相州の、ほぼ週刊、1:1250 Scale 艦船模型ブログ

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

海上自衛隊 護衛艦発達史(3) 護衛隊群の整備・ DDHの登場

護衛隊群 

貿易立国をその成長基盤とした急速な経済成長は、シーレーン防衛の重要さへの意識を高めた。

3次防・4次防の整備計画で、海上自衛隊の編成の基幹単位として、シーレーン防衛を担う護衛隊群の編成方針が徐々に確立した。

 

海上自衛隊は、その黎明期から洋上航空兵力の運用を検討し続けていた。

設立当初には、既に米海軍よりヘリ空母の貸与の申し出があったが、海自は時期尚早としてこの申し出を受けなかった。

1960年代に入り、当時の仮想敵であったソ連海軍の原潜配備の進展等により潜水艦脅威が増大した背景を受け、 改めてヘリコプター搭載護衛艦の建造が具体的に検討された。

先行する知見から、有効な対潜戦闘には4機のヘリコプターが必要であり、4機の常時運用体制を確立するためには、一個護衛隊群に最低6機のヘリコプター搭載能力が求められた。

 

各護衛隊群は、対潜水艦戦闘に有効な複数の対潜ヘリコプターの運用能力を有し、あわせて艦対空誘導ミサイルをその中核に据えた高い対空火網を構成する能力を有することを目指し、新造護衛艦群が建造された。

 

 DDH はるな級ヘリコプター搭載護衛艦(1973- 同型艦 2隻)

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Haruna-class destroyer - Wikipedia

(124mm in 1:1250 Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapon setに換装。就役時の姿を示している。艦後部を広いヘリコプター発着甲板と、ハンガーが占めている)

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「はるな級」護衛艦(DDH)は、 上記の護衛隊群の中核を担う艦として、海上自衛隊が初めて建造したヘリコプター搭載護衛艦である。(4700トン)

3機の対潜ヘリコプターを搭載し、艦後部に対潜ヘリコプター運用のための整備・格納庫と発着甲板を備えている。このタイプの護衛艦2隻を中核に護衛隊群を構成し、本稿の冒頭に述べた対潜ヘリ6機の運用体制を確保する、というのが本艦導入の基本構想であった。

船体の形態としては、自衛艦に定着した感のある遮浪甲板型をもとにその後端をカットした長船首楼型を採用し、ほぼその後部半分がデッキハンガー(整備・格納庫と発着甲板)で占められている。機関は蒸気タービンを搭載し、31ノットの速力を発揮した。

艦前部には、54口径5インチ単装速射砲(ライセンス生産の73式)を2基搭載し、あわせて対潜装備としてアスロックランチャーを搭載した。他に対潜誘導魚雷の短魚雷発射管を搭載していた。

 

FRAM改修

1980年代に、後継の「しらね級」ヘリコプター搭載護衛艦に同等の能力を得るべくFRAM改修(艦隊再建近代化計画)が行われ、戦術情報処理システムの搭載、電波兵器の更新等に加え、個艦防御能力の向上を目指しCIWS(20mmバルカン機関砲)と短SAM(シースパロー)が追加搭載された。

(直下の写真はFRAM改修後のはるな級の姿。艦橋部がやや大型化し、武装の追加が行われた)

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 シースパローは、近距離での個艦防空を担う対空ミサイルである。ターターシステム等の艦隊防空システムが、おおよそ16kmから40kmのレンジをカバーして艦隊(護衛隊群)全体に防空火網を形成するのに対し、シースパローは8km-18km程度の範囲で個艦と僚艦程度の範囲をカバーする。その名の示す通り元々は航空機搭載用の対空ミサイルを艦載型に改良したものである。 

 

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 20mmバルカン機関砲と小型追尾レーダーの組み合わせで、小型の高速飛来目標を全自動で迎撃できるようにしたシステムである。有効射程は1.5km程度とされ、艦隊防空システム、僚艦防空ミサイルが撃ち漏らした飛来目標に対する最終火網を担当する。

発射速度は毎分4500発とされているが、弾倉の装填数は1500発程度で、20秒程度で撃ち尽くしてしまう計算になる。再装填には30分程度を要するため、波状的な襲撃に対しては弱点があるとする声もある。

 

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(直上の写真は、FRAM改修で追加された武装。上段:大型化した艦橋部とCIWS。下段:ハンガー上部に追加されたSAM(シースパロー)発射機) 

 

DDG たちかぜ級ミサイル護衛艦 (1976- 同型艦 3隻)

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Tachikaze-class destroyer - Wikipedia

(115mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装。アスロック搭載後を再現してみた)

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本級は、ミサイル護衛艦「あまつかぜ」に次ぐ、第二世代のミサイル護衛艦(DDG)として3隻が建造された。

「あまつかぜ」に続き、ターターシステムを搭載し、これと主砲に採用した54口径5インチ単装速射砲(ライセンス生産の73式)2基をあわせて、護衛隊群の防空の要の役割を担った。

船体は護衛艦標準の遮浪式甲板型を採用し、蒸気ボイラーを主機としている。(3850トン、32ノット)本級の最終艦「さわかぜ」は、護衛艦として蒸気タービンを採用した最後の護衛艦となった。

上記の主要な対空兵装以外に、対潜兵器として、「しらね級」と同様に、アスロック8連装発射機と短対潜誘導魚雷を装備している。さらに後日、CIWS2基が追加装備され、近接防空能力も向上された。

同級3隻のうち、最後に建造された「さわかぜ」では、対空ミサイルの発射装置(Mk13)が更新され、ハープーン対艦ミサイルも発射できるようになった。

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Mk 13はランチャーの直下に40発のミサイル弾庫を保有し、1分間に約7発のミサイルを発射することができる。

 

 

DDH しらね級ヘリミサイルコプター搭載護衛艦(1980- 同型艦 2隻)

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Shirane-class destroyer - Wikipedia

(127mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをストレートに組んでみた)

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本級は、海上自衛隊が建造した第二世代のヘリコプター搭載護衛艦(DDH)である。

基本的に前級「はるな級」の拡大改良版であり、イージス艦の登場まで、海上自衛隊護衛艦では最大の艦でもあった。(5200トン、32ノット)

船型は、「はるな級」に準じ遮浪甲板型をもとにした長船首楼型であり、前半部に主砲等武装を搭載し、後半分には、「はるな級」と同様、対潜ヘリ3機の整備・運用のためのハンガーデッキとなっていた。機関もはるな級同様、蒸気タービンを搭載している。

基本武装も、「はるな級」と同じく54口径5インチ単装速射砲(ライセンス生産の73式)を2基、主砲として搭載し、あわせて対潜装備としてアスロックランチャーと短対潜誘導魚雷を装備した。個艦防空武装としてはCIWS2基と短SAM(シースパロー)を最初から装備していた。

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(直上の写真は、しらね級DDH2隻。手前DDH-144くらま:F-toys 「しらね」改造:デカール 等の変更。奥 DDH-143 しらね)
 

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(DDH2代:はるな級(左) しらね級(右))

 

 DDE 護衛艦いしかり(1981- 同型艦なし)

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JDS Ishikari - Wikipedia

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(護衛艦「いしかり」の概観:67mm in 1:1250  by Hai: マスト先端部を少し触ったのですが、少し大きすぎたかも)

 護衛艦「いしかり」およびその拡大改良型である「ゆうばり級」護衛艦は、ともに、主として北方配備を想定して建造された沿岸警備用護衛艦(DDE)である。

当時、特に北方海域で仮想敵と想定されたソ連海軍は、艦対艦ミサイルを装備した大型対潜巡洋艦に加え、同じく艦対艦ミサイルを主兵装としたミサイルコルベットなど小型艦の配備傾向が見られ、これに対抗するために艦対艦ミサイルを装備した護衛艦の導入が求められた。

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(「いしかり」の主要兵装の拡大:76mmコンパクト砲と艦橋前に据えられたボフォース対潜ロケットランチャー(上段)、対艦ミサイル「ハープーン」の発射キャニスター(下段))

 

「いしかり」および「ゆうばり級」には、艦対艦ミサイルハープーンが特徴的な4連装キャニスター形式で、自衛艦として初めて搭載された。

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艦対艦タイプのハープーンは約140kmの射程を持ち、発射時に与えられた目標の位置データに向けて完成誘導されたのち、最終段階で自らの搭載レーダーによるアクティヴ・ホーミングにより目標に突入する。

 

また「いしかり」は自衛艦として初めて機関をガスタービンにした記念すべき艦でもある。小型の艦型へのガスタービンの採用により、その船型は中央船楼型となり、この船型は「ゆうばり級」でも踏襲された。

ハープーン以外の兵装としては、対潜装備としてボフォースロケットランチャーと短対潜誘導魚雷を装備している。

主砲には62口径3インチ単装速射砲(76mmコンパクト砲)を、これも自衛艦としては初めて採用した。

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高い速射性能を持つ速射砲を小型軽量で優れた動作性を有する砲塔に搭載した個艦防御用の無人速射砲システムで、1分間に85発の発射速度を誇っている。(スーパーラピッドタイプでは1分間に120発)砲塔直下に回転式の弾倉を2層、もしくは3層備え、弾丸を供給する。

コンパクトで軽量な特性から、ミサイル艇などの小型艦艇にも搭載可能である。

 

DDE ゆうばり級護衛艦(1983- 同型艦 2隻)

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Yūbari-class destroyer escort - Wikipedia

(「ゆうばり級」護衛艦の概観:71mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装)

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前述のような構想で建造された護衛艦「いしかり」であったが、元来が沿岸警備を担当していた「駆潜艇」の代替から発送された計画であったためもあって、関係が小型で、装備の目覚ましい進歩に対して余裕がなく、かつ北方海域の荒天下での運用にもやや課題があったため、本来同型艦として構想されていた2番艦以降の設計が見直され、一回り大きな「ゆうばり級」護衛艦が誕生した。

機関、兵装等は「いしかり」を踏襲したものとなった。中央船楼が延長されそこにCIWSを追加する計画もあったらしいが、実現されなかった。

 

「いしかり」を拡大改良した本級であったが、艦型が小型に過ぎるという評価は拭えず、後に「あぶくま級」護衛艦の登場を待たねばならなかった。

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(「いしかり」(手前)と「ゆうばり級」の概観比較:「ゆうばり級」が「いしかり」の拡張改良版であることがよくわかります。 「いしかり」:1290トン 25ノット 「ゆうばり級」:1470トン 25ノット)

 

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(手前から「いしかり」「ゆうばり級」そして海上自衛隊のDDEの現時点での最終形「あぶくま級」の艦型比較)

 

DD はつゆき級護衛艦 (1982- 同型艦 12隻)

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Hatsuyuki-class destroyer - Wikipedia

(104mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装)

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先述の、各3機の対潜ヘリを搭載するDDH「はるな級」、「しらね級」各2隻の就役により、 海自の理想とする対潜ヘリ6機運用可能な2個護衛隊群を保有することができた。

しかし、シーレーン防衛のためには、海自には4個護衛隊群の運用が必要とする構想があり、引き続き対潜ヘリ搭載能力の充実を構想に入れた新造護衛艦の建造が構想された。

この時期、長らく護衛隊群の主力を務めてきた第一世代の護衛艦が引退の時期を迎えつつあり、その代替である次級護衛艦の「はつゆき級」には、対潜ヘリ搭載能力が求められた。

「はつゆき級」は12隻建造され、その就役後には、4個護衛隊群全てが、ヘリ搭載護衛艦:DDH1隻(対潜ヘリ3機搭載)、対空担当艦としてミサイル護衛艦:DDG2隻(もしくは多目的自衛艦DDAを加える)、汎用護衛艦「はつゆき級」3隻(対潜ヘリ各1機搭載、計3機)、対潜護衛艦:DDK2隻の編成が可能となり、対潜ヘリ6機の運用能力を保有することになる。いわゆる8艦6機体制の護衛隊群を4個揃えることができるのである。

 

「はつゆき級」護衛艦は、遮浪甲板型を基にした長船首楼型の船型を持ち、海上自衛隊で初となるオール・ガスタービン推進方式を導入した。(2950トン 30ノット)

その兵装は、非常に充実している。

対潜兵装としては、1機の対潜ヘリに加え、アスロック発射ランチャーと、短対潜誘導魚雷を搭載した。さらに対艦兵装として、艦対艦ミサイルハープーンの4連装キャニスターを両舷に1基づつ搭載した。

対空兵装としては、主砲として62口径3インチ単装速射砲(76mmコンパクト砲)を搭載し、加えてSAM(シースパロー)発射機を艦尾に1基、個艦防御兵器としてCIWSを両舷に1基づつ搭載した。

これらの強力な兵装を、戦闘情報処理装置と連携し戦闘システムを構築した、海上自衛隊初のいわゆるシステム艦であるとされている。

 

 

DDG はたかぜ級ミサイル護衛艦 (1986- 同型艦 2隻)

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Hatakaze-class destroyer - Wikipedia

(120mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをストレートに組んでみた)

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本級は、護衛隊群の対空防御の要となるべく、第三世代のミサイル護衛艦(DDG)として2隻が建造された。

船型は遮浪甲板型を基にした長船首楼型であり、主機には「たちかぜ級」で検討されながら搭載に至らなかったガスタービンエンジンを採用した。(4900トン、30ノット)

本級は、前級「たちかぜ級」ミサイル護衛艦の3番艦「さわかぜ」が搭載したターターD・システムを、その主要兵装として搭載している。「あまつかぜ」、「たちかぜ級」DDGが全て艦後部にミサイルシステムを搭載しているのに対し、本級では艦首部に発射機を搭載している。これは護衛隊群を防御するために、全部搭載艦と後部搭載艦でペアを組ませる構想であったと言われている。

この対空誘導ミサイルシステムと、主砲に採用した54口径5インチ単装速射砲(ライセンス生産の73式)2基をあわせて、護衛隊群の防空の要の役割を担った。

これら対空兵装以外に、対潜兵装としてアスロック発射機と短対潜誘導魚雷を搭載、さらに艦対艦ミサイルハープーンの4連装キャニスターを2基、個艦防御用としてCiWS2基を搭載している。艦後部にはヘリコプターの発着甲板が設けられたが、ハンガー等の設備はなく、従って対潜ヘリの搭載能力はない。

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(DDG3代:手前から、あまつかぜ、たちかぜ級、はたかぜ級)

 

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(DDG3代:左から、あまつかぜ、たちかぜ級、はたかぜ級)

 

 

DD あさぎり級護衛艦(1988- 同型艦 8隻)

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Asagiri-class destroyer - Wikipedia

(109mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをストレートに組んでみた。写真は8番艦「うみぎり」)

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初めてのヘリコプター搭載能力を持たせた汎用護衛艦であった「はつゆき級」は、前述のように万能な戦闘力を持った優れた艦であったが、比較的小さな艦型に多くを盛り込み、船体に搭載システムの更新等に対する余裕があまりない結果となった。

このため「あさぎり級」では、「はつゆき級」と装備に対する要求は同じながら、艦型を大型化し、余裕を持たせる設計とした。(3500トン、30ノット)

兵装は「はつゆき級」をほぼ踏襲し、62口径3インチ単装速射砲(76mmコンパクト砲)、SAM(シースパロー)発射機1基、個艦防御兵器としてCIWSを両舷に1基づつ、アスロック発射ランチャー、短対潜誘導魚雷、艦対艦ミサイルハープーンの4連装キャニスター2基等を搭載している。

ハンガーが大型化され、艦載ヘリの定数は1機のままであるが、必要に応じ、2機までは運用できるようになった。

 

本級8隻の就役で、海上自衛隊は、「はつゆき級」と合わせて20隻の対潜ヘリ搭載汎用護衛艦保有することになり、各護衛隊群あたり5隻の配置が可能となった。これにより、各護衛隊群はDDH1隻、DDGまたはDDA2隻、汎用護衛艦(DD)5隻の編成となり、ここに8艦8機体制が可能となった。(新八八艦隊と呼称されることもある)

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(汎用護衛艦DD:2代 あさぎり級(左)、はつゆき級(右)。あさぎり級は船体ははつゆき級よりも大型化したが、艦橋部は一層低い構造であることがよくわかる)

  

DDE あぶくま級護衛艦 (1989- 同型艦 6隻)

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Abukuma-class destroyer escort - Wikipedia

(88mm in 1:1250  Hai製モデル、ほぼストレート

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新八八艦隊世代に対応した、沿岸警備用小型護衛艦として、1990年代に相次い配備された。

ヘリコプターの搭載能力を除けば、「はつゆき級」汎用護衛艦とほぼ同等の装備を搭載した。 (2000トン、27ノット)

主砲に62口径3インチ単装速射砲(76mmコンパクト砲)、個艦防御兵器としてCIWSを艦尾に1基、対潜兵装としてアスロック発射ランチャー、短対潜誘導魚雷、さらに艦対艦ミサイルハープーンの4連装キャニスター2基等を搭載している。

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(DE4代 手前からいすず級、ちくご級、ゆうばり級、あぶくま級)

 

DDHとDDG時代の護衛艦「やまと」 

海上自衛隊は、領海警備とシーレーン保護がその主要任務であり、従って、対潜戦闘能力を中心に、その活動保護のための艦隊防空を、両軸で発展させてきた。

1970年代に入ると、対潜ヘリを搭載したヘリ搭載型護衛艦(DDH)を中心に、汎用護衛艦を複数配置し、この艦隊の艦隊防空を担う防空ミサイル護衛艦(DDG)から構成される護衛隊群、という構成をその艦隊編成の基幹として設置するようになった。

海上自衛隊の発足時から艦隊防空をその主任務としてになってきた「やまと」もこの構想に従い、防空ミサイルシステムを搭載する。

主要艦隊防空兵装としてはターターシステムを搭載し、スタンダードSM-1を2基、艦の上構の前後に配置、艦隊の周囲30-40キロをその防空圏とした。他の防空兵装としてはMk 42 54口径5インチ砲を6基搭載している。この砲は23キロの最大射程を持ち、毎分40発の発射できた。個艦防空兵装としては、上記の他にCIWS3基を搭載している。

水上機の運用設備を全廃し、ヘリコプターの発着設備を新設した。ヘリの搭載能力はない。

改修時には、米海軍から巡航ミサイルの搭載能力も検討するよう要請があったが、専守防衛を掲げ、その要求を受け入れなかった、と言われている。

(直下の写真は、1970年代の護衛艦「やまと」(DDG):外観的には、旧海軍の「大和」の上部構造を大幅に改修した。多くのシステムを米海軍と共用し、アイオア級の戦艦等と似た上部構造物となったため旧海軍時代の外観をほとんど残していない)f:id:fw688i:20190609190556j:image

 模型視点でのコメントを少し:Delphin社製の「大和」をベースとし、その船体を利用し主砲塔を換装している。上部構造は同じくDelphin社製のSouth Dakotaの上構を転用している。さらに3D printing makerのSNAFU store製のWeapopn setから、いくつか武装を選択し搭載した

 

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(直上の写真は70年代DDG「やまと」の対空兵装:艦の上部構造物前後にSM-1の単装ランチャーを2基搭載し、上部構造周辺にMk 42, 54口径5インチ砲を配置している。近接防空兵器として、上部構造の前部と左右に CIWSを搭載している。専守防衛を掲げ搭載を拒んだ巡航ミサイルは、下段写真の前部CIWSとMk 42 5インチ砲の間あたりに搭載される構想であったとされている

 
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(直上の写真はDDG「やまと」とその僚艦:奥からヘリ搭載型護衛艦(DDH)「しらね」対潜護衛艦「やまぐも」「やまと」ミサイル護衛艦(DDG)「さわかぜ」の順)

 

さて、次回はイージスシステム搭載艦が登場します。

 

***模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。

 

これまで本稿に登場した各艦の情報を下記に国別にまとめました。(今回紹介した艦船からのアップデートは特にありません。でも、こっそり日本海軍の筑波級巡洋戦艦装甲巡洋艦の写真が変わっていたりするかも)

fw688i.hatenadiary.jp

内容は当ブログの内容と同様ですが、詳しい情報をご覧になりたい時などに、辞書がわりに使っていただければ幸いです。

 

 


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