相州の、1:1250スケール艦船模型ブログ 主力艦の変遷を追って

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

脇道探索:スウェーデン海軍第二次世界大戦期の艦隊駆逐艦総覧

このところ、「脇道探索」にはまっています。具体的にはご紹介の続いている「スウェーデン海軍」の諸艦艇であり(もう一つ、なんとか、急に沸き起こった「A-140計画艦」の方は先週で一応の一段落をしましたので)、筆者の知識不足もあり、なかなか体系的な理解に進んでいきません。

本稿では、「日本海軍の航空母艦小史」(4回シリーズ)、「フランス海軍の第二次世界大戦期の巡洋艦総覧」「ドイツ海軍:第二次世界大戦期の駆逐艦」「英海軍:第二次世界大戦期の巡洋艦/駆逐艦」(2−3回シリーズ)等、ずっと温めて準備中のテーマがいくつかあるのですが、筆者の興味・関心がすっかり「スウェーデン」の方へ行ってしまっていて、気持ちをそちらに持っていけない、というのは実情なのです。

加えて非常に現実的な話をすると、来週末とその次の週末には、もしかすると珍しく週末に仕事をせねばならないかもしれず(筆者も本業があるのです)、そんなこんなで、集中力のいるテーマを手がけるのは少し先になりそうです。

ということで、もうしばらく、このところ続いている「取り止めのない感じ」は続くと思います。何卒、ご容赦願います。

 

スウェーデン海軍の近代的艦隊駆逐艦の系譜

気を取り直し、今いまの関心事である「スウェーデン海軍」です。現在第二次世界大戦期(中立を貫き、参戦はしませんでしたが)の艦艇は結構充実してきました。ともあれ、艦隊駆逐艦の6艦級 がなんとか揃いましたので、そちらのご紹介を。

 

第一次世界大戦期、スウェーデンはこの大戦にも中立を貫き、参戦しませんでしたが、当時、海軍は10隻の駆逐艦と29隻の水雷艇を運用していたとされています。この時期の同海軍の駆逐艦は、おおむね他のヨーロッパ諸国の海軍と同様、500トン前後、3インチ砲を主砲として搭載し18インチの魚雷発射管を搭載している、いわゆる第一次世界大戦型の標準的なものでした。バルト海での運用という特性もあり、同海軍の駆逐艦はその中でもやや小型の部類に属していた、と言ってもいいかもしれません。

スウェーデン海軍の代表的な第一次世界大戦駆逐艦「フギン級:Hugin Class (1911)」

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(「フギン級」二等駆逐艦の概観:就役時の姿:53mm in 1:1250 by Argonaut) 

第一次世界大戦前に建造された駆逐艦で、400トン級の船体に就役時には75mm砲3基と457mm魚雷発射管2基を搭載し、30ノットの速力を出すことができました。

第二次世界大戦期には、主砲を100mm砲3基とし、その他対空火器、対潜水艦装備等を搭載し速力22ノットの護衛艦艇として就役していたようです。

Spec: 460 tons. /22 knots in operation./3 x 100mm, 4 x 40 mm AA, 3 x 20 mm AA, TLT 533 mm, 4 ASM mortars and 20 mines. /Crew 80. from Swedish Navy in WW2

 

そして、これらの一連の「第一次世界大戦型」の駆逐艦からの脱却を図り設計されたのが。「エレンスコルド級駆逐艦でした。

「エレンスコルド級:Ehrenskold-class」級駆逐艦:2隻:1927年より就役

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(「エレンスコルド級駆逐艦の概観:74mm in 1:1250 by Rhenania :下の写真は「エレンスコルド級駆逐艦の主砲等の配置を拡大したもの) 

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それまでの駆逐艦と比較するとほぼ倍程度の900トン級の大きな平甲板型の船体に、12cm(4.7インチ)主砲を3基搭載していました。21インチ級の三連装魚雷発射管2基を搭載し、36ノットの速力を発揮することができました。

同級の搭載兵装、武装配置等は、以降の駆逐艦の標準となりました。

Spec: 974 tons. /36 knots in operation./3 x 120mm, 2 x 2-pdr AA,  2x3TLT 533 mm /Crew 120. from Swedish Navy in WW2

 

「クラース・ホルン級:Klas Horn-class」駆逐艦:2隻:1932年より就役

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(「クラス・ホルン級」駆逐艦の概観:74mm in 1:1250 by  semi-scratch from Wiking:Wiking 社製の次級「ヨーテボリ級」駆逐艦のモデルを使用し、寸法の調整等行いました)

同級は前級「エレンスコルド級」の改良型です。やや船体を拡大し、搭載兵装等はほとんど同じでした。準同型艦とみなす場合もあるようです。

1941年に原因不明の爆発により両艦とも大きな損傷を受けましたが、「クラス・ホルン」のみ修復され増した(「クラス・ウグラ」は「クラス・ホルン」の再建のために部品供給し、再建されませんでした)。

Spec: 1020 tons. /36 knots in operation./3 x 120mm, 2 x 40mm AA, 2x3TLT 533 mm /Crew 130from Swedish Navy in WW2

 

ヨーテボリ級:Goteborg-class」駆逐艦:6隻:1936年より就役
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(「クラス・ホルン級」駆逐艦の概観:76mm in 1:1250 by Wiking:主砲のみ、少しディテイルアップしています)

同級は、「エレンスコルド級駆逐艦の系譜の最終形と言えるでしょう。船体は1040トンに拡大され、39ノットの高速を発揮することができました。兵装等は、「エレンスコルド級」「クラス・ホルン級」と同等のものを継承しています。

駆逐艦勢力の中核として6隻が建造され、後にフリゲート艦に改装されて、1960年代まで活躍しました。

Spec: 1040 tons. /39 knots in operation./3 x 120mm, 6x 25mm AA, 2x3TLT 533 mm /Crew 135from Swedish Navy in WW2

 

コラム:少し模型の話

下の写真は、Wiking 社の「ヨーテボリ級」(上段:今回、筆者が紹介している、筆者の所有するモデル)」とRhenania社の「ヨーテボリ級」を比較したものです。(下段:Rhenania社モデルの写真はネットより) もちろん基本的なレイアウトなどは同じですが、全体のフォルムやできているの再現など、Rhenania社の方が優れているのが、理解いただけると思います。f:id:fw688i:20210314141427j:image

また、下の写真はRhenania社製の「エレンスコルド級」(上段)と「ヨーテボリ級」の比較。今回文章ではご案内しているように、「ヨーテボリ級」が「エレンスコルド級」の発展型であるということがよくわかると思います。

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やはりこうして比較すると、水準の高いモデルにあわせてコレクションをしたくなります。幸いなことに、筆者は現在、本稿の2月21日の投稿でもご紹介したように、Rhenania社と直接交渉し、同社の「ヨーテボリ級」駆逐艦のモデルを入手できる目処がつきました。入手次第、アップデートし差し替える予定です。

 

「プシランデル級:Psilander class」駆逐艦:2隻:1941年より就役(この部分は前回と同じ内容です)

「プシランデル級」駆逐艦は、1920年台後半に建造されたイタリア海軍の「セラ級」駆逐艦の3番艦と4番艦で、1940年にスウェーデン海軍に売却されました。

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(「プシランデル級」駆逐艦の概観:67mm in 1:1250 by Brown Water Navy Miniature)

Spec: 1250 tons. / 35 knots /4 x 120mm, 2 x 40 mm AA, 2 x 13.2 mm AA, 4 TLT 533 mm, 10 mines /Crew 106.from Swedish Navy in WW2

 

ja.wikipedia.org

1250トンの船体に12cm連装砲を2基、連装魚雷発射管を2基搭載し、イタリア海軍では既に旧式艦に分類されながらも35ノットの高速を発揮することができました。これは当時のスウェーデン海軍の艦隊駆逐艦(上記の3艦級)よりも少し大きく、兵装はこれらを上回っており、同じく内海である地中海での行動を想定された設計とも併せて、購入が決められたのかもしれません。

イタリアからの回航途上、既にイタリアと開戦直前の緊張関係にあった英国に1ヶ月間、抑留されています。そのような苦労の末入手した同級駆逐艦でしたが、バルト海での運用には不向きであった、という評価だったようです。1947年まで在籍していました。

(使用したモデルはこちら:いつものShapeways

www.shapeways.com

 

コラム:再び模型の話

下の写真は、本稿前回でご紹介したBrown Water Navy Miniaturem製の「プシランデル級」駆逐艦(奥)とArgonaut社製「セラ級」駆逐艦の模型を塗装したものの比較。実は前回ご紹介のために入手したものの制作途中から、BWNM社のモデルがやや小さいことが気になっていました。3D printingのモデルは、素材によってはディテイルの再現性が高く(もちろん製作者によりばらつきはありますが、BWNM社は非常に高い水準にあるメーカさんだと認識しています)、その割には価格が安いので、非常に頼りにしているのですが、今回はArgonaut 社製のモデルの方がしっくりきますね。ということで、イタリア海軍からスウェーデン海軍に移籍。あらら、イタリア海軍の駆逐艦コレクションには穴が開いちゃうけど、まあ、こういうこともあります。

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ということで、本文中の写真を下記の写真にいずれ差し替えます。

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「ヴィズビュー級:Visby-class」駆逐艦:4隻:1943年から就役

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(「ヴィズビュー級」駆逐艦の概観:77mm in 1:1250 by Star: 主砲のみ少しディテイルアップしています)

 (下の写真は、「ヴィズビュー級:駆逐艦お特徴である主砲と煙突の配置の拡大)

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同級はスウェーデン海軍が第二次世界大戦中に建造した駆逐艦の艦級です。4隻が建造されましたが、うち2隻の予算は前述の爆発事故で損傷した「クラス・ホルン級」の代艦として認められたものでした。

前級「ヨーテボリ級」までの「エレンスコルド級」をタイプシップとした駆逐艦お系譜とは異なり、船体が一気に200トン近く大型化し、かつ艦尾形状も角型に改められるなど、新機軸が盛り込まれています。

一方主要兵装は、前級までの装備をほぼ継承していますが、艦尾に搭載した対潜戦闘装備、機雷戦装備等が充実しています。

1960年代に全てがフリゲート艦に艦種変更され、内2隻はヘリコプター搭載能力を付与されるまでの改装を受けています。

1980年前後まで現役で活躍しました

Spec: 1200tons. / 39 knots /3 x 120mm, 4 x 40 mm AA, 3 x 20 mm AA, 6 TLT 533 mm, 4 ASM mortars and 20 mines /Crew 140 .from Swedish Navy in WW2

 

「エーランド級:Oland ~class」駆逐艦:2隻:1947年より就役

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(「エーランド級駆逐艦の概観:88mm in 1:1250 by Delphine)

 (下の写真は、「エーランド級駆逐艦の特徴である連装主砲塔の拡大と角形の艦尾形状)

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同級はスウェーデン海軍が第二次世界大戦中に建造した駆逐艦です。どう海軍としては、初めて2000トンを超える大型駆逐艦で、主砲の搭載も連装砲塔を採用するなど、それまでの同海軍の駆逐艦とは一線を画する外観を示しています。

当初4隻の建造が計画されていましたが、大戦の終結とともに2隻がキャンセルされました。就役は大戦終了後となりました。

6基の40mm対空機関砲、8基の25mm対空機関砲など、対空装備と対潜戦闘装備、機雷戦装備が充実しています。

Spec: 2000tons. / 35 knots /4 x 120mm, 6 x 40 mm AA, 8 x 25mm AA, 6 TLT 533 mm,  /Crew 210 .from Swedish Navy in WW2

 

スウェーデン海軍は上記の「エーランド級」の後も、「ハッランド級」「エステルイェートランド級」の2艦級の駆逐艦を建造しますが、その後、コルベットと高速戦闘艇中心への計画の転換があり、現在は駆逐艦を運用していません。

やはりバルト海沿岸の警備、という同海軍の主要任務を考慮すると、小回りの効く艦艇が有効ということでしょうか?今回ご紹介した駆逐艦も、同時期の他国海軍に比べると小ぶりな艦級が多く、これも同じ背景なのかもしれません。

 

・・・と、つらつらと書いてきましたが、今回、一番書きたかったのは、「二つのコラム」かもしれません。つまり、コレクションが進むにつれ(今回も含め、最近の一連の「スウェーデン海軍」話の流れの中で、皆さんにも、「コレクションの充実過程」を一緒に体験してもらっています)、モデルの品質のばらつきがどうしょうもなく気になってくる、という一種の「業」について、だったのかもしれない、と感じています。

 

というわけで今回はここまで。

 

次回は・・・??? Rhenania社からはまだ「準備できたから発送します。お金払って頂戴」という連絡が来ませんので、多分、次回も間に合わないでしょうね。来週末は時間作れるのかな?

 もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

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