相州の、ほぼ週刊、1:1250 Scale 艦船模型ブログ

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

現用艦船シリーズ:アメリカ海軍のミサイル巡洋艦vol.1:第二次世界大戦型巡洋艦の改装の系譜

今回はちょっと長いタイトルです。

本稿では前回、「第二次世界大戦後のアメリカ海軍の駆逐艦」をご紹介しましたが、今回はその流れで巡洋艦のご紹介を、と考えました。実はモデルはそれほど充実しておらず、かと言ってそれほど力を入れてコレクションしてきたわけでもないで、「まあ、この辺りで欠けているモデルの確認も含めて」という思いで整理を始めたわけですが、そののっけで、実は筆者が想定していた系譜が、実は全くの理解不足だった、ということが判明したわけです。

先に種明かしをすると、現在の米海軍のミサイル巡洋艦(と言っても「タイコンデロガ級」イージス巡洋艦をの残すのみですが)は、実は第二次世界大戦期の巡洋艦の末裔ではなく、前回紹介した「ミッチャー級」嚮導駆逐艦に端を発する系譜から発展したものであった、ということなのです。

(上の写真は「ミッチャー級」駆逐艦の概観:120mm in 1:1250 by Trident)

同級のうち2隻(「ミッチャー」「ジョン・S・マッケイン」)は1963年にタータ・システムを搭載してミサイル駆逐艦(DDG)に改装されています。実はこの改造艦と同時期にこちらは最初からミサイル艦として建造されていた「クーンツ級」ミサイル駆逐艦(「ファラガット級」と呼ばれることも)がその系譜の始祖と言えるのです。

(上掲の写真は現在、筆者がEbayで入札中の「ミッチャー」のDDG形態のモデル by Sextant:下の写真は同じく入札を検討中の「クーンツ級」ミサイル駆逐艦のモデルby Hansa)

一方で、第二次世界大戦期の巡洋艦にミサイルシステムを搭載した改造艦と、その系譜も存在した訳で、今回はその「断絶」した系譜をご紹介、という訳なのです。

時間的な問題もあり、今回と次回(多分、2週間後)の2回に分けて、と考えています。

(大変申し訳ないですが、筆者の「頭の整理」にお付き合い下さい)

 

第二次世界大戦後のアメリカ海軍、巡洋艦事情

本稿前回ではアメリカ海軍の駆逐艦の量産性、というお話をしましたが、巡洋艦についても同様の状況が見られます。条約の制約下で整備されたいわゆる条約型重巡洋艦が17隻であるのに対し、1943年以降相次いで大戦中に就役した(一部大戦後の就役となりましたが)「ボルチモア級」とその準同型の「オレゴン・シティ級」重巡洋艦が18隻、同じく大戦中の1942年から就役を開始した「クリーブランド級」軽巡洋艦が27隻(計画では52隻)と、いずれもこのクラスの大型艦では類を見ない数が、しかも戦争中に建造され就役しています。戦争経済下でのその生産力も、合わせてその乗員を養成する能力(こちらは戦争経済下(状況下?)ならでは、というべきか)も、本当に驚きです。

これらはいずれも優秀な8インチ砲・6インチ砲(米海軍のこの時期の巡洋艦は魚雷を装備しませんでした)を主装備とした艦級群でしたが、併せていずれも先見性のある両用砲を副兵装として備えるなど強力な対空兵装を備えていました。しかし、ジェットエンジンの出現と発展で、従来の対空兵器の能力では、高速化の進む航空機やその搭載する対艦攻撃兵器を捉えきられなくなることは明らかでした。

空母を中心とした機動部隊をその主戦力とする以上、脆弱性を持つ空母を守る艦隊防空は必須で、その艦隊防空を担う誘導ミサイルシステムについては、すでに第二次世界大戦中から(なんとレイテ沖海戦のあたりから)研究されていましたが、当時のシステムの重量や容積を考慮すると、その搭載プラットホームとしては駆逐艦は不向きで、量産されていた巡洋艦に白羽の矢が立つことは自然な流れだったといえるでしょう。

 

「ボストン級」ミサイル巡洋艦(就役期間:1955-1970年:同型艦2隻)

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(上はミサイル巡洋艦に改装された「ボストン」の概観 by Argos?:モデル未入手。Hansaのモデルは時々見かけますが、あまりArgosの同級のモデルは見たことがありません。しかし下のHansa製のモデルと比較すると圧倒的に再現性が優れています。しかし一方で、多分、価格は3倍以上?うーん、悩ましい。写真はいずれも、いつもモデル探索でお世話になっているsammelhafen.de掲載のものを拝借しています)

同級は大戦期に17隻が就役した「ボルチモア級」とその準同型艦である「オレゴン・シティ級」重巡洋艦をベースとして、これに当時最も開発の進んでいたテリア艦対空ミサイルを搭載したものです。同級の「ボストン」と「キャンベラ」がこの改造を受けました。

「ボストン」と「キャンベラ」は艦首部は重巡洋艦時代の装備をそのまま残し、艦尾部にテリア用の連装ランチャー2基を搭載していました。重巡洋艦改装艦のために余裕があり、連装ランチャーの直下に各72発の弾庫を装備しています。

 

テリアミサイル

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前述のように米海軍はすでにレイテ沖海戦後から対空誘導ミサイルの開発計画を始めていました。テリアシステムは元来駆逐艦等の小型艦に搭載することを目的に開発されましたが、搭載弾数等を考慮すると駆逐艦向けとしてはやや大規模にすぎ、巡洋艦を改装して搭載することになりました。(本稿前回でご紹介したように1956年には「ギアリング級駆逐艦三番艦「ジャイアット」にテリア・ミサイルを搭載した米海軍初のミサイル駆逐艦が就役していますが、弾庫には14発を保有するのみで、明らかに実用性に課題がありました)

テリアミサイルはビームライティング方式の誘導システムでは射程が19km、セミアクティブ・レーダー・ホーミングでは37−75kmの射程を有していました。

ミサイル巡洋艦への改造の第一弾、ということもあってか、当初の計画ではミサイルシステムの運用状況次第では艦首部もミサイル装備に変更したダブル・エンダーへの改造も予定されていましたが、ミサイルシステムの運用は良好だったものの、新造艦の建造、他艦の改装が優先されたため、艦尾部のみのミサイル装備のままとどめおかれました。

1960年代半ばには、両艦が搭載していたテリアミサイルの初期型は陳腐化していたため、ミサイルシステムを撤去して本来の艦砲型巡洋艦に戻り(艦記号もCAGからCAに変更)1970年に退役しました。

ちなみに原型の「ボルチモア級」重巡洋艦はこちら

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(直下の写真は原型の「ボルチモア級」重巡洋艦165mm in 1:1250 by Poseidon

 

同級はワシントン・ロンドン体制終了後に米海軍が建造した重巡洋艦で、条約による制限が無くなったため排水量14000トンの大型艦となりました。

 

「ガルベストン級」ミサイル巡洋艦(就役期間:1958-1979年:同型艦3隻)

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(上の写真は「ガルベストン級」ミサイル巡洋艦の概観:151mm in 1:1250 by Hansa

同級は、1952年度予算で改造が認められた「ボルチモア級」重巡洋艦改造の「ボストン級」ミサイル巡洋艦2隻に続いて、1956年度・1957年度予算で大量に予備役にあった「クリーにランド級軽巡洋艦をベースにミサイル巡洋艦への改装が承認されたもので、当初は9隻の改装が予定されていましたが、新造艦の建造計画との兼ね合いもあって、結局6隻の改装にとどまりました。

この6隻のうちタロスミサイルを搭載したものが「ガルベストン級」ミサイル巡洋艦で、「ガルベストン」「リトルロック」「オクラホマシティ」の3隻が改装を受けました。f:id:fw688i:20230702104946p:image

(「ガルベストン級」ミサイル巡洋艦の主要兵装:艦首部の主砲塔、連装両用砲塔はそのまま(写真上段):艦尾部の既存兵装は全て撤去され、タロスミサイルの管制レーダーと連装発射機が装備されました。発射機下にはミサイル弾庫が設置されています)

タロスミサイルの発射機はは艦尾部に搭載され、艦首部は砲兵装装備のままでした。「ガルベストン」では艦首の3連装主砲塔2基と両用連装砲塔3基はそのまま保持されましたが、「リトルロック」と「オクラホマシティ」ではさらに主砲塔1基と両用砲塔2基が撤去され、艦橋部を拡大し旗艦設備が整備されました。両艦はこの旗艦設備が好評で、「ガルベストン」が1970年に退役したのに対し、1979年まで現役にありました。

タロスミサイル

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前述のように、テリアミサイルが小型艦搭載を狙った中射程距離のミサイルであったのに対し、タロスミサイルは長射程の確保に開発の重点が置かれました。二段式のミサイルで185kmの長大な射程を有していました(軽量型でも92km)。「ガルベストン級」には軽量化されたものが搭載されていました。艦尾部に連装ランチャーを搭載し、その直下の弾庫には46発が装填されていました。

 

プロビデンス級」ミサイル巡洋艦(就役期間:1959-1974年:同型艦3隻)

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(モデル未入手:どうやら3D printing以外のモデルは市販されていないようです

同級は前出の「ガルベストン級」と同様に予備役に大量にあった「クリーブランド級」軽巡洋艦をミサイル巡洋艦に改装したもので、テリアミサイルを搭載しています。「プロビデンス」「スプリングフィールド」「トピカ」の3隻がこの改装を受けました。

改装の要領は前出の「ガルベストン級」と同様で、テリアミサイルは艦尾部に搭載され、連装ランチャーの下には120発を装填した弾庫が設置されていました。艦首部の兵装は三連装主砲塔2基と連装両用砲等3基がそのまま残されました。後にこれも「ガルベストン級」に準じた経緯で「プロビデンス」「スプリングフィールド」の2隻は主砲塔1基と連装両用砲塔2基を撤去し旗艦設備を充実させています。

(下の写真はShapwaysでアップされている「ガルベストン級」モデル(上段)と「プロビデンス級」モデルの対比:主砲塔・連装両用砲塔の撤去と旗艦設備の増設がよくわかります。なるほど旗艦設備を追加した艦橋はこんな形状になったのですね

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ちなみに両級の原型となった「クリーブランド級」軽巡洋艦はこちら

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(直上の写真:「クリーブランド級」の概観。150mm in 1:1250 by Neptun )

同級は、条約失効後に設計された軽巡洋艦です。汎用的な前級「ブルックリン級」「セントルイス級」の対空兵装強化版として設計されました。対空兵装をMk 12 5インチ両用砲の連装砲塔6基にする代わりに、主砲塔を1基減らしています。

戦時の海軍増強のため、計画では52隻が建造される予定でしたが、13隻が同級の改良型である「ファーゴ級」に設計変更され、9隻は「インディペンデンス級」軽空母に転用、3隻が建造中止とされたため、最終的には27隻が就役しました。正確にいうと27隻のうち1隻は就役が戦後となったため第二次世界大戦には参加していません。

第二次世界大戦での喪失艦はありませんでした。

 

原子力ミサイル巡洋艦ロングビーチ」ミサイル巡洋艦(就役期間:1961-1995年:同型艦なし)

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(上の写真は世界初の原子力ミサイル巡洋艦ロングビーチ」の概観:177mm in 1:1250 by Argos: 同社のモデルはかなり精密に作り込まれています。モデルは1963年以降の5インチ砲を追加装備したのちを再現しています。 Argosモデル:次回詳しくご紹介しますが、現用艦船のモデルでは群を抜いています。しかし流通量がそれほど多くなく、その分、中古市場(Ebay等)でも大変高価です<<<これは困った!

第二次世界大戦後、米海軍が初めて設計した巡洋艦で、同型艦はありません。世界初の原子力を推進機関とする水上戦闘艦であり、かつミサイルを主兵装とする初めての戦闘艦でもありました。

空母機動部隊の艦隊防空の必要性から、新世代の水上戦闘艦艇では従来の砲兵装主体からミサイル主体への主兵装の転換は必須であり、システムへの電力供給、ミサイルシステム自体の規模を考慮すると、ある程度の大型艦が必要でした。同艦は「ボルチモア級」重巡洋艦なみの14000トン級の船体に原子炉2基を搭載し、30ノットの速力を発揮する設計でした。

搭載兵装はタロスとテリアの2種を併載して、広範囲な防空圏を構成することができました。艦首部にテリア用の連装ランチャー2基を装備し、それぞれ40発、80発の弾庫を直下に設置しています。タロスは艦尾部に搭載され、連装ランチャー1基とその下に52発装填の弾庫が設置されました。

対潜兵装としては艦中央にアスロック8連装発射機と3連装魚雷発射管が設置されました。f:id:fw688i:20230702105432p:image

原子力ミサイル巡洋艦ロングビーチ」の主要兵装:艦首部のテリアミサイルの連装発射機2基とその管制レーダー(写真上段):同艦の特徴の一つでもある特異な形状の艦橋とアスロック8連装発射機、後日追加装備された5インチ単装砲塔2基(中段):艦尾部のタロスミサイル発射機と管制レーダー。ヘリコプターの発着艦が可能でしたが、格納庫はありませんでした(写真下段))

就役当初は砲兵装を全く持たない同艦でしたが、後に低空目標や水上目標に対する対抗手段として5インチ砲2基を艦中央部に搭載しています。

1961年から95年までの長い就役期間中に数度の兵装変更が行われました。艦首部のテリアミサイルはスタンダードミサイルに更新され、タロスミサイルは1980年代に撤去され、ハープーン対艦ミサイルの発射筒とトマホークの装甲発射ランチャーが設置されています。さらに90年代にはCIWS2基が装備されています。

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(上の写真は、模型のヴァリエーションで見る兵装変更:(上段)就役時の装備に比較的近く、艦首部にテリア、艦中央にアスロック、艦尾にタロスが装備されています。5インチ砲は未装備ですね。(中段)5インチ砲2基が、艦中央部に設置されました。(下段)スタンダードミサイルへの換装に伴い、艦尾のタロスが撤去され、ハープーン対艦ミサイルの発射筒が設置されました。わせてCIWS2基もタロス管制レーダーの装備跡に設置されています:写真はいずれもsammelhafen.de掲載のものを拝借しています)

その後、1970年代末期には新造イージス艦の建造に変えて同艦のイージス艦への改装案も検討されましたが、実現しませんでした。

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(写真はShapewaysにアップされているイージス艦への改造後の「ロングビーチ」を想定したモデル。連装発射機を装備した形状(おそらくイージスシステム導入直後?)とVLSへの換装後、両方、アップされています:作ってみてもいいかも)

 

というわけで、早速製作。

ロングビーチ」;原子力イージス艦改装 第一形態(1985年ごろ?)

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原子力ミサイル巡洋艦ロングビーチ」のイージスシステム館への改装の第一形態の概観:イージスシステムの搭載により上部構造が大きく様変わりし、艦容は一変しています)

ロングビーチ」は1970年代末に実際にイージスシステム艦への改装が検討されていました。その際のコンセプト図が残っていて、今回のモデルはそれに大変忠実だと言うことがわかると思います。

ロングビーチ」はご承知の通り原子力推進で、余裕のある電力等はイージスシステムを搭載するにはうってつけと見られたかもしれません。同様に他の原子力ミサイル巡洋艦もあクァせて検討俎上に上がったようですが、それぞれシステム搭載スペースを捻り出すには大規模な改装が必要で、いずれも見送られています。

ロングビーチ」も同様で、今回のモデルを見ていただければ一目瞭然ですが、上部構造は原型をとどめないほどの改装を受ける必要がありました。f:id:fw688i:20230806151014p:image

(巨大な上部構造:イージスシステムの搭載と対潜哨戒ヘリの運用施設:四隅にはパッシブ・フューズドアレイアンテナが)

艦橋部には巨大なシステムが搭載され、上部構造物の四すみにはパッシブ・フューズドアレイ・アンテナが設置されています。上部構造物の頂点には大きなトラス構造のマストが聳え、その前後にミサイルの最終誘導用のイルミネーターが4基搭載されています。

同艦の兵装は、対空兵装としてスタンダード対空ミサイル用にMk.26連装ランチャーを艦首、艦尾に配置しています。長い船体を生かしてランチャー下には大きな弾庫が設定されています対艦・対地上兵装としては、Mk.45 5インチ単装両用砲、ハープーン対艦ミサイル、トマホーク巡航ミサイルを搭載しています。対潜兵装としては、その主軸は搭載する長距離ソナーと対潜哨戒ヘリにおかれアスロックは廃止されています。他に短魚雷三連装発射管は通常は館内に収納されていました。個艦防御用として2基のCIWSを搭載しています。f:id:fw688i:20230806151005p:image

(写真は主要兵装のアップ:(上段写真)58口径5インチ単装砲(Mk.45)が艦種部に設置され、Mk.26連装ミサイルランチャーがその後に続きます。さらに対艦用の主要兵装として、ハープーン4連装発射筒が4基搭載され、艦橋前には個艦防御用にCIWSが設置されました(オリジナルのモデルにもコンセプト図にもなかったのですが、追加してみました)。:(写真下段)上構造物の後部、ヘリハンガー上にもCIWSは装備されています。対潜哨戒ヘリ2機を運用できるハンガーと発着甲板を経て、後部のMk.26連装ミサイルランチャー、艦尾にはトマホーク用装甲ボックスランチャー2基が搭載されています)

 

Mk.45 5インチ両用砲

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米海軍が広く導入したMk.42 5インチ単装両用砲は毎分40発という高い射撃速度を誇りミサイル装備に主軸が移るまでは対空兵装のカナメとも言うべきものでした。しかし一方で早い射撃速度を実現するために揚弾機構を二重にするなど重く(61トン)、かつ操作に人数を要するものでした(12−16名)。

対空戦闘の主軸がミサイルに移ると、射撃速度への要請の比重は低くなり、揚弾機構を減らすなど軽量化、砲塔の無人化。自動化が進められました。こうして生まれたのがMk.45 5インチ砲でした。

重量は24トンまで軽減され、無人化によりステルス性を意識した砲塔デザインが可能となりました。操作員も6名まで軽減されています。一方で発射速度は毎分20発程度まで下がりましたが、主砲の標的が対空目標から地上目標、水上目標に移っているため、大きな問題にはなりませんでした。

 

模型的な視点から

模型的には、かなり大幅に手を入れています。まあ、Amature Wargame Figuresのモデルは概ねそのように扱っていますので、特にこのモデルの何か課題があると言うわけではありません(前出の3Dモデル関連の投稿を見ていただくと、その辺りはよくわかっていただけるかも)。

モデルからオリジナルの兵装とマストを切除し、全て筆者のストックパーツに置き換えてあります。今回使用したパーツはほとんどがHobbyBoss製の「スプルーアンス級駆逐艦、「タイコンデロガ級イージス艦のもので、特に一番気になっていたマストは「スプルーアンス級」のトラス構造のマストを流用しています。ランチャー下には大きな弾庫を抱えている、と前述していますが、Mk.26連装ランチャーをもう1基艦首部に追加しようかな、などと考えはしたのですが、モデルとしては少しうるさくなるかなと、即応性への対応はVLSへの換装を待った、と言うことで、原型と同じく2基のランチャー搭載としました。(唯一、艦尾部のトマホーク用の装甲ボックスランチャーのみ、適当なパーツがないので、プラロッドを切ってそれらしく作ってあります。

 

タイコンデロガ級」初期タイプとの比較

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(「ロングビーチ」は大きなセンタを生かし、大きなミサイル弾庫を確保することができました)

 

ロングビーチ」;原子力イージス艦改装 第二形態:VLSへの換装(1998年ごろ?)

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原子力ミサイル巡洋艦ロングビーチ」のイージスシステム館への改装の第二形態の概観:VLSへの換装で、艦容は水分すっきりしてしまいました)

第二形態は、Mk.26連装ランチャーからVLSへと換装された形態を表しています。第一形態で記述したイージスシステムの複数目標への即応性への対応力強化のために、2基のMk.26はVLSへ換装された、と言う想定のモデルです。Mk.41 VLS(48セル)を5基搭載しています。マストは頑丈なトラスタイプのものからステルス性を意識したレーダー反射の低い塔構造のものに改められました。VLSは対空・対艦・対地上全ての搭載ミサイルに対応しているため、非常にすっきりした外観になっています。f:id:fw688i:20230806151615p:image

(写真は主要兵装のアップ:Mk.41 VLS (48セル)を艦首部に3基、艦尾部に2基、装備しています。固有の対潜哨戒ヘリを2機搭載しています)

タイコンデロガ級VLS搭載タイプとの比較

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(「ロングビーチ」は長い船体を生かし、48セルのVLSを5セット装備し、高い即応性を発揮できたはず)

ロングビーチ」三形態比較

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(「ロングビーチ」三形態の変遷:上から実艦、改装案第一形態、改装案第二形態:やはり巨大な上部構造が・・・)

 

想像の羽を伸ばすのはここまで。史実では結局、1995年に退役、2002年には原子炉の破棄も完了し、2012年にスクラップにされました。

 

オールバニー級」ミサイル巡洋艦(就役期間:1962-1980年:同型艦3隻)

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(上の写真は「オールバニ級」ミサイル巡洋艦の概観:167mm in 1:1250 by Trident

それまでの巡洋艦改造のミサイル巡洋艦はいずれも砲兵装を残し単独のミサイルシステムを搭載した、いかにも試験的な改造艦だったのですが、新造艦「ロングビーチ」は二つの制空域を持つ対空ミサイルを搭載し、更に対潜戦闘も意識した設計とした、万能艦を目指したものでした。この設計思想を受け継いだ「オールバニー級」は、余裕のある「ボルチモア級」の船体が改装の母体として選択され、この大型の船体から全ての砲兵装、を撤去、長射程のタロスミサイルをダブル・エンダーに搭載し、さらに中射程のターターミサイルをも両舷に搭載。加えてアスロックの8連装発射機、対潜短魚雷発射管も搭載した「ロングビーチ」にも劣らない兵装を持った万能艦に改装されました。f:id:fw688i:20230702105819p:image

(上の写真は「オールバニ級」ミサイル巡洋艦の主要兵装:艦首部のタロスミサイル発射機と管制レーダー(写真上段):同級のダサイの特徴である巨大で特異な形状の艦橋と、艦橋脇に設置されたターターミサイル連装発射機、そしてマックの間に設置されたアスロック発射機。煙突は干渉波を避けるためにマック化されました。これも同級の特徴の一つかと。後部マック横には、5インチ単装砲が据えられています(写真中段):艦尾部のタロス連装発射機と管制レーダー(写真下段)。「ロングビーチ」に準じて、同級もヘリの発着は可能でした(格納庫はなし)) :テリアミサイルの連装発射機2基とその管制レーダー(写真上段):同艦の特徴の一つでもある特異な形状の艦橋とアスロック8連装発射機、後日追加装備された5インチ単装砲塔2基(中段):艦尾部のタロスミサイル発射機と管制レーダー。ヘリコプターの発着艦が可能でしたが、格納庫はありませんでした(写真下段))

上部構造物も徹底的に手が加えられ、特に艦橋は完成レーダーへの干渉を抑える特異な形状となりました。

ロングビーチ」では完成後の増設となった砲兵装も、最初から組み入れられ、5インチ単装砲2基が搭載されています。

オールバニ」「シカゴ」「コロンバス」の3隻がこの改装を受けました。

各艦ともに旗艦を務めるなど活躍し、60年代後半にはシステムのデジタル化などの更新を受けましたが、1975年から80年にかけて退役しています。

60年代には同級と同じクラスの改装をさらに進める計画が検討されましたが、搭載システムの進歩でさらに小型艦でもミサイルシステムを搭載できるようになると、計画は中止となり、いわゆる巡洋艦クラスの改装、新造は行われませんでした。

ということで、ここでいわゆる巡洋艦由来の艦隊防空艦の系譜は途切れることになるのです。

今回はここまで。

 

少し予告めいた言い回しにはなりますが、以降、艦隊防空の任務は駆逐艦クラスの艦級に受け継がれてゆくことになりますが、一旦は小型艦へと移行したものの、再び搭載システムの大型化の動きにあわせて、この駆逐艦発端の系譜もまた、大型化して、現在の「タイコンデロガ級」へと辿り着くのでした。こちらの系譜は次回の投稿でご紹介したいと思っています。

 

もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

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