相州の、ほぼ週刊、1:1250 Scale 艦船模型ブログ

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

「脇道探索」:脇道彷徨の現在と、新着モデルから少しメーカー比較など

彷徨の現在「スウェーデン海軍艦艇」

本稿の読者は既にご存知とは思いますが、このところ、大変目先の「脇道探索」にはまっています。

少しこの「脇道探索」をおさらいしておきますと、この「脇道」は「イルマリネン級」海防戦艦フィンランド)に始まり、スウェーデン海軍の海防戦艦の発展小史、さらに北欧諸国の海防戦艦の系譜という比較的太い幹と、さらにそこからスウェーデン海軍の第二次世界大戦期の巡洋艦という枝葉を生じ、現在はその先の駆逐艦他の小艦艇、というあたりを彷徨っています。

 

都度、上にあげたような諸国の海軍(現時点では「スウェーデン海軍」ですが)に関する知識のなさに戸惑い、またそこに新たな興味を見出し、少しづつ手探りで進む、という感じです。もちろんこれに本稿の主題である「1:1250スケールの模型の検索とその入手」というプロセスが絡んできますので、結構、多くの時間をかけることになっています。

 

今回は、内輪話的に、少しこの収集プロセスをご紹介しておきます。あまり模型は出てこないけど、ご容赦を。チラチラでてくるのは、いずれまとめてご紹介します。

 

まずは、概要把握から

今回のような、特に予備知識等の少ない領域にあたる際に、まずはベースキャンプを設定します。迷った時にここに戻ろう、という地点ですね。

今回の「スウェーデン海軍」の場合、例えば下記のサイトです。

www.naval-encyclopedia.com

このサイトは、写真等も豊富で、それぞれの海軍の任務やその背景の基礎的な理解に加えて、各艦種の艦級を網羅的に記述していて、模型的な視点(つまり視覚的な要素も加えて)で 各国海軍の艦艇整備史を概観するには、大変便利なサイトです。

 

スウェーデン海軍」の駆逐艦とは?

例えば上記で示した「スウェーデン海軍」で駆逐艦を見てゆくと、いわゆる「駆逐艦」(艦隊駆逐艦)として第二次世界大戦期(1939年−1945年)には6艦級が存在し、さらにこれとは別に「coastal destroyer(「海防駆逐艦」あるいは「沿岸警備駆逐艦」というような訳がいいでしょうか?)」が2艦級存在する、ということがわかります。

細かく見ると「駆逐艦」6艦級のうち、1艦級はイタリア海軍の中古を購入したもので、あまりバルト海での活動には適性が高くなかったようです(Psilander class)。そして続く4艦級(Ehrenskjord class, Klas Horn class, Goteborg class, Visby class)は同系統の改良型であり、最後のOland classは全く新たな設計である、というようなことが理解できてきます。

同様にCoastal Destroyerの艦級を見ると、第二次世界大戦の勃発後に調達されたイタリアからの中古輸入艦(Romulas class)の艦級と、それをベースに少し小型化した国産艦級(Mode class)があることがわかります。Romulas classはイタリアから移送される際に、英海軍によってフェロー諸島スカパフロー のあるところですね)で1ヶ月抑留されたというようなエピソードはあるようですね。

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(直上の写真は、現在収集中のスウェーデン海軍駆逐艦群。右から、沿岸警備駆逐艦(coastal destroyer): 「レムス級=旧イアリア水雷艇「スピカ級」」、艦隊駆逐艦「エレンスコルド級」「ヨーテボリ級」「エーランド級」の順。詳細は、また改めてご紹介します。現在続々到着中)

 

ちょっと気になるのが、「2等駆逐艦:2nd class destroyer」4艦級とそれに続いて記述のある「水雷艇:Torpedo boat」3艦級ですね。これらは、第一次世界大戦期の駆逐艦水雷艇を近代化改装の上で補助戦力として配置していたということのようです。どこまで踏み込むのか、これは思案のしどころです。

 

模型探し

まあ、だいたいこの辺りことを頭に入れて、以前ご紹介したことのある1:1250スケール模型のデータベース、頼りになるsammelhafen.deで模型の存在を確認してゆきます。

このサイトは以前にも本稿でご紹介しましたが、筆者が模型収集に最もお世話になっているebay出品者sarge 2012さんのお父さんが運営していらっしゃるサイトです。(sammelhalfen=collection port=コレクションの港!)

sammelhafen.de

上掲のリンクは、検索情報として既にSweden, Destroyer, 2nd WW等で絞り込んだ結果です。

これを見ると、「スウェーデン駆逐艦」ではRehenania社製のモデルが最もラインナップが充実していることがわかります。どうやら私が日頃、その品質を最も評価しているNeptune社はこの領域に興味を示していないらしい、ということもわかります(まあ、マイナーで需要も多くないでしょうから、大手は興味を示さなくてもいいのかも。筆者が興味を示したのも、上掲のような偶然から迷い込んだようなものですので。でもちょっと残念、かも)。

次にストックをゴソゴソさらってみて、筆者の在庫をチェック。

 

そして調達へ 

こうした情報を入手した上で、次に主な調達先として、以下のようなサイトを検索。これらは個別のショップサイトですが、その中でも中古品のコーナーを主に、筆者は常時サーチしています。

Antics Online Model Shops and Hobby Stores

Ships-and-more - Ships-and-more Homepage Startseite webshop

mikes-modelle.de - Index

Waterline-Ships, A great place to buy 1:1200/1250 waterline ships

The World of Miniature Ships – 1250Ships.com

LaWaLu models

Olivers Welt der Schiffsminiaturen - Schiffsmodelle 1:1250

1/1250 Coastal Forces : The Last Square, Gaming and Hobbying for Two Decades

そしてなんと言っても最も利用頻度が高いのは、こちら。

Electronics, Cars, Fashion, Collectibles & More | eBay

そう、eBayですね。

 

これらの過程を経て、懐具合とも慎重に相談の上でモデルの調達に入るわけですが、今回ご紹介した「スウェーデン海軍の第二次世界大戦期の駆逐艦」については、艦隊駆逐艦6艦級と海防駆逐艦(coastal destroyer)2艦級については、Visby classを除いては、ほぼ調達の目処が立ちました。二等駆逐艦(2nd class destroyer)と水雷艇も半分は目処が立ちました。ついでに潜水艦やその他の小艦艇もいくつかは入手できそうです。

後は到着を待ち(だいたい10日前後?)、塗装等、少し手を入れる時間を見て、だいたい1ヶ月後には、本稿でご紹介できそうな感じ。まあ、そこまでこの楽しい「彷徨」は続く、という訳です。

 

さて問題はどうしても見つからないVisby classですが、もう少し前出のサイト等を探しながら、1:1200-1:3000 SCALE NAVAL BUY, SELL,TRADE & COMMISSION GROUP OF ALL ERAS(Face Book上の情報交換グループです。ストックモデルの売買も行われているようなのですが、筆者はまだ使ったことがありません)でも、尋ねてみることにします。見つかるといいなあ。

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(現時点で入手見込みの立たないVisby級駆逐艦。入手不可能なら類似艦を下敷きに作ってしまおうか、という発想になるのですが、実はVisby級は前級のGoteburg級よりも船体が大きく、主砲の装備数は同じく3基ながら中央砲の配置がそれまでの煙突間から艦尾部に2門集中配置に変更されており、筆者の手技ではちょっと難しいかも。大きなモデルをベースに小さくするのは、比較的容易なのですが、大きくする、というのは、これは結構難度が高い。主砲配置の際差異は、煙突の位置を含んだ上部構造全般の配置に及び、これも大変です。こういう際には本来は工作が容易な筈の1:1250スケールがかえって作業にふりに働きます)

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(直上の写真は、計画だけに終わったスウェーデン海軍の海防戦艦。1936年計画で設計案が提出されましたが、結局、起工されませんでした。上の2隻は対空砲の配置バリエーション。詳細は、また改めてご紹介します。海防戦艦も近代化改装後のモデル等が続々と到着中。これも併せてまたいずれ)

 

さて、次は新着モデルのご紹介と、そのモデルを巡って、1:1250スケールモデルの製作メーカーについて少しお話を。

新着モデルのご紹介

今回ご紹介する新着モデルはNeptune社製の「セントルイス級」軽巡洋艦です。

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(「セントルイス級」軽巡洋艦の概観。150mm in 1:1250 by Neptune:「ブルックリン級」の対空兵装改良型)

 

同級は、2021年の年頭、本稿の「制作モデルのアップデートと、アメリカ海軍:第二次世界大戦期の巡洋艦総覧」の回(2021年1月10日)で、「ブルックリン級」軽巡洋艦の準同型艦として紹介しています。

fw688i.hatenablog.com

この際にはNeptune社製のモデルが未入手でしたので、Hansa社製のモデルで、「ブルックリン級」と「セントルイス級」の比較を行いました。

「ブルックリン級」は、ロンドン条約の制限化で設計されたいわゆる条約型軽巡洋艦の艦級で、重巡洋艦と撃ち合っても引けを取らない重防御の大型船体と、速射性の高い6インチ砲を15門装備して手数の多さで相手を圧倒する高い攻撃力を兼ね備えた軽巡洋艦でした。日本海軍の「最上級」軽巡洋艦(のち主砲を換装して重巡洋艦に改装)や、英海軍の「サウサンプトン級」「グロスター級」「エディンバラ級」などの軽巡洋艦が同様の設計思想で建造されました。

今回モデルを入手した「セントルイス級」軽巡洋艦は、「ブルックリン級」の改良型で、5インチ対空砲を、「ブルックリン級」の単装砲架形式8基から、より機動性の高い連装砲塔形式4基に変更し、艦橋や後橋を併せてやや小型化し復原性をより高めた形状となっています。

 

「ブルックリン級」軽巡洋艦にかんする記述は上掲のリンクから元の回に手読んでいただくとして、本稿ではHansa社製のモデルで「ブルックリン級」「セントルイス級」の比較を行っていました。その際に使用していたのが以下の写真2点でした。

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(直上の2点の写真は、「ブルックリン級前期型」と「後期型=セントルイス級」の概観比較をしたもの。対空装備の差が、微妙に艦橋構造や後橋の構造などに及ぼしているのが分かります。モデルはいずれもHansa製)

 

下の写真は今回入手したNeptune社製の「ブルックリン級」と「セントルイス級」の比較で、対空砲の装備形態の他に艦橋・後橋の小型化も再現され、Neptune社製のモデルの品質の高さを改めて認識する結果となりました。

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(直上の2点の写真は、「ブルックリン級前期型」と「後期型=セントルイス級」の概観比較をしたもの。対空装備の差と合わせて艦橋・後橋などの上部構造が簡素化、小型化されているのがよくわかります。モデルはいずれもNeptune製)

 

本稿は艦艇の発達史を、可能な限り「模型」で追体験するのが本来の目的ですので 、できればメーカー間の精度の差異などは気にしたくないのですが、各社の模型のラインナップからも、あるいはもう少し現実的な側面では経済的な視点からも、全てを同一供給先(模型メーカー)で揃えるわけにもいかず、筆者の一定基準を満たしたモデルで可能な限り揃えてゆく、という方針でコレクションを続けています。従って上記のようなことも時にはあるかと。

まあ、これからもこの方針で続けてゆきますので、お付き合いくだされば幸いです。

 

ということで今回はおしまい。

 

さて、次回はどうしましょうかね。

北欧編は、もう少し時間がかかりそうです。

あるいは「第二次世界大戦のフランス巡洋艦」なら間に合うか?(何度か繰り返しているので「やるやる詐欺」化しているかも)

第二次世界大戦シリーズなら、「ドイツ海軍駆逐艦」「イギリス海軍駆逐艦」「アメリカ海軍駆逐艦」などもそろそろという感じ。今、揃っていないのは、かなり難航しそうなので、一旦見切りで?大きな展開としては「日本海軍空母発展史」も、一応、モデルは揃ってきました。

後は、いずれもちょっと纏まった時間が作れるかどうか。

 

もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

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