相州の、ほぼ週刊、1:1250 Scale 艦船模型ブログ

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

コレクションのミッシングリングの補填とその周辺(「初鷹級」急設網艦と護衛艦「いしかり」)

今回はこれまでコレクションでかけていたいくつかの艦艇が整備できたので、そのご紹介と、そこから少し派生した話題も。

 

まずは、下記の「日本海軍の機雷戦艦艇小史」で欠けていた「初鷹級」級設網艦のご紹介。

fw688i.hatenablog.com

 

下記の記述は再録です。

「初鷹級」急設網艦 (1939-:同型艦3隻「若鷹」のみ残存)

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(「初鷹級」急設網艦の概観:76mm in 1:1250 by Oceanic:モデルは8cm高角砲への主砲換装後の姿)

「初鷹級」急設網艦は、「白鷹」以来、約10年ぶりで建造された急設網艦です。基本設計は「白鷹」の改良型で、乾舷を低くして復原性を改善、主機を「白鷹」のレシプロ機関から蒸気タービンとして速力を20ノットに向上させ、併せて航続距離を「白鷹」の1.5倍としています。重量軽減のために主兵装を40mm機関砲としています。その他、復原性の改善のために煙突を低くするなど、全体的に駆逐艦のようなスマートな艦型となりました。

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(日本海軍の急設網艦の比較:「白鷹」(奥)と「初鷹級」(手前)。「初鷹級」が「白鷹」で課題であった復原性に配慮された設計であったことがよくわかります)

 

後に不具合の多い主兵装40mm機関砲を8cm高角砲や25mm機関砲に換装するなど、兵装には変更が加えられました。f:id:fw688i:20210131102927j:image

(本級は船団護衛等の任務につく機会が多く、対空戦闘、特に対潜戦闘での40mm機関砲の威力不足が課題とされ、順次8cm高角砲へ、主砲を換装していました)

「初鷹級」は、いずれの艦も太平洋開戦当初から上陸作戦支援や船団護衛につく事が多く、本来の機雷敷設・防潜網敷設任務に従事する機会はあまりありませんでした。特に1944年からは船団護衛が主任務となり、敷設関連の軌条を撤去して対潜装備が配置されています。

1944年9月に「蒼鷹」、1945年5月に「初鷹」がいずれも米潜水艦の雷撃で失われ、「若鷹」のみ終戦時に残存していました。

 

依然として、機雷敷設艦八重山」と敷設艇は未入手です。引き続き、鋭意検索中、とお伝えしておきますが、いずれも古いモデルだったり、そもそもがマイナー艦(旧日本海軍機雷敷設艦や敷設艇ですからね。誰が欲しいんだろう?)で、全体の流通量が少ないのでしょうね。なかなか巡り会えません。が、「継続は力なり」を信じて。

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(急設網艦と敷設艇の艦型比較:手前から、「燕級」敷設艇、「夏島級」敷設艇、「初鷹級」急設網艦、急設網艦「白鷹」の順)

 

海上自衛隊の艦船を少し充実

次は海上自衛隊に時間を下って、護衛艦のコレクションで欠けていた「いしかり」のご紹介を。

「いしかり」は北方警備専従を想定して建造された沿岸警備用の護衛艦です。

 

以下の回で触れた記述があるので、そちらを補完する形式で。

fw688i.hatenablog.com

 

DDE 護衛艦いしかり(1981- 同型艦なし)

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JDS Ishikari - Wikipedia

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(護衛艦「いしかり」の概観:67mm in 1:1250  by Hai: マスト先端部を少し触ったのですが、少し大きすぎたかも)

 護衛艦「いしかり」およびその拡大改良型である「ゆうばり級」護衛艦は、ともに、主として北方配備を想定して建造された沿岸警備用護衛艦(DDE)である。

当時、特に北方海域で仮想敵と想定されたソ連海軍は、艦対艦ミサイルを装備した大型対潜巡洋艦に加え、同じく艦対艦ミサイルを主兵装としたミサイルコルベットなど小型艦の配備傾向が見られ、これに対抗するために艦対艦ミサイルを装備した護衛艦の導入が求められた。

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(「いしかり」の主要兵装の拡大:76mmコンパクト砲と艦橋前に据えられたボフォース対潜ロケットランチャー(上段)、対艦ミサイル「ハープーン」の発射キャニスター(下段))

 

「いしかり」および「ゆうばり級」には、艦対艦ミサイルハープーンが特徴的な4連装キャニスター形式で、自衛艦として初めて搭載された。

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艦対艦タイプのハープーンは約140kmの射程を持ち、発射時に与えられた目標の位置データに向けて完成誘導されたのち、最終段階で自らの搭載レーダーによるアクティヴ・ホーミングにより目標に突入する。

 

また「いしかり」は自衛艦として初めて機関をガスタービンにした記念すべき艦でもある。小型の艦型へのガスタービンの採用により、その船型は中央船楼型となり、この船型は「ゆうばり級」でも踏襲された。

ハープーン以外の兵装としては、対潜装備としてボフォースロケットランチャーと短対潜誘導魚雷を装備している。

主砲には62口径3インチ単装速射砲(76mmコンパクト砲)を、これも自衛艦としては初めて採用した。

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高い速射性能を持つ速射砲を小型軽量で優れた動作性を有する砲塔に搭載した個艦防御用の無人速射砲システムで、1分間に85発の発射速度を誇っている。(スーパーラピッドタイプでは1分間に120発)砲塔直下に回転式の弾倉を2層、もしくは3層備え、弾丸を供給する。

コンパクトで軽量な特性から、ミサイル艇などの小型艦艇にも搭載可能である。

 

DDE ゆうばり級護衛艦(1983- 同型艦 2隻)

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Yūbari-class destroyer escort - Wikipedia

(「ゆうばり級」護衛艦の概観:71mm in 1:1250  Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装)

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前述のような構想で建造された護衛艦「いしかり」であったが、元来が沿岸警備を担当していた「駆潜艇」の代替から発送された計画であったためもあって、船体が小型で、装備の目覚ましい進歩に対して余裕がなく、かつ北方海域の荒天下での運用にもやや課題があったため、本来同型艦として構想されていた2番艦以降の設計が見直され、一回り大きな「ゆうばり級」護衛艦が誕生した。

機関、兵装等は「いしかり」を踏襲したものとなった。中央船楼が延長されそこにCIWSを追加する計画もあったらしいが、実現されなかった。

 

「いしかり」を拡大改良した本級であったが、艦型が小型に過ぎるという評価は同級でも拭えず、後に「あぶくま級」護衛艦の登場を待たねばならなかった。

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(「いしかり」(手前)と「ゆうばり級」の概観比較:「ゆうばり級」が「いしかり」の拡張改良版であることがよくわかります。 「いしかり」:1290トン 25ノット 「ゆうばり級」:1470トン 25ノット)

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(手前から「いしかり」「ゆうばり級」そして海上自衛隊のDDEの現時点での最終形「あぶくま級」の艦型比較:これらの3艦級については、以下でご紹介)

fw688i.hatenablog.com

 

この辺りまで、過去の稿へも反映しておきます。 

(コラム)文体のお話:

ちょっと内輪の話で恐縮ですが、本稿ではしばしば文体が変わってきています。実は筆者はすごく気になっていて、どこかで統一すべきだろうか、などど考えています。・・・が、きっとやりません。

少しネタバラシ的にお話しすると、本稿を始めた頃、実は十回くらいのブログで「日本海軍の主力艦の発達史」だけをやるつもりだったのですが、当時、NHKのミニシリーズ「坂の上の雲」の再放送を見ていまして、司馬遼太郎先生の文章をベースとした渡辺謙さんのナレーションがお気に入りでした。ですので、実はブログの最初期は「渡辺謙さんのナレーション」を録音したものを繰り返し聞きながら、筆者が聞きたい文章を書いてみよう、という試みを行ったのです。筆者の周りからは「よくあんなに読みにくい文章が書けるな」という声もあったのですが、「一度、渡辺謙さんの声をイメージして読んでみてください。きっと良さがわかるから」と答えていました。

しかし、次第に回が進むにつれ、そうもいかなくなり、かと言って急に文体を変えるわけにもいかず、「渡辺謙さん」だけがどこかへ行ってしまって、「普通の読みにくい文章」になっていきました。

やがて、当ブログの当初テーマを終えて、海上自衛隊の艦船シリーズが一段落したあたりから、ようやく少し楽な文章に変えていこう、という決心がつき、今に至る、という感じです。

 

ですので今回のように、ミッシングモデルの補完のような場合には、元の回の文体をできるだけ踏襲しようと。読みにくくてごめんなさい(まあ、長い文章でしたが、書きたかったのは最後の一文です。気にはしているんですよ、一応ね)

 

次は、前述の「いしかり」「ゆうばり級」に少し出てきた「海上自衛隊駆潜艇」のご紹介です。これまで本稿では護衛艦の発達史を追ってきたため、「駆潜艇」については触れてきませんでしたが、前述の両級は駆潜艇の代替として設計された沿岸警備護衛艦であるため、少しご紹介しておきましょう。モデルもあるしね。

 

PC うみたか級駆潜艇(1959-1989同型艦 4隻)/PC みずとり級駆潜艇(1960-1989同型艦 8隻)

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(「みずとり級」駆潜艇の概観:48mm in 1:1250  by Hai)
海上自衛隊は沿岸哨戒、港湾哨戒用の艦艇として「駆潜艇」の艦種を保有していました。「駆潜艇」の艦級としては、上記の2級以前に「かり級」「かもめ級」「はやぶさ」などが存在しました。いずれも400トン程度の大きさの船体を持ち、20ノット程度の速力を有していました。(「はやぶさ」のみやや小型で速力は26ノット)

兵装は40mm機関砲を主砲として、対ヘッジホッグや爆雷投射機、投射軌条を装備しています。

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(「みずとり級」駆潜艇の主要兵装:40mm機関砲と艦橋前のヘッジホッグ(上段)と、艦尾部の爆雷投射兵装類。他ん魚雷発射管は未装備か?)

「うみたか級」「みずとり級」は第二世代とも言え、兵装として短魚雷発射管もしくは落射装置を装備しているところが特徴と言えます。

 

周辺諸国の潜水艦配備が原子力潜水艦装備に移行すると、「駆潜艇」的な装備では対応に不足が生じ、本来の対潜哨戒は「護衛艦」へ、水上沿岸哨戒は「ミサイル艇」等の高速艇に移管されて行くことになります。

余談ですが前出の「はやぶさ」の艦名は、現在では「ミサイル艇」に引き継がれています

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(「うみどり級」駆潜艇(手前)と「はやぶさ級」ミサイル艇(奥)の艦型比較の概観)

 

はやぶさ級」ミサイル艇(2002- 同型艦6隻

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(「はやぶさ級」ミサイル艇の概観:43mm in 1:1250  by  F-toys:本級のモデルはF-toysの「現用艦船キットコレクションの一部のおまけとして同梱されています)
沿岸警備用の現役高速艇です。

200トンの線型を持ち、76mm単装速射砲と90式SSM(艦対艦ミサイル)連装発射機を2基搭載しています。主機をガスタービンとしてウォータジェットポンプを推進機として44ノットの高速を発揮できます。f:id:fw688i:20210131104858j:image

(「はやぶさ級」ミサイル艇の主要兵装:ステルス性に配慮した設計の76mm速射砲(上段)と日本版「ハープーン」というべき90式SMSを搭載しています(下段))

2002年から6隻が配備されています。2021年から順次退役し、新型の護衛艦と建造中の「哨戒艦」(どんな船だろう?)に現在の任務を引き継ぐ予定です。

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(「はやぶさ級」ミサイル艇の勢揃い、というタイトルをつけるには、ああ、一隻足りない。残念!)

一方で「はやぶさ級」はフィリピンとの防衛協力でのフィリピン側からの貸与希望装備のリストにあげらているとの情報もあります。南シナ海に火種を抱えるフィリピン海軍としては、高速・高性能の本級は欲しい装備でしょうね。

 

予告編:「いずも級」DDH  近日入手

さて、「いしかり」のラインアップ入りで、いよいよ現行の護衛艦のうち、手元にないものは最新鋭艦の一つと言っていい「いずも級」DDHだけになりました。これも近日中に入手できる予定ですので、入手次第、ご紹介します。

 

ということで、今回はここまで。

 

次回はもしかすると「いずも級」紹介できるかも。一連の北欧諸国の「海防戦艦」も手元に届く予定です。そのあたりの話でも?

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

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もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

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