想定されて正式採用されたサブマシンガンの先駆者的存在、と言ってもいいでしょう。

同様に見通しの悪い市街戦等の状況への適応性の高さから、各国陸軍が競って同種の兵器を開発します。

ja.wikipedia.org

 

そして、鹵獲兵器や型落ち兵器の組み合わせからも、魅力的な装備が。 

BT-42突撃砲

フィンランド軍は多くのソ連戦車を「冬戦争」「継続戦争」鹵獲し、自軍の陣営に投入していますが、その中でも代表格、と言うとやはり「BT-42突撃砲」でしょうか。

f:id:fw688i:20201227162236j:image

(直上の写真:筆者の手持ちストックから1:144のBT-42突撃砲。39mmの可愛いモデルです。メーカーはPtshead)

http://nowear.se/pitheadphp/www/products.php?prtid=507

 

フィンランド軍は「冬戦争」当時、ソ連軍の主力戦車であった「BT -7」戦車を多数鹵獲しました。この既に主力戦車としてはやや非力とみなされていた戦車をベースに、こちらもやや旧式化していたイギリス製4.5インチ榴弾砲を搭載し、火力支援任務用の戦闘車両として改造されたものが同突撃砲です。18両が「継続戦争」に投入され、「継続戦争」初期(1942年)の突撃砲大隊の基幹戦力となりました。1943年頃から同大隊の装備がドイツ製の3号突撃砲に置き換えられると、独立戦車中隊に配置替えされ、特にソ連軍の反攻作戦に対し、ビーブリ防衛戦等に投入されました。

ja.wikipedia.org

 

最近では、こんなところでも有名になっちゃって。なんと所属は「継続高校」ですよ。

girls-und-panzer-finale.jp

 

と言う事で、思いつくままに(というか手持ちの模型を見ながら?)ツラツラと、ミリタリファン視点での、あるいは模型ファン視点でのフィンランド軍の魅力をご紹介してきたつもりですが、伝わっていますかね?もちろんこれはほんの一部分で、前出のF2A戦闘機の導入前に主力戦闘機として「冬戦争」を戦ったフォッカーD-21戦闘機、F2Aの後継となったMe109Gの大活躍や、これも前出のBT-42の後継として導入された3号突撃砲部隊の話など、ご紹介したい話は山ほどあります。

これはまた改めて、というか、もっと詳しい人がたくさんいらっしゃるような気がします。

 

最後に、「継続戦争」ものの映画で、日本では未公開の映画も。

Tail Ihantala 1944

1944年のソ連軍の反抗作戦に対し撤退戦を繰り広げるフィンランド軍を、モノクロの実写フィルム映像を織り交ぜながら(?)描いた映画です。3号突撃砲はもちろん、フォッケウルフ190(らしき機体)も登場します。軍服や装備品のマニア(筆者はあまりそちらは詳しくないのですが)は、たまらんのじゃないかな?

冒頭から3号突撃砲とT34の砲戦シーンが・・・。

f:id:fw688i:20201227162256j:image

(直上の写真:Tali Ihantala 1944のブルーレイ。筆者はEbayで入手しました。日本語字幕が入っていないので、気合を入れてみなくてはなりません)

筆者はBlue Reyを入手し、必死で英語字幕で見たのですが、最近、Youtubeで下記を発見。なんと日本語字幕を入れていらっしゃいます。ありがたや。

フィンランド製戦争映画 『Tali Ihantala 1944』 - YouTube

 

という事で、今回はここまで。

年内にもう一回?(もしかすると、2020年はこれでおしまいにするかもしれませんが)

 

次回は、どうしようか? 

もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

ブログランキングに参加しました。クリック していただけると励みになります。


艦船ランキング