相州の、ほぼ週刊、1:1250 Scale 艦船模型ブログ

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

3Dプリンティングモデル 雑感(その5:「たちかぜ」級護衛艦の完成)

明けましてめでとうございます。

2020年最初の更新です。今年も、どうかよろしくお願いいたします。

 

2020年の開幕は、2019年最後に下記でご紹介した3Dプリンティングモデルを用いた「たちかぜ」級DDG護衛艦の 完成編です。

 

「たちかぜ」級DDGの製作

fw688i.hatenablog.com

少し繰り返しになるかもしれませんが、おさらいをしておくと、昨年末の前回は、入手したAmature Wargame Figures製のWhite Natural Versataile Plastic :WNV素材の「たちかぜ」級DDGのモデル一点と、 Smooth Fine Detail Plastic :SFD素材の同級のモデル二点を用いて、「たちかぜ」級3隻(「たちかぜ」「あさかぜ」「さわかぜ」)を完成してみよう、と言うものでした。

その際に、元々、入手したAmature Wargame Figures製のモデルをベースにして、武装やマスト、アンテナ関係はストックの部品を用いてディテイルアップする予定だったのですが、艦橋が少し大きすぎることが気になり、艦橋部分も換装するなど、結構広い範囲で手を入れる結果になりました。(この辺りは前回ご紹介しています)

 

ディテイルアップの大まかな流れは、ほぼ以下の通りです。

(直下の写真:入手したAmature Wargame Figures製のSFD素材のモデル。この他にSFD素材のモデルも一点あり、これも併せて今回仕上げることに)

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(艦橋部分等の除去:使用したのは、ほとんで船体だけ・・・)

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 (F ~toyの「しまかぜ」級DDGから艦橋部分を移植。サーフェサーで下地処理)

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(直下の写真:Amature Wargame Figures製のWNV素材のモデルをベースに、上部構造及び武装を換装してディテイルアップ/SFD素材モデルもほぼ同様のディテイルアップを行っています)

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ちなみに、たちかぜ」級護衛艦の概要については、本稿、下記でご紹介しています。

fw688i.hatenablog.com

 

「たちかぜ」級DDGの完成

さて、ここからが今回のお話です。

「たちかぜ」(DDG-168)

(直下の写真:DDG-168:たちかぜ Hai製のダイキャストモデル)

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Hai製のダイキャストモデルです。本艦はもともとコレクションにあった船で、今回は艦番号をつけました。作業としてはデカール を貼り、上からマットコーティングするだけですが、これが大変小さいので、老眼の進む(とほほ)筆者には作業自体が結構大変です。(字も小さくてみにくいし、貼る対象も、そもそもが1:1250モデルの船ですので、これまた小さい。   

さらに言うと、このスケールのデカール を入手するのはこれまた結構大変で、そもそも市販等のものが出回っていません。一時期は自作等も考えたのですが、これも自宅の環境では限界があり(白線が家庭用のプリンターでは再現できません)、結局、下のリンクの1:1250 Decaleに制作を依頼したものを使っています。

 

1-1250-decals.jimdofree.com

こちらの業者さんは、おそらくは趣味の延長でやっていらっしゃって、時折、模型ショーのようなところに出展する、と言う感じの活動を行っていらっしゃるようで、先方のペースで依頼対応等、なさいます。ですので、欲しい時に発注してすぐに手に入る、と言うわけにはいきません。「もうちょっとまとまったら、一緒にやるから、ちょっと待っててね」と言うようなメッセージが、オーダーに対して帰ってきます。まあ、こう言うのもやり取りも、楽しい驚きがある、と言えばそうなのですが、どのタイミングでお願いするか、など、結構難しい。

 

「あさかぜ」(DDG-169)

(直下の写真:DDG-169:あさかぜ Amature Wargame Figures製 SFD素材モデル)

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「あさかぜ」は、ほぼ「たちかぜ」に準じる形で作成します。前回も準備で触れましたが、「たちかぜ」は艦橋前のアスロックに自動装填機構が未装備で、したがって、今回換装用の艦橋として準備したF-toys製の「しまかぜ」の艦橋はそのまま使えませんので、一旦、艦橋基部の自動装填機構用のハッチ等のモールドを削り、パテで埋め形を整えたものを船体に装着し、仕上げてあります。

最後に艦番号169を貼り付けて、出来上がり。

(直下の写真:準備段階で「しまかぜ」の艦橋基部のオールドを削り、アスロック装填用のクレーンを艦橋前部に追加)

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「さわかぜ」(DDG-170)

(直下の写真:DDG-170:さわかぜ Amature Wargame Figures製 SFD素材モデル)

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「さわかぜ」から 、アスロックの自動装填機構が搭載されました。ですので、こちらは「しまかぜ」の艦橋をそのまま拝借。ややアスロック・ランチャーを、艦橋寄りの位置に近づけて配置します。艦番号「170」を貼付。

 

さて、手持ちのAmature Wargame Figuresの「たちかぜ」級モデルのうち、SFD素材の2点は、こうして「あさかぜ」「さわかぜ」になりましたが、もう一点WNV素材のモデルが残っています。

「たちかぜ」級の4番艦、と言うことになりますが、実際には「たちかぜ」級は3隻しか建造されていないので、いわゆる架空艦を制作することにします。

 

本稿で、以前、架空の護衛艦いそかぜ」(DDG-183)について述べたことがあります。

fw688i.hatenablog.com

いそかぜ」と言う護衛艦は実在しないのですが、一方で、「亡国のイージス」(小説版・映画版)あるいは「空母いぶき」(映画版)で活躍する「有名な護衛艦」なのです、と言うのが、この回の主題だったのですが、この「亡国のイージス」に登場する「いそかぜ」の第65護衛隊を構成する僚艦が「うらかぜ」として登場します。

本稿の上記URLでも、ほんの少しだけ「うらかぜ」について触れているのですが、その際には、私の勉強不足から、てっきり「うらかぜ」は「いそかぜ」と同様、「はたかぜ」級DDGなのだと決め付けていました。

しかし、その後、原作等を読み返すと、「隊司令の衣笠一佐が、あえて旧型の第二世代ミサイル護衛艦「うらかぜ」を座乗艦に選んだのも・・」と言う記述があるではないですか。

ありゃリャ、これは「たちかぜ」級だぞ。と言うわけで、残った一隻は「うらかぜ」として制作することに・・・。

 

「うらかぜ」(DDG-162):架空護衛艦

(直下の写真:DDG-162: うらかぜ Amature Wargame Figures製 WNV素材モデル。写真を下記のようにアップにすると、やはりWNV素材の仕上がりの荒さが気になりますね。肉眼で見ている分には、それほど気にならないのですが)

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細部は、武装の換装など、ほぼ「さわかぜ」と同じ仕様で仕上げてあります。最後に艦番号「162」を貼付して、出来上がり。

この艦番号、決定までに少し紆余曲折がありました。

と言うのも、「いそかぜ」については原作中に「183」と言う艦番号が明記されているのですが、「うらかぜ」については、艦番号に関する記述はありません(少なくとも、私が読みこんが限りでは。もしどこかに記載があったら、是非お知らせ下さい)

そこで、「たちかぜ」級の4番艦であれば、本来は艦番号「171」が付与されるべきなのですが、この番号は実際には、すでに次級「はたかぜ」級DDGのネームシップ「はたかぜ」に付与されています。その後はミサイル護衛艦の番号は最新型の「まや」級の「はぐろ」の「180」まで、すべていっぱいで、さらにその後は181から184までDDHの「ひゅうが」級、「いずも」級に付与されていて、空きがありません。(そう言う意味では小説版「亡国のイージス」の「いそかぜ」の183番も、実際にはDDH「いずも」の艦番号になってはいるのですが)

止むを得ず、「うらかぜ」の就役時点ではすでに退役していたであろう防空担当護衛艦の番号を、と言うことで、初代「あきづき」級の2番艦「てるづき」(1981年、特務艦籍に変更 この時点で、DD-162からASU-7012に艦番号を変更)の番号をいただいた、と言うわけです。「うらかぜ」の前の「たちかぜ」級3番艦の「さわかぜ」の就役が1983年ですので、少なくとも「うらかぜ」の就役はそれ以降と想定できますので、なんとか辻褄は合うかと。(余談ですが、前述の「いそかぜ」の項でも触れましたが、映画版「空母いぶき」の「いそかぜ」は初代「あきづき」の艦番号「161」をもらっています)

と言うことで、少し苦労しましたが、艦番号は「162」に決定。

 

第65護衛隊(「いそかぜ」(DDG-183), 「うらかぜ」(DDG-162))

(直下の写真は、第65護衛隊の2隻。手前:「うらかぜ」(DDG-162) と奥:ミニ・イージスシステム搭載艦に改装後の「いそかぜ」(DDG-183))

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(直下の写真:参考までにターターシステムからイージスシステムへの換装後の「いそかぜ」(DDG-183)。「はたかぜ」級DDGをベースに、艦橋上部にミニ・イージスシステム用のドームを追加。主砲をオート・メララ製の54口径コンパット砲に換装、併せて、アスロック・ランチャー設置箇所に、16セルのVLSを設置して即応性を高めるなどの工夫があります)

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と言うことで、第二世代ミサイル護衛艦「たちかぜ」級4隻(一隻は架空艦です)が完成しました。

(直下の写真:DDG第二世代たちかぜ級の揃い踏み。手前から「たちかぜ」「あさかぜ」「さわかぜ」そして架空艦「うらかぜ」の順)

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海上自衛隊の艦隊防空担当艦の系譜(160番台艦の一覧)

ちょっと良い機会なので、前述の「うらかぜ」の艦番号をどのように決めたかの経緯説明の話の流れで、艦番号絡みの話を少し。

海上自衛隊護衛艦のうち、護衛隊群等の艦隊防空の役割を担う艦には、従来から160番台(のちには170番台から180番へ)の艦番号が 付与されてきています。今回は、イージス艦以前の防空担当の護衛艦が、ほぼほぼ揃ってきたので、ご紹介しておきます。

 

DD-161「あきづき」(初代)/DD-162「てるづき」(初代) 

海上自衛隊護衛艦として初めて2000トンを超えた「あきづき」級護衛艦ネームシップ。5インチ単装速射砲3基と3インチ連装速射砲(スーパーラピッド)を装備し、高い対空戦闘能力を持っていました。

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「あきづき」「てるづき」共に、旗艦装備を保有しており、護衛艦隊、護衛隊群の旗艦任務につくことが多かったと言われています。

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DDG -162「うらかぜ」

第二世代ミサイル護衛艦「たちかぜ」級の4番艦(架空)。

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ミニ・イージスシステム搭載護衛艦いそかぜ」(DDG-183)と第65護衛隊を組んだことは、つとに有名。「亡国のイージス」事件で、僚艦「いそかぜ」によって撃沈されてしまいます。

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 DDG-163「あまつかぜ」

海上自衛隊初のミサイル護衛艦。ターター・システムを搭載

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DD-164「たかつき」

多目的護衛艦「たかつき」級のネームシップ強力な54口径5インチ砲を2基装備し、ミサイル護衛艦の防空機能を補完する役割をになっていた。装備近代化のFRAM改装後の姿。艦後部にCIWSを装備していますが、実際にはCIWSは「きくづき」のみ装備し、「たかつき」は装備しませんでした。

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DD-165「きくづき」

多目的護衛艦「たかつき」級の2番艦。装備近代化のFRAM改装後の姿。後部主砲と、Dash格納庫を撤去して、対艦ミサイル、シースパロー、CIWSなどを搭載し、ミサイル化対応を促進し、艦齢延長が図られました。ヘリコプターの搭載能力を除けば、ほぼ「はつゆき」級汎用護衛艦に匹敵する戦力に。

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DD-166「もちづき」

多目的護衛艦「たかつき」級の3番艦。本級の3番艦、4番艦には、FRAM改装は行われませんでした。

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DDG -166「もちづき」架空改装艦 

「もちづき」は、FRAM改装に代えて、DDG化の改装が行われた、と言う想定です。海上自衛隊初のDDG「あまつかぜ」の就役が 1965年。第二世代DDGの「たちかぜ」級の就役が1976年。この間、「あまつかぜ」は唯一のDDGであったわけで、ターター・システムの複数艦での運用データを得るためにも、この空白を埋めるために、1967年から就役の始まった「たかつき」級の1隻が早々にDDGへ改装・転用された、と言うカバーストーリーで製作されています。

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少し制作の裏話を。(この部分は前々回の再録です)

当初、艦後部のイルミネーターの後方に2番主砲を残していたのですが、Mk13ミサイル発射機とCIWSをその後ろに追加すると、2基のイルミネーターの配置に余裕がなく、併せてあまりにも艦後部が荷重になるように思われ、2番主砲の設置を断念しました。

その上で、少しイルミネーターの間隔に余裕を持たせ、Mk13対空ミサイル発射機をDASH無人対潜攻撃ヘリコプター格納庫上に設置、DASHの運用甲板であった後甲板にCIWSを設置、と言う配置にしました。CIWSの射界を広く持たせるためにはMk13とCIWSの配置を逆に、とも考えたのですが、Mk13の下に収納されるミサイル弾庫を考慮すると、この順序が良いのではないかと言う結論です。なんとなく、DASHの格納庫をそのままに、と言う状況も活かせたような気もしています。

 

僚艦「あまつかぜ」と護衛隊を組む「もちづき」

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その後、「うらかぜ」と一時は護衛隊を組むことも。(おお、架空艦での護衛隊編成)
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DD-167「ながつき」

DDGへの改装も検討されたが、予算上捻出できず断念、と言う設定です。ほぼ就役時の姿を残しています。f:id:fw688i:20200112142635j:image

 

DDG-168「たちかぜ」

海上自衛隊、第二世代のミサイル護衛艦「たちかぜ」級のネームシップ。1998年からは護衛艦隊旗艦を務めたことも。

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DDG-169「あさかぜ」

「たちかぜ」級の2番艦。

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DDG-170「さわかぜ」

「たちかぜ」級の3番艦。本艦から、アスロックの自動装填機構が導入されました。アスロック・アンチャーの位置と艦橋基部の形状の少し異なります。

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DDG-171「はたかぜ」

海上自衛隊のミサイル護衛艦としては第三世代「はたかぜ」級のネームシップ。イージスシステム以前の対空誘導ミサイル駆逐艦としては最終世代に属し、その頂点とも言われることもあります。「まや」級の就役で、そろそろ練習艦籍に移管されるかも。

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DDG-172「しまかぜ」

第三世代ミサイル護衛艦「はたかぜ」級の2番艦。

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DDG-183「いそかぜ

第三世代ミサイル護衛艦「はたかぜ」級の3番艦。ミニ・イージスシステム搭載艦への改装が行われた。直下の写真は、改装後の姿。改装再就役直後に「亡国のイージス事件の舞台となり、失われた。
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事件直前の第65護衛隊の2隻。手前:「うらかぜ」(DDG-162) と奥:ミニ・イージスシステム搭載艦に改装後の「いそかぜ」(DDG-183)。

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と言うことで、少し後半、取り止めのない一覧になりましたが、今日はここまで。

改めて一覧すると、よくみると、160番台の船は、もう一隻も現役に残っていないのですね。「たかつき」級や「たちかぜ」級がもう残っていないなんて、改めて、時の流れを感じます。

 

3Dプリンティングモデルの紹介は、今回でひと段落つきました。実は後、米海軍のアーレイバーク級を残しているのですが、こちらはもう少し情報を貯めて、米海軍、としてご紹介できれば、と考えています。

 

と言うことで、次回は、前々から予告している装甲巡洋艦の残余(米海軍とオーストリア=ハンガリー帝国海軍あたり)をご紹介するか、あるいはWW2の日本海軍の巡洋艦史を数回に分けて、どちらかをいよいよ開始しようかな、などと考えています。

 

もしかすると、その前に「スターウォーズ  スカイウォーカーの夜明け」の所感w一回挟むかも。

 

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