先週末は「夏休み」とお盆のお参りを兼ねて、帰省してきました。帰省地の大阪を台風が直撃するとかで、暴風雨を警戒して予想上陸の2日ほども前から、新幹線の計画運休が宣言され、少し早めに切り上げて自宅に戻らざるを得ませんでした。
新幹線の計画運休(終日、新大阪ー名古屋間を全列車運休)なんて、筆者の記憶にある限り初めてではないでしょうか?運休すれば当然運行機材(列車)が駅にいないわけで、翌日もダイヤは大混乱だったようです。まさにお盆の帰省時期と重なったので、多くの方が影響を受けられたのではないかと思います。
そんなこんなで、本稿の投稿は1回スキップさせて頂きました。
早めに帰省先の実家から自宅に戻ったので、少し模型を触る時間ができました。気になっていたモデルに少し手を入れたり、未完成のまま放置状態だったモデルを完成させたりすることができ他、というわけです。
今回はそんなお話を。
まずはアップデートから
「キーロフ級:1144級」重原子力ミサイル巡洋艦(同型艦4隻:現在稼働中のものは1隻)
同級については本稿の下記の回で取り上げています。
北方艦隊旗艦「ピョートル・ヴェーリキー」
同艦はロシア連邦が北極海を実効支配目指す際に、その先頭に立つ北方艦隊の旗艦で、「キーロフ級」ミサイル巡洋艦の4番艦です。
(「キーロフ級」ミサイル巡洋艦の概観:203mm in 1:1250 by Amature Wargame Figures in Shapeways :塗装は筆者オリジナルです。VLSのハッチがこんなに目立った塗装をしているはずがない。そこは模型の世界で、わかりやすく、と言う観点優先です。ご容赦を)
「キーロフ級」ミサイル巡洋艦は第二次世界大戦後設計された航空母艦を除き世界最大の水上戦闘艦艇です。20000トンを超える現用艦としては破格の大きさの船体と、搭載する強力な兵装から、西側諸国(NATO諸国と言うべきでしょうか)からは「巡洋戦艦」と呼ばれることもあります。ソ連・ロシア連邦海軍の正式名称は「1144級重原子力ミサイル巡洋艦」です。
その呼称の通り原子炉2基と蒸気タービン2基を主機として搭載し31ノットの速力を発揮できます。
搭載する兵装は、対艦兵器としてSSM(対艦巡航ミサイル)のVLS(垂直発射筒)20基と130ミリ連装速射砲、対空兵器として艦隊防空用のSAM(対空ミサイル)8連装VLS12基、個艦防御用として短SAM8連装VLS8基とCIWS6基、対潜兵器として対潜ミサイル発射可能な5連装魚雷発射管2基、10連装対潜ロケット発射基1基、6連装大戦ロケット発射基2基、さらにヘリコプター3基の搭載と運用が可能です。
(「キーロフ級」ミサイル巡洋艦の主要な兵装配置:(左上)10連装対潜ロケット発射基1基、6連装大戦ロケット発射基2基 (右上)同級の最大戦闘力: 艦隊防空用のSAM(対空ミサイル)8連装VLS12基と SSM(対艦巡航ミサイル)のVLS(垂直発射筒)20基(艦橋よりの一段高い甲板に装備されています) 両舷側にCIWSが見えています (左下)艦中央部のCIWS4基 (右下)ヘリコプター甲板と130ミリ連装速射砲、ヘリ甲板の両側に個艦防御用として短SAM8連装VLS8基を装備しています)
同級は4隻が建造されましたが、現時点で現役に残っているのは4番艦の「ピョートル・ヴェーリキー」のみで、3番艦「アドミラル・ナヒーモフ」は近代化改修が行われていると言われていますが、再就役は数度にわたり遅延しています。
上掲で少し気になっていたことが。実はヘリ甲板のマーキングが少し違うかな、と。
この機会にそこを少しアップデートしました。
(「キーロフ級」ミサイル巡洋艦アップデート版の概観: by Amature Wargame Figures in Shapeways :下の写真は今回のアップデートポイントであるヘリ発着甲板のマーキングの比較(もちろん下段がアップデート版:余談ですが、デカールの張り込み後はこうして写真にするとはっきりしてしまいますねえ。どうしたもんだろう・・・)
使用したデカールの話
使用したデカールは以前にもご紹介した「1:1250 Decal」製のもの。大きなシートにお好みのデカールをセットして仕上げてくださいます。
価格はそれなりにいい値段を請求されますが、1:1250スケールでマーキング(デカール)をオーダーできるところを筆者は他に知らないので、かなり重宝しています。特に 3D printing modelはデカールなどはまず付属してはいないので、モデルを少しでもそれらしく仕上げるには、筆者には必須アイテムになってきています。
一点、気をつけるべきところがあるとしたら、このサイトのオーナーさんはあくまで副業としてやっていらっしゃるようなので、「すぐに欲しい」なんて期待をしないことでしょうか。そういう状況を迎えなくていいように、余裕を持って手持ちを把握しておくことが必要かもしれません。(まあ、模型、ですのでその辺りは・・・)
次に、完成させたモデルのご紹介(結構長期間、放置していました)
「キエフ級:1143級」航空巡洋艦(同型艦4隻:就役期間 1975-1995年)
(「キエフ級:1143級」航空巡洋艦の概観:221mm in 1:1250 by Amature Wargame Figures in Shapeways :塗装は筆者オリジナルです。艦首部の対艦ミサイルなどこんなに目立った塗装をしているはずがない。ご容赦を)
同級は西側諸国の潜水艦の活動を念頭に置き哨戒ヘリコプターの集中運用のプラットフォームとして開発され好評を得た「モスクワ級:1123級」対潜巡洋艦の発展拡大型として設計されました。
さらに設計途上でYak-38VTOLの実用化の目処が立ったことから、同級は対潜哨戒ヘリコプターに加えこれも運用可能とすることが設計に盛り込まれました。併せて対艦ミサイルの搭載により、対潜に加え対艦戦闘や地上支援等にも対応できる設計となっています。
艦型は15000トン級であった前級「モスクワ級:1123級」対潜巡洋艦をはるかに上回る35000トン級となり、運用搭載機数も「モスクワ級:1123級」の哨戒ヘリ14機から、哨戒ヘリ、V/STOL、救難ヘリ等の組み合わせで、最大36機と大幅に増えています。搭載機の内訳は任務によって異なり、例えば対潜重点任務の場合には対戦哨戒ヘリ34機と救難ヘリ2機の組み合わせであるのに対し、上陸支援編成ではV/STOL(Yak-38,Yak-38U)16機、哨戒ヘリ14機、指揮ヘリ2機、救難ヘリ4機などとなっています。
これらの航空機の他に、主要兵装としては、SM-241 対艦ミサイル連装発射筒4基、RPK-1対潜ミサイル連装発射機1基、対戦ロケット発射機2基、M-11M対空ミサイル連装発射機2基、76mm連装速射砲2基を搭載しています。さらに個艦防御用として30mm CIWS 6基、短SAM連装発射機2基を搭載しています。
(上の写真は「キエフ級:1143級」航空巡洋艦の主要兵装:写真左上段では、艦首よりから2基の対潜ロケット発射機、対潜ミサイル連装発射機、76mm連装速射砲とその両脇に対艦ミサイル連装発射機2基、そしてその背後に対空ミサイル連装発射機とその両サイド対艦ミサイル連装発射機2基が認められます。さらに左中段の写真では艦橋部に配置された対空ミサイル連装発射機と76mm連装速射砲が。写真右列では艦橋前部と飛行甲板の隅に配置された個艦防御用のCIWSと短対空ミサイル発射機がわかります。個艦の兵装としてはかなり重装備ですね)
全てソ連崩壊時期に一線からは退役
同級は4隻が建造されましたが、1991年のソ連崩壊に伴って「キエフ」「ミンスク」「ノボロシースク」の3隻は除籍され、「キエフ」「ミンスク」は中国に売却され、「キエフ」は世界初の空母ホテルとなり、「ミンスク」はテーマパークとなりました。「ノボロシースク」はスクラップとして売却され解体されました。
4番艦「バクー」:インド海軍の全通甲板型空母に改造(現役?)
4番艦「バクー」は、設計年次が遅かったこともあって主要兵装をVLS方式で搭載するなど、「キエフ級」の他艦とは外観がかなり異なっていました。
(上の写真は、4番艦「バクー」の概観:by Bill's Model in Shapeways: 3D printing modelです:筆者未入手:艦首部の兵装等がVLS化されているのがわかると思います)
同艦は1997年に予備役に編入されたのち、2004年にインド海軍に売却され、艦首部の兵装を撤去してここにスキージャンプ台式の発艦レーンを備えた全通甲板の空母に改装されています。(就役2014年:Mig-28K 21機、哨戒ヘリ 13機運用可能?)
「ヴィクラマーディティア」のモデルは、筆者が探した限りでは残念ながら見つかりませんでした。(Bill`s Modelにリクエストしてみようかな)すでにBill’s ModelからもAmature Wargeme Figures からも出ていました。
(上の写真は、インド海軍に売却され全通甲板型の空母に改造された「ヴィクラマーディティア」の概観:by Bill's Model in Shapeways: 3D printing model:下の写真はAmature Wargame Figures版。ちゃんと出てました!スキージャンプ方式の艦首部はこっちのほうがいいかも。ちゃんと出てました!)
下の写真はロシア海軍(=旧ソ連海軍)の大型艦2種がどれほどの規模だったかをなんとなくわかってもらえるから、というカットです。一番手前が大きさ比較の参考にと置いてみた「クリヴァク級」フリゲート艦です。
最後に新着モデルのご紹介
まずは下記の投稿から。
米海軍の最新フリゲート艦「コンステレーション級」の3D modelの到着
上掲の投稿で、米海軍は「オリバー・ハザード・ペリー級」ミサイルフリゲート艦の後、一旦フリゲート艦の建造を遠海域戦闘艦に切り替えた、とご紹介しています。これは国際情勢が民族対立等の局地紛争へとその重点を移した経緯に対応するものだったのです。「ペリー級」は2015年に全艦が退役し、一時、米海軍はフリゲート艦を持たない海軍となっていました。
しかしその後、ウクライナ戦争や台湾有事想定など、再び国家間の緊張が国政情勢のテーマとして浮上することによって、再び整備艦艇の性格に回帰が発生し、新たに整備されつつあるフリゲート艦の艦級がこの「コンステレーション級」なのです。
モデルはAmature Wargame Figures製の3D modelで、まだ下地処理もしていない状態です。ディテイルに特に気になる点はありませんが、もしかすると一部武装パーツをストックモデルのものに置き換えるかも。
完成したらまたご紹介します。
さらに下記の投稿から
この投稿では、ロシア海軍唯一の(と言ってもいいと思うのですが)駆逐艦の艦級である「ウダロイ級」のヴァリエーションのご紹介をしているのですが、その中で映画「ハンターキラー」に登場するロシア海軍の駆逐艦がおそらく「ウダロイ級」駆逐艦をベースにした架空艦のようなので作ってみました、という趣旨のご紹介をしています。しかしその完成後のモデルについていくつか映画の画像とは齟齬が発見され、再トライを宣言しています。
架空の駆逐艦「ヤヴチェンコ」:映画「ハンターキラー」に登場する「ウダロイ級」改装らしき駆逐艦
というわけで、再トライのベースとなる「ウダロイ級」駆逐艦のモデルが到着しました。
前回は「ヤヴチェンコ」は最新鋭の駆逐艦であり、当然「ウダロイII級」からの改造だろうという思い込みが先走っての制作だったのです。
架空駆逐艦「ヤヴチェンコ」のモデル制作(上掲の投稿より再録)
(直上の写真は、上掲の映画のカットから再現した「ヤヴチェンコ」)
しかし、完成後、映画の一シーンに登場する「ヤブチェンコ」の形状(下の写真)と比較してみると、「ウダロイ級」をベースに改造したほうがいいかも、と前回の投稿で記述しています。
筆者が感じる写真とモデルの一番大きな違和感は、艦級前の上部構造物の形状の差で、これが再トライの決め手となっています。というわけで今回は「ウダロイ級」をベースとした改造に着手する予定です。
上の写真はまだ下地処理もしていない状態での到着したての「ウダロイ級」のモデルです(by 3D Ships in Shapeways)。到着後、主砲塔2基を撤去してあります。現在別途、同艦の主砲となる複合CIWSの武装パーツを取り寄せているところです。
上の写真は到着した「ウダロイ級」の艦首の主砲塔跡に1:700スケールの複合CIWSを仮置きしてみた状態です。1:1250スケールの複合CIWSでは小さすぎるかな、と1:700スケールの複合CIWSを一緒に調達していたのですが、こちらはやはり大きすぎるかと。形状もかなり異なりますね。
こちらも完成したら、またご紹介します。
ということで、テーマ的には取り止めのない投稿となりましたが、今回はこの辺りで。
次回は上掲の新着モデルの完成編などを予定しています。
もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。
模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。
特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。
もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。
お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。
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