本稿、前回投稿で少し触れたことですが、筆者の帰省もあって、本当は今週末はスキップの予定でした。
が、帰省中に、着手中だった「Melguid級」戦艦と「Fontenland級」戦艦の就役時のモデルが、予定より早く完成に漕ぎ着けました。この週末に出力依頼を行いましたので、今回は予定を少し変更してそのご紹介を。
合わせて、こちらは予定通り筆者の帰省中に手元に届いていましたので、こちらも無垢のモデルを簡単にご紹介しておきます。
「Melguid級」戦艦 「Fontenland級」戦艦の就役時形態のモデル:データの完成と出力依頼
これらの艦級は、王国海軍が列強海軍の弩級戦艦・超弩級戦艦の大建艦時代に、建造した王国海軍を代表する超弩級戦艦です。本稿では前回投稿でもご紹介した通り、両級の就役時のモデルを一旦作成しましたが、籠マストの外観、艦幅に違和感が生じ(多分に筆者の主観的なものです)、モデルを再製作、筆者の帰省先で完成し、現在出力を依頼中です。
今回は完成したデータのキャプチャー画像をご紹介しておきます。
「Melguid級」戦艦(就役:1913年 同型艦2隻)
(下図は、就役当時の「Melguid級」戦艦:原作者さんご提供の資料より)

同級は王国海軍が初めて建造した超弩級戦艦です。
当時の王国は宗教的な背景からヨーロッパ圏では異端視され孤立していましたので、設計や建造にまつわる技術支援を王国系移民が多く、宗教的にも文化的にも多様性に関して寛容なアメリカ合衆国に求めました。
上図では前檣は典型的な三脚マストになっていますが、米海軍の強い勧めもあって、籠マストの戦艦として建造されました。
建造の経緯・背景
それまで沿岸警備に重点を置いていた王国は、同艦の建造以前には、沿岸に領地を与えられた王家の支族、あるいは沿岸地方の有力実業家(多くは政治家でもありました)が、沿岸警備、主として隣国イングランドからの渡海侵攻阻止用に自ら購入した特設軍艦を寄せ集めたような海軍しか持っていませんでした。
一方で王国の状況を見てみると、1840年の「穀物危機(ジャガイモ飢饉)」に端を発し、当時の第24代国王「カーディアン」が半ば強制的に推進した海外移民政策、対外的な「王国」の独立表明(1850年)などによる国際社会への積極参加、さらにはこうした「拡張政策」指向と第25代国王「エリュシアン」の卓越した経済政策などが相まって、王国の国際的なプレゼンスは著しい向上を示していました。こうした背景から、王国は増加した(させた)海外移民の権益保護も併せて、本格的な海軍を早急に設立する必要に直面することになります。
一方で世界の海軍整備の趨勢を見ておくと、普墺戦争でのリッサ海戦(1866年)での装甲蒸気軍艦同士の海戦、その後極東で俄に勃興した日本海軍の実施した二つの対外戦争(日清・日露)での戦訓を経て、画期的な戦艦「ドレッドノート」の登場(1906年)へと目まぐるしく動きます。
各列強が競って建造した弩級戦艦は瞬く間に超弩級戦艦へと発展し、これらの展開は各国が前日まで営々と蓄積整備してきた海軍装備を一気に陳腐化させるという両刃の刃でもありました。
王国はこれらの変化を新興海軍が装備面で列強に追いつく本格海軍建設の絶好の機会として捉えるに至ります。
こうして生まれたのが初の航洋性を持った本格水上戦闘艦「Melguid級」戦艦でした。
同級は同時に、ヒルベニア周辺海域に強いプレゼンスを示す存在となることも期待され、設計段階で最後まで実用面での議論が続いた中間砲(20センチ砲)を搭載していました。次級「Fontenland級」とともに史上他に類を見ない中間報を装備した超弩級戦艦群となりました。

(「Melguid級」戦艦のキャプチャ画像に見る概観:151mm in 1:1250:下の画像では、装備に長い議論のあった上部構造物脇に搭載された中間砲と、舷側に装備された12,5センチ副砲、同級の特徴である籠マストなどのアップを示しています)

タレット上には36センチ主砲(下の写真)が搭載されます。

同級の2隻(「Melguid」「Dom Doara」)は就役後は本国水域にとどまり、本国沿岸の警備、周辺通商路の護衛任務などを務めていましたが、第一次世界大戦後、戦時特需で得た経済力を背景に国際社会の承認を取り付けた多くの王国民が移住していた東地中海の海外領設立(ラ・デューン州:現レバノン・モクスター州:現キプロス)に伴い創設された地中海艦隊に派遣されました。
後に両艦の存在を目障りとしたギリシアの破壊工作で大破着底させられ、損害の比較的軽かった「Melguid」は浮揚され戦艦として復旧されましたが、損害の大きかった「Dom Doara」は戦艦としての復旧を断念し、大規模な改造が加えられ世界初のアングルドデッキを備えた空母として再生されました。
空母「Dom Doara」

(制作中の空母「Dom Doara」のキャプチャ画像に見る概観:151mm in 1:1250:船体の下半分は、今回製作した「Milguid」のモデルを流用しています。「世界初」のアングルドデッキを装備した空母ということで、まだモデルとしては製作途上なので、またいずれ)

「Fontenland級」戦艦(就役:1915年 同型艦2隻)
(下図は、就役当時の「Fontenland級」二番艦の「Rimuldarl」:原作者さんご提供の資料より)

同級は「Melguid級」戦艦の強化発展型として建造されました。
連装主砲塔を一基増設し36センチ主砲12門という強大な火力を備え、船体形状の洗練と新型機関の採用で艦型が大型化したにも関わらず速力は向上しています。「Melguid級」同様の理由で、本級も中間砲を搭載した珍しい超弩級戦艦として建造されました。

(「Fontenland級」戦艦のキャプチャ画像に見る概観:166mm in 1:1250:下の画像では、装備に長い議論のあった上部構造物脇に搭載された中間砲と、舷側に装備された12,5センチ副砲、同級の特徴である籠マストなどのアップを示しています)

同級は就役後も本国海域に留まり、特に一番艦「Fontenland」は本国艦隊の旗艦を務めました。王国が第二次世界大戦に参戦すると二番艦「Rimul Darl」は王国海軍の主戦場となった地中海に移動、地中海艦隊の旗艦となりました。
両艦共に第二次世界大戦を生き抜き、大戦後、退役しました。
今回投稿のもう一つのお題は王国海外領の成立と地中海艦隊の創設時のお話です。
王国地中海艦隊:創設期の基幹艦艇
本稿前回投稿で「現在、モデルを出力依頼中」とご紹介していましたが、出力モデルが届きましたので、簡単にご紹介します。
モデル作成にあたっては、原作者さんの設定をかなり大きく変更しています。これは全て筆者の妄想によるもので、地中海艦隊の創設を急いだ「王国」は、敗戦国のオーストリア=ハンガリー帝国海軍が戦後賠償として戦勝国に供出した艦艇を複数取得し、まずは当面の地中海艦隊の基幹戦力とした、というストーリーに沿って取得艦艇を決定したためです。
それぞれのモデル製作に当たっては、それなりに工夫があったのですが、それは前回投稿で「ブツブツ」書いていますので、そちらをご一読ください。
下記ではそれぞれのオリジナルとなった艦艇から、王国海軍への編入時の改良点などを簡単にご紹介しておきます。
装甲巡洋艦「Boza Logram」となった戦艦「バベンベルク」:「ハプスブルグ級戦艦」2番艦(1902年~就役:同型艦3隻)


(装甲巡洋艦「Boza Logram」の概観:92mm in 1:1250:WTJのモデルデータをベースに、艦尾の砲塔を単装から艦首と同じ連装に換装しています。出力されたままの無垢のモデルです)
「Boza Logram」は表題の通り「ハプスブルク級」前弩級戦艦の三番艦「バベンベルク」を王国海軍がイタリアから買い取ったものです。王国海軍への編入にあたっては、新しい機関への換装で出力が18000馬力まで高められ、速力は22ノットへ向上しました。兵装面では主砲を連装砲塔と単装砲塔の混載から23センチ連装砲塔2基に改めています。副砲以下の兵装はそのまま維持されました。
元々はオーストリア=ハンガリー海軍が建造した最初の前弩級戦艦ですが、アドリア海での運用を想定したために、列強の同時期の戦艦よりもかなり小型の戦艦になっています。
王国海軍は同艦を装甲巡洋艦として就役させました、
装甲巡洋艦「Garu Derota」となった海防戦艦「ブダペスト」:「モナルヒ級海防戦艦」3番艦(1898年~就役:同型艦3隻)


(装甲巡洋艦「Garu Derota」の概観:93mm in 1:1250:WTJのモデルデータをベースに、機動性を高めるために上部構造はそのままに、船体の寸法を拡大しています。出力されたままの無垢のモデルです)
「Garu Derota」は王国が地中海艦隊の構成艦として、賠償艦としてイギリスに引き渡された「モナルヒ級」海防戦艦の二番艦「ブダペスト」を英国から購入し、装甲巡洋艦として地中海艦隊に編入したものです。
王国は地中海艦隊の基幹構成艦として、紛争海域への早期の展開を目指して、速力と航洋性を改善するために、機関と船体形状を変更するほどの大きな改造を加えています。この改造は一定の効果を上げたものとみられ、王国地中海艦隊への就役後はコンパクトな艦型と改善された機動性で、かなり使い勝手の良い艦とみなされ、警備行動の必要事象等の有事発生の際には真っ先に現地に派遣されました。
装甲巡洋艦「Andor Genesis」となった戦艦「ズリーニ」
:「ラデツキー級戦艦」3番艦(1910年~就役:同型艦3隻)


(装甲巡洋艦「Andor Gemnesis」の概観:108mm in 1:1250:STAFFABRの1:700スケールの「ラデツキー級」戦艦のモデルデータを1:1250スケールにスケールダウンしたものです。元のモデルは複雑な構造で1:1250スケールでは再現できないので、やや簡素化しています)
「Andor Genesis」は王国が当面の新設地中海艦隊の旗艦として、イタリアから購入した「ラデツキー級」準弩級戦艦の三番艦「ズリーニ」です。同艦はアドリア海を運用海域として機動性を重視し比較的小型な艦艇を装備し続けたオーストリア=ハンガリー海軍が初めて建造した列強並みの大きさと強力な火力を持った準弩級戦艦で、比較的新しい船であったこともあり就役に当たっては地中海艦隊の旗艦設備等の追加以外には大きな改造は行われませんでした。

(準弩級戦艦「ラデツキー級」をベースとしていますので。就役時には主砲(下段左)に加え中間砲(下段右)を備えています)
就役時には中間砲を備えていましたが、その後、中間砲は対空火器に換装されています。
王国海外領の成立と通商路警備艦艇の導入
王国は第一次世界大戦後のヨーロッパ列強の混乱に乗じる形で一気に海外領を獲得した王国は、海軍に海外領の警備・哨戒と本国と海外領を結ぶ通商路の保護・警戒の任を新たに課す事になります。上述のように東地中海の海外領警備については新たに地中海艦隊が創設されましたが、通商路の警戒には、より展開力が期待され、つまり足が早く航洋性に優れた強力な艦が求められる事になるわけです。
こうして王国は英国から2隻の巡洋戦艦を購入しました。
巡洋戦艦「Starreyna」(元英海軍巡洋戦艦「インフレキシブル」:1908年竣工:王国海軍への編入は1922年)

上記のような経緯から、フェアリーランド王国海軍は英国海軍の「インヴィンシブル級」巡洋戦艦の3番艦「インフレキシブル」を購入します。

(巡洋戦艦「Starreyna」の概観:137mm in 1:1250 by WTJ)
「Starreyana」はほぼ「インフレキシブル」原型のままフェアリーランド海軍に編入され、本国と東地中海を結ぶ航路の護衛・警戒任務に着きましたが、第二次世界大戦直前の1933年から34年にかけて近代化改装が行われ、対空能力のある両用砲が搭載されるなど対空戦闘の能録が強化されています。同時期に機関が換装され、前部上構にあった煙突2本が1本に改められ、前檣上に射撃指揮所がおかれ、電探も装備されました。
(第二次世界大戦参戦時の巡洋戦艦「Starreyana」の概観:煙突が2本構成に改められ、対空兵装の増設・強化等が行われています。下地処理をした段階のモデルです。無垢のモデルと比較すると、下地書影をしただけでも締まって見えるもんですね)
巡洋戦艦「Frescana」(元英海軍巡洋戦艦「ニュージーランド」:1912年竣工:王国海軍への編入は1922年)

上述の「Starreyana」とほぼ同様の経緯で、王国海軍は英国が放出した「インディファティカブル級」巡洋戦艦の2番艦「ニュージーランド」を取得し「Frescana]と命名して就役させました。

(巡洋戦艦「Frescana」の概観:141mm in 1:1250 by WTJ)
王国海軍に編入された「Frescana」は上述の「Starreyana」同様、本国と東地中海を結ぶ航路の護衛・警戒任務にあたりましたが、第二次世界大戦直前の1933年から34年にかけて近代化改装が行われ、対空能力のある両用砲。さらに近接戦闘用のポンポン砲などが搭載され対空戦闘への対応力が強化されています。前檣上の射撃指揮所が改装され、電探も装備されました。

(第二次世界大戦参戦時の巡洋戦艦「Frescana」のの概観:141mm in 1:1250 by WTJ:前檣の大型化、対空兵装の増設・強化を施してあります。下地処理をした段階のモデルです)
ここまで書いて、次回投稿時までには「Melguid級」「Fontenland級」のモデル出力が終わっているかどうか次第ですが、第一次世界大戦直後の、フェアリーランド王国海外領の成立に伴う同海軍初期の艦艇群のモデル整備のアップデートがどこまでご紹介できるか、その辺りのお話になろうかと思っています。このところモデルデータの製作に時間が取られ、肝心のモデルの仕上げが滞っている傾向が気になっています。少し本稿の投稿間隔を開けてでも、モデルの仕上げに集中したいところではあります。
もちろん、もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。
模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。
特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。
もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。
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