相州の、ほぼ週刊、1:1250 Scale 艦船模型ブログ

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

旧ソ連・ロシア海軍の第二次世界大戦後の駆逐艦

今回は、このところコミック「空母いぶき」を起点にご紹介しているいわばコミックの中の「敵役」中国海軍やロシア海軍の現用艦船の流れで、ロシア海軍旧ソ連海軍から)の駆逐艦の開発系譜のご紹介です。

 

同海軍の巡洋艦の系譜については、2022年4月19日の今回のウクライナ戦争でのロシアミサイル巡洋艦「モスクワ」の撃沈の一報に接して、すでに本稿では下記でご紹介しています。

fw688i.hatenablog.com

ロシア海軍水上戦闘艦はその主軸をフリゲート艦等の中型艦以下の艦種に移しており、巡洋艦については最新型(と言っても一番艦就役は1982年です)の「スラヴァ級:1164級」の2隻のみ(同級の「モスクワ」が撃沈されるまでは3隻だったのですが)現役で活動中と言う状況で、それよりも大型の「キーロフ級:1144級」重原子力ミサイル巡洋艦も長期間整備中のものを含めても2隻が就役しているのみ、なのです。

 

さて今回ご紹介する駆逐艦についてもある意味、同様の整理は進んでおり、現役にある艦級は2艦級のみで、現役の総数は1980年就役開始の「ウダロイ級:1155級」8隻、その改良型である「ウダロイII級:11551級」1隻(1155級、11551級合わせて13隻が建造されました)、同じく1980年から就役が始まった「ソヴレメンヌイ級:956級」4−5隻(建造は21隻、中国に売却されたものが5隻)と言う状況です。

上記のように両艦級いずれも1980年就役開始の艦級で、とても最新鋭とは言えない状況です。

今回はそんなロシア海軍の「駆逐艦ロシア海軍的には大型対潜艦のうち小型のもの、と言う複雑な定義になるのかな?)」を現役艦級と、簡単にこれまでの系譜を整理して、ご紹介してみたいと考えています。

今回はそんなお話で。

 

まずは現役艦級から

「ウダロイ級:1155級」駆逐艦(1980年就役開始:同型艦・準同型艦13隻:2023年時点での就役艦8隻)

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(「ウダロイ級=1155級」駆逐艦の概観:126mm in 1:1250 by Mountford :ヘリの発着甲板のマークは一番艦のみ1スポット、二番艦以降は2スポットに変更されています)

「ウダロイ級」はそれまでの駆逐艦の発展系の大型対潜艦の系譜よりも、2等大型対潜艦(小型の大型対潜艦:なんかややこしいなあ)、つまりフリゲート艦の拡大型として設計された艦級だと言っていいと思います。

8000トン級の、従来の駆逐艦とは一線を画する(もちろん従来のフリゲートの約2倍の)大きな船体を持ち、対潜戦闘に重点を置いた兵装配置になっています。対潜兵装としては長射程を持つ対潜ミサイルの4連装発射機を艦橋の両舷に各1基装備し、対潜ロケット発射機を2基、4連装魚雷発射管2基に加え、対潜哨戒ヘリ2基を搭載しています。f:id:fw688i:20230617163234p:image

(「ウダロイ級」駆逐艦の主要兵装:艦首から短SAM用VLS、100mm単装砲2基、4連装対潜ミサイル発射機(写真上段)、CIWS4基、魚雷発射管、対潜ロケット発射機、ヘリバンカーと発着甲板の順(写真下段))

対水上艦戦闘は100mm単装砲2基を有し、同砲はもちろん対空戦闘にも対応できるのですが、これに加えて個艦防空兵装としては短SAM8連装VLS8基、CIWS4基と、大変充実した装備を有しています。

 

同型艦「ウダロイII級」

魚雷発射管からの対潜ミサイルの発射が可能になると、艦橋両舷の4連装対潜ミサイル発射機が不要になります。1990年代に、このスペースに対艦ミサイルの4連装発射機を装備し、対艦戦闘能力を向上させた改良型が「ウダロイII級:11551級」として計画されました。これにより同級は強力な水上打撃力をも備えたよりバランスの取れた艦級となる予定でした。

しかしソ連の崩壊とそれに伴う冷戦の終結から、11551級は3隻の計画で打ち切られ、実際に完成したものは1隻にとどまりました。

(下の図は「ウダロイI級:1155級」(上段)と「ウダロイII級:11551級」を比較したもの(いずれも模型に付属する解説図から拝借しています):目立つのは主砲が100mm単装砲2基から130mm連装砲1基に改らえているところ。両級ともに艦橋両舷側に4連装ミサイル発射機を装備していますが、「1155級」が対潜ミサイルであるのに対し、「11551級」は対艦巡航ミサイルを搭載しています。併せてCIWSが「1155級」では30mmバルカン砲4基であったのに対し、「11551級」では30mmバルカン砲と近接対空ミサイルを組み合わせた「コールチク」2基に改められています)

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既存艦の今後の近代化改装予定

同級は主機がガスタービンで維持コストが安い等、使い勝手が良く、より汎用性を高めた艦級へと近代化される計画が進められています。改装のベースには上述の「ウダロイII級:11551級」の設計構想があり、近代化の要目は短SAM用のVLSを対艦巡航ミサイルにも対応する汎用VLSへ換装することや、主砲を100mm単装砲2基から130mm連装砲1基への換装、近接防空装備の更新を行い、同級の運用年限を10−15年延長するものとされていました。

同級の7番艦「マーシャル・シャポシにコフ」は2016年に近代化改装を受けましたが、同艦の近代化改装では、主砲は従来と同口径の100mm単装砲のままながらステルス性を高めた新型砲塔に換装、装備数は2基から1基に減っています。短SAM用の8連装VLSはそのままで、16セルの汎用性VLSが追加搭載され、巡航ミサイルの運用が可能となりました。4連装対潜ミサイル発射機を4連装対艦ミサイル発射機に換装等の近代化改装が実施され、対艦・対地上戦闘能力を著しく向上させています。おそらく計画は計画として、実際には現状の技術革新を取り込んだ柔軟な改装が順次実施されることになるのでしょう。

 

映画「ハンターキラー」に登場する「ウダロイII級」らしき駆逐艦

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少し余談、筆者の大好きな脇道的な話になりますが、映画「ハンターキラー」では「ウダロイII級:11551級」がおそらく原型となったと思われるロシア駆逐艦が登場します。

この映画は、ロシア連邦で大統領に反対する軍部によるクーデターが発生し、ロシア連邦大統領が囚われてしまいます(一定の手続きを強行したのち、殺害する予定だったのでしょうね)。大統領救出作戦を実施する特殊作戦部隊(シールズ)を脱出させるため、米原潜「アーカンソー」(「シーウルフ級」原潜)がロシア海軍の本拠地「ポリヤルヌイ」に潜入する、という、大筋としては「なんともなあ・・・」というようなお話です。

この中でロシア連邦大統領を救出し脱出を試みる「アーカンソー」は、これを阻止し大統領も一緒に抹殺してしまおうというクーデター勢力に命じられたロシア駆逐艦「ヤヴチェンコ」に追われるわけですが、この「ヤヴチェンコ」が「ウダロイII級:11551級」もしくは「ウダロイI級:1155級」を近代化改装した艦をベースとした架空艦なのです。

(「ヤヴチェンコの概観:Twitterの投稿より拝借しています)

概観はほぼ「ウダロイII級」と言っていいと思います。実艦と異なる点は主砲が複合型CIWS(おそらく「コールチク」)になっているところ、と、さらに対潜ロケット発射機の装備位置が艦橋前になっているところでしょうか。(もしかすると、形状的に艦橋両舷に搭載された4連装ミサイル発射機は対潜ミサイル発射機のまま、かも)

 

映画の中で「ヤヴチェンコ」は大活躍します。

アーカンソー」の脱出阻止を命じられた同艦は対戦ロケット、対潜魚雷を発射します。2機の対潜ヘリも飛ばしています。CGなのだろうと思いますが、なかなか貴重なシーンです。

Youtubeでご覧いただける動画を見つけたので、どうぞ。なかなかの迫力)

www.youtube.com

さらに映画の最終シーンでは「アーカンソー」に向けられてポリヤルヌイ基地の海岸のランチャーから発射された対艦ミサイルを「ヤヴチェンコ」の主砲(「コールチク」)が撃墜します(だから主砲を「コールチク」に変更して置かなくちゃならなかったんだな、と独り合点)。

この時点では同艦は「アーカンソー」に救助されていたロシア潜水艦の艦長(この人は「ヤヴチェンコ」の元艦長で「彼らは私が鍛えたんだ。何もかも知っている」といかにも海軍軍人らしいことをいいます)の説得と大統領のメッセージで、「ヤヴチェンコ」はクーデター派から大統領派に鞍替えしたわけです。

そして最後はクーデター派の占拠する基地司令部ビルを同艦の巡航ミサイルが破壊し、物語は終了するわけです。

(コールチクの射撃シーンとそれに続く同艦の巡航ミサイル発射シーンを)

www.youtube.com

(このシーン、ちょっと射撃タイミングが遅すぎないかい、と思うのは私だけ?あるいはCIWSの射撃ってこんなもんでしょうか?いずれにせよ、これだけの至近弾を喰らうと、相当な損害が出るんじゃいないかな?「アーカンソー」はこの後、ピンシャンしてますが。まあ、そこは映画なんで、まあいいじゃない、ということでしょうか。もう一つツッコミどころとして、巡航ミサイルが射出されているのが、対空ミサイル用のVLSから、になっているんじゃないのかな、っていうところでしょうか?)

 

「ウダロイ級」のヴァリエーションモデルの調達(予告編)

と、ここまで諸々ご紹介してきましたが、どうやらここには(つまり「ウダロイ級」には)筆者の大好きな派生系があるようです。

上述のように少なくとも、準同級の改良型「ウダロイII級」(1隻しか建造されていないようですが)、現行の「ウダロイ級」の近代化改装型(上述のように同級の7番艦「マーシャル・シャポシにコフ」は2016年にこの改装を受けています)、そして映画「ハンター・キラー」に登場した「ヤヴチェンコ」(これは映画に登場するおそらくは架空艦です)。

こうなると、なんとか揃えてみたい、と厄介な遊び心がムクムクと。そしてこういう時の頼みの綱、Shapewaysで探してみると、やっぱりちゃんとありました。

(3D Ships製(Shapeways)の「ウダロイII級」のモデル:写真上 とAmature Wargame Figures製(Shapeways)の「ウダロイ級」近代化改装モデル:写真下)

映画「ハンター・キラー」版の「ヤヴチェンコ」はさすがに見つからないので、「ウダロイII」のモデルから手を入れることにして、早速調達に入りました。工程表では現時点で最終工程に回っているようです。

Shapewaysではこんなふうに、自身の発注したモデルの製作工程が確認できます)
もう一つ、筆者の「ウダロイ級」のコレクションで気になっているところが一点あります。上述のように「ウダロイ級」は2機の対潜哨戒ヘリを搭載しています。二番艦以降、ヘリ甲板の発着スポットは2箇所に増やされています。残念ながら手元には適当なデカールがなく、こちらも現在調達中です。

(上の写真は1:1250 Decalsに発注中の2スポットデカール:このあたりに手をつけ出すと、キリがないのですが、今回はたまたま過去に制作をお願いした方が持っていたからラッキーだったのですが・・・)

・・・というわけで、これらが手元に到着すれば、またご紹介させていただきたいと思っています。(ちょっと予告編、でした)

 

「ソヴレメンヌイ級:956級」駆逐艦(1980年就役開始:同型艦21隻:2023年時点での就役艦4−5隻?)

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(「ソヴレメンヌイ級=956級」駆逐艦の概要:125mm in 1:1250 Amatuer Wargame Figures製:3D printing model)

同級は元来は艦隊防空に重点を置き開発された艦級です。基本設計は「クレスタ級:1134級」「クレスタII級:1134A級」ミサイル巡洋艦に準じるところが大きく、6500トン級の船体に蒸気タービンを主機として装備し33ノットの速力を発揮することができました。

対空ミサイル24基を弾庫に収めた単装SAM発射機2基と130mm連装砲2基を艦隊防空の主要兵装として装備し、個艦防御用CIWS4基を搭載しています。艦橋脇の両舷側には対艦巡航ミサイルの4連装発射機を装備し、主砲と合わせて強力な水上戦闘能力を保有しています。対潜兵装として対戦ロケット発射機2基と連装魚雷発射管、さらに対潜哨戒ヘリ1基を搭載し、対潜戦闘能力も一定レベルを有しています。

複数の目標を追尾する能力を有してはいますが、イージスシステム全盛の現在では、前世代の防空艦と言わざるをえないと思います。現時点で現役にあるのは4−5隻というところでしょうか。

中国海軍に4隻が売却され改修を経たのち全てが現役に留まっているようです。

 

現役艦はここまで。では遡って第二次世界大戦後に設計されたソ連ロシア海軍駆逐艦の系譜を見てみましょう。

第二次世界大戦後の旧ソ連・ロシア駆逐艦の開発系譜

「ネウストラシムイ級:41級」駆逐艦(就役期間:1955-1974年:同型艦なし)

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(モデルは未入手)

ソ連海軍が第二次世界大戦後初めて設計した駆逐艦で当初は110隻と言う大量建造の計画があったようですが、まずは評価用に1隻のみ建造されました。

3000トン級の当時の駆逐艦としては大型の船体に強力なタービンを搭載し高速力を発揮することが期待されましたが、計画速力(36ノット)には遠く達せず、かつ艦尾部の振動が大きく高速航行時の運用に大きな難があると言うことで1隻のみの建造となりました。

 

「コトリン級:56級」駆逐艦(就役期間:1952-1992年:各種の派生形態があり合計27隻が建造)

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(「コトリン級=56級」駆逐艦の概観:104mm in 1:1250 by Hansa)

ソ連海軍が設計した主兵装を砲と魚雷とした最後の駆逐艦の艦級です。2600トン級の船体に130mm連装砲2基、45mm4連装砲4基、対潜ロケット発射機2基、5連装魚雷発射管2基を装備しています。38ノットの速力を有していました。

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(Trident製のモデルでは、いくつかの形態が再現されているようです)

順次、対潜戦闘能力や対空戦闘能力の強化が行われ、特に9隻は連装対空ミサイル発射機を装備した「コトリンSAM級」に改装されています。

 

「キルディン級:56-M級」駆逐艦(大型対潜艦)(就役期間:1955-1991年:同型艦4隻)

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(「キルディン級=56M級」駆逐艦(改装後)の概観:100mm in 1:1250 by Decapod Models)

同級は世界初の対艦ミサイルを装備した駆逐艦の艦級です。

3000トン弱の船体に、砲兵装はやや抑えた45mm連装砲4基とし、対潜ロケット発射機2基、連装魚雷発射管2基を装備していました。36ノットの速力を発揮することができました。

 

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(直上の写真は就役直後の「キルディン級」駆逐艦の概観:by Amature Wargame Figures:筆者は未入手:艦尾部に対艦ミサイルの単装発射機が装備されています)

当初は艦尾部に対艦ミサイルの単装発射機を1基とミサイルの弾庫を装備していましたが、のちに両舷側に単装対艦ミサイル発射筒を各2基装備し単装発射機と弾庫跡に76mm連装砲塔2基装備に改装されました。上掲のモデルはこの形態を示しています。f:id:fw688i:20230617163558p:image

(「キルディン級」(後期型)の主要武装の配置:艦首から対戦ロケット発射機、45mm連装機関砲、魚雷発射管、45mm連装機関砲(上段写真)、対艦ミサイル発射機、76mm連装砲(写真下段)の順)、

 

クルップニィ級:57-bis級」駆逐艦(大型対潜艦)(就役期間:1960-1993年:同型艦8隻)

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(「クルップニィ級=57bis級」駆逐艦就役直後の概観:113mm in 1:1250 by Hansa: 艦首部と艦尾部に対艦ミサイルの単装発射機を装備していました)

同級は対艦ミサイルを主要兵装として就役しました。3500トン級の船体に艦首部と艦尾部に単装対艦ミサイル発射機を装備した水上戦闘を主任務と想定した艦級として設計されました。兵装は他に57mm4連装砲4基、三連装魚雷発射管、対潜ロケット発射機2基を装備していました。蒸気タービンを主機として34ノットを発揮することができました。

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(「クルップニィ級」駆逐艦就役直後の主要兵装:艦首から対艦ミサイル単装発射機、対潜ロケット発射機、57mm4連装砲(写真上段)、57mm4連装砲、対艦ミサイル発射機(下段写真)の順)

 

大型対潜艦への大改装(1960年代末期)

NATOコードは「カニン級:57-A級」駆逐艦として登録

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(「カニン級=57A級」にNatoコードが変更されたのちの同級駆逐艦の概観:by Delphin  :艦尾部に対空ミサイル連装発射機を装備して、減り発着甲板を増設。対空・対潜能力を強化しました)

クルップニィ級=57-bis級」の8隻は全て1960年台末期から1970年代初期にかけて、艦首部と艦尾部の対艦ミサイル発射機を外し、艦尾部に対空ミサイル連装発射機を搭載し対潜ヘリの発着甲板を装備した大改装を受け、艦容が大きく変更されました。NATOでは別の新たな艦級として認識し、「カニン級」のコードネームが与えられました。

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(「カニン級」駆逐艦の主要兵装:艦首から対潜ロケット発射機、57mm4連装砲、5連装魚雷発射管、対潜ロケット発射機(写真上段)、CIWS(銀色)、連想対空ミサイル発射機、ヘリ発着甲板(写真下段)の順:就役時=「クルップニィ級」時代の対艦戦闘に重点を置いた水上戦闘艦から、艦隊防空艦への主任務の大きな武装変更が見て取れます)

砲兵装は改装前の57mm4連装砲4基を57mm4連装砲塔2基に現じていますが、CIWSを追加装備し、魚雷発射管を5連装に強化し、対空・対潜能力を強化した防空担当艦的な性格を帯びた艦級に生まれ変わりました。

全て1993年までに退役しています。

 

「カシン級:61級」駆逐艦(大型対潜艦)(就役期間:1966-1992年:同型艦20隻)

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(「カシン級=61級」駆逐艦就役直後の概観:115mm in 1:1250 by Delphin: ソ連海軍が初めて艦隊防空能力に重点を置き、対空ミサイル駆逐艦として設計した艦級でした)

同級は世界初のオール・ガズタービン艦として大変有名です。

4000トン級の船体を持ち38ノットという高速を発揮できました。

大型対潜艦という分類ですが、ソ連海軍で初めて設計から艦隊対空ミサイルシステムを組み込んだ設計の艦級でもありました。艦首部・艦尾部に各1基の連装対空ミサイル発射機を備え、発射機直下の弾庫には各16発の対空ミサイルを収納していました。

個艦防御用の対空兵装としては、原型では76mm連装高角砲2基を装備していましたが、後期型ではこれにCIWS4基が追加され、近接防御を強化しています。

対潜兵装としては対潜ロケット発射機2基、連装魚雷発射管1基を装備していました。f:id:fw688i:20230617172246p:image

(「カシン級」駆逐艦の主要兵装:艦首から76mm連装砲、連装対空ミサイル発射機、対潜ロケット発射機(写真上段)、連装対空ミサイル発射機、76mm連装砲(写真下段)の順:並行に並んだ煙突も特徴の一つですね)

後期型では上記の近接防御能力の向上の他に、対艦ミサイル発射機4基を追加、さらにヘリの発着甲板も増設されました。

(「カシン級」後期型の概観 by Amature Wargame Figures: 筆者未入手:艦中央部にCIWSが装備され、その後ろに対艦ミサイルの単装発射機が片舷2基配置されているのがわかります)

同級は20隻が建造され、事故で1隻を喪失、1990年代に大半が退役し、最後の一隻が退役したのは2020年でした。一隻、1988年にポーランド海軍に譲渡されましたが、この艦も2005年に退役しています。

 

ということで、第二次世界大戦以降も設計されたソ連ロシア海軍駆逐艦の系譜を見てきましたが、前述のように、現役に残っている「ウダロイ級」は筆者的にはヴァリエーションを今少し深掘りしてみたいと思っています。

今回はここまで。

 

次回はロシア海軍フリゲートの系譜など、調達中のモデルもあるのですが、一旦系譜のご紹介など、いかがでしょうか?

もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

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