相州の、ほぼ週刊、1:1250 Scale 艦船模型ブログ

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

禁断の園に着手?:「レッド・オクトーバー」起点のソヴィエト・ロシア海軍の弾道ミサイル潜水艦

先週は本業対応で一回スキップさせていただきました。

今回もまだやや本業の煽りと、プライベートなイベントで少し軽めの投稿です。

とは言え、ついに潜水艦にまで。

 

レッド・オクトーバーを追え(トム・クランシーの小説と映画)に登場する潜水艦「レッド・オクトーバー」の話

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(文春文庫版ですが、なんと新刊は扱っていない?こんな名作なのに・・・。今となっては古い小説ではあるのでしょうが。ちょっと残念。しかし古書なら手に入ります、あまり苦労せずに)

原作は1984年の発表され、作書のトム・クランシーの名を処女作にして一躍世界に轟かせた、ミリタリー小説の傑作です。この小説によって「テクノスリラー」というジャンルが確立した、と言われることもあるようです。翌年1985年には日本でも翻訳は発表され、こちらもベストセラーとなりました。

この小説は、ソ連(当時)が新型の超静音推進器システムを搭載した弾道ミサイル搭載原子力潜水艦を建造。この船を、ソ連海軍の至宝ともいうべきラミウス海軍大佐がジャックして潜水艦ごと亡命する、こんな事件が太い縦糸となって物語が構成されています。その大佐の亡命の背景、超静音推進器の技術の流出と亡命阻止を巡っての米ソの攻防、そんな横糸が張り巡らされ、緊密な物語が構成されています。(未読の方がいらっしゃったら、是非、ご一読をお薦めします)

この小説を皮切りに、この小説では近代海軍史学者であったジャック・ライアンがやがては合衆国大統領にまで上り詰める一連のシリーズが生まれました。そういう意味でも重要な一冊かと。

1990年には映画化され、こちらも大ヒット。ショーン・コネリー扮するラミウス艦長は圧巻でしたし、脇もそれぞれ素晴らしかった。

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この物語の主人公は「レッド・オクトーバー」ごと米国への亡命を企てるソ連海軍のラミウス大佐と、その亡命意図を分析から紐解くCIAに雇われたジャック・ライアンなのですが、本稿では、もう一方の主人公ともいうべき弾道ミサイル潜水艦「レッド・オクオーバー」のモデルを入手したので、そちらをご紹介します。

「レッド・オクトーバー」:「スーパー・タイフーン級弾道ミサイル搭載原子力潜水艦

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(「レッド・オクトーバー」の概観:143mm in 1:1250  by Bill's Bits n Piecies in Shapeways:潜水艦はフルハル・モデルがいいかもしれません。特にこのモデルの場合には。それは後ほどご紹介します)
原作(小説:映画ともに)では「レッド・オクトーバー」は「タイフーン級」潜水艦の改良型として紹介されます。

まずはそのベースとなった「タイフーン級弾道ミサイル潜水艦をご紹介。

「941級:(NATOコードネーム)タイフーン級弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(就役時期:1981−2023・同型艦6隻

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(「941級:タイフーン級弾道ミサイル潜水艦の概観:135mm in 1:1250  by Mountford?)

同級は9000kmの長大な射程を持つR-39型固形燃料型の弾道ミサイルを搭載する潜水艦として建造されました。このミサイルは重量が大きく(100トン!)、従来の主力弾道ミサイル潜水艦である「デルタ級(667B級)」潜水艦には搭載できないため、新型の大型潜水艦が開発される事になりました。ソ連海軍の弾道ミサイル潜水艦としては第3世代にあたります。

これらの事情により同級は水中排水量が48000トンと、前級の最終形である「デルタ-IV型:667BDRM 型)の4倍の水中排水量を持つ破格の大きさの船になっています。設計的には「デルタ級を横に2隻並列したものをベースにしたとか。

巡航ミサイルも発射可能な魚雷発射管6基と弾道ミサイル発射筒20基を搭載し、加圧式原子炉2基を搭載し2軸推進で水中で27ノットの速力を発揮できる設計でした。

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(「941級:タイフーン級」のミサイル収納部分と特徴的な形態を持つ細る部分の拡大:20基の大型固形燃料ミサイルを搭載し、北極海の氷結海面での活動を想定した頑丈なセイル(氷を割って浮上できる?)を持っていました)

1981年から6隻が就役し、ソ連崩壊後もロシア海軍は同級を戦力として維持するとしていましたが、維持に必要な経費が膨大で、また搭載するR-39系のミサイルが生産終了されることになったため、順次退役し、2023年2月に最後の1隻も退役しています。

小説が書かれた1984年ごろには、ソ連海軍の最新潜水艦で、かつ上記のようにその並外れた大きさに代表されるように高性能艦と認識されていました。

 

再び「レッド・オクトーバー」の話

同艦の特徴はなんと言っても超静音を実現した「キャタピラー」と呼ばれる新型の推進機関を搭載していると推測されることで、この推進システムを用いれば米国海軍に探知されることなく弾道ミサイル発射可能な潜水艦を米国の鼻先に潜ませることができる、つまり米国への重大な脅威として扱われます。

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(「レッド・オクトーバー」のミサイル収納部分と「941級」を継承した特徴的な形態を持つセイル部分の拡大)

さらに小説の中でも船体はタイプシップとなった「941級:タイフーン級」よりも長大な船体を持つとして紹介され、ミサイル搭載数も26基と増えています。f:id:fw688i:20231009104445p:image

(「レッド・オクトーバー」の最大の特徴である「キャタピラー:超静音推進システム」の取水口(上段)と排水口(下段):このモデルはフルハル・モデルでなくてはなりません。しかし一点ご報告、実は映画版での表現とはかなり形状が異なります

 

超静音推進器「キャタピラー」をめぐる話

従来の潜水艦は基本スクリューを回し、推進力を得ています。スクリューの回転と水流の音がソナーに探知され位置が特定される、ということになります。一方で「レッド・オクトーバー」の推進システムは船体内のトンネルに海水を引き込み、超伝導で生成された電磁波により水流を作り推力を得る仕組みのようです(正直言って筆者には理解できません)。

この際に、やはり水流の音は発生するのですが、これが従来の潜水艦が発生する音とは異なるため、パッシブソナーの拾った音をを解析するコンピュータには潜水艦と分類することができない、そんな話のようです(映画だったか、小説だったか、「こいつ=コンピュータは何でもかんでもマグマの流動音に分類したがるんです」というような、「これは新型潜水艦の音だ」と主張するベテランソナー員のセリフがあったような)。

ソ連海軍の造船所に潜入した諜報員が入手した建造中の新型潜水艦の船体に設けられた「謎のハッチ」の写真と、このソナー員の拾った「マグマの流動音?」のセットによって、ジャック・ライアンと彼を助ける元海軍中佐(?)のタイラーが新型潜水艦は「超静音推進システム」を搭載していると推論することになる訳です。

ソ連海軍は高度な軍事機密の流出と、ソ連海軍を知り尽くした頭脳の流出を防ぐために、艦艇を展開し「レッド・オクトーバー」を沈めようと試みますし、米国に対しても激務から心神喪失に陥った海軍大佐が米国に核弾頭を降らせようとしている、と告げて共同してこれを阻止しよう、と働きかける、という虚々実々の駆け引きが描かれます。

一方で、ジャック・ライアンは、「レッド・オクトーバー」の出航直後から始まったソ連海軍の慌ただしい動きと、ラミウス大佐の経歴、発言等を分析し彼の亡命意図を推察し、その亡命支援を上層部に進言する、物語はそんな展開になってゆきます。

 

映画は大変面白くまとまってはいますが、本作を十分に楽しむっためには、筆者は小説をお読みいただくことをお薦めします(文春文庫です、が冒頭で記述したように新刊は出ていないかも。古書なら入手可能のようです)。

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(「レッド・オクトーバー」(奥)と「941級:タイフーン級」の大きさ比較:フルハル・モデルとウォーター。ライン・モデルの比較、しかも製作者が異なるので、あまり参考にはならないかもしれません。寸法比較で言うと、「941級:タイフーン級」が135mmで絵あるのに対し、「レッドオクトーバー」のWLモデルは142mm程度になるでしょうから、やはりかなり大きいのでしょうね)

 

素晴らしいモデルを発見!

いろいろと「レッドオクトーバー」について調べるうちに、素晴らしい再現モデルに未ぐり会いました。下の写真は映画版での「キャタピラー」をかなり正確に再現されたモデルだろうと思います。1:350スケールの「タイフーン級のモデルを2隻使ってお造りになられたようです。

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やはり潜水艦はこれくらいのスケールで作るべきなんだなあ、とひたすら感心しています。脱帽です。上掲のご投稿には他の素晴らしい写真も掲載されています。素晴らしい作品に脱帽!

 

ということで、今回ご紹介したかった新着モデルは以上なのですが、この機会にソ連海軍・ロシア海軍弾道ミサイル潜水艦の系譜をまとめておきましょう。

ソ連ロシア海軍弾道ミサイル搭載潜水艦の系譜

弾道ミサイル搭載潜水艦の役割は、核弾頭を搭載したミサイルを仮想敵国の鼻先に潜ませて、有事の際には相手国に対応の時間を与えずに戦果を上げる、こういうことを目的としています。大陸間弾道ミサイルなどは発射探知からの飛翔時間が長く、迎撃手段を講じられる、あるいはもっと重要なことは報復攻撃の猶予を相手国に与えてしまうことが予想される訳です。

従って弾頭ミサイル搭載潜水艦には、極力、相手海軍による探知を避けるための静音性が重要になってくる訳です。

ソ連海軍も核弾頭の開発以降、その発射プラットフォームとして潜水艦を用い、これを仮想敵国の近海に配備する、そんな活動を行なってきました(多分、上記のように潜水艦の行動というのは隠密行動が攻守いずれの側面についても重要ですので、おいそれとは手の内は明かされず、従って表面化しません)。

ソ連海軍が開発した弾道ミサイル搭載潜水艦は、以下の艦級がある、とされています。()内は一番艦の就役年次です。

「629級:ゴルフ級(NATOのコードネームです)」(1958-)

「658級:ホテル級」(1960-)ソ連海軍初の原子力推進の弾道ミサイル潜水艦です。

「667A級:ヤンキー級」(1967-)

「667B級:デルタ級」(1972-)

「941級:タイフーン級」(1981-)

「955級:ボレイ級」(2013-)

今回はそれぞれを簡単にご紹介します。

 

「629級:(NATOコードネーム)ゴルフ級」弾道ミサイル搭載通常動力潜水艦(就役期間:1958−1990・同型艦23隻)

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(「629級:ゴルフ級」弾道ミサイル潜水艦の概観:78mm in 1:1250  by Delphin:セイルには3基の弾道ミサイルが収納されており、このモデルではセイルから弾道ミサイルを発射した瞬間を再現しています

同級はソ連海軍が初めて建造した弾道ミサイル搭載潜水艦です。

通常動力潜水艦(ディーゼル電気推進)で、弾道ミサイルはセイル部分に垂直に収納する形式でした。

通常動力推進でしたので、長期間の潜航が出来ず(必ず一定時間でシュノーケル深度で充電する必要がありました)、かつ初期に搭載したタイプの弾道ミサイルは浮上して発射する必要がありましたので、隠密性という視点では極めて不十分でした。(のちに水中発射が可能なミサイルに換装されました)

水中排水量は3500トン級で、水中で12ノットの速力を発揮することができました。

またミサイルがセイル部分に収納される設計で、搭載数も3発(I型・II型)で、打撃力も十分ではありませんでした。III型ではセイル部分を延長し、弾道ミサイル6発を収納できました。f:id:fw688i:20231009100746p:image

(「629級:ゴルフ級」弾道ミサイル潜水艦III型の概観:III型ではセイルが拡大され、6基の弾道ミサイルが収納されていました。このモデルではセイルから弾道ミサイルを発射した瞬間を再現しています

1958年から23隻が建造され、1990年までに全て退役しましたが、4隻が中国海軍に売却され同海軍の弾道ミサイル潜水艦開発の基礎となったとされています。またソ連崩壊後に10隻が北朝鮮に売却され、同海軍の弾道ミサイル潜水艦は本級がベースとなって開発された可能性があるとされています。、

 

「658級:(NATOコードネーム)ホテル級」弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(就役開始時期:1960−・同型艦8隻)

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(「658級:ホテル級」弾道ミサイル潜水艦の概観:98mm in 1:1250  by Trident:セイルには3基の弾道ミサイルが収納されています

ソ連海軍初の原子力推進の弾道ミサイル潜水艦です。

「629級:ゴルフ級」の延長として開発され、弾道ミサイルはセイル部分に3発が収納されていました。

水中排水量5500トン級で、水中で26ノットの速力を発揮できました。併せて原子力推進となったことから、潜航したままで長期間行動することが可能でした。初期に搭載された弾道ミサイルは「629級:ゴルフ級」と同様のR-13 で、浮上して発射せねばなりませんでした。しかしそれでも敵国沿岸に潜航状態で接近・待機できるため、核弾頭の秘匿配置という目的には有効でした。

搭載ミサイルは後に全て水中発射可能なR-21に換装されています。f:id:fw688i:20231009101328p:image

(上の写真は弾道ミサイルを格納したセイル部分の拡大

このように原子力推進の導入と水中発射ミサイルの搭載により敵国への核兵器の秘匿配置性が向上には貢献しましたが、収納位置がセイル位置であったため、3発の搭載にとどまり、十分な打撃力の配置には至っていませんでした。

1960年から8隻が就役し、現在ではセイルを拡大して6発搭載と改良されたIII型の1隻のみが現役である可能性があります。

 

「667A級:(NATOコードネーム)ヤンキー級」弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(就役時期:1967−1990?・同型艦34隻)

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(「667A級:ヤンキー級」弾道ミサイル潜水艦の概観:105mm in 1:1250  by ??

同級はソ連海軍は建造した第二世代の弾道ミサイル潜水艦で、同級の就役によりソ連海軍は初めて本格的弾道ミサイル潜水艦を保有したと言っていいと考えています。

水中排水量9300トン級と一気に大型化した船体に、2基の加水式原子炉を搭載し2軸推進方式で27ノットの水中速力を発揮できました。また、弾道ミサイルの収納スペースをセイルから船体に移し、搭載数は前級「658級:ホテル級」の3基を大きく上回る16基となりました。f:id:fw688i:20231009102119p:image

弾道ミサイルの収納位置の拡大:16基のミサイル発射筒のハッチがモールドされています)

搭載弾道ミサイルはR-27でR -13/R -21に比べれば遥かに長い射程を持っていましたが、それでも2000-3000kmとまだ十分とは言えず、より長射程のミサイルを試験的に搭載したII型が1隻建造されました(搭載弾道ミサイル数12基)が、この新型ミサイル(R-31)の射程は計画値に遥かに及ばず、1隻のみで終了しました。。

1967年から19隻(II型1隻を含む)が建造されましたが、戦略壁制限交渉(SALT)の規定により、一部は弾道ミサイルを撤去し代わりに巡航ミサイルを搭載した攻撃型潜水艦への改造、あるいは曳航式ソナー等の試験潜水艦への改造、小型潜航艇の母艦等への改造を受けましたが、ほぼ全てが退役していると思われます。

 

「667B級:(NATOコードネーム)デルタ級」弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(就役時期:1972−・同型艦諸形式併せて43隻

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同級は前級「667A級:ヤンキー級」の後継として開発された艦級で、1972年に最初の形式の「667B級:デルタ級」の原型であるI型の一番艦が就役し、以降、1990年にIV型の最後の艦が就役するまでに以下の四形式が建造されています。

667B級(デルタ級-I型):18隻:1972-1998

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(「667B級:デルタ級I型」弾道ミサイル潜水艦の概観:108mm in 1:1250  by Delphin

前級「667A級:ヤンキー級」で課題とされた搭載弾道ミサイルの射程を改善したR-29搭載(射程6000-7000km)  を前提に設計された形式で、水中排水量10000トンとさらに艦型は拡大され、2基の加水式原子炉を搭載し2軸推進で26ノットの水中速度を発揮できました。

前述のR-29弾道ミサイルを12基搭載していました。f:id:fw688i:20231009102148p:image

弾道ミサイルの収納位置の拡大:12基のミサイル発射筒のハッチがモールドされています)

第一次戦略兵器削減条約(SOLT-1)の発効に伴い1998年までに全艦、退役しています。

 

667BD級(デルタ級-II型):4隻:1973-1998年?)

(モデルは未保有

搭載弾道ミサイルの搭載数をI型の12基から16基に拡大したタイプで、艦型が水中排水量10500トンと増えています。

1975年から4隻が就役し、第一次戦略兵器削減条約(SOLT-1)の発効に伴い全艦、退役しています。

 

667BDR級(デルタ級-III型):14隻:1976-2010年代?)

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(「667BDR 級:デルタ級III型」弾道ミサイル潜水艦の概観:122mm in 1:1250  by ?

搭載弾道ミサイルをR-29R(複数誘導弾頭搭載型)16基に変更し攻撃力を強化したもので、水中排水量10600トン、水中速度25ノットを発揮できるとされています。f:id:fw688i:20231009103303p:image

弾道ミサイルの収納位置の拡大:16基のミサイル発射筒のハッチがモールドされています)

1993年の計画では、III型は全て退役させる方針でしたが、前述のように「941級:タイフーン級」が搭載ミサイルの更新中止と高額な維持費により早期退役が決定されたため、III型は一転して残されることとなりました。

とは言え艦齢は使用限界を迎えており、2010年代にはほぼ全ての艦が退役したと思われます。

 

667BDRM級(デルタ級-IV型):7隻:1985-現役?)

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(「667BDRM 級:デルタ級IV型」弾道ミサイル潜水艦の概観:130mm in 1:1250  by Trident

「667B級:デルタ級」の最終形態です。艦型は水中排水量が12100トンまで拡大されていますが、そのほとんどは静粛性の向上に充てられたとされています。f:id:fw688i:20231009103327p:image

弾道ミサイルの収納位置の拡大:16基のミサイル発射筒のハッチがモールドされています)

搭載弾道ミサイルは改良型のR -29RMUに換装され、2000年以降順次施行された改装工事により就役している7隻全ての艦寿命が延長され、全て現役にとどまっています。

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(上の写真は「677B級:デルタ級」の諸型式のモデルの概観一覧:手前からI型、III型、IV型の順:それぞれ異なる製作会社のモデルですので、再現手法が若干異なります。下の写真は、ミサイルベイの比較:上からI型、III型、IV型の順:いずれのカットも製作会社が異なるので、比較してもいいかどうかやや疑問ではありますが。製作会社の解釈の比較の方が、視点としては面白いかもしれません。III型のモデルはどこのだろう?)

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「941級:(NATOコードネーム)タイフーン級弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(就役時期:1981−2023・同型艦6隻

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(こちらは既述、ですね)

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(「941級:タイフーン級弾道ミサイル潜水艦の概観:135mm in 1:1250  by Mountford?)

 

「955級:ボレイ級」弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(就役時期:2013−・同型艦8隻?

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(「955級:ボレイ級」弾道ミサイル潜水艦の概観:by Bill's Bits n Piecies in Shapeways: Shapewaysの場合、潜水艦のモデルでは、1:1250スケールでもフルハルモデルが増えているように思います。モデルは未調達)

同級はロシア海軍が整備しつつある第四世代(ソ連海軍から数えて)の戦略弾道ミサイル潜水艦です。設計の基本形式は前々級にあたる「667B級:デルタ級」の系譜(特にIV型)にありますが、艦型は水中排水量24000トンと大きくなっています。

16基の弾道ミサイル発射筒を搭載していますが、搭載するミサイルは新型のR-30で、これは大陸間弾道ミサイルをベースに潜水艦搭載用に小型化したもので、8000-10000kmの射程を持っているとされています。このミサイルの小型化に伴いセイル後方のミサイル格納区画の高さはかなり抑えられています。

推進器はシュラウドリング付きのポンプジェット推進のようで(あまり明らかになっていません)、同海軍の弾道ミサイル潜水艦としては初めて1軸推進を採用した艦となりそうです。水中で25ノットを発揮することができるとされています。

2013年から就役が始まっており、現在6隻が就役していますが、計画では8隻とも10隻とも言われています。

ちなみに同級のニックネーム「ボレイ」はNATOのコードネームではなく本国(ロシア)でつけられた呼称で、西側諸国も本国のニックネームを採用しています。

 

ということで今回はここまで。

次回はおそらくロイヤル・ネイビーのミサイルフリゲート艦の整備ができているはず。そちらのご紹介を。(あくまで予定です)

もちろん、もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

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