相州の、ほぼ週刊、1:1250 Scale 艦船模型ブログ

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

脇道探索:スウェーデン海軍の新着モデルのご紹介:巡洋艦コレクションのアップデート

このところ週末に本業対応があり、それを理由に、過去の投稿をベースにした「再録」をお届けしてきました。

その間にも現在の興味領域である「スウェーデン海軍」関連の艦艇の模型が着々と到着しています。それらの仕上げの作業もあり、「再録」ベースの投稿をしてきたのですが、今回はいくつかスウェーデン海軍の巡洋艦周りの新着モデルのご紹介です。

 

まず最初にご紹介するのは、ちょっと変わったところで、特設機雷敷設艦「アルヴァスベン」。

機雷敷設巡洋艦「アルヴァスベン」(Alvsnabben:1943)

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(特設機雷敷設巡洋艦「アルヴァスベン 」の概観:84mm in 1:1250 by Oceanic?)

本艦は元々は貨物船として建造された船を1943年にスウェーデン海軍が徴用し機雷敷設艦として使用したものです。本稿では何度か触れてきていることですが、ご承知のようにスウェーデンは両大戦を中立で貫き通した稀有な存在であり、その為、海軍艦艇に戦没艦がありません(事故での喪失艦は何隻かありますが)。ですので一般的に就役期間が長く、本艦も1982年まで、数次の改装を経て使用されました。就役当初は特設機雷敷設艦でしたが、商船としての素性からくる良好な燃費と居住性から、海外遠征を伴う士官候補生の練習艦としても使用されました。

入手したのはOceanic社製のモデルでしたが、備砲の形状、煙突の形状から、第二次世界大戦以降の形状を再現したモデルだと思われたので、煙突の形状を直線的なものに置き換え、主砲を6インチ平射砲に変えるなど、少し手を入れています。

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(特設機雷敷設巡洋艦「アルヴァスベン 」の主要兵装:艦首部・艦尾部に配置された6インチ砲。就役時には平射砲ですたが、後に5インチ両用速射砲に換装されます。概観:煙突の形状を直線的なものに交換し、その他、少し銃座やマストなど追加しています)

4250トンの船体を持つ小ぶりな特設艦艇としては(スウェーデン海軍艦艇としては大型艦ではあるのですが)、6インチ砲4門、40ミリ対空砲、20ミリ対空砲、等、非常に強力な兵装を持っています。14ノットの速度を発揮し、200基の機雷を搭載することができました。後に主砲は全て両用砲に換装されています。

  

同じくスウェーデン海軍の機雷敷設艦つながりで、次にご紹介するのは「クロース・フレミング

機雷敷設巡洋艦「クロース・フレミング(Clas Fleming)」

 実は同艦については本稿の下記の回で一度ご紹介しています。

fw688i.hatenablog.com

この回ではArgonaut製の大改装前のモデルと、Rhenania製の大改装後(第二次世界大戦時)のモデルをご紹介しましたが、今回はShapewaysの3D printing model、Brown Water Navy Miniaturesから、就役直後のモデルと、一次改装時のモデル、そして大改装後の第二次世界大戦時モデルの3点セットを入手し、これを完成させたので、そちらをご紹介しておきます。

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竣工時(1912年)

本艦は1912年に就役。1550トンの船体に8基のボイラーを搭載し20ノットの速力を出すことができました。200基の機雷を搭載敷設する能力を持っていましたが、就役当時は艦尾の機雷敷設作業甲板は上甲板より一段低い位置に露出されていました。主砲として4.7インチ(120mm)単装砲を4基、艦首部・艦尾部にそれぞれ2基づつ、背負い式で配置されていました。

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(機雷敷設巡洋艦「クロース・フレミング 」の竣工時の概観: 63mm in 1:1250 by Brown Water Navy Miniature

直下の写真は同艦竣工時の特徴のクローズアップ:特徴的な艦首部・艦尾部の背負い式に配置された主砲と一段低い機雷作業甲板(下段)。特に艦尾の露出された作業甲板は、荒天時には波を被り作業に課題があったようです)

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一次改装(1918−19年)

艦尾の機雷敷設作業甲板は位置が低く、さらに前述のように露出されていたため、荒天時の運用に課題があり、1918年頃に艦尾上甲板を延長し、機雷作業甲板はその中に収納されました。この際に4基の主砲配置が変更され、艦首・艦尾にそれぞれ1基、舷側やや後方両舷にそれぞれ1基づつ、という配置に変更されています。f:id:fw688i:20210411105714j:image

(機雷敷設巡洋艦「クロース・フレミング 」の一次改装時の概観: by Brown Water Navy Miniature

直下の写真は同艦一次改装で大幅な配置変更が行われた主砲配置と延長された艦尾上甲板。この改装で機雷作業甲板は船体内に収容され、荒天時の作業が改善されました。主砲は艦首・艦尾に各1門が配置され(上段・下段)、2門は両舷側に1門ずつ配置されました。(写真中段:少しわかりにくいですが。後方のボートの下に砲座の張り出しが見えています)

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第二次世界大戦前の大改装(1939年)

1939年に同艦は、機関を従来の蒸気タービンに加え、珍しいディーゼルタービンを追加搭載し、このために艦の長さを6メートル延長する大改装を受けています。煙突の数も2本から3本に増え、鑑容が一変しています。f:id:fw688i:20210411105717j:image

(機雷敷設巡洋艦「クロース・フレミング 」の最終改装時の概観: 68mm in 1:1250 by Brown Water Navy Miniature: ディーゼルタービンを追加搭載したため、艦の長さが6メートル延長されました。煙突も従来の2本から3本に。直下の写真は最終改装時の主砲配置。両舷に配置された主砲がよくわかります) 

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三形態比較(お約束的な?)

(下の写真は、「クロース・フレミング」三形態の比較:手前から、竣工時(1912)、一次改装時(1918-19)、最終改装時(1939)の順)

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**少し模型的なコメントを。

下の写真は、以前本稿でご紹介した同艦のモデルです。上の写真が一次改装時のArgonaut社製のモデルで、下の写真が最終改装時のRhenania社製のモデルです。いずれも艦尾の機雷投下扉が再現されているのですが、今回のBrown Water Navy Miniatureのシリーズではそれが再現されおらず、少し残念かも

(敷設巡洋艦「クロース・フレミング」就役時の概観:66mm in 1:1250 by Argonaut: 右下カットには機雷敷設用の二つの投下軌条口がよくわかります。就役時の機雷搭載数は100基でした)

(敷設巡洋艦「クロース・フレミング」近代化改装後の概観:69mm in 1:1250 by Rhenania: 1939年次の大改装で機関をディーゼルに換装し、船体も延長されています。煙突の数も増えて、全く別の艦容を示しています。右下カットには機雷敷設用の二つの投下軌条口。これは残ったんですね。改装後の機雷搭載数は200基に。中立を明示する白線が目立ちます)

 

 

そして最後にご紹介するのは、スウェーデン海軍唯一の装甲巡洋艦「フィルギア」の就役直後のモデル。

装甲巡洋艦「フィルギア」(1907年就役:同型艦なし)

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本稿では、これまでに下記の回で、装甲巡洋艦「フィルギア」の第二次世界大戦の姿についてご紹介していました。 

fw688i.hatenablog.com

本艦は1907年に就役した4300トンの装甲巡洋艦です。

就役時(1907年)

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(装甲巡洋艦「フィルギア 」の竣工時の概観: 91mm in 1:1250 by Brown Water Navy Miniature)

列強の装甲巡洋艦が軒並み8000トン、10000トン級であったことを考慮すると、小ぶりな装甲巡洋艦です。が、バルト海での運用を考慮すると、このサイズがベストかも。主砲を全て連装砲塔とするなど、意欲的な設計と言ってもいいと感じています。

 

改装時(1939−41年)

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(装甲巡洋艦「フィルギア 」の竣工時の概観: 93mm by Brown Water Navy Miniature)

本艦は、1939−41年に練習巡洋艦として近代化改装されています。概観的な変更としては、艦橋形状の変更(塔状へ)と煙突の本数でしたが、機関は 重油専焼に換装されボイラー数が減っています。さらに対空砲を強化、艦首形状をクリッパー型に改めるなど手が入れられ、艦の長さがかわっています。


二形態比較

(艦首形状がクリッパー型に変更されている他、艦橋の形状、煙突の数、位置も変更されています)
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ということで、今回はここまで、ですが、他にも小艦艇のモデルがいくつか到着、あるいはこちらに向けて発送されています。

以前少しご紹介したスウェーデン海軍の艦隊駆逐艦のコレクションも、Rhenania社から、今週末には発送できそう、という連絡をもらったりしています。

 

次回は多分、本稿でご紹介したドイツ海軍の第二次世界大戦時の駆逐艦のモデルがNeptune社製で揃いそうなので、そちらをご紹介できるかも。

 もちろん、もし「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

併せて模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

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