相州の、ほぼ週刊、1:1250 Scale 艦船模型ブログ

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

模型製作Weekにつき:製作中モデル雑感

本当にすみません。

前回、「次はいよいよ「小沢機動部隊」(本当か?)」(一応、こうなる予感があり「か?」とつけてのですが)と予告したのですが、その前にちょっと見つけた「脇道」に入り込んでいます(シルバーウィークで、時間がありそうなので、模型も触りたいなあ、ということなんですが)。

さらに言い訳ですが、予定していた日本海軍の空母機動部隊の終焉である「レイテ沖海戦時の小沢機動部隊」から遡る形で「機動部隊小史」の形で、手付かずの日本海軍の空母の総覧ミニ・シリーズについては、展開する構想が纏まって来つつあります。

 

このミニ・シリーズ、こんな形の章立てかな、と。(タイトルは全て「仮」です)

レイテ沖海戦:小沢艦隊(第三艦隊:空母機動部隊)日本海軍、空母機動部隊の終焉

真珠湾からインド洋作戦:南雲機動部隊:空母機動部隊構想と栄光

珊瑚海海戦とミッドウェー海戦:初の空母機動部隊戦と続いて訪れた挫折

南太平洋の激戦:勝利と課題、そして消耗

護衛戦力としての空母

マリアナ沖海戦:最後の機動部隊

 

初回の現在準備中のこのミニ・シリーズの初回レイテ沖海戦:小沢艦隊(第三艦隊:空母機動部隊)日本海軍、空母機動部隊の終焉」の冒頭を少し紹介しておくと、こんな感じです。

 

(以下、現在書きかけの原稿のママ)

マリアナ沖海戦以降の日本の機動部隊事情

マリアナの敗北:「マリアナ七面鳥撃ち」

日本海軍はマリアナ諸島攻略を目的に来攻した米機動部隊相手に1944年6月、「あ」号作戦の名のもとに、空母機動部隊による決戦を挑み、大敗します。

詳細はこのミニシリーズのどこかで触れるとして、概略のみをまとめておくと日本海軍は「あ」号作戦に向けて、日本海軍史上初となる空母を中核戦力に正式に据えた第一機動艦隊という艦隊編成を行い、艦隊空母3隻、商船改造中型空母2隻、補助空母4隻という、当時の日本海軍としてはありったけの空母を投入し、これに500機あまり(諸説あるようですが)の艦載機を満載して決戦を挑み、艦隊空母2隻、商船改造中型空母1隻を失い、さらに重大なことは約400機の艦載機とそのパイロットを失ってしまいます。

加えて、「あ」号作戦では空母機動部隊と共に決戦の両輪と目されてマリアナ諸島に展開していた基地航空部隊(第一航空艦隊・第十四航空艦隊)は、この時期までに「見敵必戦」の号令の下、戦力を諸方面に逐次抽出しその都度消耗してしまっており、肝心の「あ」号作戦ではまとまった戦力としては期待できない状況に陥ったまま投入され、そのわずかな残存兵力も壊滅してしまいました。

なぜこのような状況になったかというと、「決戦」構想を立てつつも、その時期、展開地域等については主導権を取れず、つまり来攻する米軍の計画次第、これに対応する、という状況に陥ってしまっていた、ということだと考えています。

元々の日本海軍のアメリカを仮想的とした場合の「艦隊決戦構想」が、太平洋を押し渡ってくる米艦隊を決戦海面に達する以前に捉え、これを暫時減殺しながら主力対決で決着をつける、というものだったので、この原則は変わっていないのですが、航空戦力が海軍戦術の中核となった時点で(そうしたのは日本海軍だったはずなのですが)展開海面の広さ(=索敵海面の広さ)、スピード(=暫時が意味をなすのかどうか)が異なる意味を持ってしまっていました。さらにこれに戦術的な根幹となる航空戦力が「消耗」に、異なる意味を持たせてしまっていた、という事にどれだけ対処できていたか、ということかと考えています。

(今回ご紹介するのは、ここまで)

 

まあ、こんなふうに始まり、この後、「機動部隊再建計画」が続きます。

第一航空戦隊:「雲龍」「天城」(やがて同型艦の「葛城」が加わります):第601海軍航空隊294機(再建目標12月:なぜ雲龍級3隻でこの計画定数なのか、ちょっと不明です) 

第三航空戦隊:「瑞鶴」「千歳」「千代田」「瑞鳳」:第653海軍航空隊182機(再建目標10月) 

第四航空戦隊:航空戦艦「伊勢」「日向」・空母「隼鷹」「龍鳳」:第634海軍航空隊132機(再建目標8月末)

 

そしてレイテ沖海戦への小沢機動部隊投入戦力とその作戦行動」に話が移り、本稿の主題である参加艦艇の模型のご紹介に話が移ってゆきます。f:id:fw688i:20210912132742j:image

(レイテ海戦当時の小沢機動部隊の基幹戦力、第三航空戦隊の空母:「瑞鶴」(艦隊旗艦:左上)、「瑞鳳」(右上)、「千歳」と「千代田」(下段):迷彩塗装は筆者の妄想と未熟な塗装技術の制約が多いですので鵜呑みにしないでください)

で、もちろんこの後個別の艦、艦級のご紹介をするわけですが、この上記の4隻を見るだけでも、4隻のうち3隻が改造空母であり、つまりその母型となった艦船を今、鋭意、整理中、そのご紹介が今回のタイトルにつながって来ます。

以上、例によって「脇道」に逸れる長〜い言い訳です。今回はこんなお話、というか中間報告、でご容赦を。

 

製作中あるいは整理中のモデルのご紹介

実は日本海軍の空母には、艦隊空母として最初から設計されたものは、多くはありません。最初の空母である「鳳翔」、中型空母の「飛龍級」、その量産系である「雲龍級」、大型艦隊空母である「翔鶴級」、重装甲空母である「大鳳」くらいです。

そしてそれらを補助する補助空母は、全て他の艦種からの改造艦、もしくは商船改造であるため、やっぱり母型となった艦もちょっと触れてみたい、というわけです。(多分、商船改造、までは手が回らない、かも)

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(母型の概観:上から「千代田級」水上機母艦潜水母艦「大鯨」、「剣崎級」潜水母艦


水上機母艦「千歳」「千代田」

ja.wikipedia.org

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(「千代田級」水上機母艦の概観:by Delphin)

ロンドン軍縮条約では各国海軍に保有空母についても制限がかけられます。

一方で一万トン以下、速力20ノット以下の補助艦艇については制限対象ではなく、日本海軍は戦時に空母への改造を前提とした設計の補助艦艇の整備を進めて行く事になります。

「千代田級」水上機母艦はその構想の元、設計されました。

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(「千代田級」:空母形態(上)by C.O.B. Constructs and Miniatures と水上機母艦形態の比較)

概ね全体の外観は元のモデルのままでいいと考えていますが、もう少し塗装に手を入れましょうかね。

 

潜水母艦「大鯨」

ja.wikipedia.org

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潜水母艦「大鯨」の外観:by Masters of Military)

上掲の「千代田」「千歳」と同様の構想で設計された、戦時の空母への改装を前提とした潜水母艦です。「千歳」「千代田」よりももっと露骨に空母への転用意図が伺える艦型ですね。

モデルはいつもお世話になっているShapewaysで入手したものです。

www.shapeways.com

このモデル、潜水母艦「大鯨」と工作艦「明石」、給兵艦「樫野」の3隻セットという大変マニアックなセレクションです。ちなみに「樫野」は給兵艦と呼称されていましたが、実際には「大和級」戦艦の砲塔運送艦で、「大和級」戦艦の46センチ主砲の砲身や砲塔を運ぶために専用に造られた「重量物運搬艦」でした。「大和級」の主砲は呼称を「九四式四十糎砲」として口径が46センチであることは最高機密扱いでしたので、同趣旨から本艦も機密保持の一環から「給兵艦」と分類され他という裏話があったようです。

「大鯨」に話を戻すと、ほぼモデル原型のまま、マストと武装(主兵装である40口径八九式12.7cm連装高角砲)に少し手を入れ、塗装を施しています。

まあ、ほぼ完成、かな?

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(空母「龍鳳」(上)と母型となった潜水母艦「大鯨』の比較:いずれもMaster of Military製:またの機会に詳しく)

改造後、空母「龍鳳」となるわけですが、こちらも同じくShapewaysで調達したモデルを作成しています。

 

「剣埼級」潜水母艦(高速給油艦

こちらは「瑞鳳」の母体となった艦級です。

ja.wikipedia.org

同級の構想は上記の潜水母艦「大鯨」とほぼ同一設計で、ただし「大鯨」のような空母転用の構想が露わになる上部構造を持つ潜水母艦ではなく、上部構造を持たない高速給油艦として設計されました。しかしその後、建造着手が条約失効後(日本は条約の延長に応じず、破棄を予定していました)となることが明らかとなったため、空母改造への布石を先行させ「大鯨」と同様の上部構造を持つ「潜水母艦」として設計変更され着工しました。

ネームシップの「剣埼」と同型艦の「高崎」が建造されましたが、「剣埼」のみ潜水母艦として完成し、後に空母「祥鳳:へ改造されました。一方「高崎」は潜水母艦として完成を見ることなく建造途中から「空母」へ設計変更され、空母「瑞鳳」として完成されています。

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(「剣崎級」潜水母艦の外観:Delphin製「千代田」級水上機母艦をベースとしたセミ・スクラッチ:製作中)

この艦級(「剣埼級」潜水母艦)は筆者の知る限り市販モデルがなく(手作りの木製モデルがebayに出品されているのを見たことがあります。これまでに見たのはその程度)、結局、筆者のストックモデルから若干の船体延長などサイズ変更などすれば使えそうなDelphin製の水上機母艦「千歳」の船体を流用し(上掲の写真の乾舷中央、艦橋やや後ろの白い部分が船体延長のために挿入されたプラ板です)、上部構造をプラロッドで製作するなどして、セミ・スクラッチの途上です。

実はネット上で外観把握できるような図面が見当たらず、書籍を入手するなど、概要を把握するのに、少し時間がかかってしまいました。

この後、もう少しディテイルを補足したのち、塗装を施して完成です(手順としては、塗装をしたのちに細部の補足、ですね)。

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(「祥鳳級」空母(上)と母型となった「剣埼級」潜水母艦の比較:またの機会に詳しく)

 

というわけで、今回はさくっとここまで。

次回は、いよいよ「小沢機動部隊」(今度こそ本当か?)。

日本海軍の空母機動部隊の終焉、ということで、冒頭に構想を長々書いた「日本海軍の機動部隊小史」としてのミニ・シリーズ、日本海軍の空母の総覧を開始する予定です。

 

もちろん、もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

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