相州の、1:1250 Scale の艦船模型ブログ 主力艦の変遷を追って

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

GW突入:ピカード もそろそろ終盤、そして時事ネタを少し:ソ連・ロシア海軍のミサイル巡洋艦

GWが始まりました。お仕事にもよると思いますが、工夫すれば「10連休だよ」と言う方もいらっしゃるのではないかと。筆者は、なかなかそうもいかず、前半、後半といわゆる「カレンダー通りです」と言うようなお休みの状況です。(それでもゆっくりできるので、やはり嬉しいですね)

録り溜めている映画の一気見や、読めていない本の整理、庭の手入れ、そしてもちろん模型の手入れと整理など、やること山積みです。それにしても3年ぶりの「制限のない」GWです。今朝もショッピング・モールに買い物に行って来たのですが、駐車場は行列、フードコートも人がいっぱいで、少しコロナ前の日常が戻っているのかな、と言う感触でした。それでも全員がもれなくマスクをしている、そこだけが厳しい日常が続いていることを示している、そんな情景でした。

コロナ前に戻るのはまず短期間では不可能でしょうから、とりあえずはこれが新たな「平常」になっていけばいいなあ、などと思っているのですが、昨夜のニュース番組では「GWは最後の宴」と言う観測もあるようで、これから顕著になるであろう物価上昇と消費マインドの冷え込みを警戒する声を報道していましたし、人の動きの活発化で次の感染拡大も懸念されています。これに慣れていくしかないのでしょうが、せめて気持ちだけは不安要素に負けて萎縮しないように、と思う今日この頃です。

 

と言うわけでもないのですが、その不安要素の一つである「ウクライナ情勢」から、このブログに多少なりとも関心を持ってくださっているような方々ならきっと「おお」と思われただろう大きなニュースが飛び込んできました。

そう「モスクワ」の撃沈です。

今回はそれにちなんでロシア海軍のミサイル巡洋艦「モスクワ」のご紹介を。そこから少し脱線していこう、そう言うお話しです。

 

・・・と言うことなのですが、本論のその前に、例によって。

スター・トレック ピカード  シーズン2」Episord 9

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(ネタバレの禁忌は大いに冒してしまったので、もう気にしません。ネタバレ、あります、きっと)

***(ネタバレ嫌な人の自己責任撤退ラインはここ:ネタバレ回避したい人は、次の青い大文字見出しに「engage!」)***

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Star Trek: Picard - Engage! - Episode 3 finale - YouTube

 

大きな展開がありましたね。

このエピソードでの展開を、ジュラティの参画による「共感」を目指す同化能力のある「良きボーグ」の誕生と見るのか、ボーグの「秩序」の新たな混乱の始まりと見るのか、「ボーグ」の話の続きが気になりますが、それはピカード の話ではない、と言うことなのでしょうか?いずれにせよ宇宙に居場所のない「ボーグ」にとって新たな生存への彷徨が始まった、そう言うことなんでしょうね。

誕生したばかりの「良きボーグ」の棲む世界。このシリーズはしばしば並行宇宙の存在が事も無げに語られるので、これもまたその一つなのでしょうか?

では、ピカード は何を守るのか?スン博士がまともに暮らして(スン博士の「まとも」と言う言葉自体が大きな矛盾を孕んでいて、なんか面白い)データが世に現れる世界を取り戻すのかな。

しかし一方で、彼らは船を失ってしまいました。ええ、戻れないじゃん!

と言うことはもうひと展開ある、そういうことでしょうか?

 

ああ、何か凄いことが起きたはずなんだけど、この混乱はなんなんだろう。「だから「Q」が出てくると嫌なんだよ」と「Q」のせいにしてみてもスッキリしません(あれ、そう言えば「Q」は今回は登場しなかった?)。

本当にあと一回で終わるのでしょうか?まさかの「夢堕ち」、なんてことは、流石にないと思うので、(ちょっと怖いのは、「Q」がパチンと指を鳴らして「ほら、元通り。楽しんでくれたかな?」なんて展開なんですが) 次回とシーズン3に期待しましょうかね。

 

今回示された4つの共感(相互理解と共感、かな?)、ピカード とタリンの労わり(一方的にピカード がもらっている感じでしたが)、セブンとラフィの信頼、リオスとテレサの・・・これは単に恋に落ちただけか(リオスは戻れなくても良さそう)、そしてもちろんボーグ・クイーンとジュラティの「同化(と、あえてこの言葉を使っておきましょう)」。パズルのピースは嵌まりつつあるのです。でもわからないのは、全体になんの絵が描かれているのか。その鍵はやはり「Q」なのかな?

 

繰り返しますがあと一回で終わるとはとても思えない。急がないでほしい、これはみんなが思っていることでは?

次回を待ちましょう。

 

 

さて、ここからが今回のお題です。

ミサイル巡洋艦「モスクワ」の撃沈

皆さんご存知のように4月14日、ロシア国防省がミサイル巡洋艦「モスクワ」が沈没したと発表しました。当初はどうやら艦内の火災発生のために退去命令が出た、と言うような発表だったようですが、ウクライナ大統領府がウクライナ軍の放った対艦巡航ミサイルネプチューン」による戦果と発表し、これを受けて沈没を追認した、と言う少しドタバタした形となりました。

ウクライナ侵攻作戦の途上で、ウクライナ軍のネプチューンミサイル二発を被弾し炎上、弾薬庫が誘爆し大火災となり沈没した、と言うことのようです

ネプチューンミサイルは旧ソ連製の巡航ミサイルシステムをベースに、これをウクライナ軍が改良した地対艦ミサイルで、最大射程300キロメートルと発表されています。

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「モスクワ」は旧ソ連海軍が1970年代に建造した「スラヴァ級」ミサイル巡洋艦の一番艦です。同級は1982年から順次就役を開始しましたが、ソ連の崩壊後(1988年−91年)、1−3番艦はロシア海軍が、建造途上だった4番艦はウクライナ海軍が引き継ぎました。

 

ミサイル巡洋艦ウクライナ」(ウクライナ海軍が継承)は、1984年着工にも関わらず、いまだに未完成

ちなみにウクライナ海軍が引き継いだ上述の4番艦は、起工時には「コソモレーツ(共産党青年団員)」と言う名前でしたがその後「アドミラル・フロタ・ロポフ」と改名、1988年に進水しましたがその後のソ連崩壊の混乱で1993年に工事が中止されています。ウクライナ海軍による継承が決定されたのち、再び艦名を「ウクライナ」と変更し、2001年就役を目指して工事が再開されたのですが、財政難で完成に至らず、その後2013年に未成のままでのロシアへの売却の話が出て来ました。しかしこの話も2014年の「クリミア危機=ロシアによるクリミアの併合」により頓挫。ウクライナ海軍は売却先を見出せないまま、今日に至っている、と言う曰く付きの艦です。

 

スラヴァ級」ミサイル巡洋艦ソ連ロシア海軍の正式呼称「1164級」ミサイル巡洋艦:1982年から就役:同型艦4隻(うち1隻は未完成))

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(「1164級:スラヴァ級」ミサイル巡洋艦の概観:148mm in 1:1250 by Decapod Model: 艦橋部分から前方に装備された対艦ミサイルが本級の最大の特徴と言っていいでしょう)

スラヴァ級」ミサイル巡洋艦ソ連海軍が「キンダ級」(1962年1番艦就役)、「クレスタI級」(1967年1番艦就役)、「クレスタII級」(1969年1番艦就役)、「カーラ級」(1971年1番艦就役)と続いた、対空・対潜戦闘能力に重点を置いた従来のミサイル巡洋艦の設計を一新して、水上艦攻撃を重視して設計した巡洋艦です。ロシア海軍では、次級の「キーロフ級」を原子力を推進機関として搭載した「重原子力ミサイル巡洋艦」と分類しているため、現時点ではソ連ロシア海軍の建造した最後の巡洋艦となっています。併せてそれ以前の巡洋艦の艦級が全て退役、あるいは他国に売却されているため、唯一の現役巡洋艦の艦級となっています。

前述のようにロシア海軍には同型艦4隻中3隻が就役しており、1番艦は当初ネームシップの「スラヴァ」と命名されていましたが、後に「モスクワ」に改名され黒海艦隊旗艦となりました。2番艦「マーシャル・ウスチーノフ」(当初「アドミラル・フロタ・ロポフ」から1988年に改名)は北方艦隊に所属、3番艦「ヴァリャーク」(当初「チェルボナ・ウクライナ」から1995年に改名)は太平洋艦隊旗艦を務めています。

10000トン級の船体にガスタービンを主機として搭載し32ノットの速力を出すことができます。

その外観的な特徴は、なんと言っても艦橋より前方に搭載された巨大なP-1000対艦ミサイルの連装ランチャーで、8基16発を搭載しています。この対艦ミサイルは1000kmと言う長大な射程を誇っています。(ちなみにハープーンは300km程度)

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他の武装としては、艦隊防空ミサイルとしてS-300Fを八連装リボルバー式の垂直発射装置VLS)8基に搭載しています。

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加えて個艦防空兵装として、130mm連装速射砲1基、4K-33短SAMの連装発射機を2基、A K-630M30mmCIWSを6基搭載し、緊密な防空域を構成することができます。

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これに反して対潜装備はやや手薄で 対潜ミサイルの類は搭載せず、RBU-6000対潜ロケット砲2基、5連装魚雷発射菅2基を装備しています。

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さらに哨戒ヘリ一機を搭載する能力を有しています。f:id:fw688i:20220501141506p:image

(「1163級」の主要兵装の配置:艦首部にAK-130:130mm連装速射砲, RBU-6000対潜ロケットランチャー, P-1000の連装ランチャー、艦中央少し後ろ目にS-300F:対空ミサイルの八連装リボルバー式の垂直発射装置8基、ヘリ格納庫両脇に4K-33短SAMの連装発射機を2基、そしてヘリ発着甲板を備えていました)

以上のように強力な対艦攻撃能力及び艦隊防空能力を兼ね備えた重装備艦と言っていいのですが、既に一番艦の就役後40年を経過しています。2015年以降、レーダーの換装等を中心とした近代化改装が行われ、艦の寿命を10年から15年程度延長する予定でしたが、2022年に「マーシャル・ウスチーノフ」に行なわれたのみです。今回の「モスクワ」の沈没にも設計の古さからくる脆弱さとシステムの対応力不足があったともいわれていますが、ロシア海軍の基幹戦力であることには間違いなく、これから残りの2隻の去就にはますます注目が集まりそうです。

 

ソ連ロシア海軍のミサイル巡洋艦の系譜

この機会にソ連ロシア海軍のミサイル巡洋艦の開発を少しまとめておきましょう。

ソ連ロシア海軍は1960年代から巡洋艦の主要兵装をそれまでの火砲から誘導ミサイルに置き換えてゆきます。これは当初、巡洋艦等の大型水上艦艇による、明らかに圧倒的に整備の進んだ米海軍の空母機動部隊への対抗を意識したもので、射程の長い対艦ミサイルによる水上艦艇に対する打撃力の保持と、同時に米機動部隊艦載機からの艦隊防空の確立を目指した「58級:キンダ級」の設計となって現れます。

しかしその後は一転して対潜水艦戦と防空重点を置いた兵装へと重点が移り、過渡的な存在としての「1134級:クレスタI級」、一応の完成形としての「1134級:クレスタI級」、その発展形としての「1134B級:カーラ級」へと続いてゆきます。

その各艦級の就役年代は以下の通りでした。

「58級:キンダ級」(1962年1番艦就役:同型艦4隻)

「1134級:クレスタI級」(1967年1番艦就役:同型艦4隻)

「1134A級:クレスタII級」(1969年1番艦就役:同型艦10隻)

「1134B級:カーラ級」(1971年1番艦就役:同型艦7隻)

 

「キンダ級」ミサイル巡洋艦ソ連ロシア海軍の正式呼称「58級」ミサイル巡洋艦:1962年1番艦就役:同型艦4隻)

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(「58級:キンダ級」ミサイル巡洋艦の概観:112mm in 1:1250 by Delphin: 艦首部、艦尾部に配置された大きな対艦ミサイルの四連装発射機が特徴です。モデルは就役時の姿を再現しているようで、30mmCIWSはまだ搭載していません)

ソ連ロシア海軍のミサイル巡洋艦は本級から始まります。米機動部隊への対抗が本級建造の目的の一つでもあったため、従来の巡洋艦とは一線を画する長射程のミサイル兵器を主要兵器としています。SM-70四連装発射機を2基装備し、次発装填機構も搭載し250kmの射程を持つ対艦ミサイルP-35、16発の発射が可能でした。f:id:fw688i:20220501141821p:image

(「58級」の主要装備:写真上段:艦首からRBU-3000対潜ロケット、ZIF-101対空ミサイル連装発射機、SM-70 四連装発射機の順:艦尾部には艦尾からヘリ発着ポート(ただし格納庫なし)、76mm連装速射砲2基、SM-70四連装発射機の順)

来襲する敵航空機や敵性ミサイルに対しては、ZIF-101連装ミサイル発射機2基を装備し16発の対空ミサイルの発射が可能でした。

砲兵装としては、自艦防衛のための76mm連装速射砲2基を装備していました。後に近代化改装の際に30mmCIWSが4基、追加装備されました。加えて対潜装備としてRBU-3000対潜ロケット投射機2基と三連装魚雷発射管2基を搭載していました。

船体は4700トン級で、蒸気タービンを主機として34ノットの速力を発揮することができました。

艦尾にヘリコプターの発着艦甲板を設置していましたが、格納設備は有していませんでした。

旧式化のために1990年代から順次退役し、2002年までに4隻全てが除籍されています。

 

 

「クレスタI級」ミサイル巡洋艦ソ連ロシア海軍の正式呼「1134級」ミサイル巡洋艦:1967年1番艦就役:同型艦4隻)

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(「1134級:クレスタI級」ミサイル巡洋艦の概観:122mm in 1:1250 by Delphin: モデルは就役時の姿を再現したもののようで、30mmCIWSを未搭載です

前級の「キンダ級:58級」が対艦攻撃力を重視した設計だったのに対し、対潜能力の充実に重きを置いて開発されたのは同級です。同級の設計は基本的には前級「58級」の拡大型であり、前級では装備できなかった艦尾のヘリコプター格納庫も装備し、対潜能力を向上しています。

設計時点では新設計の対空ミサイルと対潜ミサイルを搭載する予定でしたが、ミサイルの開発が間に合わず、対潜ミサイルの搭載は見送られ前級と同様の対艦ミサイルを装備していました。対空ミサイルは前級と同じものを搭載数を16発から32発に増やし、艦隊防空能力を高めています。

対艦ミサイルは搭載数を減らし連装発射機を艦の両舷に装備しています。

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(「1134級」の主要装備:写真上段:艦首からRBU-6000対潜ロケット、ZIF-102対空ミサイル連装発射機、対艦ミサイル連装発射機の順:艦尾部には艦尾からヘリ発着ポートと格納庫、格納庫脇にRBU-1000対潜ロケット、ZIF-102対空ミサイル連装発射機、57mm連装速射砲2基、5連装魚雷発射管の順)

個艦防空には57mm連装速射砲2基が当てられ、後の近代化改装の際に30mmCIWS4基が追加搭載されました。対潜装備は、本来、同級の目玉兵器となる予定だった新開発の対潜ミサイルが間に合わずこの搭載を見送った代わりに、RBU-6000 12連装対潜ロケット投射機2基とRBU-1000 6連装対戦ロケット投射機2基を搭載し、これに5連装魚雷発射管を加えてかろうじて充実を図っています。

5500トン級の船体を持ち、蒸気タービンを主機として32ノットの速力を発揮することができました。

設計案では10隻が建造される予定でしたが、上述のように新型の対空ミサイル、対潜ミサイルの開発の遅れから4隻で打ち切られ、新型ミサイルを搭載した次級「1134A」級(クレスタII級)へと建造の重点が移されました。1994年までに同型艦の全てが退役しています。

 

「クレスタII級」ミサイル巡洋艦ソ連ロシア海軍の正式呼称「1134A級」ミサイル巡洋艦:1969年1番艦就役:同型艦10隻)

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(「1134A級:クレスタII級」ミサイル巡洋艦の概観:124mm in 1:1250 by Delphin:  同級は「1134級」の武装更新版として設計されたため、基本的なレイアウトは「1134級」に酷似しています)

上述の「1134級」の紹介で触れたように、「1134級」は本来前級「53級」が対艦兵器と対空兵器に重点を置いた設計であったのに対し、対潜兵装に重点を置いた設計となるはずで、そのため新開発の対空ミサイル・対潜ミサイルを搭載する予定でした。しかし、これらの兵器の開発に遅れが生じたため「1134級」は従来の艦載兵器で就役せざるを得なかったのですが、この為10隻の建造計画を4隻で打ち切り、これらの新開発兵器を搭載した「1134A級」の建造へと計画は更新されました。これが「クレスタII級:1134A級」です。

ですので船体等の設計は、基本的に「1134級」のものをやや改良・拡張した形で踏襲しています。

兵装面では「1134級」の主要兵器(計画に反し結果的にそうなってしまった感は否めませんが)であった対艦ミサイルの連装発射機をおろし新開発のKT-100四連装対潜ミサイル発射機を2基搭載しました。

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このミサイルシステムは、基本的に西側諸国の主要な対潜兵器であったアスロックと同じ設計思想で、対潜魚雷をロケットで遠くに投射する形式でしたが、アスロックの射程が9kmほどであったのに対し55kmと長射程を有していました。後にこの射程は85RUでは90kmまで拡張され、あわせて対艦攻撃能力も付与されています。f:id:fw688i:20220501142734p:image

(「1134A級」の主要装備:写真上段:艦首からRBU-6000対潜ロケット、新開発のB-187対空ミサイル連装発射機、新開発のKT-100四連装対潜ミサイル発射機の順:写真中段では30mmCIWS、五連装魚雷発射管、57mm連装速射砲:写真下段では艦尾方向から順にヘリ発着ポート、ヘリ格納庫、格納庫脇にRBU-1000対潜ロケット、B-187対空ミサイル連装発射機がそれぞれ見えています)

対空ミサイルシステムも新開発のB-187が搭載され防空域が拡大されています(M-1の最大射程22kmからM-11の最大射程55kmへ)。

他の兵装については建造当初から30mmCIWS 4基を搭載していることを除いては「1134級」のものを踏襲しています。

(下の写真は、「1134級」(左列)と「1134A級」の比較:このモデル比較では判別できませんが連装対空ミサイル発射機は新型に更新されています。さらに艦橋脇の対艦ミサイル連装発射機は対潜ミサイル四連装発射機に変更されています(写真上段):ヘリの格納庫重心位置への配慮から、エレベーターで半甲板分下げた位置にヘリを格納し整備するよう設置されています(写真下段))

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同型艦10隻が就役しましたが、全て1991年から93年の間に退役しています。

 

「カーラ級」ミサイル巡洋艦ソ連ロシア海軍の正式呼称「1134B級」ミサイル巡洋艦:1971年1番艦就役:同型艦7隻)

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(「1134B級:カーラ級」ミサイル巡洋艦の概観:138mm in 1:1250 by Delphin: 本級は「1134級」の拡大改良版として設計されたため。基本的なレイアウトは「1134級」に準じています

同級は「1134A級」の設計をほぼ踏襲し、機関を蒸気タービンからガスタービンに変更したもので、旧ソ連海軍の巡洋艦としては初のガスタービン艦となりました。船体が「1134A級」の5500トン級から7000トンに拡大し、主要兵装はほぼ「1134A級」のまま、ただし対空ミサイルの搭載弾数が増やされ自動化が進められました。個艦防衛用として速射砲口径が76mmに強化され連装砲2基を搭載しています。合わせて「1134A級」に搭載されていた30mmCIWS4基に加え、短SAMの連装発射機2基が追加され、個艦防空能力も強化されています。f:id:fw688i:20220501143106p:image

(「1134B級」の主要装備:写真上段:艦首からRBU-6000対潜ロケット、B-187対空ミサイル連装発射機、KT-100四連装対潜ミサイル発射機の順:写真中段では76mm連装速射砲、30mmCIWS:写真下段では艦尾方向から順にヘリ発着ポート、ヘリ格納庫、格納庫脇にRBU-1000対潜ロケット、B-187対空ミサイル連装発射機、五連装魚雷発射管がそれぞれ見えています)

同級の設計は今回の冒頭に紹介した「1164級:スラヴァ級」の設計のベースともなっています。

1970年代に7隻が就役しましたが、2000年までに5隻が退役、最後の1隻(黒海艦隊所属の「ケルチ」も2020年に退役し、全て姿を消しています。

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(上の写真はソ連ロシア海軍ミサイル巡洋艦の系譜の一覧:手前から「58級:キンダ級」「1134級:クレスタI級」「1134A級:クレスタII級」「1134B級:カーラ級」「1164級:スラヴァ級」の順)

 

ウクライナ海軍について

今回はロシア海軍ミサイル巡洋艦「モスクワ」のウクライナ紛争での喪失のニュースから始まり、ソ連ロシア海軍のミサイル巡洋艦の開発について見てきたわけですが、紛争のもう一方の当事者であるウクライナの海軍事情についても、少しだけ触れておきましょう。

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旧ソ連黒海艦隊をベースとして発足

ソ連崩壊後、旧ソ連黒海艦隊はロシアとウクライナに二分されることが決まりました。

そのため多くの艦艇を保有してスタートした同海軍でしたが、財政難から保有艦艇の削減に動かざるを得ませんでした。

さらに悪天候で多くの艦艇が損傷するなどの状況も重なり、この削減に拍車がかかります。

本稿でもふれたように、ミサイル巡洋艦ウクライナ」は未成のままで工事が見送られ他国への売却が計画されていますし、これも未成で旧ソ連海軍から引き継いだ「グズネツォフ級」航空母艦の2番艦である「ヴァリャーグ」も完成しないまま廃艦となり、後に中国海軍に売却されました(中国海軍「遼寧」として完成されました)。

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クリミア危機での事実上の消滅

2014年のロシアのクリミア侵攻に付随して、クリミア半島セヴァストポリに拠点を置いていたウクライナ海軍はロシア軍の地上部隊、の侵攻を受け、その保有艦艇のほとんどをロシア軍に接収され、事実上、消滅してしまいました。

現有の主要艦艇としては、たまたま侵攻時に地中海にいたフリゲート艦「ヘーチマン・サハイダーチヌイ」(旧「クリヴァクIII級」フリゲート)やコルベットヴィーンヌィツャ」(旧「グリシャ級」コルベット)、ミサイル艇「プルィルークィ」(旧「マトカ級」水中翼型ミサイル艇)等が挙げられます。

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(ウクライナ海軍フリゲート艦「ヘーチマン・サハイダーチヌイ」(旧「クリヴァクIII級」フリゲート)の概観:102mm in 1:1250 by Delphinl)

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ということで、今回は珍しく(本稿初?)時事ネタを元にしたお話し、でした。

次回はおそらく「ピカード 最終回」のお話が中心になるんじゃないかな?

 

もちろん、もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

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