相州の、1:1250スケール艦船模型ブログ 主力艦の変遷を追って

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

映画「グレイハウンド」に登場する艦船

映画「グレイハウンド」

「グレイハウンド」ご覧になりましたか?

私は4回ほど見ました。色々と言いたいことはありますが、4回も見たということは、間違いなく面白い映画だと思います。

映画の批評は他の詳しい皆さんにお任せするとして、私は楽しめたと申し上げておきます。

ちょっとトム・ハンクス艦長、全部抱えすぎじゃないの?とか、Uボートってあんなに浮上して戦うんだろうか(「フレッチャー級」でなくとも、駆逐艦護衛艦と浮上して砲戦とか、本当にするのかな)、とか、いろいろと疑問を持ち出すときりがないのですが。

でも、一見の価値あり、だと思います。特に艦船好きの皆さんなら、上述みたいな、ある種マニアックな疑問を持ちながら見ることも、きっと楽しいだろうし。

 

さて、今回は表題通り、登場する艦船と、それにまつわる模型のお話です。

 

一応、映画「グレイハウンド」について

まだご覧になっていな方のために、予告編を再掲しておきます。

www.greyhound.movie

www.youtube.com

この映画、船団を護衛する小艦隊とそれを狩立てるUボートの物語、乱暴に整理してしまうとそう言う事なんだろうと思います。

トム・ハンクスが主演と、自ら脚本にも参加したとのことで、主役である駆逐艦「グレイハウンド」の艦長に目一杯スポットを当てたアングルの映画に仕上がっています。

当初劇場公開される予定でしたがコロナ騒ぎの中、Apple TV+での独占配信に切り替えられました。おかげで、サブスクがまた増えちゃったけど。

 

原作があって、「海の男、ホーンブロワー」シリーズなどで有名な海洋小説の大御所セシル・スコット・フォレスターの「駆逐艦キーリング」。原題は「The Good Shepherd」:Uボートの群狼作戦に因んで船団(羊)を守る「羊飼い」なんでしょう。これも映画で有名になった「アフリカの女王」もこの人の原作がベースですね。「でも「グレイハウンド」は主に兎狩りなどの猟犬ですので、羊のお守りには・・?」とかそう言う話は置いておいて、と、筆者は本稿で以前、呟いたりしています。

 

今回は表題の通り、艦船模型の視点でややこれに近い「ぶつぶつ」、まあ、そういうお話です。

 

登場する駆逐艦の話

さて、いよいよ映画に登場する駆逐艦の話ですが、(ちょっとここからはネタバレが含まれるかもしれないので、「それは困る」という方は、是非、今日は堪えて、ご覧になってから戻ってきてください。この先は、「ネタバレ、気にしない」という方、限定です。ちゃんと断ったからね!)予告編を紹介した際に、筆者は下記のようなコメントを記載しています。「予告編を見ただけであまり全体像を捉えられるような映像がなかったので、本稿前回では、筆者は予告編に映画自体への期待感を募らせながらも、「キーリング」は艦隊駆逐艦(DD)の様に見えるのですが、ここは護衛駆逐艦(DE)を使って欲しかった、などと記しています。船団護衛なら、旧式の第一次大戦型の平甲板型駆逐艦か、護衛駆逐艦(DE)あるいはもっと小さなコルベットのような艦が、個人的にはよかったな、と言う感じです。その後、書棚から「確か、あったはず」と、ほこりを被った原作小説を引っ張り出して確認したところ、原作小説では「駆逐艦キーリング」は「マハン級」駆逐艦とされていました。ああ、艦隊駆逐艦(DD)と言う設定は間違っていなかったんだ、と言うわけです。あわせて「マハン級」と聞いて少し納得」(引用ここまで)

fw688i.hatenablog.com

 

で、本編でははっきりと主人公の乗艦「グレイハウンド」は「フレッチャー級」であることが明言されています。

ですので、主人公が乗っている「フレッチャー級駆逐艦をまずはご紹介。

 

駆逐艦「グレイハウンド」

米艦隊駆逐艦の集大成「フレッチャー級駆逐艦(1942-:同型艦175隻)

米海軍が第一次世界大戦以降開発してきた艦隊駆逐艦の集大成とも言える艦級が、「フレッチャー級駆逐艦です。

ja.wikipedia.org

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 (直上の写真:「フレッチャー級駆逐艦の概観。92mm in 1:1250 by Neptun:) 

2100トンの大型駆逐艦で、5インチ両用砲(Mk 12 5インチ砲)を単装砲塔形式で5基装備し、533mm4連装魚雷発射管2基を搭載し、37.8ノットの速力を出せる、まさに艦隊駆逐艦の決定版と言えるバランスの取れた艦で、175隻が建造されました。

高速重武装の万能艦で、第二次世界大戦後は日本も含め14か国に払い下げられ、その中には1990年台後半まで現役にとどまった艦もあるほど、ポテンシャルの高い艦級だったと言えるでしょう。

 

次に、原作で主人公の乗艦になったのが「マハン級」。

「マハン級」駆逐艦(1936-:同型艦18隻)

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 (直上の写真:「マハン級」駆逐艦の概観。82mm in 1:1250 by Neptun:)

 

「マハン級」駆逐艦アメリカ海軍が第一次世界大戦後建造した3番目の艦隊随伴用の駆逐艦の艦級で、就役年次は1937年ごろ。1500トンの小ぶりな船体を、原型となった「ファラガット級」で課題となった復原性不足に対応してやや幅広の設計としたにもかかわらず、5インチ両用砲5門、533mm4連装魚雷発射管3基を搭載するなど、重武装による、強いトップ・ヘビー傾向と言うこの条約期の駆逐艦の構造的な欠陥を、前級の「ファラガット級」から引き継いでいました。

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 (直上の写真:「マハン級」駆逐艦の主砲配置。艦首部は両用砲の単装砲塔形式、艦尾部は単装砲架形式で、主砲を搭載しています)

同級1番艦の艦名は、著名な海軍戦略家アルフレッド・セイヤー・マハンに因んだものです。マハンの著書「海上権力史論」は明治期の海軍士官の必読書と言われ、日本海軍の日露戦争当時の艦隊参謀として有名な秋山真之も、米国留学の際、マハンを訪ねたと言われています。

 

米海軍の先見性

ちょっと映画とは関係ないですが、脱線して「マハン級」に見る米海軍の先見性、という話をします(実はこの件は、本稿の以前の回でも紹介しています)。

同級の前級である「ファラガット級」から、米海軍は駆逐艦の主砲に5インチ両用砲(Mk 12 5インチ砲)を採用しています。同砲は揚弾機構付きで毎分15-22発、揚弾機構なしの場合でも毎分12-15発の射撃が可能で、これとMk 33両用方位盤との組み合わせで、対艦・対空両目的に、飛躍的な射撃能力を得ることができました。

これは既にこの時期に 米海軍が航空機の脅威の増大を既にこの設計時期に予期していた、と言うことを示していると考えられます。

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この砲はその後建造された駆逐艦だけでなく、戦艦、巡洋艦、空母など米海軍艦艇のほぼ全ての艦級に搭載され、実に1990年まで使用された優秀な砲で、単装砲架から連装砲塔まで、多岐にわたる搭載形式が開発・採用されました。「マハン級」では、艦首部には単装砲塔形式で2基を背負い式に配置し、艦尾部に単装砲架を背負式で2基搭載しました。

 

同時期、日本海軍も駆逐艦に5インチ砲を主砲として採用していたのですが、基本は対艦射撃用として設計された平射砲で、対空射撃の要請に対する対応として、B型砲塔以降では仰角を75度まで上げるなどの改良が行われましたが、装填機構が対応できず、つまり装填時には平射位置まで仰角を戻さねばならず、高角射撃時の射撃速度は毎分4発程度で、低空からの侵入機に対する以外は対空砲としては全く効果を有しませんでした。

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この砲は、「睦月級」以降の「秋月級」、「松級」以外の全ての駆逐艦に搭載されており、つまり日本海軍は有効な対空砲を持たない駆逐艦の防空円陣で護衛されねばならなかった、と言うことになります。多くの駆逐艦が戦争後期には主砲塔を対空機銃座に置き換えている理由がここにあります。

日本海軍における駆逐艦の役割が如何に主力艦決戦の「一ノ矢」に集約されていたか、つまりその主兵器は強力な魚雷であり、その他の兵装は魚雷射程まで敵主力艦に接近できるための補助兵装だったか、と言うことがここでも明らかになると筆者は考えています。

 

一方で、既にこの「マハン級」の前級である「ファラガット級」の設計(1930年代)から、「砲」そのものはもちろん、装填機構や方位盤などの射撃管制機構との組み合わせで「両用砲」と言う「システム」を駆逐艦に搭載したアメリカ海軍の先進性には、本当に驚かされます。

 

やっぱり映画でも「マハン級」を使って欲しかったなあ、と思うのは筆者だけ? 

アメリカの第二次世界大戦参戦は1941年12月以降、かつ映画は1942年の出来事、と言う想定です。

筆者は本稿で以前、前掲のよう「「キーリング」は艦隊駆逐艦(DD)の様に見えるのですが、ここは護衛駆逐艦(DE)を使って欲しかった。船団護衛なら、旧式の第一次大戦型の平甲板型駆逐艦か、護衛駆逐艦(DE)あるいはもっと小さなコルベットのような艦が、個人的にはよかったな、と言う感じです」などと記しているのですが、米海軍の護衛駆逐艦の原型である「エヴァーツ級」の就役が1943年ですので、この時点では「護衛駆逐艦」はありえず、やはり艦隊駆逐艦から選択された、ということになりますね。これは一重に筆者の不明でした。

また、1942年と言えば、前出の「フレッチャー級駆逐艦の最初のグループがこの年に就役を開始します。ピカピカの就役仕立ての第一線級の艦隊駆逐艦ではなく、ここは原作の通り既にやや旧型艦とみなされていた「マハン級」駆逐艦が船団護衛任務に回されていた、と言う情況の方がリアリティがあるかな、などと思ってしまうのですが、いかがでしょうか?実際には、同級は全て緒戦は太平洋戦線に投入されたはずで、そういう意味では1942年の時点でも「マハン級」は第一線にあり破竹の勢いの日本海軍と対峙していたのですが。

それでは主人公の張り切り具合と今ひとつミスマッチになっちゃうのかな?ちょっと疲れた艦とちょっと疲れたベテラン艦長の様に。

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 (直上の写真:「フレッチャー級駆逐艦と「マハン級」駆逐艦の概観比較。「マハン級」の腰高感、復原性に課題ありそう、という感じでてますね)

 

イギリス駆逐艦「イーグル」と「ハリー」 

映画「グレイハウンド」には、船団の護衛部隊として、英駆逐艦「イーグル」と「ハリー」が登場しますが、艦級に関する具体的な説明はありません。

英海軍の常として、駆逐艦の艦級での同型艦は同じ文字を頭にかぶっていることが多いのですが、そうすると「イーグル」はE 級駆逐艦、「ハリー」はH級駆逐艦ということになるのですが、事はそう単純ではありませんでした。

原作小説の記述では「イーグル」「ハリー」はいずれもコールサイン(はあ、じゃあ、なんで「グレイハウンド」だけがコールサインじゃないの?え、もしかするとコールサインなのか?と突っ込みたくなるところですが、まあ、いいや、「グレハウンド」は艦名はさておき艦級ははっきりしたのだから)、「イーグル」はポーランド海軍駆逐艦「ヴィクター」、「ハリー」は英海軍のコルベット「ジェイムズ」であると記載されています。

おお、ポーランド駆逐艦。「ハリー」に至っては駆逐艦ですらない。なんということだ、ということで改めて映画を見直すことにします(こんな見方をするので4回くらいあっという間に・・・)。そうすると、こんなカットが。f:id:fw688i:20201004105733p:plain

(上記のカットはWorld of Warshipから拝借していますhttps://forum.worldofwarships.eu/topic/138544-cgi-błyskawica-complete-pennant-number-h34-douse-camio-in-the-movie-greyhound/

そして下の画像は「イーグル」被弾直後のカットから。f:id:fw688i:20201004105700j:plain

これは確かにポーランド駆逐艦「グロム級」ですね。

 

駆逐艦「ヴィクター」(コールサイン:イーグル)

「グロム級」駆逐艦ポーランド海軍(1937-:同型艦2隻)

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 (直上の写真:「グロム級」ポーランド駆逐艦の概観。91mm in 1:1250 by B-Plan: お馴染みShapwaysに出品されている3D printing modelです。モデルは「ブリスカヴィカ」の主砲換装後の姿。イギリスへの脱出後、自由ポーランド海軍の一員として大西洋で主として船団護衛に従事します

www.shapeways.com

本級は、ポーランド海軍が1935年にイギリスに発注した2000トンクラスの大型駆逐艦で、39ノットの高速を誇っていました。「グロム」「ブリスカヴィカ」の2隻が建造されました。当初設計では主砲は12センチ平射砲で連装砲3基と単装砲1基、計7門を搭載、他に53.3cm3連装魚雷発射管2基を主要兵装としていました。バルト海での行動を念頭に設計されていたため、大西洋での運用には復原性に課題があったようです。

第二次世界大戦勃発直後、ポーランドがドイツに侵攻されたため、両艦はイギリスへ脱出。イギリスへの亡命政府の下で自由ポーランド海軍の一員として、戦闘を継続するわけですが、「グロム」はドイツ軍のノルウェー侵攻の際にナルヴィク沖でドイツ軍機により撃沈されました。しかし「ブリスカヴィカ」は主砲を4インチ連装対空砲4基に換装し、大西洋での船団護衛に83回従事したという記録が残っています。大戦を生き残り、戦後は記念艦となっています。

 

さて、駆逐艦「ハリー」は・・・

 原作を見るとコルベット「ジェイムズ」となっていますが、映画では駆逐艦として登場しています。f:id:fw688i:20201004105733p:plain

前出のWorld of Warshipから拝借した写真を見ると、二本煙突のシルエットであることがわかります。

そして映画の最終部分、任務を終えて寄港地に向かって回航する3隻の護衛艦のカットからは、真ん中の艦(「ハリー」なんですが)の艦首部には連装砲塔が背負い式に配置されているのがわかります。

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英海軍の駆逐艦で、 二本煙突で背負い式の連装砲塔、というと、「トライバル級駆逐艦、ということになりますが・・・。

 

駆逐艦「ジェイムズ」(コールサイン:ハリー)

トライバル級駆逐艦(1938-:同型艦27隻)

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 (直上の写真:「トライバル級駆逐艦の概観。91mm in 1:1250 by Neptune

イギリス海軍第一次世界大戦後新たな設計のもとで1920年代以降建造してきた一連の駆逐艦の集大成というべき艦級で、駆逐艦部隊の旗艦として巡洋艦の代替も出来る様に設計された大型駆逐艦です。1900トンクラスの船体を持ち、これに12cm連装砲4基、53.3cm4連装魚雷発射管1基を搭載し、36.5ノットの速力を発揮しました。

 

・・・と言うことで、外見から言うと「トライバル級」以外にはあり得ない、と言うことにはなるのですが、この艦級が船団護衛に適していたかと言うと、疑問が残ると言わざるを得ません。

原作ではコルベット「ジェイムズ」だったのに、何故、敢えて駆逐艦、それも「トライバル級」大型駆逐艦にしてしまったのか?

 

と言うことで疑問はつきませんが、コルベットにいきましょう。

 

コルベット「ドッジ」(コールサイン:ディッキー)

こちらは非常に明快でコールサイン「ディッキー」は、カナダ海軍のコルベット「ドッジ」です。

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 「フラワー級コルベット(1940-:同型艦263隻)

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 (直上の写真:「フラワー級コルベットの概観。50mm in 1:1250 by The Last Square: Costal Forces) 

 本級は第一次世界大戦でそれまでの戦争の概念を変えた「総力戦」の一つの具現化としてドイツ海軍の「無制限潜水艦作戦」から受けた教訓と、1935年のドイツ再軍備宣言、英独海軍協定から潜水艦による海上封鎖の脅威に対する対抗案の一つとして開発された艦級です。

「総力戦」の特徴はそれまでの会敵機会の限定される「会戦」形式での戦争と異なり、常設性、浸透性に特徴があり、多数のUボートによる海上輸送路への脅威を与え続ける作戦に対抗するには、量産性に優れ数を揃えることが容易で、一定の消耗にも対応可能な船団を護衛する専任艦種が必要でした。

フラワー級コルベットは量産性の確保できるレシプロ蒸気機関を主機として搭載し、多くの造船所で建造に対応でき、16ノットと比較的高速を発揮できる「捕鯨船」をベースに設計されています。1000トン足らずの船体に、主砲として4インチ砲1門に加え、若干の対空火器を備え、40発から70発の爆雷を搭載していました。

 

フラワー級コルベットは筆者の大好きな艦級の一つです。

以前、1:350という筆者としては大スケールのレジンキットを作ったことがあるのですが、同スケールのUボートなどと合わせて、多分どこかに仕舞い込んでしまった様で、手元にありません。ちょっともう一度トライしてみようかな、などと考えています。

 

「グレイハウンド:護衛戦隊:映画オリジナル版

奥からフレッチャー級駆逐艦「グレイハウンド」、トライバル級駆逐艦「ジェイムズ」(コールサイン:ハリー)、自由ポーランド海軍グロム駆逐艦「ヴィクター」(コールサイン:イーグル)、カナダ海軍フラワー級コルベット「ドッジ」(コールサイン:ディッキー)の順です。

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もう一案、下の写真。原作も織り交ぜて、奥からマハン級駆逐艦「グレイハウンド」、I級駆逐艦「ジェイムズ」(コールサイン:ハリー)、自由ポーランド海軍グロム級駆逐艦「ヴィクター」(コールサイン:イーグル)、カナダ海軍フラワー級コルベット「ドッジ」(コールサイン:ディッキー)の順です。f:id:fw688i:20201004125513j:image

トライバル級「ジェイムズ」とI級「ジェイムズ」の入れ替えは、トライバル級の様な大型駆逐艦では対潜戦闘に不向きだろうということから来る違和感と、フレッチャー級「グレイハウンド」とマハン級「グレイハウンド」と同じ様に、やや旧式化した駆逐艦にした方が「らしい」んじゃないか、という程度の発想です。連装砲塔の駆逐艦は英海軍では「トライバル級」以降の艦級になってしまうので、新鋭艦を避けるという意味ではどうしても単装砲搭載艦になってしまいます。あえて「I 級」でなくても良かったんですが。

 

「I級」駆逐艦(1937-:同型艦9隻)

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 (直上の写真:「I級」駆逐艦の概観。77mm in 1:1250 by Neptune) 

 「I級」駆逐艦第一次世界大戦終結後、1925年あたりから再開された駆逐艦建造の一連のシリーズの集大成、とも言うべき艦級です。「トライバル級」も同様な意味での集大成と言えますが「トライバル級巡洋艦の代替も可能な駆逐戦隊旗艦的な存在であるのに対し、「I級」はあくまで「A級」からの一般的な艦隊駆逐艦の系譜における最終形と言っていいと思います。

「A級」からの標準的な1400トン級の船体に、12cm砲4門、53.3cm5連装魚雷発射管2基を搭載し、雷装重視の設計となっています。36ノットの速力を発揮しました。

そうか、護衛艦任務ということなら、もっと古い艦級でも良かったのか・・・

 

艦隊駆逐艦と対潜水艦戦

以前にもどこかで少し触れたのですが、私の理解では艦隊駆逐艦というのは本来は高速での艦隊防御、あるいは敵艦隊への肉薄雷撃が主要任務として設計されているため、対潜戦闘の様な敵潜水艦探知のための低速での静粛航行、低速な船団に併せた長期間の伴走などはどちらかというと苦手です。また、爆雷の搭載数も十分とは言えず、映画「グレイハウンド」でも出てきましたが、長期の船団護衛での数次の対潜水艦戦では爆雷を使い果たしてしまいます。一例をあげれば「フラワー級コルベットが初期の爆雷搭載数が40発であったのを後期には70発に搭載数を増やしていますが、おそらく世界史優秀と言ってもいいであろう「フレッチャー級」では映画でも触れられていましたが40発程度(38発?)です。

これは英海軍でも同様で、上記の「I 級」の爆雷搭載数は20発が定数となっています。

日本海軍でも艦隊駆逐艦の最終形態である「夕雲級」の爆雷搭載数は18発が定数でした。

やはり低速の船団に帯同して長期間の護衛任務を行うためには、専任艦種が必要、ということだろうと思います。

原作小説では、護衛部隊の編成は駆逐艦2隻とコルベット2隻となっており、よりリアリティがある気がします。

 

まったくの余談ですが、「フラワー級コルベットを上記の1:350スケールのモデルとともに1:1250スケールでも数隻調達中です。到着した際には、小説版の護衛部隊再現も可能に。

 

ということで、今回はこの辺りでおしまい。

 

さて次はどうしようかな。引き続き「大西洋の船団護衛」関連の話もしたいしなあ、と考えています。米海軍の「駆逐艦」も、ほぼ揃ったことでもあるし。よく考えると英海軍の「駆逐艦」もかなり揃ってきている。

もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

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