相州の、ほぼ週刊、1:1250 Scale 艦船模型ブログ

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

新着モデル(完成編:その2):レキシントン級巡洋戦艦 デザインバリエーション一覧

本稿、前々回、レキシントン級巡洋戦艦のオリジナルデザイン案モデルを入手したことをお知らせしました。今回はその完成のご報告と、その勢いで懸案だった「レキシントン級:籠マスト+巨大集合煙突デザイン」も作ってしまったので、そちらも併せてご紹介。

これで、一応、筆者の計画していた「レキシントン級」デザインバリエーションは、一応の完結をみましたので、それをおさらい含め、ご紹介。所謂「レキシントン級祭り」です。

今回はそういうお話。

ということで、予告どおり、「巡洋艦発達小史」シリーズは今回もお休みです。

 

レキシントン級巡洋戦艦(オリジナルデザイン)

 

レキシントン級巡洋戦艦について、少し基礎知識のおさらいを。

レキシントン級巡洋戦艦は、ダニエルズプランで建造に着手された、米海軍初の巡洋戦艦の艦級です。元々、米海軍は、戦艦の高速化には淡白で、21ノットを標準速度としてかたくなに固守しつづけ、巡洋戦艦には触手延ばしてきませんでした。

しかし本稿でも既述のとおり、第一次世界大戦の英独両海軍主力艦による「ドッカー・バンク海戦」や「ユトランド沖海戦」の戦訓から、機動性に劣る艦隊は決戦において戦力化することは難しいという情況が露見し、米海軍も遅ればせながら(と敢えて言っておきます)高速艦(巡洋戦艦)の設計に着手した、というわけです。

(背景情報は下記を)

fw688i.hatenablog.com

 

レキシントン級巡洋戦艦の設計当初のオリジナル・デザインでは、34300トンの船体に、当時、米海軍主力艦の標準主砲口径だった14インチ砲を、3連装砲塔と連装砲塔を背負式で艦首部と艦尾部に搭載し、35ノットの速力を発揮する設計でした。

その外観的な特徴は、なんと言ってもその高速力を生み出す巨大な機関から生じる7本煙突という構造でしょう。

モデルは、Masters of Miitaly社製で、White Natural Versatile Plasticでの出力を依頼していました。

(直下の写真は、到着したレキシントン級巡洋戦艦のモデル概観。Masters of Miitaly社製。素材はWhite Natural Versatile Plastic)

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本稿で行った「レキシントン級デザイン人気投票」では、「籠マスト+巨大集合煙突デザイン」に継ぎ第二位という結果で、私も大変気になりながらも、14インチ砲搭載艦というところに少し引っかかりがあり(あまりたいした理由はないのですが、この巨体なら16インチ砲だろう、という思いが強く)、なかなか手を出していなかったのですが、この人気投票に背中を押してもらった感じです。ありがたいことです。(なんでも都合よく解釈できる、この性格もありがたい)

www.shapeways.com

 

と言うわけで、今回はその完成形のご紹介です。

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モデルは非常にバランスの取れたスッキリとしたプロポーションを示しています。どこか手を入れるとしたら、当時の米主力艦の特徴である「籠マスト」をもう少しリアルな感じに、かなあ、とは思いますが、今回は手を入れずに仕上げることにしました。

なんかいいアイディアあれば、是非お聞かせください。

 

レキシントン級巡洋戦艦(デザインバリエーション)

上記のように、同級の原案設計の当時には、米海軍の主力艦標準備砲ということで14インチ砲搭載の予定だったのですが、その後、日本の八八艦隊計画が「全て16インチ砲搭載艦で主力艦を揃える」という設計であることを知り、急遽16インチ砲搭載に設計変更した、という経緯があったようです。

こうして同級は、結局16インチ砲搭載の巡洋戦艦として着工されるのですが、その後、ワシントン軍縮条約で制約、整理の対象となり、同級のうち2隻がその高速性と長大な艦形を活かして大型の艦隊空母として完成されました。「レキシントン」と「サラトガ」ですね。

つまり巡洋戦艦としては、同級はいわゆる「未成艦」に分類されるわけですが、その「未成」故に、完成時の姿を想像することは、大変楽しいことです。

 

筆者もご他聞に漏れず想像の羽を伸ばしたがるタイプですので、今回の「オリジナル・デザイン案」の完成に勢いづいて、筆者の想定するバリエーションの完結を目指してみました。

肝は「煙突」かな?

 

バリエーション1:二本煙突シリーズ

竣工時:籠マスト+二本煙突

en.wikipedia.org

上記リンクにあるように、実際に16インチ砲搭載巡洋戦艦として起工されたものが、完成していたら、と言う想定ですね。(こちらは本稿でも既にご紹介しています)

起工当時の米主力艦の標準デザインであった籠マストと、さすがに7本煙突という嬉しいほどユニークではあるけれど何かと問題のありそうなデザインは、実現しなかったんだろうなあ、と、その合理性には一定の納得感がありながら、一方では若干の落胆の混じる(かなり正直なところ)デザインですね。アメリカの兵器は時として、量産性や合理性にともすれば走り、デザインは置き去りになったりします。あくまで筆者の好みですが、「デザイン置き去り」が、「無骨さ」として前に出るときは、言葉にできないような「バランス感の無さ」につながり、それはそれで「大好き」なのですが(M3グラント戦車、M4シャーマン、F4Fワイルドキャット、ニューオーリンズ重巡洋艦等がこれに当たるかなあ)、正直今回の「レキシントン・二本煙突デザイン」これは「味気なさ」が先に立つと言うか・・・)
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(42,000t, 30knot, 16in *2*4, 2 ships, 213mm in 1:1250 by Delphin :こちらはDelphin社のモデルに少しだけ色を入れた程度です)

 

最終改装時:塔状艦橋+二本煙突

同級の近代化改装後の姿で、米海軍が主力艦に対し行なった、射撃システムの変更、副砲撤去、両用砲を砲塔形式で装備、上部構造物の一新、等々を実施、と言う想定です。艦様が一変してしまいました。

特に、外観上での米海軍主力艦の特徴の一つであった艦上部構造の前後に佇立する篭マストが、塔状の構造物に置き換えられました。

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(直上の写真:舷側に迷彩塗装を施しています。筆者のオリジナルですので、ご容赦を。本級は未成艦であるため新造時の模型は製造されていましたが、近代化改装後の模型までは存在せず、ごく最近になって近代化改装後の3Dプリンティングモデルを発見し、その製作者Tiny Thingajigsに発注をかけ、模型の到着を心待ちにしていました。ベースとなったモデルはこちら)

www.shapeways.com

 

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(直上の写真は、上)と最終改装後(下)の艦様の比較)

 

バリエーション2:巨大集合煙突シリーズ(こちらは筆者の妄想デザインです)

竣工時:籠マスト+巨大集合煙突

そもそも発端は、ワシントン・ロンドン体制で、巡洋戦艦から空母に転用された「レキシントン」の巨大な煙突からの妄想でした。

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この煙突がついている主力艦は、どんな感じだったろうか、作っちゃおうか、という訳です。で、その巨大な煙突の背景には大きな機関があり、元々は7本の煙突が初期の設計段階では予定されていたことを知る訳です。おそらくは転用されたのが「空母」なので、高く排気を誘導する必要があったんでしょうが、まあ、今回はそれはそれで少し置いておきましょう。

完成後に改めて見ると、ああ、半分くらいの高さ、と言うデザインもあったなあ、と。(うう、こんな事に気が付いてしまうと、いつか手を付けるんだろうなあ)

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 直上の写真は、今回急遽製作した竣工時の「レキシントン級巡洋戦艦」で、籠マストと「レキシントン級」空母譲りの巨大集合煙突が特徴です。

本稿でも以前ご紹介しましたが、本来は下記のTiny Thingajigs製の3D Printing Modelをベースに制作する予定だったのです。

www.shapeways.com

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しかしShapeways側のデータ不備とかの理由で入手できず、この計画が頓挫。では、ということで、ebay等で、これも前出のDelphin社製のダイキャストモデルを新たに入手しそれを改造しようかと計画変更。しかし少し古いレアモデルだけに新たに入手が叶わず(ebayで、格好の出品を発見。入札するも、落札できず:ebayは1:1250スケールの艦船モデルの場合、当然ですが多くがヨーロッパの出品者で、終了時間が日本時間の明け方であることが多く、寝るまでは最高入札者だったのに、目が覚めると「ダメだった」というケースが多いのです)、結局、手持ちのDelphinモデルをつぶす事にしました。(つまり、これ↓を潰す事に・・・)f:id:fw688i:20190310173715j:image

Delphin社のモデルは、こうした改造にはうってつけで、パーツが構造化されており、その構造が比較的把握しやすいのです。従って、少し注意深く作業をすればかなりきれいに分解することができます。今回は上部構造のうち、前後の煙突部と中央のボート甲板を外し、少し整形したのち、Deagostini社の空母「サラトガ」の完成模型(プラスティックとダイキャストのハイブリッドモデル)から拝借した巨大な集合煙突(プラスティック製)を装着する、という作業を行いました。

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で、出来上がりがこちら。設計の合理性は爪の先ほども感じませんが、なんかいいなあ、と自画自賛。この巨大な煙突は格好の標的になるでしょうから、まず、この設計案は採用されないでしょうねえ。

或いは、上掲の2本煙突デザインでは、7本煙突からこのデザインへの変更の際には機関そのものの見直しが必須のように思うのですが、それが何らかの要因で困難だった(あまりに時間がかかる、とか、費用が膨れ上がる、或いは新型の機関を搭載するには一から設計し直したほうが早い、とか)というような状況で、ともあれ完成を早めた、というような条件なら、有りかもしれませんね。

(やっぱり、煙突の高さ、半分でも良かったかもしれません。ああ、気になってきた!

 

最終改装時:塔状艦橋+巨大集合煙突

そして、巨大集合煙突のまま、近代化改装が行われます。米海軍が主力艦に対し行なった、射撃システムの変更、副砲撤去、両用砲をこの場合には単装砲架で装備、上部構造物の一新、等々の近代化改装を受けた後の姿、と言う想定です。

この場合でも、やはり篭マストが、塔状の構造物に置き換えられました。煙突の中央に太い縦線が入れられ、2本煙突への偽装が施されています。

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こちらは下記の3Dプリンティングモデルをベースとしています。

www.shapeways.com

このモデルの煙突をゴリゴリと除去し、Deagostini社の空母「サラトガ」の完成模型(プラスティックとダイキャストのハイブリッドモデル)から拝借した巨大な集合煙突(プラスティック製)を移植したものが、下の写真です。f:id:fw688i:20200328161044j:image

 この後、下地処理をして、少し手を加え塗装を施し完成です。

 

 (直下の写真は、巨大煙突デザインの竣工時(上)と最終改装時(下)の艦様の比較)

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レキシントン級巡洋戦艦」デザインバリエーションの一覧

上から・・・もう説明はいいですかね。

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こうやって一覧すると、「どれが好きですか?」と聞きたくなるのですが・・・。また、アンケートかよ、という声が聞こえてきそうなので、今回はやめておきます。

(そのうち、もう一回、巨大集合煙突の高さ、ちょっと変えてみました、なんて紹介をするかもしれませんね。きっとするなあ、これは)

 

ともあれ、合理性はさておき、やはり巨大煙突、いいと思うんですがねえ。

 

と言うことで、今回はここまで。

 

以下に、これまで「レキシントン級」関連の投稿回を下記にまとめておきます。関心がある方は、下記も合わせてお楽しみください。

fw688i.hatenablog.com

fw688i.hatenablog.com

fw688i.hatenablog.com

 

次回は、「巡洋艦発達史」に戻りたいなあと、考えています。

 

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