相州の、ほぼ週刊、1:1250 Scale 艦船模型ブログ

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

スター・トレック ピカード エンゲージ!

またまた予告をあっさり裏切って・・・。

 

いよいよ、首を長〜くして待っていた(・・・えっ、私だけ?)「スター・トレック ピカード」がAmazon Primeで配信開始、です。金曜日が来るのが、いつもに増して、一層、楽しみになりそうです。艦船模型とは全く関係ないけど、今回はそんな話です。

f:id:fw688i:20200126184702g:plain

実は我が家の二台の車のナンバーは、代々、いずれも「1701」です。これで、私がどれほど楽しみに待っていたか、どうかお察しを。これでピンと来ない方は、それほど大した話ではないので、引っかからずに読み飛ばしてください。

スター・トレックの話をすると、「最も好きなシリーズは?」という質問をよく受けます。「1701」は出てきませんが、実は「DS9」です。クワークが大好きです。

金儲けの秘訣 | Memory Alpha | Fandom

もちろん「敢えて一つを選べと言われたら」という条件付きではありますが。

・・・とここまで書いて、艦船模型とは関係ない、と言いながら、「艦番号」の話になってきつつあります。やっぱりどこかで関連してるのかも。

 

「実は、」という話をもう一つ。

今回の新シリーズに先立ち、こちらはNetflixで配信された「スター・トレック ディスカバリー」は、実は、ちょっと馴染めませんでした。少し悲しい。

なんだろう、と考えると、その理由は多分、二つほど。

一つは、クリンゴンの特殊メイクと、何もあそこまでクリンゴン語を突き詰めなくてもよかったんじゃないか、と。

最初のクリンゴンの特殊メイクの変遷は、私の大好きなDS9の本編エピソード中でも、クリンゴン人であるウォーフが周りから「なんか、お前たち変わりすぎじゃないの?」的ないじられ方をするほど、オリジナルとその後のシリーズで特殊メイク技術の差異がはっきり出ていたのですが(優生ウィルスによる遺伝子改造、とかなんとか、よく解ったような解らないような、解説があったように記憶します)、時代がオリジナルシリーズ以前に遡ったにも関わらず、一層クリンゴン化(と言うか、非人類化)が進行しているようで、どうなっちゃたの、と言う感じです

f:id:fw688i:20200126193048j:image

クリンゴン人の容姿変遷:上段;ディスカバリー時代、下段左;オリジナルシリーズ時代、下段右;ネクスト・ジェネレーション以降の姿。 優生ウイルスの影響で、「人類化」し、その後、その影響が消えつつある、と言うことでしょうか???

 

もう一つは、これは歴史的な流れなので仕方がない、と言うことなのかもしれませんが、「連邦」の価値観(「宇宙艦隊」の価値観、と言うべきかも)が、ディスカバリーの時代には、ちょっとギラギラしすぎているような気がするところでしょうか?

これは、その後の様々な経験を経て洗練されていくのだ、と思えば、違和感とは言えず、単に「あまり好きな時代ではない」と言うだけかもしれません。

 

第一話では、クリンゴンは表立っては出てきませんでしたが、主人公はあの洗練された艦隊士官をそのまま具現化したようなピカードですので、二番目の点は、安心です。

www.youtube.com

この先、気をつけるつもりではありますが、ちょっとネタバレしちゃうかも、ですので、ここから先は自己責任で。

 

実はこのシリーズについては、あまり予備情報を持っていません。

予告編をいくつか観たのと、第一話を観た限りでは、ピカードが艦隊を離れるきっかけとなった事件を発端として、データへの回顧と深い愛情を縦糸に、懐かしいメンバーとの再会や思い出を横糸に張り巡らせて、やがては事件の背後の(或いはそこから生じた)謎の解明と、もしかすると素晴らしい奇跡へと導いてくれる美しい物語を期待してしまったのでした。

Something wonderful の予感満載の第一話。

 

一点、気になることといえば、ロミュランが出てくるのですが、特殊メイクが少しこれまでよりも濃厚なような。耳の感じって、ヴァルカン人と同じじゃなかったっけ?(気にしすぎ?)

 

ともかく、金曜日が待ち遠しい。

もちろん、主演のパトリック・スチュアートは素晴らしい。ピカードそのもの、です。

 

アイリッシュマン 観ましたか? 

もう一つ、こちらはNetflixで公開されている「アイリッシュマン」。 

www.youtube.co

ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシ出演、マーティン・スコセッシ監督で贈る大作『アイリッシュマン』。20世紀の名立たる悪人たちと関係していた元軍人の暗殺者フランク・シーラン。彼の視点から描かれるのは、今なお未解決とされる労働組合指導者ジミー・ホッファの失踪事件。巨大な組織犯罪と、その背後でうごめく権力争いや政権との繋がり…。第二次世界大戦後のアメリカの闇の歴史を、数十年にわたって紐解いていく。

・・・とこちらは、Netflix Japanが公開している公式予告編(上の動画ね)のキャプションです。

キャストと監督を見ただけでも、凄いでしょう?

もちろん作品も「凄い」の一言です。

この映画は、アメリカ本国で、限定劇場公開ののちNetflixで配信されました。日本ではNetflixでの配信ののち、一部名画座で上映、と言うような形式で公開されています。

これまでの常識では、ちょっと考えられないような形態での公開だと思いませんか?

いきなりスマートフォンで見れちゃうなんて、ある意味、大変嬉しい手軽さですが、作品の重厚さを知るにつれ、なんか勿体ないような。

 

これも「時代」と言ってしまえば、それまでなんですが・・・。

 

なんだかんだと書きましたが、物凄い作品です。特に「ゴッド・ファーザー」がお好きな人は、是非。

少し個人的な視点で突っ込んだことを書くと、サウンド・トラックの創り方、と言うか位置付けが、凄いなあ。まあ、観てみてください。

クラシック音楽好きの流れで、映画音楽も大好きです。

 

と言うことで今回はここまで。取り止めのない話になってしまいました。

 

感想や、情報、あるいはご質問などがあれば、是非お知らせください。

 

ブログランキングに参加しました。クリック していただけると励みになります。


艦船ランキング

 

 

 

 

3Dプリンティングモデル 雑感(その6: 試験艦「あすか」)

またまたお詫びです。

次は日本海軍の巡洋艦、と予告しましたが、もう一隻、3Dプリンティングモデルで、試験艦「あすか」の紹介をするのを失念していました。

・・・と言うか、件の「巡洋艦」については、少し準備不足の感があり、繋ぎで、「あすか」をご紹介します。

 

試験艦「あすか」

その名の通り、海上自衛隊の様々な装備を試験する目的で建造された船です。

ja.wikipedia.org

モデルは、これまで時折登場していただいている幕之内弁当三次元造形の作品で、SFD素材による、ディテイルまで再現性の高いモデルです。

お求めはこちらで。

www.shapeways.com

Desktop Fleetと言う非常に充実したラインナップをお持ちのブランドを展開されているのですが、筆者にとって残念なことに、その主力スケールは、1:1800あるいは1:2000で、1:1250スケールは、今のところラインナップ充実のスコープには、あまりいれていらっしゃらないようなのです。

 

直下の写真は、以前にご紹介した Desktop Fleetさんの数少ない1:1250スケールの海上自衛艦試験艦「あすか」の下地処理後の姿。

f:id:fw688i:20191130143109j:image

このモデルの艦橋上にあるミニ・イージスシステムのドームは、当ブログでご紹介したイージス護衛艦いそかぜ」三態のうち、「亡国のイージス」小説版の第一形態「いそかぜ」の艦橋上部に追加された「イージスシステムドーム」に転用されました。f:id:fw688i:20191201184805j:image

そして直下が仕上がりの写真。

f:id:fw688i:20200119150730j:image

さらに艦橋前には新アスロック運用試験用のVLSや、おそらく12式地対艦誘導弾の艦載化に向けての試験用発射キャニスターが作り込まれています。

f:id:fw688i:20200119150848j:image

実はこの船、文字通り「試験艦」なので、実戦等には投入されないはずなのですが、私の記憶では、随分以前の話ではあるのですが、大石英司さんの小説(「環太平洋戦争」だったかな、「アジア覇権戦争」だったかな、いずれにせよかなり以前の作品だったかと)で、海上自衛隊がその性格上、表立って介入できない周辺有事に、試験中の先進の装備を活用して、こっそり介入するベースになる、と言うような話があったような・・・。その時に、海上自衛隊には面白い船があるんだなあ、と強い関心を持った記憶があります。

 

ヒストリーチャンネル「Defending JAPAN」と言う番組

話は全く変わりますが、ヒストリーチャンネルで、 Defending JAPANと言う番組の一気み企画があり、特集の第1回第一話を見てみました。

日本のメディアによる日本の防衛力、国防意識に関する番組ではないので、非常に視点が新鮮で、例えば日本の防衛力に対する期待などが、比較的わかりやすく表現されていていました。

自衛隊は、外からの侵略に対しては、第二撃までは退けることができる。その後は、それまでの損耗でどうも。まあ、仕掛ける方はそれを計算するでしょうから」とか、「海自は50隻の駆逐艦を持っている。これはかなり大きな勢力として、期待され、警戒されている」など、自衛隊のOBの方が仰っていまして、おお、そこまで言うか、と言う感じです。

興味のある方は、是非。

www.youtube.com

www.youtube.com

 

と言うことで、今回はちょっと一休み的に、ここまでです。

 

感想や、情報、あるいはご質問などがあれば、是非お知らせください。

 

ブログランキングに参加しました。クリック していただけると励みになります。


艦船ランキング

 

 

 

 

 

3Dプリンティングモデル 雑感(その5:「たちかぜ」級護衛艦の完成)

明けましてめでとうございます。

2020年最初の更新です。今年も、どうかよろしくお願いいたします。

 

2020年の開幕は、2019年最後に下記でご紹介した3Dプリンティングモデルを用いた「たちかぜ」級DDG護衛艦の 完成編です。

 

「たちかぜ」級DDGの製作

fw688i.hatenablog.com

少し繰り返しになるかもしれませんが、おさらいをしておくと、昨年末の前回は、入手したAmature Wargame Figures製のWhite Natural Versataile Plastic :WNV素材の「たちかぜ」級DDGのモデル一点と、 Smooth Fine Detail Plastic :SFD素材の同級のモデル二点を用いて、「たちかぜ」級3隻(「たちかぜ」「あさかぜ」「さわかぜ」)を完成してみよう、と言うものでした。

その際に、元々、入手したAmature Wargame Figures製のモデルをベースにして、武装やマスト、アンテナ関係はストックの部品を用いてディテイルアップする予定だったのですが、艦橋が少し大きすぎることが気になり、艦橋部分も換装するなど、結構広い範囲で手を入れる結果になりました。(この辺りは前回ご紹介しています)

 

ディテイルアップの大まかな流れは、ほぼ以下の通りです。

(直下の写真:入手したAmature Wargame Figures製のSFD素材のモデル。この他にSFD素材のモデルも一点あり、これも併せて今回仕上げることに)

f:id:fw688i:20191228200643j:image

(艦橋部分等の除去:使用したのは、ほとんで船体だけ・・・)

f:id:fw688i:20191228200628j:plain

 (F ~toyの「しまかぜ」級DDGから艦橋部分を移植。サーフェサーで下地処理)

f:id:fw688i:20191228200635j:image

(直下の写真:Amature Wargame Figures製のWNV素材のモデルをベースに、上部構造及び武装を換装してディテイルアップ/SFD素材モデルもほぼ同様のディテイルアップを行っています)

f:id:fw688i:20191228200638j:image

 

ちなみに、たちかぜ」級護衛艦の概要については、本稿、下記でご紹介しています。

fw688i.hatenablog.com

 

「たちかぜ」級DDGの完成

さて、ここからが今回のお話です。

「たちかぜ」(DDG-168)

(直下の写真:DDG-168:たちかぜ Hai製のダイキャストモデル)

f:id:fw688i:20200112135859j:image

Hai製のダイキャストモデルです。本艦はもともとコレクションにあった船で、今回は艦番号をつけました。作業としてはデカール を貼り、上からマットコーティングするだけですが、これが大変小さいので、老眼の進む(とほほ)筆者には作業自体が結構大変です。(字も小さくてみにくいし、貼る対象も、そもそもが1:1250モデルの船ですので、これまた小さい。   

さらに言うと、このスケールのデカール を入手するのはこれまた結構大変で、そもそも市販等のものが出回っていません。一時期は自作等も考えたのですが、これも自宅の環境では限界があり(白線が家庭用のプリンターでは再現できません)、結局、下のリンクの1:1250 Decaleに制作を依頼したものを使っています。

 

1-1250-decals.jimdofree.com

こちらの業者さんは、おそらくは趣味の延長でやっていらっしゃって、時折、模型ショーのようなところに出展する、と言う感じの活動を行っていらっしゃるようで、先方のペースで依頼対応等、なさいます。ですので、欲しい時に発注してすぐに手に入る、と言うわけにはいきません。「もうちょっとまとまったら、一緒にやるから、ちょっと待っててね」と言うようなメッセージが、オーダーに対して帰ってきます。まあ、こう言うのもやり取りも、楽しい驚きがある、と言えばそうなのですが、どのタイミングでお願いするか、など、結構難しい。

 

「あさかぜ」(DDG-169)

(直下の写真:DDG-169:あさかぜ Amature Wargame Figures製 SFD素材モデル)

f:id:fw688i:20200112135941j:image

「あさかぜ」は、ほぼ「たちかぜ」に準じる形で作成します。前回も準備で触れましたが、「たちかぜ」は艦橋前のアスロックに自動装填機構が未装備で、したがって、今回換装用の艦橋として準備したF-toys製の「しまかぜ」の艦橋はそのまま使えませんので、一旦、艦橋基部の自動装填機構用のハッチ等のモールドを削り、パテで埋め形を整えたものを船体に装着し、仕上げてあります。

最後に艦番号169を貼り付けて、出来上がり。

(直下の写真:準備段階で「しまかぜ」の艦橋基部のオールドを削り、アスロック装填用のクレーンを艦橋前部に追加)

f:id:fw688i:20191228200626j:image

 

「さわかぜ」(DDG-170)

(直下の写真:DDG-170:さわかぜ Amature Wargame Figures製 SFD素材モデル)

f:id:fw688i:20200112135934j:image

「さわかぜ」から 、アスロックの自動装填機構が搭載されました。ですので、こちらは「しまかぜ」の艦橋をそのまま拝借。ややアスロック・ランチャーを、艦橋寄りの位置に近づけて配置します。艦番号「170」を貼付。

 

さて、手持ちのAmature Wargame Figuresの「たちかぜ」級モデルのうち、SFD素材の2点は、こうして「あさかぜ」「さわかぜ」になりましたが、もう一点WNV素材のモデルが残っています。

「たちかぜ」級の4番艦、と言うことになりますが、実際には「たちかぜ」級は3隻しか建造されていないので、いわゆる架空艦を制作することにします。

 

本稿で、以前、架空の護衛艦いそかぜ」(DDG-183)について述べたことがあります。

fw688i.hatenablog.com

いそかぜ」と言う護衛艦は実在しないのですが、一方で、「亡国のイージス」(小説版・映画版)あるいは「空母いぶき」(映画版)で活躍する「有名な護衛艦」なのです、と言うのが、この回の主題だったのですが、この「亡国のイージス」に登場する「いそかぜ」の第65護衛隊を構成する僚艦が「うらかぜ」として登場します。

本稿の上記URLでも、ほんの少しだけ「うらかぜ」について触れているのですが、その際には、私の勉強不足から、てっきり「うらかぜ」は「いそかぜ」と同様、「はたかぜ」級DDGなのだと決め付けていました。

しかし、その後、原作等を読み返すと、「隊司令の衣笠一佐が、あえて旧型の第二世代ミサイル護衛艦「うらかぜ」を座乗艦に選んだのも・・」と言う記述があるではないですか。

ありゃリャ、これは「たちかぜ」級だぞ。と言うわけで、残った一隻は「うらかぜ」として制作することに・・・。

 

「うらかぜ」(DDG-162):架空護衛艦

(直下の写真:DDG-162: うらかぜ Amature Wargame Figures製 WNV素材モデル。写真を下記のようにアップにすると、やはりWNV素材の仕上がりの荒さが気になりますね。肉眼で見ている分には、それほど気にならないのですが)

f:id:fw688i:20200112135938j:image

細部は、武装の換装など、ほぼ「さわかぜ」と同じ仕様で仕上げてあります。最後に艦番号「162」を貼付して、出来上がり。

この艦番号、決定までに少し紆余曲折がありました。

と言うのも、「いそかぜ」については原作中に「183」と言う艦番号が明記されているのですが、「うらかぜ」については、艦番号に関する記述はありません(少なくとも、私が読みこんが限りでは。もしどこかに記載があったら、是非お知らせ下さい)

そこで、「たちかぜ」級の4番艦であれば、本来は艦番号「171」が付与されるべきなのですが、この番号は実際には、すでに次級「はたかぜ」級DDGのネームシップ「はたかぜ」に付与されています。その後はミサイル護衛艦の番号は最新型の「まや」級の「はぐろ」の「180」まで、すべていっぱいで、さらにその後は181から184までDDHの「ひゅうが」級、「いずも」級に付与されていて、空きがありません。(そう言う意味では小説版「亡国のイージス」の「いそかぜ」の183番も、実際にはDDH「いずも」の艦番号になってはいるのですが)

止むを得ず、「うらかぜ」の就役時点ではすでに退役していたであろう防空担当護衛艦の番号を、と言うことで、初代「あきづき」級の2番艦「てるづき」(1981年、特務艦籍に変更 この時点で、DD-162からASU-7012に艦番号を変更)の番号をいただいた、と言うわけです。「うらかぜ」の前の「たちかぜ」級3番艦の「さわかぜ」の就役が1983年ですので、少なくとも「うらかぜ」の就役はそれ以降と想定できますので、なんとか辻褄は合うかと。(余談ですが、前述の「いそかぜ」の項でも触れましたが、映画版「空母いぶき」の「いそかぜ」は初代「あきづき」の艦番号「161」をもらっています)

と言うことで、少し苦労しましたが、艦番号は「162」に決定。

 

第65護衛隊(「いそかぜ」(DDG-183), 「うらかぜ」(DDG-162))

(直下の写真は、第65護衛隊の2隻。手前:「うらかぜ」(DDG-162) と奥:ミニ・イージスシステム搭載艦に改装後の「いそかぜ」(DDG-183))

f:id:fw688i:20200112142303j:image

(直下の写真:参考までにターターシステムからイージスシステムへの換装後の「いそかぜ」(DDG-183)。「はたかぜ」級DDGをベースに、艦橋上部にミニ・イージスシステム用のドームを追加。主砲をオート・メララ製の54口径コンパット砲に換装、併せて、アスロック・ランチャー設置箇所に、16セルのVLSを設置して即応性を高めるなどの工夫があります)

f:id:fw688i:20200112142252j:image

 

と言うことで、第二世代ミサイル護衛艦「たちかぜ」級4隻(一隻は架空艦です)が完成しました。

(直下の写真:DDG第二世代たちかぜ級の揃い踏み。手前から「たちかぜ」「あさかぜ」「さわかぜ」そして架空艦「うらかぜ」の順)

f:id:fw688i:20200112135930j:image

 


海上自衛隊の艦隊防空担当艦の系譜(160番台艦の一覧)

ちょっと良い機会なので、前述の「うらかぜ」の艦番号をどのように決めたかの経緯説明の話の流れで、艦番号絡みの話を少し。

海上自衛隊護衛艦のうち、護衛隊群等の艦隊防空の役割を担う艦には、従来から160番台(のちには170番台から180番へ)の艦番号が 付与されてきています。今回は、イージス艦以前の防空担当の護衛艦が、ほぼほぼ揃ってきたので、ご紹介しておきます。

 

DD-161「あきづき」(初代)/DD-162「てるづき」(初代) 

海上自衛隊護衛艦として初めて2000トンを超えた「あきづき」級護衛艦ネームシップ。5インチ単装速射砲3基と3インチ連装速射砲(スーパーラピッド)を装備し、高い対空戦闘能力を持っていました。

f:id:fw688i:20190915171748j:plain

「あきづき」「てるづき」共に、旗艦装備を保有しており、護衛艦隊、護衛隊群の旗艦任務につくことが多かったと言われています。

f:id:fw688i:20200112210119j:plain

DDG -162「うらかぜ」

第二世代ミサイル護衛艦「たちかぜ」級の4番艦(架空)。

f:id:fw688i:20200112135938j:image

ミニ・イージスシステム搭載護衛艦いそかぜ」(DDG-183)と第65護衛隊を組んだことは、つとに有名。「亡国のイージス」事件で、僚艦「いそかぜ」によって撃沈されてしまいます。

f:id:fw688i:20200112201712j:plain


 DDG-163「あまつかぜ」

海上自衛隊初のミサイル護衛艦。ターター・システムを搭載

f:id:fw688i:20200112142626j:image

 

DD-164「たかつき」

多目的護衛艦「たかつき」級のネームシップ強力な54口径5インチ砲を2基装備し、ミサイル護衛艦の防空機能を補完する役割をになっていた。装備近代化のFRAM改装後の姿。艦後部にCIWSを装備していますが、実際にはCIWSは「きくづき」のみ装備し、「たかつき」は装備しませんでした。

f:id:fw688i:20200112142629j:image

 

DD-165「きくづき」

多目的護衛艦「たかつき」級の2番艦。装備近代化のFRAM改装後の姿。後部主砲と、Dash格納庫を撤去して、対艦ミサイル、シースパロー、CIWSなどを搭載し、ミサイル化対応を促進し、艦齢延長が図られました。ヘリコプターの搭載能力を除けば、ほぼ「はつゆき」級汎用護衛艦に匹敵する戦力に。

f:id:fw688i:20200112142619j:image

 

DD-166「もちづき」

多目的護衛艦「たかつき」級の3番艦。本級の3番艦、4番艦には、FRAM改装は行われませんでした。

f:id:fw688i:20200112142639j:image

DDG -166「もちづき」架空改装艦 

「もちづき」は、FRAM改装に代えて、DDG化の改装が行われた、と言う想定です。海上自衛隊初のDDG「あまつかぜ」の就役が 1965年。第二世代DDGの「たちかぜ」級の就役が1976年。この間、「あまつかぜ」は唯一のDDGであったわけで、ターター・システムの複数艦での運用データを得るためにも、この空白を埋めるために、1967年から就役の始まった「たかつき」級の1隻が早々にDDGへ改装・転用された、と言うカバーストーリーで製作されています。

f:id:fw688i:20200112142642j:image

少し制作の裏話を。(この部分は前々回の再録です)

当初、艦後部のイルミネーターの後方に2番主砲を残していたのですが、Mk13ミサイル発射機とCIWSをその後ろに追加すると、2基のイルミネーターの配置に余裕がなく、併せてあまりにも艦後部が荷重になるように思われ、2番主砲の設置を断念しました。

その上で、少しイルミネーターの間隔に余裕を持たせ、Mk13対空ミサイル発射機をDASH無人対潜攻撃ヘリコプター格納庫上に設置、DASHの運用甲板であった後甲板にCIWSを設置、と言う配置にしました。CIWSの射界を広く持たせるためにはMk13とCIWSの配置を逆に、とも考えたのですが、Mk13の下に収納されるミサイル弾庫を考慮すると、この順序が良いのではないかと言う結論です。なんとなく、DASHの格納庫をそのままに、と言う状況も活かせたような気もしています。

 

僚艦「あまつかぜ」と護衛隊を組む「もちづき」

f:id:fw688i:20200112142623j:image


その後、「うらかぜ」と一時は護衛隊を組むことも。(おお、架空艦での護衛隊編成)
f:id:fw688i:20200112142632j:image

 

DD-167「ながつき」

DDGへの改装も検討されたが、予算上捻出できず断念、と言う設定です。ほぼ就役時の姿を残しています。f:id:fw688i:20200112142635j:image

 

DDG-168「たちかぜ」

海上自衛隊、第二世代のミサイル護衛艦「たちかぜ」級のネームシップ。1998年からは護衛艦隊旗艦を務めたことも。

f:id:fw688i:20200112135859j:image

 

DDG-169「あさかぜ」

「たちかぜ」級の2番艦。

f:id:fw688i:20200112135941j:image

 

DDG-170「さわかぜ」

「たちかぜ」級の3番艦。本艦から、アスロックの自動装填機構が導入されました。アスロック・アンチャーの位置と艦橋基部の形状の少し異なります。

f:id:fw688i:20200112135934j:image

 

DDG-171「はたかぜ」

海上自衛隊のミサイル護衛艦としては第三世代「はたかぜ」級のネームシップ。イージスシステム以前の対空誘導ミサイル駆逐艦としては最終世代に属し、その頂点とも言われることもあります。「まや」級の就役で、そろそろ練習艦籍に移管されるかも。

f:id:fw688i:20200112201707j:image

 

DDG-172「しまかぜ」

第三世代ミサイル護衛艦「はたかぜ」級の2番艦。

f:id:fw688i:20200112201704j:image

 

DDG-183「いそかぜ

第三世代ミサイル護衛艦「はたかぜ」級の3番艦。ミニ・イージスシステム搭載艦への改装が行われた。直下の写真は、改装後の姿。改装再就役直後に「亡国のイージス事件の舞台となり、失われた。
f:id:fw688i:20200112201709j:image

事件直前の第65護衛隊の2隻。手前:「うらかぜ」(DDG-162) と奥:ミニ・イージスシステム搭載艦に改装後の「いそかぜ」(DDG-183)。

f:id:fw688i:20200112201712j:image

 

と言うことで、少し後半、取り止めのない一覧になりましたが、今日はここまで。

改めて一覧すると、よくみると、160番台の船は、もう一隻も現役に残っていないのですね。「たかつき」級や「たちかぜ」級がもう残っていないなんて、改めて、時の流れを感じます。

 

3Dプリンティングモデルの紹介は、今回でひと段落つきました。実は後、米海軍のアーレイバーク級を残しているのですが、こちらはもう少し情報を貯めて、米海軍、としてご紹介できれば、と考えています。

 

と言うことで、次回は、前々から予告している装甲巡洋艦の残余(米海軍とオーストリア=ハンガリー帝国海軍あたり)をご紹介するか、あるいはWW2の日本海軍の巡洋艦史を数回に分けて、どちらかをいよいよ開始しようかな、などと考えています。

 

もしかすると、その前に「スターウォーズ  スカイウォーカーの夜明け」の所感w一回挟むかも。

 

ブログランキングに参加しました。クリック お願いいたします。


艦船ランキング

 

 

 

3Dプリンティングモデル 雑感(その4:「たちかぜ」級護衛艦の製作)

今回は3Dプリンティングモデルの雑感の4回目。 

Amature Wargame Figures製の「たちかぜ」級DDGモデルが、WNV素材で一点、SDF素材で二点、到着しましたので、素材つながりで、ご紹介します。

 

「たちかぜ」級護衛艦については、「海上自衛隊 護衛艦発達史(3) 護衛隊群の整備・ DDHの登場」の回でご紹介しました。

fw688i.hatenablog.com

 

Amature Wargame Figuresの「たちかぜ」級

本稿内ではHai製のダイキャスト製のモデルをご紹介しましたが、Amature Wargame Figures製のWhite Natural Versataile Plastic :WNV素材のモデル一点と、 Smooth Fine Detail Plastic :SFD素材のモデル二点を入手しました。

下の写真は、SFDモデル。

f:id:fw688i:20191228200643j:image

全体としては、Amature Wargame Figures製の標準的な仕上がりで、最初は細かい武装パーツとマストの交換で仕上げていこうと考えていました。

しかし、よく見ると、あれれ、ちょっと艦橋が大きいぞ。と、気になっちゃいました。

やれやれ、少し大ごとになる予感。

 

と言うことで、ゴリゴリとクラフトのこぎりで艦橋他の上部構造を撤去します。

あらら、すっきりしちゃいました。(実は、艦首部のナックルがあるのか無いのか、要ははっきりしないなど、さらに気になるところがいくつか。 でも、まあ今回はこれで進めましょう)

f:id:fw688i:20191228200628j:plain

 

WNV素材のモデルで、「さわかぜ」を制作

上記のSFD素材モデル同様、 上部構造物をF-toys製やSNAFU store製のパーツに交換していきます。

f:id:fw688i:20191228200638j:image
ディテイルアップ箇所:艦首部から主砲、アスロック・ランチャーをF-toys製のストック部品に交換。

艦橋をF-toys「しまかぜ」の艦橋部に交換。:「さわかぜ」は「たちかぜ」級DDGの3番艦ですが、この艦からアスロックは艦橋基部から自動装填される機構を搭載しています。「しまかぜ」も同様の機構を搭載しているので、これをそっくり転用しました。

艦橋の上部のマックはF-toys製「しらね」のものを少し手を入れて転用。「しまかぜ」の艦橋では、少し長さが足りないので、少し長さを延長加工しています。

後部のマック上部も同様に「しらね」のものを転用。マック後方のイルミネータは「しまかぜ」から移植。後部主砲とCIWSはF-toys製、艦尾のMk 13はSNAFU store製のものを、それぞれ換装しました。

サーフェサーで下地処理をして、あとは仕上げのみの状態。
f:id:fw688i:20191228200632j:image

 

SFD素材のモデル2点をディテイルアップ開始

下の写真は、「たちかぜ」級DDGの2番艦「あさかぜ」の制作。

ほぼ、前述の3番艦「さわかぜ」と同様のディテイルアップの予定ですが、これも前述のように2番艦「あさかぜ」は、アスロックに自動装填装置を装備しておらず、艦橋前部の基部には装填用のハッチ等はありませんので、転用したF-toys製の「しまかぜ」の艦橋部分から、そのモールドを削ってあります。

艦尾部には、SNAFU store製Mk 13を搭載しました。f:id:fw688i:20191228200626j:image

 

そしてSDF素材モデルのもう一隻は、「しまかぜ」の艦橋をそのまま転用します。つまり、アスロックは自動装填装置付き、と言うことです。「たちかぜ」級DDGの4番艦。

f:id:fw688i:20191228200635j:image

あれれ、架空艦、ですね。「おお、あれか?」と心当たりのある方は、相当のマニアかと。

もったいつけるわけではないのですが、この艦がどのようなカバーストーリーを持つのかは、次回、完成時にご紹介します。

 

と言うことで、今回は、ここまで。

お正月の準備しなきゃ。年賀状、作ろうっと。

 

本年はこれで(多分)終了です。

昨年9月から始まった当ブログですが、今年、一応、そもそもの主題であった「主力艦の発達史」については、まがりなりにも完了することができました。さらに往生際悪く、派生のストーリーをチマチマと捻り出し続けてきましたが、これも毎回の皆さんのアクセス数に励まされてのおかげと、本当に心より感謝しています。

本当にありがとうございました。

そして、来年もよろしくお願いいたします。

 

皆さんにとって、良い新年でありますように。

 

ブログランキングに参加しました。クリック お願いいたします。


艦船ランキング


戦史ランキング

 

 

3Dプリンティングモデル 雑感(その3:たかつき級護衛艦の製作・架空艦への派生)「スカイウォーカーの夜明け」ブリーフコメント付き

今回は3Dプリンティングモデルの雑感の3回目。 

前々回、本稿では3Dプリンティングモデルの2種類の素材例として、Amature Wargame Figures製の海上自衛隊「たかつき」級護衛艦を紹介しました。

下の写真は、Amature Wargame Figures製の海上自衛隊「たかつき」級護衛艦のモデルを、White Natural Versataile Plastic :WNV(奥)と Smooth Fine Detail Plastic :SFD(手前)の二種類の素材で出力してもらった例です。

White Natural Versataile Plastic:WNVで出力した例

f:id:fw688i:20191201163327j:image

Smooth Fine Detail Plastic:SFDで出力した例

f:id:fw688i:20191201163317j:plain

取り上げた二つの素材、White Natural Versataile Plastic:WNVと Smooth Fine Detail Plastic:SFDの仕上がりの優劣については、「雑感のその2」で中国艦を例としてご説明しました。

 

その中で、仕上がり以外の素材選びのポイントとして、加工素材としての適性を合わせてご紹介しました。

(「たかつき」級護衛艦のモデルストックは、すでに「たかつき」級の護衛艦の模型はHai社製のものがありましたので、いずれは加工して架空艦を作成する際の素材として入手したものです。その際には切ったり、削ったりが必要になるのですが、加工の種類によっては、White Natural Versataile Plasticの方が粘性が強く、切断等の作業には適性が高いかもしれません。一方で、Smooth Fine Detail Plasticは、硬度が高く、研磨等の作業には適性が高いかもしれません。)

なんて書いちゃったものだから、気になって、結局、前々回以降、チマチマと工作して、とりあえずストックしていた4隻(実際にはFRAM改装後のモデルとして、1隻は製作済みだったので残りの3隻)を仕上げちゃった、と言うのが、今回のお題です。

 

それぞれのモデルはそれぞれこちら(↓)でお求めになれます。 

www.shapeways.com

Takatsuki-class destroyer, 1/1250 (PCPXYBRAY) by Nomadier

www.shapeways.com

Takatsuki-class destroyer (1985), 1/1250 (ABVAWV8VA) by Nomadier

 

たかつき級護衛艦については、すでに本稿でご紹介済みですので、気になる方はそちらを読んでみてください。

fw688i.hatenablog.com

一応、さらっと要点のみ再録しておきます。

DDA たかつき級護衛艦(1967- 同型艦 4隻)

ja.wikipedia.org

Takatsuki-class destroyer - Wikipedia

第2次防衛力整備計画で、前出の「やまぐも級」護衛艦で既述の通り、「やまぐも級」とのハイ・ロー・ミックス構成の構想の下、有力な対空・対潜戦闘能力を持つ多目的護衛艦(DDA)として4隻が建造された。

(106mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装)

f:id:fw688i:20190921200845j:image

船型は海自標準となってきた感のある遮浪甲板型を採用し、主機には蒸気タービンを搭載し、32ノットの速力を得た。 

Mk42 54口径5インチ単装速射砲2基で広範囲の対空戦闘力を保持し、加えてボフォース対戦ロケットランチャーとアスロック、対戦短魚雷、さらにはDASH無人対潜攻撃ヘリコプター搭載、と非常に充実した対潜戦闘能力を誇る有力な護衛艦であった。

 

FRAM改装

上述のように、本級は非常に有力な戦力であったが、ミサイル化の流れの中で装備には陳腐化が目立つようになった。一方で、急速な新戦力整備にも限界があるため、FRAM(艦隊再建近代化計画)の名の下に、同級の「たかつき」「きくづき」に対して大規模な改装が行われ、当時新鋭のはつゆき級と同等の戦力化が目論まれた。具体的な内容としては、艦尾部の5インチ砲、これも艦尾部にスペースを取っていたDASH関連装備を撤去し、短SAM(シースパロー)、ハープーン艦対艦ミサイル、20mmCIWS、および種々の電子装備の換装、追加などが行われ、8年程度の艦齢延長を目指した。

(直下はFRAM改装後のたかつき級。Amature Wargame Figuresの3Dモデルをベースに、武装をSNAFU store製のWeapopn setから転用)

f:id:fw688i:20190921200300j:image

(FRAM改装前後のたかつき級を比較。奥がFRAM改装後。改装前のたかつき級は艦尾部に大きなDASH運用スペースが取られている事がよくわかる)

f:id:fw688i:20190921202721j:plain

 

と言うことで、上記の写真ではHai社製のダイキャストモデルと、FRAM改装後のモデルとしてSFD素材の3Dプリンティングモデルを登場させていたために、手元には竣工時のモデル2つ(WNV素材とSFD素材:下の写真)と、FRAM改装後のWNV素材モデル(さらにその下の写真)の3隻が手元にはあり、さて、これをどんな風に仕上げて行こうか、と言うわけです。

f:id:fw688i:20191201163309j:image

f:id:fw688i:20191221115432j:image

 

「たかつき」級護衛艦は全部で4隻建造されており、一番艦から順に「たかつき」「きくづき」「もちづき」「ながつき」と命名されています。そのうち建造年次の古い「たかつき」「きくづき」は、後にFRAM改装を受けて艦齢延長が図られます。

 

と言うことで、まずはFRAM改装後のモデルをもう一隻

少しディテイルアップを図るために、WNV素材モデルのいくつかのパーツを切断。艦前部から順に、主砲塔、アスロックランチャー、前部マスト、CIWS、シースパロー発射機、これらを一旦切断し、Ftoys製の現用艦船コレクションから、各パーツを転用し、ペタペタと貼っていきます。

f:id:fw688i:20191221115340j:image

こう言う比較的大掛かりなパーツの撤去と置き換えには、粘性の強いWNVは安心して切断などできるので、適性が高いかもしれません。この後、サッと下地塗装をして、仕上げ塗装を行います。

 

竣工時の状態のモデル(FRAM改装を受けない状態)をもう一隻。

下の写真は、上述のFRAM改装モデルと同じように、WNV素材のモデルから主要兵装のパーツ(主砲塔2基とアスロックランチャー)と、マスト上部等をFtoys製のパーツに置き換えた後、さっと下地処理を済ませた状態。艦中央に白いパーツが見えるのは、短魚雷発射管をロッドで作成したものです。
f:id:fw688i:20191221115426j:image

こうして、「たかつき」級護衛艦の勢揃い。f:id:fw688i:20191222153217j:image

写真上部:FRAM改装後の「たかつき」級護衛艦(奥:たかつき・注!!!本来は「たかつき」はFRAM改装後もCIWSは未装備だったのですが、ここでは一応装備したことにしてあります。手前:きくづき)写真下部:就役時の「たかつき」級護衛艦(奥:もちづき、手前:ながつき)

 

架空艦の製作へ

さて、SFD素材の竣工時モデルがもう1隻残ったけど、どうしよう?

f:id:fw688i:20191201163317j:plain

そうだ、そもそも、このモデルストックは「いずれは加工して架空艦を作成する際の素材として入手したものです」と書いてたんじゃないか。

 

と言うことで、ちょっと頭の中をゴソゴソ。

そう言えば、海上自衛隊初のDDG「あまつかぜ」の就役が 1965年。第二世代DDGの「たちかぜ」級の就役が1976年。この間、「あまつかぜ」は唯一のDDGであったわけで、ターター・システムの複数艦での運用データを得るためにも、この空白を埋めるために、1967年から就役の始まった「たかつき」級の1隻が早々にDDGへ改装・転用された、と言うカバーストーリーがなんとなくいい感じなのでは?

 

DDG「もちづき」の制作

こうして、DDG「もちづき」の誕生です。

SFD素材の竣工時モデルのいくつかのパーツを撤去。撤去部分は、艦首から前部主砲、アスロック・ランチャー、前部マスト上部、後部煙突上部、後部上部構造物、後部主砲。

換装、もしくは追加したパーツ:前部主砲(Ftoys)、アスロック・ランチャー(Ftoiys)、前部マスト上部(Ftoiys:「しらね」前部マストを転用)、短魚雷発射管(ロッドより製作)、ハープーン・ランチャーを追加(Ftoys)、後部煙突上部(Ftoiys:「しらね」後部煙突上部を転用)、ボートを両舷に追加(Ftoys)、イルミネーター2基を追加(Ftoys「しまかぜ」より転用)、Mk13対空ミサイル・ランチャーを追加(Ftoys「しまかぜ」より転用)、CIWSを追加(Ftoys)

下の写真は、上記の作業後、下地処理を経てざっと塗装をしてみたものです。艦中央部の白いパーツは、ロッドで製作した短魚雷発射管です。

f:id:fw688i:20191221115434j:image

 

少し制作の裏話を。

当初、艦後部のイルミネーターの後方に2番主砲を残していたのですが、Mk13ミサイル発射機とCIWSをその後ろに追加すると、2基のイルミネーターの配置に余裕がなく、併せてあまりにも艦後部が荷重になるように思われ、2番主砲の設置を断念しました。

その上で、少しイルミネーターの間隔に余裕を持たせ、Mk13対空ミサイル発射機をDASH無人対潜攻撃ヘリコプター格納庫上に設置、DASHの運用甲板であった後甲板にCIWSを設置、と言う配置にしました。CIWSの射界を広く持たせるためにはMk13とCIWSの配置を逆に、とも考えたのですが、Mk13の下に収納されるミサイル弾庫を考慮すると、この順序が良いのではないかと言う結論です。なんとなく、DASHの格納庫をそのままに、と言う状況も活かせたような気もしています。

直下の写真:DDG改装後の「もちづき」

f:id:fw688i:20191222153119j:image

直下の写真:僚艦「あまつかぜ」と共に。

上記のカバーストーリーでは、DDG「もちづき」は「あまつかぜ」と組んで活躍することになります。

f:id:fw688i:20191222153156j:image

直下の写真:そしてやがては第二世代DDGの「たちかぜ」級と共に行動する機会もあるかもしれませんね。

f:id:fw688i:20191222153137j:image
 

さて、どちらのクラスと護衛隊を組んでも、いくつもカバーストーリーが書けそうな・・・。

 

と言うことで今日はここまで。

次回はもう少し3Dプリンティングモデルの続きをご紹介する予定です。

 

ところで、スターウォーズ ースカイウォーカーの夜明け」、観てきました。

www.youtube.com

もう一度、或いは、もう数度観ないとなんとも言えませんが、まあ、一回ではすっきりと腹落ちしなかった、と言うことですかね。

つまり両膝を叩いて「良かった。お勧めです」とはならなかった、と言うことで、昨日あたりに巷のネットに書き込まれた感想と、私の感想もほぼ同範囲、と言うことですね。

でも、まあ一度ご自身で見てみて下さい。話題(話材?)にはなること間違いなし、です、今ならね。急げ!

 

ブログランキングに参加しました。クリック お願いいたします。


艦船ランキング


戦史ランキング

 

3Dプリンティングモデル 雑感(その2:中国現用艦の仕上がりは?)

前回、新着3Dプリンティングモデルをご紹介しましたが、その際にプリントアウト素材に触れました。

簡単にまとめると、White Natural Versatlie Plastic (ちょっと長いので、以降はWNVと略して良いでしょうか?他所では通用しないと思うので、ご注意を)は、やや仕上がりが荒いが、価格が安い。一方、Smooth Fine Detail Plastic(同様にSFD。これも他所では通用しませんよ)は、細部の再現性が高いがやや価格が高い。さてどっちを選ぼうか、と言うような課題を積み残し、「これは作って比べてみるしかないでしょう!」なんて大見え切ってしまいました(ちょっと後悔)。

と言うわけで、今回はその続きを。

(こういう話は、読んでて面白いのかな、と首を傾げつつ)

 

中国海軍 052D級駆逐艦 Kunming class(昆明級)

このクラスについては、前々回の「中国海軍現用艦」の回で、一度ご紹介しています。その際にご紹介したモデルはAmatuer Wargame Figures製のものでした。

fw688i.hatenablog.com

(124mm in 1:1250 Amatuer Wargame Figures製:3D printing model)

f:id:fw688i:20191110113305j:image

 

下の写真が、今回新たに入手した幕之内弁当三次元造形の昆明級モデルを、サーフェイサーで下地処理した段階のものです。

f:id:fw688i:20191130143017j:image

同級について、その特徴を再録しておきましょう。

***現状では中国海軍の主力艦隊防空艦である。中国版イージスと呼称される。現在19隻が就役しており、最終的には同級の建造数は22隻に達する予定であるとされている。

NATOのコードネームは「旅洋Ⅲ」。7500t、30ノット。

同級では、これまでの中国海軍の(ロシア海軍の、というべきか?)特徴的なリボルバーVLSではなく、米海軍や海上自衛隊と同じようなキャニスター式のVLSを採用している。(装填等が同じ方式かどうかは不明である)

このVLS64セルにHHQ-9対空ミサイルと、YJ-18対艦ミサイルで共用していると思われる。このVLSは対潜ミサイル、巡航ミサイルにも対応している、と言われている、

搭載するフューズド・アレイ・レーダーは改良型のドラゴン・アイに変更された。

主要武装は、主砲を130mm単装速射砲を装備し、近接防御用に30mm CIWSとHHQ-10近接防空ミサイルを保有している。

対潜装備としてはヘリコプター1機を搭載し、短魚雷発射管を装備している。***

ja.wikipedia.org

Type 052D destroyer - Wikipedia

 

そしてこちらが、今回入手したSFD素材の幕之内弁当三次元造形製「昆明級」モデルを仕上げたものです。艦橋の窓、艦首部のブルワーク内側の再現、艦尾のヘリコプターハンガー部の再現など、SFDと言う素材による、と言うべきか、製作者のデザインに準じる差異と言うべきか、非常にディテイルの再現されたモデルとなっています。

f:id:fw688i:20191215160223j:image

 

早速、WNVモデル(写真上段:Amatuer Wargame Figures製)とSFDモデル(写真下段:幕之内弁当三次元造形を比べてみます。塗装等は同じカラーを基本的に用いています。

やはりSFDモデルにシャープでの優位が認められます。特に本級の特徴である艦中央部の八木アンテナがコンパクトに再現されるなど、その特徴が顕著に現れているように思います。

f:id:fw688i:20191215160232j:image

こちらWNVモデル(写真上段:Amatuer Wargame Figures製)とSFDモデル(写真下段:幕之内弁当三次元造形製)の比較。八木アンテナ、小さい!VLSの細部再現も。

f:id:fw688i:20191215160246j:image

 

中国海軍 054A級フリゲート Youncheng class

このクラスについても、前出の本稿前々回「中国海軍現用艦」の回で、一度ご紹介しています。その際にご紹介したモデルは、やはりAmatuer Wargame Figures製のものでした。

(108mm in 1:1250 Amatuer Wargame Figures製:3D printing model)

f:id:fw688i:20191110120253j:image

本級の特徴を再録しておきましょう。

***外洋進出を目指す中国海軍の中核的な存在となるべく、艦型を一気に大型化し、これまでのフリゲートとは一線を画する高い航洋性を有している。

NATOのコードネームは「江凱」。3400t、27ノット。

西側諸国の技術を導入し、ステルス性を意識した艦容となった。

VLSに搭載した対空ミサイル、対潜ミサイルで高い対空・対潜戦闘力を保有し、YJ-83対艦ミサイル4連装ランチャー2基で対艦戦闘能力も確保した。他に対潜ロケット、短魚雷発射管、対潜ヘリ等、対潜兵装も充実した、汎用フリゲートとして一定の完成度に達している。***

 

054(江凱)級フリゲート:Jiangkai-class frigate  同型艦:30隻

ja.wikipedia.org

Type 054 frigate - Wikipedia

 

そしてこちらも、下の写真が、今回新たに入手した幕之内弁当三次元造形の054級モデルを、サーフェイサーで下地処理した段階のものです。

f:id:fw688i:20191130143027j:image

seesaawiki.jp

 

そしてこちらが、今回入手したSFD素材の幕之内弁当三次元造形製「054級」モデルを仕上げたものです。やはり艦橋の窓、艦尾のヘリコプターハンガー部の再現など、前出の「昆明級」同様、ディテイルの再現されたモデルとなっています。f:id:fw688i:20191215160837j:image

ここでも、SFDモデル(写真上段:幕之内弁当三次元造形製)とWNVモデル(写真下段:Amatuer Wargame Figures製)と比べてみます。塗装等は同じカラーを基本的に用いています。

こちらは「昆明級」以上にSFDモデルの再現性の高さが見て頂けるのではないでしょうか?

f:id:fw688i:20191215160830j:image
f:id:fw688i:20191215164440j:image

 特にアンテナの細部の再現は、SFDが圧倒的に優位だと思います。

 

さらに、実は写真では少しお伝えしきれないと思うのですが、手に持った際の感触が、WNV製の場合には、どうしても「ざらざら」、と言うか、表面の滑らかさにはSFDとの間で大きな差を感じてしまいます。

 

と言うことで、これはある意味予想通りで、ある種つまらない結論ではありますが、SFDの方がシャープさがあり仕上がりの満足度は明らかに上回ります。

もう一つ、幕之内弁当三次元造形製品の原型がSFD指定で、したがってSFDとの相性がいい、と言うこともあると思います。

あとはお財布の中身とよく相談をして、コレクション重視(つまり数を揃えたい)か、モデラー視点の重視(つまり仕上がりが気になる)か、で都度選択していかねばならない、と言うことになるのでしょうね。どうでしょうね、Amature Wargame Figures製のWNVモデルが$11.27、同社のSFDモデルは$20.81。あくまで筆者の主観として、Amature Wargame Figures の原型の場合は、あえてSDFを選択しなくとも、十分だと思っています。

これに対し幕之内弁当三次元造形のSFDモデルが$43.6ですからね。これは難しい判断、と言うことになると思います。コレクションにおけるそのクラスの重要さ、と言うか、どこまでそのクラスに思い入れがあるか、その辺りでの判断になりそうです。

 

本稿で扱っている1:1250スケールの場合、特に上記のバランスが微妙なのかもしれません(例えば筆者はどちらかと言うと前者=コレクション重視の傾向が強く、数をそろえたい派であるように思います。まあ、モデラーとしてのスキルも低いのですが)。

もしかすると、もう少し大きなスケールの場合(1:700など)には、あまり迷う余地はないのかもしれません。

 

それにしても、3Dプリンティングモデルの登場で、選択肢が非常に広がったことは大変嬉しい事実だと感じています。

データのみの販売も行われていますので、自前の3Dプリンターを購入して、と言う選択肢まで入れれば・・・。ああ、何か大きなものの蓋が開いてしまったような。(困ったようなふりをして、実はもちろん楽しんでいますよ)

 

次回は、引き続き、残りの3Dモデルについての情報と、前回少し素材例のところでご紹介した「たかつき級」護衛艦にも手をつけました(加工して架空艦を作成する際の素材として入手した、なんて書いてしまって、少し火がついた、と言うことなんですが)のので、そちらのご紹介も併せてしたいと考えています。

 

全く今回の内容とは関係のない話ですが、本稿でも紹介した「空母いぶき」のブルーレイ、DVDが出ましたね。

www.youtube.com

 早速、レンタルしちゃいました。

fw688i.hatenablog.com

浮舟艦長の「いそかぜ」も活躍してます。「いてまえ!」

fw688i.hatenablog.com

 


艦船ランキング


戦史ランキング

新着3Dプリンティングモデル 雑感

新着3Dプリンティングモデル

前回、少し触れましたが、1:1250スケールの3Dプリンティングモデルがいくつか到着しました。今回は雑感を少々。

 

今回、入手したモデルは、直下の写真、奥から

海上自衛隊 試験艦「あすか」

米海軍 アーレイ・バーク級イージス駆逐艦 フライトIII

中国海軍 052D級駆逐艦 Kunming class(昆明級)

中国海軍 054A級フリゲート Youncheng class 

の順です。

(直下の写真では、「あすか」のみ下地塗装済み、その他はサーフェサー塗布の状態です)

f:id:fw688i:20191130143003j:image

これらはいずれも幕之内弁当三次元造形さんと言う日本の方の作品で、筆者はいつも利用している(おそらく)世界最大の3D プリンティングモデル出力会社 Shapewaysから入手しました。

www.shapeways.com

www.shapeways.com

幕之内弁当三次元造形さんは、東京都大井町駅近くにある「軍事選書堂」さんでもモデルを販売していらっしゃるらしいのですが、筆者はまだお店を訪れたことがありません。あわせてオリジナルブランドのDesktop Fleetは1:2000スケールに重点が置いてあるらしく、1:1250のモデルは一部に限られているようです。

それぞれのモデルの詳細は、また完成後にご覧いただくとして、今回は概略のみ。

 

海上自衛隊 試験艦「あすか」

f:id:fw688i:20191130143109j:image

ja.wikipedia.org

実はこのモデルを入手したのは2回目です。1回目の入手モデルは、実は当ブログでご紹介したイージス護衛艦いそかぜ」三態のうち、「亡国のイージス」小説版の第一形態「いそかぜ」の艦橋上部に追加された「イージスシステムドーム」に転用されました。

f:id:fw688i:20191201184805j:image

(艦橋上部に追加搭載されたイージスシステムドーム)

fw688i.hatenablog.com

 

米海軍 アーレイ・バーク級イージス駆逐艦 フライトIII

f:id:fw688i:20191130143041j:image

ja.wikipedia.org

今回のモデルはフライトIIIですので、現時点では最終形のヘリコプター搭載モデルです。

 

中国海軍 052D級駆逐艦 Kunming class(昆明級)

f:id:fw688i:20191130143017j:image

ja.wikipedia.org

Type 052D destroyer - Wikipedia

 

このクラスについては、前々回の「中国海軍現用艦」の回で、一度ご紹介しています。

その際にご紹介したモデルは下記の通 Amatuer Wargame Figures製のものでした。

fw688i.hatenablog.com

(124mm in 1:1250 Amatuer Wargame Figures製:3D printing model)

f:id:fw688i:20191110113305j:image

 

中国海軍 054A級フリゲート Youncheng class 

f:id:fw688i:20191130143027j:image

seesaawiki.jp

 

このクラスについては、前々回の「中国海軍現用艦」の回で一度ご紹介しています。

その際にご紹介したモデルは下記の通 Amatuer Wargame Figures製のものでした。 

(108mm in 1:1250 Amatuer Wargame Figures製:3D printing model)

f:id:fw688i:20191110120253j:image

054(江凱)級フリゲート:Jiangkai-class frigate  同型艦:30隻

ja.wikipedia.org

Type 054 frigate - Wikipedia

 

3D Printing Modelの出力素材(今回の話の目玉はこちらかも?)

実は、今回入手した幕之内弁当三次元造形さんのモデルは、全て、 Smooth Fine Detail Plasticという素材で出力されており、大変シャープなディテイルが再現されています。

前々回「中国海軍 現用艦」の際のご紹介したAmature Wargame Figures製のモデルは、White Natural Versataile Plasticと言う素材で、ややディテイルに甘さが残りますが、その分安価、と言う特徴があります。価格差は、例えば前出の「052D級(昆明級)駆逐艦」の場合、Amature Wargame Figuresさん(あるいは価格設定はShapewaysが行っているのかもしれませんが)が設定している価格は、White Natural Versataile Plasticの場合$11.27であるのに対し、 Smooth Fine Detail Plasticの場合には$20.81で、筆者のようにコレクション目的で数を揃えようとする場合には、この価格差は結構大きなものになります。

 

同一モデルの場合の出力例をご参考まで、以下に示しておきます。

下の写真は、Amature Wargame Figures製の海上自衛隊「たかつき」級護衛艦のモデルを、White Natural Versataile Plastic(奥)と Smooth Fine Detail Plastic(手前)の二種類の素材で出力してもらった例です。

f:id:fw688i:20191201163309j:image

「たかつき」級護衛艦:White Natural Versataile Plasticで出力した例

f:id:fw688i:20191201163327j:image

「たかつき」級護衛艦:Smooth Fine Detail Plasticで出力した例

f:id:fw688i:20191201163317j:image

このモデルなら、White Natural Versataile Plasticで十分だとは思いませんか?

 

しかし、下の写真ほどのディテイルを再現しているモデルならば、Smooth Fine Detail Plasticで出力してみたいf:id:fw688i:20191130143017j:image

(参考:下の写真は、Amatuer Wargame Figures製 White Natural Versataile Plastic出力のモデルf:id:fw688i:20191110113305j:image

これは両者を比べてみるしかないでしょう!

 

3D Printing 出力素材比較:仕上がり以外にも検討すべき点があるかも?

もう一点、素材選びの際に比較的重要なポイントがあります。実は前出の「たかつき」級護衛艦のモデルストックは、すでに「たかつき」級の護衛艦の模型はHai社製のものがありましたので、いずれは加工して架空艦を作成する際の素材として入手したものです。その際には切ったり、削ったりが必要になるのですが、加工の種類によっては、White Natural Versataile Plasticの方が粘性が強く、切断等の作業には適性が高いかもしれません。一方で、Smooth Fine Detail Plasticは、硬度が高く、研磨等の作業には適性が高いかもしれません。もちろん作業者の得手不得手も吟味して、選択して頂ければと考えます。つまり、高ければいい(基本はそうなのだけれど)、と言うわけではない、と言うことです。

と、まあ、素材選びも楽しいですよ、と言う事が言いたいだけなのですが・・・。

 

と、最後は取り止めのない話になってしまいましたが、塗装等、完成したら、またこのブログでご報告させて戴きます。

 

と言うことで、次回は今回ご紹介したモデルの完成篇を、お届けします。

 

 


艦船ランキング


戦史ランキング

 

メータ/ベルリン・フィルのベートベンに酔い痴れる

またまた予告を裏切って、今回は艦船模型には全く関係のない話です。

(本当に最後まで読んでもらっても、今回は艦船模型はかけらも出てきません。申し訳ありません)

 

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 来日公演・指揮ズービン・メータに行って来た!

2週間ばかり、大阪に帰省することになり、とある事情から、大阪でベルリン・フィルハーモニーのコンサート行くと言う僥倖に恵まれました。

f:id:fw688i:20191117103953j:image

ベルリン・フィルの名誉団員でもある巨匠ズービン・メータを指揮者に迎え、思いもよらぬ素晴らしい夜になりました。 

 

演奏された曲目は以下の通り。

f:id:fw688i:20191117104006j:image

リヒャルト・シュトラウス交響詩ドン・キホーテ」と、ベートーベンの交響曲第3番「英雄」の二曲でした。

 

リヒャルト・シュトラウス交響詩ドン・キホーテ

リヒャルト・シュトラウス (1864-1949)といえば、映画「2001年宇宙の旅」で使われた交響詩ツァラトウストラはかく語りき」(1896)の冒頭があまりにも有名ですが、特にオペラや舞台音楽、交響詩をたくさん残しています。

www.youtube.com

ja.wikipedia.org

ドン・キホーテ」は、有名なセルバンテスの同名の物語をモチーフとした交響詩で、独奏チェロ(ドン・キホーテ)と独奏ヴィオラサンチョ・パンサ)に、オーケストラが掛け合いのように絡んでいくような曲想を持った、40分をこえる大作です。(「チェロとヴィオラの協奏的作品」と言う付記が与えられています)

 

www.youtube.com

この曲は、上述の「ツァラトウストラはかく語りき」の翌年、1897年に完成しました。彼の交響詩としては最後から2番目の作品で、いわば交響詩作曲家としての頂点の作品で、この後、彼の作曲の重点はオペラや舞台音楽の方に移ってゆきます。

副題に管弦楽のための騎士的な性格の主題による幻想的変奏曲」とあるように管弦楽法を駆使した複雑な構成で、聞き応えのある曲でした。一方で、リヒャルト・シュトラウス 特有の時折垣間見せるユーモラスで「可愛らしい(?と言う表現が的確かどうか。汗!!)」フレーズも随所に散りばめられた、楽しい曲でもありました。

 

そして、圧巻のベートベン交響曲第3番

そして二曲目は、クラシック中のクラシック、かのベートベンの代表的な作品の一曲、交響曲第3番「英雄」でした。(あるいは「エロイカ」という通り名の方が、良いのかも)

おそらく「クラシックはちょっとね」と仰る方でも、一度くらいは耳にしたことのある名曲です。冒頭を聴けば「ああ、これか」と。

ja.wikipedia.org

 

本来はブランス革命後に登場したナポレオン・ボナパルトへの共感から書かれた曲で、その後ナポレオンが皇帝を名乗り、それに幻滅したベートベンが献辞を記した表紙を破棄した、というエピソードは大変有名です。(真偽の程は議論があるようです、が、まあ、そういう時代に書かれた一曲ではある訳です)

また、ベートベン自身は、自作の中でこの曲を最も出来の良い交響曲と評価していた、とも言われています。9番の作曲中にこの質問をされて、驚いた質問者が「5番、運命じゃないんですね?」と念を押したところ「いいえ、3番です」と答えたと言われています。

 

一応、代表的な演奏をYoutubeでお楽しみ下さい。(一応、全曲聴けますが、50分ほどかかるので、そこはご判断を)

www.youtube.com

と、エピソードに事欠かない第3番ですが 、これくらい有名な曲になると、本当にいろいろな解釈と演奏があるので、それも併せて聴き比べしてみるというのも、クラシックの楽しみの一つです。(それで結局、CDのコレクション、最近だとMP3ですが、が増えていく。コレクター魂の悲しい性、ですね、困った、困った!「面白いのはね・・・」、とこの話も止まらなくなりそうなので、また別の機会で。:別の機会があるのか!?)

 

それはそれとして、ベルリン・フィルにベートベンの「英雄」といえば、「良くて当たり前でしょう」と思っていただいて当たり前の組み合わせではあるのですが、これが、なかなか、想像を遥かに超えたパフォーマンスでした。

とにかく楽しい!「ベルリン・フィルとベートベンが楽しいの?」と首を傾げた方がいらっしゃると思うのですが、おそらくクラシックに対する概念を覆すほど、軽やかで躍動感に溢れた演奏だった、と私は感じました。

オーケストラ自身が揺れ動いていました。それにつられるように会場の観客も波打つように。

私の斜め前には若いお嬢さんがお座りになっていたのですが、彼女の頭はこの曲の演奏中、ずっと揺れ続けていました。

「よっしゃ、今夜はどこまで楽しい曲にできるか、やって見せようぜい」とでも言うような、とてつもない熱量を感じる、まさに決してCDでは味わえない、演奏会ならではのパフォーマンスを見せてもらった一夜でした。

しかもそれをベルリン・フィルが・・・。あるいは、世界一の実力者揃いのベルリン・フィルだからこそ、そしておそらく彼ら自身は目を瞑っていても演奏できる習熟のベートベンだからこそ、と言うべきかもしれません。

なんという至福の時間だったことか。

 

言葉ではなかなか伝わらないので、少しでも近い演奏がないかとYoutubeをさらってみたのですがそのようなう都合のいい展開があるはずもなく、前出のカラヤンとの違いを少しでもお伝えすべく、ヤルビィとドイツ室内管弦楽団の演奏を以下に掲げておきます。(こう言う演奏もあるよ、程度のサンプルです)

www.youtube.com

 

こんなのも見つけた! 史上最小のオーケストラ:タッシェンフィルハーモニーのベートーベン

Youtubeでベートーベン交響曲 第3番をさらううちに、ちょっと面白い演奏に出くわしました。

このオーケストラは「史上最小のオーケストラ」の触れ込みのとおり、弦楽四重奏を中心にした小規模な弦楽団に管や打楽器などを加えた総勢20人に満たない小編成のオーケストラながら、ベートーベンやマーラー交響曲などの新しい解釈や表現を導こう、と言う試みを行っています。

本来のオーケストラ編成とは異なる室内楽的な演奏のため、管と弦のバランスに違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、各パートほぼソロ演奏に近い小編成ならではの繊細さと軽やかさが大変新鮮に感じました。

www.youtube.com

tower.jp

もし気にいったら、ベートーベン の交響曲は全曲音源化されているようですので、楽しんでみられてはいかがでしょうか?

あれれ、ブルックナー弦楽四重奏の小オーケストラ版もあるじゃないか、と、またずぶずぶと深みに嵌りそうな悪い(けど楽しい)予感がしています。

 

と言うことで、今回は本当に最後まで艦船模型の話は「なし」です。(あえて繋がりを見出すとすれば、「コレクター」の話、と言うところでしょうか?)

 

と言うことで、今回はおしまい。

次回は、また艦船模型の話に戻って、予告通り装甲巡洋艦か、日本海軍の巡洋艦の話を。(と思っていたら、大阪から自宅に戻ったら、米海軍のアーレイ・バーク級フライトIIIの3D printing mdeleが何隻か中国海軍の3Dモデルと一緒に届いていましたので、もしかするとそちらの話になるかも)

 

もしクラシックの話も、お問い合わせやリクエストがあれば、お知らせください。ただしこちらはそんなにレパートリーが広くはないので、ご容赦を。

 


艦船ランキング


戦史ランキング

 

中国海軍の現用水上戦闘艦艇ー海自護衛艦開発史 スピンアウト第三弾 (いつの間にか、シリーズ化?)

最初にお詫びから。

前回の予告では、「次は装甲巡洋艦特集か、日本海軍の巡洋艦軽巡重巡)のどちらか」なんてことを書いてしまっていましたが、実は海上自衛隊護衛艦のスピンアウトがもう一つあったのを、すっかり忘れていました。

 

冷戦終結以来、海上自衛隊といろいろな意味で何かと接点の多い中国海軍。ところが、あまりその実情を私はよく知りません。

「ああ、空母を買ったんだ」程度。

ここらで、ちょっと勉強をしておくのもいいのかな、と。

幸い、3D printing makerのAmature Wargame Figuresからかなり大量のモデルが販売されていますので、こちらをまずは制作するところから、とぼつぼつ始めました。

www.shapeways.com

ある程度揃ってきたので、今回は、こちらを紹介しておきましょう。 

 

中国海軍の現用水上戦闘艦

中国は元来大陸国家で、明朝の一時期を除いて海洋進出には比較的淡白であったといえる。21世紀に入り、それまで沿岸海軍に止まっていた中国海軍は、空母を中心とする機動部隊の保有をはじめ、本格的な外洋艦隊を持つに至った。

当初、その艦艇の多くはソ連(あるいはロシア)の艦艇のコピー、あるいはタイプシップとした発展型が多かったが、最近は西側の技術を導入し、一線を画する設計思想に基づいた発展を遂げている。

 

特に水上艦艇は、空母を中心とした機動部隊の防空担当艦(中国版イージス駆逐艦)、その周辺を防御する汎用フリゲートという基本構成になっていると言っていいだろう。

兵装はもちろんミサイル化がその中心に置かれ、明らかにステルス性意識した外観、さらにはフューズド・アレイ・レーダーを装備した(と見られる)艦橋など、西側諸国に路線を同じくした「洗練性」が見受けられるが、その実力の程は(幸いなことに、と言うべきか)未だベールに包まれている、と言えるだろう。

 

駆逐艦

当初、対艦戦闘をその主要業務に置いたが、空母の保有と同時に、空母機動部隊の防空警戒にその中心機能が移行した。当然、兵装の重点が対空兵装に移行し、中国版イージス艦の登場に至っている。

 

051(旅大)級駆逐艦:Luda-class destroyer 同型艦(現役):4隻(就役:1971年-)

ja.wikipedia.org

Type 051 destroyer - Wikipedia

 

旧ソ連海軍のコトリン級駆逐艦タイプシップとして、中国海軍初の国産駆逐艦

旅大はNATOのコードネーム。

1971年から就役を開始し、1990年にかけて都合17隻が建造された。建造期間が長期に渡り、兵装の装備には多くの変遷があり、艦容に多くのヴァリエーションがある。艦容は良くも悪くも「ロシア的」と言えるだろう。あるいは一時代前を感じると言うべきか。

現在は最終型の旅大Ⅲ型の2隻(051G/051GⅡ)のみが現役にとどまっている。

現在、現役の2隻は、56口径100mm連装砲2基、 HQ-7短SAM、YJ-83対艦ミサイル、対潜ロケット、対潜短魚雷等を主要兵装として装備している。 

3670t、35ノット

(113mm in 1:1250 Hai製)

f:id:fw688i:20191110111348j:image

(直下の写真:051級駆逐艦の主要兵装。YJ-83対艦ミサイル発射機) 

f:id:fw688i:20191110111358j:image

(直下の写真:051級駆逐艦の艦型の変遷。写真上は建造当時の051級駆逐艦 

f:id:fw688i:20191110111351j:image

052(旅滬)級駆逐艦:Luhu-class destroyer 同型艦:2隻 就役:1993年-

ja.wikipedia.org

Type 052 destroyer - Wikipedia

 

本級はそれまでソ連製の艦艇を輸入、あるいはタイプシップとして軍艦を建造してきた中国海軍が、西側の技術を大幅に導入して建造した初めての駆逐艦である。

旅滬」はNATOのコードネーム。

機関にガスタービンを採用し、ヘリコプターの搭載能力も付与された。

56口径100mm連装砲2基、 HHQ-7短SAM、YJ-83対艦ミサイル、対潜ロケット、対潜短魚雷等を、主要な兵装として装備している。 搭載する対潜ヘリは2機。

4800t、31.5ノット

(残念ながら、私のコレクションにはまだ加わっていません:no photo) 

 

「空母いぶき」で「哈爾浜:Harbin」が海自の「ちょうかい」と交戦し、兵装を破壊された。

f:id:fw688i:20191110143732j:image

 

051B級駆逐艦:深圳(しんせん):destroyer Shenzhen 同型艦なし 就役:1999年-

ja.wikipedia.org

Type 051B destroyer - Wikipedia

 

NATOコードネームは「旅海」

前出の052級の発展型と考えられるが、艦型が大型化し、外観にステルス性への配慮が見受けられる。

機関はガスタービンディーゼルエンジンの組み合わせで、30ノットの速力を出した。6100t 、30ノット

兵装は建造当初、ほぼ前級の052級駆逐艦のものを踏襲した。が、2015年に近代化改装が行われ、艦橋前に32セルのVLSを装備しここにHHQ-16中距離対空ミサイルを装備した。艦中央部には対艦ミサイルYJ-12A、ヘリコプターハンガー上部に30mm CIWSを装備した。主砲としては99式56口径100mm連装砲を、これは一次改装後継続装備している。

本艦は先進的な装備に対する試験実験艦的な性格が強く、その後の駆逐艦建造に大きな影響を与えた。

(123mm in 1:1250 Amatuer Wargame Figures製:3D printing model)

f:id:fw688i:20191110111356j:image

(直下の写真:051B駆逐艦の主要兵装。艦首部の換装後のVLS(上)と、対艦ミサイルYJ-12A発射機)

f:id:fw688i:20191110111353j:image

 

杭州駆逐艦:Hangzhou/ Fuzhou 1999年-

ja.wikipedia.org

Sovremenny-class destroyer - Wikipedia

 

1995年の第三次台湾海峡危機でそれまでの国産艦艇の性能不足を痛感した中国海軍は、ロシアから対空能力に定評のあったソブレメンヌイ級(956E級)のミサイル駆逐艦2隻を購入し、艦隊防空の緊急手当として導入した。中国海軍初の対空誘導ミサイル駆逐艦(DDG)である。

対空兵装としては、130mm連装砲2基と対空ミサイルの単装発射機2基を搭載している。さらに対艦ミサイル4連総発射機(SS-N-22)2基を搭載している。

7940t、33.4ノット

加えて近接防御兵装として30mm CIWS 4基、さらに対潜ロケット、対潜短魚雷発射管等を搭載している。艦の中央部に対潜ヘリの発着甲板とハンガーを有し、ヘリ1機を搭載している。

(125mm in 1:1250 Amatuer Wargame Figures製:3D printing model 写真は2016年の近代化改装以降の杭州駆逐艦

f:id:fw688i:20191110112014j:image

(同級は2016年から近代化改装を受け、対空ミサイルを2基の単装発射機からVLS発射形式に改めた。VLSの前部、あるいは後方に見えるのは、近接防御用の短 SAM発射機)

f:id:fw688i:20191110112035j:plain

 

杭州駆逐艦改:Taizhou/ Ningbo    2001年-

前出の956E級2隻の購入に続けて、ロシアより956Eの改良型、956EM2隻を購入した。956E級からの変更点は、対空・対艦両ミサイルを射程延長型に変更し、130mm連装主砲を1基、改良型のCIWSを2基と、それぞれ搭載数を減らし、対潜ヘリの運用スペースをやや拡大している。

(125mm in 1:1250 Amatuer Wargame Figures製:3D printing model)

f:id:fw688i:20191110112103j:image

(956-EM型駆逐艦の主用兵装。前部の主砲と単装対空ミサイル発射機(上)と、やや拡大され固定型のハンガーを持つヘリ発着甲板)

f:id:fw688i:20191110112020j:image

(956-E型駆逐艦(上)と956-EM駆逐艦の艦型比較)

f:id:fw688i:20191110112224j:image

 

051C(瀋陽)級駆逐艦 :Shenyang-class destroyer  同型艦:2隻 就役:2006

ja.wikipedia.org

 

NATOコードネームは「旅洲」。

前級051Cの発展型ではあるが、ステルス性への配慮はされていない。

機関は051Cを踏襲している。

7100t、30ノット

(124mm in 1:1250 Amatuer Wargame Figures製:3D printing model)

f:id:fw688i:20191110112500j:image

本級の兵装面での最大の特徴は、リフ-M艦隊防空システムの導入である。VLSは8連装リボルバー式B203-Mを6基搭載、さらに近接防御として30mm CIWSを2基装備している。

対艦兵装としてはYJ-834連装発射機2基を搭載、さらに主砲に100mm単装速射砲を装備した。

上記のB203-Mを4基、本来のヘリコプターハンガー部分に搭載したため、ヘリコプター着艦甲板のみで搭載能力はない。

(中国海軍の特徴的な8連層リボルバーVLS。後部のヘリハンガーに見える部分は、実はリボルバーVLSの収納スペースで、ヘリの搭載能力は、同級にはない)

f:id:fw688i:20191110112512j:image

 

052B(広州)級駆逐艦 :Guangzhou-class destroyer 同型艦:2隻 就役:2004年-

ja.wikipedia.org

Type 052B destroyer - Wikipedia

 

中国海軍念願の国産艦隊防空駆逐艦(DDG)である。

NATOのコードネームは「旅洋I」。

ロシアより購入した956E級、あるいは956EM9と同じロシア製の艦対空システムを搭載している。同システムは2基の単装ミサイル発射基と複数のイルミネータにより、同時に最大8目標まで対応可能であった。装弾数は単装発射機あたり24発で、これを2基、計48発を搭載している。

その他の兵装として、主砲として100mm単装速射砲を搭載し、対艦兵装としてはYJ-83対艦ミサイルの4連装発射機を2基装備している。加えて近接防御として30mm CIWS 2基を搭載している。
対潜装備としてはヘリコプター1機を搭載し、短魚雷発射管を装備している。

ほぼ並行して開発された次級の052C級が成功を収めたことから、同級の建造は2隻で終了した。

7000t、29ノット

(124mm in 1:1250 Amatuer Wargame Figures製:3D printing model)

f:id:fw688i:20191110112729j:image

(052B級駆逐艦の主要兵装の拡大。前部甲板上の100mm速射砲と単装対空ミサイル発射機(上)。対艦ミサイル発射機とヘリ格納庫上の後部単装対空ミサイル発射機)

f:id:fw688i:20191110112738j:image

 

 

052C(蘭州)級駆逐艦 :Lanzhou-class destroyer 同型艦:6隻 就役:2004年-

ja.wikipedia.org

Type 052C destroyer - Wikipedia

 

052B級の設計の基礎に、HHQ-9艦隊防空システムを搭載し、さらにアクティブ・フューズド・アレイ・アンテナ を艦橋の周囲に貼ったことから、中国版イージスと言われた。

NATOのコードネームは「旅洋II」。7112t、29ノット。

艦橋の周囲にアクティブ・フューズド・アレイ・アンテナ を装着したところから、052B級よりも一段高く設計され、異なる艦容を見せている。

兵装の目玉はなんと言ってもHHQ-9A対空ミサイルで、このミサイルをリボルバー式6連装VLSを8基に搭載している。ミサイル搭載数は48基とやや少なめではあるが、これは052Bの装弾数と同数である。

その他の兵装は、ほぼ052B級に準じ、主砲として100mm単装速射砲、対艦兵装としてはYJ-83対艦ミサイルの4連装発射機を2基装備している。併せて近接防御として30mm CIWS 2基を搭載している。
対潜装備としてはヘリコプター1機を搭載し、短魚雷発射管を装備している。

(124mm in 1:1250 Amatuer Wargame Figures製:3D printing model)

f:id:fw688i:20191110113000j:image

(同級に特徴的な6連装リボルバーVLS。前部甲板に6基、ヘリハンガー上に2基装備している)

f:id:fw688i:20191110113031j:image

(艦橋側面に装着されたフューズド・アレイ・レーダー)

f:id:fw688i:20191110113708j:image

「空母いぶき」には、「西安:Xian」が登場している。

 

052D(昆明)級駆逐艦 :Kunming-class destroyer 同型艦:19隻 就役:2014年~

ja.wikipedia.org

Type 052D destroyer - Wikipedia

 

前出の052級駆逐艦の改良型DDGで、現状では中国海軍の主力艦隊防空艦である。中国版イージスと呼称される。現在19隻が就役しており、最終的には同級の建造数は22隻に達する予定であるとされている。

NATOのコードネームは「旅洋Ⅲ」。7500t、30ノット。

同級では、これまでの中国海軍の(ロシア海軍の、というべきか?)特徴的なリボルバーVLSではなく、米海軍や海上自衛隊と同じようなキャニスター式のVLSを採用している。(装填等が同じ方式かどうかは不明である)

このVLS64セルにHHQ-9対空ミサイルと、YJ-18対艦ミサイルで共用していると思われる。このVLSは対潜ミサイル、巡航ミサイルにも対応している、と言われている、

搭載するフューズド・アレイ・レーダーは改良型のドラゴン・アイに変更された。

主要武装は、主砲を130mm単装速射砲を装備し、近接防御用に30mm CIWSとHHQ-10近接防空ミサイルを保有している。

対潜装備としてはヘリコプター1機を搭載し、短魚雷発射管を装備している。

(124mm in 1:1250 Amatuer Wargame Figures製:3D printing model)

f:id:fw688i:20191110113305j:image

(同級に搭載されたVLS。前級のリボルバー式から、キャニスター式(?)への変更が見られる)

f:id:fw688i:20191110113314j:image

(艦橋側面に装着されたフ改良型のフューズド・アレイ・レーダー) 

f:id:fw688i:20191110113505j:image

 

海上自衛隊の「こんごう」級イージス護衛艦との大さ比較。手前から、中国海軍052C級駆逐艦、052D級駆逐艦:いずれも中国版イージス艦と言われる。一番奥が海上自衛隊「こんごう」級イージス護衛艦

f:id:fw688i:20191110115058j:image

 

「空母いぶき」に、空母機動部隊の護衛艦として登場している。「銀川:Yinchuan」「太原:Taiyuan」「南京:Nanjing」

米TVドラマ「ザ・ラストシップ」には同級4隻が登場。アーレイ・バーク駆逐艦のコピー艦と紹介されている。

 

055(南昌)級駆逐艦:Nanchang-class destroyer 同型艦:8隻(予定・1隻が就役済/4隻が進水済)就役:2019年~ 

ja.wikipedia.or

Type 055 destroyer - Wikipedia

 

中国海軍の最新型防空駆逐艦。052D級駆逐艦の拡大・改良版である。

12000tを超える大型艦で、初めて統合電気推進システムを採用している。

12000t、30ノット。米海軍は本級を巡洋艦に分類していると言われている。

VLS112セルに対空ミサイル、対艦ミサイル、巡航ミサイル、対潜ミサイルを搭載している、とされている。

主砲は052D級と同じ 130mm単装速射砲。他に、30mm CIWS、HHQ-10近接防空ミサイル発射機を各1基装備している。

対潜兵装としては、短魚雷発射管と対潜ヘリ2機を搭載している。

(145mm in 1:1250 Amatuer Wargame Figures製:3D printing model)

f:id:fw688i:20191110114116j:image

(同級に搭載されたVLS。前級よりもセル数が大幅に増加された)

f:id:fw688i:20191110114125j:image

(艦橋側面に装着された新型のフューズド・アレイ・レーダー) 

f:id:fw688i:20191110114132j:image

 

(中国海軍のイージス艦の艦型比較。手前から052C級駆逐艦、052D級駆逐艦、055級駆逐艦  

f:id:fw688i:20191110115502j:image

海上自衛隊の「あたご」級イージス護衛艦と中国海軍055級駆逐艦の大さ比較。「あたご」級イージス護衛艦(奥)、中国海軍055級駆逐艦(手前))

f:id:fw688i:20191110115511j:image



フリゲート 

駆逐艦同様、当初は対艦能力に重点を置いた設計になっていたが、次第に対空戦闘へとその装備の重点が移行した。空母の導入とほぼ同時に、より高い外洋航洋性を求められ、艦型を一気に大型化することで、それまでの補助的な戦力から、空母機動部隊の外殻を構成する十分な汎用性を確保した中核的存在へと発展を遂げている。 

形式が多岐にわたり、装備に多くのヴァリエーションがあるため、ここでは主要なもののみ紹介する。

 

053(江滬)級フリゲート:Jiang-hu class frigate  同型艦:12隻(現役)

ja.wikipedia.org

Type 053 frigate - Wikipedia

1970年代に1番艦が建造され、1990年代までに、対艦ミサイルを主要兵器とした中国海軍の主力哨戒艦艇として32隻が建造された。

現在、II型、Ⅲ型、Ⅴ型のうち、まだ12隻が現役で就役しているとされている。

江滬:Jiang-huはNATOのコードネーム。1450t(形式により差異がある)、26ノット。

装備等は、建造年代、形式によって異なる。

 

(写真はII型。100mm連装砲2基、対艦ミサイル連装発射機2基、対潜ロケット2基、37mm連装機関砲4基等を搭載している。82mm in 1:1250  Hai製)

f:id:fw688i:20191110154453j:image

 

053H(江衛)型フリゲート:Jiangwei-class frigate 同型艦:14隻

ja.wikipedia.org

Type 053H2G frigate - Wikipedia

1980年代から、それまでソ連の技術への依存から西側技術の導入に姿勢を改めて中国海軍が、前級に対空ミサイルとヘリコプター搭載能力を付加したものとして建造された。

江滬はNATOのコードネーム。2286t、27ノット。

100mm連装砲1基、対空ミサイルとしてHQ-61M6連想ランチャーまたはHQ-7 8連装ランチャーを1基搭載し、YJ-83対艦ミサイル4連装発射機2基、37mm連装機関砲4基、対潜ロケット発射機、対潜ヘリコプター1機などを搭載している。

 

(90mm in 1:1250 Hai製)

f:id:fw688i:20191110120005j:image

(053H級フリゲートの主要兵装の拡大。前部甲板上の100mm連装砲と対空ミサイル発射機(上)。艦中央部の対艦ミサイル発射機)

f:id:fw688i:20191110120027j:image

「空母いぶき」に「洛陽:Luoyang」が登場し、海自「ちょうかい」と交戦。「ちょうかい」の主砲により、主要兵装を破壊された。

f:id:fw688i:20191110143403j:image 

 

054(江凱)級フリゲート:Jiangkai-class frigate  同型艦:30隻

ja.wikipedia.org

Type 054 frigate - Wikipedia

 

外洋進出を目指す中国海軍の中核的な存在となるべく、艦型を一気に大型化し、これまでのフリゲートとは一線を画する高い航洋性を有している。

NATOのコードネームは「江凱」。3400t、27ノット。

西側諸国の技術を導入し、ステルス性を意識した艦容となった。

VLSに搭載した対空ミサイル、対潜ミサイルで高い対空・対潜戦闘力を保有し、YJ-83対艦ミサイル4連装ランチャー2基で対艦戦闘能力も確保した。他に対潜ロケット、短魚雷発射管、対潜ヘリ等、対潜兵装も充実した、汎用フリゲートとして一定の完成度に達している。

(108mm in 1:1250 Amatuer Wargame Figures製:3D printing model)

f:id:fw688i:20191110120253j:image

(同級に搭載されたVLSと艦中央部に装備された対艦ミサイル発射機)

f:id:fw688i:20191110120306j:image

 

(中国海軍のフリゲートの艦型比較。手前から053級、053H級、054級の順)

f:id:fw688i:20191110120456j:image

 

(中国海軍のフリゲート駆逐艦の艦型比較。054級フリゲート(手前)と052D級駆逐艦フリゲート艦の大さが駆逐艦に迫ってきている?) 

f:id:fw688i:20191110120651j:plain

 

ロシアからの購入を皮切りに、空母も国産化に移行しつつある。

これらの空母を中心とした空母機動部隊を構成するイージス艦、さらにはその周辺を護衛するフリゲート艦など、駒は揃いつつある。

 

**********

と言うことで、中国海軍の現用艦船、いかがでしたでしょうか?

その歴史上、ほぼ初めて海洋進出を目指している現代中国、彼らの海軍は間違いなく急速に成長しているようです。

その実力の程は不明ですが、明らかにならない方がいいのかもしれません。

 

次回は、多分、本稿の本筋に戻って、装甲巡洋艦アメリカ、ロシア、オーストリア=ハンガリー帝国など)、あるいは日本海軍の巡洋艦、どちらかを。

 

***模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。

 

 


艦船ランキング


戦史ランキング

護衛艦「いそかぜ」その三形態 (「亡国のイージス」から「空母いぶき」へ)

いそかぜ」と言う護衛艦

今回は、海上自衛隊護衛艦開発史のスピンアウト第二弾(誰が勝手にシリーズにしたんだ?)として、護衛艦いそかぜ」について、いろいろと。

 

まず最初に、本稿を読んでいらっしゃるような方ならば(艦船好きな、というほどの意味です)、おそらくご承知のこととは思いますが、海上自衛隊に「いそかぜ」と言う名前の護衛艦は、その創設以来、かつて存在していません。

にも関わらず、護衛艦いそかぜ」の名前は、そこそこ「有名」なのです。(そもそも、護衛艦の名前の認知率などは、たかが知れていますので、「有名」の基準とは何か、などと言う話は、まあ、それは、ちょっと横に置いておきましょう)

そして、実在しない護衛艦ながら、実は「いそかぜ」には、三つの形態があるのです。

今回は、そういうお話です。

 

まず最初に「いそかぜ」第二形態 

海上自衛隊 護衛艦いそかぜ」の名は、筆者の知る限り福井晴敏さんの小説「亡国のイージス」で初めて登場します。そしてこの小説が映画化され、その名は一層広く世に出ることになりました。(2005年)

福井晴敏」という原作者にして優れたプロデューサーを持つ「亡国のイージス」は、小説に始まり、映画に続き漫画にもなる、と言ういわゆるメディアミックス展開されます。

ja.wikipedia.orgYouTube 

 https://www.youtube.com/watch?v=moqAqiyJ4eo&t=66s

 

 

www.youtube.co 

www.youtube.com

「艦船好き」の皆さんなら、おそらく既にこの作品はご覧になったでしょうが、ざっとこの作品のあらすじをご紹介しておくと、イージス護衛艦いそかぜ」を舞台として、「いそかぜ」を乗っ取り、東京湾でグソー(GUSOH)という化学兵器(毒ガス)によるテロを実行し、世界に反北朝鮮の世論を沸騰させ、祖国の政治形態を転覆させようとする北朝鮮の元工作員ホ・ヨンファ(中井貴一)と、それを防ごうとして、乗組員として潜入した防衛省情報局(DAIS)の工作員如月(勝地領)の死闘を描いたものでした。

 

映画では、「こんごう」級イージス護衛艦の3番艦「みょうこう」(DDG-175)が、「いそかぜ」の撮影舞台として使用されています。ですので映画に登場する艦番号は「175」なのです。

(直下の写真は、F-toysの「みょうこう」をストレートに組み立てたもの)

f:id:fw688i:20191104140951j:image

映画の中で、「いそかぜ」に乗組員として潜入した防衛省情報局の工作員に協力する「いそかぜ」の先任伍長仙石(真田広之)が、「グソー(化学兵器)を発射するなら、前部のVLSか、後部のVLSか・・・」と迷うシーンがありますが、下の写真は艦首と後甲板の艦番号。それぞれの少し後ろ(前?)に前後部のVLSが写っています。
f:id:fw688i:20191104140954j:image

 仙石と如月は凄惨な死闘ののち、ホ・ヨンファの計画を阻止するのですが、最後に「いそかぜ」は自爆して沈没してしまいます。

 

余談ですが、亡国のイージスに登場する化学兵器「グソー(GUSOH)」は、アメリカ軍が沖縄で開発したVXガスの50倍の毒性を持つとされる神経ガスですが、福井晴敏さんの小説には数度にわたり登場します。(もちろんフィクションの世界です。・・・と筆者は希望します)

最初は「Twelve Y.O.」という小説で登場し、そのあまりに強力な毒性のために、漏出事件の末、ほぼ唯一効果を無効にできるテルミット・プラスという兵器(架空の強力な特殊焼夷弾)で、漏出を起こした辺野古基地ごと焼き払われてしまいます。(「辺野古ディストラクション」:福井作品では、しばしば登場します)

この残り(試料)が移送中に元北朝鮮工作員のホ・ヨンファに奪われて、「亡国のイージス」事件に話が繋がって行くのですが、さらに、これが驚くべきことに、数千年後にやはり福井晴敏さんの「ターンA・ガンダム」(小説名「月に繭 地には果実』)にも登場するのです。

ちなみに「グソー(GUSOH)」とは「後生」の沖縄方言読みで、冥界(死後の世界)を意味するそうです。

  

次に「いそかぜ」第三形態

そして「いそかぜ」は2019年に、もう一度映画に登場します。

それは本稿でも紹介した「空母いぶき」。「いそかぜ」は「いぶき」が所属する第五護衛隊群の一隻で、やはりここでも「こんごう」級イージス護衛艦の一隻、という設定です。

映画では「いそかぜ」ですが、原作であるコミックでは実在するイージス護衛艦「ちょうかい」として登場し、「いそかぜ」は登場しません。
ja.wikipedia.org

www.youtube.com

ちなみに、第五護衛隊群は原作コミックでは、「空母いぶき」(DDV-192)を中心に、これを護衛するイージス護衛艦「あたご」(DDG-177)、同じくイージス護衛艦「ちょうかい」(DDG-176)、汎用護衛艦「ゆうぎり」(DD-153)、「せとぎり」(DD-156)、AIP推進潜水艦「けんりゅう」(SS-504)、補給艦「おうみ」(AOE-426)で編成されていることになっています。

一方、映画では、諸々の設定の違い(周辺への配慮?)から、第五護衛隊群は全て架空艦で編成されています。「空母いぶき」(DDV-192)はそのままですが(これは元々架空艦です)、これを護衛するイージス護衛艦「あしたか」(DDG-190):原作では「あたご」、同じくイージス護衛艦いそかぜ」(DDG-161):原作では「ちょうかい」、汎用護衛艦「はつゆき」(DD-122):原作では「ゆうぎり」、「しらゆき」(DD-124):原作では「せとぎり」、AIP推進潜水艦「はやしお」(SS-515):原作では「けんりゅう」、というような変更が加えられています。

 

(直下の写真は、「空母いぶき」版イージス護衛艦いそかぜ」。F-toysの「ちょうかい」をベースにして、艦番号をデカールを貼り替えて変更しました。ちなみに艦番号「161」は、現用艦では使用されておらず、初代「あきづき」級護衛艦の一番艦「あきづき」の番号です)

f:id:fw688i:20191104141016j:plain

(直下の写真は、艦首部、艦後甲板の艦番号の拡大)
f:id:fw688i:20191104141019j:image

 そして、「いそかぜ」をこの映画で一際目立たせた要因は、なんと言っても山内圭哉さんが扮する浮舟艦長の「いてまえ〜!」ではなかったでしょうか?

www.youtube.com

 原作コミックでも「ちょうかい」艦長の浮舟一佐は、ここぞと言う時には関西弁で指揮をとります。

 

そして「いそかぜ」第一形態

さて、なぜ、本稿が「いそかぜ」第二形態から始まったか、と言うお話になるのですが、これまで二形態の「いそかぜ」をご紹介してきましたが、この2隻はいずれも「こんごう」級イージス護衛艦の外観を示してきました(あまり明言はされていないような記憶があります)。

が、実は「亡国のイージス」の原作小説に登場するいわゆる初代「いそかぜ」は、「はたかぜ」級ミサイル護衛艦の3番艦として登場します。

皆さんはご承知だと思いますが、「はたかぜ」級ミサイル護衛艦は、海上自衛隊の対空ミサイル護衛艦としては第三世代にあたり、搭載するシステムはイージス・システムではなく、ターター・システムでした。ターター・システム搭載艦としては、「はたかぜ」級は最終世代に属し、システムもデジタル技術の導入により高度化し、イージス以前のミサイル駆逐艦としては頂点に立つ、という評価を得ていましたが、やはり弱点として、2-3目標までしか捕捉追尾出来ないと言う限界を抱えていました。

海上自衛隊でも次世代DDGとしてイージス・システム搭載艦が就役しており、第一線で活躍できる期間はそれほど長くないと思われていました。

一方、次々と就役が予定されているイージス艦は、従来のDDHを中心とした護衛隊群の艦隊防空の他に、周辺有事の状況変化(相次ぐ北朝鮮弾道ミサイルの発射実験など)に伴い、弾道ミサイル防衛(BMD)の役割も担うこととなります。実はこの二つの役割は迎撃高度、タイミングの差異から、同時対応、つまり両立が難しく、新たに艦隊防空の任務の分担を検討することが必要になってきます。

現在、実際にはこの役割は、イージス艦とコンビを組む汎用護衛艦に一部負担させるべく、汎用護衛艦の高性能化で対応することになっていますが、「亡国のイージス」では、「はたかぜ」級3番艦の「いそかぜ」に試験的に白羽の矢が立ち、この対策の一つとして、試験艦「あすか」で試験されてきた「ミニ・イージス・システム」を搭載し、それに関連する改装を行った、と言う設定になっています。

これに関連した記事(もちろん架空)が下のURLにあります。

http://www.masdf.com/news/isokaze.html

www.masdf.com

この、ミニ・イージス・システムの搭載に伴い、艦橋前に搭載されていたアスロック・ランチャーを16セルのVLSに換装し、従来から搭載されていた艦首のMK.13ミサイル発射基に加え発射即応性を高め、主砲も従来の54口径5インチ単装速射砲(Mk.42)から、オート・メララ製の54口径5インチ単装速射砲(127mmコンパット砲)に変更し、対空能力の向上が図られました。

(直下の写真は、F-toys製「はたかぜ」をベースに改装された「いそかぜ」。「はたかぜ」の艦橋上部にDesktop Fleet 製のAsukaの艦橋上部のイージスシステムドームを追加。主砲を換装し、アスロックランチャーに換えて16セルのVLSを搭載しました。さらに艦番号を183に変更)

f:id:fw688i:20191104141042j:image

www.shapeways.com

(艦橋上部に追加搭載されたイージスシステムドームと、換装した主砲、VLSのアップ。艦番号を変更)

f:id:fw688i:20191104141115j:image

 

いそかぜ」という名前

ところで、本稿を読んでいただいているような方ならば、映画で「いそかぜ」が「こんごう」級 イージス護衛艦の姿で登場したことに若干の違和感を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

イージス護衛艦「こんごう」級は「こんごう」「きりしま」「みょうこう」「ちょうかい」と全て「山」の名前がつけられており、その後の「あたご」級でも、「あたご」「あしがら」と山の名前を命名することが踏襲されています。これは旧海軍の重巡洋艦巡洋戦艦(後に高速戦艦)が「山」の名前を艦名としてことを踏襲しています。

 

元来、護衛艦はDDの分類符号からも、多くは駆逐艦に分類され、旧海軍の慣例に倣って(慣例かどうかはよく知りませんが、多分そうですよね)「つき」「なみ」「きり」「ゆき」「あめ」そして「かぜ」など気象関連の名前が付けられる事が、創設以来一般的でした。

その慣例は海上自衛隊初のヘリコプター搭載護衛艦「はるな」級の就役から変わって行きます。「はるな」級は「はるな」「ひえい」、続く「しらね」級では「しらね」「くらま」と、以降、大型艦には「山」の名前がつけられるようになります。前出のイージス護衛艦もこの系列にありますね。(さらに最近はさらに大型の全通甲板型のDDHには日本の律令制以来の旧国名が艦名として使われ始めています。「ひゅうが」級の「ひゅうが:日向」「いせ:伊勢」、「いずも」級の「いずも:出雲」「かが:加賀」という感じですね)

そうした意味では、「こんごう」級イージス護衛艦の形態を示す艦に「いそかぜ」と気象関連の名前を付けることには違和感を覚えずにはいられません。

では、護衛隊群の防空を担うイージス艦以前のミサイル護衛艦(DDG)にはどのような名前がつけられていたか、というと、その初代は「あまつかぜ」、第二世代「たちかぜ」級は「たちかぜ」「あさかぜ」「さわかぜ」、そして第三世代「はたかぜ」級は前出のように「はたかぜ」「しまかぜ」と、全て「かぜ」で統一されています。

従って、「はたかぜ」級の3番艦であれば、「いそかぜ」の名はふさわしい、と言うべきでしょう。

 

もう一つ、ついでに艦番号について。

艦隊防空を担うDDGは、「あまつかぜ」DDG-163、「たちかぜ」級3隻がDDG-168~170、「はたかぜ」級2隻がDDG-171, 172、続くイージス艦「こんこう」級の4隻がDDG-173~176、「あたご」級2隻はDDG-177,178、そして最新の「まや」級2隻がDDG-179,180と続きます。

艦隊防空、という視点で言えば、初代「あきづき」級の2隻も、そういう役割を負っていましたが、艦番号はDD-161,162でしたし、「あまつかぜ」と「たちかぜ」級の間の「たかつき」級4隻(DDA-164,165,166,167)も、新型の54口径5インチ単装速射砲(Mk.42)を2基搭載する対空能力に優れた艦でした。「こんごう」級の就役以前には、ターター・システム搭載のDDGとDDA「たかつき」級が護衛隊群の防空を担当するという時期がありました。

こうした観点で見れば、「空母いぶき」に登場した浮舟艦長の「いそかぜ」第二形態がDDG-161の艦番号を継承したことも、なんとなく納得ですね。

f:id:fw688i:20191104221821j:image

一方で「はたかぜ」級3番艦である「いそかぜ」第三形態が背負っているDDG-183は、現在、DDH「いずも」の番号になっていますが、当時はおそらく「いずも」級の計画前であり、この番号を付与された、と考えることもできるでしょう。

f:id:fw688i:20191104221943j:image

 と、名前、艦番号にも選択や付与に一定の法則がありそうです。これもまた興味深い。

 

幻の「亡国のイージス」前日譚:Call the Role

余談ですが、長編小説「亡国のイージス」には、その姉妹編として、この改装にまつわる前日譚を描いた短編小説集があるのです。

その改装は非常に大規模で、約9ヶ月を要しました。更にその後の公試などで再就役までに、「いそかぜ」はほぼ1年を要しているのです。

その改装工事中には、前出の「いそかぜ」の仙石先任伍長 は、造船所とのやり取りに疲れ果て、完工後には艦橋上に現れた「芽の生えたタマネギ」のようなミニイージスシステムのドームを見て「おれの艦を、こんなに不細工に造り変えやがって」と憤慨し、更に彼自身の部署であったターター・システムがミニ・イージス・システムによって無用の長物化したことに、自分も時代遅れになったかのように寂しい思いをするのです。

さらに、艦長と副長以外ほとんどの幹部クルーが入れ替わり(実は、この異動は、その後のテロ実行に向け仕組まれたものだったのですが)、乗組員たちも入れ替わり、これから先の混乱を予想して、先任伍長はため息をつくのです。

・・・と言うような「亡国のイージス」前日談が、実は「Call The Role」という別冊小説になっています。この本は仙石先任伍長だけでなく、その他の主要な本編登場人物の前日譚の短編集というような趣の本になっています。(「Call The Role」というのは「点呼」というような意味合いだそうです)

f:id:fw688i:20191104190652j:image

この本、実はピットロード社製の「いそかぜ」のフィギュアとセットで販売されていたのですが、今や入手が非常に困難な「幻の本」となっています。

https://www.amazon.co.jp/原作版《いそかぜ》-精密フィギュアセット-福井-晴敏/dp/4062751518

フィギュアはさておき、本だけでも再版されればいいと思うのですが。できれば文庫本でね。

この本にはもう一つ、大変貴重な点があります。実はその後書き(?)がフィギュアを手掛けた模型メーカー「ピットロード」の企画開発部のお二人(そのうちの一人は原型製作者)によって書かれているのです。前述の「後書き」という言葉に?をつけたのは理由があって、後書きと言うよりも、「いそかぜ」のFRAMによる性能向上と意義を記述された内容になっています。大変コンパクトで面白い!

欲しくなってきたでしょう。再版してくれればいいのに。

 

おまけ?

さて、最後に直下の写真は、「はたかぜ」級ミサイル護衛艦のそろい踏み(?)。手前からDDG-172「しまかぜ」、DDG-171「はたかぜ」、DDG-183「いそかぜ」の順。
f:id:fw688i:20191104141113j:image

 前出の「DDG-183」の記事www.masdf.comには、僚艦「うらかぜ」と共に第65護衛隊を編成、という記載があります(もちろん架空ですよ)。どうしようかな、「うらかぜ」も作ってみようかな。

しかし、同記事の中にはしかしこの近代改修工事は、いそかぜの場合で450億円と高額であるため財務省片山さつき担当主計官は「近年の緊縮財政期においてこのような費用対効果が悪い計画に意味があるのか?ミニ・イージス戦艦なんて時代遅れよ!」と、今後の予算化には消極的。またアメリカ政府も日本の「ミニ・イージスシステム」開発に対して日本の軍事的独立を警戒し不快感を募らせており、今後順調に計画が進行するかどうかはまったく不透明である」という記載があり、その後さらにミニ・イージス化が進められたのかどうか。

つまり「うらかぜ」をミニ・イージス搭載艦形態で作るべきかどうか、はっきりしませんね。ちょっと困った。

・・・ああ、そうか、いいこと思いついた。両方作っちゃえ!

まあ、これも新たな楽しみ発見、ということで。

 

ということで、今回はおしまい。

 

次回は本稿の本筋に戻って、装甲巡洋艦アメリカ、ロシア、オーストリア=ハンガリー帝国など)、あるいは日本海軍の巡洋艦、どちらかを。

***模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。

 

これまで本稿に登場した各艦の情報を下記に国別にまとめました。(今回紹介した艦船からのアップデートは特にありません。でも、こっそり日本海軍の筑波級巡洋戦艦装甲巡洋艦の写真が変わっていたりするかも)

fw688i.hatenadiary.jp

内容は当ブログの内容と同様ですが、詳しい情報をご覧になりたい時などに、辞書がわりに使っていただければ幸いです。

 

 


艦船ランキング


戦史ランキング

 

海上自衛隊 潜水艦開発史

旧日本海軍は、その潜水艦開発に、独自の戦略と技術の方向性を持つユニークな存在であった。用兵面では、その海軍の成立の背景から、あまりに艦隊決戦にこだわったため、潜水艦本来の特性を十二分に活かす事ができなかったが、長い航続距離と優れた航洋性を持ち、一部には航空機を搭載するなど独自の発展を遂げたと言っていい。

大戦末期にはいわゆる「可潜艦」からの脱却を目指し、潜水航行を主眼においた水中高速潜水艦の保有に至っていた。

海上自衛隊の潜水艦開発史は、海上自衛隊発足直後の米海軍からの貸与艦に始まり、上記の技術の上に早い時期に国産艦の建造に着手した。

海上自衛隊の創立から今日に至るまで、以下に紹介する11級の潜水艦を保有している。

 

黎明期の貸与潜水艦 

 潜水艦くろしお(1955:再就役-  同型艦なし:1526トン、水中8.8ノット・水上20.3ノット、魚雷発射管:艦首6門・艦尾4門)

ja.wikipedia.org

USS Mingo (SS-261) - Wikipedia

海上自衛隊の発足直後、日米艦艇貸与協定により米海軍から貸与された。前身はガトー級潜水艦ミンゴである。

ガトー級潜水艦は都合77隻が建造され、多くはガピー改装と称する艦齢延長のためを受け近代化されるなど近代化対応したが、ミンゴはモスボール艦の状態から貸与艦となったため、そのような改装は受けず、それどころかシュノーケルさえ装備されていなかった。

(Takara 1:700 世界の艦船 海上自衛隊潜水艦史「くろしお」(1955)130mm in 1:700)

f:id:fw688i:20191020174952j:image

「くろしお」は、本稿でも紹介した私の幼少期の愛読書「サブマリン707」の初代707のモデルとなった。「どんがめ」の愛称で、その旧式性を謗られ、あるいは親しまれながら、大活躍する。

f:id:fw688i:20191025221425j:image

(直下の写真は、Takara:世界の艦船シリーズ サブマリン707 1:1000スケール。ちょっと、わかってもらいにくかもしれませんが、懐かしい。涙モノ、なのです。 93mm in 1:1000)

f:id:fw688i:20191026150207j:image

(さらに、Takara:世界の艦船シリーズ サブマリン7072世 1:1000スケール。右下写真に注目!シュノーケルには「ガー(噛み付き)」マーク(小沢さとる先生命名)が再現されています。これも、涙・・・101mm in 1:1000)

f:id:fw688i:20191026150215j:image

 

併せて「くろしお」は、映画「潜水艦イ57降伏せず」には、日本海軍の潜水艦役で登場した。

www.youtube.com

 

初の国産潜水艦

 潜水艦おやしお(初代)(1960-  同型艦なし:1150トン、水中19ノット・水上13ノット、魚雷発射管:艦首4門)

ja.wikipedia.org

JDS Oyashio - Wikipedia

日本が戦後初めて建造された初の国産潜水艦である。

前出の米海軍からの貸与艦「くろしお」が、第二次世界大戦の中期までの潜水艦の主流であった水上航行を主体としたいわゆる「可潜艦」であるのに対し、旧日本海軍が戦争末期に建造した水中高速潜水艦(潜高型:せんたかがた)伊201級をタイプシップとして、水中を高速で航行する水中高速潜水艦の系列に属するシュノーケルを装備した潜水航行を通常とする「潜水艦」であった。

機関は米国から貸与された「くろしお」を範にとりデーゼル・エレクトリック方式とし、二軸推進であった(ディーゼルエンジンで発電機を回し、その発生電力でモーターを回し推進力を得る形式。旧日本海軍の潜水艦は、浮上時にはデーゼルエンジンで推力を得ると同時に発電機を回し充電を行い、潜水時には充電された電力でモーターを回し推力を得ていた。第二次大戦期までは、ドイツの高名なUボートなど、こちらの推進方式の方がどちらかというと主流であった)

(Takara 1:700 世界の艦船 海上自衛隊潜水艦史「おやしお」(1960)110mm in 1:700)

f:id:fw688i:20191020175024j:image

 

本格的国産潜水艦の登場

はやしお級潜水艦 (1962- 同型艦2隻:750トン、水中14ノット、水上11ノット、魚雷発射管:艦首3門)

ja.wikipedia.org

Hayashio-class submarine - Wikipedia

第1次防衛力整備計画で建造された局地防衛用の対潜水艦戦用潜水艦である。

セイル前方と艦首には索敵用パッシブ・ソナーを配置し、攻撃用のアクティブ・ソナーを艦底に装備した。

機関はディーゼル・エレクトリック方式を採用し、推進機は二軸である。海中での運動性には優れていたが、小型の船体ゆえ荒天下でのシュノーケル運用に課題があり、水上航行にも問題を抱えていた。さらに居住性は劣悪であったとされている。

(Takara 1:700 世界の艦船 海上自衛隊潜水艦史「はやしお」級(1962)85mm in 1:700)

f:id:fw688i:20191020175052j:image

 

なつしお級潜水艦 (1963- 同型艦2隻:790トン、水中15ノット、水上11ノット、魚雷発射管:艦首3門)

ja.wikipedia.org

Natsushio-class submarine - Wikipedia

前級「はやしお」級の発展形として2隻建造された。「はやしお」級同様、局地防衛用の対潜戦用潜水艦である。船型をやや拡大し、大型のアクティブ・ソナーを船体下方に昇降式で装備した。

(Takara 1:700 世界の艦船 海上自衛隊潜水艦史「なつしお」級(1963)88mm in 1:700

f:id:fw688i:20191020175114j:image
f:id:fw688i:20191020175127j:image

(直上の写真は、「なつしお」級の外観的な特徴である昇降式のアクティブ・ソナードーム)

 

潜水艦おおしお (1965- 同型艦なし:1628トン、水中18ノット、水上14ノット、魚雷発射管:艦首6門、艦尾2門

ja.wikipedia.org

JDS Ōshio - Wikipedia

米海軍からの貸与艦「くろしお」の代替艦として、建造された。

前出の「はやしお」級、「なつしお」級はいずれも船型が小型で、運動性には優れるものの、荒天下でのシュノーケル運用、あるいは水上航行性能等、性能的には限界があった。

これらを踏まえ「くろしお」の代艦は、ほぼ「くろしお」に等しい大型の船型で建造された。

推進方式はこれまで同様、ディーゼル・エレクトリック方式で、二軸推進である。

パッシブ・ソナーは艦首下部とセイル前端に装備し、アクティブ・ソナーは「なつしお」級と同様に艦底、発令所下部当たりに吊り下げ式で装備した。

 

(Takara 1:700 世界の艦船 海上自衛隊潜水艦史「おおしお」(1965)126mm in 1:700)

f:id:fw688i:20191020175241j:image
f:id:fw688i:20191020175300j:image

(直上の写真は、おおしおの外観的な特徴である吊り下げ式のアクティブ・ソナードーム)

 

あさしお級潜水艦 (1966- 同型艦4隻:1650トン、水中18ノット、水上14ノット、魚雷発射管:艦首6門、艦尾2門

ja.wikipedia.org

Asashio-class submarine - Wikipedia

基本的に「おおしお」をタイプシップとして、発展させたものである。

機関はデーゼル・エレクトリック形式を踏襲しているが、騒音軽減のための防振・防音対策が図られた。二軸推進である点は変わらない。

前級との大きな相違点は艦首形状が水上航行を意識した形状に変わり、併せて艦底に吊り下げ式で装備されたアクティブ・ソナードームは、艦首下部に移動された。 

(Takara 1:700 世界の艦船 海上自衛隊潜水艦史「あさしお」級(1966)126mm in 1:700)

f:id:fw688i:20191020175336j:image
f:id:fw688i:20191020175400j:image

(直上の写真は、あさしおの外観的な特徴である艦首の吊り下げ式のアクティブ・ソナードーム。艦首の形状が前級の「おおしお」とは異なる)

 

涙滴型潜水艦の建造

うずしお級潜水艦 (1971- 同型艦7隻:1850トン、水中20ノット、水上12ノット、魚雷発射管:艦首部6門

ja.wikipedia.org

Uzushio-class submarine - Wikipedia

本級から、海上自衛隊の潜水艦形状は水中性能をより重視した涙滴型の艦型に移行する。機関はディーゼル・エレクトリック形式を踏襲するが、これまでの二軸推進から一軸推進へと改められた。これにより20ノットに水中速力は向上し、形状から不適と見られた水上でも12ノットで航行ができた。

これまでパッシブ、アクティブの二系統に分かれ分散装備されていたソナーを統合ソナーとして艦首のドームに配置し、全方位の同時監視を実現した。艦首部に大きなソナードームが配置された事で、魚雷発射管は艦首部よりもやや後ろに片舷3門づつ、やや斜め、艦中心線から外側に10度の角度を持って配置されることとなった。

操舵装置に初めてジョイスティックを採用し、それまで船体に装備されていた潜舵はセイルに移動した。

(Takara 1:700 世界の艦船 海上自衛隊潜水艦史「うずしお」級(1971)103mm in 1:700)

f:id:fw688i:20191020175432j:image

f:id:fw688i:20191020175747j:image

(本級から、ソナーが統合ソナーとして艦首部に装備された。これに伴い、魚雷発射管は、艦首より少し後方に中心線から少し角度をつけて配置された)

 

ゆうしお級潜水艦 (1980- 同型艦10隻:2200トン、水中20ノット、水上12ノット、魚雷発射管:艦首部6門

ja.wikipedia.org

Yūshio-class submarine - Wikipedia

うずしお」級の発展形であり、涙滴型潜水艦の第二世代にあたる。

船体を大型化し、武器・操縦システムの強化、さらにスクリューの形状改良、防振・防音対策の充実などから、静粛性の向上が図られた。

ソナー等は基本「うずしお」級の形式を踏襲したが、デジタル化等が図られ、性能は黄向上している。4番艦「おきしお」では曳航ソナーが装備され、探知能力が受実した。その装備にともない、セイル後方から艦尾に曳航ソナー周用のための鞘が装備された。

この装備は、順次他艦にも追加装備されていく。

5番艦「なだしお」以降の艦では、艦首部の魚雷発射管から対艦ミサイル「ハープーン」が発射可能となった。

(Takara 1:700 世界の艦船 海上自衛隊潜水艦史「ゆうしお」級・「せとしお」(1980)105mm in 1:700)

f:id:fw688i:20191020175452j:image

f:id:fw688i:20191026112239j:image

(「せとしお」を反対舷から撮影したもの。4番艦「おきしお」以降、準じ装備された曳航ソナーの収納鞘が見える:ちょっとわかりにくいですが、セイルの付け根から艦尾にかけて長く伸びている膨らみが、それです) 

 

はるしお級潜水艦 (1990- 同型艦7隻:2450トン、水中20ノット、水上12ノット、魚雷発射管:艦首部6門 

ja.wikipedia.org

Harushio-class submarine - Wikipedia

海上自衛隊の涙滴型一軸推進潜水艦の第三世代であり、7隻が建造された。

雑音低減対策が最優先して実行され、「ソノブイ視認までは、シュノーケル航行しても探知されない」静粛性を獲得したと言われるほど、徹底化した水中放射雑音低減が図られている。

本級で日本の潜水艦の静粛性は世界レベルで見ても最高水準に達したと言われている。

装備面での特徴はソナー等のデジタル化および国産化が挙げられる。

(Takara 1:700 世界の艦船 海上自衛隊潜水艦史「はるしお」級・「はやしお」(1990)110mm in 1:700)

f:id:fw688i:20191020175515j:image

f:id:fw688i:20191026120125j:image

 (「はるしお」級の曳航ソナーの収納鞘の形状。前出の「ゆうしお」級の長い収納さや形状と比較して小型化しており、この辺りにも水中放出雑音対策の一環がうかがえる)

 

「あさしお」の改装

同級の7番艦「あさしお」は練習潜水艦籍への移行後、先進潜水艦技術のテストヘッドとしての役割が与えられ、多くの改装が施された。

最も大きな改装は、スターリング式AIP(非大気依存推進機関)追加搭載のために、艦中央部に区画を追加し9メートル船体が長くなったことである。これにより基準排水量は2900トンとなった。

本艦で、2003年からスターリング式AIPのテスト運用が行われ、その結果、後述の「そうりゅう」級潜水艦への搭載が決定された。

(船体を延長した「あさしお」Takara 1:700 世界の艦船 海上自衛隊潜水艦史「はるしお」級2隻の船体を結合してセミクラッチ 123mm in 1:700)
f:id:fw688i:20191020175611j:image
f:id:fw688i:20191020175618j:image

 (直上の写真は、「はるしお」級と「あさしお」の艦型比較)

 

涙滴型一軸推進(SSS)潜水艦 の艦型比較

(直下の写真は、海上自衛隊が建造した涙滴型一軸推進潜水艦の関係を比較したもの。

左から「うずしお」級、「ゆうしお」級、「はるしお」級の順。艦の大型化の推移がよくわかる)

f:id:fw688i:20191020175615j:plain

 

涙滴型から葉巻型へ

側面アレイ・ソナーの導入の要請から、従来の涙滴型から葉巻型へと艦型が移行した。

おやしお級潜水艦 (1998- 同型艦11隻:2750トン、水中20ノット、水上12ノット、魚雷発射管:艦首6門
ja.wikipedia.org

Oyashio-class submarine - Wikipedia

水中吸音材と側面アレイ・ソナーの二つの新開発装備導入を主目的として本級は建造された。

側面アレイ・ソナーの装着には高い精度が要求され、この目的のためには耐圧殻への設置が望ましいとされた。併せて、魚雷発射管は艦首へ移動し、艦首部ソナーとの関係から魚雷発射管を上部に、ソナーを下部に設置する配置となった。

これらの経緯から、本級では、これまでの涙滴型一軸推進から、葉巻型一軸推進へと、艦型が変化した。

今一つの特徴が、ステルス性の追求であった。1980年代以降、ソナー関連技術の発展はめざましく、水中放出雑音の低減では対応しきれない状況に至っていた。一方で、艦型も大型化し、このため本級では新開発の水中吸音材が導入された。これは発振された音に対し逆位相の音を発することでこれを打ち消すというパッシブノイズキャンセラーとして機能する吸音材であった。

(Takara 1:700 世界の艦船 海上自衛隊潜水艦史「おやしお」級・「なるしお」(1998)117mm in 1:700)

f:id:fw688i:20191020175644j:image

(直下の写真は、「おやしお」級の最大の特徴である側面アレイ・ソナー。

f:id:fw688i:20191026141006j:image
f:id:fw688i:20191020175642j:image

(直上の写真は、側面アレイ・ソナーの導入により艦首に設置された魚雷発射管。上部2基、下部4基の配置となっており、さらにその下部にはソナーが装備されている)

 

AIP(非大気依存推進)潜水艦の登場

そうりゅう級潜水艦 (2009- 同型艦12隻:1650トン、水中20ノット、水上13ノット、魚雷発射管:艦首6門 

ja.wikipedia.org

Sōryū-class submarine - Wikipedia

海上自衛隊では1950年代以降、通常動力潜水艦(非原子力潜水艦というほどの意味です)の水中持続性を高める推進システムとしてAIP(非大気依存推進:Air-Independent Propulsion) の研究を進めてきた。

AIPの詳述は例によって他の優れた解説に譲るが、前出の「あさしお」での試験運用の実績を経て、本級の建造に至り、スターリング式AIPの実装が行われた。

ja.wikipedia.org

11番艦以降では、リチウムイオン電池の導入により、さらに水中持続性の向上を目指すと言われている。

機関以外の部分は、基本的に前級「おやしお」級の発展形で、システムのアップグレード、効率化などが図られより高性能な潜水艦に仕上がっている。外観的な特徴としては、X字型の艦尾舵を採用したことである。この採用により、水中での運動性を高める効果があった。

一方で、全長11メートルに及ぶスタリング式AIPユニットを「おやしお」級よりも2メートルだけ長い艦体に搭載したため、居住スペースは大きな圧迫を受けた。

 武装は「おやしお」級に準じ、艦首の6門の魚雷発射管から、魚雷と対艦ミサイル「ハープーン」を発射できる。

(PitRoad 1:700 海上自衛隊潜水艦史「そうりゅう」級(2009)120mm in 1:700 )

 

f:id:fw688i:20191020175704j:image

(「そうりゅう」級の外観的特徴の一つであるX字型艦尾舵)

f:id:fw688i:20191020175725j:image

 

そうだ、思い出した。AIP推進といえば・・・

前出の筆者幼少期の愛読書小沢さとる先生の「サブマリン707」には、姉妹シリーズ(などという、いい加減極まりない紹介をしてもいいものでしょうか?)「青の6号」がある。

ja.wikipedia.org

この青の6号が所属する国際海洋組織の敵役が秘密結社マックスなのだが、その主力潜水艦が「ムスカ」である。

この「ムスカ」、なんとAIP推進(ワルター機関)なのである。

ワルター機関(ヴァルター機関)とは、高濃度の過酸化水素電気分解した際に発生する酸素を用いて推力を得ようとする機関で、実際に第二次世界大戦中にドイツで試作艦の建造にまでこぎつけた。その後、この方式は研究されることはなかったのだが、秘密結社マックスがこれに目をつけ実用化した、というお話の展開になっている。

ja.wikipedia.org

秘密結社マックスの潜水艦「ムスカ 

実は筆者は、この「ムスカ」がこれまでに見た最も美しい潜水艦だと思っているのです。

ムスカ」と言っても、「青の6号」が少年サンデーに連載されたのが1967年からですので、例の高名な「ムスカ大佐」の登場する映画の約20年前に筆者はこの名前に触れていたことになるのです。まあ、あまりたいした意味はありませんが。

(Takara 世界の艦船シリーズ  in 1:700)

f:id:fw688i:20191026155712j:image

(直下の写真は、ムスカ66号。この艦は、セイル後尾に装着したコントローラーで、なんと「赤ハゲ」なる巨大な海獣(怪獣?写真右下)を操ることができるのです)

f:id:fw688i:20191026160639j:image

 

いい機会なので、本命の「青の6号

海洋の安全を守る国際機関「青」に参加している日本の潜水艦「くろしお」。元々は通常動力潜水艦だったが原子炉を搭載し原潜に改装、つまりここでも「どんがめ」というような評価です。性能は腕でカバー、というような設定で、大活躍します。セイル後ろに「フリッパー」という名前の潜航艇を搭載しています。旧日本海軍甲標的ややがては回天など、潜航艇を多く運用していましたね。その名残かも?

 (Takara:世界の艦船シリーズ 112mm in 1:1000)

f:id:fw688i:20191026162607j:plain

 

もう一隻「青の1号」

「青」に参加しているアメリカの潜水艦「コーバック」。圧倒的な高性能艦として活躍します。が、初代は、前出の「赤ハゲ」に翻弄されて、岩壁に衝突する、という最後を迎えます。でも、そこはアメリカ海軍、すぐに二代目を就役させるのですが。

(Takara:世界の艦船シリーズ 112mm in 1:1000) 

f:id:fw688i:20191026162605j:plain

 

「青」の本部ドームを守るガードロボットの「ノボ」

世界の潜水艦の推進基の音をデータベースに持ち、音紋から敵味方を判断し、必要であれば肩口部分のスロットから「スクリューパンチ」なる対潜ロケットを発射して相手を行動不能にします。

(Takara:世界の艦船シリーズ 54mm hight in 1:1000?)

f:id:fw688i:20191026162610j:plain

・・・ということで、ここまま放っておくとどんどん「青の6号」ワールドに迷い込んでしまいそうですので、この辺りにしておきましょう。

 

一応、海上自衛隊潜水艦開発史は終了です。

 

次回はもう一つ、海上自衛隊のシリーズのスピンアウト(?)として、護衛艦いそかぜ」のショートコーナーを予定しています。

 

***模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。

 

これまで本稿に登場した各艦の情報を下記に国別にまとめました。(今回紹介した艦船からのアップデートは特にありません。でも、こっそり日本海軍の筑波級巡洋戦艦装甲巡洋艦の写真が変わっていたりするかも)

fw688i.hatenadiary.jp

内容は当ブログの内容と同様ですが、詳しい情報をご覧になりたい時などに、辞書がわりに使っていただければ幸いです。

 

 


艦船ランキング


戦史ランキング

 

 

 

海上自衛隊 護衛艦発達史(5) 空母型DDHの登場

全通甲板型護衛艦(空母型DDH)の登場

潜水艦の静粛化、高性能化を想定する場合、多数のヘリコプターを搭載する空母型護衛艦保有は、海上自衛隊にとって、多年の念願であった。本稿で既述ではあるが、遡れば、古くは海上自衛隊発足時に既に米海軍からはヘリ空母として運用可能な小型空母の貸与の申し出があった。

併せて、冷戦終結後の複雑化する周辺の国際状況、非正規軍事勢力への対応等を想定した場合、あるいは要請が高まりつつある国際平和活動、災害救援活動等にも、機動性に富む多数の航空機運用が可能な艦艇の保有は、次第に必要性の度合いを高めた。

こうして、いよいよ海上自衛隊は空母型DDHを中心とした編成の時代を迎えるのである。

 

 DDH ひゅうが級ヘリコプター搭載護衛艦(2009- 同型間2隻)

ja.wikipedia.org

Hyūga-class helicopter destroyer - Wikipedia

海上自衛隊が初めて導入した空母型(全通甲板型)ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)である。最大の特徴は、なんと言っても多数のヘリコプターの運用能力がある事で、固有の搭載機こそ、「はるな級」DDHや「しらね級」DDHと同様に3機であるが、格納甲板には8機分の収納スペースが確保されており、最大10機のヘリコプター運用能力があるとされている。

併せて、護衛隊群司令部の収容に対応する司令部施設も設計当初から組み込まれており、高い通信機能等も保有し、災害時の対策本部機能、海外派遣時の統合任務部隊の司令部機能などへの活用が期待されている。

これらを具現化するために、船体は非常に大型化し、護衛艦としては初めて基準排水量が10000トンを大きく超える大型艦となった(13950トン、30ノット)。

(158mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをほぼストレートに組んだもの)

f:id:fw688i:20191020114200j:image

 

同級DDH、いわゆる通常の航空機の運用に特化した「空母」と異なる点は、Mk.41 VLS 16セルから、対空・対潜ミサイルを発射する護衛艦としての戦闘能力を有し、併せて対潜短魚雷発射管も保有しているところである。

加えて個艦防御用には、2基のCIWS保有している。

f:id:fw688i:20191020114647j:image

(直上の写真は、飛行甲板最後尾に配置されたMk.41 VLS)

 

DD あきづき級護衛艦(2012- 同型艦4隻)

ja.wikipedia.org

Akizuki-class destroyer (2010) - Wikipedia

「むらさめ級」(9隻)、「たかなみ級」(5隻)と続いた汎用護衛艦第二世代の発展形として4隻が建造された。現在の護衛隊群の基準構成艦となっている。(5100トン、30ノット)

イージス艦への要請が、周辺有事の変化により艦隊防空から弾道ミサイル防衛(BMD:Ballistic Missile Defense)に拡大する事によって、BMD対応時には両立の難しいAWSを汎用護衛艦で対応しようとの目的で、僚艦防空の能力を備えるFCS-3A射撃システムを中核とする防空システムを搭載している。

(121mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをほぼストレートに組んだもの)

f:id:fw688i:20191020114702j:image

大小1組から構成されるFCSー3A多目的レーダーを艦上部構造の、艦橋とヘリコプターハンガー上の4面に貼り付けて装備しており、ステルス性を意識した形状となった。

f:id:fw688i:20191020114727j:image

(直上の写真は、艦上部構造の4箇所に貼られたFCSー3A多目的レーダーアンテナ)

 

兵装は、基本的に「あたご級」DDGに準じ、艦首部のMk. 41 VLS 32セルに、発展型シースパロー(ESSM)と垂直発射型アスロック(VLA)を搭載、 主砲には62口径5インチ単装砲(Mk. 45)、対艦兵装として90式対艦誘導弾の4連装キャニスター2基、さらに対潜兵装として対潜短魚雷3連装発射管を両舷に装備、個艦防空用にCIWS2基を搭載している。 

ja.wikipedia.org

f:id:fw688i:20191020114824j:image

(艦首部の主要兵装。Mk. 41 VLS 32セル:発展型シースパロー(ESSM)と垂直発射型アスロック。 主砲:62口径5インチ単装砲(Mk. 45)。CWIS)

 

f:id:fw688i:20191020114951j:image

(艦後部のヘリハンガー)

ヘリコプターの搭載定数は1機、しかし2機までの運用が可能である点は、「たかなみ級」と変わらないが、着艦拘束装置(RAST)が省力化に対応したものに更新され、着艦誘導支援装置が搭載されている。ハンガーは「たかなみ級」よりも大型化された。 

  

DDH いずも級ヘリコプター搭載護衛艦(2015- 同型艦2隻)

ja.wikipedia.org

Izumo-class multi-purpose operation destroyer - Wikipedia

f:id:fw688i:20210207143029j:image

(200mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをほぼストレートに組んだもの)

前級「ひゅうが」級をさらに大型化し、航空機運用能力や多用途性を強化したものとなっている。「ひゅうが」級の船体を排水量で6000トン、長さにして51m拡大し、搭載機数も固有の艦載機を7機、最大搭載機数を14機とした。(19500トン、30ノット)

一方で個艦戦闘能力は抑えられ、近接戦闘用のCIWS2基とSea RAM近SAMシステム2基を搭載するのみとなった。

ja.wikipedia.org


f:id:fw688i:20210207143032j:image

(「いずも級」の固有武装のアップ:艦尾に配備されたSea Ram(上段手前)とCIWS。艦首のCIWS(下左)と艦橋前のSea Ram) 

上述のように固有武装を最小限にした背景には、同級はもはや単独での運用を想定されておらず、すなわち常に他の護衛艦を伴い、その旗艦機能を果たすことを想定されていることに準じている。この構想のもと、前級「ひゅうが」級で設定された司令部施設は充実されており、100名規模の統合任務部隊司令部が収容できる多目的スペースを有している。

f:id:fw688i:20210207143520j:image

(「ひゅうが級」(手前)と「いずも級」の大きさ比較。「いずも級」がいかに本格的かを示している?)

「いずも級」は以降の整備時に艦首部を角形に変形しするなど、固定翼機の配備にも対応できるような改修を施される予定。最大の改修ポイントは、飛行甲板や上部構造物の熱耐性を上げることになると思われる。

 

DD あさひ級護衛艦(2018- 同型艦2隻)

ja.wikipedia.org Asahi-class destroyer - Wikipedia 

「あきづき級」に続き、第二世代汎用護衛艦の最終形として2隻が建造された。本級の建造により「むらさめ級」9隻、「たかなみ級」5隻、「あきづき級」4隻と併せ、第二世代汎用護衛艦の建造数は20隻となり、海上自衛隊の基幹単位である8艦8機(新八八艦隊)編成の4個護衛隊群に必要な汎用護衛艦を全て第二世代で賄うことも、理論上は可能となった。

本級は「あきづき級」をベースとして新型ソナーシステムを搭載し対潜戦闘能力を強化する一方で、僚艦防空の能力を省いたシステムを搭載したタイプとなっている。

主機には、護衛艦として初めて電気式推進を主推進としたハイブリッド推進機関(COGLAG)を搭載している。これは低速時、巡航時にはガスタービン発電を用いた電気式推進を用い、高速時にはガスタービンエンジンによる直接機械駆動も併用する形式で、燃費に優れるとされている。(5100トン、30ノット)

兵装は「あきづき級」と同じで、艦首部のMk. 41 VLS 32セルに、発展型シースパロー(ESSM)と垂直発射型アスロック(VLA)を搭載、 主砲には62口径5インチ単装砲(Mk. 45)、対艦兵装として90式対艦誘導弾の4連装キャニスター2基、さらに対潜兵装として対潜短魚雷3連装発射管を両舷に装備、個艦防空用にCIWS2基を搭載している。 

ヘリコプターの運用については、搭載機定数1、搭載能力2機は「あきづき級」に準じるが、RASTの機体移送軌条は、2条から1条に改められており、洋上での2機の同時運用は現実的ではない。

(121mm in 1:1250 3D Printing メーカー、Amature Wargame Figures(Nomadire)のキット。マストと兵装の一部はF-toysのキットから転用) 

f:id:fw688i:20191006202105j:image

www.shapeways.com

 

DDG まや級イージス護衛艦(2020- 同型艦2隻)

ja.wikipedia.org

Maya-class destroyer - Wikipedia

「まや級」DDGは、「はたかぜ級」DDG の代艦として建造されたイージスシステム搭載ミサイル護衛艦(DDG)である。本級の建造で、海上自衛隊の4個護衛隊群は、その艦隊防空をそれぞれ2隻のイージス艦で賄う事が可能となる。

本級は「あたご級」DDGの設計を基本として、推進機関を電気推進(COGLAG)に改めたものである。これに伴い、関係がやや大型化した。(8200トン、30ノット)

搭載するイージスシステムは、弾道ミサイル防衛(BMD:Ballistic Missile Defense)により対応力を向上させたバージョンを搭載している。

兵装は「あたご級」に準じたものを搭載している。

主砲として62口径5インチ単装砲(Mk. 45)、対艦兵装としては、国産の90式対艦誘導弾を4連装キャニスター2基に装備、さらに主砲として62口径5インチ単装砲(Mk. 45)が装備されている。

前甲板にMk . 41 VLSを64セル、艦尾部のヘリハンガー上部に32セルを搭載、ここからSMー2, SMー3併せて垂直発射型のアスロックを発射する。対潜兵装として対先端魚雷発射管を2基、艦の両舷に配置し、また近接防御兵器としてはCIWS2基を、艦上部構造の前後に配置している。

固有の搭載ヘリコプターは保有しないが、艦後方のハンガーでは2機の運用が可能である。

(137mm in 1:1250 3D Printing メーカー、Amature Wargame Figures(Nomadire)のキット。マストと兵装の一部はF-toysのキットから転用)

 f:id:fw688i:20191006202041j:image

www.shapeways.com

DDHからDDV(固定翼機搭載型護衛艦)へ 

既に前出の「いずも級」DDH 竣工前から本級での固定翼機搭載の可能性が議論されていた。防衛省の公式見解としては、検討の事実すら否定しているが、本級が最も近い距離にある事は間違いない。

「いずも級」で実現するかどうかはさておき、本稿では既にDDV「いぶき」が登場しており、これを再度紹介しておくこととしたい。

 

ja.wikipedia.org

正確には、本稿での「いぶき」は、オリジナルの設定通り「いずも型護衛艦」にスキージャンプ台形式の飛行甲板をつけたもので、例によって「いずも型護衛艦」のモデルを既に上市されていた3D Printing メーカーさんにジャンプ台の追加をリクエストし、制作していただいた。

www.shapeways.com

製作者のAmature Wargame Figures(Nomadire)は、主として第二次大戦以降のいわゆる現用艦(もしくは計画艦)に多くの作品があり、スケールも実に多岐にわたるラインナップを揃えていらっしゃる。今回のリクエストのような既成モデルの改変、あるいはスケール間のコンバージョンにも比較的気楽に対応してくださるので、大変ありがたく利用させていただいている。

モデルの素材は、White Natural Versatile Plasticというやや柔らかめで粘度のある樹脂で、下地処理をした後、普通に塗装ができる。(私の場合にはサーフェサーで下地処理をしたのち、エナメル塗料で塗装をしています。基本、全て筆塗りです)上掲の写真の通り、マスト、CIWS、SeaRAMなどの対空火器も全て一体整形された完成形で手元に届いた。下記の写真ではマストのみ、F-toys製のストックモデルと交換し、仕上げた。

搭載機も同様、3D Printing メーカーさん(SNAFU Store:   SNAFU Store by Echoco - Shapeways Shops)によるもので、F-35JBの他に、X-47Bという無人機(下の写真では、ブリッジ後方の黒っぽく塗装されている数機)を搭載している、という設定になっている。(多分、オリジナルの設定はそんなことにはなっていないと思います。ヘリはF-toysのモデルから流用)

 

(Ibuki: 26,000t, CWIS *2, SeaRAM *2, F-35JB *15 etc, 202mm in 1:1250)

f:id:fw688i:20190608211239j:image

 

f:id:fw688i:20210207145839j:image

(直上の写真は「いずも級」DDH(手前)と「いぶき」の大きさ比較。「いぶき」は「いずも級」の設計をベースにした為、外観や上部構造物の配置は「いずも級」に準じたものになっているのがよくわかる。固定翼機の運用を想定した艦首形状や スキージャンプ台の配置が、架空艦とはいえ興味深い)

kuboibuki.jp

www.youtube.com

 

第五護衛隊群

DDV「いぶき」は、コミックでの設定では、海上自衛隊第5護衛隊群の所属となっている。

現在、海上自衛隊には4つの海上護衛隊群があり、それぞれがDDH(ヘリ搭載型護衛艦)1隻、DDG(誘導ミサイル搭載型護衛艦)2隻、DD(汎用護衛艦)5隻、計8隻の護衛艦で編成されている。(かつては、この8隻に8機の対潜ヘリが搭載されるような護衛隊群構成となった時期があり、「新88艦隊」などと呼ばれた)

海上自衛隊護衛艦隊

コミックでは、DDV(航空機搭載型護衛艦)「いぶき」を中心に、第五護衛隊群は新編成され、DDG:イージス護衛艦「あたご」「ちょうかい」、DD:汎用護衛艦「ゆうぎり」「せとぎり」、AIP潜水艦「けんりゅう」、さらに補給艦「おうみ」がこれに所属する、という設定となっている。

f:id:fw688i:20190608212243j:image

(直上の写真は、第5護衛隊群の一部:奥からDD「せとぎり」、DDV「いぶき」、DDG「あたご」と同型の「あしがら」、潜水艦「けんりゅう」)

 映画版ではDDG「あたご」は「あしたか」、DDG「ちょうかい」は「いそかぜ 」、汎用護衛艦「ゆうぎり」「せとぎ理」はそれぞれ「はつゆき」「しらゆき」、潜水艦「けんりゅう」は「はやしお」として登場する。

それぞれの詳細については、既に本稿の以下の回でご紹介していますので、そちらをご覧ください。

fw688i.hatenablog.com

fw688i.hatenablog.com

 
f:id:fw688i:20190609190552j:image

直上の写真は、DDV「いぶき」とDDG「やまと 」。

前述のように、DDV「いぶき」を中心に、第五護衛隊群が編成される。第五護衛隊群はその機動性から紛争地域周辺に展開されることが多く、イージス艦「やまと」も、持ち前のその戦闘力から、この護衛隊群に組み入れられることが多かった。

 

ということで、海上自衛隊 護衛艦発達史も最終回を迎えました。

 

次回はこのシリーズのスピンアウト(?)として、海上自衛隊 潜水艦開発史をお送りする予定です。(ただし、1:1250スケールでの潜水艦は、写真が大変「しょぼい」(と感じている?)ので、1:700スケールモデルでのご紹介となる予定で、鋭意、準備中です)

 

***模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。

 

これまで本稿に登場した各艦の情報を下記に国別にまとめました。

fw688i.hatenadiary.jp

海上自衛隊を追加しました。

fw688i.hatenadiary.jp

内容は当ブログの内容と同様ですが、詳しい情報をご覧になりたい時などに、辞書がわりに使っていただければ幸いです。

 

 


艦船ランキング


戦史ランキング

 

海上自衛隊 護衛艦発達史(4) イージス艦の登場

ターターシステムからイージスシステムへ

既述のように、海上自衛隊シーレーン防衛を担う基幹単位として護衛隊群を構想、整備し、理想とする護衛艦8隻と搭載ヘリコプター8機からなる8艦8機編成、4個護衛隊群の保有を、1980年代後半に実現した。

8艦8機編成における各護衛隊群は、一般的には、DDH(ヘリコプター搭載護衛艦:ヘリ3機搭載)1隻、DDG/DDA(ミサイル護衛艦・対空戦闘担任艦)2隻、汎用護衛艦(ヘリコプター1機搭載)5隻 からなる。

この各護衛隊群の艦隊防空を担うのが、DDG2隻(もしくはDDG+DDA)であり、艦対空システムとして、永らくターターシステムがその主力防空システムであった。1960年代に建造されたミサイル護衛艦「あまつかぜ」で初めて導入され、続く「たちかぜ級」ではシステムのデジタル化、戦術情報処理装置が導入され、さらに「はたかぜ級」ではCIC化、機関のガスタービン化などにより、一応の完成形と評価されるに至った。

しかし一方で、仮想敵の機載対艦ミサイルの著しい発展、さらには発射プラットフォームである攻撃機自体の性能向上、電子戦機の導入などから、同時に1-2目標への対応を想定した従来のシステムでは性能上対処困難な事態が想定されるようになった。

こうした要請から、イージスシステムを搭載した護衛艦の導入が検討され始める。(システムの詳細は、下記のリンクに委ねたい)

ja.wikipedia.org

イージスシステム(Aegis Weapon System: AWS)は、ターターシステムなど従来のいわゆる防空システムの枠にとどまらず、レーダー等のセンサーシステム、情報処理システム、武器システムを全て連結した統合的戦闘システムである。

同時に128目標を補足・追跡し、脅威度の大きい10目標程度を特定し迎撃することが、自動でできる。

このシステムへの接続は、イージスシステム搭載艦にとどまらず、他の機器搭載艦艇とも接続可能で、従って、個艦の武器システムのみでなく、例えば導入護衛隊群全体の武器システムによる艦隊防空が可能となる。

 

DDG こんごう級イージス護衛艦(1993- 同型艦4隻)

ja.wikipedia.org

Kongō-class destroyer - Wikipedia

海上自衛隊初のイージスシステム搭載ミサイル護衛艦である。 

米海軍の同じくイージスシステム搭載艦であるアーレイ・バーク駆逐艦タイプシップとし、艦型・機関ともこれに準じている。

併せて、本級から、従来DDHが担っていた護衛隊群旗艦が同級に移管されることとなったため、上部構造および艦型も大型化した。(7250トン、30ノット)

(129mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをほぼストレートに組んだもの)

f:id:fw688i:20191014102654j:image

本級の中核的な装備となるのはもちろんイージスシステム(AWS)であるが 、そのセンサーシステムの中心的な役割を負う多機能レーダーは、艦橋の4面に固定された巨大なパッシブ・フューズドアレイアンテナに象徴され、これに上記の旗艦施設などを加え、非常に重厚な上部構造物を構成している。

これに連動するミサイル発射機はMk. 41 VLS(垂直発射機)を艦首甲板に29セル、艦尾甲板に61セルを装備している。

f:id:fw688i:20191014101810j:image

(Mk.41 VLS こんごう級艦首甲板の29セルと艦尾甲板の61セル。VLS前方には主砲として装備されたオート・メララ製54口径5インチ単装速射砲(127mmコンパット砲)が写っている)

 

ja.wikipedia.org

他に対空兵装としては、主砲にオート・メララ製の54口径5インチ単装速射砲(127mmコンパット砲)を装備し、近接個艦防空用に2基のCIWSを艦上部構造の前後に保有している。

ja.wikipedia.org

対潜兵装としては、前述の艦首部のMk.41 VLSに垂直発射型のアスロック(VLA)を装備し、併せて対潜短魚雷発射管を両舷に装備している。

ja.wikipedia.org

対艦兵装としては、艦対艦ミサイルハープーンを4連装ランチャーで2基装備している。

 

DDGとして前級に当たる「はたかぜ級」DDGと同様に、艦後部にはヘリコプターの発着甲板が設けられたが、ハンガー等の設備はなく、従って固有の対潜ヘリコプターは保有しない。

 

 DD むらさめ級護衛艦(1996- 同型艦9隻)

ja.wikipedia.org

Murasame-class destroyer (1994) - Wikipedia

汎用護衛艦の第二世代として、「むらさめ級」は9隻が建造された。現在の護衛隊群の基準構成艦となっている。

兵装等の装備は前級と同様を想定しながら、搭載電子機器類の増加への対応や、ヘリ運用能力の強化、居住性改善等の要請から、船体は大型化した。(4550トン、30ノット)

(120mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをほぼストレートに組んだもの)

f:id:fw688i:20191014101819j:image

前述のように、兵装は前級である「あさぎり級」とほぼ同様である。

砲熕兵器としては、主砲に62口径3インチ単装速射砲(76mmコンパクト砲)、個艦防御兵器としてCIWSを両舷に1基づつ搭載している。

主要対潜装備としては短対潜誘導魚雷発射管とアスロックを装備し、対空兵装としてはSAM(シースパロー)を、いずれも垂直発射式で搭載している。

アスロックは艦首部のMk. 41 VLS 16セルに搭載されている。

ja.wikipedia.org

SAM(シースパロー)は、艦中央部にMk. 48 VLS 16連装のキャニスターに収容された。

ja.wikipedia.org

いずれも、搭載弾数は前級と同様ながら、いずれもVLS搭載とすることで、即応発射弾数は倍になった。

f:id:fw688i:20191014101813j:image

(前部甲板に装備されたMk.41 VLS 16セル:アスロック用と、艦中央部に装備されたMk.48 VLS 16キャニスター:シースパロー用)

 

艦対艦兵装としては、従来のハープーンに替えて国産の90式対艦誘導弾を4連装キャニスター2基に搭載している。

ja.wikipedia.org

 

加えて1機の対潜ヘリコプターを固有の搭載兵装として保有したが、ハンガーは「あさぎり級」よりも大型化され、「あさぎり級」ではあくまで応急的な運用とされていたのに対し、2機運用を想定したものとな離、実際にソマリア派遣等の際には2機運用が実施されている。

f:id:fw688i:20191014110948j:image

(艦尾部のヘリコプター発着甲板と大型化したヘリハンガー)

 

DD たかなみ級護衛艦(2003- 同型艦5隻)

ja.wikipedia.org

Takanami-class destroyer - Wikipedia

第二世代の汎用護衛艦として前級「むらさめ級」は建造されたが、本級はその最小限の改正型として建造された。前級の「むらさめ級」、次級の「あきづき級」と共に、現在の護衛隊群の基準構成艦となっている。(4650トン、30ノット)

その主たる改正点は、Mk.41 (アスロック用)とMk.48(シースパロー用)の2種のVLSの併載の解消による運用の合理化と、主砲射撃能力の向上の要請への対応、更に前級で可能となったヘリコプター2機運用体制への本格的対応等であった。

(120mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをほぼストレートに組んだもの)

f:id:fw688i:20191014102539j:image

兵装は基本的に前級「むらさめ級」に準じるが、VLSは艦首部のMk. 41 32セルに統合され、 主砲は「こんごう級」と同様のオート・メララ製の54口径5インチ単装速射砲(127mmコンパット砲)を搭載した。

f:id:fw688i:20191014111100j:image

(艦首甲板のMk.41 VLS 32セル :たかなみ級ではVLSを艦首部の一か所にまとめて装備した。セル数の増加で装備方法が変更され、甲板よりも一段上がった装着方法となった。VLS前方には主砲として装備されたオート・メララ製54口径5インチ単装速射砲(127mmコンパット砲)が写っている)

 

ヘリの2機運用体制については、前級「むらさめ級」では1条であったRAST発着艦支援装置の機体移送軌条を2条とし、さらに上記の「むらさめ級」では艦中央部、ハンガー前部に隣接していたシースパロー用のMk. 48発射機を、艦首部に統合移設したことから生まれたスペースでハンガーを拡大、ヘリ運用スペースやヘリ用の弾庫の拡大により本格的な2機運用体制を充実させた。

f:id:fw688i:20191014103001j:image

(艦尾部のヘリコプター発着甲板と大型化したヘリハンガー)

 

f:id:fw688i:20191014103318j:image

(艦尾部のヘリコプター発着甲板:むらさめ級(上)では1条だったRAST発着艦支援装置の機体移送軌条が、たかなみ級(下)では2条に追加されたことがわかる)

 

当初計画では、本級を11隻建造し、8艦8機編成を充足する予定であったが、実際には5隻で打ち切られ、新装備を搭載した次級の建造に移行することとなった。

f:id:fw688i:20191014102609j:image

(第二世代汎用護衛艦比較:むらさめ級(右)とたかなみ級(左)。主砲、VLS配置を除き、全体の配置は非常によく似ている。最小限の改正、ということか

 

 

DDG あたご級イージス護衛艦 (2007- 同型艦2隻)

ja.wikipedia.org

Atago-class destroyer - Wikipedia

海上自衛隊の2代目のイージスシステム護衛艦である。護衛隊群の8艦8機編成の維持にあたり、退役する「たちかぜ級」DDGの代替艦として建造された。

基本的には前級「こんごう級」の性能向上型であり、船体後部にハンガーを設けヘリコプター搭載能力を付加したことにより艦型がさらに大型となった。(7750トン、30ノット)

(131mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをほぼストレートに組んだもの)

f:id:fw688i:20191014103842j:image

 

イージスシステムは下位ユニットも含めバージョンアップされたものになっており、性能は向上している。

ミサイル発射機はMk. 41 VLSを前部甲板に64セル、艦尾部のヘリハンガー上部に32セルを搭載している。また近接防御兵器としてはCIWS2基を「こんごう級」同様、艦上部構造の前後に配置している。

f:id:fw688i:20191014103917j:image

(Mk.41 VLS あたご級艦首甲板の64セルと艦尾ヘリコプターハンガー上の32セル。本級から前部、後部のそれぞれの装填用クレーンが廃止された。上の写真にはあたご級から採用された主砲62口径5インチ単装砲(Mk. 45)が写っている)

 

対潜兵装は「こんごう級」と同じく垂直発射式のアスロックをMk. 41 VLSに収め、さらに対潜短魚雷3連装発射管を両舷に装備している。

対艦兵装としては、前出の汎用護衛艦と同様、ハープーンに替え国産の90式対艦誘導弾を装備、さらに主砲として62口径5インチ単装砲(Mk. 45)が装備されている。

ja.wikipedia.org

「あたご級」の兵装変更の最大の目玉は既述の通りヘリコプター搭載能力の付加であり、艦後部にはヘリコプターハンガーが設けられた。

f:id:fw688i:20191014103935j:image

(あたご級の追加装備の目玉、艦尾部のヘリコプター発着甲板と大型ヘリコプターハンガー)

 

イージス時代の護衛艦「やまと」

2000年代に入り、海上自衛隊の艦隊防空システムがイージスシステムとなった。

同時に長らく海上自衛隊の艦隊防空を担当してきたDDG「やまと」も、イージス艦として生まれ変わった。

艦の上部構造はイージスシステム搭載に対応する巨大なものに改装され、艦の前後左右に全体で240セルのMk 41 VLS(スタンダードSAM、アスロックSUM、シースパロー短SAM用)を搭載した。

その他、近接防空用兵装として23キロの最大射程、毎分45発の発射速度を持つオート・メララ54口径5インチ速射砲4基、CIWS4基を搭載している。(もちろん9門の18インチ主砲はそのまま)
f:id:fw688i:20190609190559j:image

 模型視点でのコメントを少し:こちらのモデルは、Delphin社製の「大和」をベースとし、その船体を利用し、あわせて主砲塔を換装している。上部構造はF-toy社製の現用艦船シリーズからストックしていた何隻かの上構をあわせて転用している。さらに同じく現用艦船シリーズのストックから、武装を選択して搭載している。

f:id:fw688i:20190609190538j:image

(直上の写真はイージス護衛艦「やまと」の上部構造:左右にMk 41 VLS、5インチ速射砲、CIWSなどを搭載している

 

(ちょっとぶつぶつ。ご意見募集)

18インチ主砲を与えられたイージスシステムは、どのようにこれを使いこなすのだろうか?それ以前に、デリケートなイージスシステムが18インチ主砲の発射時の衝撃に耐えられるのだろうか?おそらくVLSは大和のバイタルパートの外になっているのだが、それで問題ないのだろうか?等々、疑問満載の艦ではあります。本稿の初回でも記載しましたが、そもそも本稿はFaceBookの”Cancelled, Never Were & What If Ships - Plastic Model Ships”というグループに”Aegis BB Yamato”というタイトルで投稿したところに着想を得て始まっています。

制作途上では、三番主砲塔を撤去しそこにVLSを集中装備するか、とも考えたのですが、やはりそういうデザインを私自身も受け付けず、現在のフォルムになっています。上記のFacebookのグループで「そんなことを考えるなんて、君はなんてやつだ。絶対に主砲は外しちゃダメだ」と、不思議な激励を受けました。

では、主砲はどう使われるのか?例えば、「イージスシステムが健常に機能している間は、おそらくイージスシステムは主砲を選択しない。全てのミサイルを撃ちつくし、さらにその後に大きな脅威が現れた時にのみ、主砲は選択される。ましてや運用しているのは海上自衛隊である。沿岸部に艦砲射撃、などという場面はまず発生しない」、つまり万策尽きた時の最終手段案。あるいは「最大射程での防空射撃目的なので、大仰角での射撃となるため、あまり影響は受けない(そんなことないよね?)」とか。

ご意見を伺えれば嬉しいのですが。

 

次回は海上自衛隊護衛艦開発史の最終回を予定しています。空母型DDHが登場します。

 

***模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。

 

これまで本稿に登場した各艦の情報を下記に国別にまとめました。(今回紹介した艦船からのアップデートは特にありません。でも、こっそり日本海軍の筑波級巡洋戦艦装甲巡洋艦の写真が変わっていたりするかも)

fw688i.hatenadiary.jp

内容は当ブログの内容と同様ですが、詳しい情報をご覧になりたい時などに、辞書がわりに使っていただければ幸いです。

 

 


艦船ランキング


戦史ランキング

 

海上自衛隊 護衛艦発達史(3) 護衛隊群の整備・ DDHの登場

護衛隊群 

貿易立国をその成長基盤とした急速な経済成長は、シーレーン防衛の重要さへの意識を高めた。

3次防・4次防の整備計画で、海上自衛隊の編成の基幹単位として、シーレーン防衛を担う護衛隊群の編成方針が徐々に確立した。

 

海上自衛隊は、その黎明期から洋上航空兵力の運用を検討し続けていた。

設立当初には、既に米海軍よりヘリ空母の貸与の申し出があったが、海自は時期尚早としてこの申し出を受けなかった。

1960年代に入り、当時の仮想敵であったソ連海軍の原潜配備の進展等により潜水艦脅威が増大した背景を受け、 改めてヘリコプター搭載護衛艦の建造が具体的に検討された。

先行する知見から、有効な対潜戦闘には4機のヘリコプターが必要であり、4機の常時運用体制を確立するためには、一個護衛隊群に最低6機のヘリコプター搭載能力が求められた。

 

各護衛隊群は、対潜水艦戦闘に有効な複数の対潜ヘリコプターの運用能力を有し、あわせて艦対空誘導ミサイルをその中核に据えた高い対空火網を構成する能力を有することを目指し、新造護衛艦群が建造された。

 

 DDH はるな級ヘリコプター搭載護衛艦(1973- 同型艦 2隻)

ja.wikipedia.org

Haruna-class destroyer - Wikipedia

(124mm in 1:1250 Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapon setに換装。就役時の姿を示している。艦後部を広いヘリコプター発着甲板と、ハンガーが占めている)

f:id:fw688i:20191006202633j:plain

「はるな級」護衛艦(DDH)は、 上記の護衛隊群の中核を担う艦として、海上自衛隊が初めて建造したヘリコプター搭載護衛艦である。(4700トン)

3機の対潜ヘリコプターを搭載し、艦後部に対潜ヘリコプター運用のための整備・格納庫と発着甲板を備えている。このタイプの護衛艦2隻を中核に護衛隊群を構成し、本稿の冒頭に述べた対潜ヘリ6機の運用体制を確保する、というのが本艦導入の基本構想であった。

船体の形態としては、自衛艦に定着した感のある遮浪甲板型をもとにその後端をカットした長船首楼型を採用し、ほぼその後部半分がデッキハンガー(整備・格納庫と発着甲板)で占められている。機関は蒸気タービンを搭載し、31ノットの速力を発揮した。

艦前部には、54口径5インチ単装速射砲(ライセンス生産の73式)を2基搭載し、あわせて対潜装備としてアスロックランチャーを搭載した。他に対潜誘導魚雷の短魚雷発射管を搭載していた。

 

FRAM改修

1980年代に、後継の「しらね級」ヘリコプター搭載護衛艦に同等の能力を得るべくFRAM改修(艦隊再建近代化計画)が行われ、戦術情報処理システムの搭載、電波兵器の更新等に加え、個艦防御能力の向上を目指しCIWS(20mmバルカン機関砲)と短SAM(シースパロー)が追加搭載された。

(直下の写真はFRAM改修後のはるな級の姿。艦橋部がやや大型化し、武装の追加が行われた)

f:id:fw688i:20191005162131j:image

ja.wikipedia.org

 シースパローは、近距離での個艦防空を担う対空ミサイルである。ターターシステム等の艦隊防空システムが、おおよそ16kmから40kmのレンジをカバーして艦隊(護衛隊群)全体に防空火網を形成するのに対し、シースパローは8km-18km程度の範囲で個艦と僚艦程度の範囲をカバーする。その名の示す通り元々は航空機搭載用の対空ミサイルを艦載型に改良したものである。 

 

ja.wikipedia.org

 20mmバルカン機関砲と小型追尾レーダーの組み合わせで、小型の高速飛来目標を全自動で迎撃できるようにしたシステムである。有効射程は1.5km程度とされ、艦隊防空システム、僚艦防空ミサイルが撃ち漏らした飛来目標に対する最終火網を担当する。

発射速度は毎分4500発とされているが、弾倉の装填数は1500発程度で、20秒程度で撃ち尽くしてしまう計算になる。再装填には30分程度を要するため、波状的な襲撃に対しては弱点があるとする声もある。

 

f:id:fw688i:20191006202924j:plain

(直上の写真は、FRAM改修で追加された武装。上段:大型化した艦橋部とCIWS。下段:ハンガー上部に追加されたSAM(シースパロー)発射機) 

 

DDG たちかぜ級ミサイル護衛艦 (1976- 同型艦 3隻)

ja.wikipedia.org

Tachikaze-class destroyer - Wikipedia

(115mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装。アスロック搭載後を再現してみた)

 f:id:fw688i:20191005162204j:image

本級は、ミサイル護衛艦「あまつかぜ」に次ぐ、第二世代のミサイル護衛艦(DDG)として3隻が建造された。

「あまつかぜ」に続き、ターターシステムを搭載し、これと主砲に採用した54口径5インチ単装速射砲(ライセンス生産の73式)2基をあわせて、護衛隊群の防空の要の役割を担った。

船体は護衛艦標準の遮浪式甲板型を採用し、蒸気ボイラーを主機としている。(3850トン、32ノット)本級の最終艦「さわかぜ」は、護衛艦として蒸気タービンを採用した最後の護衛艦となった。

上記の主要な対空兵装以外に、対潜兵器として、「しらね級」と同様に、アスロック8連装発射機と短対潜誘導魚雷を装備している。さらに後日、CIWS2基が追加装備され、近接防空能力も向上された。

同級3隻のうち、最後に建造された「さわかぜ」では、対空ミサイルの発射装置(Mk13)が更新され、ハープーン対艦ミサイルも発射できるようになった。

ja.wikipedia.org

Mk 13はランチャーの直下に40発のミサイル弾庫を保有し、1分間に約7発のミサイルを発射することができる。

 

 

DDH しらね級ヘリミサイルコプター搭載護衛艦(1980- 同型艦 2隻)

ja.wikipedia.org

Shirane-class destroyer - Wikipedia

(127mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをストレートに組んでみた)

f:id:fw688i:20191005162226j:image

本級は、海上自衛隊が建造した第二世代のヘリコプター搭載護衛艦(DDH)である。

基本的に前級「はるな級」の拡大改良版であり、イージス艦の登場まで、海上自衛隊護衛艦では最大の艦でもあった。(5200トン、32ノット)

船型は、「はるな級」に準じ遮浪甲板型をもとにした長船首楼型であり、前半部に主砲等武装を搭載し、後半分には、「はるな級」と同様、対潜ヘリ3機の整備・運用のためのハンガーデッキとなっていた。機関もはるな級同様、蒸気タービンを搭載している。

基本武装も、「はるな級」と同じく54口径5インチ単装速射砲(ライセンス生産の73式)を2基、主砲として搭載し、あわせて対潜装備としてアスロックランチャーと短対潜誘導魚雷を装備した。個艦防空武装としてはCIWS2基と短SAM(シースパロー)を最初から装備していた。

f:id:fw688i:20191104141639j:plain

(直上の写真は、しらね級DDH2隻。手前DDH-144くらま:F-toys 「しらね」改造:デカール 等の変更。奥 DDH-143 しらね)
 

f:id:fw688i:20191005162419j:image

(DDH2代:はるな級(左) しらね級(右))

 

 DDE 護衛艦いしかり(1981- 同型艦なし)

ja.wikipedia.org

JDS Ishikari - Wikipedia

f:id:fw688i:20210131103747j:image

(護衛艦「いしかり」の概観:67mm in 1:1250  by Hai: マスト先端部を少し触ったのですが、少し大きすぎたかも)

 護衛艦「いしかり」およびその拡大改良型である「ゆうばり級」護衛艦は、ともに、主として北方配備を想定して建造された沿岸警備用護衛艦(DDE)である。

当時、特に北方海域で仮想敵と想定されたソ連海軍は、艦対艦ミサイルを装備した大型対潜巡洋艦に加え、同じく艦対艦ミサイルを主兵装としたミサイルコルベットなど小型艦の配備傾向が見られ、これに対抗するために艦対艦ミサイルを装備した護衛艦の導入が求められた。

f:id:fw688i:20210131103901j:image

(「いしかり」の主要兵装の拡大:76mmコンパクト砲と艦橋前に据えられたボフォース対潜ロケットランチャー(上段)、対艦ミサイル「ハープーン」の発射キャニスター(下段))

 

「いしかり」および「ゆうばり級」には、艦対艦ミサイルハープーンが特徴的な4連装キャニスター形式で、自衛艦として初めて搭載された。

ja.wikipedia.org

艦対艦タイプのハープーンは約140kmの射程を持ち、発射時に与えられた目標の位置データに向けて完成誘導されたのち、最終段階で自らの搭載レーダーによるアクティヴ・ホーミングにより目標に突入する。

 

また「いしかり」は自衛艦として初めて機関をガスタービンにした記念すべき艦でもある。小型の艦型へのガスタービンの採用により、その船型は中央船楼型となり、この船型は「ゆうばり級」でも踏襲された。

ハープーン以外の兵装としては、対潜装備としてボフォースロケットランチャーと短対潜誘導魚雷を装備している。

主砲には62口径3インチ単装速射砲(76mmコンパクト砲)を、これも自衛艦としては初めて採用した。

ja.wikipedia.org

高い速射性能を持つ速射砲を小型軽量で優れた動作性を有する砲塔に搭載した個艦防御用の無人速射砲システムで、1分間に85発の発射速度を誇っている。(スーパーラピッドタイプでは1分間に120発)砲塔直下に回転式の弾倉を2層、もしくは3層備え、弾丸を供給する。

コンパクトで軽量な特性から、ミサイル艇などの小型艦艇にも搭載可能である。

 

DDE ゆうばり級護衛艦(1983- 同型艦 2隻)

ja.wikipedia.org

Yūbari-class destroyer escort - Wikipedia

(「ゆうばり級」護衛艦の概観:71mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装)

f:id:fw688i:20191005162728j:image

前述のような構想で建造された護衛艦「いしかり」であったが、元来が沿岸警備を担当していた「駆潜艇」の代替から発送された計画であったためもあって、関係が小型で、装備の目覚ましい進歩に対して余裕がなく、かつ北方海域の荒天下での運用にもやや課題があったため、本来同型艦として構想されていた2番艦以降の設計が見直され、一回り大きな「ゆうばり級」護衛艦が誕生した。

機関、兵装等は「いしかり」を踏襲したものとなった。中央船楼が延長されそこにCIWSを追加する計画もあったらしいが、実現されなかった。

 

「いしかり」を拡大改良した本級であったが、艦型が小型に過ぎるという評価は拭えず、後に「あぶくま級」護衛艦の登場を待たねばならなかった。

f:id:fw688i:20210131103750j:image

(「いしかり」(手前)と「ゆうばり級」の概観比較:「ゆうばり級」が「いしかり」の拡張改良版であることがよくわかります。 「いしかり」:1290トン 25ノット 「ゆうばり級」:1470トン 25ノット)

 

f:id:fw688i:20210131105949j:image

(手前から「いしかり」「ゆうばり級」そして海上自衛隊のDDEの現時点での最終形「あぶくま級」の艦型比較)

 

DD はつゆき級護衛艦 (1982- 同型艦 12隻)

ja.wikipedia.org

Hatsuyuki-class destroyer - Wikipedia

(104mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装)

f:id:fw688i:20191005162922j:image

先述の、各3機の対潜ヘリを搭載するDDH「はるな級」、「しらね級」各2隻の就役により、 海自の理想とする対潜ヘリ6機運用可能な2個護衛隊群を保有することができた。

しかし、シーレーン防衛のためには、海自には4個護衛隊群の運用が必要とする構想があり、引き続き対潜ヘリ搭載能力の充実を構想に入れた新造護衛艦の建造が構想された。

この時期、長らく護衛隊群の主力を務めてきた第一世代の護衛艦が引退の時期を迎えつつあり、その代替である次級護衛艦の「はつゆき級」には、対潜ヘリ搭載能力が求められた。

「はつゆき級」は12隻建造され、その就役後には、4個護衛隊群全てが、ヘリ搭載護衛艦:DDH1隻(対潜ヘリ3機搭載)、対空担当艦としてミサイル護衛艦:DDG2隻(もしくは多目的自衛艦DDAを加える)、汎用護衛艦「はつゆき級」3隻(対潜ヘリ各1機搭載、計3機)、対潜護衛艦:DDK2隻の編成が可能となり、対潜ヘリ6機の運用能力を保有することになる。いわゆる8艦6機体制の護衛隊群を4個揃えることができるのである。

 

「はつゆき級」護衛艦は、遮浪甲板型を基にした長船首楼型の船型を持ち、海上自衛隊で初となるオール・ガスタービン推進方式を導入した。(2950トン 30ノット)

その兵装は、非常に充実している。

対潜兵装としては、1機の対潜ヘリに加え、アスロック発射ランチャーと、短対潜誘導魚雷を搭載した。さらに対艦兵装として、艦対艦ミサイルハープーンの4連装キャニスターを両舷に1基づつ搭載した。

対空兵装としては、主砲として62口径3インチ単装速射砲(76mmコンパクト砲)を搭載し、加えてSAM(シースパロー)発射機を艦尾に1基、個艦防御兵器としてCIWSを両舷に1基づつ搭載した。

これらの強力な兵装を、戦闘情報処理装置と連携し戦闘システムを構築した、海上自衛隊初のいわゆるシステム艦であるとされている。

 

 

DDG はたかぜ級ミサイル護衛艦 (1986- 同型艦 2隻)

ja.wikipedia.org

Hatakaze-class destroyer - Wikipedia

(120mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをストレートに組んでみた)

f:id:fw688i:20191005163837j:image

本級は、護衛隊群の対空防御の要となるべく、第三世代のミサイル護衛艦(DDG)として2隻が建造された。

船型は遮浪甲板型を基にした長船首楼型であり、主機には「たちかぜ級」で検討されながら搭載に至らなかったガスタービンエンジンを採用した。(4900トン、30ノット)

本級は、前級「たちかぜ級」ミサイル護衛艦の3番艦「さわかぜ」が搭載したターターD・システムを、その主要兵装として搭載している。「あまつかぜ」、「たちかぜ級」DDGが全て艦後部にミサイルシステムを搭載しているのに対し、本級では艦首部に発射機を搭載している。これは護衛隊群を防御するために、全部搭載艦と後部搭載艦でペアを組ませる構想であったと言われている。

この対空誘導ミサイルシステムと、主砲に採用した54口径5インチ単装速射砲(ライセンス生産の73式)2基をあわせて、護衛隊群の防空の要の役割を担った。

これら対空兵装以外に、対潜兵装としてアスロック発射機と短対潜誘導魚雷を搭載、さらに艦対艦ミサイルハープーンの4連装キャニスターを2基、個艦防御用としてCiWS2基を搭載している。艦後部にはヘリコプターの発着甲板が設けられたが、ハンガー等の設備はなく、従って対潜ヘリの搭載能力はない。

f:id:fw688i:20191005164129j:image

(DDG3代:手前から、あまつかぜ、たちかぜ級、はたかぜ級)

 

f:id:fw688i:20191005163959j:image

(DDG3代:左から、あまつかぜ、たちかぜ級、はたかぜ級)

 

 

DD あさぎり級護衛艦(1988- 同型艦 8隻)

ja.wikipedia.org

Asagiri-class destroyer - Wikipedia

(109mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをストレートに組んでみた。写真は8番艦「うみぎり」)

f:id:fw688i:20191005163240j:plain

 

初めてのヘリコプター搭載能力を持たせた汎用護衛艦であった「はつゆき級」は、前述のように万能な戦闘力を持った優れた艦であったが、比較的小さな艦型に多くを盛り込み、船体に搭載システムの更新等に対する余裕があまりない結果となった。

このため「あさぎり級」では、「はつゆき級」と装備に対する要求は同じながら、艦型を大型化し、余裕を持たせる設計とした。(3500トン、30ノット)

兵装は「はつゆき級」をほぼ踏襲し、62口径3インチ単装速射砲(76mmコンパクト砲)、SAM(シースパロー)発射機1基、個艦防御兵器としてCIWSを両舷に1基づつ、アスロック発射ランチャー、短対潜誘導魚雷、艦対艦ミサイルハープーンの4連装キャニスター2基等を搭載している。

ハンガーが大型化され、艦載ヘリの定数は1機のままであるが、必要に応じ、2機までは運用できるようになった。

 

本級8隻の就役で、海上自衛隊は、「はつゆき級」と合わせて20隻の対潜ヘリ搭載汎用護衛艦保有することになり、各護衛隊群あたり5隻の配置が可能となった。これにより、各護衛隊群はDDH1隻、DDGまたはDDA2隻、汎用護衛艦(DD)5隻の編成となり、ここに8艦8機体制が可能となった。(新八八艦隊と呼称されることもある)

f:id:fw688i:20191005163312j:image

(汎用護衛艦DD:2代 あさぎり級(左)、はつゆき級(右)。あさぎり級は船体ははつゆき級よりも大型化したが、艦橋部は一層低い構造であることがよくわかる)

  

DDE あぶくま級護衛艦 (1989- 同型艦 6隻)

ja.wikipedia.org

Abukuma-class destroyer escort - Wikipedia

(88mm in 1:1250  Hai製モデル、ほぼストレート

f:id:fw688i:20191005164449j:image

新八八艦隊世代に対応した、沿岸警備用小型護衛艦として、1990年代に相次い配備された。

ヘリコプターの搭載能力を除けば、「はつゆき級」汎用護衛艦とほぼ同等の装備を搭載した。 (2000トン、27ノット)

主砲に62口径3インチ単装速射砲(76mmコンパクト砲)、個艦防御兵器としてCIWSを艦尾に1基、対潜兵装としてアスロック発射ランチャー、短対潜誘導魚雷、さらに艦対艦ミサイルハープーンの4連装キャニスター2基等を搭載している。

f:id:fw688i:20191005164502j:image

(DE4代 手前からいすず級、ちくご級、ゆうばり級、あぶくま級)

 

DDHとDDG時代の護衛艦「やまと」 

海上自衛隊は、領海警備とシーレーン保護がその主要任務であり、従って、対潜戦闘能力を中心に、その活動保護のための艦隊防空を、両軸で発展させてきた。

1970年代に入ると、対潜ヘリを搭載したヘリ搭載型護衛艦(DDH)を中心に、汎用護衛艦を複数配置し、この艦隊の艦隊防空を担う防空ミサイル護衛艦(DDG)から構成される護衛隊群、という構成をその艦隊編成の基幹として設置するようになった。

海上自衛隊の発足時から艦隊防空をその主任務としてになってきた「やまと」もこの構想に従い、防空ミサイルシステムを搭載する。

主要艦隊防空兵装としてはターターシステムを搭載し、スタンダードSM-1を2基、艦の上構の前後に配置、艦隊の周囲30-40キロをその防空圏とした。他の防空兵装としてはMk 42 54口径5インチ砲を6基搭載している。この砲は23キロの最大射程を持ち、毎分40発の発射できた。個艦防空兵装としては、上記の他にCIWS3基を搭載している。

水上機の運用設備を全廃し、ヘリコプターの発着設備を新設した。ヘリの搭載能力はない。

改修時には、米海軍から巡航ミサイルの搭載能力も検討するよう要請があったが、専守防衛を掲げ、その要求を受け入れなかった、と言われている。

(直下の写真は、1970年代の護衛艦「やまと」(DDG):外観的には、旧海軍の「大和」の上部構造を大幅に改修した。多くのシステムを米海軍と共用し、アイオア級の戦艦等と似た上部構造物となったため旧海軍時代の外観をほとんど残していない)f:id:fw688i:20190609190556j:image

 模型視点でのコメントを少し:Delphin社製の「大和」をベースとし、その船体を利用し主砲塔を換装している。上部構造は同じくDelphin社製のSouth Dakotaの上構を転用している。さらに3D printing makerのSNAFU store製のWeapopn setから、いくつか武装を選択し搭載した

 

f:id:fw688i:20190609190541j:image

(直上の写真は70年代DDG「やまと」の対空兵装:艦の上部構造物前後にSM-1の単装ランチャーを2基搭載し、上部構造周辺にMk 42, 54口径5インチ砲を配置している。近接防空兵器として、上部構造の前部と左右に CIWSを搭載している。専守防衛を掲げ搭載を拒んだ巡航ミサイルは、下段写真の前部CIWSとMk 42 5インチ砲の間あたりに搭載される構想であったとされている

 
f:id:fw688i:20190609190543j:image

(直上の写真はDDG「やまと」とその僚艦:奥からヘリ搭載型護衛艦(DDH)「しらね」対潜護衛艦「やまぐも」「やまと」ミサイル護衛艦(DDG)「さわかぜ」の順)

 

さて、次回はイージスシステム搭載艦が登場します。

 

***模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。

 

これまで本稿に登場した各艦の情報を下記に国別にまとめました。(今回紹介した艦船からのアップデートは特にありません。でも、こっそり日本海軍の筑波級巡洋戦艦装甲巡洋艦の写真が変わっていたりするかも)

fw688i.hatenadiary.jp

内容は当ブログの内容と同様ですが、詳しい情報をご覧になりたい時などに、辞書がわりに使っていただければ幸いです。

 

 


艦船ランキング


戦史ランキング

 

海上自衛隊 護衛艦発達史(2) 本格的国産護衛艦の時代

第2次防衛力整備計画以降、国産護衛艦の建造が本格化した。

この時期に、海上自衛隊護衛艦種の整備方針、並びに基礎となる建艦技術、兵装方針等が確立してゆく。

 

DDE いすず級護衛艦 (1961- 同型艦・準同型艦 4隻)

ja.wikipedia.org

Isuzu-class destroyer escort - Wikipedia

 

第1次防錆力整備計画(1次防)に準じ、沿岸部での対潜哨戒、船団護衛を主目的として建造された乙型(小型・沿岸部用)護衛艦である。(1490トン)

 

大きな特徴としては、初めて遮浪甲板型という船型が取り入れられた点である。この船型は、通常の平形甲板型の船体にさらに一層の全通甲板重ねた船型であり、これにより格段の船内スペースを確保することができ、発達著しい電子装備類、空調機器に対するスペースが確保され、併せて居住性が格段に改善された。以降の護衛艦の船型の基礎となった。

主機はディーゼル機関を採用し、25ノットの速力を発揮した。

主砲には、前回紹介した「あやなみ級」で採用された50口径3インチ連装速射砲(アメリカ製のMk.33をライセンス生産した57式)を艦首・艦尾に1基づつ搭載した。

ja.wikipedia.org

本砲は半自動式砲で、ラピッドファイアと呼称され、毎分45発(砲身あたり)の射撃速度を持つ優れた砲である。

対潜装備としては、初めてヘッジホッグを廃止し、「あきづき級」と同じくMk,108対潜ロケット砲と対潜誘導魚雷を搭載し、更に爆雷投射機と投射軌条を装備している。

 

Mk.108対潜ロケット砲は、ロケット弾を目標近辺に投射し、搭載する磁気信管で目標を感知させ炸裂させるもので、250−800メートルの射程を持ち、毎分12発投射することができた。

ja.wikipedia.org

 (筆者はこの対潜ロケットが大好きです。というのも小学生の頃の愛読書、小沢さとる先生の名作「サブマリン707」に登場していまして、なんと未来的な(SFなんて言葉知らなかったからね)すごい兵器なんだろう、というのが原体験なのです。興味のある方は是非ご一読を)

f:id:fw688i:20190921205626j:plain

サブマリン707 - Wikipedia

 

 本砲は、期待の新兵器として導入されたものの、 不発率が高いなどの欠陥を抱えており、運用部隊には不評で、後にM/50のライセンス生産版である71式ボフォース・ロケット・ランチャーに換装された。 
ja.wikipedia.org

 

(74mm in 1:1250  実はいすず級のモデルは、1:1250スケールではどこを探しても見当たらない。そこでほぼ寸法等が近いDelphin社のちくご級をベースにセミクラッチしたものが、直下の写真。武装は最近よくお世話になっているSNAFU store製のWeapopn setを用いた)

f:id:fw688i:20190921202549j:plain

f:id:fw688i:20190921203517p:plain

(筆者の大好きな対潜ロケットは、前回紹介したHansa社製の「あきづき級」のモデルから移植した)

 

 DDG ミサイル護衛艦 あまつかぜ(1965- 同型艦なし)

ja.wikipedia.org

JDS Amatsukaze - Wikipedia

海上自衛隊初の艦対空ミサイル搭載艦、いわゆるミサイル護衛艦で、1次防で1隻のみ建造された。 次級のたちかぜ級護衛艦「たちかぜ」の就役までの11年間、当時は海上自衛隊唯一の艦対空誘導ミサイルの搭載艦であり、その後も数次に渡り段階的にミサイル護衛艦が導入されたため、自衛艦としては異例の30年の長期間、現役にあった。

船型は、上述の「いすず級」護衛艦で導入された遮浪甲板型を採用し、機関には蒸気タービンを搭載し、33ノットの速力を得た。(3050トン)

海自初の艦対空ミサイルシステムとして、当時米海軍で採用されつつあったターターシステムを導入した。

ja.wikipedia.org

本システムは、後にイージスシステムが採用されるまで、デジタル化等の改善を重ねながら長らく海上自衛隊の基幹艦対空システムとして、本艦を皮切りに「たちかぜ級」、「はたかぜ級」護衛艦に搭載された。

他の主要兵装としては、主砲には前出の50口径3インチ連装速射砲2基を搭載し、その他対潜兵器としてはヘッジホッグと対潜誘導魚雷を搭載していた。

後にアスロック(後述)8連装発射機を追加装備し、対潜能力を向上させ、次世代護衛艦と火力を同等にするなどの改装を受けた。

(104mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装。アスロック等最後を再現してみた)

f:id:fw688i:20190921200452j:image

  

DDK やまぐも級護衛艦(1966- 同型艦:前期型・後期型 6隻)

ja.wikipedia.org

Yamagumo-class destroyer - Wikipedia

第2次防衛力整備計画で前期型3隻、3次防・4次防で後期型3隻が建造された。

建造に当たっては、次級である「たかつき級」護衛艦との役割分割が構想され、いわゆるハイ・ロー・ミックス構成として、本級はDDK(対潜業務)として設計された。(前期型2050トン・後期型2150トン)

船体遮浪甲板型を採用し、機関にはディーゼルを採用した。採用された機関は、小型の艦型による少ない燃料搭載にも関わらず長い航続距離をもたらしたが、一方で27ノットの速力に甘んじざるを得なかった。

(90mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装)

f:id:fw688i:20190921200755j:image

兵装としては、海自で初めてアスロックを搭載した。

ja.wikipedia.org

アスロックは対潜誘導魚雷をミサイルの先端に弾頭として搭載したもので、発射後は、事前に入力された飛翔距離で弾頭(魚雷)が切り離され、パラシュートにより軟着水した魚雷が捜索パターンで目標を探知し撃破する、というものであり、着水後の魚雷による目標補足能力の活用から、従来の対潜ロケットとは次元の異なる長射程での攻撃が可能となった。(射程:800-9100m)

当初は専用の8連装ランチャーからの発射が主流であったが、ターター・システム(Mk.26 GMSL)、あるいはVLSなどからの発射も可能となった。

 

他の兵装としては、主砲には既述50口径3インチ連装速射砲2基を搭載、対潜兵器としてこれも既述71式ボフォース・ロケット・ランチャー、対潜誘導魚雷を搭載した。

 

DDA たかつき級護衛艦(1967- 同型艦 4隻)

ja.wikipedia.org

Takatsuki-class destroyer - Wikipedia

第2次防衛力整備計画で、前出の「やまぐも級」護衛艦で既述の通り、「やまぐも級」とのハイ・ロー・ミックス構成の構想の下、有力な対空・対潜戦闘能力を持つ多目的護衛艦(DDA)として4隻が建造された。

(106mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装)

f:id:fw688i:20190921200845j:image

船型は海自標準となってきた感のある遮浪甲板型を採用し、主機には蒸気タービンを搭載し、32ノットの速力を得た。 

 

主砲には新型の54口径5インチ単装速射砲(Mk.42)を採用し、これを艦首・艦尾に1基づつ計2基を搭載した。

ja.wikipedia.org

本砲は毎分40発という高い射撃速度を誇り、23000メートルに達する射程距離と、同時に導入された全自動FCS(射撃指揮装置)と併せて、強力な防空圏を構成することができた。

他の兵装としては、既述71式ボフォース・ロケット・ランチャー、対潜誘導魚雷、アスロックに加え、さらに長距離の射程を目指しDASH無人対潜攻撃ヘリコプターを装備した。

ja.wikipedia.org

アスロックを超える長い射程の確保に期待されたDASHであったが、本家の米海軍では事故が多発するなど不評であり、1969年に運用が中止され、これに連動して部品の供給等は停止した。これに伴い、海自でも運用が中止された。

 

FRAM改装

これまでに記述したように、本級は非常に有力な戦力であったが、ミサイル化の流れの中で装備には陳腐化が目立つようになった。一方で、急速な新戦力整備にも限界があるため、FRAM(艦隊再建近代化計画)の名の下に、同級の「たかつき」「きくづき」に対して大規模な改装が行われ、当時新鋭のはつゆき級と同等の戦力化が目論まれた。具体的な内容としては、艦尾部の5インチ砲、これも艦尾部にスペースを取っていたDASH関連装備を撤去し、短SAM(シースパロー)、ハープーン艦対艦ミサイル、20mmCIWS、および種々の電子装備の換装、追加などが行われ、8年程度の艦齢延長を目指した。

(直下はFRAM改装後のたかつき級。Amature Wargame Figuresの3Dモデルをベースに、武装SNAFU store製のWeapopn setから転用)

f:id:fw688i:20190921200300j:image

(FRAM改装前後のたかつき級を比較。奥がFRAM改装後。改装前のたかつき級は艦尾部に大きなDASH運用スペースが取られている事がよくわかる)

f:id:fw688i:20190921202721j:plain

 

DDK みねぐも級護衛艦(1968- 同型艦3隻)

ja.wikipedia.org

Minegumo-class destroyer - Wikipedia

前出の「やまぐも級」護衛艦タイプシップとして、DASHを主兵装とした対潜護衛艦として建造された。(2100トン)

 

船型・機関は「やまぐも級」護衛艦に準じたが、後甲板をDASH 運用スペースとしたため、上部構造の配置が変更され、煙突が一本になった。(28ノット)

(90mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに、アスロック搭載後を再現するために艦尾にアスロック8連装発射機を追加。主砲塔等をSNAFU store製のWeapopn setに換装)

f:id:fw688i:20190921203045j:plain

兵装も「やまぐも級」に準じ、50口径3インチ連装速射砲、71式ボフォース・ロケット・ランチャー、対潜誘導魚雷そしてDASHを搭載した。既述のようにDASHは本家の米海軍での運用中止に伴い、海自でも運用が止められ、アスロックに換装された。

 

(直下の写真はやまぐも級とみなぐも級を比較したもの。ほぼ同様の装備ながら、武装の配置に大きな差が見られる。手前がやまぐも級)

f:id:fw688i:20190921202646j:plain

 

DDE ちくご級護衛艦(1971- 同型艦 11隻)

ja.wikipedia.org

Chikugo-class destroyer escort - Wikipedia

第3次防、4次防で、周辺防備を主目的としたDEとして、11隻が建造された。

同目的の前DEクラスである「いすず級」DEに準じ、遮浪甲板型船型を持ち、主機にディーゼル機関を採用した。(1470トン 25ノット)

(75mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装)

f:id:fw688i:20190921202429j:plain


1400トン足らずの小ぶりな船体ながら、兵装は「やまぐも級」DDKに準じた強力なものであった。主砲には50口径3インチ連装速射砲を搭載し、補助に40mm連装機関砲を艦尾に装備した。対潜兵器としてアスロックと対潜誘導魚雷を搭載している。

(直下の写真は、乙型(小型・沿岸用)護衛艦2級の比較。奥がちくご級。対潜ロケットからアスロックへの対潜兵装の変遷がよくわかる

f:id:fw688i:20190921202501j:plain

 

 

さて、予告通り(何も胸を張っていうほどの事ではないのですが)、海上自衛隊 芸館発達史(2) 第2次防衛整備計画(2次防)以降の建造艦艇を紹介しました。

次回は新八八艦隊のご紹介を予定しています。

 

***模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。

 

これまで本稿に登場した各艦の情報を下記に国別にまとめました。(今回紹介した艦船からのアップデートは特にありません。でも、こっそり日本海軍の筑波級巡洋戦艦装甲巡洋艦の写真が変わっていたりするかも)

fw688i.hatenadiary.jp

内容は当ブログの内容と同様ですが、詳しい情報をご覧になりたい時などに、辞書がわりに使っていただければ幸いです。

 


艦船ランキング


戦史ランキング