相州の、1:1250スケール艦船模型ブログ 主力艦の変遷を追って

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

寒くなると、やっぱり「フィンランド」

仕込み期間、継続中。今回も、サクッと。

・・・という訳でもないのですが、「訳のわからない」タイトルになりました。

今回は「フィンランド」です。と言っても、行ったことないし、多分、「行きたい、行きたい」と言いながら、きっと行かないんだろうなあ、と思いつつ。でも行ってみたい国の上位にはずっとい続けています。何が見たい、とか、そう言うのないんですけどね。ただ土が踏めればいい、と言う感じ。

 

と、訳の一層わからない冒頭になってしまったので最初に本稿の本分である 1:1250スケールの艦船模型をご紹介してしまいましょう。

フィンランド海軍「イルマリネン級」海防戦艦

ja.wikipedia.org

 

フィンランド第一次世界大戦中のロシア帝国の崩壊の後、フィンランド共和国として念願の独立を果たします。そして独立と同時に小さな海軍を創設します。

創設当初は、崩壊したロシア帝国海軍の統治時代からの残置艦艇を接収する形で発足しましたが、いずれも時代遅れの砲艦などの小艦艇ばかりでした。

そもそもフィンランド海軍の主要な任務は、陸上砲台の運用等も併せて、首都ヘルシンキの面するフィンランド湾の沿岸警備でした。フィンランド湾 - Wikipedia

が、フィンランド湾はその最奥部にサンクトペテルブルグレニングラード)を抱え、これはつまりは、新生ソビエト連邦バルト海への玄関口を扼する位置にあるという微妙な(危険な?)地勢的な背景を抱えているということでもあり、予想される紛争に対し近代的な戦力の整備は必須でした。

1925年の議会で承認された海軍近代化計画の中で、潜水艦5隻、魚雷艇4隻と共に、同海軍初の戦闘艦艇として同級の建造は承認され、1930年、31年と相次いで就役しました。

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(直上の写真は「イルマリネン級」海防戦艦の概観。74mm in 1:1250 by XP Forge:移動式要塞砲台的な感じ?)

今回モデル調達には少し複雑な経路をとっています。元々はお馴染みのShapewaysで見つけたGhukek's Miniatures製の1:1800スケールモデル

www.shapeways.com

これを、例によって1:1250スケールへのスケールダウン(アップ?)をお願いしたところ、そういうリクエストはXP Forgeが対応しています、という事で調達はそちらで行いました。

xpforge.com

入手したモデルの主砲塔だけが少し大きさディテイル等、気になったので、手持ちのストックの砲塔と換装しています。

 

同級はオランダの企業によって設計され、フィンランド湾での活動を想定し、幅広の吃水の浅い船体を持ち、かつ冬季の海面凍結から砕氷能力も考慮された船型をしていました。4000トン級の船体を持ち、機関には砕氷時の前進後進の操作性、速力の調整等への配慮から、デーゼル・エレクトリック方式の主機が採用され、16ノットの速力を発揮する事ができました。しかしフィンランド湾沿岸での任務に特化した強力な艦として、外洋への航行は想定から外されて設計されたため、燃料搭載量が極めて少なく航続距離は700海里程度に抑えられていました。

武装としては、主砲には 隣国スウェーデンボフォース社が新設計した46口径25.4センチ連装砲を2基装備し、併せてこれもボフォース社製の新設計の10.5センチ高角砲を連装両用砲塔で4基搭載するという沿岸警備用の海防戦艦としては意欲的な設計でした。

これらの砲装備管制のために高い司令塔を装備したために、明らかにトップ・ヘビーな艦容をしています。とはいえ、その主要任務が活動海域を限定した移動要塞砲台的なものであることを考えると、それほど大きな問題ではないのかもしれません。

 

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(直上の写真:「イルマリネン」(左)と「ヴァイナモイネン」(右):塗装は例によって筆者オリジナルですので、資料的な価値はありません)

 

イルマリネン:1931年就役。1941年9月、ドイツ軍がエストニア進出を企図して始動したノルトヴィント作戦に、ロシア艦隊への陽動部隊として参加中に触雷して喪失されました。沈没までの間、同艦はフィンランド艦隊の旗艦を務めていました。

ヴァイナモイネン:1930年就役。就役順としてはこちらの方が早かったため、資料としては同級を「ヴァイナモイネン級」と呼称する場合もあります。大戦終盤、ソ連フィンランドに対し反攻作戦を展開しますが、その中で同艦は、唯一の大型戦闘艦として数次の空襲で重要目標とされましたが、大戦を生き残りました。

大戦終結後は賠償艦としてソ連に引き渡され、バルティック艦隊に編入され、1958年に破棄が決定され、1966年に解体されました。

 

少し予告。

海防戦艦という艦種は、バルト海沿岸諸国で好んで建造された艦種です。古くはロシアのバルティック艦隊が保有していましたし(多くは日本海海戦に参加し、撃沈、あるいは日本海軍に鹵獲されました)、スウェーデン海軍はこの艦種を多く保有していました。現在、このスウェーデン海軍の系譜を整備中。2021年のどこかで、ご紹介できると思っています。その際には今回のフィンランド海軍の2隻も再登場していただくかも。ちょっと予告でした。

 

「冬戦争」と「継続戦争」

少し乱暴に整理しておきますと、フィンランド第二次世界大戦参加は、ソ連との国境問題に起因すると言っていいと思います。従って、彼らの参加は「第二次世界大戦への参加」と言う理解よりも、フィンランド国土をめぐる「冬戦争」と「継続戦争」、と言う整理をした方が理解しやすいと考えています。

 

「冬戦争」

1939年ソ連は国境線の変更とフィンランド国内への軍事施設の設置と軍の駐留を拒むフィンランドに侵攻し、いわゆる「冬戦争」が勃発します。圧倒的な戦力を誇るソ連に対し、フィンランドは抵抗しますが、その善戦も虚しく(なんか、初めて書いたお決まりのフレーズ!)、第二次世界大戦下にあって、頼みのドイツは独ソ不可侵条約により動けず、一方の英仏は対独戦展開中のため支援をフィンランドに送れず、孤立化の中で、領土の割譲など過酷な条件を受け入れ停戦せざるを得なくなりました。

ja.wikipedia.org

 

筆者は、直下に掲げた小さな空軍の活躍を描いた中山雅洋さんの名著「北欧空戦史」に触れたことで、第二次世界大戦の最中に行われた「冬戦争」「継続戦争」と「フィンランド軍」に興味を持ち始めました。

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https://www.amazon.co.jp/北欧空戦史-文庫版航空戦史シリーズ-13-中山-雅洋/dp/4257170131

 

そして「冬戦争」については梅本弘氏の「雪中の奇跡」を忘れることはできません。

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https://www.amazon.co.jp/s?k=梅本弘&i=stripbooks&page=2&__mk_ja_JP=カタカナ&crid=1SH9VFGKLOKCO&qid=1609031006&sprefix=梅本%2Cstripbooks%2C254&ref=sr_pg_2

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(手持ちの1:144スケールモデルからのワンショット。冬季装備歩兵(一部はスキーを履いています)と軽戦車部隊。戦車は後にご紹介するBT-42突撃砲と、フィンランド軍が冬戦争当時主力戦車として30両保有していただビッケルス軽戦車(もしくは鹵獲したT-26戦車:いずれも英国製のビッカ-ス6t戦車がベースになっています。ビッケルスはビッカースのフィンランド語読み))

 

そして下記の映画はあまりにも有名。

www.youtube.com

 

そして「継続戦争」へ

1941年6月ドイツ軍が独ソ不可侵条約を一方的に破棄してソ連侵攻を始めると、フィンランドに駐留していたドイツ軍も同様に活動を開始し、これに反撃したソ連空軍がフィンランド空爆フィンランドも対ソ連戦を開始します。

フィンランドとしてはこの戦争を「冬戦争」から継続したソ連との領土問題に起因する二国間の戦争であると主張して、「継続戦争」の呼称が使われています。

この戦争では、フィンランドは「冬戦争」の停戦条件としてソ連軍の駐留を許し、軍事施設の設置を認めざるを得なかったフィンランド領内のハンコ半島を取り戻し、カレリア地方へ侵攻しレニングラード包囲戦の一翼を担います。一方で、ドイツ軍第36山岳軍団と協力し、北極海の米国からソ連に向けての支援物資の窓口であるムルマンスク方面等ラップランドへの侵攻作戦にも参加しますが、こちらは米国からの政治圧力等でフィンランド軍が侵攻を中止したため、作戦は成功しませんでした。

ja.wikipedia.org

 

「継続戦争」に興味を持たれた方、必読書をご紹介しておきます。

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https://www.amazon.co.jp/流血の夏-梅本-弘/dp/449922702X/ref=sr_1_3?__mk_ja_JP=カタカナ&dchild=1&keywords=梅本弘&qid=1609031326&s=books&sr=1-3

 

最近はこんな映画も。

プライベートライアン」や「ブラックホーク・ダウン」などの迫力に比べれば地味ながらも・・・。

www.youtube.com

 

最大の魅力は、その装備の「寄せ集め」感?

表題はフィンランド軍の魅力を一言で言うと、こんな感じかな、と筆者が思うこと、です。「分かる人はわかる」そんな感じでしょうか?とにかく独立直後の小さな新興国が、手に入る兵器はともあれ入手して、と言う感じがあります。当時の余剰兵器の見本市のような状態。そして、これはミリタリーマニア、あるいは模型マニアにとっては、とても魅力的。

 

まずは「冬戦争」時の主力戦闘機。

「フォッカー D-21」(フィンランド風にいうと「フォッケル」ですかね)

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オランダ製の固定脚の単葉戦闘機で、21機を完成機あるいは組み立てキットで購入し、さらに21機をライセンス生産しています。105日間の「冬戦争」で、12機が失われましたが、120機以上の撃墜記録を残したとか。

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(こちらは頼りになるShapeways(Kampffieger models)の製品をストレートに塗装し、Mark I Model製のデカールを貼っています。欲を言うと、スキーを履いたモデルがあるともっと雰囲気が出たかもしれません。全長57mm 翼端長77mm

www.shapeways.com

 「冬戦争」当時ですら、既に一般的には旧式機として認識されていましたが、その後の継続戦争でも引き続き地上攻撃機として使われ続けました。

 

鹵獲兵器もどんどん活用。その代表格として。

Iー16

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(鹵獲兵器もどんどん投入されました。冬戦争当時のソ連軍主力戦闘機の一つ「I-16」もその一つ。F-toys ウイング・キット・コレクション Vol.3?から。全長45mm 翼端長63mm)

 

そのほとんどが、型落ち、正式採用を見送られたような、本国ではちょっと「ポンコツ」評価をされながら、フィンランド軍の手にかかると第一線兵器として蘇る、そんな魔法を見る事があります。

その代表格が、次にご紹介するF2A戦闘機。

 

F2A艦上戦闘機ja.wikipedia.org

F2A艦上戦闘機は米海軍初の全金属単葉戦闘機として採用された艦上戦闘機ですが、 当時新興の航空機メーカーであったブルースター社は、生産能力の点で納期に所定の数量を間に合わせる事ができず、主力艦上戦闘機の座は、結局グラマン社のF4F「ワイルドキャット」に奪われてしまいます。

その後、F2Aは米軍では海兵隊で採用され、さらに輸出仕様の機体がイギリス空軍、オランダ空軍等で採用されましたが、いずれのケースでも特に太平洋戦線で配備されたF2Aは日本軍の零式艦上戦闘機や陸軍の一式戦闘機「隼」には歯が立たず、次第に第一線から姿を消してゆきます。

一方、同時期、「冬戦争」での経緯から、戦闘機をかき集めていたフィンランド空軍にも採用され、44機が納入されました。これらの機体は、それまでフィンランド軍が保有していたどの戦闘機よりも性能が上回るところから、「冬戦争」でフォッカーD-21の機体を運用して大戦果を挙げた第24戦闘機隊に配備され「ブルーステル」の通称で親しまれました。「継続戦争」初期には、同部隊で実に456機のソ連軍機を撃墜し、35人のエース・パイロットを生み出すと言う大活躍をし、「空の真珠:タイバーン・ヘルミ(Taivaan helmi)」と賞賛されました。

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(直上の写真:筆者の手持ちストックから1:144のF2Aフィンランド空軍仕様。F-toys ウイング・キット・コレクション Vol.9から。全長55mm 翼端長74mmの可愛いモデルです)

1943年にドイツ軍からメッサーシュミット109G 型の供給が始まると、流石にエース戦隊はこちらに装備替えをしてゆきますが、運用は継続され、戦争末期のソ連軍による反攻作戦ではカレリア方面で再び活躍しました。

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 (直上の写真はF2Aの後継主力戦闘機となったMe-109G。直下の写真は3機種の比較。意外とMe-109Gが小さい!)

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一方で、魅力的なオリジナル兵器も。

その代表格がスオミ短機関銃。この銃は、歩兵といえば小銃(単発式ライフル銃)の時代にあって、時代を先取りする形で、見通しの悪い森林での運用を想定されて正式採用されたサブマシンガンの先駆者的存在、と言ってもいいでしょう。

同様に見通しの悪い市街戦等の状況への適応性の高さから、各国陸軍が競って同種の兵器を開発します。

ja.wikipedia.org

 

そして、鹵獲兵器や型落ち兵器の組み合わせからも、魅力的な装備が。 

BT-42突撃砲

フィンランド軍は多くのソ連戦車を「冬戦争」「継続戦争」鹵獲し、自軍の陣営に投入していますが、その中でも代表格、と言うとやはり「BT-42突撃砲」でしょうか。

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(直上の写真:筆者の手持ちストックから1:144のBT-42突撃砲。39mmの可愛いモデルです。メーカーはPtshead)

http://nowear.se/pitheadphp/www/products.php?prtid=507

 

フィンランド軍は「冬戦争」当時、ソ連軍の主力戦車であった「BT -7」戦車を多数鹵獲しました。この既に主力戦車としてはやや非力とみなされていた戦車をベースに、こちらもやや旧式化していたイギリス製4.5インチ榴弾砲を搭載し、火力支援任務用の戦闘車両として改造されたものが同突撃砲です。18両が「継続戦争」に投入され、「継続戦争」初期(1942年)の突撃砲大隊の基幹戦力となりました。1943年頃から同大隊の装備がドイツ製の3号突撃砲に置き換えられると、独立戦車中隊に配置替えされ、特にソ連軍の反攻作戦に対し、ビーブリ防衛戦等に投入されました。

ja.wikipedia.org

 

最近では、こんなところでも有名になっちゃって。なんと所属は「継続高校」ですよ。

girls-und-panzer-finale.jp

 

と言う事で、思いつくままに(というか手持ちの模型を見ながら?)ツラツラと、ミリタリファン視点での、あるいは模型ファン視点でのフィンランド軍の魅力をご紹介してきたつもりですが、伝わっていますかね?もちろんこれはほんの一部分で、前出のF2A戦闘機の導入前に主力戦闘機として「冬戦争」を戦ったフォッカーD-21戦闘機、F2Aの後継となったMe109Gの大活躍や、これも前出のBT-42の後継として導入された3号突撃砲部隊の話など、ご紹介したい話は山ほどあります。

これはまた改めて、というか、もっと詳しい人がたくさんいらっしゃるような気がします。

 

最後に、「継続戦争」ものの映画で、日本では未公開の映画も。

Tail Ihantala 1944

1944年のソ連軍の反抗作戦に対し撤退戦を繰り広げるフィンランド軍を、モノクロの実写フィルム映像を織り交ぜながら(?)描いた映画です。3号突撃砲はもちろん、フォッケウルフ190(らしき機体)も登場します。軍服や装備品のマニア(筆者はあまりそちらは詳しくないのですが)は、たまらんのじゃないかな?

冒頭から3号突撃砲とT34の砲戦シーンが・・・。

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(直上の写真:Tali Ihantala 1944のブルーレイ。筆者はEbayで入手しました。日本語字幕が入っていないので、気合を入れてみなくてはなりません)

筆者はBlue Reyを入手し、必死で英語字幕で見たのですが、最近、Youtubeで下記を発見。なんと日本語字幕を入れていらっしゃいます。ありがたや。

フィンランド製戦争映画 『Tali Ihantala 1944』 - YouTube

 

という事で、今回はここまで。

年内にもう一回?(もしかすると、2020年はこれでおしまいにするかもしれませんが)

 

次回は、どうしようか? 

もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

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