相州の、1:1250 Scale の艦船模型ブログ 主力艦の変遷を追って

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

コレクターの日常:H級戦艦(「H41型」)の修正と新モデル調達状況のアップデートなど

本稿前回で、筆者の興味がドイツ海軍の一連の未成戦艦、いわゆる「H級」と呼ばれるシリーズに向いている、というお話をしました。

大好きなフランス海軍の黎明期の戦艦群(「前弩級戦艦以前の主力艦群」の方が表現が正しいかな)の仕上げなど、諸々、仕掛かっているものもあるのですが(こちらも数がかなりある)、手がそちらに向かず、今の所はこれに集中して楽しんでいる、そんな今日この頃です。

(前回投稿はこちら)

fw688i.hatenablog.com

今回はその「H級」についてのアップデートをいくつか、そんなお話です。(多分、短い)

 

「H級」戦艦についてのアップデート

少しおさらいも含めて、そもそもドイツ海軍の「H級」戦艦とは何者なのかというと、ヒトラーによる「ドイツ再軍備宣言」(1935年)以降に計画された一連の大型戦艦群の総称です。最初の計画艦の仮名称が「H」号であったことから、「H級」と呼ばれています。

設計の基礎は再生ドイツ海軍初の本格的戦艦であった「ビスマルク級」にあり、その強化発展型と位置づけられると考えていいと思います。

(「ビスマルク級」戦艦の概観:201mm in 1:1250 by Neptun:写真は二番艦「ティルピッツ」)

ビスマルク級」の強化改良型ということで、主には主砲口径の強化、機関の変更(通商破壊艦としての航続距離の延長を目論んだディーゼル機関の搭載、あるいは戦闘艦としての高速性も睨んだ蒸気タービンとの併載)が大きな目玉かと。

確認されるところでは6隻まで仮艦名が設定されていたようです(H, J, K, L, M, N:Iは数字の1との混同を避けるために使われなかった、とか)。うち2隻は着工に至りましたが、第二次世界大戦の勃発で建造中止に至っています。

6隻全てが同型艦ではなく、確認されるものだけで「H39型」「H40a型」「H40b型」「H41型」「H42型」「H43型」「H44型」の設計図面等が残っています。(この辺りは情景の本稿前回投稿で詳しくご紹介しています)

諸形式は技術革新、戦訓などに基づき順次強化巨大化されたものになっています。その中で「H39型」から「H41型」までは設計段階での検討も終えた実現可能な設計だったとされていますが、「H42型」以降は研究段階のいわばスケッチとでもいうべきもので、最後の「H44型」に至っては13万トンを超える超巨大戦艦だったというスケッチが残っています。

既述のように「H級」戦艦は全てが計画艦・未成艦で、この世にはせいぜいが着工された2隻についてのドックに据えられた土台程度しか存在しなかったのですが、模型の世界ではいくつかのモデルが発表されており、筆者のコレクションにも加わっているので、それをご紹介してきました。

 

H39型」

(「H39型」戦艦の概観:224mm in 1:1250 by Delphin) :

「H級」の最初の形式で、着工された2隻はこの形式でした。40.6センチ砲を主砲として搭載し、機関にはオールディーゼルを採用して長大な航続距離を持ち、なおかつ30ノットを超える高速を発揮する55000トン級の大型戦艦でした。

 

「H41型」(ただし筆者版)

(筆者版「H41型」戦艦の概観:232mm in 1:1250 by semi-scratch based on Superior: 正規で「H41型」の名称で流通されていたモデルではなく、スケール違いの1:1200の「H39型:おそらく」のモデルを筆者が1:1250スケール風に仕上げたものです) 

「H級」シリーズの現実的な設計案の最後の形式で、「H39型」の主砲の強化を狙った設計案でした。排水量68000トン(「大和級」並)の船体に、42センチ(連装砲塔4基搭載)の口径の主砲を搭載し、機関は再びオールディーゼルとして速力28.8ノットを発揮するというスペックでした。上掲の写真の筆者版では、筆者版ならではということで「H42型」の計画で予定されていた42センチ砲ではなく、「H39型」と同等の実績のある40.6センチ砲を主砲として採用し、ただし三連装砲塔4基搭載した強化した、という設定で作成してみたものになっています。

 

筆者版「H41型」の誤謬の発見と修正

上記のような次第で作成した筆者版「H41型」だったのですが、資料をあたるうちに大きな誤りがあることがわかりました。

筆者版「H41型」は前述のように主砲口径を「H39型」と同じ40.6センチとしていて、これは筆者による、ある種確信犯的、な改変だったのですが、モデル制作にあたりSuperior社の兵装のディテイルがあまり筆者の好みではなかったため、高角砲を別モデルの「ビスマルク級」戦艦のものに換装しているのです。従って高角砲は開放型のシールドを設置した形式なっているのですが、資料には「注意すべきはこの105mm/65 SK C/33の 砲架が新型で、それまでの「ビスマルク級に搭載された開放型の砲架とは異なり閉鎖型のものである(筆者訳):Note that the 105mm/65 SK C/33 mounts were the newer, heavier enclosed Dop. L. C/38 mounts, rather than the open C/31 and C/37 mounts used on the preceeding Bismarck-class. 」と記されていて、確かに「H39型」とは異なることがわかったのです。

(下の写真は「H39型」(左)と筆者版「H41型」の高角砲砲架の形状の比較:左の砲架の方が閉鎖度が高いのがわかります)

という次第で、修正筆者版「H 41型」

という上述の誤謬を修正し(と言っても前出のDelphin社製「H39型」モデルの閉鎖シールド付きの高角砲へ換装しただけですが:3隻ストックがあったので良かった)、ついでに、というと「違う」気もしますが、主砲を計画通り42センチ砲に口径拡大した、という想定のものにしてみました。

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(修正筆者版「H41型」戦艦の概観(上の写真):下の写真はその兵装を中心とした細部の拡大:主砲塔と対空砲の換装がメインです)
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(下の写真は修正箇所の確認:主砲塔の換装(上段)と対空砲砲架の換装(下段))
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修正筆者版「H41型」の方が「力強い」ですかねえ。

(下の写真は筆者版「H41型」の40.6センチ主砲三連装砲塔歳案(上段)と42センチ主砲連装砲塔搭載案の比較:ドイツ戦艦らしい、という意味ではやはり連装砲塔が馴染みがありますね)

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砲弾単発の破壊力と射程距離は、もちろん大口径砲のほうが格段に勝ります。が、口径が小さい方が当然装填速度は早いでしょうから、搭載砲数と単位時間あたりの射撃回数を考えると、単位時間あたりの総投弾量ではどうでしょうか?さらに発射段数は命中確率とも関連してきますので、両方を兼ね合わせて考えると、どっちが良いんでしょうかねえ。難しい選択ですね。しかし外観的には、修正版の方が「ドイツ海軍の戦艦らしい」のかなあ。

 

ついでと言っては何ですが、「H級」の各形式の大きさの推移を見るために、以下に2カット付け足しておきます。

(下の写真は「H39型」(手前:Delphin製)と「H41型」(Superior社ベースで筆者が手を加えたもの)の艦型の比較。大きさの比較も興味深いですが、DelphinとSuperiorの全体の解釈、雰囲気作りの差が面白いかも)

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(下の写真は「ビスマルク級」(手前:Neptun製)と「H41型」(Superior社ベースで筆者が手を加えたもの)の艦型の比較。ディテイルの再現性は圧倒的にNeptunが優っていることが明らかです。まあ、価格が正価で購入すると4倍ほどするので。でもなんとなく、上のDelphinとの比較よりも、船体全体の形状が同じ解釈というか、系譜としての連続性が観れるかなと思っています。「H39型」もNeptunから出ているので、入手したくなってきましたね)

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さて、主砲塔、どちらがしっくりくるんだろうか。まあ、両方揃ったので、気分で差し替えるのも良いかな。・・・ということにしておきましょう。

 

「H級」後期型の話

前述のように「H級」戦艦の後期型「H42型」「H43型」「H44型」は研究段階のスケッチでした。

その規模は拡大の一途を辿ります。(この辺り、本稿の前回と全く被ります)

「H42型」

(上図は The Wells Brothers' Battleship Index: Debunking the Later H-class Battleships から)

「H42型」は「H41型」の防御強化型として排水量90000トンに達する巨艦としての図面が残っています。艦型はほぼ「H41型」を踏襲する形で、寸法が大き苦なっている、そんな理解をしていただければ。主砲の口径は「H41型」と同じ42センチ案と一層強化した48センチ砲搭載案が残されているようです。機関はディーゼルと蒸気タービンの併載で、31.9ノットの高速戦艦でした。

「H42型」以降の「H級」戦艦は、就役当時、世界最大最強を謳われ、緒戦のデンマーク海峡海戦で英海軍のシンボルともいうべき「フッド」を一撃で屠蓮烈なデビューを果たしたドイツ戦艦「ビスマルク」が、1発の魚雷で舵を損傷し行動の自由を奪われ撃沈された戦い(1941年)から得た戦訓で、魚雷防御を意識した艦尾構造を持っていました。

「H43型」

(上図は The Wells Brothers' Battleship Index: Debunking the Later H-class Battleships から)

「H43型」は主砲口径をさらに拡大し48センチ(一説では50.8センチ(20インチ)搭載案もあったとか)とした設計で、重厚な水中防御構造を併せ持つ11万トン級の戦艦の設計案でした。機関は前級と同じディーゼル・タービンの併載で、30.9ノットを発揮する設計でした。

「H44型」

(上図は The Wells Brothers' Battleship Index: Debunking the Later H-class Battleships から)

「H44型」では主砲が50.8センチ砲8門とされ、排水量130000トン、ディーゼルと蒸気タービンの併載で29.8ノットを発揮する、というスペック案が残っています。複数の枝記号を持つ図面が見つかっており、設計案が複数あったかもしれません。

記録の残る限り史上最大の戦艦の設計案とされています。

 

Albert社の「H級」各形式の模型

「H級」の1:1250スケールの模型はAlbert社から発表されているようです。筆者は今回体系的に調べるまで、見たことがありませんでした。いつもモデルの検索でお世話になっているsammelhafen.deによれば「H40a型」「H40b型」(実はこの両形式は明記されていません:H-Klasse Studie A/Bとだけ表記されています)「H41型」「H42型」「H43型」「H44型」が同社から発表されています。

(「H44型」の概観:Albert社製のモデル:写真は例によって模型探しでお世話になっているsammelhafen.de から拝借しています:他の形式については写真は見つけられませんでした)

 

Albert社の「H級」(おそらく「H44型」)を入手

本稿前回では、筆者が懇意にしているebay sellerにこれらのモデルについての情報を問い合わせ、なんと「「H級」に関して在庫あり、欲しかったら売ってもいい」という返事をもらった、ということころまでお知らせしていました。

(下の写真はいずれも懇意にしていただいているebay sellerが送ってきてくれた「在庫あり」のモデル2点:上の写真はウォーターライン・モデル(どうやら仮組み状態なので、「塗装をしてちゃんと組み立てをした方がいい、お前ならできるだろう」というコメント付きのモデル。下の写真はなんとフルハル・モデルです。「H42型」以降、「ビスマルク」喪失の戦訓の反映として、艦尾の魚雷防御構造も再現されているようです。艦底に見えるボツボツや塗装はげはどうやら長らくスポンジに包まれていたから、ということのようです。少し手を入れればいいモデルになりそう)

メーカーを問い合わせしたところ、特にモデルに刻印等はないとのことでしたが、sellerの見立てでは、おそらくAlbert製ではないかとのこと。サイズ的には「H44型」じゃないかな、とのことで、筆者の月額の予算限度を考慮した結果、まずは上掲の2点のうち上段のウォーターライン・モデルを購入しました。希少価値(?)からか、このsellerにしては結構強気な値付けでした。一応、来月までフルハル・モデルも置いておいてくれ、とは言ったのですが、どうなることか。

ともあれ、現在、日本に向けて回航中です(多分、来週中には到着するのではないでしょうか?余談ですが、ヨーロッパから(sellerはドイツ在住です)日本へは、ロシアとウクライナを避けた迂回ルートを使わねばならず、以前より到着までに日数がかかっています)。

さあて、どんなモデルが到着するんだろうか、かなり楽しみです。

到着次第、またアップデートします。

 

Gameに登場する「H級」:「H45型」について

ここからはほとんど前回の投稿と同じ内容ですが、「H級」計画艦については、「「かつて実存しなかった設計案」が「H45型」として存在している」と今回「H級」をまとめるにあたり骨格として参考にさせていただいた下記の投稿は記述しています。myplace.frontier.com

これは一部のGameの中で流通している設計で、「それ自体は想像力を逞しくして楽しいことだ」と肯定した上で、「ただし事実との混同は慎重」に、と鋭い釘を刺しています。

 これが「H45型」と言われている設計案で、スペックは複数あるようですが排水量で55万トンから70万トンという超モンスター戦艦です。どうやって作るんだ?

ヒトラーが、グスタフ列車砲(800mm砲)を主砲として搭載する戦艦のアイディアについて語った、という設定(史実なのかどうか?)に基づいた設定で図面まで掲載されています。(「ただしなんの根拠もないよ、でもこういう自由な設定は楽しいから、いいんだよ。どんどんいこう」的なコメント付きです:Let us state for the record that there is absolutely nothing wrong with making up purely fictional ship designs for wargames. We do it all the time. It can be fun. It only becomes a problem when people start to believe that these designs were real. Since these are fictional designs, it is difficult to impossible to find good, reliable references on them. We are forced to rely on saved pictures and saved bits of text from defunct websites, as well as personal memories. So, here we present some more-or-less fictional designs that readers might find on the internet(「H45型」に関するコラムの冒頭部分をそのまま引用しています。fictional designsが何度も出てきて、ちょっと嬉しいですね)

(下の図は「H45型(上記のコラムでは”The (mostly) Fictional H-45 Design”とタイトルがついています。)と称して紹介された「オバケ戦艦」:上左に「ビスマルク級」の図が載っているので、大体の大きさがわかっていただけるかと。「馬鹿でかい」ということしかわからんよ、その通りです)

(上図は上掲の The Wells Brothers' Battleship Index: Debunking the Later H-class Battleships から)

”The (mostly) Fictional H-45 Design”と銘打たれた55万トン(一説では70万トン)のまさにモンスター戦艦。全長609メートル、80センチ主砲(グスタフ列車砲)搭載、なんと28ノットの速度が出せる、ということになっています。

さらに驚くべきことに、この船の3D printing modelが下記で入手可能です。

Battleship - H-45 - What If - German Navy - Wargaming - Axis and Allies - Naval Miniature - Victory at Sea - US Navy - Tabletop - Warshipsxpforge.com

(このページのScaleでは1:1250スケールを選択することはできないのですが、注釈に1:1200-506 mm Length- Special Order O nly- Printed in 2 Pieces と記載されていてスケール対応はしてくださいます。筆者は過去に「1:1250スケールへの対応はできますか」と尋ねたことがあり、こともなげに「ああ、メモ欄に1:1250スケール希望、と書いておいてね」と言われ、後日ちゃんと1:1250スケールの製品が届きました。下の写真はモデルの写真:506mmの巨大なモデルです。かなり低い姿勢にも興味をそそられます) 

上掲のように全長609メートルですので1:1250スケールだと488ミリになりますね、併せて2隻の発注から対応してくれるそうです。値段が書いてないのが怖いですが、一度問い合わせしてみましょうか。

(と、ここまではほぼ前回の投稿のコピーです)

 それはさておき、筆者の思惑では、希望通りにことが進めば来月は上述の「H44型」フルハル・モデルの入手と整備で予算も労力も手一杯ですので、これに手をつけるかどうかは、その後で考えることにしましょうか。

55万トン、というのはなんとも現実味がありませんが、でも、こういう「妄想」は面白いし、形にできるというのは模型ならではの醍醐味なので。

 

ということで、前回からの流れで今回はこの辺りで。

次回はうまくいけば入手した「H44型」Albertモデルが手元に到着しています。この紹介と、多分一緒に、前々回での触れた「シャルンホルスト級」戦艦の設計時の初期案の再現に使う目論みの船も到着するはずですので、これまた計画だけで終わった「シャルンホルスト級」初期設計案のお話、さらに新着モデルのご紹介など、でいかがでしょうか?未着だったら、何か考えよう。

もちろん、もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

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