相州の、1:1250スケール艦船模型ブログ 主力艦の変遷を追って

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

海上自衛隊 護衛艦発達史(4) イージス艦の登場

ターターシステムからイージスシステムへ

既述のように、海上自衛隊シーレーン防衛を担う基幹単位として護衛隊群を構想、整備し、理想とする護衛艦8隻と搭載ヘリコプター8機からなる8艦8機編成、4個護衛隊群の保有を、1980年代後半に実現した。

8艦8機編成における各護衛隊群は、一般的には、DDH(ヘリコプター搭載護衛艦:ヘリ3機搭載)1隻、DDG/DDA(ミサイル護衛艦・対空戦闘担任艦)2隻、汎用護衛艦(ヘリコプター1機搭載)5隻 からなる。

この各護衛隊群の艦隊防空を担うのが、DDG2隻(もしくはDDG+DDA)であり、艦対空システムとして、永らくターターシステムがその主力防空システムであった。1960年代に建造されたミサイル護衛艦「あまつかぜ」で初めて導入され、続く「たちかぜ級」ではシステムのデジタル化、戦術情報処理装置が導入され、さらに「はたかぜ級」ではCIC化、機関のガスタービン化などにより、一応の完成形と評価されるに至った。

しかし一方で、仮想敵の機載対艦ミサイルの著しい発展、さらには発射プラットフォームである攻撃機自体の性能向上、電子戦機の導入などから、同時に1-2目標への対応を想定した従来のシステムでは性能上対処困難な事態が想定されるようになった。

こうした要請から、イージスシステムを搭載した護衛艦の導入が検討され始める。(システムの詳細は、下記のリンクに委ねたい)

ja.wikipedia.org

イージスシステム(Aegis Weapon System: AWS)は、ターターシステムなど従来のいわゆる防空システムの枠にとどまらず、レーダー等のセンサーシステム、情報処理システム、武器システムを全て連結した統合的戦闘システムである。

同時に128目標を補足・追跡し、脅威度の大きい10目標程度を特定し迎撃することが、自動でできる。

このシステムへの接続は、イージスシステム搭載艦にとどまらず、他の機器搭載艦艇とも接続可能で、従って、個艦の武器システムのみでなく、例えば導入護衛隊群全体の武器システムによる艦隊防空が可能となる。

 

DDG こんごう級イージス護衛艦(1993- 同型艦4隻)

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Kongō-class destroyer - Wikipedia

海上自衛隊初のイージスシステム搭載ミサイル護衛艦である。 

米海軍の同じくイージスシステム搭載艦であるアーレイ・バーク駆逐艦タイプシップとし、艦型・機関ともこれに準じている。

併せて、本級から、従来DDHが担っていた護衛隊群旗艦が同級に移管されることとなったため、上部構造および艦型も大型化した。(7250トン、30ノット)

(129mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをほぼストレートに組んだもの)

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本級の中核的な装備となるのはもちろんイージスシステム(AWS)であるが 、そのセンサーシステムの中心的な役割を負う多機能レーダーは、艦橋の4面に固定された巨大なパッシブ・フューズドアレイアンテナに象徴され、これに上記の旗艦施設などを加え、非常に重厚な上部構造物を構成している。

これに連動するミサイル発射機はMk. 41 VLS(垂直発射機)を艦首甲板に29セル、艦尾甲板に61セルを装備している。

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(Mk.41 VLS こんごう級艦首甲板の29セルと艦尾甲板の61セル。VLS前方には主砲として装備されたオート・メララ製54口径5インチ単装速射砲(127mmコンパット砲)が写っている)

 

ja.wikipedia.org

他に対空兵装としては、主砲にオート・メララ製の54口径5インチ単装速射砲(127mmコンパット砲)を装備し、近接個艦防空用に2基のCIWSを艦上部構造の前後に保有している。

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対潜兵装としては、前述の艦首部のMk.41 VLSに垂直発射型のアスロック(VLA)を装備し、併せて対潜短魚雷発射管を両舷に装備している。

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対艦兵装としては、艦対艦ミサイルハープーンを4連装ランチャーで2基装備している。

 

DDGとして前級に当たる「はたかぜ級」DDGと同様に、艦後部にはヘリコプターの発着甲板が設けられたが、ハンガー等の設備はなく、従って固有の対潜ヘリコプターは保有しない。

 

 DD むらさめ級護衛艦(1996- 同型艦9隻)

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Murasame-class destroyer (1994) - Wikipedia

汎用護衛艦の第二世代として、「むらさめ級」は9隻が建造された。現在の護衛隊群の基準構成艦となっている。

兵装等の装備は前級と同様を想定しながら、搭載電子機器類の増加への対応や、ヘリ運用能力の強化、居住性改善等の要請から、船体は大型化した。(4550トン、30ノット)

(120mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをほぼストレートに組んだもの)

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前述のように、兵装は前級である「あさぎり級」とほぼ同様である。

砲熕兵器としては、主砲に62口径3インチ単装速射砲(76mmコンパクト砲)、個艦防御兵器としてCIWSを両舷に1基づつ搭載している。

主要対潜装備としては短対潜誘導魚雷発射管とアスロックを装備し、対空兵装としてはSAM(シースパロー)を、いずれも垂直発射式で搭載している。

アスロックは艦首部のMk. 41 VLS 16セルに搭載されている。

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SAM(シースパロー)は、艦中央部にMk. 48 VLS 16連装のキャニスターに収容された。

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いずれも、搭載弾数は前級と同様ながら、いずれもVLS搭載とすることで、即応発射弾数は倍になった。

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(前部甲板に装備されたMk.41 VLS 16セル:アスロック用と、艦中央部に装備されたMk.48 VLS 16キャニスター:シースパロー用)

 

艦対艦兵装としては、従来のハープーンに替えて国産の90式対艦誘導弾を4連装キャニスター2基に搭載している。

ja.wikipedia.org

 

加えて1機の対潜ヘリコプターを固有の搭載兵装として保有したが、ハンガーは「あさぎり級」よりも大型化され、「あさぎり級」ではあくまで応急的な運用とされていたのに対し、2機運用を想定したものとな離、実際にソマリア派遣等の際には2機運用が実施されている。

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(艦尾部のヘリコプター発着甲板と大型化したヘリハンガー)

 

DD たかなみ級護衛艦(2003- 同型艦5隻)

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Takanami-class destroyer - Wikipedia

第二世代の汎用護衛艦として前級「むらさめ級」は建造されたが、本級はその最小限の改正型として建造された。前級の「むらさめ級」、次級の「あきづき級」と共に、現在の護衛隊群の基準構成艦となっている。(4650トン、30ノット)

その主たる改正点は、Mk.41 (アスロック用)とMk.48(シースパロー用)の2種のVLSの併載の解消による運用の合理化と、主砲射撃能力の向上の要請への対応、更に前級で可能となったヘリコプター2機運用体制への本格的対応等であった。

(120mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをほぼストレートに組んだもの)

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兵装は基本的に前級「むらさめ級」に準じるが、VLSは艦首部のMk. 41 32セルに統合され、 主砲は「こんごう級」と同様のオート・メララ製の54口径5インチ単装速射砲(127mmコンパット砲)を搭載した。

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(艦首甲板のMk.41 VLS 32セル :たかなみ級ではVLSを艦首部の一か所にまとめて装備した。セル数の増加で装備方法が変更され、甲板よりも一段上がった装着方法となった。VLS前方には主砲として装備されたオート・メララ製54口径5インチ単装速射砲(127mmコンパット砲)が写っている)

 

ヘリの2機運用体制については、前級「むらさめ級」では1条であったRAST発着艦支援装置の機体移送軌条を2条とし、さらに上記の「むらさめ級」では艦中央部、ハンガー前部に隣接していたシースパロー用のMk. 48発射機を、艦首部に統合移設したことから生まれたスペースでハンガーを拡大、ヘリ運用スペースやヘリ用の弾庫の拡大により本格的な2機運用体制を充実させた。

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(艦尾部のヘリコプター発着甲板と大型化したヘリハンガー)

 

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(艦尾部のヘリコプター発着甲板:むらさめ級(上)では1条だったRAST発着艦支援装置の機体移送軌条が、たかなみ級(下)では2条に追加されたことがわかる)

 

当初計画では、本級を11隻建造し、8艦8機編成を充足する予定であったが、実際には5隻で打ち切られ、新装備を搭載した次級の建造に移行することとなった。

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(第二世代汎用護衛艦比較:むらさめ級(右)とたかなみ級(左)。主砲、VLS配置を除き、全体の配置は非常によく似ている。最小限の改正、ということか

 

 

DDG あたご級イージス護衛艦 (2007- 同型艦2隻)

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Atago-class destroyer - Wikipedia

海上自衛隊の2代目のイージスシステム護衛艦である。護衛隊群の8艦8機編成の維持にあたり、退役する「たちかぜ級」DDGの代替艦として建造された。

基本的には前級「こんごう級」の性能向上型であり、船体後部にハンガーを設けヘリコプター搭載能力を付加したことにより艦型がさらに大型となった。(7750トン、30ノット)

(131mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをほぼストレートに組んだもの)

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イージスシステムは下位ユニットも含めバージョンアップされたものになっており、性能は向上している。

ミサイル発射機はMk. 41 VLSを前部甲板に64セル、艦尾部のヘリハンガー上部に32セルを搭載している。また近接防御兵器としてはCIWS2基を「こんごう級」同様、艦上部構造の前後に配置している。

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(Mk.41 VLS あたご級艦首甲板の64セルと艦尾ヘリコプターハンガー上の32セル。本級から前部、後部のそれぞれの装填用クレーンが廃止された。上の写真にはあたご級から採用された主砲62口径5インチ単装砲(Mk. 45)が写っている)

 

対潜兵装は「こんごう級」と同じく垂直発射式のアスロックをMk. 41 VLSに収め、さらに対潜短魚雷3連装発射管を両舷に装備している。

対艦兵装としては、前出の汎用護衛艦と同様、ハープーンに替え国産の90式対艦誘導弾を装備、さらに主砲として62口径5インチ単装砲(Mk. 45)が装備されている。

ja.wikipedia.org

「あたご級」の兵装変更の最大の目玉は既述の通りヘリコプター搭載能力の付加であり、艦後部にはヘリコプターハンガーが設けられた。

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(あたご級の追加装備の目玉、艦尾部のヘリコプター発着甲板と大型ヘリコプターハンガー)

 

イージス時代の護衛艦「やまと」

2000年代に入り、海上自衛隊の艦隊防空システムがイージスシステムとなった。

同時に長らく海上自衛隊の艦隊防空を担当してきたDDG「やまと」も、イージス艦として生まれ変わった。

艦の上部構造はイージスシステム搭載に対応する巨大なものに改装され、艦の前後左右に全体で240セルのMk 41 VLS(スタンダードSAM、アスロックSUM、シースパロー短SAM用)を搭載した。

その他、近接防空用兵装として23キロの最大射程、毎分45発の発射速度を持つオート・メララ54口径5インチ速射砲4基、CIWS4基を搭載している。(もちろん9門の18インチ主砲はそのまま)
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 模型視点でのコメントを少し:こちらのモデルは、Delphin社製の「大和」をベースとし、その船体を利用し、あわせて主砲塔を換装している。上部構造はF-toy社製の現用艦船シリーズからストックしていた何隻かの上構をあわせて転用している。さらに同じく現用艦船シリーズのストックから、武装を選択して搭載している。

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(直上の写真はイージス護衛艦「やまと」の上部構造:左右にMk 41 VLS、5インチ速射砲、CIWSなどを搭載している

 

(ちょっとぶつぶつ。ご意見募集)

18インチ主砲を与えられたイージスシステムは、どのようにこれを使いこなすのだろうか?それ以前に、デリケートなイージスシステムが18インチ主砲の発射時の衝撃に耐えられるのだろうか?おそらくVLSは大和のバイタルパートの外になっているのだが、それで問題ないのだろうか?等々、疑問満載の艦ではあります。本稿の初回でも記載しましたが、そもそも本稿はFaceBookの”Cancelled, Never Were & What If Ships - Plastic Model Ships”というグループに”Aegis BB Yamato”というタイトルで投稿したところに着想を得て始まっています。

制作途上では、三番主砲塔を撤去しそこにVLSを集中装備するか、とも考えたのですが、やはりそういうデザインを私自身も受け付けず、現在のフォルムになっています。上記のFacebookのグループで「そんなことを考えるなんて、君はなんてやつだ。絶対に主砲は外しちゃダメだ」と、不思議な激励を受けました。

では、主砲はどう使われるのか?例えば、「イージスシステムが健常に機能している間は、おそらくイージスシステムは主砲を選択しない。全てのミサイルを撃ちつくし、さらにその後に大きな脅威が現れた時にのみ、主砲は選択される。ましてや運用しているのは海上自衛隊である。沿岸部に艦砲射撃、などという場面はまず発生しない」、つまり万策尽きた時の最終手段案。あるいは「最大射程での防空射撃目的なので、大仰角での射撃となるため、あまり影響は受けない(そんなことないよね?)」とか。

ご意見を伺えれば嬉しいのですが。

 

次回は海上自衛隊護衛艦開発史の最終回を予定しています。空母型DDHが登場します。

 

***模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。

 

これまで本稿に登場した各艦の情報を下記に国別にまとめました。(今回紹介した艦船からのアップデートは特にありません。でも、こっそり日本海軍の筑波級巡洋戦艦装甲巡洋艦の写真が変わっていたりするかも)

fw688i.hatenadiary.jp

内容は当ブログの内容と同様ですが、詳しい情報をご覧になりたい時などに、辞書がわりに使っていただければ幸いです。

 

 

海上自衛隊 護衛艦発達史(3) 護衛隊群の整備・ DDHの登場

護衛隊群 

貿易立国をその成長基盤とした急速な経済成長は、シーレーン防衛の重要さへの意識を高めた。

3次防・4次防の整備計画で、海上自衛隊の編成の基幹単位として、シーレーン防衛を担う護衛隊群の編成方針が徐々に確立した。

 

海上自衛隊は、その黎明期から洋上航空兵力の運用を検討し続けていた。

設立当初には、既に米海軍よりヘリ空母の貸与の申し出があったが、海自は時期尚早としてこの申し出を受けなかった。

1960年代に入り、当時の仮想敵であったソ連海軍の原潜配備の進展等により潜水艦脅威が増大した背景を受け、 改めてヘリコプター搭載護衛艦の建造が具体的に検討された。

先行する知見から、有効な対潜戦闘には4機のヘリコプターが必要であり、4機の常時運用体制を確立するためには、一個護衛隊群に最低6機のヘリコプター搭載能力が求められた。

 

各護衛隊群は、対潜水艦戦闘に有効な複数の対潜ヘリコプターの運用能力を有し、あわせて艦対空誘導ミサイルをその中核に据えた高い対空火網を構成する能力を有することを目指し、新造護衛艦群が建造された。

 

 DDH はるな級ヘリコプター搭載護衛艦(1973- 同型艦 2隻)

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Haruna-class destroyer - Wikipedia

(124mm in 1:1250 Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapon setに換装。就役時の姿を示している。艦後部を広いヘリコプター発着甲板と、ハンガーが占めている)

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「はるな級」護衛艦(DDH)は、 上記の護衛隊群の中核を担う艦として、海上自衛隊が初めて建造したヘリコプター搭載護衛艦である。(4700トン)

3機の対潜ヘリコプターを搭載し、艦後部に対潜ヘリコプター運用のための整備・格納庫と発着甲板を備えている。このタイプの護衛艦2隻を中核に護衛隊群を構成し、本稿の冒頭に述べた対潜ヘリ6機の運用体制を確保する、というのが本艦導入の基本構想であった。

船体の形態としては、自衛艦に定着した感のある遮浪甲板型をもとにその後端をカットした長船首楼型を採用し、ほぼその後部半分がデッキハンガー(整備・格納庫と発着甲板)で占められている。機関は蒸気タービンを搭載し、31ノットの速力を発揮した。

艦前部には、54口径5インチ単装速射砲(ライセンス生産の73式)を2基搭載し、あわせて対潜装備としてアスロックランチャーを搭載した。他に対潜誘導魚雷の短魚雷発射管を搭載していた。

 

FRAM改修

1980年代に、後継の「しらね級」ヘリコプター搭載護衛艦に同等の能力を得るべくFRAM改修(艦隊再建近代化計画)が行われ、戦術情報処理システムの搭載、電波兵器の更新等に加え、個艦防御尿力の向上を目指しCIWS(20mmバルカン機関砲)と短SAM(シースパロー)が追加搭載された。

(直下の写真はFRAM改修後のはるな級の姿。艦橋部がやや大型化し、武装の追加が行われた)

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 シースパローは、近距離での個艦防空を担う対空ミサイルである。ターターシステム等の艦隊防空システムが、おおよそ16kmから40kmのレンジをカバーして艦隊(護衛隊群)全体に防空火網を形成するのに対し、シースパローは8km-18km程度の範囲で個艦と僚艦程度の範囲をカバーする。その名の示す通り元々は航空機搭載用の対空ミサイルを艦載型に改良したものである。 

 

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 20mmバルカン機関砲と小型追尾レーダーの組み合わせで、小型の高速飛来目標を全自動で迎撃できるようにしたシステムである。有効射程は1.5km程度とされ、艦隊防空システム、僚艦防空ミサイルが撃ち漏らした飛来目標に対する最終火網を担当する。

発射速度は毎分4500発とされているが、弾倉の装填数は1500発程度で、20秒程度で撃ち尽くしてしまう計算になる。再装填には30分程度を要するため、波状的な襲撃に対しては弱点があるとする声もある。

 

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(直上の写真は、FRAM改修で追加された武装。上段:大型化した艦橋部とCIWS。下段:ハンガー上部に追加されたSAM(シースパロー)発射機) 

 

DDG たちかぜ級ミサイル護衛艦 (1976- 同型艦 3隻)

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Tachikaze-class destroyer - Wikipedia

(115mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装。アスロック等最後を再現してみた)

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本級は、ミサイル護衛艦「あまつかぜ」に次ぐ、第二世代のミサイル護衛艦(DDG)として3隻が建造された。

「あまつかぜ」に続き、ターターシステムを搭載し、これと主砲に採用した54口径5インチ単装速射砲(ライセンス生産の73式)2基をあわせて、護衛隊群の防空の要の役割を担った。

船体は護衛艦標準の遮浪式甲板型を採用し、蒸気ボイラーを主機としている。(3850トン、32ノット)本級の最終艦「さわかぜ」は、護衛艦として蒸気タービンを採用した最後の護衛艦となった。

上記の主要な対空兵装以外に、対潜兵器として、「しらね級」と同様に、アスロック8連装発射機と短対潜誘導魚雷を装備している。さらに後日、CIWS2基が追加装備され、近接防空能力も向上された。

同級3隻のうち、最後に建造された「さわかぜ」では、対空ミサイルの発射装置(Mk13)が更新され、ハープーン対艦ミサイルも発射できるようになった。

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Mk 13はランチャーの直下に40発のミサイル弾庫を保有し、1分間に約7発のミサイルを発射することができる。

 

 

DDH しらね級ヘリミサイルコプター搭載護衛艦(1980- 同型艦 2隻)

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Shirane-class destroyer - Wikipedia

(127mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをストレートに組んでみた)

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本級は、海上自衛隊が建造した第二世代のヘリコプター搭載護衛艦(DDH)である。

基本的に前級「はるな級」の拡大改良版であり、イージス艦の登場まで、海上自衛隊護衛艦では最大の艦でもあった。(5200トン、32ノット)

船型は、「はるな級」に準じ遮浪甲板型をもとにした長船首楼型であり、前半部に主砲等武装を搭載し、後半分には、「はるな級」と同様、対潜ヘリ3機の整備・運用のためのハンガーデッキとなっていた。機関もはるな級同様、蒸気タービンを搭載している。

基本武装も、「はるな級」と同じく54口径5インチ単装速射砲(ライセンス生産の73式)を2基、主砲として搭載し、あわせて対潜装備としてアスロックランチャーと短対潜誘導魚雷を装備した。個艦防空武装としてはCIWS2基と短SAM(シースパロー)を最初から装備していた。

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(DDH2代:はるな級(左) しらね級(右))

 

 

DDE 護衛艦いしかり(1981- 同型艦なし)

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JDS Ishikari - Wikipedia

 

DDE ゆうばり級護衛艦(1983- 同型艦 2隻)

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Yūbari-class destroyer escort - Wikipedia

(71mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装)

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ここで紹介する、護衛艦「いしかり」およびその拡大改良型である「ゆうばり級」護衛艦は、ともに、主として北方配備を想定して建造された沿岸警備用護衛艦(DDE)である。

当時、特に北方海域で仮想敵と想定されたソ連海軍は、艦対艦ミサイルを装備した大型対潜巡洋艦き加え、同じく艦対艦ミサイルを主兵装としたミサイルコルベットなど小型艦の配備傾向が見られ、これに対抗するために艦対艦ミサイルを装備した護衛艦の導入が求められた。

「いしかり」および「ゆうばり級」には、艦対艦ミサイルハープーンが特徴的な4連装キャニスター形式で、自衛艦として初めて搭載された。

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艦対艦タイプのハープーンは約140kmの射程を持ち、発射時に与えられた目標の位置データに向けて完成誘導されたのち、最終段階で自らの搭載レーダーによるアクティヴ・ホーミングにより目標に突入する。

 

また「いしかり」は自衛艦として初めて機関をガスタービンにした記念すべき艦でもある。小型の艦型へのガスタービンの採用により、その船型は中央船楼型となり、この船型は「ゆうばり級」でも踏襲された。

ハープーン以外の兵装としては、対潜装備としてボフォースロケットランチャーと短対潜誘導魚雷を装備している。

主砲には62口径3インチ単装速射砲(76mmコンパクト砲)を、これも自衛艦としては初めて採用した。

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高い速射性能を持つ速射砲を小型軽量で優れた動作性を有する砲塔に搭載した個艦防御用の無人速射砲システムで、1分間に85発の発射速度を誇っている。(スーパーラピッドタイプでは1分間に120発)砲塔直下に回転式の弾倉を2層、もしくは3層備え、弾丸を供給する。

コンパクトで軽量な特性から、ミサイル艇などの小型間にも搭載可能である。

 

いしかり:1290トン 25ノット

ゆうばり型:1470トン 25ノット

 

 

DD はつゆき級護衛艦 (1982- 同型艦 12隻)

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Hatsuyuki-class destroyer - Wikipedia

(104mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装。アスロック等最後を再現してみた)

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先述の、各3機の対潜ヘリを搭載するDDH「はるな級」、「しらね級」各2隻の就役により、 海自の理想とする対潜ヘリ6機運用可能な2個護衛隊群を保有することができた。

しかし、シーレーン防衛のためには、海自には4個護衛隊群の運用が必要とする構想があり、引き続き対潜ヘリ搭載能力の充実を構想に入れた新造護衛艦の建造が構想された。

この時期、長らく護衛隊群の主力を務めてきた第一世代の護衛艦が引退の時期を迎えつつあり、その代替である次級護衛艦の「はつゆき級」には、対潜ヘリ搭載能力が求められた。

「はつゆき級」は12隻建造され、その就役後には、4個護衛隊群全てが、ヘリ搭載護衛艦:DDH1隻(対潜ヘリ3機搭載)、対空担当艦としてミサイル護衛艦:DDG2隻(もしくは多目的自衛艦DDAを加える)、汎用護衛艦「はつゆき級」3隻(対潜ヘリ各1機搭載、計3機)、対潜護衛艦:DDK2隻の編成が可能となり、対潜ヘリ6機の運用能力を保有することになる。いわゆる8艦6機体制の護衛隊群を4個揃えることができるのである。

 

「はつゆき級」護衛艦は、遮浪甲板型を基にした長船首楼型の船型を持ち、海上自衛隊で初となるオール・ガスタービン推進方式を導入した。(2950トン 30ノット)

その兵装は、非常に充実している。

対潜兵装としては、1機の対潜ヘリに加え、アスロック発射ランチャーと、短対潜誘導魚雷を搭載した。さらに対艦兵装として、艦対艦ミサイルハープーンの4連装キャニスターを両舷に1基づつ搭載した。

対空兵装としては、主砲として62口径3インチ単装速射砲(76mmコンパクト砲)を搭載し、加えてSAM(シースパロー)発射機を艦尾に1基、個艦防御兵器としてCIWSを両舷に1基づつ搭載した。

これらの強力な兵装を、戦闘情報処理装置と連携し戦闘システムを構築した、海上自衛隊初のいわゆるシステム艦であるとされている。

 

 

DDG はたかぜ級ミサイル護衛艦 (1986- 同型艦 2隻)

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Hatakaze-class destroyer - Wikipedia

(120mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをストレートに組んでみた)

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本級は、護衛隊群の対空防御の要となるべく、第三世代のミサイル護衛艦(DDG)として2隻が建造された。

船型は遮浪甲板型を基にした長船首楼型であり、主機には「たちかぜ級」で検討されながら搭載に至らなかったガスタービンエンジンを採用した。(4900トン、30ノット)

本級は、前級「たちかぜ級」ミサイル護衛艦の3番艦「さわかぜ」が搭載したターターD・システムを、その主要兵装として搭載している。「あまつかぜ」、「たちかぜ級」DDGが全て艦後部にミサイルシステムを搭載しているのに対し、本級では艦首部に発射機を搭載している。これは護衛隊群を防御するために、全部搭載艦と後部搭載艦でペアを組ませる構想であったと言われている。

この対空誘導ミサイルシステムと、主砲に採用した54口径5インチ単装速射砲(ライセンス生産の73式)2基をあわせて、護衛隊群の防空の要の役割を担った。

これら対空兵装以外に、対潜兵装としてアスロック発射機と短対潜誘導魚雷を搭載、さらに艦対艦ミサイルハープーンの4連装キャニスターを2基、個艦防御用としてCiWS2基を搭載している。艦後部にはヘリコプターの発着甲板が設けられたが、ハンガー等の設備はなく、従って対潜ヘリの搭載能力はない。

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(DDG3代:手前から、あまつかぜ、たちかぜ級、はたかぜ級)

 

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(DDG3代:左から、あまつかぜ、たちかぜ級、はたかぜ級)

 

 

DD あさぎり級護衛艦(1988- 同型艦 8隻)

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Asagiri-class destroyer - Wikipedia

(109mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをストレートに組んでみた)

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初めてのヘリコプター搭載能力を持たせた汎用護衛艦であった「はつゆき級」は、前述のように万能な戦闘力を持った優れた艦であったが、比較的小さな艦型に多くを盛り込み、船体に搭載システムの更新等に対する余裕があまりない結果となった。

このため「あさぎり級」では、「はつゆき級」と装備に対する要求は同じながら、艦型を大型化し、余裕を持たせる設計とした。(3500トン、30ノット)

兵装は「はつゆき級」をほぼ踏襲し、62口径3インチ単装速射砲(76mmコンパクト砲)、AM(シースパロー)発射機1基、個艦防御兵器としてCIWSを両舷に1基づつ、アスロック発射ランチャー、短対潜誘導魚雷、艦対艦ミサイルハープーンの4連装キャニスター2基等を搭載している。

ハンガーが大型化され、艦載ヘリの定数は1機のままであるが、必要に応じ、2機までは運用できるようになった。

 

本級8隻の就役で、海上自衛隊は、「はつゆき級」と合わせて20隻の対潜ヘリ搭載汎用護衛艦保有することになり、各護衛隊群あたり5隻の配置が可能となった。これにより、各護衛隊群はDDH1隻、DDGまたはDDA2隻、汎用護衛艦(DD)5隻の編成となり、ここに8艦8機体制が可能となった。(新八八艦隊と呼称されることもある)

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(汎用護衛艦DD:2代 あさぎり級(左)、はつゆき級(右)。あさぎり級は船体ははつゆき級よりも大型化したが、艦橋部は一層低い構造であることがよくわかる)

  

DDE あぶくま級護衛艦 (1989- 同型艦 6隻)

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Abukuma-class destroyer escort - Wikipedia

(88mm in 1:1250  Hai製モデル、ほぼストレート

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新八八艦隊世代に対応した、沿岸警備用小型護衛艦として、1990年代に相次い配備された。

ヘリコプターの搭載能力を除けば、「はつゆき級」汎用護衛艦とほぼ同等の装備を搭載した。 (2000トン、27ノット)

主砲に62口径3インチ単装速射砲(76mmコンパクト砲)、個艦防御兵器としてCIWSを艦尾に1基、対潜兵装としてアスロック発射ランチャー、短対潜誘導魚雷、さらに艦対艦ミサイルハープーンの4連装キャニスター2基等を搭載している。

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(DE4代 手前からいすず級、ちくご級、ゆうばり級、あぶくま級)

 

DDHとDDG時代の護衛艦「やまと」 

海上自衛隊は、領海警備とシーレーン保護がその主要任務であり、従って、対潜戦闘能力を中心に、その活動保護のための艦隊防空を、両軸で発展させてきた。

1970年代に入ると、対潜ヘリを搭載したヘリ搭載型護衛艦(DDH)を中心に、汎用護衛艦を複数配置し、この艦隊の艦隊防空を担う防空ミサイル護衛艦(DDG)から構成される護衛隊群、という構成をその艦隊編成の基幹として設置するようになった。

海上自衛隊の発足時から艦隊防空をその主任務としてになってきた「やまと」もこの構想に従い、防空ミサイルシステムを搭載する。

主要艦隊防空兵装としてはターターシステムを搭載し、スタンダードSM-1を2基、艦の上構の前後に配置、艦隊の周囲30-40キロをその防空圏とした。他の防空兵装としてはMk 42 54口径5インチ砲を6基搭載している。この砲は23キロの最大射程を持ち、毎分40発の発射できた。個艦防空兵装としては、上記の他にCIWS3基を搭載している。

水上機の運用設備を全廃し、ヘリコプターの発着設備を新設した。ヘリの搭載能力はない。

改修時には、米海軍から巡航ミサイルの搭載能力も検討するよう要請があったが、専守防衛を掲げ、その要求を受け入れなかった、と言われている。

(直下の写真は、1970年代の護衛艦「やまと」(DDG):外観的には、旧海軍の「大和」の上部構造を大幅に改修した。多くのシステムを米海軍と共用し、アイオア級の戦艦等と似た上部構造物となったため旧海軍時代の外観をほとんど残していない)f:id:fw688i:20190609190556j:image

 模型視点でのコメントを少し:Delphin社製の「大和」をベースとし、その船体を利用し主砲塔を換装している。上部構造は同じくDelphin社製のSouth Dakotaの上構を転用している。さらに3D printing makerのSNAFU store製のWeapopn setから、いくつか武装を選択し搭載した

 

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(直上の写真は70年代DDG「やまと」の対空兵装:艦の上部構造物前後にSM-1の単装ランチャーを2基搭載し、上部構造周辺にMk 42, 54口径5インチ砲を配置している。近接防空兵器として、上部構造の前部と左右に CIWSを搭載している。専守防衛を掲げ搭載を拒んだ巡航ミサイルは、下段写真の前部CIWSとMk 42 5インチ砲の間あたりに搭載される構想であったとされている

 
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(直上の写真はDDG「やまと」とその僚艦:奥からヘリ搭載型護衛艦(DDH)「しらね」対潜護衛艦「やまぐも」「やまと」ミサイル護衛艦(DDG)「さわかぜ」の順)

 

さて、次回はイージスシステム搭載艦が登場します。

 

***模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。

 

これまで本稿に登場した各艦の情報を下記に国別にまとめました。(今回紹介した艦船からのアップデートは特にありません。でも、こっそり日本海軍の筑波級巡洋戦艦装甲巡洋艦の写真が変わっていたりするかも)

fw688i.hatenadiary.jp

内容は当ブログの内容と同様ですが、詳しい情報をご覧になりたい時などに、辞書がわりに使っていただければ幸いです。

 

 

 

海上自衛隊 護衛艦発達史(2) 本格的国産護衛艦の時代

第2次防衛力整備計画以降、国産護衛艦の建造が本格化した。

この時期に、海上自衛隊護衛艦種の整備方針、並びに基礎となる建艦技術、兵装方針等が確立してゆく。

 

DDE いすず級護衛艦 (1961- 同型艦・準同型艦 4隻)

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Isuzu-class destroyer escort - Wikipedia

 

第1次防錆力整備計画(1次防)に準じ、沿岸部での対潜哨戒、船団護衛を主目的として建造された乙型(小型・沿岸部用)護衛艦である。(1490トン)

 

大きな特徴としては、初めて遮浪甲板型という船型が取り入れられた点である。この船型は、通常の平形甲板型の船体にさらに一層の全通甲板重ねた船型であり、これにより格段の船内スペースを確保することができ、発達著しい電子装備類、空調機器に対するスペースが確保され、併せて居住性が格段に改善された。以降の護衛艦の船型の基礎となった。

主機はディーゼル機関を採用し、25ノットの速力を発揮した。

主砲には、前回紹介した「あやなみ級」で採用された50口径3インチ連装速射砲(アメリカ製のMk.33をライセンス生産した57式)を艦首・艦尾に1基づつ搭載した。

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本砲は半自動式砲で、ラピッドファイアと呼称され、毎分45発(砲身あたり)の射撃速度を持つ優れた砲である。

対潜装備としては、初めてヘッジホッグを廃止し、「あきづき級」と同じくMk,108対潜ロケット砲と対潜誘導魚雷を搭載し、更に爆雷投射機と投射軌条を装備している。

 

Mk.108対潜ロケット砲は、ロケット弾を目標近辺に投射し、搭載する磁気信管で目標を感知させ炸裂させるもので、250−800メートルの射程を持ち、毎分12発投射することができた。

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 (筆者はこの対潜ロケットが大好きです。というのも小学生の頃の愛読書、小沢さとる先生の名作「サブマリン707」に登場していまして、なんと未来的な(SFなんて言葉知らなかったからね)すごい兵器なんだろう、というのが原体験なのです。興味のある方は是非ご一読を)

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サブマリン707 - Wikipedia

 

 本砲は、期待の新兵器として導入されたものの、 不発率が高いなどの欠陥を抱えており、運用部隊には不評で、後にM/50のライセンス生産版である71式ボフォース・ロケット・ランチャーに換装された。 
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(74mm in 1:1250  実はいすず級のモデルは、1:1250スケールではどこを探しても見当たらない。そこでほぼ寸法等が近いDelphin社のちくご級をベースにセミクラッチしたものが、直下の写真。武装は最近よくお世話になっているSNAFU store製のWeapopn setを用いた)

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(筆者の大好きな対潜ロケットは、前回紹介したHansa社製の「あきづき級」のモデルから移植した)

 

 DDG ミサイル護衛艦 あまつかぜ(1965- 同型艦なし)

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JDS Amatsukaze - Wikipedia

海上自衛隊初の艦対空ミサイル搭載艦、いわゆるミサイル護衛艦で、1次防で1隻のみ建造された。 次級のたちかぜ級護衛艦「たちかぜ」の就役までの11年間、当時は海上自衛隊唯一の艦対空誘導ミサイルの搭載艦であり、その後も数次に渡り段階的にミサイル護衛艦が導入されたため、自衛艦としては異例の30年の長期間、現役にあった。

船型は、上述の「いすず級」護衛艦で導入された遮浪甲板型を採用し、機関には蒸気タービンを搭載し、33ノットの速力を得た。(3050トン)

海自初の艦対空ミサイルシステムとして、当時米海軍で採用されつつあったターターシステムを導入した。

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本システムは、後にイージスシステムが採用されるまで、デジタル化等の改善を重ねながら長らく海上自衛隊の基幹艦対空システムとして、本艦を皮切りに「たちかぜ級」、「はたかぜ級」護衛艦に搭載された。

他の主要兵装としては、主砲には前出の50口径3インチ連装速射砲2基を搭載し、その他対潜兵器としてはヘッジホッグと対潜誘導魚雷を搭載していた。

後にアスロック(後述)8連装発射機を追加装備し、対潜能力を向上させ、次世代護衛艦と火力を同等にするなどの改装を受けた。

(104mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装。アスロック等最後を再現してみた)

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DDK やまぐも級護衛艦(1966- 同型艦:前期型・後期型 6隻)

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Yamagumo-class destroyer - Wikipedia

第2次防衛力整備計画で前期型3隻、3次防・4次防で後期型3隻が建造された。

建造に当たっては、次級である「たかつき級」護衛艦との役割分割が構想され、いわゆるハイ・ロー・ミックス構成として、本級はDDK(対潜業務)として設計された。(前期型2050トン・後期型2150トン)

船体遮浪甲板型を採用し、機関にはディーゼルを採用した。採用された機関は、小型の艦型による少ない燃料搭載にも関わらず長い航続距離をもたらしたが、一方で27ノットの速力に甘んじざるを得なかった。

(90mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装)

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兵装としては、海自で初めてアスロックを搭載した。

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アスロックは対潜誘導魚雷をミサイルの先端に弾頭として搭載したもので、発射後は、事前に入力された飛翔距離で弾頭(魚雷)が切り離され、パラシュートにより軟着水した魚雷が捜索パターンで目標を探知し撃破する、というものであり、着水後の魚雷による目標補足能力の活用から、従来の対潜ロケットとは次元の異なる長射程での攻撃が可能となった。(射程:800-9100m)

当初は専用の8連装ランチャーからの発射が主流であったが、ターター・システム(Mk.26 GMSL)、あるいはVLSなどからの発射も可能となった。

 

他の兵装としては、主砲には既述50口径3インチ連装速射砲2基を搭載、対潜兵器としてこれも既述71式ボフォース・ロケット・ランチャー、対潜誘導魚雷を搭載した。

 

DDA たかつき級護衛艦(1967- 同型艦 4隻)

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Takatsuki-class destroyer - Wikipedia

第2次防衛力整備計画で、前出の「やまぐも級」護衛艦で既述の通り、「やまぐも級」とのハイ・ロー・ミックス構成の構想の下、有力な対空・対潜戦闘能力を持つ多目的護衛艦(DDA)として4隻が建造された。

(106mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装)

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船型は海自標準となってきた感のある遮浪甲板型を採用し、主機には蒸気タービンを搭載し、32ノットの速力を得た。 

 

主砲には新型の54口径5インチ単装速射砲(Mk.42)を採用し、これを艦首・艦尾に1基づつ計2基を搭載した。

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本砲は毎分40発という高い射撃速度を誇り、23000メートルに達する射程距離と、同時に導入された全自動FCS(射撃指揮装置)と併せて、強力な防空圏を構成することができた。

他の兵装としては、既述71式ボフォース・ロケット・ランチャー、対潜誘導魚雷、アスロックに加え、さらに長距離の射程を目指しDASH無人対潜攻撃ヘリコプターを装備した。

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アスロックを超える長い射程の確保に期待されたDASHであったが、本家の米海軍では事故が多発するなど不評であり、1969年に運用が中止され、これに連動して部品の供給等は停止した。これに伴い、海自でも運用が中止された。

 

FRAM改装

これまでに記述したように、本級は非常に有力な戦力であったが、ミサイル化の流れの中で装備には陳腐化が目立つようになった。一方で、急速な新戦力整備にも限界があるため、FRAM(艦隊再建近代化計画)の名の下に、同級の「たかつき」「きくづき」に対して大規模な改装が行われ、当時新鋭のはつゆき級と同等の戦力化が目論まれた。具体的な内容としては、艦尾部の5インチ砲、これも艦尾部にスペースを取っていたDASH関連装備を撤去し、短SAM(シースパロー)、ハープーン艦対艦ミサイル、20mmCIWS、および種々の電子装備の換装、追加などが行われ、8年程度の艦齢延長を目指した。

(直下はFRAM改装後のたかつき級。Amature Wargame Figuresの3Dモデルをベースに、武装SNAFU store製のWeapopn setから転用)

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(FRAM改装前後のたかつき級を比較。奥がFRAM改装後。改装前のたかつき級は艦尾部に大きなDASH運用スペースが取られている事がよくわかる)

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DDK みねぐも級護衛艦(1968- 同型艦3隻)

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Minegumo-class destroyer - Wikipedia

前出の「やまぐも級」護衛艦タイプシップとして、DASHを主兵装とした対潜護衛艦として建造された。(2100トン)

 

船型・機関は「やまぐも級」護衛艦に準じたが、後甲板をDASH 運用スペースとしたため、上部構造の配置が変更され、煙突が一本になった。(28ノット)

(90mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに、アスロック搭載後を再現するために艦尾にアスロック8連装発射機を追加。主砲塔等をSNAFU store製のWeapopn setに換装)

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兵装も「やまぐも級」に準じ、50口径3インチ連装速射砲、71式ボフォース・ロケット・ランチャー、対潜誘導魚雷そしてDASHを搭載した。既述のようにDASHは本家の米海軍での運用中止に伴い、海自でも運用が止められ、アスロックに換装された。

 

(直下の写真はやまぐも級とみなぐも級を比較したもの。ほぼ同様の装備ながら、武装の配置に大きな差が見られる。手前がやまぐも級)

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DDE ちくご級護衛艦(1971- 同型艦 11隻)

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Chikugo-class destroyer escort - Wikipedia

第3次防、4次防で、周辺防備を主目的としたDEとして、11隻が建造された。

同目的の前DEクラスである「いすず級」DEに準じ、遮浪甲板型船型を持ち、主機にディーゼル機関を採用した。(1470トン 25ノット)

(75mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装)

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1400トン足らずの小ぶりな船体ながら、兵装は「やまぐも級」DDKに準じた強力なものであった。主砲には50口径3インチ連装速射砲を搭載し、補助に40mm連装機関砲を艦尾に装備した。対潜兵器としてアスロックと対潜誘導魚雷を搭載している。

(直下の写真は、乙型(小型・沿岸用)護衛艦2級の比較。奥がちくご級。対潜ロケットからアスロックへの対潜兵装の変遷がよくわかる

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さて、予告通り(何も胸を張っていうほどの事ではないのですが)、海上自衛隊 芸館発達史(2) 第2次防衛整備計画(2次防)以降の建造艦艇を紹介しました。

次回は新八八艦隊のご紹介を予定しています。

 

***模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。

 

これまで本稿に登場した各艦の情報を下記に国別にまとめました。(今回紹介した艦船からのアップデートは特にありません。でも、こっそり日本海軍の筑波級巡洋戦艦装甲巡洋艦の写真が変わっていたりするかも)

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内容は当ブログの内容と同様ですが、詳しい情報をご覧になりたい時などに、辞書がわりに使っていただければ幸いです。

 

 

海上自衛隊 護衛艦発達史(1) 草創期(1952〜1960ごろ)

前回は予告を裏切って、衝動的に「スカイ・クロラ」など、取り上げてしまいましたが、いかがでしたでしょうか?多分これからも時々、ああいう飛び入り的な衝動が入ると思います。できれば感想などお聞かせいただけると嬉しいのですが。

さて、今回はいよいよ「海上自衛隊護衛艦発達史」の開始です。

こちらも合わせて感想、リクエストなどいただけると、大変嬉しく思います。

 

 

海上自衛隊の発足と艦艇整備

朝鮮戦争の勃発とともに自衛隊の前身である警察予備隊が発足し(1950年)、日本は再び戦力を保持することとなった。 

1952年には海上警備隊が組織され、1954年自衛隊法施行とともに海上自衛隊と名称変更された。

発足当時の目的は、もちろん日本周辺海域の警備活動であり、具体的には、強い南進意向を示すソ連海軍(太平洋艦隊)の特に潜水艦の行動に対し警備行動をとることであったため、対潜能力の充実が求められた。

 

貸与艦の時代

海上警備隊発足当時、1952年に締結された日米船舶貸借協定に基づき、多数の駆逐艦護衛駆逐艦、上陸支援艦艇が、米海軍から貸与され、黎明期の海上自衛隊の戦力の中核を構成した。

 

PF くす級護衛艦(1953- 同型艦18隻)

18隻の米海軍のタコマ級パトロールフリゲートが貸与された。

18ノットの低速ながら、3インチ単装砲3基、40ミリ連装機関砲2基を装備し、ヘッジホッグ、爆雷投射機8基、爆雷軌条等の対潜装備を搭載。質量ともに草創期の戦力の主力を構成した。(1450トン)

(74mm in 1:1250  Delphin社製のモデルを転用。主砲のみ3D printing makerのSNAFU store製のWeapopn setに換装)

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タコマ級フリゲート - Wikipedia

Tacoma-class frigate - Wikipedia 

 

DD あさかぜ級護衛艦 (1954- 同型艦2隻)

米海軍から貸与された2隻のリヴァモア級駆逐艦(エリコン・メイソン)である。

既に米海軍在籍当時に旧式艦として扱われ、魚雷発射管を撤去して掃海駆逐艦の艦種変更していたが、37ノットの速力を誇り、5インチ単装砲4基、40ミリ四連装機関砲2基、爆雷投射機4基等を装備していた。1600トン。

(85mm in 1:1250  Neptune社製モデルをベースに、模型的には船体中央の魚雷発射管を撤去。主砲塔を3D printing makerのSNAFU store製のWeapopn setの5インチ砲塔に換装、2番主砲塔直後にヘッジホッグ、3番主砲塔前に連装機銃座をそれぞれ追加)

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グリーブス級駆逐艦 - Wikipedia

Gleaves-class destroyer - Wikipedia

  

 DE あさひ級護衛艦(1955- 同型艦2隻)

米海軍から貸与された2隻のキャノン級護衛駆逐艦(アミック・アサートン)で、いずれも長船体タイプである。大戦中に量産された代表的な護衛駆逐艦であり、対空・対潜装備に充実していた。1240トン、速力20ノット、3インチ単装砲3基、40ミリ連装機関砲3基、ヘッジホッグ、爆雷投射機8基等。

(75mm in 1:1250  Neptune製キャノン級をほぼそのまま転用)

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キャノン級護衛駆逐艦 - Wikipedia

Cannon-class destroyer escort - Wikipedia

  

LSSL ゆり級警備艇 (1953- 同型艦50隻)

前述のくす級18隻の貸与と同時に、50隻のLSSL(上陸支援艇)が貸与された。揚陸支援を目的に開発された艦種であるために、喫水が浅く、航洋性に乏しいが、小さな船体の割には大きな兵装を保持していた。300t, 12ノット、40ミリ連装機関砲3基等。

(39mm in 1:1250  Hai製LSSLをほぼそのまま転用)

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上陸支援艇 - Wikipedia

  

国産護衛艦 の新造(プレ一次防・一次防)

昭和28年度予算で、16隻の艦艇建造が認められ、いよいよ国産護衛艦の時代を迎えた。所謂、プレ一次防、一次防での護衛艦整備が始まった。

 

DE 護衛艦あけぼの

前述の28年度予算で建造が認められた3隻の乙型(小型)警備艦の1隻である。本艦のみ推進機関は蒸気タービンである。3インチ単装砲2基、40ミリ連装機関砲2基、ヘッジホッグ1基、爆雷投射機8基を装備している。1060トン、28ノット。

(71mm in 1:1250  Hai製をほぼそのまま)

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JDS Akebono (DE-201) - Wikipedia

 

DE いかづち級護衛艦同型艦2隻)

前出の「あけぼの」と同じく28年度予算で建造された3隻の警備官のうちの2隻である。 「あけぼの」が蒸気タービンを主機に採用したのに対し、本級はディーゼルを主機としている。主要な兵装は「あけぼの」と同じく、3インチ単装砲2基、40ミリ連装機関砲2基、ヘッジホッグ1基、爆雷投射機8基である。1070トン、25ノット。

(70mm in 1:1250  Hai製をほぼそのまま) 

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Ikazuchi-class destroyer escort - Wikipedia

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(直上は昭和28年度予算で建造されたDE:乙型(小型)護衛艦3隻。左から、あけぼの、いかづち、いなづま)

 

DD はるかぜ級 護衛艦同型艦2隻)

28年度予算では前出の3隻の乙型警備艦に加え、「はるかぜ」級2隻の甲型警備艦の建造が認められた。本級は旧日本海軍の白露級駆逐艦、米海軍のギアリング級駆逐艦を基本設計の参考としたとされている。主機には蒸気タービンを採用し、30ノットの速力を得た。兵装は5インチ単装砲3基、40ミリ四連装機関砲2基、ヘッジホッグ2基、爆雷投射機8基等を主要兵装として搭載している。1700トン。

(85mm in 1:1250  Hai製をほぼそのまま。主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装

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Harukaze-class destroyer - Wikipedia

  

DE 護衛艦わかば(1956-)

本艦は新造艦ではなく、旧海軍の丁改型駆逐艦「梨」の後身である。本艦の前身である「梨」は、太平洋戦争末期に米海軍の空爆で瀬戸内海で沈没。のちに引き揚げられ、自衛艦として再就役した。兵装は一旦すべて撤去され、実用実験隊に所属し、新型兵装の実験装備等に従事していた。1250トン、26ノット、で、兵装は都度異なるが、1957年ごろの兵装は、3インチ連装速射砲1基、ヘッジホッグ1基、爆雷投射機4基等であった。

(80mm in 1:1250  写真はNeptune製程型駆逐艦:松級の竣工時の姿。自衛艦時には兵装は全ていったん撤去のうえ、実験的な装備を追加した。※後日、自衛艦時への改造を予定しています。自衛艦時のモデルを製作次第、アップします)

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DD ありあけ級護衛艦(1959- 同型艦2隻)

本艦も新造艦ではなく、米海軍フレッチャー級駆逐艦2隻の貸与を受けたものである(ヘイウッドL. エドワーズ・リチャードP. リアリー)。当初から両艦ともに練習艦任務に充当されることが多かった。

2050トン、35ノット、5インチ単装砲4基、40ミリ連装機関砲5基、爆雷投射機6基

(93mm in 1:1250 Neptune製フレッチャー級をベースに、船体中央の魚雷発射管を撤去、主砲塔をSNAFU store製のWeapopn setに換装)

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Fletcher-class destroyer - Wikipedia

 

 DDK あやなみ級護衛艦(1955- 同型艦7隻)

対潜能力の充実に重点を置いた護衛艦として、1955年から1958年にかけて、7隻が建造された。

前出のはるかぜ級護衛艦退けんずの経験を踏まえ、これを拡大強化する形で設計された。設計方針は前級とは大きく異なり、砲熕兵器を抑える代わりに対潜装備を拡充した。

1700トンの船体に蒸気タービンを主機として搭載し、32ノットの速力を発揮することができた。砲熕兵器は前級の5インチ単装砲3基から口径を抑えた3インチ連装速射砲3基として、単発での威力よりも速射性能を充実させた装備となった。一方、初めて対潜誘導魚雷および短魚雷を搭載、さらに旋回能力のあるヘッジホッグ、爆雷投射機などを搭載し、対潜戦闘能力を充実させた。

本級、およびこれに続く「むらさめ級」、「あきづき級」は、その船体の特徴として、長船首楼型の船型を採用したが、強度の弱点を補う方法として、接合部に緩やかな傾斜をつけた連続した甲板の形態をとった。この傾斜からこの3クラスは「オランダ坂」型護衛艦と呼ばれ親しまれた。

(89mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装)

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(直下の写真は、本級および「むらさめ」級、「あきづき」級等の昭和30年度予算護衛艦の特徴の一つである、所謂「オランダ坂」のアップ)

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Ayanami-class destroyer - Wikipedia

 

DDA むらさめ級護衛艦(1959- 同型艦3隻) 

前出の「あやなみ級」が対潜戦闘能力を充実させた護衛艦であるのに対し、本級は砲熕兵器の充実による対空戦闘能力の充実を図った護衛艦として、1956年、1957年にかけて3隻が建造された。

「あやなみ級」とほぼ同様の船体を持ち、1800トンの船体に蒸気タービンの主機を搭載し、30ノットの速力を発揮した。

新型の54口径5インチ単装砲3基を新設計の砲塔に搭載(Mk 39 5インチ砲)し、併せて、「あやなみ級」と同じ3インチ連装速射砲を2基搭載、対空砲熕戦闘能力を格段に強化した設計とした。

一方、「あやなみ級」の装備を基本としながらも、魚雷装備は短魚雷の搭載のみにとどめ、旋回式のヘッジホッグ、爆雷投射機等を装備した。

(87mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに5インチ単装砲、3インチ連装速射砲をSNAFU store製のWeapopn setに換装) 

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Murasame-class destroyer (1958) - Wikipedia

 

DD あきづき級護衛艦(1960- 同型艦2隻) 

旗艦装備を備えた汎用護衛艦として、1960年から2隻が建造された。

「あやなみ級」、「むらさめ級」に比べ船体は同一設計思想ながらやや大型化し、2000トンに達した。蒸気タービンを主機として32ノットの速力を発揮した。

砲熕兵器は「むらさめ級」を踏襲し、新型の54口径5インチ単装砲3基を新設計の砲塔に搭載(Mk 39 5インチ砲)し、加えて3インチ連装速射砲を2基搭載した。対潜兵器としては、米海軍より新たに供与されたMk.108「ウェポン・アルファ」 324mm対潜ロケット砲を搭載し、加えて、従来のヘッジホッグ、4連装魚雷発射管、短魚雷落射機、爆雷投射機等を搭載し、対空。対潜、いずれも非常に充実した装備となった。

(97mm in 1:1250  Hansa製モデルをベースに、喫水がやや高いため船体下部を金属用ヤスリでガリガリ削り調整。5インチ単装砲、3インチ連装速射砲をSNAFU store製のWeapopn setに換装。前部3インチ連装速射砲直後の対潜ロケット砲が特徴。丸い砲塔が、なんとも良い)  

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Akizuki-class destroyer (1959) - Wikipedia

(直下の写真は、昭和30年度以降の予算で建造されたいわゆる「オランダ坂」甲板を持つ護衛艦3クラス。奥から汎用護衛艦(DD)あきづき級、対空護衛艦DDK)むらさめ級、対潜護衛艦(DDE)あやなみ級)

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(直下の写真は、昭和30年度以降の予算で建造されたいわゆる「オランダ坂」甲板を持つ護衛艦3クラスを上から見たもの。上から汎用護衛艦(DD)あきづき級、対空護衛艦DDK)むらさめ級、対潜護衛艦(DDE)あやなみ級。主砲配置等の際がよくわかる)

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最後の「オランダ坂護衛艦群で、護衛艦の機能分化の方向性が示された。以降、護衛艦の開発はそのような方向性をより強く意識したものになってゆく。

  

(おまけ:Ifストーリー)海上自衛隊黎明期の自衛艦 「やまと」

(ここからは以前、本稿の「第27回 (一応、最終回) 海上自衛隊護衛艦 やまと」の誕生、そしてその先へ」の内容をほぼそのまま再掲しています)

同時期、海上自衛隊編入された「やまと」は、艦隊防空艦としての役割を負うべく、再武装と改装を受けた。

再武装にあたっては、主砲は従来のままとし、自衛艦隊の艦隊防空艦としての役割期待が大きいところから、対空火器とレーダー装備が一新された。主要な対空火器としては、旧海軍の最も成功した対空砲と言われた長10センチ高角砲を自動化した単装砲を多数搭載している。この砲は最大射程18キロ、最大射高13キロ、毎分19発の発射速度を持つとされ、旧日本海軍では、この対空砲にVT信管を組み合わて運用したが、日本製のVT信管そのものの信頼性が低く、その能力を十分に発揮できたとは言い難かった。

それでも旧海軍では「格段の命中率」「抜群の効果」と賞賛され、その実績以上に士気向上に効果があった。

今回の装備にあたっては米海軍のVT信管技術の導入し、さらに砲塔に自動化機構を組み入れてその信頼性と発射速度を高めた。

一方、個艦防衛用兵装として、多数の機関砲を搭載しているが、これらの小口径砲についてはVT信管には対応しておらず、実戦で効果が期待できないことは、大戦で実証済みであった。

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(直上の写真は自衛艦「やまと」:外観は大戦時のそれとほとんど変わらない。艦隊防空用の兵装として自動長10センチ高角砲を16基、個艦防衛用の兵装として、多数の機関砲を搭載している)

 模型視点でのコメントを少し:上記の模型は、Delphin社製の「大和」をベースとし前部艦橋と通信アンテナ、主砲砲塔を換装している。更にその主対空砲とした自動長10センチ高角砲として、イタリア戦艦「ヴィットリオ・ベネト」の対空砲を流用した。

 

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(直上の写真は自衛艦「やまと」とその僚艦:奥から護衛艦「あきづき(初代)」「むらさめ(初代)」、「やまと」「あやなみ」の順。いずれも国産の護衛艦第一世代に属する。この時期の自衛隊は、こうした国産の護衛艦に加え、米海軍からの貸与艦で構成されていた)

 

上記は、本稿前回で紹介した自衛艦「やまと」であったが、もう一案「B案」を作成してみた。 

自衛艦「やまと」B案

「やまと」は、艦隊防空艦としての役割を負うべく、再武装と改装を受けた。

再武装にあたっては、主砲は従来のままとし、自衛艦隊の艦隊防空艦としての役割期待が大きいところから、対空火器とレーダー装備が一新された。主要な対空火器として米海軍の38口径Mk 12, 5インチ両用砲を連装砲塔に装備し、14基28門を搭載した。

この砲は、米海軍の戦艦、巡洋艦に広く採用されている砲で、最大射程21キロ、最大射高11キロ、発射速度15-22発/分とされていた。これに加えて毎分45発の発射速度をもつラピッド・ファイア型のMk 33, 3インチ砲を連装で8基、さらに個艦防衛用に40mm機関砲を装備し、もちろんこれらは全てVT信管を標準仕様としていたため、その対空能力は、旧海軍時代から格段に強化された。

(直下の写真は、自衛艦「やまと」:外観的には、多数の対空機銃が徹去されたことを除けば、旧海軍時代とそれほど大きな違いはない。この時期、水上偵察機、観測機等の航空兵装の搭載は廃止されているが、後部の航空機用の運用装備はそのまま残されている)

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模型視点でのコメントを少し:こちらのモデルも、前出のDelphin社製の「大和」をベースとし、前部艦橋と通信アンテナ、主砲砲塔を換装している。さらに3D printing makerのSNAFU store製のWeapopn setから、いくつか武装を選択し搭載している。

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(直上の写真は自衛艦「やまと」の対空兵装:艦の上部構造物周辺にMk 12, 5インチ連装砲塔を配置している。下段お写真はいずれもMk 33, 3インチ連装砲塔(ラピッド・ファイア)の配置状況。すこし分かりにくいが上部構造周辺にも、同砲が防楯なしの露出砲架で配置されている)

 

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(直上の写真は自衛艦「やまと」とその僚艦:奥から護衛艦「あきづき(初代)」「やまと」「はるかぜ」「あやなみ」の順。いずれも国産の護衛艦第一世代に属する。この時期の自衛隊は、こうした国産の護衛艦に加え、米海軍からの貸与艦で構成されていた)

 

(前回もお尋ねした質問)

どちらの方が、自衛艦「やまと」にフィットするとお考えになりますか?感想など伺えれば、幸いかと。

もちろん他のアイディアもあるかと思います。

幸い、まだ数隻の「やまと」のストックがありますので、私が実現可能なアイディアは模型に落とせるかもしれません。ぜひお知らせください。

これも、If艦ならではの楽しみ方かと。

お待ちしています。私のスキルの問題で「実現不可能」も十分ありえますので、その際には平にご容赦を。

 

さて、いよいよ長らく予告だけしていた「海上自衛隊 護衛艦発達史」(ちょっと「世界の艦船」で特集しそうなタイトルみたいで「お尻がこそばゆい」ですが)、始まりました。次回は第二次防衛整備計画(2次防)以降の建造艦艇をご紹介する予定です。

 

***模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。

 

これまで本稿に登場した各艦の情報を下記に国別にまとめました。(今回紹介した艦船からのアップデートは特にありません。でも、こっそり日本海軍の筑波級巡洋戦艦装甲巡洋艦の写真が変わっていたりするかも)

fw688i.hatenadiary.jp

内容は当ブログの内容と同様ですが、詳しい情報をご覧になりたい時などに、辞書がわりに使っていただければ幸いです。

 

 

何故か、「スカイ・クロラ」!!(おいおい、海自 やるんじゃなかったっけ?)

突然の「スカイ・クロラ

完全に予告を裏切って、今回は本稿の本筋とはなんの脈略もなく、突然「スカイ・クロラ」です。

前回予告していた「海上自衛隊護衛艦開発史のシリーズ」は準備、ほぼ完了(後は写真を揃えるなど)しています。が、今回は見送りです。ですので今回は艦船模型は一切出てきません。1:1250スケールの話ですらありません。平にご容赦ください。

 

何がきっかけだったか、実は自分でも失念しているのですが(あるいは理由などなかったのかも知れませんが)、最近、「スカイ・クロラ」にはまっています。(なんで今更?とは自分でも思うのですが、DVDを引っ張り出してきて映画を見て、通勤途上は電車の中で川井憲次さんのサウンドトラックを聴き、森博嗣さんの小説をポツポツ読みながら・・・。さらに時々は、通勤途上にNetFlixで映画版を見たりと、結構、ドップリ浸る日々です)

 

スカイ・クロラ」って何だ、という方は、まず、この動画を。映画版「スカイ・クロラ」の冒頭4分40秒!

www.youtube.com

 で、もし、「少し興味が持てそう」だったら、こちらを。(但し、ハマっても知りませんのでご用心を)

 

スカイ・クロラシリーズ - Wikipedia

原作は森博嗣さんの小説(群)。ここでは、民間軍事会社が戦争を請け負い、一般市民は戦火に見舞われることもなく、それでもスポーツゲームを見るように、少し戦争の行方を気にしている、というような世界が描かれています。

戦闘機のパイロットは「キルドレ」と呼ばれる成長も老化もない「子供」達で、彼らが架空の戦闘機、爆撃機を操って戦闘を行ってゆきます。登場する航空機は、すべてレシプロ機で、実際には主流にならなかった推進型(プッシャー型)の航空機も多数登場します。

一連の小説は、2001年ごろから刊行され、それをベースに、押井守さんが2008年に映画を製作。以降、ゲームなどマルチでの展開がされているシリーズです。映画化からもう10年以上も経っているんですね。改めて、自分でも「何故、今更?」です。

 

小説などの文字情報では、私のような人間には、架空の機体などはなかなかイメージしにくいのですが、押井守という偉大な監督によって映像化と同時に架空の戦闘機もヴィジュアル化されました。(凄い!)

私の「押井守監督作品」との出会いはやや遅く、劇場版「パトレイバー2」だったと記憶します。映画は好きだったのですが、「アニメ映画」を観に行こうとは発想がなく、しかしこの映画によって「目からウロコ」状態になりました。でも、もうそれも30年前?

パトレイバー2についてはこちら

ja.wikipedia.org

 

映画冒頭の6分:はまっても知〜らない!

www.youtube.com

 

スカイ・クロラに戻りましょう。

映像化された機体の素晴らしさをお見せするために、空戦と飛行シーンの動画をもう一つ。

www.youtube.com

 普通はここでゲームで操縦、というところへ行くのでしょうか?(私の場合にはいきませんが)

 

「散香」という機体

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で、映画を改めて観て、映画で描かれる「散香」という機体が何とも言えず「良い」。「散香」と言うのは主人公が搭乗する戦闘機なのですが、これが推進式のエンテ型戦闘機なのです。(と、ここまで読んで「アレ」と思われた方は、相当にありがたい読者の方です。本稿で、ほぼ唯一登場した「艦船」以外の模型が、この推進式エンテ型戦闘機「震電」でした。おお、何となく全くの無関係な話ではなさそうだ!!!)

fw688i.hatenablog.com

 

そして、そこがモデラー・コレクターとしての「卑しい」ところだと思うんですが、「そういえば「散香」の1:144のキットがあったはず」と引き出しの奥からごそごそ引っ張り出してきて、ほぼ10年の放置を顧みず作成したのが、下の写真のキットでした。

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(プラッツ社製 1:144  散香マークB  翼端長約60ミリ レジン製の機体とホワイトメタル製の足回り、二重反転プロペラ等の、いわゆるハイブリッドモデル。塗装は私のオリジナル塗装です)

 

直下は、私の大好きな「震電」との大きさ比較。同じく1:144スケールで、同じ推進式エンテ型の機体を持つ二種ですが、大きさには大差が。「散香」が、随分シャープな機体であることが一目瞭然です。あわせてこの角度で見ると、「散香」の二重反転プロペラもよくわかります。こう言う発見は、ちょっと嬉しいですね。

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( と、ここまで書いてきて、どうして「スカイ・クロラ」だったのか、何となく思い出してきたような。「震電」を紹介して、「そう言えば震電(のような機体)が飛んでた映画があったな」と「スカイ・クロラ」に行き着いたのだった。繋がってきた!「要は、上の写真のようなことがやってみたかったんでしょう?」はい、多分、その通りです)

 

「スカイリィ  J2」の製作

「スカイリィ J2」は、主人公の所属する民間軍事企業ロストック社に敵対するラウテルン社の絶対的エース「ティーチャー 」の操縦する、化け物のような機体として登場します。「ヤツに空で出会ったら、戻ってこれない、ということだ」というような・・・。映画はティーチャーが「散香」を二機葬るシーンから始まります。(前述の動画でも、そのシーンはご覧いただけるはずです)

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www.youtube.com

長いノーズと、機種の二重反転プロペラと同軸のモーターカノンが、嫌でも記憶に残る機体です。それと排気タービン過給器(ターボ・スーパーチャージャー)のなんとも言えないエンジンの吹き上がり音が、悪魔的な印象を際立たせます。

とにかくスクリーンで、この敵役は圧倒的な存在感を見せつけます。

 

1:144スケールでは、どこを探してもモデルも作例も見つからないので、私の常として何かをベースに「似たようなもの」を作成できないか、ということになるのですが、「ロングノーズ」というところから最初に目をつけたのが下のTa-152Hでした。

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 これを二重反転プロペラ仕様に変更し、翼を切り詰めて整形すれば「なんとかなる」かもしれない、と・・・。あるいはFw190Dの翼部と、こちらも換装してみようか。

しかし、実は1:144スケールでは、換装用の二重反転プロペラが、全く見つかりません。

 

と言う訳で、また、ストックをごそごそ。「確かどこかに二重反転プロペラを搭載した機体のモデルが、あったはず」という訳です。

で、ようやく見つけたのが、F-toys製のキ-99高高度戦闘機(1:144)。

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この機体は漫画家松本零士の完全な創作機体です。

まともな液冷エンジンを開発できなかった日本陸軍の開発機体ということで、空冷式エンジンを搭載している設定になっています。したがって機首のプロペラ・スピナーにエアインテイク用の大きな口が開いています。更に「スカイリィ J2」の特徴の一つでもある排気タービン過給機がちゃんと再現されています。当初、二重反転プロペラのみの転用、と思っていたのですが、このターボ・スーパーチャージャーも当然捨てがたく、結局、こちらを液冷機っぽく加工してみよう、という結論になりました。(機種のスピナーが太くなるのは、この際、目を瞑ることにします。大口径(30ミリ)の機関砲を積んでいるんだから、と言うわけです)

 

と言うわけで、キ-99をベースに作成した「スカイリィ J2」がこちら。翼の形をもう少し触りたいところですが、多分、私の手に負えるような多少の手直し程度では、感じは出ないだろうと、触らないことにします。

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もう少し塗装を施し、あるいは細部に手を入れたりしたいところですが、それはおいおいやる事にします。

 

液冷エンジン機に見えるように機首に単排気管を追加。機首にティーチャーの「スカイリィ J2」の黒豹マークにちょっと似た感じのマーキングを施します。エンジン部の周りにいくつかデコレーションを貼り付けます。スピナー先端の開口部がモーターカノンぽく見えるように、フラットレッドの塗装をしてみます。ラジエーターを他のモデルから移植して・・・。と言うのが直下の写真です。

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(気が向いたら、また手を入れてみよう。できれば同じような事を、当初のTa-152Hベースでも再度挑戦してみたいなぁ)

 

これらの機体以外にも、映画「スカイ・クロラ」に登場する「染赤」と言う双発の推進式の機体なども、できれば製作してみたいのですが、こちらはそのベースに使えそうな機体すらも、今のところ見つかりません。

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(直上の写真は、上から「染赤」の図面、正面、コックピット周り、後方からの各ショット。やや猫背っぽいシルエット。コクピットは随分前方に置かれています。主翼の独特な形状は、図面でないとわかりにくいですね。かなり味のある機体だと思いませんか?もし、どなたか、他のスケールでもいいので作例紹介など、情報をお持ちでしたら、是非、おしらせください)

 

ところで、これらの機体について、下記のサイトで、大変興味深い深い考察をされています。こうしたことを諸々考えながら、あるいは矛盾点に自分流の解釈を施しながら、模型製作を楽しむ、と言うのも架空機を製作する際の一興かと思います。(アレ、なんか同じことを「架空艦」の回の冒頭でも書いたような)

ともあれ、大変素晴らしいので、ご紹介させていただきます。

www.page.sannet.ne.jp

例えば、「散香」のようなエンテ型機の場合、拼莢(使用後の薬莢を機外に排出すること。動画でも「スカイリィ J2」が、バラバラと空薬莢を撒き散らしながら飛行するカットがあります。これはこれでカッコいい)は、機体後部にあるプロペラを傷めるリスクがある、と指摘されます。従って、エンテ型の戦闘機は空薬莢を機内の薬莢受けに収容する必要がある、と言うわけです。こう言う話を伺うと、目からウロコ、状態です。なるほどなあ、と。(空薬莢と言うと、映画「ブラックホークダウン」で、包囲され苦戦する地上部隊を支援するヘリがチェーンガン(ミニガン?)で敵を掃射するのですが、その熱い空薬莢が真下の歩兵にまともに降り注ぎ、襟から入ったから薬莢を慌てて取り出そうとのたうち回るシーンが印象的でした)

また、「スカイリィ J2」は排気タービン過給機を搭載しているわけですが、これは排気を利用してタービンを回し吸気を圧縮する機構であるため、単排気管が機外に露出することはない、と指摘されています。

筆者はベースになった空冷エンジンの「キ-99」を液冷エンジン機に見せるには、当然単排気管をつけなきゃね、と何も考えずに部品を手当てした口ですので、「先に読んでおけば良かった」と言う感じです。「あらら、でも自動切換えなんだよ、きっと」と開き直ったりして。

でも、本当にこう言う事を考えながら、模型を作ったり文章を書いたりするのは、至福の時、と言っていいと思います。

 

もう一つ飛行シーン、戦闘シーンの動画を。こちらは動画冒頭に、前述の「染赤」がしっかり映っています。

www.youtube.com

 

こちらはオマケ

【MAD】スカイ・クロラ 【たった一つの想い】 - YouTube

www.youtube.com

 

最後に、絢香さんの歌う映画のエンドクレジットで流れる主題歌も。

www.youtube.com

再生できなかったら、こちらでもお試しを。(ただし、空中戦動画はついていません)

www.youtube.com

 

と言う事で、やや登場機体中心の話材になってしまいましたが(模型だから仕方ない?)、実は原作小説も語りだすと止まらなくなりそうで。私は映画から小説へ入っていった口ですが、こちらも興味のある方は是非。

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サウンドトラックは押井作品には欠かせない川井憲次さんの作曲で、これも素晴らしい。川井節満載、です。

www.youtube.com

 

映画でも、小説でも、感想、ご意見など聞かせていただくと嬉しいのですが。

 

さて、次回こそは、「海上自衛隊護衛艦開発史」のシリーズを!(多分?)

 

***模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。

 

これまで本稿に登場した各艦の情報を下記に国別にまとめました。(今回紹介した艦船からのアップデートは特にありません。でも、こっそり日本海軍の筑波級巡洋戦艦装甲巡洋艦の写真が変わっていたりするかも)

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内容は当ブログの内容と同様ですが、詳しい情報をご覧になりたい時などに、辞書がわりに使っていただければ幸いです。

 

 

 

 

 

映画「アルキメデスの大戦」公開記念 大和級戦艦のディテイル・アップデート

アルキメデスの大戦

今回は「映画アルキメデスの大戦」公開を記念して(?)、少し関連事項を書いてみようかな、と考えています。

 

「映画アルキメデスの大戦」は、三田紀房さんのコミックを原作とし、「三丁目の夕陽」シリーズや「永遠の0」の監督である山崎貢さんが映画化されました。

コミックのほうは現在17巻、未完ですが、ワシントン条約明けの1933年から現行の最終巻17巻で、ようやく1937年、96式艦上戦闘機や96式陸攻が登場し、日中戦争が本格化しようとしています。

映画の方はコミックの3巻くらいまで、1933年のお話を主軸に扱っています。

www.youtube.com

以下、少し(かなり?)ネタバレにはなりますので、これから映画をご覧になる予定の方は、ここはどうかグッと堪えて、映画をご覧になってから、本稿に戻ってきて下さい。

 

 

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(以下は、映画をご覧になった方、或いはご覧になる予定のない方むけに、ネタバレを気にせずに書きますので、ご注意ください)

 

アルキメデスの大戦」は、映画もコミックも諸般の情勢から忍び寄る次期大戦を防ぐために、「戦艦大和」(に代表されるような世界最大最強の戦艦)建造をいかに阻止するか、なぜ阻止しなければならないか、というのがストーリーの大きな骨格となっています。

と、まあ、このように書くと、本稿の目指すところとは、真っ向から違うなあと、実は筆者は思っていました。コミックは暫く前からポツポツと読んでいましたし、映画化されたら見に行かなくちゃなあ、と。

archimedes-movie.jp

yanmaga.jp

 

で、早速見てきました。

 

ざっと、あらすじ

繰り返しになりますが、現在17巻まで刊行されているコミックに対し、映画はその最初の3巻くらいまでの内容を扱っています。コミックのストーリーから言うと、最初の「巨大戦艦建造計画」を主人公が卓越した数学(論理)で阻止するエピソードが映画化された、と言う内容になるといっていいと思います。

コミックはその後、海軍省内の「大艦巨砲主義と」と「航空主兵論」の争い、満州支配や中国進出、ドイツとの同盟等の外交課題等をめぐる陸軍内部の統制派、皇道派の暗闘、次第に強化される軍部の発言力などを、515事件、相沢事件(永田鉄山暗殺事件)、226事件等の史実を織り交ぜながら辿り、その要所要所で主人公の数学力が一定の影響力を発揮していく、と言う展開になるのですが、もちろん映画ではそこまでの展開は一切触れられることはありません。(映画冒頭に「大和」が坊ノ沖で撃沈されるシーンはありますが)

映画版では、先述の「大和」撃沈のシーンに引き続き、1933年ワシントン条約に従い艦齢が20年を超える金剛級戦艦の代艦建造が議論される場面に、時は遡ります。

史実では条約制限に従い、平賀案と艦政本部案(藤本案)の二案が提出され(案そのものは本稿 第17回 八四艦隊の成立と金剛代艦級計画 :もう一つのワシントン海軍軍縮条約下で - 相州の、1:1250スケール艦船模型ブログ 主力艦の変遷を追って

で、紹介しています)、その後のロンドン条約締結により新戦艦建造禁止期間が延長されたため、計画が立ち消えになるのですが、映画では、「航空主兵論」を掲げる当時の第1航空戦隊司令官山本五十六少将(舘ひろし)が推す藤岡造船少将(藤本少将がモデル?コミックも一緒)が代艦として「空母案」を提出するのに対し、平山造船中将(田中泯:平賀中将がモデル?)が6万トンを超える巨大戦艦案を提示します。(ワシントン条約下では代艦の新造戦艦には35,000トンの制限があったはずなのですが、なぜか一方の代艦提案は空母案であり、もう一方はデザインは史実の平賀案の金剛代艦そのものなのですが、18インチ主砲登載の6万トンの巨大戦艦(「大和」を彷彿とさせる)となっています。映画的な制約から、対立軸と山本側(主人公の属する側)のその後の史実を踏まえた「神の目」的視点での先見性・正当性を明確にするための設定であることは理解できますし、ストーリーそのものには何の齟齬もありませんが、ちょっと「アレ?」という感じですね。条約は史実では1934年の日本の脱退宣言で1936年に失効するのですが、それがこの時点で既定路線となっていた、と解釈すれば・・・)

コミックではここまでの史実との齟齬はなく、藤岡=藤本少将は、空母案ではなく、対空兵装を充実した空母に帯同できる高速戦艦案を提出します。条約制限内、とはコミックでも明言されていませんが)

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ja.wikipedia.org

 

この平山案の巨大戦艦の建造費が、藤岡案の空母案(コミックでは、藤岡少将の空母機動部隊に帯同できる高速戦艦)よりも下回ることに疑義を抱いた山本が、数学の天才(菅田将暉)を主計少佐に抜擢し、この主計少佐が理詰めで疑惑を解明してゆくという筋立てになっています。

議論の顛末としては、「単艦の建造費としては安すぎる」の疑念を皮切りに、「抱き合わせ発注等の不正発注が行なわれている」と言うことが発覚し、国家予算〈税金〉の用途に不正がある、と言うことを論拠に建造を阻止しようとするのですが、それに対し「建艦費用をありのまま開示などしてしまえば、どの規模の艦を建造しようとしているのか、最重要な軍事機密が守れない。そのような覚悟で建艦費用は粉飾されているのだ」と平山中将が「大人の」反論で開き直り、切り抜けられてしまいます。

このエピソードの結着としては、建造費用試算の途上、主人公が純粋に数学的見地から平山案の捩れ強度不足に気付き、その指摘を受けた平山中将が自らの不明を恥じ設計案を「欠陥戦艦を作るわけにはいかない」と、あっさり取り下げる、というオチでした。

コミック版ではこの件が縁でやがて史実の「第四艦隊事件:友鶴事件」に結びつき、巨大戦艦建造計画に対する強度計算式の共有から、平山中将と主人公の間に微妙な(対立と論理に対する敬意が入り混じる?)関係が産まれたりします。

ja.wikipedia.org

 

巨大戦艦建造の意義

では、何故、巨大戦艦建造がそれほど強く望まれ、あるいは何故、強く阻止しなければならなかったか?

それは他者を圧倒する戦力を「象徴」として、戦争を抑止する力として使いこなせると信じるか、信じることができないか、ということだ、というのが、この映画で語られていたことだったのではないかと思います。

「国力の象徴に相応しい名前はもう考えてあるのです」と設計者の平山中将は言います。「大和です」と。

一方、映画中でしきりに「世界最大最強の戦艦など持ったら、戦争に勝てる、と思ってしまうかもしれない」というようなセリフが出てきます。「だから、この計画は終わらせねばならない」と。抑止力が開戦の動機になってしまう、という訳です。

そして、最後のシーンで平山中将は主人公を招き、「大和」の木型模型を見せながら、対米戦争の無謀さに理解を示し、その上で「この船が沈むことで、戦争を終わらせることができる」と自らの主張する「象徴」の究極の意味を吐露したりするのですが。(平山中将を演じる田中泯さんは光っていました)

やや手前味噌的にいうと、本稿では主力艦(戦艦)の変遷をたどることにより、その変化、発達に込められたその時代の海軍戦術、思想の片鱗を理解する、ということを目的の一つにしてきたつもりなのですが、それはある意味、この船は何のために建造されたのか、ということであり、主力艦としての「象徴性」の意味を追う、という視点では何か通じるところがあるのかな、と感じました。

しかし、史実を見ると『大和」の建造は最高機密で、今でこそ戦艦「大和」「武藏」の名は広く知られていますが、戦時中の国民はその存在をほとんど知らされておらず、「象徴」たりえなかったのではないのかな、とか・・・。

 

一方で、この映画では「航空主兵論」が巨大戦艦建造の対立軸として上がって来ている訳ですが、昭和のこの時期(一桁の時期)、用兵側の考える戦力の「象徴」に大きな変化の始まった時代でもあったのだなあ、と改めて感じました。

この映画で扱われている時期から、およそ7年の間に、日本海軍の「航空主兵論」は、6隻の正規空母、97式艦上攻撃機、91式航空魚雷のいわゆる3点セット(零式艦上戦闘機を加えてもいいかもしれません)と、日中戦争で実戦経験を積んだ搭乗員達の技量で頂点を迎え、少なくとも短期優勢の確立には確信を持てる可能性を見出せるところまで持っていきます。

そして大戦の間、それまで長らく国威の「象徴」であったはずの戦艦群は、ほとんど戦局に寄与することなく時を費やしてゆきます。

 

とまあ、筆者としては色々と楽しめる映画だったのですが、一般的にはどうなんでしょうか?主演の菅田さんのファンは、どう思って見ているんだろうか?(そもそもこの映画を見てるんだろうか?)

さらには、そもそも原作コミックは売れているんでしょうかね?冒頭にも述べましたが、現在17巻で、まだ1937年です。筆者のような者から見れば、マニアックな内容満載で、細部にツッコミどころはあるものの、「よく書いてくれた」というような作品でとにかく楽しみにしています。また、戦争終結までまだ8年、あるいは筋からいうと開戦まで4年、かもしれませんが、個人的にはどんな展開にしてくださるのか楽しみではあるのですが、どんな読者がついて来ているんだろうか、と少し疑問に思ったりしています。

 

夏のオススメの一作は?、ときかれた時には、やっぱり「天気の子」と言っちゃうんだろうなあ。

 

 

アルキメデスの大戦」について、是非、ご感想をお聞かせください。映画でも、コミックでも。よろしくお願いいたします。

 

大和級戦艦のディテイル・アップデート

さて、大和関連話題、ということで(?)、大和級戦艦について、Neptune社製「武藏」が入手できたので、少しご紹介を。f:id:fw688i:20190810124600j:image

 このモデルは「武藏」の最終形態を現わしています。

 

大和級戦艦の改装 :「武藏」の対空兵装改装

大和級戦艦はその新造時の設計では、6インチ三連装副砲塔を4基、上部構造の前後左右に配置した設計でしが、一連の既存戦艦の近代化改装の方針である対空戦闘能力の向上に則り、両舷の副砲塔を撤去し、対空兵装に換装しました。

史実では、3番艦「信濃」は、建造途中に設計変更され空母として完成しました。

一方、「大和」「武藏」は1944年に上記の両舷の副砲塔を撤去し、対空兵装を充実し、電探装備を追加する改装を受けました。その際に「大和」は12.7センチ連装高角砲を従来の6基から12基に増強しましたが、「武藏」は高角砲の砲台までは準備できたのですが、高角砲の準備が間に合わず、代わりに25ミリ3連装対空機関砲を増加搭載して、マリアナ沖海戦に臨むことになりました。

「武藏」は、結局、マリアナ海戦後も連装高角砲の増設を受けることなく、引き続きレイテ沖海戦に向かい、損害担当艦として、目立つ塗装をして臨んだ、と言われていますが、多数の航空機の酋長攻撃を受け、シブヤン海に沈みました。

 

(直下の写真は対空兵装増強後の「大和」。両舷の副砲塔が撤去され、12.7センチ連装高角砲が左右両舷に各3基、増強された。但し、18インチ主砲のブラスト防止用のシールドは下部の砲台にしか装備されていない)

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(直下の写真は対空兵装増強後の「武藏」。両舷の副砲塔は撤去され、高角砲台は設置されたが、12.7 センチ連装高角砲が間に合わず、代わりに25mm三連装対空機関砲が設置されている)

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(直下の写真は、対空兵装増強後の「大和」「武藏」 のそれぞれの上部構造の拡大。上:「大和」、下:「武藏」。連装高角砲の増設の有無がよくわかる)

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(以下に、本稿でご紹介してきた大和級戦艦の改装についても、再掲(一部加筆)しておきます) 

日本海軍の新型戦艦

 満州における資源確保で、ある程度の経済基盤を保有したかに見える日本であったが、やはりその国力を考えると、米国には遠く及ばず、従ってその主力艦状況でも物量的に米海軍を凌ぐことは不可能であることは明白であった。

そのため、新型戦艦には、これまで通り個艦の性能で米艦を上回ることが求められ、その設計の帰結が大和級戦艦となって具現化した。

 

大和型戦艦 - Wikipedia

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同級の計画時にはまだワシントン海軍軍縮条約が有効であったために、その主砲は前級である相模級と同様、新型55口径16インチと公承されていたが、実は条約の制限を超える18インチ砲であった。

集中防御方式を推進し、艦型そのものは大変コンパクトであった。塔式の前檣や、集合式の新設計の通信アンテナ、強烈な主砲爆風対策のための格納式航空兵像、内火艇収納庫、シールド付きの対空砲座など、新機軸が多数採用された。

相模 級戦艦で実績のある18インチ砲ではあったが、同級は新設計の砲を新設計の三連装砲塔に搭載した。さらに27ノットの高速で機動性にも優れる戦艦として設計された。高い機動性と強力な砲力で常に相手に対し優位な位置からのアウトレンジを実施し、相手を圧倒することを実現できることが目指された。

(1941-: 64,000t, 27 knot, 18in *3*3, 3 ships, 215mm in 1:1250 by Konishi/Neptun) 

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大和級の2隻:武蔵(手前)、大和。就役時には、副砲塔を上部構造の前後左右に4基配置した) 

 

本稿の大和級戦艦の改装

本稿では、史実からほぼ2年遅れで、第二次世界大戦が始まり、日米開戦もほぼ2年遅れとなったため、大和級戦艦は3番艦の「信濃」まで建造される。

3番艦の「信濃」は日米開戦後の竣工となったため、戦訓を踏まえ新造時から対空兵装増強型で完成され、かつその対空砲として新型の長10センチ連装対空砲を採用した。

(直下の写真は「信濃」)

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また「武藏」も「大和」に僅かに遅れて連装対空砲の増設を受け、「大和」と同様の対空兵装増強を完了した。

(直下の写真は大和級戦艦3隻:手前から信濃、武蔵、大和 の順。信濃は上記のように当初から対空兵装強化型として建造され、対空砲として新型の長10センチ連装砲を採用していた)

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(直下の写真は、大和級の上部構造3態の詳細。上:「大和」「武藏」の最終形態。中:「武藏」の改装途上形態。下:「信濃」の長10センチ連装高角砲の装備形態)
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順序が複雑になってしまいましたね。わかりにくい。

どこかで整理が必要かもしれません。が、今回はここまででご勘弁を。

 

さて、次回から(必ずしも次週ではありません)、特に大きなトピックがなければ、そろそろ海上自衛隊護衛艦開発史のシリーズを展開しようかと考えています。(もちろん、海自版「大和」も含めて?!)

 

***模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。

 

これまで本稿に登場した各艦の情報を下記に国別にまとめました。

fw688i.hatenadiary.jp

内容は当ブログの内容と同様ですが、詳しい情報をご覧になりたい時などに、辞書がわりに使っていただければ幸いです。

 

 

 

特集:本稿に登場した未成艦・IF艦(その2)

未成艦・IF艦

本稿には、都合37級の未成艦・IF艦が登場した。

これらを一覧にまとめておく事も、ある種有用ではないかと考え、二回に渡る特集を組んでご紹介する。

 

未成艦とIF艦の定義だが、正直に言ってそれほど厳密な区分は、筆者は行なっていない。敢えて言うと、「起工され、あるいは少なくとも計画が存在したもの」を未成艦、それ以外をIF艦、と言うよう概ねの定義である。

 

以下が各国海軍とその未成艦、IF艦のリストである。

オーストリア=ハンガリー帝国海軍:超弩級戦艦(未成艦)1クラス

イタリア海軍:超弩級戦艦(未成艦)1クラス

ドイツ帝国海軍:超弩級戦艦(未成艦)1クラス、超弩級巡洋戦艦(未成艦)2クラス

ナチスドイツ海軍:新戦艦(未成艦:主砲換装計画を含む)2クラス・(IF艦)2クラス

新型通商破壊艦(未成艦)1クラス

フランス海軍:超弩級戦艦(未成艦)2クラス、新戦艦(未成艦)2クラス

イギリス海軍超弩級戦艦(未成艦)1クラス、超弩級巡洋戦艦(未成艦)1クラス、新戦艦(未成艦)1クラス

ここまでは前回。以下、今回ご紹介する。

アメリカ海軍:超弩級戦艦(未成艦)1クラス、超弩級巡洋戦艦(未成艦)1クラス、新戦艦(未成艦)2クラス・(IF艦)3クラス

日本海軍:弩級巡洋戦艦(IF艦)2クラス、超弩級戦艦(未成艦)2クラス・(IF艦)1クラス、超弩級巡洋戦(未成艦)2クラス・(IF艦)1クラス、新戦艦(未成艦)1クラス・(IF艦)2クラス

その他:海上自衛隊:(IF艦)1クラス3タイプ 地球防衛軍(?):(IF艦) 1クラス

 

何れにせよ、ここで紹介した軍艦は実在しなかったものばかりである。建造されていたら、どのように活躍したのか、想像を逞しくする一助になればと考える。

 

第一回では、オーストリア=ハンガリー帝国海軍、イタリア海軍、ドイツ帝国海軍、ナチスドイツ海軍、フランス海軍、イギリス海軍の未成艦・IF艦、全17級が登場した。

今回はその特集の第二弾として、アメリカ海軍、日本海軍を中心にご紹介する。

この両海軍では、これまで可能な限り、その竣工時から近代化改装後のモデルまでを整備するように努めてきた。この両海軍の未成艦、IF艦についても、各級の変遷についてもお楽しみいただければ幸いである。

 

製作メモも追加しましたので、そちらも併せてご参考に。

 

未成艦・IF艦の性格について、ちょっとトーク

時折、IF艦・未成艦を作成するために、コレクションをしているような気さえします。そして、間違いなく、コレクションの醍醐味、最大の喜びと言っていいと思います。

コレクションを続けていくと、設計の流れ、と言うか、装備の流れ、デザインの流れ、と言うようなものがなんとなく見えてくるように思います。その流れの中で、次級はこうなるな、とか、この時期の未成艦はこのようになっているはずじゃないか、などと「流れ」の中で考えてゆきます。

いっぽうで、コレクションを続けてゆくと、部品取りに適したモデル、各社の特徴など、模型視点での情報の把握ができます。私の経験で言うと、Delphin社、Hansa社のモデルは部品取りに適しています。さらにこの両社のモデルは構造がはっきりしており、パーツへの分解が可能です。従って、架空艦、IF艦などのオリジナルモデルを製作するときなどは、ベースとしても、部品としても、重宝します。

前回からご紹介している各モデルも、ほぼ、そのように成り立っています。

 

アメリカ海軍の未成艦・IF艦

超弩級戦艦 Super-Dreadnought battleship

未成艦:ケンタッキー(サウスダコタ1920)級戦艦  - Wikipedia

en.wikipedia.org

前級のコロラド級戦艦は、既述のように日本海軍の長門級が16インチ砲を搭載しているという情報に基づき、本来はテネシー級の改良型として建14インチ砲搭載艦として建造される予定であった。その為、備砲のみ16インチでその防御は16インチ砲に対するものではなかった。

従って、ケンタッキー級は、初めて当初から16インチ砲を搭載することを念頭に設計された戦艦であった。パナマ運河航行を考慮して、艦型に大きな変化を与えず、従来のいわゆる米海軍の標準的戦艦の設計を踏襲した上で、機関、備砲(16インチ12門)と16インチ砲に見合う防御を兼ね備えた艦となった。備砲と防御はもちろん最強であったが、あわせて速力もこれまでの米戦艦を上回るものであった。

とはいえ、日本海軍の同時期の戦艦には大きく劣り、実戦となった場合には、このことは相当の不利に働くことになる。

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(42,000t, 23knot, 16in *3*4, 3 ships, 176mm in 1:1250 by Superior)

 

ケンタッキー級、コンステレーション級の近代化改装モデルの到着

本稿第22回でご紹介した通り、日米両海軍は、太平洋を挟んだ緊張の中で、新戦艦の建造と併せて、保有する既存戦艦各級の近代化改装を、数次にわたって行なった。

既存戦艦としては最も最後に建造されたケンタッキー級(史実ではサウスダコタ1920級として知られている)、コンステレーション級(史実ではレキシントン級として知られている。同級のレキシントンサラトガは、航空母艦として建造された)についても、同様の対応がとられ、その外観が一変した。

その改装の目的は、他の既存艦に対する改装同様、射撃システムの一新への対応と副砲を廃し対空・対艦両用砲への変更やその他の対空火器の強化、防御力強化等に置かれていた。

 

これも第22回でご案内した通り、両級は未成艦であるため新造時の模型は製造されていたが、近代化改装後の模型までは存在せず、筆者は、ごく最近になって両級の近代化改装後の3Dプリンティングモデルを発見し、その製作者Tiny Thingajigsに発注をかけ、模型の到着を心待ちにしていた。

直下の写真が到着した未塗装の模型である。

今回、筆者は、比較的柔らかい樹脂であるWhite Natural Versatile Plasticという素材でのプリントアウトを依頼した。柔らかい素材である分、ややフォルムが甘く、もし原型に忠実なシャープな模型を期待する場合には、Smooth Fine Detail Plasticという素材で製作依頼をした方が良いかもしれない。ただし、その場合には、約2.3倍の費用を覚悟する必要があるのでご注意を。

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(直上の写真は、到着時の両モデル。上:ケンタッキー級(サウスダコタ1920級)、下:コンステレーション級(レキシントン級

www.shapeways.com

www.shapeways.com

 

ケンタッキー級(サウスダコタ1920級)近代化改装後

他級の近代化改装同様、射撃システムの変更、副砲撤去、両用砲を砲塔形式で装備、上部構造物の一新、等々で、艦様は新造時と全く異なる、文字通り近代化された様相となった。

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(直上の写真は、ケンタッキー級の新造時(上)と最終改装後(下)の艦様の比較)

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(直上の写真は、いずれも近代化改装後の既存戦艦各級の比較。右下から、ネバダ級、テネシー級、ケンタッキー級。上部構造物の配置と、その周辺の対空火器の強化が興味深い。さらに、米海軍としては初めて設計当初から16インチ主砲搭載艦として設計されたケンタッキー級の大きさがよくわかる)

 

超弩級巡洋戦艦 Super-Dreadnought battlecruiser 

未成艦:コンステレーション級(レキシントン級)巡洋戦艦 - Wikipedia

en.wikipedia.org

同級のうちレキシントンサラトガ航空母艦に転用建造され、コンステレーションとコンスティチューションの2隻が建造された。

米海軍はこれまで巡洋戦艦を建造せず、米海軍初の巡洋戦艦となった。

それまで、米海軍の主力艦は21ノットの戦隊速度を頑なに守っており、高速艦で揃えられた日本艦隊、あるいは英海軍のクイーン・エリザベス級、レナウン級、アドミラル級などの高速艦隊に対抗する術を持たなかった。これを補うべく設計された同級であったが、当初の設計では、備砲(16インチ8門)と速力は強力ながら(当初設計では33.3ノット)、その装甲は極めて薄く、ユトランド沖海戦以降に、防御に対策を施した諸列強の高速艦には十分に対抗できるものではなかった。

この為、装甲の強化を中心とした防御力に対する見直しが行われ、代わりに速力を30ノットに抑える、という設計変更が行われた。
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(42,000t, 30knot, 16in *2*4, 2 ships, 213mm in 1:1250 by Hai)

 

コンステレーション級(レキシントン級巡洋戦艦 近代化改装

同級もケンタッキー級に準じた、射撃システムの変更、副砲撤去、両用砲を砲塔形式で装備、上部構造物の一新、等々の近代化改装を受け、艦様が一変した。

特に、外観上での米海軍主力艦の特徴の一つであった艦上部構造の前後に佇立する篭マストが、塔状の構造物に置き換えられた。

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(直上の写真:舷側に迷彩塗装を施してみた)

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(直上の写真は、コンステレーション級の新造時(上)と最終改装後(下)の艦用の比較)

 

米海軍の新型戦艦

新型戦艦の黎明期

米海軍はワシントン軍縮条約明けに向けて、これまでの標準的なアメリカ海軍の戦艦とは大きく異なる設計思想を持つ新型戦艦を設計した。

これまで、アメリカ海軍は、常に圧倒的な物量を展開することを念頭に、個艦の性能、速度などの優位性よりも、戦艦戦隊の戦闘単位としての威力に重点を置いた艦隊構想を持っていた。

しかし、ユトランド沖海戦の戦訓、さらには発展著しい航空機と新たなその運用戦術となるであろう航空母艦等との連携には、従来の速度では不十分であることが明らかとなり、新型戦艦はこれまでの標準速力を一新する、高速戦艦が俎上にあげられた。

 

さらに、この新型戦艦の搭載主砲には複数案あり、当初は、それまでの標準型戦艦と同様の14インチ主砲を四連装砲塔3基12門搭載艦の建造が予定された。

ほぼ各国海軍の戦艦開発の定石として、当然のこと、新型戦艦は前級を上回る性能を有することを目指す。「前級を上回る」と言う要件に照らして考えると、主砲は前級と同等あるいはそれよりも口径の大きな砲を装備する、と言うことになるが、ここでは敢えて前級のケンタッキー級の16インチを下回る14インチとした。速度はそれまでの標準戦艦に対し大きく改善されているので、必ずしも一方的な後退、と言うわけではないが、非常に珍しい選択と言えるであろう。

新開発の14インチ砲は長砲身を採用し従来の14インチ砲よりも高初速、直進性を高め、かつ新型砲塔により、より高い速射性を有し、ケンタッキー級の16インチ砲を上回る性能と評された砲だったが、日本海軍が開発中の新型戦艦には新型16インチ砲を搭載する(実際には18インチ砲)、と言う情報に接しては、やはり16インチ砲にその標準装備を切り換えざるを得ないという背景から、その4番艦、5番艦を16インチ主砲装備艦として建造することになった。

史実では、日本海軍が条約明けに建造する艦が16インチ主砲を搭載することがほぼ確定した段階で、16インチ主砲装備艦として建造された。

都合、新型戦艦はメイン級(1938年 14インチ砲搭載) 2隻

改メイン級(1939年 14インチ砲搭載) 1隻

ノースカロライナ級(1941年 16インチ砲搭載) 2隻

サウスダコタ級(1942年 16インチ砲搭載) 4隻

の合計9隻が就役した。

 

未成艦:メイン級戦艦

新型14インチ主砲搭載の新型戦艦である。米海軍の戦艦として初めて27ノットの高速を発揮できる戦艦として設計された。14インチ主砲を四連装砲塔3基に搭載している。水平防御にも十分な配慮が施された設計となっている。

(1938: 35,500t, 27knot, 14in *4*3, 2ships, 177mm in 1:1250 by Hansa/Semi scratched)

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(メイン級戦艦2隻:サウスカロライナ(手前)、メイン)

製作メモ)Hansa社のノースカロライナ級戦艦をベースとし、これに、Atlas製のプリンス・オブ・ウエールズから4連装14インチ主砲塔を転用した。

 

IF艦:戦艦 バージニア(改メイン級戦艦)

メイン級の改良型として、建造された。メイン級を合理化してより集中防御方式を徹底したコンパクトな上部構造を持つ設計とした。主砲はメイン級と同じ14インチ主砲を四連装砲塔3基に搭載している。設計当初は、日本海軍の新戦艦が16インチ主砲を装備していても、同級の新型14インチ砲で対処できるのではないかという見方もあったが、検討の結果、十分な防御を得られたとは判断されず、1隻のみの建造となった。後に建造されるサウスダコタ級戦艦の基本設計となった。

(1939: 35,500t, 27knot, 14in *4*3, 2ships, 165mm in 1:1250 by Hansa/Semi scratched)

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**この後に建造されたノースカロライナ級2隻とサウスダコタ級4隻は、実在する為、今回は紹介しない。

興味のある方は、本稿、第22回を参照されたい。 

製作メモ)前級同様、Hansa社のサウスダコタ級をベースとしてこれに、Atlas製のプリンス・オブ・ウエールズから4連装14インチ主砲塔を転用した。

1:1250スケールモデルでは、Hansa社、Delphin社のダイキャストモデルは、細部まで作り込まれている割には、Neptune社に比べて、比較的安価で中古モデルを入手することができる。筆者は架空艦・IF艦の製作の際に、そのベースとして両社のモデルを利用することが多い。

 

アイオア級以降の新型戦艦 

IF艦:改アイオア級(イリノイ級)18インチ搭載艦の建造

アイオア級建造中に、日本海軍の新型戦艦が18インチ砲搭載艦であることが判明し、加えてその前級である相模級戦艦も18インチ砲を搭載していることが判明した。このため、急遽、建造される予定であったアイオア級5番艦、6番艦を18インチ砲搭載艦として建造することが決定し、さらに、2隻を同級に追加し、4隻の18インチ砲搭載艦を建造することとなった。(イリノイネブラスカデラウェアジョージア

一方で、パナマ運河の通行を可能とするために、艦幅はアイオア級に準ぜねばならず、33ノットの速力を保持した上で、18インチ砲搭載による重量増加、さらには同砲射撃時の砲撃精度をこの艦幅でどのように担保するか、難しい課題に対する設計見直しが行われた。

結果、上部構造をコンパクトにすることにより浮いた重量分を主砲関係の重量増加と、18インチ砲装備による防御力向上に向けられることとなった。結果、機関対する余裕が前級よりも少なくなり、30ノットの速度に甘んじる結果となった。

(1944, 55,000 t, 30 knot, 18in *3*3, 4 ships, (6 ships planned), ***mm in 1:1250  by Superior)

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(イリノイ級:イリノイネブラスカデラウェアジョージア

 

IF艦:改イリノイ級(バーモント級)の建造:16インチ砲への回帰

上述のように艦幅と排水量の上限が課せられた条件で、様々な工夫が盛り込まれたイリノイ級の設計であったが、そもそもが18インチ砲対応の防御力が予定されていないこと(日本海軍の長門級に対応したコロラド級の設計変更、条約明け後のノースカロライナ級の設計変更時にも、主砲口径のアップとその防御力のアンバランスという同様の事象が発生した)、併せて18インチ砲搭載には不十分な艦幅からくる射撃時の精度不足が判明したことから、イリノイ級5番艦(バーモント)・6番艦(ロードアイランド)は、16インチ砲搭載艦として建造することが決定した。

(1945, 55,000 t, 34 knot, 16in *3*3, 2 ships, ***mm in 1:1250  by Superior)

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この設計変更は非常に成功で、速度はタイプシップであるアイオア級を上回る34ノットとなったし、その射撃精度も、米国の戦艦史上最高を記録した。

製作メモ)主砲には、Atlas社のニュージャージー級戦艦の主砲塔を転用した。
 

未成艦:モンタナ級戦艦 - Wikipedia

en.wikipedia.org

アイオア級の項で記述したように、米海軍では来るべき日米の艦隊決戦では、空母機動部隊を中心とした前哨戦で制空権を握った後に、主力艦同士の砲撃戦を行う、という構想を持っていた。これも前述のようにアイオア級はその前哨戦を制するべく設計された空母部隊との帯同を想定した高速戦艦として建造されたが、モンタナ級は、前哨戦の後、主力艦同士の砲撃戦を想定して設計、建造されたいわゆる「低速戦艦」であった。低速といっても、28ノットを発揮でき、サウスダコタ級、ノースカロライナ級などとは同等に行動できる。

主力艦同士の砲撃戦を制すべく、アイオア級と同じ、新開発の55口径16インチ砲を三連装砲塔4基12門、搭載する強力な戦艦となった。

(1946, 60,500 t, 28 knot, 16in *3*4, 4 ships, ***mm in 1:1250  by Superior) 

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モンタナ級が搭載した主砲は、アイオア級以降の戦艦が搭載していたMk.7 50口径16インチ砲であったが、この砲はサウスダコタ級やノースカロライナ級が搭載したMk.6に比較して、発砲初速が速く、長い射程を誇る高性能砲であった。早い初速から風等の影響を受けにくく、散布界(斉射時の砲弾のばらつき)が小さくなり高い射撃精度を得ることができ、遠距離砲戦に適していた。

 

 

日本海軍の未成艦・IF艦 

弩級巡洋戦艦 Dreadnought battlecruiser

日露戦争日本海軍は大躍進を遂げた。

戦争には間に合わなかったが、戦時予算で急造した鹿島級戦艦、筑波級巡洋戦艦などが相次いで就役し、併せて5隻の戦艦、1隻の二等戦艦、2隻の海防戦艦などが戦利艦として編入され、数的視点から見れば戦前の倍の規模の主力艦を擁する陣容となった。

更にその後、巡洋戦艦鞍馬級の就役に続いた薩摩級戦艦は、世界最大の戦艦として就役した。

しかし、同時期に英海軍が就役させたドレッドノートによって、これら全ての主力艦は、一夜にして「旧式艦」となってしまった。

日本海軍としては初の弩級戦艦である河内級戦艦の建造と並んで、「旧式艦ばかりの二流海軍」からの急遽脱却を図るべく、海軍は欧米列強の既成弩級戦艦の購入を模索し始めた。

あわせて、より深刻な要素として、当時、各国の海軍で導入されていた装甲巡洋艦の高速化への対応が、検討されねばならなかった。すなわち、当時の日本海軍が保有する主力艦の中で最も高速を有するのは装甲巡洋艦巡洋戦艦)「伊吹」であったが、その速力は22ノットで、例えば膠州湾青島を本拠とするドイツ東洋艦隊のシャルンホルスト級装甲巡洋艦(23.5ノット)が、日本近海で通商破壊戦を展開した場合、これを捕捉することはできなかった。

これらのことから、特に高速を発揮する弩級巡洋戦艦の導入が急務として検討され、その結果、弩級巡洋戦艦「蓼科」「劔」の購入が決定された。

「劔」「蓼科」は、2 艦で巡洋戦艦戦隊を構成し、この戦隊の発足がシュペー提督のドイツ東洋艦隊の本国回航を決意させた遠因となったとも言われている。

 

IF艦:弩級巡洋戦艦「蓼科」(独装甲巡洋艦ブリュッヒャー2番艦改造)

ブリュッヒャー (装甲巡洋艦) - Wikipedia

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Battlecruiser Tateshina(Fictional: Based on armoerd cuiser SMS Blücher. IJN purchased 2nd ship of her class under cinsruction and remodled to battle cruiser)

(1912-, 16,500t, 25.4knot, 12in *2*3)(127mm in 1:1250 by Navis)

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ドイツ海軍の装甲巡洋艦ブリュッヒャー」の2番艦を巡洋戦艦に改造、導入したものである。

ブリュッヒャーは、従来の装甲巡洋艦の概念を一掃するほどの強力艦として建造されたドイツ帝国海軍の装甲巡洋艦である。装甲巡洋艦におけるドレッドノートと言ってもいいかもしれない。主砲は44口径21センチ砲を採用し、戦艦並みの射程距離を有し、搭載数を連装砲塔6基として12門を有し、また速力は25ノットと、当時の近代戦艦(前弩級戦艦)、装甲巡洋艦に対し、圧倒的に優位に立ちうる艦となる予定であった。

しかしながら、同時期にイギリスが建造したインヴィンシブルは、戦艦と同じ、30.5センチ砲を主砲として連装砲塔4基に装備し、速力も25.5ノットと、いずれもブリュッヒャーを凌駕してしまったため、ドイツ海軍は急遽同等の弩級巡洋戦艦建造に着手しなければならず、ブリュッヒャーは中途半端な位置づけとなり、後続艦の建造が宙に浮いてしまうこととなった。

日本海軍はこれに目をつけ、この2番艦の建造途中の船体を購入し、「蓼科」と命名、これを巡洋戦艦仕様で仕上げることにした。主な仕様変更としては、主砲をオリジナルの44口径21センチ砲12門から、日本海軍仕様の45口径30.5センチ連装砲塔3基および同単装砲塔2基、として計8門を搭載した。この配置により、首尾線方向には主砲4門、舷側方向には主砲7門の射線を確保した。機関等はブリュッヒャー級のものをそのまま搭載したところから、ドイツで建造した船体をイギリスで仕上げる、といった複雑な工程となった。が、狙い通り就役は「河内級」とほぼ同時期であった。

速力は25ノットの、当時の日本海軍主力艦としては、最も高速を発揮したが、装甲は装甲巡洋艦ブリュッヒャーと同等の仕様であったため、やや課題が残る仕上がりとなった。

 

IF艦:弩級巡洋戦艦「劔」(独弩級巡洋戦艦 フォン・デア・タン2番艦改造)

 フォン・デア・タン (巡洋戦艦) - Wikipedia

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Battlecruiser Tsurugi (Fictional: Based on battlecruiser SMS Von Derr Tann. IJN purchaed 2nd ship of her class under cinsruction and remodled to battle cruiser with 12in L50 )

(1912-, 19,800t, 25.5knot, 12in L50 *2*4)(136mm in 1:1250 by Navis)

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弩級巡洋戦艦「蓼科」の保有に成功した日本海軍であったが、上記のように、本来は装甲巡洋艦であったために、その防御力には課題が残った。併せて、河内級搭載のイギリス製の50口径主砲がやはり前述のような課題(しなりが大きく、精度が出ない。命数が短い)があったため、日本海軍は当時50口径砲の導入に成功していたドイツを対象に、もう一隻、弩級巡洋戦艦の購入を模索することにした。

白羽の矢が立ったのは、ドイツ海軍初の弩級巡洋戦艦「フォン・デア・タン」の2番艦で、すでにドイツ海軍の上層部の関心が、より強力な次級、あるいはさらにその次のクラスに向いてしまったため、やはり宙に浮いていたものを計画段階で購入することにした。

ブリュッヒャー級2番艦の場合と異なり、今回はその基本設計はそのままとし、主砲のみ、既に戦艦ヘルゴラント級で搭載実績のある1911年型50口径30.5センチ砲に変更し、船体強度などに若干の見直しを行った。同砲では河内級でイギリス製の50口径砲に見られたような問題は発生せず、ドイツの技術力の高さを改めて知ることになる。

主砲の口径の拡大と、それに伴う構造の変更があったにも関わらず、速力はオリジナル艦と同等の25.5ノットを確保することが出来た。

同艦は1912年に就役し、弩級巡洋戦艦「劔」と命名された。

 

日本海軍の整備計画(八八艦隊計画の背景)

第一次大戦への関与の度合いは欧米諸国よりは低かった日本ではあったが、大戦終了後の景気後退等不況の影響は大きく、さらに大戦終了時から行われたシベリア出兵などの出費からくる厭戦気分から、せっかく英米の譲歩を勝ち得た条約下での主力艦建造の継続に対する世論は、必ずしも支持的と言える状況ではなかった。

しかし、これを一変する状況が、日清・日露両戦争、更には第一次世界大戦中、その後のシベリア出兵を通じて、一貫して実質支配権確立に努めてきた満州で発生する。(ちょっと仮想小説的になってきてしまいますが)

満州北部の北満州油田(史実では大慶油田として1959年に発見)、満州南部の遼河油田(史実では同呼称の遼河油田として1973年発見)の発見である。もちろんこれらの油田発見は、即、本格操業というわけには行かないのではあるが、これに既存の鞍山の鉄鉱山を加え、日本は有力な財政的な基盤を得た。

一方で、北満州油田は新生ソ連との国境が近く、その防衛も含め、日本は満州の日本傀儡下での独立を画策していくことになる。

ともあれ、これにより、日本海軍は八八艦隊計画を部分的に維持し、ワシントン海軍軍縮条約締結時にすでに進水していた加賀級戦艦2隻の建造をそのまま継続し、1925年に艦齢10年を迎える扶桑級に代えて紀伊級戦艦の紀伊尾張を、1927年には伊勢級2隻の代替艦として、改紀伊級戦艦の相模、近江を就役させる計画を立て、これを推進した。

 

未成艦:加賀型戦艦 - Wikipedia

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前級長門級戦艦を強化した高速戦艦である。16インチ砲を連装砲塔5基10門とし、搭載主砲数に対応して大型化した艦型を持ちながら、速力は新型機関の採用で長門級と同等の26.5ノットとした。長門級で取り入れられた集中防御方式を一層強化し、さらに傾斜装甲を採用するなど、防御側面の強化でも新機軸が盛り込まれた。

長門級では前檣への煙の流入に悩まされたが、加賀級でも同様の課題が発生し、二番艦土佐では新造時から長門型で一定の成果のあった湾曲煙突が採用された。しかし、長門と異なり新機関採用により前檣と後檣の間隔を短くしたため、今度は後檣への煙の流入が課題となってしまった。結局、大改装時の新型煙突への切り替えまで、加賀・土佐共に煙の流入に悩まされることになった。

(39.979t, 26.5knot, 16in *2*5, 2 ships, 185mm in 1:1250 semi-scratched based on C.O.B. Constructs and Miniatures /3D printing model)

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(就役時の加賀級戦艦2隻:加賀(手前)と土佐:土佐は就役時から前檣編煙流入対策として長門級で採用されていた湾曲型煙突を採用していた)

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製作メモ)C.O.B. Constructs and Miniatures社製の3D Printing modelをベースとして、前檣をストックのパーツとプラスティックロッド等で、セミクラッチした。土佐の湾曲煙突は、Superior社製の天城級巡洋戦艦から転用した。

 

最終改装時(1941年次)の加賀級戦艦

バルジの追加、装甲の強化、艦橋構造の変更に加え、従来から課題とされてきた煤煙の流入対策のために煙突の換装が行われた。これらの重量増加への対応として、機関の換装も行われたが、基本設計に機関の増強等に対する余裕が十分でなく、結果として速度は低下してしまった。

そのため大戦中は、主力艦隊の序列を離れ、主としてシンガポールにあって西方警備の任務に当たった。

(1941: 47,500t, 25 knot, 2 ships, 187mm in 1:1250 semi-scratched based on C.O.B. Constructs and Miniatures /3D printing model)

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(直上:改装後の土佐(手前)と加賀(奥))

製作メモ)C.O.B. Constructs and Miniatures社製の3D Printing modelをベースとして、前檣上部をストックのDelphin社製の伊勢級戦艦から転用した。

 

未成艦:紀伊型戦艦 - Wikipedia

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1925年に艦齢10年を迎える扶桑級戦艦に対する代替艦として建造が進められた。紀伊級の2隻の完成により、扶桑級戦艦2隻は、練習戦艦籍に移され、舷側装甲の撤去、砲塔数の削減等が行われた。

紀伊級戦艦は、防御方式等は前級の加賀級戦艦の経験に沿いながらも、加賀級を上回る高速性を求めたため、その基本設計は条約締結時に計画破棄となった天城型巡洋戦艦に負うところが多い。巨大な機関を搭載し、艦型はそれまでの長門級加賀級とは異なり長大なものとなった。

主砲としては加賀級と同様、16インチ連装砲塔5基10門を搭載し、29.5ノットという高速を発揮した。当初、同型艦を4隻建造する計画であったが、建造途上で、米海軍の新戦艦サウスダコタ級が、16インチ砲を三連装砲塔4基12門搭載、という強力艦であることが判明し、この設計では紀伊尾張の2隻にとどめ、建造途中から次級改紀伊級の設計と連動して建造が進められた。

長門級加賀級で悩まされた煙の前檣、あるいは後檣への流入対策として、本級から集合煙突が採用され、煙対策もさることながら、艦型が整備され、優美さを加えることとなった。
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(1926-, 42,600t, 29.5knot, 16in *2*5, 2 ships, 202mm in 1:1250 semi-scratched based on Team Blue Games  with funnel by Digital Sprue /3D printing model )

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(就役時の紀伊級戦艦2隻:紀伊(手前)と尾張

製作メモ)Team Blue Games 社製の3D Printing modelをベースとして、前檣をストックのパーツとプラスティックロッド等で、セミクラッチした。さらにオリジナルモデルでは二本の煙突を Sprue社製の集合煙突(3D Printing Model)に換装した。

 

1933年次 第一次改装時の紀伊級戦艦

紀伊級戦艦は、以降に建造された戦艦群が、その高い機密性保持のために表舞台に登場できなかった事情から、連合艦隊の象徴的存在として長門級とともに長く国民に親しまれ、また海外にも紹介された。

このため比較的若い建艦年次から数度にわたる改装を受けた。

第一次改装においては、防御装甲の強化に加え、前檣、後檣の上部構造を近代化し、あわせて対空装備の強化、航空艤装の追加などが行われた。機関の改善も行われたが、速度はやや低下した。

(1933, 46,600t, 27.5knot, 16in *2*5, 2 ships, 202mm in 1:1250 semi-scratched based on Team Blue Games  with funnel by Digital Sprue /3D printing model )  

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(第一次改装時の紀伊級戦艦2隻:紀伊(手前)と尾張

製作メモ)前出の竣工時のモデルから、さらに前檣上部と後檣をDelphin社製伊勢級戦艦から転用した。

 

最終改装時(1941年次)の紀伊級戦艦

1941年次の改装においては、バルジの追加、対空兵装の強化、装甲の強化はもちろん、機関の大換装も行われ、あわせて艦首部の延長、艦尾の延長など、艦型の見直しも行われ、速度を新造時にまで回復することができた。

長く連合艦隊旗艦の任にあって、通信設備、旗艦設備が充実したため、大戦中も旗艦の任を継続した。

(1933, 50,600t, 29.5knot, 16in *2*5, 2 ships, 208mm in 1:1250 by Tiny Thingamajigs /3D printing model )  

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(最終大改装時の紀伊級戦艦2隻:紀伊(手前)と尾張

 

未成艦 or IF艦:改紀伊型・相模型戦艦(参考:十三号型巡洋戦艦) - Wikipedia

en.wikipedia.org

1927年に艦齢10年を迎える伊勢級戦艦に対する代替艦として建造が進められた。相模級の2隻の完成により、伊勢級戦艦2隻は、扶桑級と同様の措置の後、練習戦艦籍に移された。

相模級戦艦は、前述のように本来は紀伊級の同型3番艦、4番艦として建造されるはずであったが、米海軍が建造中のケンタッキー級(サウスダコタ級1920)戦艦が16インチ砲12門搭載の強力艦である事が判明したため、改紀伊級として設計が見直された。

まずは備砲が見直され、三連装砲塔開発案、連装砲塔6基搭載案、連装砲塔複合による4連装砲塔の新開発など、種々の案が検討されたが、いずれもケンタッキー級を凌駕する案とはなり得ず、最終的には新開発の2年式55口径41センチ(16インチ)砲と称する新型砲を連装砲塔で4基搭載する、という案が採択された。(それまでの16インチ砲は45口径であった)

この新砲搭載と、これまでの高速性を維持するため、艦型は紀伊型を上回り大型化し、実質は条約制限を上回る44,000トンとなったが、これを公称42,000トンとして建造した。

本級は最高軍事機密として厳重に秘匿され、さらに長く建造中と称して完成(1929年)が伏せられ、その完成が公表されたのは条約切れの後(1932年)であった。

ここには日本海軍の詐術が潜んでいた。2年式55口径41センチ砲は、実は18インチ砲であった。他の条約加盟国は、このクラスの建造(特に主砲口径)に強い疑惑を抱いており、これも条約更新が行われなかった要因の一つとなったと言われている。

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(1932-, 44,000t(公称 42,000t), 28.5knot, 18in *2*4, 2 ships, 219mm in 1:1250 semi-scratched based onTeam Blue Games with funnel by Digital Sprue /3D printing model)

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(就役時の改紀伊級・相模級戦艦2隻:相模(手前)と近江)

製作メモ)Team Blue Games 社製の13号型巡洋戦艦の3D Printing modelをベースとして、前檣をストックのパーツとプラスティックロッド等で、セミクラッチした。さらにオリジナルモデルでは13号型巡洋戦艦の特徴の一つである巨大な煙突を、 Sprue社製の集合煙突(3D Printing Model)に換装した。

 

最終改装時(1941年次)の相模級戦艦

初の18インチ主砲装備艦として、最終改装時には、その艦橋構造を行動を共にするであろう同じ18インチ主砲を装備した大和級に準じたものに換装し、バルジの追加、垂直装甲の強化、 対空火器の強化、機関の換装が行われた。

(1932-, 53,200t), 28.5knot, 18in *2*4, 2 ships, 219mm in 1:1250 semi-scratched based onTeam Blue Games with funnel by Digital Sprue /3D printing model)f:id:fw688i:20190420165539j:image
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(最終大改装時の相模級戦艦2隻:相模(手前)と近江)

製作メモ)前出の竣工時のモデルをベースに、さらに前檣上部をAtlas社製の大和級戦艦から転用した。主砲塔を3D Printing modelの18インチ連装砲塔に換装した。

 

奇しくも、ようやく八八艦隊のうちの戦艦8隻の装備が完了し、日本海軍はこれに第一線戦力として、旧式ながら高速の金剛型巡洋戦艦4隻を加えた、高速艦による八四艦隊を完成させた。

 

未成艦: 金剛代艦計画

ワシントン軍縮条約下で、日本海軍は英米海軍に対し数的な優位には立てないことが確定した。このため高い機動力による戦場での優位性を獲得するために、条約制約下で速力に劣る扶桑級伊勢級の4戦艦を破棄し、最も古い金剛級巡洋戦艦を残すという選択をしなくてはならなかった。

金剛級巡洋戦艦は、その優速性ゆえ貴重で、その後数次の改装により、防御力の向上等、近代高速戦艦として生まれ変わっていくが、如何せんその艦齢が古く、いずれは代替される必要があった。

こうして金剛代艦計画が進められることになる。

 

この計画には、文字通り海軍艦政の中枢を担う艦政本部案と、当時、海軍技術研究所造船研究部長の閑職にあった平賀中将の案が提出された。

ja.wikipedia.org

 

未成艦:平賀案:畝傍級巡洋戦艦

海軍技術研究所造船研究部長平賀中将の設計案で、40,000トンの船体に16インチ砲を10門搭載、30ノットを発揮する高速戦艦として設計された。(ちょっと史実とは異なります)副砲を砲塔形式とケースメイト形式で混載。集中防御方式を徹底した設計となった。

 

畝傍級巡洋戦艦高速戦艦)として採用され、当初4隻が建造される予定であったが、設計変更が発生し、「畝傍」「筑波」の2隻のみ建造された。

(1936-, 40,000t, 30knot, 16in *3*2+16in *2*2, 2 ships, 185mm in 1:1250 semi-scratched based on C.O.B.Constructs and Miniatures /3D printing model)

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徹底した集中防御方式を意識したため、上部構造を中央に集中した艦型となった。初めて艦橋を新造時より塔構造とし、その塔構造艦橋の中層に高角砲を集中配置するなど新機軸が取り込まれ、その結果、やや重心が高くなってしまった。

結果、操艦と射撃精度にやや課題が発生した。

そのため当初4隻の建造予定が見直され、2番艦までで建造を打ち切りとし、3番艦・4番艦に対しては設計変更が行われた。これらは高千穂級巡洋戦艦として建造された。

製作メモ)C.O.B.Constructs and Miniatures 社製の平賀案の最大特徴である素晴らしいモールドの湾曲煙突を持つ3D Printing modelをベースとして、前檣上部をストックのNeptune社製大和級戦艦初期型に換装した。

 

未成艦:艦政本部案 巡洋戦艦 信貴

海軍艦政本部藤本少将が中心となって設計した。このため藤本案と呼ばれることもある。40,000トン、30ノット等、設計の基本要目はもちろん平賀案と同様である。

平賀案と異なり、比較的広い範囲をカバーする防御構造を持ち、主砲は3連装砲塔3基9門、副砲はすべて砲塔形式とした。

 

「信貴」1隻が試作発注され、同型艦はない。兵装・機関配置等、後に大和級戦艦の設計に影響があったとされている。

(1936-, 40,000t, 30knot, 16in *3*3, 190mm in 1:1250 semi-scratched based on C.O.B.Constructs and Miniatures /3D printing model)

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製作メモ)C.O.B.Constructs and Miniatures 社製のモデルをベースに、前檣上部と煙突をAtlas社製大和級戦艦の両者に換装した。

 

IF艦:高千穂級巡洋戦艦高速戦艦):改畝傍級

畝傍級には、上述のような課題が発見され、 特に上部構造の改修に力点が置かれた設計の見直しが行われた。

こうして、畝傍級3•4番艦は高千穂級として建造された。両艦は「高千穂」「白根」と命名された。

 

主要な設計要目は畝傍級と同じで、40,000トンの船体に16インチ砲を10門搭載し、船体配置の若干の見直しにより、より大型の機関を搭載することができ、速力は32ノットを発揮することができた。副砲は畝傍級同様、砲塔形式とケースメイト形式の混載としたが、後に対空兵装の必要性が高まるにつれ、対空兵装への置き換えが行われた。

(1939-, 40,000t, 32knot, 16in *3*2+16in *2*2, 2 ships,, 193mm in 1:1250 semi-scratched based on Superior)

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(直上:新造時の高千穂級)

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 (直上:改装後の高千穂級:副砲塔を撤去し、対空兵装を集中装備した)

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 (高千穂級高速戦艦2隻:白根(手前:対空兵装強化後の姿、高千穂(奥:新造時))

製作メモ)Superior社製のモデルをベースに、竣工時のモデルには前檣上部をDelphin社製大和級のものに、副砲塔をAtlas社製大和級戦艦の副砲塔に換装した。改装後のモデルについては、上部構造全体をAtlas社製大和級の上部構造に換装した。

 

こうして金剛級代艦は都合5隻が建造された。

 

IF艦(未成艦):超大和級戦艦:播磨級(播磨・伊予)の建造

大和級の建造によって、日本海軍は個艦の性能で米戦艦に凌駕する戦力を保有することに成功したが、いずれは米海軍が18インチ砲搭載艦を建造することは明白であった。事実、既述のようにアイオア級の5番艦以降、改アイオア級(イリノイ級)で米海軍の18インチ砲搭載艦は実現する。

この予見される脅威への対抗策が、A-150計画であった。

 

超大和型戦艦 - Wikipedia

en.wikipedia.org

A-150計画では、米海軍が建造するであろう18インチ砲搭載艦を打ち破るために更なる大口径砲の20インチ(51センチ)砲を搭載することが計画された。日本海軍は、2インチ毎の口径拡大を目指すのが常であった。12インチ(前/凖弩級戦艦弩級戦艦)、14インチ(超弩級戦艦)、16インチ(八八艦隊)、18インチ(相模級、大和級)、20インチ(播磨級))

艦型は時勢の展開を考慮して短縮を目指し、前級である大和級の基本設計を踏襲した強化型、発展型として計画が進められた。

当初、新設計の20インチ砲を大和級同様、三連装砲塔形式で3基9門を搭載する予定であったが、その場合、90,000トンを超える巨艦となることが判明し、当時の日本にはこれを建造する施設がなかった。さらに言えば、18インチ砲三連装砲塔以上の重量の砲塔を回転させる技術もなく、短期間での完成を目指す日本海軍はこれを諦めた。

さらにいくつかのデザイン案の模索の後、20インチ砲を採用して連装砲塔3基搭載であれば、既存の大和級の艦型をほぼそのまま使用し建造期間を短縮できるということが判明し、同案が採用された。

(1943-: 66,000t, 27 knot, 20in *2*3, 2 ships, 217mm in 1:1250 by semi-scratched based on Neptune)

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(直上の写真は播磨級戦艦2隻:手前から伊予、播磨の順。両艦ともに、当初から対空兵装強化型として建造され、対空砲として新型の長10センチ連装砲を採用していた)

製作メモ)Neptune社製大和級戦艦の初期型をベースに、前檣上部をAtlas社製大和級のものに換装、主砲等は1:700スケールの山城級戦艦のものを利用している。さらに高角砲の半数を長10センチとするために、1:2000の愛宕重巡洋艦の主砲を転送した。

 

IF艦:改大和級戦艦:駿河の建造

前級播磨級において、日本海軍は念願の20インチ砲搭載戦艦を建造したが、その設計過程には無理が多く、結局、時勢の流動への対応から、大和級の船体を流用し、建造を急いだことから、主砲射撃時の散布界が大きく、さらには搭載数が6門では 単艦での運用では十分な射撃精度が得られないことが判明した。

このため米海軍が建造する18インチ砲搭載艦への対応に、大和級の設計をベースとして、18インチ主砲の搭載数を増加させる案が検討された。

駿河級は計画では2隻が建造される予定であったが、日米開戦により1隻、駿河のみ建造された。

18インチ主砲を大和級と同様、三連装砲塔に装備し、大和級よりも1基増やし、4基12門搭載とした。砲塔の増設によって船体は大型化し排水量も大幅に増加したが、機関を強化し、大和級と同速の27ノットを確保した。射撃管制システムも新型が搭載され、改良された装填機構の採用などにより、発射速度を大和級よりも早めることができた。射撃試験の結果、良好な散布界を得ることなどが検証され、日本海軍の最強艦となった。

(1945-: 71,000t, 27 knot, 18in *3*4, 220mm in 1:1250 by 3D printing: Tiny Thingajigs)

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製作メモ)Tiny Thingajigs社製の3D printing modelをベースに、前檣をAtlas社製の大和級戦艦の艦橋、アンテナ、主砲塔を流用した。

 

IF艦:富士級高速戦艦:富士・劔の建造

大和級の建造と併せて、この18インチ砲搭載戦艦の時代にふさわしい前衛支援艦が必要と考えられた。高速で展開するこの前衛艦は、後続する主力艦隊に敵艦隊の速度、運動等の詳細なデータを送信し、射撃管制を高める役割が期待された。

当初、大和級と同じく18インチ砲を搭載する相模級の2隻をこれにあてる予定であったが、やはり前衛には敵艦隊に肉薄、あるいは捕捉から逃れる高速力が必要とされることが明らかとなり、この目的のためには相模級を上回る速度を保有するこれに専任する艦が新たに設計された。

 

建造期間を短縮するために、ここでも装備類は大和級から流用されることが求められた。機関には大和級と同じものが使用されることが決められ、33ノットの速力が期待されるところから、船体の大きさが逆算された。また、同級は大和級と行動を共にすることが想定されるところから、主砲には同じく18インチ三連装砲塔の搭載が決定された。

これらの要件を満たすために、これまでの主力艦とは一線を画する特異な設計となった。艦前部に主砲塔を集中装備し、その後方に機関を配置、後部には副砲塔等と航空装備、という奇しくも仏海軍のリシュリュー級に似た配置となった。射撃管制機器、上部構造等を大和級と共通化したために、遠距離からの視認では、大和級に実に似通った外観を示している。

(1945-: 38,000t, 33 knot, 18in *3*2, 2 ships, 197mm in 1:1250 by semi-scratched based on Hansa) 

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(直上の写真では、船体後部に航空兵装、副砲塔等が集中しているのがよくわかる)

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(直上の写真は富士級高速戦艦2隻:手前から「劔」、「富士」の順。両艦は対空兵装で異なる装備を有していた。2番艦の「劔」は、建造時期がジェット航空機の発展期に当たったため、当初から対空兵装強化型として実験的に自動砲を採用していた)

 

製作メモ)Delphin社製のリシュリュー級戦艦をベースに、主砲塔、艦橋、煙突、アンテナ、副砲塔を、Atlas社製大和級戦艦から転用した。

本級は本稿のオリジナルと言っていいと思う。史実でもこのような計画があったと聞いたことはないし、資料も見たことはない。ニーズもあったかどうか、すこぶる怪しい、と言うことでもあるのだが。

製作のきっかけは、全く偶然にDelphin社製のリシュリュー級戦艦の主砲塔基部の直径と、Atlas社製大和級の主砲塔の直径がぴったり一致することに気づいたことであった。ここから大和級戦艦の前衛を務める高速戦艦、と言う構想に発展した。

こうした「気づき」の積み重ねが、今回冒頭でつらつら述べたコレクションの醍醐味であり、こうした成果は、その出来は別として、至福の時、と言っていいと思う。

 

 
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(直上の写真は大和級 18インチ砲搭載艦の系譜:左から富士級高速戦艦大和級、播磨級、駿河の順。大和級の系譜は、18インチ砲の強烈な反動を受け止めるため艦幅を広く取っている。一方で水線長を抑え、装甲を効果的に配置するなど、全体的にコンパクト化に成功していると言っていいだろう)

 

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(直上の写真は日本海軍の高速戦艦巡洋戦艦)の系譜。:左から、金剛級(比叡)、畝傍級、高千穂級、富士級の順。高速化への模索の取り組みとして、艦幅と水線長の工夫が興味深い)

 

 

海上自衛隊 護衛艦「やまと」 Battleship "YAMATO" in JMSDF

海上自衛隊の発足と自衛艦「やまと」の誕生

太平洋戦争降伏に引き続き、日本は戦争放棄と戦力不保持、交戦権の否認を憲法に掲げる国家となった。

しかし欧州における米英とソ連の対立に関連すす不安定な周辺情勢、殊に日本の共産化を防ぎ、アジア全体の共産化阻止の拠点としたい米英(特に米国)の思惑から、様々は注釈に彩られた憲法解釈が行われ、やがて朝鮮戦争の勃発とともに自衛隊の前身である警察予備隊が発足し(1950年)、日本は再び戦力を保持することとなった。

 

同時期に旧海軍残存部隊は海上警備隊として組織され、1954年自衛隊法施行とともに海上自衛隊と名称変更された。

上述のようにその発足時には国共内戦朝鮮戦争等で、米英とソ連のある種代理戦争が極東地域では展開されていた。これら共産勢力、あるいはソ連自身の日本への侵攻に対する抑止力として、当時、武装解除の上で海外に展開していた旧日本軍の復員輸送の従事していた残存する行動可能な主力艦を、再武装の上で戦力に組み入れてはどうかという議論が主として英米間で行われた。

当時、主力艦で行動可能だったものは、「大和」「紀伊」「加賀」「土佐」「長門」であったが、これらすべてを戦力化することについては強大すぎ旧軍の復活につながるとの懸念があり、抑止力としてのプレゼンス、という視点から「大和」一隻のみを自衛艦「やまと」として再武装し、自衛艦隊に編入することが決定された。

 

IF艦:海上自衛隊黎明期の自衛艦「やまと」

海上自衛隊編入された「やまと」は、艦隊防空艦としての役割を負うべく、再武装と改装を受けた。

再武装にあたっては、主砲は従来のままとし、自衛艦隊の艦隊防空艦としての役割期待が大きいところから、対空火器とレーダー装備が一新された。主要な対空火器としては、旧海軍の最も成功した対空砲と言われた長10センチ高角砲を自動化した単装砲を多数搭載している。この砲は最大射程18キロ、最大射高13キロ、毎分19発の発射速度を持つとされ、旧日本海軍では、この対空砲にVT信管を組み合わて運用したが、日本製のVT信管そのものの信頼性が低く、その能力を十分に発揮できたとは言い難かった。

それでも旧海軍では「格段の命中率」「抜群の効果」と賞賛され、その実績以上に士気向上に効果があった。

今回の装備にあたっては米海軍のVT信管技術の導入し、さらに砲塔に自動化機構を組み入れてその信頼性と発射速度を高めた。

一方、個艦防衛用兵装として、多数の機関砲を搭載しているが、これらの小口径砲についてはVT信管には対応しておらず、実戦で効果が期待できないことは、大戦で実証済みであった。

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(直上の写真は自衛艦「やまと」:外観は大戦時のそれとほとんど変わらない。艦隊防空用の兵装として自動長10センチ高角砲を16基、個艦防衛用の兵装として、多数の機関砲を搭載している)

 模型視点でのコメントを少し:上記の模型は、Delphin社製の「大和」をベースとし前部艦橋と通信アンテナ、主砲砲塔を換装している。更にその主対空砲とした自動長10センチ高角砲として、イタリア戦艦「ヴィットリオ・ベネト」の対空砲を流用した。

 

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(直上の写真は自衛艦「やまと」とその僚艦:奥から護衛艦「あきづき(初代)」「むらさめ(初代)」、「やまと」「あやなみ」の順。いずれも国産の護衛艦第一世代に属する。この時期の自衛隊は、こうした国産の護衛艦に加え、米海軍からの貸与艦で構成されていた)

***予告)登場する護衛艦いついては、近々、別途「開発史」的なシリーズを展開する予定です。お付き合いください。

 

上記は、本稿前回で紹介した自衛艦「やまと」であったが、もう一案「B案」を作成してみた。 

IF艦:自衛艦「やまと」B案

「やまと」は、艦隊防空艦としての役割を負うべく、再武装と改装を受けた。

再武装にあたっては、主砲は従来のままとし、自衛艦隊の艦隊防空艦としての役割期待が大きいところから、対空火器とレーダー装備が一新された。主要な対空火器として米海軍の38口径Mk 12, 5インチ両用砲を連装砲塔に装備し、14基28門を搭載した。

この砲は、米海軍の戦艦、巡洋艦に広く採用されている砲で、最大射程21キロ、最大射高11キロ、発射速度15-22発/分とされていた。これに加えて毎分45発の発射速度をもつラピッド・ファイア型のMk 33, 3インチ砲を連装で8基、さらに個艦防衛用に40mm機関砲を装備し、もちろんこれらは全てVT信管を標準仕様としていたため、その対空能力は、旧海軍時代から格段に強化された。

(直下の写真は、自衛艦「やまと」:外観的には、多数の対空機銃が徹去されたことを除けば、旧海軍時代とそれほど大きな違いはない。この時期、水上偵察機、観測機等の航空兵装の搭載は廃止されているが、後部の航空機用の運用装備はそのまま残されている)

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模型視点でのコメントを少し:こちらのモデルも、前出のDelphin社製の「大和」をベースとし、前部艦橋と通信アンテナ、主砲砲塔を換装している。さらに3D printing makerのSNAFU store製のWeapopn setから、いくつか武装を選択し搭載している。

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(直上の写真は自衛艦「やまと」の対空兵装:艦の上部構造物周辺にMk 12, 5インチ連装砲塔を配置している。下段お写真はいずれもMk 33, 3インチ連装砲塔(ラピッド・ファイア)の配置状況。すこし分かりにくいが上部構造周辺にも、同砲が防楯なしの露出砲架で配置されている)

 

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(直上の写真は自衛艦「やまと」とその僚艦:奥から護衛艦「あきづき(初代)」「やまと」「はるかぜ」「あやなみ」の順。いずれも国産の護衛艦第一世代に属する。この時期の自衛隊は、こうした国産の護衛艦に加え、米海軍からの貸与艦で構成されていた)

 

(質問)どちらの方が、自衛艦「やまと」にフィットするとお考えになりますか?感想など伺えれば、幸いかと。

もちろん他のアイディアもあるかと思います。

幸い、まだ数隻の「やまと」のストックがありますので、私が実現可能なアイディアは模型に落とせるかもしれません。ぜひお知らせください。

これも、If艦ならではの楽しみ方かと。

お待ちしています。私のスキルの問題で「実現不可能」も十分ありえますので、その際には平にご容赦を。

 

IF艦:DDHとDDG時代の護衛艦「やまと」 

海上自衛隊は、領海警備とシーレーン保護がその主要任務であり、従って、対潜戦闘能力を中心に、その活動保護のための艦隊防空を、両軸で発展させてきた。

1970年代に入ると、対潜ヘリを搭載したヘリ搭載型護衛艦(DDH)を中心に、汎用護衛艦を複数配置し、この艦隊の艦隊防空を担う防空ミサイル護衛艦(DDG)から構成される護衛隊群、という構成をその艦隊編成の基幹として設置するようになった。

海上自衛隊の発足時から艦隊防空をその主任務としてになってきた「やまと」もこの構想に従い、防空ミサイルシステムを搭載する。

主要艦隊防空兵装としてはスタンダードSM-1を2基搭載し、艦隊の周囲30-40キロをその防空圏とした。他の防空兵装としてはMk 42 54口径5インチ砲を6基搭載している。この砲は23キロの最大射程を持ち、毎分40発の発射できた。個艦防空兵装としては、上記の他にCIWS3基を搭載している。

水上機の運用設備を全廃し、ヘリコプターの発着設備を新設した。ヘリの搭載能力はない。

改修時には、米海軍から巡航ミサイルの搭載能力も検討するよう要請があったが、専守防衛を掲げ、その要求を受け入れなかった、と言われている。

(直下の写真は、1970年代の護衛艦「やまと」(DDG):外観的には、旧海軍の「大和」の上部構造を大幅に改修した。多くのシステムを米海軍と共用し、アイオア級の戦艦等と似た上部構造物となったため旧海軍時代の外観をほとんど残していない)f:id:fw688i:20190609190556j:image

 模型視点でのコメントを少し:こちらのモデルも、前出のDelphin社製の「大和」をベースとし、その船体を利用し主砲塔を換装している。上部構造は同じくDelphin社製のSouth Dakotaの上構を転用している。さらに3D printing makerのSNAFU store製のWeapopn setから、いくつか武装を選択し搭載した

 

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(直上の写真は70年代DDG「やまと」の対空兵装:艦の上部構造物前後にSM-1の単装ランチャーを2基搭載し、上部構造周辺にMk 42, 54口径5インチ砲を配置している。近接防空兵器として、上部構造の前部と左右に CIWSを搭載している。専守防衛を掲げ搭載を拒んだ巡航ミサイルは、下段写真の前部CIWSとMk 42 5インチ砲の間あたりに搭載される構想であったとされている

 
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(直上の写真はDDG「やまと」とその僚艦:奥からヘリ搭載型護衛艦(DDH)「しらね」対潜護衛艦「やまぐも」「やまと」ミサイル護衛艦(DDG)「さわかぜ」の順)

 

IF艦:イージス時代の護衛艦「やまと」

2000年代に入り、海上自衛隊の艦隊防空システムがイージスシステムとなった。

同時に長らく海上自衛隊の艦隊防空を担当してきたDDG「やまと」も、イージス艦として生まれ変わった。

艦の上部構造はイージスシステム搭載に対応する巨大なものに改装され、艦の前後左右に全体で240セルのMk 41 VLS(スタンダードSAM、アスロックSUM、シー・スパロー短SAM用)を搭載した。

その他、近接防空用兵装として23キロの最大射程、毎分45発の発射速度を持つオート・メララ54口径5インチ速射砲4基、CIWS4基を搭載している。
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 模型視点でのコメントを少し:こちらのモデルも、前出のDelphin社製の「大和」をベースとし、その船体を利用し、あわせて主砲塔を換装している。上部構造はF-toy社製の現用艦船シリーズからストックしていた何隻かの上構をあわせて転用している。さらに同じく現用艦船シリーズのストックから、武装を選択して搭載している。

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(直上の写真はイージス護衛艦「やまと」の上部構造:左右にMk 41 VLS、5インチ速射砲、CIWSなどを搭載している


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(直上の写真はイージス護衛艦「やまと」とその僚艦:奥から汎用護衛艦(DD)「あきづき」、「やまと」、イージス護衛艦(DDG)「あたご」の順)

 
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 海上自衛隊は初の航空機搭載型護衛艦(DDV)を導入し「いぶき」と名付けた。専守防衛の建前から、あくまで護衛艦と称しているが、空母「いぶき」の通称で通っている。F-35B15機を基幹航空部隊として搭載し、その為、無人機、救難ヘリ等を搭載している。

このDDV「いぶき」を中心に、第五護衛隊群が編成される。第五護衛隊群はその機動性から紛争地域周辺に展開されることが多く、イージス艦「やまと」も、持ち前のその戦闘力から、この護衛隊群に組み入れられることが多かった。

 

 IF艦というよりSF艦:宇宙戦艦「ヤマト」 Space Battleship "YAMATO"  

その後の「ヤマト」と言えば・・・(おまけ!)

最終的には「やまと」は「ヤマト」となり、もちろんご存知の通り、宇宙へ飛び出すのである。

タイトルには「2199」や「2202」の文字が散見するので、さらに150年以上後の話である。艦首に波動砲という途轍もない兵器を搭載している。「大和」は常に「何か」を他に凌駕することを宿命づけられている、と言うことだろうか。

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写真は1:1000の「ヤマト」。最終的には、オリジナルのデザインに比較的近いところへ回帰することが興味深い。まあ、「ヤマト」は坊ノ岬沖で沈んでいたものに作り込まれた訳なので、当たり前か。

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直上の写真は、「ヤマト」僚艦と共に:奥から金剛型宇宙戦艦「キリシマ」、「ヤマト」、磯風型突撃宇宙駆逐艦「ユキカゼ」。

こちらは1:2000スケールの「ヤマト」を中心に。他はノンスケール?(こちらも本格的に展開するなら、星空バックが必須!まあ、その予定は、今のところはないが)

「キリシマ」は、後に「ヤマト」の艦長となる沖田が、「ヤマト」誕生以前に乗艦し艦隊指揮をとった旗艦である。もう一つ「ユキカゼ」は、「ヤマト」に乗組み大活躍をした古代の兄が艦長を務めた艦である。この両艦はガミランの侵攻艦隊との戦闘で、「キリシマ」は大破し、「ユキカゼ」は「キリシマ」の撤退を援護して沈められた。「ヤマト」が姿を現すのはこの戦闘の後であり、従って、この写真の組み合わせは、ありえない、と言うことになる。

それにしても、「突撃宇宙駆逐艦」とは、なんという名称だろうか。勇ましいことこの上ないが、なんとなく悲惨な響きが気にはなる。

 

「ヤマト」は任務を果たし、還ってくる。何度でも。

 

 

 

さて、次回(いつになるかわかりませんが)は、映画「アルキメデスの大戦」公開記念として、「大和級」について少しアップデート情報があるので、そちらを、と考えています。

 

***模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。

 

これまで本稿に登場した各艦の情報を下記に国別にまとめました。

fw688i.hatenadiary.jp

内容は当ブログの内容と同様ですが、詳しい情報をご覧になりたい時などに、辞書がわりに使っていただければ幸いです。

 

 

 

 

特集:本稿に登場した未成艦・IF艦(その1)

未成艦・IF艦

本稿には、都合37級の未成艦・IF艦が登場した。

これらを一覧にまとめておく事も、ある種有用ではないかと考え、今回はその特集である。

 

未成艦とIF艦の定義だが、正直に言ってそれほど厳密な区分は、筆者は行なっていない。敢えて言うと、「起工され、あるいは少なくとも計画が存在したもの」を未成艦、それ以外をIF艦、と言うよう概ねの定義である。

 

以下が各国海軍とその未成艦、IF艦のリストである。

オーストリア=ハンガリー帝国海軍:超弩級戦艦(未成艦)1クラス

イタリア海軍:超弩級戦艦(未成艦)1クラス

ドイツ帝国海軍:超弩級戦艦(未成艦)1クラス、超弩級巡洋戦艦(未成艦)2クラス

ナチスドイツ海軍:新戦艦(未成艦:主砲換装計画を含む)2クラス・(IF艦)2クラス

新型通商破壊艦(未成艦)1クラス

フランス海軍:超弩級戦艦(未成艦)2クラス、新戦艦(未成艦)2クラス

イギリス海軍超弩級戦艦(未成艦)1クラス、超弩級巡洋戦艦(未成艦)1クラス、新戦艦(未成艦)1クラス

アメリカ海軍:超弩級戦艦(未成艦)1クラス、超弩級巡洋戦艦(未成艦)1クラス、新戦艦(未成艦)2クラス・(IF艦)3クラス

日本海軍:弩級巡洋戦艦(IF艦)2クラス、超弩級戦艦(未成艦)2クラス・(IF艦)1クラス、超弩級巡洋戦(未成艦)2クラス・(IF艦)1クラス、新戦艦(未成艦)1クラス・(IF艦)2クラス

その他:海上自衛隊:(IF艦)1クラス3タイプ 地球防衛軍(?):(IF艦) 1クラス

 

何れにせよ、ここで紹介した軍艦は実在しなかったものばかりである。建造されていたら、どのように活躍したのか、想像を逞しくする一助になればと考える。

 

今回は、上記のうちイギリス海軍の未成艦、IF艦までをご紹介する。

 

 

オーストリア=ハンガリー帝国海軍の未成艦・IF艦

超弩級戦艦(未成艦のみ)Super-Dreadnought battleship

未成艦:モナルヒ代艦級戦艦 - Wikipedia

Ersatz Monarch-class battleship - Wikipedia (projected)

本艦は、その名の示す通り(Elsatzはドイツ語で代替:replaceを意味する)、本稿号外 Vol.1: カタログ: 近代戦艦のカタログでご紹介したオーストリア=ハンガリー帝国海軍モナルヒ級海防戦艦の代替えとして計画されたもので、前級に当たるテゲトフ級弩級戦艦を一回り大きくした24,500トンの船体に、これもひとまわり口径の大きい35センチクラスの主砲を、背負い式に三連装砲塔、連装砲塔の組み合わせで、都合10門、艦の前後に振り分けて搭載している。速力は21ノットを予定していた。

前級のテゲトフ級も、三連装砲塔の搭載など、先進性に満ちた設計の強力な戦艦だったが、本級はさらにそれを凌駕する設計で、完成していれば強力な戦艦となったであろう。

(projected、24,500t, 21knot, 14in *3*2 + 14in *2*2, 4 ships planned)

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オーストリアハンガリー海軍が計画した超弩級戦艦。上記のスペックはオリジナル案である。

3Dプリンティングモデルに、プラスティックロッドでマストを追加し、エナメル塗料で塗装を施した。主砲等は、予定通り1:1200スケールのイタリア戦艦アンドレア・ドリア級のものを流用した。

船体は明灰白色(日本軍機の塗装色)を使用。少し明るめに仕上げた。甲板にはデザートイエローと部分的にデッキタン。あとはフラットブラックとメタリックグレーを少々、という組み合わせを行った。

 

前級のテゲトフ級は三連装砲塔の採用で艦型をコンパクトにまとめるなど、先進性が評価されていたが、一方で、三連装砲塔には実は発砲時の強烈な爆風や、作動不良など、いくつかの課題があったとされている。

そのため、本級ではドイツ弩級戦艦の砲塔配置の採用が検討されていた、とも言われているのである。そうなれば連装砲塔5基を装備したデザインになったいたかもしれない。下の写真は、当時のドイツ戦艦ケーニヒ級の主砲塔配置案を採用した想定でのその別配置案。

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いずれにせよ、計画は第一次世界大戦の勃発により発注直後にキャンセルされた。

 

イタリア海軍の未成艦・IF艦

超弩級戦艦(未成艦のみ) Super-Dreadnought battleship

未成艦:フランチェスコ・カラッチョロ級戦艦 - Wikipedia

Francesco Caracciolo-class battleship - Wikipedia (projected)

イタリア初の超弩級戦艦として計画された。34,000トンの巨体に強力なタービンを搭載し、28ノットを発揮する高速艦を目指した。

上述のオーストリア=ハンガリー帝国海軍が建造を計画したモナルヒ代艦級超弩級戦艦に対抗することを目指し、その主砲にはイギリス海軍が提供を申し出た15インチ砲をオーソドックスに連装砲塔4基に搭載することが決定されていたと言う。

(projected,  34,000t, 28knot, 15in *2*4, 4 ships planned) (167mm in 1:1250)

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1914年に起工されたが、第一次世界大戦勃発に伴い、建造停止となった。

 

ドイツ帝国海軍の未成艦・IF艦 

ドイツ帝国海軍は超弩級戦艦を1クラスしか建造しなかった。完成は第一次世界大戦の開戦後であり、結局その2隻の超弩級戦艦は実戦には参加する機会がなかった。開戦時には弩級戦艦弩級巡洋戦艦しか保有していなかったが、これには彼らが装備した主砲性能に自信を持っていたことに起因しているようの思われる。

独帝国海軍は、その主要装備である50口径の12インチ速射砲は、英海軍の14インチ主砲程度までであれば対等に交戦できると考えていた。おそらくその背景には、英海軍が50口径12インチ砲の開発に失敗し、その代替として主砲口径を拡大した、と言う事実があったかもしれない。(英独の主砲事情については、本稿第13回 ユトランド沖海戦ドイツ帝国海軍の終焉」にも、少し詳しい記述をしている。もしよろしければそちらもご参考に)

fw688i.hatenablog.com

そして英海軍が15インチ砲装備の高速戦艦クイーン・エリザベス級を建造したことにより、ようやく15インチ砲装備の超弩級戦艦バイエル級の建造に踏み切った。以下、ここでご紹介する未成艦はその延長にある。

 

超弩級戦艦 Super-Dreadnought battleship

未成艦:L20e 級戦艦

 L 20e α-class battleship - Wikipedia

(planned, 43,000t, 26knot, 16.5in *2*4)(192mm in 1:1250)

f:id:fw688i:20181125103643j:image

ドイツ帝国海軍が計画したバイエルン級に続く、超弩級戦艦。主砲に42センチ砲の採用を計画していた。速力も26ノットと格段に改善され、高速戦艦を目指す設計であった。

 

超弩級巡洋戦艦 Super-Dreadnought battlecruiser 

未成艦:マッケンゼン級巡洋戦艦 - Wikipedia

Mackensen-class battlecruiser - Wikipedia

(imcompleted, 31,000t, 28knot,13.8in *2*4, 4 ships planned)(178mm in 1:1250)

f:id:fw688i:20181012223441j:plainドイツ帝国海軍は、デアフリンガー級弩級巡洋戦艦の設計を拡大し、初の超弩級巡洋戦艦の建造を計画した。主砲を50口径35.6センチ砲と強化する予定であった。 

 

未成艦:ヨルク代艦級巡洋戦艦 - Wikipedia

Ersatz Yorck-class battlecruiser - Wikipedia

(imcompleted, 33,500t, 27.3knot, 15in *2*4, 3 ships planned)(182mm in 1:1250)

f:id:fw688i:20181012223506j:plain基本的に上述のマッケンゼン級の設計を引き継ぎ、加えて主砲を 38.1センチとする予定であった。 

 

ナチスドイツ海軍のIF艦・未成艦

ドイツ海軍のZ計画

 第一次世界大戦の敗戦で、ドイツはその海軍力に大きな制限を課されることになった。1万トン以上の排水量の艦を建造することが禁じられ、その建造も代替艦に限定された。戦勝国側の概ねの主旨は、ドイツ海軍を沿岸警備の軍備以上を持たせず、外洋進出を企図させない、というところであったろうか。

しかし、戦後賠償等の混乱の中で、ドイツにはナチス政権が成立し、1935年に再軍備を宣言、海軍力についても、同年に締結された英独海軍協定で、事実上の制限撤廃が行われた。

主力艦についても、それまでの建艦制限を超えたシャルンホルスト級が建造され、その後、就役時には世界最大最強と謳われるビスマルク級戦艦を建造するに至った。

Z計画は、1939年以降の海軍増強計画を記したもので、このプランには二つの大きな柱があった。一つは英国を仮想敵とした場合、通商破壊戦を展開することが有効であることは、第一次世界大戦の戦訓で明らかであった。これを潜水艦(Uボート)と装甲艦(ポケット戦艦)のような中型軍艦 、あるいは偽装商船のような艦船で行うにあたり、英海軍による北海封鎖を打破することは必須であり、そのためには強力な決戦用の水上戦力が必要であった。

史実では1939年のドイツのポーランド侵攻と共に、英仏がドイツに対し宣戦布告し、第二次世界大戦が始まったため、Z計画は中止となったが、本稿ではドイツのポーランド侵攻後も英仏はこれを非難しつつも宣戦布告せず、Z計画は1942年まで継続する 

 

未成艦:シャルンホルスト級戦艦(15インチ主砲換装型) - Wikipedia

en.wikipedia.org

(1939-, 31.500t, 31.5 knot, 11in *3*3, 3 ships, 191mm in 1:1250 by Hansa)

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シャルンホルスト級戦艦はフランス海軍によって建造されたダンケルク級戦艦に対抗するべく誕生した。この為、主砲は、当初15インチ砲の搭載を想定したが、建造時間を考慮しドイッチュラント級と同様の11インチ砲3連装砲塔を1基増やし9門に増強するにとどめた。一方でその装甲はダンケルク級の33センチ砲弾にも耐えられるものとし、ドイツ海軍伝統の防御力に重点を置いた艦となった。

速力は重油燃焼高圧缶と蒸気タービンの組合せにより、31.5ノットの高速を発揮した。

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(シャルンホルスト級3隻:手前からグナイゼナウ、マッケンゼン、シャルンホルスト)手前味噌的な記述になることを恐れずに言うと、本級はバランスのとれた美しい外観をしている、と感じている。

 

のちに、11インチ主砲はビスマルク級戦艦と同様の15インチ連装砲に置き換えられ、攻守にバランスのとれた、加えて31.5ノットの高速力を持つ優秀艦となった。

特に31.5ノットの高速性能は、当時、ヨーロッパにはこれを捕捉できる戦艦がなく、ヨーロッパ諸国の危機感を強く刺激した。

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(主砲を15インチ連装砲塔に換装後のシャルンホルスト級3隻:手前からシャルンホルストグナイゼナウ、マッケンゼン)

 

IF艦:戦艦フリードリヒ・デア・グロッセ(Freidrich der Grosse):改ビスマルク級戦艦

フランス海軍のリシュリュー級の優秀な主砲に対抗するために、ビスマルク級の強化改良型として、一隻のみ建造された。設計、配置などその殆どがビスマルクに準じ、唯一、主砲のみ55口径の長砲身15インチ砲を採用した。

この艦をZ計画の派生と見るか、ビスマルク級の改良と見るかは意見が分かれるところである。

(1941, 44,000t, 30 knot, 15in *2*4, 218mm in 1:1250 by Superior)

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ビスマルク級とフリードリヒ・デア・グロッセの艦型比較:上、ビスマルク、下、フリードリヒ・デア・グロッセ 砲塔配置などほとんど同じレイアウトで若干大きさが違うことがわかる)

 

未成艦:バイエルン級(H級戦艦) - Wikipedia

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Z計画に基づき、1939年に起工された。基本はビスマルク級の拡大改良版である。装備の配置、上部醸造のレイアウトなど、酷似している。主砲口径を拡大し、ドイツ海軍初となる16インチ砲を連装砲塔で4基8門搭載した。速力はビスマルク級と同じく30ノットとして、主機はオール・ディーゼルであり、本級の艦体規模においての採用は非常に特異なものであった。

巨大なディーゼル主機の搭載により、長大な航続距離と高速航行が可能となり、一方で艦型は巨大なものになり、煙突が二本となった。

バイエルンプロイセン、バーデンの3隻が建造された。

(1942-, 53,000t, 30 knot, 16n *2*4, 3 ships, 225mm in 1:1250 by Hansa)

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(直上写真はバイエルン級の3隻:手前からバイエルンプロイセン、バーデン)

 

IF艦(未成艦?):戦艦グロースドイッチュラント(Grossdeutschland)

Z計画に基づき、1941年に起工された。前級バイエルン級をさらに拡大したもので、当初主砲に17インチ砲を採用する計画があった。しかし、風雲急を告げるヨーロッパの情勢に鑑み、建造が急がれたため、主砲にはバイエルン級と同じ実績のある16インチ砲が採用され、ただし三連装砲塔4基12門と搭載数を大幅に増やしたものとなった.

主機は全級に引き続きオールディーゼルとし、長大な航続距離と、この巨大な艦型にも関わらず、28.8ノットの高速を発揮した。

計画では3隻が建造される予定であったが、第二次世界大戦開戦とともに2隻がキャンセルされ、グロースドイッチュラント1隻が完成した。

 

本艦の就役がZ計画艦の最後となり、ドイツ海軍はシャルンホルスト級3隻、ビスマルク級3隻、フリードリヒ・デア・グロッセ、バイエルン級3隻、グロスドイッチュラントの計11隻の戦艦で、第二次世界大戦に臨むこととなった。

(1942, 63,000t, 28.8 knot, 16in *3*4, 233mm in 1:1250 by Superior)f:id:fw688i:20190413191251j:imagef:id:fw688i:20190413191302j:image

(直上写真は、ドイツ海軍の誇る戦艦群の艦型比較:左から、ビスマルク級、フリードリヒ・デア・グロッセ、バイエルン級、グロスドイッチュラント:レイアウトの相似性、艦型の拡大傾向が興味深い

 

新たな通商破壊艦

冒頭に記述したように、Z計画には有力な二つの柱があった。一つは強力な決戦艦隊の整備による英海軍主力艦の撃滅であり、それらはこれまでに記した諸戦艦の建造の目的とするところであった。

もう一つは、上記の艦隊決戦により英艦隊による海上の封鎖線を解き、そこから広範囲に向けて浸透した潜水艦・通商破壊艦を用いた通商破壊戦の展開であり、英国を屈服させるには、こちらの有効な展開にこそ、戦争そのものへの勝機を見出すことができるはずであった。

アフリンガー級巡洋戦艦は、この目的のために建造された、いわば通商破壊専任戦闘艦であった。

未成艦:デアフリンガー級巡洋戦艦(O級巡洋戦艦) - Wikipedia

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本級は、通報破壊を専任とする為に、通商路の防備に当たる巡洋艦以上の艦種との戦闘を想定せず、従ってこの規模の戦闘艦としては、非常に軽い防御装甲しか保有していなかった。基本、単艦での行動を想定するが故に、複数の巡洋艦との交戦を避けることができるだけの速力を持ち、あるいは運用面では、その強力な火砲で敵艦隊の射程外から、アウトレンジによる撃退を試みるとした。 

一方で機関にはディーゼルを採用し、長大な航続距離を用いて神出鬼没に敵の通商路を襲撃することを企図して設計された。

主砲にはビスマルク級と同じ15インチ砲を採用し、これを連装砲塔3基に収めた。

アフリンガー、モルトケ、フォン・デア・タンの3隻が建造された。(史実では建造されていませんので、ご注意を)

本級は、開戦初期こそ、設計通りに戦線背面への浸透を果たし、その戦果を挙げたが、航空機の目覚ましい発達により、次第にその活動に神出鬼没性が失われ、あわせて軽めに設定された防御力が裏目に出て、主として航空機による攻撃により、すべて撃沈されるという結果となった。

(1941, 38,000t, 33 knot, 15in *2*3, 3 ships, 207mm in 1:1250 by Hansa)

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(直上写真は、デアフリンガー級の3隻:手前から、デアフリンガー、モルトケ、フォン・デア・タン)

 

 

フランス海軍の未成艦・IF艦

超弩級戦艦 Super-Dreadnought battleship 

未成艦:ノルマンディー級戦艦 - Wikipedia

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(Planned,  25,230t, 21knot, 13.4in *4*3, 5 ships planned)(141mm in 1:1250, Navis)

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フランス海軍が計画した、超弩級戦艦。主砲塔を4連装 とした先進的な設計である。以降、新造されたフランス戦艦はこの4連装砲塔を継承していくことになる。

 

未成艦:リヨン級戦艦 - Wikipedia

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(Planned, 29,600t, 23knot, 13.4in *4*4, 4 ships planned)(155mm in 1:1250)

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 ノルマンディー級の拡大強化版として設計された。4連装砲塔を1基増やし、34センチ主砲を16門搭載した強力な艦になる予定であった。

 

新戦艦

未成艦:ガスコーニュ (戦艦) - Wikipedia

https://en.wikipedia.org/wiki/Richelieu-class_battleship#Gascogne

本級はリシュリュー級の改良型である。そのため基本的なスペックはほぼリシュリュー級に準じている。大きな変更点としては、主砲塔の配置をリシュリュー級の前甲板への集中装備から、上部構造の前後への振り分け配置として事である。

この配置の変更については、リシュリュー級の就役後に、同級の真艦尾方向への火力不足への懸念が、運用現場から強力に挙げられたことによるとされている。ガスコーニュ、クレマンソーの2艦が建造された(史実では建造されていません。ご注意を)

(1941-, 48,180t,  30 knot, 15in *4*2, 2 ships, 197mm in 1:1250 by Hansa)

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(直上の写真:ガスコーニュ級の2隻:手前:ガスコーニュ、奥:クレマンソー) 

 

未成艦:アルザス級戦艦 - Wikipedia

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本級はリシュリュー級をタイプシップとして、これを改良・拡大したものである。

特にリシュリュー級以来採用されている1935年型正38センチ砲は非常に優秀な砲で、20,000メートル台の砲戦距離ならば、日本海軍が後日建造する大和級を除くすべての戦艦の装甲を打ち抜くことができると言われていた。

このリシュリュー級以降、フランス海軍自慢の4連装砲塔を、後部甲板に一基追加し、主砲12門を搭載する強力な戦艦となった。

その他の構造的な特徴は、ほぼリシュリュー級を踏襲し、近代的で美しいフォルムを持つ艦であった。

アルザスとノルマンディーの2隻が建造された(史実では建造されていません。ご注意を)。

(1942-, 51,000t, 30 knot, 15in *3*4, 2 ships, 214mm in 1:1250 by Tiny Thingamajigs 3Dprinting model)

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(直上の写真:アルザス級の2隻:手前:アルザス、奥:ノルマンディー)

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(フランス海軍新戦艦の艦型比較:下から、ダンケルク級リシュリュー級、ガスコーニュ級、アルザス級 艦型の大型化の推移と、主砲等の配置の水位が興味深い)

 

イギリス海軍の未成艦・IF艦

英海軍の整備計画

特に第一次大戦の惨禍に疲弊著しい英国は新造艦の計画を持たなかったが、保有枠一杯に既存艦を維持することとした。あわせて、すでに相当数該当する代替艦手当の可能なクラスから、一部建造計画を見直したG3級(インビンシブル級巡洋戦艦、N3級(ブリタニア級)戦艦を置き換えていく検討を始めた。

しかし、当初の設計案を条約の制約内でそれぞれの設計を実現することは困難で、あわせて疲弊した国力下での財政て縦の目処は立たず、条約期間内に建造されることはなかった。

わずかに、代替艦として、ロドニー級を新たに2隻建造し、艦隊に編入した。

以下に、検討にあがったG3級巡洋戦艦、N3戦艦の要目を示しておく。

 

未成艦:G3型巡洋戦艦 - Wikipedia

G3級の特徴は、まずそれまでの概念を覆すほどの外観である。その得意な武装配置、機関配置が具現化しようとしたものは、集中防御と砲撃精度、さらには機関の集中による高速力の確保であった。巡洋戦艦に分類されているが、これは同時期に計画されたN3級戦艦との対比によるもので、同時期の戦艦よりも早く、重武装、重防御であった。

しかし条約の定めた42,000トンの制約ではどうしても実現できず、条約期間中に建造される事はなかった。

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(48,400t, 32knot, 16in *3*3, 2 ships, 215mm in 1:1250 semi-scratched based on Superior)

 

未成艦:N3型戦艦 - Wikipedia

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前出のG3級巡洋戦艦と同一の設計構想に基づく得意な外観を有している。G3級が速度に重点を置いた一方で、N3級戦艦は重武装にその重点が置かれていた。計画では、速度をネルソン級戦艦と同等の23.5ノットに抑える一方、主砲を18インチとした。

こちらも条約制約により16インチ主砲装備とした場合、ネルソン級で十分で、条約期間中に建造される事はなかった。
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(48,000t, 23.5knot, 20in *3*3, 2 ships, 200mm in 1:1250 semi-sucratched based on Superior)

 

日米両海軍が、条約下でその戦力を充実させることに一定の成功を収めたのに対し、英海軍は既存戦力の維持にとどまり、明暗が分かれる結果となった。

 

新戦艦

未成艦:ライオン級戦艦 - Wikipedia

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軍縮条約の継続を望んで、新造戦艦の第一弾であるキング・ジョージ5世級をやや控えめな設計とした英海軍であったが、やはりその諸元は列強の新造戦艦に対し、やや物足りず、ライオン級はこれを大きくしのぐ意欲的な設計となった。

前級のキング・ジョージ5世級戦艦は攻撃力にはやや見劣りがしたものの、その防御設計には見るべきものが多く、結局ライオン級は前級をタイプシップとしてその拡大強化型として設計された。

その為、艦容はほぼ前級を踏襲したものとなった。

主砲には新設計のMarkII 16インチ砲を採用し、同じ16インチ砲を搭載したネルソン級の手法よりも15%重い弾体を撃ち出すことができた。この結果、垂直貫徹力で2割、水平貫徹力で1割、その打撃力が向上したとされている。

この新型砲を三連装砲塔にまとめ、前甲板に2基、後甲板に1基を配置した。副砲には、前級と同じく対艦・対空両用砲を採用した。

防御形式は、定評のあった前級のものをさらに強化したものとした。

速力は、基本、前級と変わらないものとされたが、短時間であれば30ノットの高速を発揮することができた。前級同様、5隻が建造された。

(1942-, 44,000t, 28.5 knot, 16in *3*3,  5 ships, 207mm in 1:1250 by Superior)

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今回はここまで。

次回はアメリカ海軍、日本海軍の未成艦、IF艦をご紹介する。この両海軍については、出来うる限り新造時のみでなく、近代化改装等についても、そのモデルを作成してみた。それら各級の変遷についてもご紹介する予定である。

 

***模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。

 

これまで本稿に登場した各艦の情報を下記に国別にまとめました。

fw688i.hatenadiary.jp

内容は当ブログの内容と同様ですが、詳しい情報をご覧になりたい時などに、辞書がわりに使っていただければ幸いです。

 

 

 

 

(補遺 15 あるいは 不定期更新その1) イタリア海軍前弩級戦艦エマニュエレ・フィリベルト級の日本回航

本稿で紹介した主力艦開発史の中で、長らく、唯一、1:1250スケールモデル未入手であったイタリア海軍前弩級戦艦「エマニュエレ・フィリベルト級」が日本に到着した。

3D PrintingメーカーであるWTJに1:1250スケールモデルへのスケールアップを依頼していたが、ようやく対応していただき日本に到着、早速製作した。

WTJ Store - WTJ Store

 

エマニュエレ・フィリベルト級戦艦 - Wikipedia

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(1901-, 10082t, 18.3knot, 10in *2*2, 2 ships)

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10,000トンを少し下回るほどの小ぶりな船体を持った戦艦である。主砲に40口径25.4センチ砲を採用し、これを新設計の連装式砲塔2基に収め前後に配置している。速力は18ノットを発揮する。

各国海軍から、そのバランスの良さから相次いで購入の申し入れのあった装甲巡洋艦ジュゼッペ・カリバルデイ級は、本級を小型化した艦型を基本設計としている。

 

同時にスペイン海軍装甲巡洋艦クリストーバル・コロン(同型艦なし)も到着した。

クリストーバル・コロン (装甲巡洋艦) - Wikipedia

en.wikipedia.org

(1897-, 7970t, 20.02kot, 10in *2 )

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こちらはイタリア製の装甲巡洋艦で、ジュゼッペ・ガリバルディ級の1隻を建造中に取得したものである。同じく日本海軍がアルゼンチンから購入した「日進」「春日」とは準同型艦にあたる。

本艦はスペイン海軍の新型砲である「Model 1896 24cm(42口径)砲」を前後に単装砲塔で搭載したが、この砲は欠陥品で使用に耐えなかったので、米西戦争の直前に軍事委員会によって「インファンタ・マリア・テレサ級」などにも採用された9.92インチ砲に換装する計画が立てられた。しかし米西戦争開戦には間に合わず、主砲未装備で戦争に臨まざるを得なかった。サンディエゴ・デ・キューバ海戦には主砲未装備のままで参加し、戦闘の末、撃沈された。本稿では、一応、主砲換装後を想定して製作した。

主砲未装備で艦隊に編入、海外へ派遣、戦闘参加の末に沈没とは、なんと数奇な・・・。あるいは、それほど「主砲は恃むに足らず」と言うことか。単装砲、発射速度毎分一発、確かに命中弾を得る確率は低いであろうが。

 

**本稿ではこれまで上述のように準同型艦である「春日」の写真を、参考として掲載してきたが(直下)、今回、こちらもWTJからモデルを入手し製作した。f:id:fw688i:20181001112259j:image

本級の原型であるジュゼッペ・ガリバルディ級装甲巡洋艦は、そもそもエマニュエレ・フィリベルト級の小型化、と言う狙いであったために、両級の艦型は非常に類似している。

 

これで本稿の主力艦コレクションは装甲巡洋艦の一部を除き、一応完成。装甲巡洋艦については、米海軍とオーストリア=ハンガリー帝国海軍の装甲巡洋艦ラインナップがほぼ準備完了しましたので、近日アップデートします。

 

おまけ:太平洋戦争後期の日米両艦載機

blog.hatena.ne.jp

(本稿は、第26回にも追加掲載されます。写真はいずれも1:144スケールモデル

主力艦発達史からは、大きく脱線するが、大戦後期の艦上戦闘機を比較する。

 

日本海軍空母機動部隊の無力化

スチームカタパルトの実用化に目処の立たない日本海軍は、ジェット戦闘機、ジェット攻撃機などの開発には成功していたものの、艦載機として運用することができず、大戦後半、その空母機動部隊は、艦隊決戦兵力としてはほぼ無力化されてしまったと言ってよかった。

ja.wikipedia.org

日本海軍は、それでも史上発のエンテ翼戦闘機「震電」の艦載機型を採用するなど、その機材の高速化には務めたが、速度の差は埋め難く、両軍の空母機動部隊が投入されたマリアナ沖、レイテ沖両海戦においては、意に反して一方的な戦闘とならざるを得なかった。

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 日本海軍が開発した史上初のエンテ翼戦闘機「震電」。レシプロ機としては、高速を誇り、かつ機首に集中搭載された重火器で、艦載機型は空母機動部隊の主力戦闘機となった。しかし同時期に米海軍の艦載機は既にジェット化されており、その速度の差は埋め難く、実戦では一方的な戦いを強いられた。「震電改」はジェットエンジンを搭載し実用化されており、その速度、運動性ともに米海軍の艦載ジェット戦闘機を凌駕する性能を示したが、日本の空母からは発艦できず、陸上機としての運用に限られざるを得なかった)

 

米海軍の艦上戦闘機

ja.wikipedia.org

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艦上機には定評のあるグラマン社のジェット艦上戦闘機である。初期型は直線翼を有し、既に設計としてはやや古い部類に属するが、それでも920kmの最高速度を発揮し、当時の日本海軍主力の艦上戦闘機震電艦上型」の最高速度750kmを大きく凌駕していた)

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艦上戦闘機の形状比較。大きさ自体にはそれほど大きな差は見られないが、重量が「震電艦上型」が4.3トンであるのに対し、「F9Fパンサー」は6.5トンであった。(参考:零式艦上戦闘機52型 重量:2.7トン、最高速度:565km)

 

前回「本稿最終回」と声高に宣言しましたが、早速、不定期更新の第一回です。

 

***模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。

 

これまで本稿に登場した各艦の情報を下記に国別にまとめました。

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内容は当ブログの内容と同様ですが、詳しい情報をご覧になりたい時などに、辞書がわりに使っていただければ幸いです。

 

 

第27回 (一応、最終回) 海上自衛隊「護衛艦 やまと」の誕生、そしてその先へ

日本海軍主力艦の終焉

本稿、前回末尾で記述したように、旧海軍の残存主力艦のうち「大和」のみが海上自衛隊編入された。

終戦時に行動可能であった「大和」以外の4隻の主力艦「紀伊」「加賀」「土佐」「長門」は米軍に引き渡され、後に全てビキニ環礁での核実験での効果検証に供された。

修理中の「伊予」「尾張」、航行不能、または着底状態にあった「劔」「白根」「榛名」は、いずれも現地で解体、賠償原資に充当された。列強がしのぎを削った技術の結晶ともいうべき主力艦の末路としては、いささか拍子抜けするほどの淡白な処分とも言えなくもないが、これも大戦中の航空機のジェット化と、それに伴う航空機のペイロードの増大と搭載兵器の強大化が、海上における主力艦の存在意義を著しく低めた結果とみることができる。日本海軍はマリアナ沖海戦、レイテ沖海戦、台湾沖海空戦を通じて、その至宝とした主力艦群をすり潰し、主力艦時代の終焉を実演するという役割を果たした。

 

 海上自衛隊黎明期の自衛艦 「やまと」

海上自衛隊編入された「やまと」は、艦隊防空艦としての役割を負うべく、再武装と改装を受けた。

再武装にあたっては、主砲は従来のままとし、自衛艦隊の艦隊防空艦としての役割期待が大きいところから、対空火器とレーダー装備が一新された。主要な対空火器としては、旧海軍の最も成功した対空砲と言われた長10センチ高角砲を自動化した単装砲を多数搭載している。この砲は最大射程18キロ、最大射高13キロ、毎分19発の発射速度を持つとされ、旧日本海軍では、この対空砲にVT信管を組み合わて運用したが、日本製のVT信管そのものの信頼性が低く、その能力を十分に発揮できたとは言い難かった。

それでも旧海軍では「格段の命中率」「抜群の効果」と賞賛され、その実績以上に士気向上に効果があった。

今回の装備にあたっては米海軍のVT信管技術の導入し、さらに砲塔に自動化機構を組み入れてその信頼性と発射速度を高めた。

一方、個艦防衛用兵装として、多数の機関砲を搭載しているが、これらの小口径砲についてはVT信管には対応しておらず、実戦で効果が期待できないことは、大戦で実証済みであった。

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(直上の写真は自衛艦「やまと」:外観は大戦時のそれとほとんど変わらない。艦隊防空用の兵装として自動長10センチ高角砲を16基、個艦防衛用の兵装として、多数の機関砲を搭載している)

 模型視点でのコメントを少し:上記の模型は、Delphin社製の「大和」をベースとし前部艦橋と通信アンテナ、主砲砲塔を換装している。更にその主対空砲とした自動長10センチ高角砲として、イタリア戦艦「ヴィットリオ・ベネト」の対空砲を流用した。

 

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(直上の写真は自衛艦「やまと」とその僚艦:奥から護衛艦「あきづき(初代)」「むらさめ(初代)」、「やまと」「あやなみ」の順。いずれも国産の護衛艦第一世代に属する。この時期の自衛隊は、こうした国産の護衛艦に加え、米海軍からの貸与艦で構成されていた)

***予告)登場する護衛艦いついては、近々、別途「開発史」的なシリーズを展開する予定です。お付き合いください。

 

上記は、本稿前回で紹介した自衛艦「やまと」であったが、もう一案「B案」を作成してみた。 

自衛艦「やまと」B案

「やまと」は、艦隊防空艦としての役割を負うべく、再武装と改装を受けた。

再武装にあたっては、主砲は従来のままとし、自衛艦隊の艦隊防空艦としての役割期待が大きいところから、対空火器とレーダー装備が一新された。主要な対空火器として米海軍の38口径Mk 12, 5インチ両用砲を連装砲塔に装備し、14基28門を搭載した。

この砲は、米海軍の戦艦、巡洋艦に広く採用されている砲で、最大射程21キロ、最大射高11キロ、発射速度15-22発/分とされていた。これに加えて毎分45発の発射速度をもつラピッド・ファイア型のMk 33, 3インチ砲を連装で8基、さらに個艦防衛用に40mm機関砲を装備し、もちろんこれらは全てVT信管を標準仕様としていたため、その対空能力は、旧海軍時代から格段に強化された。

(直下の写真は、自衛艦「やまと」:外観的には、多数の対空機銃が徹去されたことを除けば、旧海軍時代とそれほど大きな違いはない。この時期、水上偵察機、観測機等の航空兵装の搭載は廃止されているが、後部の航空機用の運用装備はそのまま残されている)

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模型視点でのコメントを少し:こちらのモデルも、前出のDelphin社製の「大和」をベースとし、前部艦橋と通信アンテナ、主砲砲塔を換装している。さらに3D printing makerのSNAFU store製のWeapopn setから、いくつか武装を選択し搭載している。

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(直上の写真は自衛艦「やまと」の対空兵装:艦の上部構造物周辺にMk 12, 5インチ連装砲塔を配置している。下段お写真はいずれもMk 33, 3インチ連装砲塔(ラピッド・ファイア)の配置状況。すこし分かりにくいが上部構造周辺にも、同砲が防楯なしの露出砲架で配置されている)

 

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(直上の写真は自衛艦「やまと」とその僚艦:奥から護衛艦「あきづき(初代)」「やまと」「はるかぜ」「あやなみ」の順。いずれも国産の護衛艦第一世代に属する。この時期の自衛隊は、こうした国産の護衛艦に加え、米海軍からの貸与艦で構成されていた)

 

(質問)どちらの方が、自衛艦「やまと」にフィットするとお考えになりますか?感想など伺えれば、幸いかと。

もちろん他のアイディアもあるかと思います。

幸い、まだ数隻の「やまと」のストックがありますので、私が実現可能なアイディアは模型に落とせるかもしれません。ぜひお知らせください。

これも、If艦ならではの楽しみ方かと。

お待ちしています。私のスキルの問題で「実現不可能」も十分ありえますので、その際には平にご容赦を。

 

DDHとDDG時代の護衛艦「やまと」 

海上自衛隊は、領海警備とシーレーン保護がその主要任務であり、従って、対潜戦闘能力を中心に、その活動保護のための艦隊防空を、両軸で発展させてきた。

1970年代に入ると、対潜ヘリを搭載したヘリ搭載型護衛艦(DDH)を中心に、汎用護衛艦を複数配置し、この艦隊の艦隊防空を担う防空ミサイル護衛艦(DDG)から構成される護衛隊群、という構成をその艦隊編成の基幹として設置するようになった。

海上自衛隊の発足時から艦隊防空をその主任務としてになってきた「やまと」もこの構想に従い、防空ミサイルシステムを搭載する。

主要艦隊防空兵装としてはスタンダードSM-1を2基搭載し、艦隊の周囲30-40キロをその防空圏とした。他の防空兵装としてはMk 42 54口径5インチ砲を6基搭載している。この砲は23キロの最大射程を持ち、毎分40発の発射できた。個艦防空兵装としては、上記の他にCIWS3基を搭載している。

水上機の運用設備を全廃し、ヘリコプターの発着設備を新設した。ヘリの搭載能力はない。

改修時には、米海軍から巡航ミサイルの搭載能力も検討するよう要請があったが、専守防衛を掲げ、その要求を受け入れなかった、と言われている。

(直下の写真は、1970年代の護衛艦「やまと」(DDG):外観的には、旧海軍の「大和」の上部構造を大幅に改修した。多くのシステムを米海軍と共用し、アイオア級の戦艦等と似た上部構造物となったため旧海軍時代の外観をほとんど残していない)f:id:fw688i:20190609190556j:image

 模型視点でのコメントを少し:こちらのモデルも、前出のDelphin社製の「大和」をベースとし、その船体を利用し主砲塔を換装している。上部構造は同じくDelphin社製のSouth Dakotaの上構を転用している。さらに3D printing makerのSNAFU store製のWeapopn setから、いくつか武装を選択し搭載した

 

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(直上の写真は70年代DDG「やまと」の対空兵装:艦の上部構造物前後にSM-1の単装ランチャーを2基搭載し、上部構造周辺にMk 42, 54口径5インチ砲を配置している。近接防空兵器として、上部構造の前部と左右に CIWSを搭載している。専守防衛を掲げ搭載を拒んだ巡航ミサイルは、下段写真の前部CIWSとMk 42 5インチ砲の間あたりに搭載される構想であったとされている

 
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(直上の写真はDDG「やまと」とその僚艦:奥からヘリ搭載型護衛艦(DDH)「しらね」対潜護衛艦「やまぐも」「やまと」ミサイル護衛艦(DDG)「さわかぜ」の順)

 

イージス時代の護衛艦「やまと」

2000年代に入り、海上自衛隊の艦隊防空システムがイージスシステムとなった。

同時に長らく海上自衛隊の艦隊防空を担当してきたDDG「やまと」も、イージス艦として生まれ変わった。

艦の上部構造はイージスシステム搭載に対応する巨大なものに改装され、艦の前後左右に全体で240セルのMk 41 VLS(スタンダードSAM、アスロックSUM、シー・スパロー短SAM用)を搭載した。

その他、近接防空用兵装として23キロの最大射程、毎分45発の発射速度を持つオート・メララ54口径5インチ速射砲4基、CIWS4基を搭載している。
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 模型視点でのコメントを少し:こちらのモデルも、前出のDelphin社製の「大和」をベースとし、その船体を利用し、あわせて主砲塔を換装している。上部構造はF-toy社製の現用艦船シリーズからストックしていた何隻かの上構をあわせて転用している。さらに同じく現用艦船シリーズのストックから、武装を選択して搭載している。

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(直上の写真はイージス護衛艦「やまと」の上部構造:左右にMk 41 VLS、5インチ速射砲、CIWSなどを搭載している


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(直上の写真はイージス護衛艦「やまと」とその僚艦:奥から汎用護衛艦(DD)「あきづき」、「やまと」、イージス護衛艦(DDG)「あたご」の順)

 
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 海上自衛隊は初の航空機搭載型護衛艦(DDV)を導入し「いぶき」と名付けた。専守防衛の建前から、あくまで護衛艦と称しているが、空母「いぶき」の通称で通っている。F-35B15機を基幹航空部隊として搭載し、その為、無人機、救難ヘリ等を搭載している。

このDDV「いぶき」を中心に、第五護衛隊群が編成される。第五護衛隊群はその機動性から紛争地域周辺に展開されることが多く、イージス艦「やまと」も、持ち前のその戦闘力から、この護衛隊群に組み入れられることが多かった。

 

最終回の完了宣言

ご記憶の方がいらっしゃるかどうか。本稿は、その第一回で、下記の写真を掲げ、「これは大和級の究極形であり、ここへたどり着く主力艦の変遷をたどることが、このブログの当面の目標になると考えている」という記述で始まった。

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更に第一回では、明治維新政府海軍の「東」艦を日本海軍の主力艦開発・整備の始点としたうえで、次のような文章で〆られている。「この二隻の間に、およそ150年の時が横たわっている。あるいは、オリジナルの「大和」就役までの時間軸でとらえれば、「わずか70年余り」という表現の方が、よりふさわしいかもしれない」と。

そして、今回、ようやく、イージス護衛艦「やまと」にたどりつくことができた。

約150年に渡る「主力艦の変遷をたどる旅」、第一回に記述したとおり、「寄り道満載の(といっても、もっと本当は寄り道の要素はたくさんあったのだが)」の道のりとなったが、一応の目的を達成したと考えている。

 

 

心からのお礼 

長きに渡るお付き合いに、心から感謝いたします。

当初は日本海軍だけを扱うつもりで、「多分、3ヶ月」と言う気分で始めたのでしたが、約9ヶ月もの期間に渡るものになってしまいました。

筆者にとって初めての長期展開企画でした。そもそもが、こんな話に興味のある人が本当にいるんだろうか、と思いながら、溜まってきた艦船模型の整理の意味から初めた本稿であった訳ですが、毎回のアクセス数には本当に勇気付けられました。ともかくも、曲がりなりにも最終回まで辿り付けたことは、ひとえに皆さんのおかげであると、心から感謝しています。

 

今後の予定(予告)

本稿は、これからも不定期に更新していく予定です。

あるいは、これまでの本文も、十分なものであるとは限らず、適宜手を入れていくことがあるかもしれません。時々、覗いていただけるとありがたいと思っています。 (正直に言うと、毎回、読み返す度に少しづつ手を入れているのです。それほど、初稿は頼りない)

もちろん「もっとここを詳しく」あるいは「ここは情報が全然足りない」など、ご指摘があれば、ぜひお知らせください。その様なリクエスト、ご叱責は大歓迎です。

 

今後、今のところ明らかになっている追加要素としては、本文中にも記述しましたが、海上自衛隊護衛艦開発史を、近々展開しようと考えています。まだいくつか未整備の艦船等があり、その到着を待ちながら、と言う感じでです。

そもそも「東」艦からイージス護衛艦「やまと」までを150年と規定し、太平洋戦争までが約70年、いわゆる「戦後」が約80年としてみた場合の、「戦後艦艇開発史」を、もう少し丁寧に拾ってみよう、と言う試みになるかと考えています。(といっても、3-4回?甘いかな?)

 

さらには、巡洋艦駆逐艦など、ある程度数が揃っているものについても、まとめてゆきたい、という思いはありますが、さすがに各国網羅して、と言うところまでは力が及ばず、さて、どこで思いきろうか、と言う感じです。

さらに、現時点でも着々と艦艇が到着する予定です。あるものは自衛艦の欠けているモデルであり、あるいはあるものは既に登場した艦の、リニューアルモデルであったりもします。そうすると写真を差し替えたり、あるいは比較をしてみたりと、いろいろなバリエーションが想定できます。

それらは適宜、ご紹介させていただくつもりです。あるいはその中から「主力艦」に代わる新たなテーマなど見つかると、またまとまったシリーズで、というようなこともあるかもしれません。

 

そして、その後の「ヤマト」と言えば・・・(早速、おまけ!)

最終的には「やまと」は「ヤマト」となり、もちろんご存知の通り、宇宙へ飛び出すのである。

タイトルには「2199」や「2202」の文字が散見するので、さらに150年以上後の話である。艦首に波動砲という途轍もない兵器を搭載している。「大和」は常に「何か」を他に凌駕することを宿命づけられている、と言うことだろうか。

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写真は1:1000の「ヤマト」。最終的には、オリジナルのデザインに比較的近いところへ回帰することが興味深い。まあ、「ヤマト」は坊ノ岬沖で沈んでいたものに作り込まれた訳なので、当たり前か。

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直上の写真は、「ヤマト」僚艦と共に:奥から金剛型宇宙戦艦「キリシマ」、「ヤマト」、磯風型突撃宇宙駆逐艦「ユキカゼ」。

こちらは1:2000スケールの「ヤマト」を中心に。他はノンスケール?(こちらも本格的に展開するなら、星空バックが必須!まあ、その予定は、今のところはないが)

「キリシマ」は、後に「ヤマト」の艦長となる沖田が、「ヤマト」誕生以前に乗艦し艦隊指揮をとった旗艦である。もう一つ「ユキカゼ」は、「ヤマト」に乗組み大活躍をした古代の兄が艦長を務めた艦である。この両艦はガミランの侵攻艦隊との戦闘で、「キリシマ」は大破し、「ユキカゼ」は「キリシマ」の撤退を援護して沈められた。「ヤマト」が姿を現すのはこの戦闘の後であり、従って、この写真の組み合わせは、ありえない、と言うことになる。

それにしても、「突撃宇宙駆逐艦」とは、なんという名称だろうか。勇ましいことこの上ないが、なんとなく悲惨な響きが気にはなる。

 

「ヤマト」は任務を果たし、還ってくる。何度でも。

 

 

***模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。

 

これまで本稿に登場した各艦の情報を下記に国別にまとめました。(今回紹介した艦船からのアップデートは特にありません。でも、こっそり日本海軍の筑波級巡洋戦艦装甲巡洋艦の写真が変わっていたりするかも)

fw688i.hatenadiary.jp

内容は当ブログの内容と同様ですが、詳しい情報をご覧になりたい時などに、辞書がわりに使っていただければ幸いです。

 

ともあれ、これで一段落です。本当にありがとうございました。今後も時折おつきあいを、お願いします。 

 

 

第26回 太平洋戦争の終結と日本周辺の情勢:海上自衛隊の発足(あるいは、スチーム・カタパルト噺)

(最初にお詫び。やはり太平洋戦争終結から今日までを最終回一回で、というのは無謀に過ぎた試みだったようです。従って、最終回は延期、今回は太平洋戦争終結と、その後の日本周辺の情勢まで。ごめんなさい)

 

太平洋戦争の終結と主力艦の動向 

1948年8月、太平洋戦争は終結した。ヨーロッパでの戦争は1946年に終結しており、ようやく世界大戦が終了した。(と、またまた架空戦記風な書き出しになりましたが、本稿は、架空戦記ではないため、以降は最小限のフレーム的な情報のみ)

 

日本は戦争に敗れた。

1943年12月の真珠湾奇襲作戦を成功させ、その後の南方への展開を順調に行った日本であったが、戦争の短期決着を目論んで行なったハワイ沖海空戦では、史上初の空母機動部隊同士の海戦で、双方がその機動部隊に大きな損害を出す結果となり、日本は短期決着の決定打を放てないままに、恐れていた消耗戦に引き込まれてしまった。

その後、中部太平洋での長期戦化準備の態勢整備などが行われた後に、史実とは異なりガダルカナルでの攻防は起こらなかったが、ソロモン諸島は史実と同様に両軍にとって本格的な消耗戦の舞台となった。

1947年にはマリアナ諸島が失われ、次いでフィリピンも米軍の侵攻を受けた。日本海軍はマリアナ沖海戦でようやく再建された空母機動部隊を失い、フィリピンを巡り展開されたレイテ沖海戦で、海軍の残存主力も失われた。以降、日本は南方の資源地帯との海上輸送路を断たれ、マリアナ諸島からの連日の爆撃で日本全土は焦土となった。

史実では、それに続き硫黄島攻略、沖縄侵攻が起こるのだが、この歴史の流れではそれらの戦いは(少なくとも地上戦という形では)起こらず、連日の激しい空襲だけが繰り返された。

その背景には、ドイツ降伏後発生した、主として米英とソ連の間に発生したヨーロッパの戦後占領を巡る主導権争いがあった。一部には武力衝突にまで発展したほどのソ連の強い占領地支配への執着に警戒感を強めた米英、および中国の国民政府は、ソ連の太平洋戦線参戦の意向を許容せず、そのタイミングとなり得る予定されていた硫黄島作戦、沖縄侵攻作戦を発動できないまま時間が過ぎた。

 

日本海軍の主力艦の動向

主力艦の動向に関して概論すると、ハワイ沖海空戦での高速戦艦「信貴」「筑波」喪失を皮切りに、ソロモン攻防の数次の海戦で、高速戦艦「霧島」「比叡」「高千穂」「畝傍」、追加投入された戦艦「陸奥」「近江」が失われた。

マリアナ沖海戦では、喪失した主力艦はなかったが、大破した高速戦艦「劔」はその後退避した香港から動けなくなり、その後発生したビアク島作戦では戦艦「信濃」が米潜水艦の雷撃を受けて喪失、これを救援した高速戦艦「白根」も併せて被雷、大破し、退避先のダバオから動けなくなっていた。

レイテ沖海戦には、連合艦隊は以下のそのほぼ総力を投入した。

戦艦「駿河」「伊予」「播磨」「大和」「武藏」「相模」「尾張」「長門」が、レイテ湾突入主力である第二艦隊に編入され、高速戦艦「富士」「金剛」「榛名」が、残存空母機動部隊の護衛として投入された。

結果、戦艦「播磨」「武藏」「相模」が失われ、「尾張」「伊予」が大破し退避先のシンガポールで動けなくなった。また高速戦艦「金剛」は、本土回航途上に潜水艦から雷撃され沈んだ。

その後、沖縄をめぐる台湾沖海空戦で、戦艦「駿河高速戦艦「富士」が失われた。 

 

終戦時の残存主力艦 

敗戦時、日本海軍の主力艦で残存していたのは、以下の通りであった。

戦艦「大和」:台湾沖海空戦で中破、呉軍港に帰還。

戦艦「紀伊」:連合艦隊旗艦として横須賀に停泊。

戦艦「長門」:レイテ沖海戦で小破。横須賀で修理、停泊。

高速戦艦「榛名」:レイテ沖海戦で中破、呉軍港に帰還。その後呉軍港で空襲に遭遇し、大破着底。

戦艦「加賀」「土佐」:西方面艦隊主力としてシンガポールに在泊。ほぼ無傷。

戦艦「伊予」「尾張」:レイテ沖海戦で大破。回航先のシンガポール港で修理中に敗戦。

高速戦艦「劔」:マリアナ沖海戦で、空母機動部隊直掩艦として参戦。被弾、大破。香港に回航されるが航行不能

高速戦艦「白根」:ビアク島作戦で潜水艦の雷撃を受け大破。ダバオで修復中に爆撃を受け、大破着底。 

都合、戦闘可能状態が戦艦5隻「大和」(呉)「紀伊」(横須賀)「長門」(横須賀)「加賀」「土佐」(以上、シンガポール在泊)

損傷を修理中の状態が戦艦2隻「伊予」「尾張」(シンガポール)

そして、高速戦艦3隻が、行動不能状態で残存していた。「榛名」(呉)「劔」(香港)「白根」(ダバオ)

 

太平洋戦争の総括

敗因は国力の違いに尽きるが、それを見越して当初は短期決戦、その後、通商路保護専任艦隊の編成など、体制を充実させて、ある程度の期間の戦線膠着状態の創出には成功したものの、最終的には国力の差異が勝敗に寄与した、という展開であったと言える。

戦術的、あるいは技術的に敗因を見れば、電波兵器の開発の立ち遅れと、その応用の遅延、大戦後半に訪れた航空機のジェット化への対応の遅れが大きく取り上げられるべきであろう。

 

航空機のジェット化とVT信管

航空戦力のジェット化自体については、そもそも技術的な立ち遅れが顕著であったエンジン開発での技術力の差異が現れたし、電波兵器についても同様に、特にVT信管に代表されるような小型の電波兵器への応用に対し、日本が追いつけなかったことが大きい。

特にVT信管は、ジェット化で航空機が高速化すればするほど、その対空戦闘時に威力を発揮する下地があった。

米海軍は既に40mm機関砲での実用化を成功させていたが、日本海軍は、1945年後半に、ようやく10センチ長高角砲用、並びに一般的な12.7センチ高角砲への砲弾実装にこぎつけた。しかしその初期砲弾は発射時の衝撃に対する耐性が低く、かつその搭載する小型真空管にも不良が多く、その信頼性には大いに疑問が持たれたが、それでも現場からは「格段の威力」と好評であった。特に、艦隊や船団護衛にあたる駆逐艦乗組員からの評価は絶大で、それまでその主砲を対空戦闘の主要兵器としながらも、実際にはほとんど有効弾を発することのできなかった主砲がようやく戦力化の実感を持てたことは、大きな士気向上につながった。

さらに小口径の機関砲への搭載も求められたが、日本海軍には米海軍のような40mm

クラスの機関砲はこの時期には装備されておらず、近接戦闘においては従来型の機関砲弾を使用するしかなかった。

 

艦載機のジェット化とスチームカタパルト

もう一つ、特に大戦後半の日本の退勢を決定的にした事象として、日本海軍が実戦で有効に機能するスチームカタパルトを開発できなかったことが挙げられるであろう。 

航空機は、それまでのレシプロエンジンとは段階の異なる大出力の供給を可能にしたジェットエンジンの搭載により、これまでのレベルとは異なる段階の速度と、武器搭載能力を得た。一方で、その機体は格段に重くならざるを得なかった。このことは従来型の航空母艦でのジェット戦闘機、ジェット攻撃機の運用を事実上不可能にした。

従来、航空母艦は発艦に対しその不十分な飛行甲板の長さを補うために、向かい風と30ノットを超える母艦速度の合成風力を用いて、ようやく艦載機をその限られた長さしか持ち得ない飛行甲板から離艦させてきた。

 

油圧式カタパルト

米海軍はこうした高速性能を持たず、また短い飛行甲板しか持たない商船をベースにした護衛空母からも、重い哨戒機、爆撃機を船団護衛、上陸作戦支援などの目的で運用するために、カタパルトを実装し運用してきた。

こうした護衛空母で用いられたカタパルトは油圧式のものであった。

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(直上の写真は、ボーグ級護衛空母と搭載された油圧式カタパルト:少し判別しにくいが、下段写真のシルバー着色部分。ボーグ級護衛空母は、戦時量産されていたC3型貨物船の船体を流用して量産された。1万トン、140メートルに未たない飛行甲板長、18.5ノットの低速ながら、24機の航空機の運用能力を持ち、対潜哨戒等の船団護衛任務、上陸作戦支援などに活躍した。123mm in 1:1250 by Neptun)

ボーグ級航空母艦 - Wikipedia

 

油圧式のカタパルトは護衛空母のみならず、ヨークタウン級エセックス級インディペンデンス級などの艦隊空母にも搭載されていたが、油圧の充填にはそれなりの時間を要し、また射出圧力の調整などの融通にも限界があり、多くの搭載機を、連続射出する目的には向かなかった。

これら艦隊空母に搭載された油圧式カタパルトは、上空防空戦闘機のスクランブル発進や、哨戒機の緊急発進などを目的として搭載された。

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(直上の写真は、インディペンデンス級艦隊軽空母。クリーブランド軽巡洋艦の船体を流用し、9隻が量産された。前述のボーグ級護衛空母と異なり、軽巡洋艦を母体とするために、空母機動部隊と行動を共にするに足る31.5ノットの速力を持ち、機動部隊の主として艦隊防空の主戦力となった。最大45機の航空機運用能力があった。飛行甲板前部に1基のカタパルト軌条が見える:同時期の日本が運用した軽空母は、より長い飛行甲板長を持ちながら、30機の航空機運用能力しかなかった。下段の2点の写真は日米軽空母の艦型比較:写真の日本海軍の軽空母は「瑞鳳」。飛行甲板形状にも、形状の差異が見られ、興味深い。 Independensu class:155mm in 1:1250 by ??? / Zuiho: 165mm in 1:1250 by Trident)

インディペンデンス級航空母艦 - Wikipedia

瑞鳳型航空母艦 - Wikipedia

 

火薬式カタパルト

一方、日本海軍のカタパルトは、主として艦載水上機を射出するためのもので、火薬式であった。

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(直上の写真は、伊勢級海防戦艦:航空戦艦と搭載された火薬式カタパルト(下段)。同カタパルトは、海軍航空技術廠開発のもので公式名称を呉式1式2号射出機といい、究極の艦載射出機と言われた。5tまでの重量の機体(参考:彗星艦爆の過荷重重量:4.5t /天山艦攻の過荷重重量:5.5t)を、30秒間隔で射出することが可能とされたが、実用例はない)

 

しかし、この火薬式カタパルトは、瞬間的に爆発的な加速を行うため、機体およびカタパルト本体への負荷が大きく、航空母艦のように多くの搭載機を短時間で発艦させるような連続使用には耐えられなかった。

 

圧縮空気式カタパルト

のちの戦略潜水艦の走りと言われ、水上攻撃機を3機、搭載する伊号400型潜水艦では、その艦首部に長大なカタパルトが搭載されたが、これは構造上圧搾空気を多用する潜水艦ならではの圧縮空気式であった。

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(直上の写真は、晴嵐特殊攻撃機を搭載した伊400型潜水艦と改巡潜甲型:伊13型潜水艦。下段はそれら潜水艦に搭載された圧縮空気式カタパルト:呉式4式1号。射出機全長26メートル、5tの機体を4分間隔で射出することができた。 I-400 class: 98mm in 1:1250 by Neptun / I-13 class: 91mm in 1:1250 by ???)

伊四百型潜水艦 - Wikipedia

伊十三型潜水艦 - Wikipedia

圧縮空気式は推力は十分なものを発生しうるが、都度、コンプレッサなどによる圧縮空気の重点が必要で、短時間での連続射出(上述のように4分間隔)、と言う目的には適性が低いといわざるを得なかった。

*実は圧縮空気型カタパルトには更に「究極」、ともいうべきカタパルトが存在する。呉式2式1号10型という形式で、1942年に実用化され、軽巡大淀に搭載された。軽巡大淀は、本稿で既述のように第7艦隊編入され、就役直後から、通商破壊戦の潜水艦部隊、あるいは指揮下にある巡洋艦の指令艦として、有力な偵察機部隊を運用することを想定して設計された。その搭載機は、長大な航続距離を持ち、戦闘機も振り切ることができる高速の水上偵察機「紫雲」が想定され、この機を大淀艦上から射出するための専用射出機がこの呉式2式1号10型であった。6tまでの機体を40秒間隔で射出することができた。このカタパルトの大きな課題はその実に44メートルの全長にあり、大淀も当初、艦の後部約3分の1を割いて、このカタパルトを巨大なターンテーブルに搭載した。その長大さゆえに、幅広い実運用には至らなかった。

 

蒸気式カタパルト(スチームカタパルト)

一方で、蒸気式カタパルト(スチームカタパルト)は、基本的に艦自身の機関から蒸気を供給されるため、配管途上の充填機材等で圧力の調整が可能で、ジェット機の登場で運用機材の重量の増加した場面でも対応が可能であった。 併せて機関が稼働し蒸気が供給される限り、連続的な運用が可能で、まさに艦隊空母に最適なカタパルトと言えた。

欠点があるとすれば、構造上配管が複雑になることと、カタパルト運用時には艦の主機関の出力が落ちる、すなわち母艦の速力に影響が出る場合があることなどであった。

米海軍は、エセックス級を中心にスチームカタパルトの装備を始め、艦載機のジェット化を推進したが、カタパルトの運用が発艦の主要な方法になると、飛行甲板を広く使用でき、母艦の後半部分を着艦専用の甲板にするなど、空母の運用方法にも新機軸を生み出すことができた。

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(直上の写真は、SBC-215改装後のエセックス級艦隊軽空母。エセックス級空母は23隻が建造され、その就役期間は実に1942年から1991年に渡る。運用機材への対応により数次の改装を受けた。SBC-215はその一つで、蒸気カタパルトの搭載とアングルドデッキの装備が大きな特徴である。この改装は、史実では1955年以降に実施されたが、本稿ではより早く実施されている。建造途上から最後期建造の3隻はこの形式で建造され、更に太平洋戦争中に5隻がこの形式での改装を受け、艦隊空母機動部隊の主力となった。スチームカタパルトの搭載により、当初からこの設計で建造された3隻は別として、改装を受けた5隻はスチームカタパルトの運用時に速度低下に見舞われた Essex class: 220mm in 1:1250 by Trident??? )

エセックス級航空母艦 - Wikipedia

 

空母の搭載機の変化を見ると、艦載機のジェット化は、搭載機の大型化を招き、そのため空母の搭載機数は減少したが、一方で、その主兵装、特に対艦攻撃の兵器が、それまでの爆弾、魚雷から、誘導弾へと変化した。誘導弾は当初、ドイツ空軍が開発し実用化したもので、地中海で、それまでの同盟軍であったイタリア戦艦「ローマ」を一発の誘導弾で沈めるなどの実績があった。米英はドイツ降伏に前後してこの技術を接収し、主兵器化した。

誘導弾はそれ自体が重く、ドイツ空軍では双発の爆撃機を射出プラットホームとしたが、米海軍では艦載型のジェット攻撃機がそのプラットホームとして利用できた。誘導弾は、弾頭に多量の火薬を充填し、それまでの魚雷と異なり、はるかに長い射程を持ち、かつ高速で飛来するために、回避や撃墜が非常に困難で、日本海軍の誇る主力艦のうち、マリアナ沖海戦、レイテ沖海戦、台湾沖海空戦での喪失艦はすべてこの誘導弾の集中運用によるものであった。

こうして米海軍はスチームカタパルトと艦載ジェット機により、最強の打撃力を手にすることができた。

 

日本海軍空母機動部隊の無力化

一方、スチームカタパルトの実用化に目処の立たない日本海軍は、ジェット戦闘機、ジェット攻撃機などの開発には成功していたものの、艦載機として運用することができず、大戦後半、その空母機動部隊は、艦隊決戦兵力としてはほぼ無力化されてしまったと言ってよかった。

 

ja.wikipedia.org

日本海軍は、それでも史上発のエンテ翼戦闘機「震電」の艦載機型を採用するなど、その機材の高速化には務めたが、速度の差は埋め難く、両軍の空母機動部隊が投入されたマリアナ沖、レイテ沖両海戦においては、意に反して一方的な戦闘とならざるを得なかった。

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 日本海軍が開発した史上初のエンテ翼戦闘機「震電」。レシプロ機としては、高速を誇り、かつ機首に集中搭載された重火器で、艦載機型は空母機動部隊の主力戦闘機となったが、米海軍の艦載機は既にジェット化されており、実戦では一方的な戦いを強いられた。「震電改」はジェットエンジンを搭載し実用化されており、その速度、運動性ともに米海軍の艦載ジェット戦闘機を凌駕する性能を示したが、日本の空母からは発艦できず、陸上機としての運用に限られざるを得なかった)

 

米海軍の艦上戦闘機

ja.wikipedia.org

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艦上機には定評のあるグラマン社のジェット艦上戦闘機である。初期型は直線翼を有し、既に設計としてはやや古い部類に属するが、それでも920kmの最高速度を発揮し、当時の日本海軍主力の艦上戦闘機震電艦上型」の最高速度750kmを大きく凌駕していた)

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艦上戦闘機の形状比較。大きさ自体にはそれほど大きな差は見られないが、重量が「震電艦上型」が4.3トンであるのに対し、「F9Fパンサー」は6.5トンであった。(参考:零式艦上戦闘機52型 重量:2.7トン、最高速度:565km)

 

大戦終結と日本周辺の情勢

前述のように、大戦終結時には英米ソ連の間の亀裂が顕在化しており、 それが米軍の対日本の次段階作戦であった沖縄侵攻作戦、硫黄島攻略作戦の実施を思いとどまらせる結果となった。

フィリピンでは日本陸軍は持久戦を粘りつよく展開したが、制海権・制空権は米軍が掌握し、南方資源の日本本土への供給は絶たれた。連日の激しい空襲により全土を焦土化され、最後は三発の原子爆弾の投下(広島、長崎、満州国奉天郊外)によって、日本は降伏した。

ソ連は参戦のきっかけを失い、日本の降伏とほぼ同時に満州侵攻、南樺太侵攻などを行なったが、これらの行動は米英、併せて中国国民政府の警戒感を更に強めさせた。

ソ連は東ヨーロッパに引き続きアジアでの影響力を高めるため、中国共産党支援の強化、更に朝鮮共産党による朝鮮政府の樹立などを試み、それらはやがて国共内戦、1949年国民政府の台湾への撤退、そして1950年の朝鮮戦争へと拡大していく。

 

海上自衛隊の発足と自衛艦「やまと」の誕生

降伏に引き続き、日本は戦争放棄と戦力不保持、交戦権の否認を憲法に掲げる国家となった。

しかし上述のような不安定な周辺情勢、殊に日本の共産化を防ぎ、アジア全体の共産化阻止の拠点としたい米英(特に米国)の思惑から、様々は注釈に彩られた憲法解釈が行われ、やがて朝鮮戦争の勃発とともに自衛隊の前身である警察予備隊が発足し(1950年)、日本は再び戦力を保持することとなった。

 

同時期に旧海軍残存部隊は海上警備隊として組織され、1954年自衛隊法施行とともに海上自衛隊と名称変更された。

上述のようにその発足時には国共内戦朝鮮戦争等で、米英とソ連のある種代理戦争が極東地域では展開されていた。これら共産勢力、あるいはソ連自身の日本への侵攻に対する抑止力として、当時、武装解除の上で海外に展開していた旧日本軍の復員輸送の従事していた残存する行動可能な主力艦を、再武装の上で戦力に組み入れてはどうかという議論が主として英米間で行われた。

当時、主力艦で行動可能だったものは、「大和」「紀伊」「加賀」「土佐」「長門」であったが、これらすべてを戦力化することについては強大すぎ旧軍の復活につながるとの懸念があり、抑止力としてのプレゼンス、という視点から「大和」一隻のみを自衛艦「やまと」として再武装し、自衛艦隊に編入することが決定された。

 

(直下の写真は自衛艦「やまと」:降伏と共に武装解除され、復員事業に従事したのち、再武装し、発足間もない自衛艦隊に編入された。再武装にあたっては、主砲は従来のままとし、自衛艦隊の艦隊防空艦としての役割期待が大きいところから、対空火器とレーダー装備が一新された。主要な対空火器としては、旧海軍の長10センチ高角砲を自動化した単装砲を多数搭載している)

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***ということで、今回は、思いっきり「カタパルト噺」に気持ちが持って行かれてしまって、最終回には至りませんでした。

次回は、自衛艦隊に編入された「やまと」がどのような変遷を遂げ、イージス艦「やまと」となるのかを語る、本当の最終回の予定です。

 

***模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。

 

これまで本稿に登場した各艦の情報を下記に国別にまとめました。(今回紹介した艦船からのアップデートは特にありません。でも、こっそり日本海軍の筑波級巡洋戦艦装甲巡洋艦の写真が変わっていたりするかも)

fw688i.hatenadiary.jp

内容は当ブログの内容と同様ですが、詳しい情報をご覧になりたい時などに、辞書がわりに使っていただければ幸いです。

 

 

号外、その3:映画「空母いぶき」見てきました

映画「空母いぶき」、見てきました。

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***ご賢察の通り、本稿の方は、最終回の準備に手間取っています。戦後70年を一回で、というのが無理があるのかな、と思いつつも、本稿の主役、主力艦という視点で見ると、あまり語ることもなく。それでも最終回だから、と。ちょっとウロウロしてしまっています。

 

ということで、今回は「空母いぶき」の感想を少しだけ。

(Ibuki: 26,000t, CWIS *2, SeaRAM *2, F-35JB *15 etc, 202mm in 1:1250)

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なかなか見ごたえのある映画でした。登場する自衛官がすべてカッコ良すぎるか、と思わないでもありませんが、それを楽しむのがこの映画の正しい見方かと。ストーリーに身を委ねれば、そうした見方を、ごく「自然に」させてくれるところが、この映画の力ではないかと思います。

日頃から、この国ほど自衛官(軍人)が敬意を払われていない国は珍しいと、ぼんやりと思ってきたのですが、我々はもっと自衛隊のことを知るべきで、もっと敬意を払うべきだと、再度考えさせてくれる映画でした。

あまりにも我々はこうした事象を考えることを避け続けて来すぎてやしないかと。もっと正面から向き合う時期が来た、と言う気もしています、

 

一方で、どなたかの感想に「スター・トレックみたい」というのがあったと記憶しますが、これはこの映画を表す大変秀逸の一言かと。人が試練に向き合うときに、大切な事は何か、というような問いかけかと。(皮肉ではなく、大変いい意味でその通りかと。私はトレッキーでもあります)

また一部の感想にあるように、艦船模型、あるいは艦船ファン、という視点で見ると、確かにちょっと物足りないとは思うのですが、タイトルは「空母いぶき」ではあるものの、やはり艦船は主役ではないですからね。

それはもっと別のところで盛り上がればいいかと。

その中で、イージス艦の戦闘シーンはなかなか見ごたえがあったかと思います。

潜水艦の戦闘シーンは、一本別の映画にしてほしいなあ。

 

(この後は、ちょっとネタバレ的な一言になるかも。見ていない人はスキップしてもらったほうがいいかもしれません。ですので小さな字で書くことにします)

まあ、扱っている素材が素材だけに(尖閣問題)、確かに綺麗にまとめるのは難しいのでしょうが、お話の最後はちょっと。苦笑してしまいました。

 

ということで、「空母いぶき」オススメです。

(**彼の国や、あの国や、周辺諸国の皆さんはこの映画を見てどんな感想を抱くんでしょうか?それは一度聞いてみたい。平和日本だからこその映画、と見られるか。こいつら本当に甘いなあ、なのか。あるいは、どこかで共感してもらえるのか、大変気になります)

 

次回こそは、本稿の本筋上の最終回。(の予定です。その後、自衛艦開発史、など、いくつかスピンアウト企画は残っていますが)

 

***相変わらず、模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。

 

号外、その2:第五護衛隊群 続:映画「空母いぶき」公開記念第二弾

5月24日から、映画「空母いぶき」が公開中。

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申し訳ありませんが、映画はまだ見ていません。

今日は、コミックから。関連のご紹介を。(と言いつつ、正直なところは、本稿最終回をどのように終えるのか、ちょっと方向が定まらず、少し時間がかかりそう、というところです)

 

空母いぶき - Wikipedia

本稿、前回でも触れたが、「空母」の表記をしているが、正式呼称は、「航空機搭載型護衛艦」で、DDVと分類され、あくまでDD(駆逐艦護衛艦)である。

(Ibuki: 26,000t, CWIS *2, SeaRAM *2, F-35JB *15 etc, 202mm in 1:1250)

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前回も申し述べたが、本稿登場するモデルは「いずも型護衛艦」のモデルを既に上市されていたAmature Wargame Figures(Nomadire)という3D  Printing メーカーさんにジャンプ台の追加をリクエストし、制作していただいたものをベースにしている。

www.shapeways.com

先週紹介したモデルにアンテナを追加し、少しディテイルを触ってみた。

搭載機も、これも前回ご紹介した通り、3D Printing メーカーさん(SNAFU Store:   SNAFU Store by Echoco - Shapeways Shops)によるもので、F-35JBの他に、X-47Bという無人(下の写真では、ブリッジ後方の黒っぽく塗装されている数機)を搭載している、という設定になっている。その他、ヘリコプターは今回ご紹介するF-toysの援用艦船コレクションから、いくつか登場してもらった。

 

第五護衛隊群

DDV「いぶき」は、コミックでの設定では、海上自衛隊第5護衛隊群の所属となっている。

現在、海上自衛隊には4つの海上護衛隊群があり、それぞれがDDH(ヘリ搭載型護衛艦)1隻、DDG(誘導ミサイル搭載型護衛艦)2隻、DD(汎用護衛艦)5隻、計8隻の護衛艦で編成されている。(かつては、この8隻に8機の対潜ヘリが搭載されるような護衛隊群構成となった時期があり、「新88艦隊」などと呼ばれた)

海上自衛隊護衛艦隊

コミックでは、DDV(航空機搭載型護衛艦)「いぶき」を中心に、第五護衛隊群は新編成され、DDG:イージス護衛艦「あたご」「ちょうかい」、DD:汎用護衛艦「ゆうぎり」「せとぎり」、AIP潜水艦「けんりゅう」、さらに補給艦「おうみ」がこれに所属する、という設定となっている。

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(直上の写真は、第5護衛隊群の一部:奥からDD「せとぎり」、DDV「いぶき」、DDG「あたご」と同型の「あしがら」、潜水艦「けんりゅう」)

 

イージス艦「あたご」DDG-177

あたご型護衛艦 - Wikipedia

 

en.wikipedia.org

「あたご」級DDGは、海自のイージス艦である。その主目的は護衛隊群を敵の対艦ミサイル、あるいは航空機の攻撃から守ることである。「あたご」級は海自の2代目のイージス護衛艦として設計され、96セルのVLSに収めた対空・対潜ミサイルをその主要な兵装としている。前級の「こんごう」級に対し、ヘリ搭載施設を追加し、航空運用能力の向上を図っている。

(7,700t, 30knot, 写真は同型間の「あしがら」, 133mm in 1:1250, F-toys)

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F-toysの現用艦船コレクションについて。

いわゆる食玩として販売されており、全塗装済みのプラスティックモデルで、現用艦は最新鋭の一部を除いて、ほぼ網羅されている。主要な部品は接着剤なしでも綺麗に嵌るが、細かい部品はできれば瞬間接着剤、あるいは模型用接着剤などで接着したほうがいいと思う。現用艦の武装部品のストックとしても極めて優秀で、筆者も「イージス艦 ヤマト」の制作時には、ほとんどの部品をこのシリーズから流用させていただいた。

 

イージス艦「ちょうかい」DDG-176

こんごう型護衛艦 - Wikipedia

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「ちょうかい」は「こんごう」級ミサイル護衛艦の一隻で、第四世代のミサイル護衛艦として設計されたいわゆる海自最初のイージス艦4隻の中の一隻である。90セルのVLSに収めた対空・対潜ミサイルをその主要兵装として搭載している。

ヘリ運用の設備は艦尾に装備しているが、格納庫の装備はなく、搭載能力はない。

(7,250t, 30knot, 129mm in 1:1250, F-toys)

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汎用護衛艦「ゆうぎり」DD-153,「せとぎり」DD-156

あさぎり型護衛艦 - Wikipedia

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「あさぎり」級汎用護衛艦は、多様な兵装を装備し、対空、対潜いずれの目的にも対応できるよう設計された。いわゆる汎用護衛艦としては「はつゆき」級に次ぐ2世代目で、8隻が建造された。

「ゆうぎり」は同級3番艦、「せとぎり」は同級6番艦である。

同級は、海自が運用する汎用護衛艦としては、現在最古参で、現在建造中の「あさひ」級汎用護衛艦の就役までは、護衛隊群に保持される予定である。現在順次、艦齢延伸改修工事が実施されている。

(3,500t, 30knot, 110mm in 1:1250, 3D printing model by Amature Wargame Figures(Nomadire))

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同級はF-toysの現用艦船コレクションではカバーしていないため、Amature Wargame Figures(Nomadire)の3D printing modelをベースとして使用し、マストや主砲、CIWS等兵装の一部をF-toysのストックから流用している。f:id:fw688i:20190526145901j:image

(直上の写真は、第五護衛隊群に所属する「ゆうぎり」「せとぎり」(手前))

 

やがては交代? 汎用護衛艦「ゆうだち」DD-103,「きりさめ」DD-104

むらさめ型護衛艦 - Wikipedia

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上述のように、「あさぎり」級汎用護衛艦は艦齢が古く、長期任務となった場合には、「むらさめ」級汎用護衛艦との交代が予測される。

「むらさめ」級汎用護衛艦は、海自として初めて、アスロック(対潜ミサイル)、SAM(対空ミサイル)をVLS化し装備した。いわゆるイージス世代の汎用護衛艦と言えるだろう。

(4,550t, 30knot, 120mm in 1:1250, F-toys)

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(直上の写真は、第五護衛隊群に「ゆうぎり」「せとぎり」の交代として派遣されることが予想される「むらさめ」級汎用護衛艦「ゆうだち」(手前)と「きりさめ」)

 

AIP潜水艦「けんりゅう」SS-504

そうりゅう型潜水艦 - Wikipedia

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潜水艦「けんりゅう」は「そうりゅう」級潜水艦の 4番艦で、海自初のいわゆる非大気依存推進(AIP)による通常動力潜水艦の一隻である。

AIP導入により、大気取り込みのための浮上、あるいはシュノーケリングの必要がなくなり、より長期間の隠密性を確保できるようになった。「けんりゅう」は同級の4番艦であり、スターリングエンジン搭載型であるが、11番艦以降はリチウムイオン蓄電池搭載型に変更され、より高速性が確保される予定である。

(2,900t, Surfaced: 13 knot /Submerged: 20 knot, 67mm in 1:1250,3D printing model by Amature Wargame Figures(Nomadire))

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補給艦「おうみ」

ましゅう型補給艦 - Wikipedia

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補給艦「おうみ」は、海自最大の補給艦「ましゅう」級の2番艦である。前級「とわだ」級補給艦をベースにこれを拡大し、ヘリコプター搭載も可能となった。現在、市販されている1:1250スケールの模型は存在しないと認識しているが、下の「とわだ」級の模型から推計すると、176mmほどの全長の模型となるはずである。

(参考:直下の写真は、「おうみ」の前級「とわだ」級である。8,100t, 22knot, 133mm in 1:1250, F-toys)

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ということで、今回も「最終回」には進まず、空母「いぶき」に登場する第五護衛隊群という機動部隊の紹介に終始した。

一つ言い訳をしておくと(あるいは少し予告めいたものになるかもしれないが)、最終回では、イージス艦「ヤマト」はこの第五護衛隊群の一員として登場する。さらには緊急展開部隊を運用する特務艦隊との連携などにも触れる予定であり、さらに・・・。(と、このように書くと、架空戦記的なものを期待されても困るのですが、何れにせよ、史実より2年遅れで始まった太平洋戦争の帰趨と、なぜその中で「大和」が自衛艦として存在するのか、など、なにがしか物語仕立てに準備せねばならず・・・)

 

次回こそは、本稿の本筋上の最終回。(の予定です。その後、自衛艦開発史、など、いくつかスピンアウト企画は残っていますが)

 

***相変わらず、模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。

 

さらに予告をいくつか。

いくつか前弩級戦艦装甲巡洋艦などで、模型を準備できなかった項目がありますが、続々と到着中で、鋭意製作中ですので、そちらもいずれはアップしていきます。

一例をあげると、日本海軍の日露戦争直後に就役した装甲巡洋艦巡洋戦艦)「筑波」級が、これまで既成模型も3D modelも存在していなかったのですが、ようやくモデル化されました。(本稿では、他の比較的にている模型からのほぼフルスクラッチしたものを掲載してきましたが、はるかに出来がいいので、こちらの差し替えを予定しています。

などなど、あと数点ですが、順次アップしていく予定です。

よろしくお付き合いください。

 

 

号外:映画「空母いぶき」公開記念号

海上自衛隊 空母「いぶき」

いよいよ5月24日から、映画「空母いぶき」が公開される

kuboibuki.jp

映画についての情報は、例によって他に譲るとして、本稿でも空母「いぶき」が海上自衛隊艦隊(いずれは、体系的に護衛艦開発史の号外を掲載する予定です)に編入された。「空母」の表記をしているが、正式呼称は、「航空機搭載型護衛艦」で、DDVと分類され、あくまでDD(駆逐艦護衛艦)である。

空母いぶき - Wikipedia

正確には、本稿での「いぶき」は、オリジナルの設定通り「いずも型護衛艦」にスキージャンプ台形式の飛行甲板をつけたもので、例によって「いずも型護衛艦」のモデルを既に上市されていた3D Printing メーカーさんにジャンプ台の追加をリクエストし、制作していただいた。

www.shapeways.com

製作者のAmature Wargame Figures(Nomadire)は、主として第二次大戦以降のいわゆる現用艦(もしくは計画艦)に多くの作品があり、スケールも実に多岐にわたるラインナップを揃えていらっしゃる。今回のリクエストのような既成モデルの改変、あるいはスケール間のコンバージョンにも比較的気楽に対応してくださるので、大変ありがたく利用させていただいている。現在も海自の護衛艦あさぎり級のモデルが日本に向かっているはずである。

 

モデルの素材は、White Natural Versatile Plasticというやや柔らかめで粘度のある樹脂で、下地処理をした後、普通に塗装ができる。(私の場合にはサーフェサーで下地処理をしたのち、エナメル塗料で塗装をしています。基本、全て筆塗りです)上掲の写真の通り、マスト、CIWS、SeaRAMなどの対空火器も全て一体整形された完成形で手元に届いた。下記の写真ではマストのみ、F-toys製のストックモデルと交換し、仕上げた。

 

搭載機も同様、3D Printing メーカーさん(SNAFU Store:   SNAFU Store by Echoco - Shapeways Shops)によるもので、F-35JBの他に、X-47Bという無人(下の写真では、ブリッジ後方の黒っぽく塗装されている数機)を搭載している、という設定になっている。(多分、オリジナルの設定はそんなことにはなっていないと思います。ヘリはF-toysのモデルから流用

 

(Ibuki: 26,000t, CWIS *2, SeaRAM *2, F-35JB *15 etc, 202mm in 1:1250)

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(直上の写真:イージス護衛艦ちょうかい、汎用護衛艦むらさめを伴って)

 

「いぶき」には本稿の一応の最終回でも、再度、例のイージス「やまと」と共に再度ご登場願う予定です。以下はおまけそのツーショット。

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船舶がらみの映画、と言えば、やはりあの・・・

そう、「タイタニック」。

船そのものもさることながら、ジェームス・キャメロンの映画もまた、豪華絢爛というか、オールタイム・ベストの一作だと、私は思っている。

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下の写真はまさに「タイタニック」である。左下の舳先が、あの有名なシーンの舞台となった。

冒頭の調査船から降ろされる新刊探査船による水中探査のシーンから、CG満載での船内再現、力強くもはかないストーリー、浸水の再現、音楽、と、この映画の魅力を上げれば数知れない。

(調査チームのヘッドがビル・パクストン!私はこの役者さんが、何故か(自分でもいまいち理由がよくわからないのですが)大好きなのです)

 

タイタニック (客船) - Wikipedia

タイタニックはホワイト・スター・ラインが北大西洋航路用に建造したオリンピック級客船の2番船で、その処女航海が、有名な悲劇の航海となった。旅客定員は1等、2等、3等合計で2453人、これを乗員合計833名がサービスすることになっていた。処女航海時には、乗員・乗客2200人以上を乗せ、英国サウザンプトン、米国ニューヨークを6日間で横断する行程が予定されていた。悲劇の航海で1500人以上の犠牲者を出し、平時の海難事故としては、20世紀最大 の事故である。

ちなみに1等特別室の料金が4350ドル(現在価値で50000ドル:550万円??)、3等は15〜30ドル(現在価値172〜345ドル:2〜4万円)だったとのこと。

(Titanic: 1912, 46,328t, 23knot, 213mm in 1:1250 by Mercator)

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カルパチア (客船) - Wikipedia

そして、映画にはほとんど登場しないが、直下の写真は真っ先に救難に駆けつけたと言われるカルパチア号である。同船はキュナード・ラインの外洋客船で、1903年に就航している。救難信号受診後、全速力で遭難現場に駆けつけ、706名を救助した。

(Carpathis: 1903, 13,555t, 15knot, 138mm in 1:1250 by CM)

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ジェームズ・クック (海洋調査船) - Wikipedia

映画冒頭の沈没現場探索等に登場する大型調査船。映画に登場する船は、確かヘリの着艦ができたと記憶するので、さらにこれよりも大型か?

直下は調査船ジェームズ・クック。遠隔操作無人探査機による深海探査などの運用設備を船尾に備えている。

(James Cook: 2007, 5,800t, 16knot, 71mm in 1:1250 by AIK)

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直下の写真は、タイタニックとカルパチア、調査船ジェームス・クックの比較。タイタニックの大きさがよくわかる。

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もう一つ、少し変わったところで「マスター・アンド・コマンダー

ナポレオン時代の英仏戦を舞台とした帆船映画。主人公は小型のフリゲート艦の新人艦長で、神出鬼没のフランス艦との遭遇戦を繰り広げる。

ja.wikipedia.org

 

直下の写真は主人公が艦長を務める当時の代表的なフリゲート艦。

概ね上甲板下の一層に大砲を搭載している。戦列艦に比べ軽快で、運動性が高く、偵察、警備など、任務範囲が広い。一方で搭載砲数が少なく、基本的に戦列艦に出会った場合には、快速を頼みに逃げるということになる。

冒険映画の題材としては、艦長の機略なども合わせ、最適といえるであろう。

(65mm in 1:1250)

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ちょっと判別しにくいが、後ろから追撃してくるのはフランスの戦列艦で、砲甲板を二層持ち、逃げるフリゲートのほぼ倍の大砲を搭載している。

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(映画ではラッセル・クロウフリゲート艦の艦長役を務め、自艦よりも強力なフランス艦の海賊行為(通商破壊行動、というべきか)に、いかに立ち向かうか、というような筋立てだったと記憶します。大変、面白かった)

 

前回、「次回はいよいよ最終回」と予告しながら、号外にしてしまいました。少し仕込みに思いの外、時間がかかっています。

ユトランド沖」の二の舞にならねばいいが、と戒めつつ、次回こそは、本稿の最終回。話を本筋に戻して、海上自衛隊イージス艦「ヤマト」とその周辺を。(その後、自衛艦開発史、など、いくつかスピンアウト企画は残っていますが)

 

***模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。

 

 

第25回 日本海軍 第7艦隊:海防艦隊の創設

太平洋戦争の開戦

日米は1943年12月8日、開戦した。

開戦にあたり、日本海軍は米太平洋艦隊の根拠地真珠湾に対し、日本海軍が当時保有したすべての艦隊空母の集中運用による空からの打撃力という新戦術を具現化し、史上初の空母機動部隊を編成し、これによる奇襲攻撃を企図した、太平洋艦隊主力の戦艦部隊をほぼ壊滅状態に陥れ、ほぼこれに成功する。ただし、史実と同様、空母は不在で、その点に、後世の視点から見れば禍根を残す結果となった。

何れにせよ、この一戦で、それまで補助戦力とみなされてきた航空母艦がにわかに海戦の主力として注目されるようになった。

その後の数ヶ月に渡る日本軍の南方作戦においては、この空母機動部隊を中心とした日本海軍は向かうところ敵なしの戦果を挙げ、日本軍の第一段階戦略はほぼ成功した。

本来、長期戦には勝機を見出さない日本海軍は、再度、空母戦力を中心とした艦隊決戦を企図し、ミッドウェー、ハワイ間に機動部隊を集中展開し、戦機を誘うが、これをようやく主力戦艦部隊の壊滅で空母主戦力への思想転換を余儀なくされ、空母部隊の集中運用の体制を整え迎撃した米艦隊との間で、史上初の空母機動部隊同士の海空戦が発生する。(ハワイ沖海空戦)

日本海軍はこの海戦に投入した10隻の空母(天城級4隻、蒼龍級4隻、翔鶴級2隻)のうち4隻と、護衛に当たった4隻の高速戦艦(畝傍級2隻、信貴、白根)のうち2隻を失い、何よりもその艦載機720機の約4割300機を失った。一方迎え撃った米海軍も、投入した艦隊空母 11隻(ヨークタウン級3隻、ワスプ、レキシントン級2隻、エセックス級3隻、イントレピッド級2隻)のうち6隻を喪失し、艦載機約850機の半数以上450機を失った。この海戦により、日米両艦隊は、当面の間、空母機動部隊による大規模な作戦行動が企図し得ない状況に陥ってしまう。

米海軍は進行中のエセックス級、イントレピッド級の空母の量産計画に拍車をかけることになるが、日本海軍は空母の生存性をいかに高めるかに注力していく。

一方で、艦載機、特にその搭乗員の損耗率の高さから、今次大戦が、改めて総力戦の様相を一層濃厚にした形態をとることが予見され、両海軍の首脳の頭を悩ませた。特に日本海軍にあっては、緒戦のこの海戦での損害があまりにも大きく、その損耗回復に充てる時間と費用の検討から、これまでの艦隊決戦一辺倒と言ってよかった艦隊のあり方に対する疑義が生じていた。

(・・・と書き始めましたが、以降は真っ当な架空戦記に委ねることにして、当ブログではこの「太平洋戦争」の経緯については、あまり包括的には触れる予定は、今のところありません)

 

日本海軍「第7艦隊」の創設 

従来、日本海軍では、連合艦隊を以下のような機能別編成として、太平洋戦争に臨んだ。

第1艦隊:艦隊主力・決戦艦隊

第2艦隊:前衛部隊

第3艦隊:南方展開支援部隊

第4艦隊:内南洋