相州の、1:1250スケール艦船模型ブログ 主力艦の変遷を追って

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

続続「脇道探索」:A-140計画艦のデザインバリエーション(第1期?)は最終回、その他のアップデート

A-140計画艦:3隻目の制作

さて、前回の続きです。

fw688i.hatenablog.com

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本稿では、上掲の前々回、前回で、手持ちの「大和級」戦艦のストックを用いて、「大和級」設計当初に考案された設計案の中からA-140a案を実現していたら、という「IF」艦を試作し、ご紹介してきました。

「A-140」計画艦は帝国海軍が140番目に計画した軍艦、という意味であり、aからfまでの枝符号分けがされた上で、さらにそれぞれに機関のバリエーションなどがあり、全部で20数種(23種?)の計画案があったとされています。

「A-140a」というのは、その枝番が示す通りその最初期の案で、外観的には主砲を全て艦首部に集中配置しており、さらにその特長として計画案の中でオリジナル(A-140)とともに、30ノットを超える速力を有した計画案でした。少し補足すると実際のA-140a計画艦は、実際にはもう少し長い船体を持っていました(今回制作したモデルは、Delphine社製の船体を用いている「筆者事情」から、実在の「大和級」とほぼ同じ長さになっています)。

もう一つ、この20数種の計画案を見て興味深いのは、オリジナル案(A-140)と実在の「大和級」のみがタービン機関搭載艦であるのに対し、他の案は全てタービンとディーゼルの混載艦であったというところだと考えています。つまり日本海軍は機関にディーゼルを採用することにより、なんとか燃料効率を改善し、つまりは搭載燃料に比して長い航続距離を持ち、さらにタービン機関との混載により高速力をも併せ持つ戦艦を作ろうと足掻いた、ということだと思います。このうち高速力という点は比較的早い段階で諦めがついたのか、A-140b案で既に27.5ノットとし、その後、実現案に至るまで30ノットクラスの高速艦の案は提示されませんでした。

しかし残念なことに信頼できるディーゼル機関が間に合わず、実在の「大和級」はタービン機関のみの搭載となっています。

 

少しこれまでの制作艦をおさらいしておくと・・・。

前々回掲載の「A-140a」計画艦:「甲斐」と命名(If艦ですので、もちろん架空名です)

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(戦艦「甲斐」(=「大和級」というより「A-140計画艦」というべきか。主砲前部集中搭載案から)の概観:主砲の前部集中配置で防御装甲の配置を効率化し、タービンとディーゼルの混載と共に、日本海軍悲願の高速性と長い航続距離を両立させることを目指しました)

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(直上の写真:「大和」(奥)と「甲斐」の概観比較:「甲斐」がほんの少し小振りで(これは狙ったわけではなく、単純にNeptune社(大和)とDelphine社のモデルフォルムの違いに起因しています)、主砲搭載位置の差異など見ていただけるかと。何故か主砲前部集中配置の方が、機動性が高そうな気がしませんか?写真ではわかりにくいですが、煙突が「甲斐」の方がやや細く、タービンとディーゼルの混載だから、と無理やり・・・)

 

前回掲載の「A-140a」計画艦:「美濃」と命名(If艦ですので、もちろん架空名です

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(戦艦「美濃」A-140a案の山形主砲配置デザイン:主砲の配置位置がよりコンパクトになっていることがよくわかります。主砲配置以外は上掲の「甲斐」と同じスペックです)

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(上の写真は「甲斐」と「美濃」のレイアウト比較:中段は主砲の前方斉射の射角比較。下段は後方斉射の射角比較。かなり両者の斉射射角に差があることがわかります)

 

残り1隻分のストックをどう使おうか

前回で、ストックが残り1隻分であるとご案内し、筆者の中では上掲の「甲斐」の対空兵装強化後を作成するか、副砲を「A-140a」案に準じて艦尾部に集中配置する艦を作成するか、迷っている、というご紹介をしました。どちらかというと、対空兵装強化後のモデルに気持ちは傾いている、とも・・・。

 

で、結局作成したのは、副砲艦尾部集中配置案を作成

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(A-140a案の副砲艦尾集中配置デザイン:副砲塔の配置位置は原案のA-140aに近いものにしてみました。両舷副砲の配置はもう少し後方でも良かったのかも。副砲塔の配置以外は上掲の「甲斐」と同じスペックです)

本稿前回では。この副砲の集中配置は「感覚的に好きじゃない」とか書いていましたが、結局、「模型的に面白い」方を取ってしまった、という感じです。

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(前々回でご紹介した戦艦「甲斐」とのレイアウト比較)。

副砲塔の配置は意外と違和感がないかも。これはこれでアリかもしれないなと、制作してみて思います。作った意味があった、ということでしょうかね。どうですか、なかなか「面白い」と思いませんか?作ってみないとわからない!(模型作ってて良かったなあ)

 

ちょっと未練がましく:対空火器強化案の再現にもトライしてみます

せっかくなので、対空火器強化案の制作用に準備しておいた両舷の対空砲座増設パーツを仮置きしてみます。(マスキングテープでそっと固定して設置してみました)

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なんとなく「大和級」で見慣れた配置なので、違和感はありません。しかし実際にはかなりの重量増になるでしょうね。速力低下や復元性に課題が間違いなく出たでしょう。

しかも下の比較カットでわかるように、両舷の副砲塔の射界は大きく制限されてしまいます。やはり対空火器強化の際には実用性と重量を考慮すると、両舷の副砲塔は撤去されるべきだ、ということでしょうね。もしかすると副砲は全て撤去、でも良いのかもしれません。
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「脇道探索」のアップデート

そしてもう一つの今回のお題は、この所のマイブームである「脇道探索」、つまり「スウェーデン海軍」のモデル収集のアップデートを少し。駆逐艦が少し充実しました。

 

イタリア製駆逐艦の購入

スウェーデン海軍は、いわゆる大戦間に自国製の艦隊駆逐艦を、下記の3艦級あわせて10隻保有していました。

「エレンスコルド級:Ehrenskjold-class」:2隻

「クラース・ホルン級:Klas Horn-class」:2隻

ヨーテボリ級:Goteborg-class」:6隻

しかし駆逐艦の絶対数が不足しているのは否めず、第二次世界大戦の勃発を受け、急遽、イタリアから2隻の艦隊駆逐艦を購入しました。 

 

「プシランデル級:Psilander class」駆逐艦

「プシランデル級」駆逐艦は、1920年台後半に建造されたイタリア海軍の「セラ級」駆逐艦の3番艦と4番艦で、1940年にスウェーデン海軍に売却されました。

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(「プシランデル級」駆逐艦の概観:67mm in 1:1250 by Brown Water Navy Miniature)

Spec: 1250 tons. / 35 knots /4 x 120mm, 2 x 40 mm AA, 2 x 13.2 mm AA, 4 TLT 533 mm, 10 mines /Crew 106.from Swedish Navy in WW2

 

ja.wikipedia.org

1250トンの船体に12cm連装砲を2基、連装魚雷発射管を2基搭載し、イタリア海軍では既に旧式艦に分類されながらも35ノットの高速を発揮することができました。これは当時のスウェーデン海軍の艦隊駆逐艦(上記の3艦級)よりも少し大きく、兵装はこれらを上回っており、同じく内海である地中海での行動を想定された設計とも併せて、購入が決められたのかもしれません。

イタリアからの回航途上、既にイタリアと開戦直前の緊張関係にあった英国に1ヶ月間、抑留されています。そのような苦労の末入手した同級駆逐艦でしたが、バルト海での運用には不向きであった、という評価だったようです。1947年まで在籍していました。

(使用したモデルはこちら:いつものShapeways

www.shapeways.com

 
ロムルス級:Romulus class」沿岸警備駆逐艦:Coastal Destroyer

上記の「プシランデル級」駆逐艦とほぼ同時期に、スウェーデン海軍は、やはりイタリアから「スピカ級」水雷艇を2隻購入し、これを「ロムルス級」沿岸警備駆逐艦(小型駆逐艦)として就役させています。f:id:fw688i:20210307100820j:image

(「ロムルス級」沿岸警備駆逐艦の概観:66mm in 1:1250 by XP Forge)

Spec: 620 tons. /34 knots /3 x 100mm, 3 x 20 mm AA, 4 TLT 450 mm, 2 ASM mortars and 18 mines. /Crew 100. from Swedish Navy in WW2

ja.wikipedia.org

「スピカ級」水雷艇は、1930年代に32隻が建造されました。軍縮条約の制限を受けない600トン級の船体を持ち、これに10cm単装砲3基と魚雷発射管4基を搭載し、34ノットの速力を発揮することができました。

 スウェーデン海軍はその1番艦と2番艦を購入し、寒冷地仕様に改造し就役させています。同級もイタリアからの回航途上、英海軍に1ヶ月間抑留されています。

同級は1958年まで、在籍していました。

(使用したモデルはこちら)https://xpforge.com/listing/765979483/destroyer-spica-class-italian-navy

 

第二次世界大戦開戦時のスウェーデン海軍保有駆逐艦の一覧f:id:fw688i:20210307100824j:image

 (左から「エレンスコルド級:Ehrenskjold-class」、「クラース・ホルン級:Klas Horn-class」、ヨーテボリ級:Goteborg-class」、「プシランデル級:Psilander class」、「ロムルス級:Romulus class」沿岸警備駆逐艦の順:)

 

2nd class destroyer:二等駆逐艦

スウェーデン海軍は、上記のように10隻の自国製駆逐艦と2隻のイタリアから購入した駆逐艦、同じくイタリアから購入した2隻の沿岸警備駆逐艦という戦力で、第二次世界大戦に中立国として臨みましたが、これ以外にも第一次世界大戦期の500トン以下の旧式駆逐艦を沿岸警備等の任務に就役させていました。

これらは2nd class destroyer:二等駆逐艦と分類され、以下の4つの艦級、9隻が第二次世界大戦期に就役していました。

「マグニ級:Magne Class (1906)」:2隻

「シグルズ級:Sigurd class (1909)」:3隻

「フギン級:Hugin Class (1911)」:2隻

「ウランゲル級:Wrangel Class (1918)」:2隻

 

今回、上記のうち「フギン級」のモデルが入手出来ましたので、ご紹介します。

「フギン級:Hugin Class (1911)」:2隻

en.wikipedia.org

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(「フギン級」二等駆逐艦の概観:就役時の姿:53mm in 1:1250 by Argonaut) 

第一次世界大戦前に建造された駆逐艦で、400トン級の船体に就役時には75mm砲3基と457mm魚雷発射管2基を搭載し、30ノットの速力を出すことができました。

第二次世界大戦期には、主砲を100mm砲3基とし、その他対空火器、対潜水艦装備等を搭載し速力22ノットの護衛艦艇として就役していたようです。

Spec: 460 tons. /22 knots in operation./3 x 100mm, 4 x 40 mm AA, 3 x 20 mm AA, TLT 533 mm, 4 ASM mortars and 20 mines. /Crew 80. from Swedish Navy in WW2

 

スウェーデン海軍の二等駆逐艦については、「ウランゲル級」も入手の手当て済みではありますが、その他の艦級については入手の目処が立っていません。鋭意、探索中!

というわけで今回はここまで。

 

次回は・・・???

 もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

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