相州の、ほぼ週刊、1:1250 Scale 艦船模型ブログ

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

新着モデルのご紹介:あの未成巡洋戦艦オリジナルデザインや架空防空巡洋艦など(架空防空巡洋艦の艦名募集中)

新着モデル到着

今回は、巡洋艦発達小史は、ちょっと一息。

一休みして、昨日、いつもお世話になっている3D Printing の Shapewaysからモデルが届きましたので、そちらをご紹介します。

何度か紹介しているので、既にご存知の方も多いと思いますが、Shapewaysはオランダにある3D Printingの、おそらく世界最大手の出力センターで、デザイナー、製作者はここのデータベースにデータを預け、筆者のような依頼者からの依頼を受けることになります。その扱い商品は実に多岐にわたっていて、昨今は Corona対策のマスクや、機器のパーツなども扱っているようです。興味がある方は是非こちらを。

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筆者は、もちろん主として1:1250や1:144のスケールモデル、あるいはスター・トレック関連の模型などを調達することが多いのですが、こうしたミニチュアですと、多分、出力まで(つまりモデルが完成するのに)おおよそ1週間、そしてオランダから日本への配送が、同じく1週間、都合、2週間から3週間で手元に届く、という感じでしょうか。

デザイナーによって力を入れている分野が違ったりするので、それを整理しながらいろいろとみて見るのも、大変楽しいですよ。「ああ、この人は、この分野に強いんだなあ」とかね。

 

巡洋艦はお休み」と言っても、巡洋艦を離れてしまうわけではなく、到着したモデルの全ては「巡洋艦巡洋戦艦」で、巡洋艦飽きちゃった、というわけではありませんので、ちょっと軽い寄り道的な脱線に、ご容赦を。

 

レキシントン級巡洋戦艦(オリジナルデザイン)

以前、本稿でレキシントン級巡洋戦艦については「巨大集合煙突デザイン」のモデル制作をご紹介しましたが、今回は、そのオリジナル・デザイン案のモデルを入手しました。

fw688i.hatenablog.com

 

レキシントン級巡洋戦艦は、ダニエルズプランで建造に着手された、米海軍初の巡洋戦艦の艦級です。着工はされましたが、その後、ワシントン軍縮条約で制約、整理の対象となり、同級のうち2隻(「レキシントン」「サラトガ」)が転用され、大型の艦隊空母として完成されました。

つまり巡洋戦艦としては、同級はいわゆる「未成艦」に分類されるわけですが、その「未成」故に完成時の姿を想像することは、大変楽しいことです。

本稿の上記回でのご紹介も、そもそも発端は、空母「レキシントン」の巨大な煙突からの妄想でした。この煙突がついている主力艦は、どんな感じだったろうか、作っちゃおうか、という訳です。で、その巨大な煙突の背景には大きな機関があり、元々は7本の煙突が初期の設計段階では予定されていたことを知る訳です。

レキシントン級巡洋戦艦のオリジナル・デザインでは、34300トンの船体に、当時、米海軍主力艦の標準主砲口径だった14インチ砲を、3連装砲塔と連装砲塔を背負式で艦首部と艦尾部に搭載し、35ノットの速力を発揮する設計でした。

その外観的な特徴は、なんと言ってもその高速力を生み出す巨大な機関から生じる7本煙突という構造でしょう。

モデルは、Masters of Miitaly社製で、White Natural Versatile Plasticでの出力を依頼していました。

(直下の写真は、到着したレキシントン級巡洋戦艦のモデル概観。Masters of Miitaly社製。素材はWhite Natural Versatile Plastic)

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上記、ご紹介した回で行った「レキシントン級デザイン人気投票」では、「籠マスト+巨大集合煙突デザイン」に継ぎ第二位という結果で、私も大変気になりながらも、14インチ砲搭載艦というところに少し引っかかりがあり(あまりたいした理由はないのですが、この巨体なら16インチ砲だろう、という思いが強く)、なかなか手を出していなかったのですが、この人気投票に背中を押してもらった感じです。

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原案設計の当時には、米海軍の主力艦標準備砲ということで14インチ砲搭載の予定だったのですが、その後、日本の八八艦隊計画が「全て16インチ砲搭載艦で主力艦を揃える」という設計であることを知り、急遽16インチ砲搭載に設計変更した、という経緯があったようです。

写真でご覧いただけるように、モデルは非常にバランスの取れたプロポーションを示しています。どこか手を入れるとしたら、当時の米主力艦の特徴である「籠マスト」かなあ、とは思いますが、さてどうしましょうか?おそらくこのままストレートに仕上げることになるとは思いますが・・・。

 

重巡洋艦「摩耶」最終形態

次にご紹介するのは、前回ご紹介した「高雄級」重巡洋艦の4番艦「摩耶」の最終形態の模型です。「摩耶」はラバウル空襲で大破した後、内地に回航され修復と防空巡洋艦への大改装を受けました。具体的には3番砲塔を連装対空砲2基に換装し、さらに対空機銃座を増設する、という当時の米艦載機優位の戦況を色濃く反映したものでした。

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 (直上の写真:「摩耶」の最終形態。Tiny Thingamajigs製 素材:Smooth Fine Detail Plasitic すみません、スケールは1:1800です。再三に渡り、スケール変更(1:1250)を依頼してきたのですが、今回は返事をいただけず、やむを得ず、という感じです。このデザイナーさん(?)、製作者さんは、これまで何度も筆者からのスケール変更のお願いには、いつでも快く対応してきてくださっただけに、今回の対応(無反応)は、Coron aの状況等考えると、少し不安になってきます。大変なことになっていないことを祈るのみです

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こちらは、普段よりも小さなスケールなので、特に手を入れることはせず、ストレートに仕上げてみる予定です。

 

日本海防空巡洋艦

さて、次は「架空艦、If艦」です。

日本海軍の防空巡洋艦という設定で、軽巡洋艦クラスの船体に、日本海軍の最優秀対空砲といわれた「長10センチ高角砲(九八式十糎高角砲)」を連装砲塔で12基搭載する、という仕様になっています。米海軍の「アトランタ級軽巡洋艦、英海軍の「ダイドー級軽巡洋艦、と同じカテゴリーに属し、主として艦隊防空の要を担う軍艦です。日本海軍の「秋月級」駆逐艦の拡大型、というべきかも。

これまでに、筆者はこのような設計案があったとか、そういう具体的な「公式」の情報に触れたことはありません(発想としては、何度かこれに類するアイディアには触れた記憶はありますが)。おそらくは全くの架空艦と言って良いと思います。(もしどなたか、「そういう計画はあったらしいよ」などの情報をご存知の方、是非お知らせください)

(直下の写真:防空巡洋艦の概観。C.O.B Constructs and Militarys製 素材はSmooth Fine Detail Plastic 製作者がこのモデルに付けた名前は「Taiseiyo=大西洋」!? このネーミングは・・・???)

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前述のように、筆者にとっては、全くの架空艦とはいえ、設計思想もデザインも、いかにも在りそうな「虚実のバランス」がなんとも言えず良いなあ、と思っているモデルです。それにしても製作者のつけた「大西洋」というネーミングはどうにもいただけません。どういうセンス?なんか良い名前を考えねば。

(直下の写真:まさに「ハリネズミのように」搭載された九八式十センチ高角砲連装砲塔の配置。砲身を別素材に置き換えたりしたくなりそうですが、結構、小さいので、多分、一度このまま仕上げてしまいましょう。それでも我慢できなかったら、何か考えてみ流ことにします)
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実はこのモデル、上の写真のSmooth Fine Detail Plasticとは別にWhite Natural Versatile Plastic素材のモデルも出力を依頼しておきました、

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以前、本稿で3D printingの素材特性についてご紹介しています。

fw688i.hatenablog.com

その中でこんなコメントをしているのですが、

3D Printing 出力素材比較:仕上がり以外にも検討すべき点があるかも?

もう一点、素材選びの際に比較的重要なポイントがあります。実は前出の「たかつき」級護衛艦のモデルストックは、すでに「たかつき」級の護衛艦の模型はHai社製のものがありましたので、いずれは加工して架空艦を作成する際の素材として入手したものです。その際には切ったり、削ったりが必要になるのですが、加工の種類によっては、White Natural Versataile Plasticの方が粘性が強く、切断等の作業には適性が高いかもしれません。一方で、Smooth Fine Detail Plasticは、硬度が高く、研磨等の作業には適性が高いかもしれません。もちろん作業者の得手不得手も吟味して、選択して頂ければと考えます。つまり、高ければいい(基本はそうなのだけれど)、と言うわけではない、と言うことです。

 で、今回、White Natural Versatile Plastic素材のモデルも出力を依頼しておいた理由は、つまり、このモデルをベースとして「切った貼った」をしたかったから、という事です。

 

防空巡洋艦:「切った貼った」野望編

今回、同時に下の写真の砲塔も出力依頼をしていました。

(下の写真:ちょっとわかり難いのですが、左が60口径15.5糎砲連装砲塔(60口径と記載されていますので、阿賀野級軽巡洋艦が搭載した50口径15.5センチ砲ではなく、最上級や大和級戦艦の副砲に使われた15.5センチ砲の連装砲塔版ということになりますね)、右が「高雄級」重巡洋艦に搭載された3年式50口径8インチ連装砲塔版です。この二つ、ほとんど見た目の大きさは変わりません。しかし、よーくみると砲身の太さが違うし、砲塔の下のリンク部分の付け根の造作が異なっています。さらに砲塔の厚みが微妙に違う(ように見えるような気がしてくるだけかも)。製作者はdiStephan 3D print 素材はSmooth Fine Detail Plasticです。なぜかこの製作者、1:1250スケールでは、日本海軍の武装が中心です。もっとも、力を入れていらっしゃるのはもっと大きなスケールの艦船武装パーツのようですが。大スケールのパーツにはあまり用がないのですが、でも、見ていると結構面白い。ああ、これは「アレ」だな、と発見があったり、「ああこんな形をしているんだ」と気づきがあったり)

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この武装パーツを見た際に、これ利用して、防空巡洋艦のバリエーションの「切った貼った」をやっちゃおう、という「野望」がむくむくと湧き上がった、という訳です。

 

汎用軽巡洋艦の作成

で、「切った貼った」の成果、途中経過が以下。

まず、上段の写真がオリジナルのモデル。中段では、艦首部と艦尾部の主砲塔群を切除。そして下段では、前後の砲塔群の跡に15.5センチ連装砲塔を搭載、そして小さなパーツをちょこちょこ追加。まあ数時間でこの程度の作業ができちゃうところが、筆者のように時間がない者にとっては(場所もないのですが)、とっても嬉しいところ。(下段写真の少し黄色っぽく見える部分は、砲塔群切除の際にやや削りすぎた上甲板部をパテで補修した跡です)
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「**年次計画で、日本海軍は空母機動部隊の艦隊防空の要となる10隻の防空巡洋艦の建造を計画した。同艦級は九八式十糎高角砲24門をその主要武装とする予定であった。しかし、建造決定後、用兵側からの強い要求で、うち4隻は従来の軽巡洋艦の基幹任務である水雷戦隊の旗艦としても運用できるように、15.5センチ砲を主砲とし、併せて雷装も保有する重装備の汎用軽巡洋艦として再設計された。戦局の激化で防空巡洋艦としては4隻が完成し、汎用軽巡洋艦としては2隻が完成した」というようなカバーストーリーでしょうか?ソロモン諸島あたりで、「駆逐艦部隊の鼠輸送に支援部隊として出撃。阻止を目論み出撃してきた米巡洋艦隊と夜間遭遇戦を展開し・・・・」と米海軍の「アトランタ級」や「ニューオーリンズ級」と夜戦をやらせてみたくなりますね。

 

さて、なんて名前にしようかな。

ネーミング、募集します。

防空巡洋艦と汎用軽巡洋艦、それぞれに・・・。

通常なら、当然「川」の名前から、でしょうね。あるいは、もっと別角度からのアイディアがあれば、是非、教えてください。(「コメント」を利用してお知らせいただけると、「感謝、感謝」です)

 

ということで、今回はここまで。さあ、下地処理をしなくっちゃ。パテは乾いたかな?

 

次回はこの完成編、あるいは巡洋艦発達小史の続きか、はたまた・・・、ちょっと作業次第ですね。

 

お仕事の方はWork From Homeでずっと家にいるのですが、意外と(というか、ありがたいことに、と言うべきでしょうか)高密度で忙しく、毎日、模型を触りながら、という訳にはいきません。

 

模型に関するご質問等は、大歓迎です。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

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