相州の、1:1250スケール艦船模型ブログ 主力艦の変遷を追って

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

第13回 ユトランド沖海戦とドイツ帝国海軍の終焉

海戦の背景と企図

1915年1月のドッガー・バンク海戦は、独帝国海軍が戦前の建艦競争以来続く英海軍の戦力優位を揺るがすべく、高機動を誇るその巡洋戦艦戦隊の挑発で英艦隊の一部を誘引し、大海艦隊主力でこれを叩き、戦力バランスの改善を図るという構想の元に実施された。

ヒッパー中将の巡洋戦艦戦隊の行動により、その当初の目的であった英艦隊の一部(ビーティ中将の第一巡洋戦艦戦隊)誘引は成功したものの、艦隊保全を命じた皇帝勅令に縛られた大海艦隊司令長官インゲノール大将は動かず、英独両海軍の巡洋戦艦同士の海戦という規模で終了した。

 

もちろん戦力バランスには影響はなく、海戦以前の膠着状態が継続した。

 

その後、インゲノールはその消極的姿勢により更迭され、後任にはフーゴ・フォン・ポール大将が就任した。ポールは、英海軍の北海機雷封鎖を事実上の無制限攻撃であるとして、これに対抗すべくイギリス周辺海域での潜水艦による無警告攻撃を宣言し通商破壊戦を強化した。

しかし、5月に発生したルシタニア号事件への対処に苦慮した皇帝の介入により、独海軍は、成功しつつあった無制限潜水艦作戦を、8月に一旦中止せざるを得なくなった。

 

1916年1月、病を得て職を辞したポール大将の後任に、ラインハルト・シェア中将が就任した。2月には、西部戦線でヴェルダンの戦いが始まり、海軍も支援行動が求められた。

シェアは、ヴェルダン支援の要請の下、制限の緩められた裁量権を活用し、再び水上艦隊による作戦を構想した。

作戦目的は。これまでのものを踏襲し、英独のバランス回復とした。

具体的には、ドッガー・バンク海戦同様、高機動性を誇るヒッパー中将指揮の巡洋戦艦戦隊の挑発で、英海軍の一部を引き出し、今度こそ、それを大海艦隊主力が叩く、というものであった。あわせて英主力艦隊への牽制として、同時期に潜水艦部隊によるピケラインを展開するものとした。

しかし、暗号解読等にてその意図を把握していた英艦隊は、ジェリコー大将の指揮の下、その裏をかく作戦を立案した。すなわち、ヒッパーの巡洋戦艦戦隊に対しては、これもドッガー・バンク海戦の再現よろしくビーティ中将の巡洋戦艦戦隊で対応し、誘引されたように装いながら、実はこれを襲撃するために出撃する独艦隊主力を逆に誘引し、これを英艦隊主力をもって撃滅することを計画した。

 

奇しくも、ほぼ同じ戦術システム、技術を持った両海軍が、決戦を意図して全力で出撃する。この三要件が揃った事例は、実は大変珍しいと言って良いであろう。

これまで本稿で見てきた主力艦が関連する海戦では、戦術システム、技術の同等さの点で、いずれも日露戦争における黄海海戦日本海海戦がこれに近いと言えるかもしれない。但し、両海戦とも、ロシア艦隊の目的は、あくまでウラジオストックへの遁入であって、ロシア艦隊側から見れば、決戦意図は希薄で、どちらかというと「できれば避けたかった遭遇戦」と言えるであろう。

 

そして、やはりユトランド沖海戦については、その規模に触れねばならない。

主力艦だけを取り上げても、独艦隊が16隻の弩級戦艦、5隻の弩級巡洋戦艦、そしてその補助として6隻の前弩級戦艦で構成されていたのに対し、英艦隊は10隻の弩級戦艦、18隻の超弩級戦艦、5隻の弩級巡洋戦艦、4隻の超弩級巡洋戦艦でこれを迎え撃つべく準備した。

 

両軍の参加主力艦は以下の通りである

英大艦隊(Grand Fleet)

○戦艦部隊 司令長官:ジョン・ジェリコー大将

戦艦アイアン・デューク(艦隊総旗艦:アイアン・デューク級)

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第4戦艦戦隊

戦艦ベンボウ(戦隊旗艦:アイアン・デューク級)

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テメレーアシュパーブ(ベレロフォン級)

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ヴァンガード(セント・ヴィンセント級)

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ロイアル・オーク(ロイアル・サブリン級)

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第1戦艦戦隊 

戦艦マールバラ(戦隊旗艦:アイアン・デューク級)

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リヴェンジ(ロイアル・サブリン級)

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ハーキュリーズ(コロッサス級)

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 コリンウッドセント・ヴィンセント(セント・ヴィンセント級)、

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ネプチューン

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第2戦艦戦隊 

戦艦キング・ジョージ5世(戦隊旗艦)、エイジャクスセンチュリオン(キング・ジョージ5世級)

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 エリン

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オライオンモナークコンカラーサンダラー(オライオン級

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第3巡洋戦艦戦隊 

巡洋戦艦インヴィンシブル(戦隊旗艦)、インフレキシブルインドミタブルインヴィンシブル級

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巡洋戦艦部隊 司令長官:デイビッド・ビーティー中将

巡洋戦艦ライオン(司令長官直卒旗艦:ライオン級

第1巡洋戦艦戦隊

巡洋戦艦プリンセス・ロイヤル(戦隊旗艦)、クイーン・メリーライオン級

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タイガー

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第2巡洋戦艦戦隊 

巡洋戦艦ニュージーランド(戦隊旗艦)、インディファティガブル(インディファティガブル級)

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第5戦艦戦隊

戦艦バーラム(戦隊旗艦)、ウォースパイトヴァリアントマレーヤ(クイーン・エリザベス級)

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***模型については下記のリンクでお楽しみください。

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独大海艦隊(High Sea Fleet)

司令長官:ラインハルト・シェア中将

戦艦フリードリヒ・デア・グローセ(司令長官直率旗艦:カイザー級)

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○戦艦部隊(シェア中将)

第3戦隊 

戦艦ケーニヒ(戦隊旗艦)、グローサー・クルフュルストマルクグラーフクローンプリンツ・ヴィルヘルム(ケーニヒ級)

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カイザープリンツ・レゲント・ルイトポルトカイザリン(カイザー級)

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第1戦隊 

戦艦オストフリースラント(戦隊旗艦)、チューリンゲンヘルゴラントオルデンブルク(ヘルゴラント級)

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ポーゼンラインラントナッソウヴェストファーレン(ナッサウ級)

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第2戦隊 

戦艦ドイチュラント(戦隊旗艦)、ポンメルンシュレジェンハノーファーシュレスヴィヒ・ホルシュタイン(ドイチュラント級)

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ヘッセンブラウンシュヴァイク級)

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○偵察部隊 司令長官:フランツ・フォン・ヒッパー中将

巡洋戦艦リュッツオウ(艦隊旗艦)、デアフリンガー(デアフリンガー級)

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リュッツォー(手前)とデアフリンガー

ザイドリッツ

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 モルトケ

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 フォン・デア・タン

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ドイツ艦隊に勝機はあったのか

例によって、海戦の詳細は種々の優れた文献に委ねるとして(ユトランド沖海戦 - Wikipedia )、上記の投入予定の戦力を比較すると、両艦隊には大きな戦力差があることは明白である。もっとも、独艦隊の狙いとしてはこの戦力差を、ヒッパー提督の機動艦隊による挑発で部分的に誘引し、その突出部分を削っていくことによって差を縮めていく、というものであったから、戦略としての筋は通っていた。

 

あわせて、独艦隊には両者の備砲の優劣についてもそれなりの計算があったと思われる。

そもそも超弩級戦艦、超弩級巡洋戦艦とは、12インチより大きい口径の主砲を持つ主力艦を意味するのだが、この海戦の時点では、独海軍は、超弩級戦艦を持っていなかった。しかし独海軍の弩級戦艦が装備する12インチ砲は、ヘルゴラント級以降は全て50口径の速射砲で、405kgの砲弾を毎分3発の速度で発射することができたとされる。50口径の長砲身から強装火薬を用い、さらにドッガーバンク海戦以降、主砲の最大仰角をあげるなど、長射程を得る工夫が取られていた。

 一方、英海軍の超弩級戦艦の標準的な備砲は45口径13.5インチ砲であり、こちらは635kgの砲弾を発射した。発砲速度は毎分1.5発であったとされている。

これを単艦で比較すると、独戦艦ケーニッヒは、片舷に対し10門の50口径12インチ速射砲を斉射することができ、その一回あたり斉射弾量は405kg×10=4050kg。さらに1分あたりの発射弾量は、12tを超える。一方、英戦艦アイアン・デュークは、片舷10門の13.5インチ砲を斉射することができ、その一回あたりの斉射弾量は6350kgで、同じく1分あたりの発射弾量は10t弱となる。

一斉射あたりでは及ばないものの、単位時間あたりの弾量では、独海軍が優位に立ち得る場面を作り得るという計算があったであろう。 

同様に、これを海戦参加全主力艦規模で比較しておくと、一斉射あたりの弾量では、独艦隊81tに対し英艦隊185tと大差がつくが、これを発砲速度を加味した毎分あたりに直すと独艦隊240tに対し英艦隊278tとそれほどの大差ではない。(いずれも手元での概算。異論があると思いますので、傾向値としてご覧いただき、あまり、数字そのものを鵜呑みにしないでください)

ちなみに、それぞれの口径の砲弾重量を比較しておくと、独11インチ砲弾302kg、12インチ砲弾:405kg、対する英12インチ砲弾:386kg、13.5インチ砲弾:635kg、15インチ砲弾:871kgであった。

この海戦から登場した英海軍のクイーン・エリザベス級戦艦は、その強力な15インチ砲に加え、従来の巡洋戦艦と同等の24ノットの速力を発揮する戦艦で、「高速戦艦」と称してその高速力からビーティ提督の巡洋戦艦部隊に編入され、独艦隊にとって(特にヒッパーの巡洋艦隊にとって)は厄介な存在となった。

 

海戦の経緯と戦果

海戦は、ほぼ両軍の当初の思惑通りに展開してゆく。

すなわち、ヒッパー提督の独巡洋戦艦部隊は、挑発の結果、ビーティ提督指揮下の巡洋戦艦戦隊を誘い出すことに成功した(成功したように見えた)。

逃げるヒッパー艦隊と追うビーティ艦隊の間に、ドッガーバンクの再現のような砲戦が展開され、ヒッパーは英巡洋戦艦部隊に大きな損害を与えつつ誘引することに成功せする。巡洋戦艦クイーン・メリー、インディファディカブル撃沈、ライオン、プリンセス・ロイヤル、タイガー被弾)

この英艦隊の突出部隊を捕捉すべく、シェア提督の指揮下の独大海艦隊主力が出撃し、ビーティ艦隊に攻撃をかけた。

独艦隊の海戦企図を承知しているビーティ艦隊は、シェアの主隊を視認すると、今度は独大海艦隊を英艦隊主力まで誘導すべく退却にかかるが、ビーティ指揮下に加入したばかりの新鋭戦艦クイーンエリザベス級で編成される第5戦艦戦隊は、ヒッパーの巡洋戦艦群を捕捉し、自慢の15インチ砲で砲戦を展開しヒッパー隊に重大な損害を与えていた。(リュッツォー:24発の大口径砲弾を被弾し、航行不能。のち自沈処分。デアフリンガー:17発の大口径砲弾を被弾・大浸水、ザイトリッツ:21発の大口径砲弾を被弾・大浸水、モルトケ:被弾、フォン・デア・タン:ほとんどの主砲を喪失)そのため 反転が遅れ、逆に本当に捕捉されてしまい、損害を被ることになった。(戦艦「バーラム「マレーヤ」「ウォースパイト」が被弾)

その後、このビーティ艦隊を追撃したシェアの率いる独大海艦隊主力は、ジェリコー指揮下の英主力艦隊に包囲される窮地に陥るが、ヒッパー艦隊の奮戦と夜陰により、その重囲から逃れることに成功した。

 

両軍の主力艦の損害は以下の通り。

英艦隊

超弩級巡洋戦艦クイーン・メリー:独ヒッパー艦隊との交戦で火薬庫に被弾・轟沈

弩級巡洋戦艦インディファディカブル:同上

弩級巡洋戦艦インビンシブル:砲塔に被弾・轟沈

損傷

超弩級巡洋戦艦タイガー、ライオン、プリンセス・ロイアル:いずれもヒッパー艦隊との交戦による

超弩級戦艦バーラム、マレーヤ、ウォースパイト:いずれもクイーン・エリザベス級。

 

独艦隊

巡洋戦艦リュッツォー:24発の大口径砲弾を被弾し、航行不能。自沈処分

弩級戦艦ポンメルン:ドイチュラント級、英巡洋戦艦インドミタブルと交戦、のちに英駆逐艦の魚雷攻撃により喪失

損害

巡洋戦艦アフリンガー:17発の大口径砲弾を被弾・大浸水、ザイトリッツ:21発の大口径砲弾を被弾・大浸水、モルトケ、フォン・デア・タン:ほとんどの主砲を喪失

弩級戦艦ヘルゴラント(ヘルゴラント級)、グロッサー・クルフュルスト(ケーニヒ級)、マルクグラフ(ケーニヒ級)、ケーニヒ(ケーニヒ級)、オストフリスラント(ヘルゴラント級)

 

その後への影響

1916年5月31日から6月1日にかけてのこの大海戦は、実は戦局にはほとんど影響を与えなかったと言って良いであろう。

英海軍151隻、独海軍99隻の空前の戦力が投入されたが、いずれかが決定的な成果を得る、ということはなかった。損害だけを見ると英海軍に多いが、海戦後も英海軍の優位は揺るがず、以降、独大海艦隊の主力艦は、第一次大戦の終了までの約2年半、ほとんどその泊地を動くことはなかった。

しかしながら、その戦力は海戦前と変わらず依然保持されており、英艦隊もその警備を解くことはできなかった。両軍ともに、海戦前の状態に戻らざるを得なかった。

敢えて言えば、海戦によりドイツ艦の艦砲の優秀さ、砲撃能力の高さと防御力の優秀さが証明された、という成果があったと言えるかもしれない。

一方で、英艦隊についてはその巡洋戦艦脆弱性が浮き彫りになり、さらに装薬の取り扱いのハード面、ソフト面についての課題も明確となった。

 

戦訓から得た成果としては、水平防御の見直しが挙げられるであろう。これは英海軍の超弩級巡洋戦艦クイーン・メリーが、同海戦中に砲塔天蓋に被弾これが火薬庫に達し轟沈した事例からの学びで、それまで水平に飛来する砲弾を想定し舷側方向に重点的に配置されていた防御装甲を、砲戦距離が飛躍的に伸びたことにより砲弾が上から飛来することにより、水平方向への装甲強化が検討され始め、やがてポスト・ユトランド型戦艦の名で、いくつかの成果となる。

  

第一次世界大戦の終了と、ドイツ帝国艦隊の終焉 

1918年11月11日にフランス、コンピエーニュで締結された休戦協定によって、第一次世界大戦は実質的に終了する。休戦協定には、ドイツ大海艦隊の抑留を謳った項目があり、その処遇が決まるまで大海艦隊はスコットランドスカパ・フローに抑留された。

 大海艦隊は大半が11月25日から27日にかけて、スカパ・フローに移動し、1月9日の戦艦バーデンの合流を持って集結を完了した。総数は74隻にのぼり、その中には超弩級戦艦2隻、弩級戦艦9隻、弩級巡洋戦艦5隻が含まれていた。

抑留はその後半年を超え、艦隊の処遇については、戦勝国間での艦艇の配分を中心に議論が進められた。

そして艦艇接収実行の2日前(1919年6月21日)、抑留艦隊司令官ルートヴィヒ・フォン・ロイター少将の旗艦巡洋艦エムデンに旗旒信号が掲げられた。これは「本日付指令書第11節。執行せよ」を意味するもので、即刻自沈の指令であった。

各艦の維持のために残っていた少数のドイツ人乗組員は、休戦以降掲揚されることの無かった帝国海軍旗を掲げると海水コックや注水バルブを開き、一斉に自沈が実行された。

駆けつけた英海軍により、沈没を免れたのは戦艦バーデンだけだった。(移動して浅瀬に座礁

 

自沈主力艦一覧

巡洋戦艦

アフリンガー級:アフリンガー、ヒンデンブルク   

ザイドリッツ、モルトケ、フォン・デア・タン

戦艦

カイザー級弩級戦艦カイザー、プリンツレゲント・ルイトポルト、カイゼリン、フリードリヒ・デア・グローセ、ケーニヒ・アルベルト

ケーニヒ級弩級戦艦ケーニヒ、グローサー・クルフュルスト、クローンプリンツ・ヴィルヘルム、マルクグラーフ

バイエルン超弩級戦艦:バーデン(座礁)、バイエルン

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こうして、かつては世界第2位の規模を誇ったドイツ帝国海軍は終焉を迎えたのである。

 

*ようやく、ユトランド沖海戦をなんとかクリアしました。

次回からは、第一次世界大戦後の建艦競争の再発の兆候と、その結果現れたネーバルホリデイ 、その間の諸国の主力艦建造予定等に入ってゆく予定です。

再び日本海軍に主軸を戻し、いよいよ八八艦隊計画などにも言及する予定です。

 

模型についてのご質問は、どうぞご遠慮なく。お気軽にどうぞ。

 

これまで本稿に登場した各艦の情報を下記に国別にまとめました。

fw688i.hatenadiary.jp

内容は当ブログの内容と同様ですが、詳しい情報をご覧になりたい時などに、辞書がわりに使っていただければ幸いです。