筆者としては珍しく、予告通り今回は英海軍の駆逐艦発達史の2回目。
本来は「水雷艇駆逐艦」として開発された「駆逐艦」が、やがては汎用艦船として航洋性をも兼ね備えてゆく、そんな模索期のお話です。
実は今回の投稿を予定通り行うべきか、少し逡巡がありました。というのも以下でご紹介する艦級のうちいくつかまだ手元に届いていないものがあるためです。これには少し裏話があって、それらのモデルの主要な調達先であるWTJ(War Time Journal:本稿では「フランス海軍」の前弩級戦艦のラインナップなどで大変お世話になっている製作者さんです)の下請けのモデル製作会社に不調があり(体調的な問題のようです)、彼らがモデル製作販売から撤退し、3D printing modelのデータ販売に事業を切り替えたため、筆者の発注が全てキャンセルされてしまった、そんな事情があったのです。
ようやく後継の製作会社が見つかり、現在そこに発注をかけているのですが、モデルの入手にはもう少し時間がかかりそうなのです。
モデルが揃ってから2回目をとも考えたのですが、舌の根も乾かぬうちに予定変更というのも、いかがなものかとも考え、結局、モデル欠損のまま、今回は投稿させていただきます。ご容赦を。モデルは11月の上旬には届く予定です。3D printing modelのことですので、初めての業者さんで出力のクオリティが気にはなりますが、そこに問題がなければ11月の中旬には塗装等も完了すると思っていますので、その辺りで、再度アップデートさせていただければ、と考えています。(こちらは2023年10月22日の初稿時のものです。その後、モデル到着などにより、アップデートしています)
前置きはそのくらいにして今回の本論です。
前回投稿、つまり「ロイヤル・ネイヴィーの駆逐艦(その1)」では、英海軍における駆逐艦という艦種の誕生期のお話をしました。少しおさらいをしておくと、駆逐艦という艦種は19世紀の半ばに、高い破壊力を持つ魚雷を抱いて高速で主力艦に向けて突っ込んでくる「水雷艇」に対し、駆けつけて追い払う=駆逐する艦種、「水雷艇駆逐艦」として成立しました。
「水雷艇」駆逐の目的で実は種々の艦種が開発されたのですが、主として当時の機関の出力とそこから生み出せの速度の問題から、結局、「水雷艇」の設計を拡大したある種「大型水雷艇」的な発想の設計に帰結する事になりました。
こうして生まれた「駆逐艦」という艦種だったのですが、その護衛すべき艦隊、特に大きな大砲を搭載した主力艦が沿岸で行動する砲塔艦から、航洋性を兼ね備えた戦艦(つまり一般的には前弩級戦艦)へと移行し、その行動範囲が沿岸から大洋に広がると、当然のことながら随伴しこれら主力艦を護衛すべき「駆逐艦」にも高い航洋性が求められるようになります。こうして、黎明期の「水雷艇駆逐艦」の時代は終わり、「航洋型駆逐艦」の模索が始まるのです。
今回は、その「航洋型駆逐艦」の登場とその発展のお話です。
英海軍の航洋型駆逐艦、模索の背景
英海軍(ロイヤル・ネイビー)が「航洋型駆逐艦」の開発に向かった背景には、当時、大艦隊の整備に着手したドイツ帝国海軍の存在がありました。つまりこの著しい成長を見せる仮想敵の浮上により、想定される戦場が北海から北大西洋となり、その波の高い海面での戦闘を想定すると、近海での対水雷艇戦を想定され設計された従来の「水雷艇駆逐艦」では行動に制限が大きく(従来の「水雷艇駆逐艦」時代の仮想敵はフランス海軍でした)、より航洋性の高い駆逐艦が必要になった訳です。
こうして設計に対する模索が始まった「航洋型駆逐艦」はライバルであるドイツ帝国海軍が開発した高速水雷艇・高速駆逐艦との性能競争の要素も加わり、開発に拍車がかかります。就役年次で区切ればおおよそ1904年から第一次世界大戦が始まる1913年までの間に8艦級、約150隻が建造され、この間に航洋型駆逐艦の基本形が定まっていくことになります。
E級駆逐艦:(就役時期:1904−1920:同型艦:2形式 36隻)
ドイツ帝国海軍との主戦場を北海と想定し、従来の「30ノッター型」駆逐艦の「亀甲型」の船首形状から、航洋性を重視した画期的な「船首楼型」船首形状を持った、初めての艦級です。
(艦首形状の変遷:初期の水雷艇駆逐艦の艦首形状=亀甲型(上段)と航洋型駆逐艦艦首形状=船首楼型の対比:中段写真は最初の航洋型駆逐艦「E級駆逐艦」・下段「G級駆逐艦」)
速力(25.5ノット)と武装(45センチ単装魚雷発射管を2基、7.6センチ単装砲1基、5.7センチ単装砲5基)は従来の「30ノッター型」水雷艇駆逐艦を継承しましたが、船首楼形状の導入による凌波性の向上を目指し、艦型はそれまでの350トン級から、550トンへと大型化しています。
機関はボイラー4基とレシプロ蒸気機関の組み合わせで構成されており、2本煙突と4本煙突の二つの形状があり、ドイツ帝国海軍の新型駆逐艦の登場を想定し、25.5ノットの測量を発揮できました。
2本煙突型(21隻)
(E級駆逐艦2本煙突型の概観:56mm in 1:1259 by Hai)
ホーソン・レスリー社、キャメル・レアード社、ソーニクロフト社、ホワイト社で建造された艦はこの形状をしています。
4本煙突型(15隻)
(E級駆逐艦4本煙突型の概観: in 1:1259 by Hai
パルマーズ社、ヤーロー社で建造された艦はこの形状をしています。
(E級駆逐艦の概観特徴の煙突のアップ:よく見ると武装配置にも若干の差異が見られます
12隻)
タービンと重油専焼方式の採用を機軸とし、ある程度長期の行動にも耐えうる居住性を備えた、まさに「北海」海面での艦隊随伴行動を想定して設計され、後の航洋型駆逐艦の基本設計の基礎を形作ったと言ってもいい大型駆逐艦の艦級です。
蒸気タービンと重油専焼缶の採用で、33ノットの高速を発揮することができました。
艦型は1000トンに少し足りないレベルまで拡大され、45センチ単装魚雷発射管2基の雷装は前級と同じながら、砲戦能力を重視し、備砲を3インチ単装砲3基(一部5基)あるいは4インチ単装砲2基に強化しています。
民間7社で建造されたため、外見には3本煙突、4本煙突、6本煙突などのヴァリエーションが見られています。
3本煙突型(6隻)
(モデルは未入手:現在WTJの後継製作会社で準備中とのことです。WTJではすでにデータは準備済みとのことです)
6社の造船会社で、1隻づつ建造されました。
4本煙突型(5隻)
(F級駆逐艦4本煙突型の概観:66mm in 1:1259 by Hai)
ホーソン・レスリー社で1隻、ホワイト社とソーにクロフト社で各2社が建造されました。
6本煙突型(1隻)
(F級駆逐艦6本煙突型の概観: in 1:1259 by Hai)
パルマーズ社で建造された「ヴァイキング」は6本煙突の概観でした。「6本煙突って、そういう意味か」とモデルにしてこそわかる、そういう感じのモデルです(下の写真)。
駆逐艦「スウィフト」:(就役時期:1908-1921:同型艦なし)
(駆逐艦「スウィフト」の概観:87mm in 1:1259 by Navis)
北海での主力艦隊(特に「ドレッドノート 」以降の主力艦)に帯同する高速駆逐艦として設計されました。速度目標を36ノットとしたため、大出力の機関を搭載する必要があったため、2000トンを超える大型艦となりました。しかし速力は35ノットに留まり、かつ建造費が従来駆逐艦の3倍となるために1隻の試作に留まりました。
武装は4インチ単装砲4基(のちに6インチ単装砲塔2基に換装:小型巡洋艦ですね)と45センチ単装魚雷発射管2基を搭載していました。
大きな艦型を生かし、通信設備の充実等の改装が行われ、初の嚮導駆逐艦(水雷戦隊旗艦用駆逐艦)となりました。
G級駆逐艦:(就役期間:1909-1921:同型艦 16隻)
(G級駆逐艦の概観:65mm in 1:1259 by Navis)
F級の後継艦として、建造費をやや抑え、海軍全般での機関の重油専焼化傾向から予測される重油消費の増加を考慮して、再び石炭専焼式の機関に回帰しています。このため速力は27ノットに甘んじましたが、砲力の増強を目指して備砲を4インチ単装砲1基と3インチ単装砲3基とし、雷装も口径をあげて53センチ単装発射管2基と強化しています。
同級は英海軍が建造した最後の石炭専焼機関を搭載した駆逐艦となりました。
H級駆逐艦:(就役期間:1910-1921:同型艦 20隻)
(H級駆逐艦の概観:62mm in 1:1259 by Hai)
G級に引き続き、建造費削減が志向され艦型を750トン級に小型化した設計となっています。
艦型の小型化に伴い、搭載機関にも制限が出ますが、タービンと重油専焼式の組み合わせを採用して、27ノットの速力を維持しています。以降の駆逐艦の機関はこの方式が定着します。
艦型は小型化しましたが、武装は強化され、4インチ単装砲2基、3インチ単装砲2基、53センチ単装魚雷発射管2基を装備していました。
I級駆逐艦:(就役期間:1911-1922:同型艦・特型をふくみ23隻)
(I級駆逐艦アドミラルティ型の概観58mm in 1:1259 by Navis)
H級の改良型で武装はH級を継承しつつ、機関区画の短縮が図られました。搭載機関を減じながら、27ノットの速力は維持しています。
「特型設計」という試みの始まり
同級ではコスト削減という志向での改良は、ある意味成功しながらも、一方でドイツ帝国の建造しつつあった速力30ノットを超えると言われた高速水雷艇への対抗上、速度改善の打開策として、一つの試みが始まります。
これは、従来の標準型としての海軍本部設計(アドミラルティ型)とは別に、海軍本部設計案をスペックのベースとして民間造船所に艦型や機関出力にある程度の自由裁量を認め、それぞれの独自に開発した技術導入による性能向上に期待を込めた特型設計の発注という形になって現れます。
本級の場合、海軍本部設計により建造された14隻(アドミラルティ型:8社の民間造船所に発注)とは別に、以下の4つの特型設計案が採用され合計9隻が建造されました。
ヤーローI級特型(2隻)
ソーニクロフトI級特型(2隻)
ファイアドレークI級特型(3隻)
(いずれの特型のモデルも見つかりません。外観のヴァリエーションが少ないのかな)
「I級」の特型設計では、ファイアドレークI級特型が、公試で32ノットの最高速力を記録するなどの成果が見られ、このような発注形態は性能向上の突破口発見のための試みとして、定着してゆくことになります。
「特型設計」≒サブ・クラスの名前の見方
以後、本稿では、暫く同様のサブ・クラス(準同型艦)は多出しますので、ここで少しこの艦級名の見方を整理しておきましょう。
「アドミラル ティ」型はその名の通り「海軍本部=The Admirality」の設計を採用したサブ・クラスの艦級名で、この艦級の設計の基本形となると考えていただいていいと思います。建造される隻数も、準同型艦内では最も多くなっています。
それ以外のサブ・クラスは「海軍本部=アドミラルティ」型の設計をベースとして、民間造船所に設計委託された「特別発注型」であることを意味しています。
前出の「I級」についてみると、ヤーローI級特型=ヤーロー社の設計案採用型、ソーニクロフトI級特型=ソーニクロフト社の設計案採用型、パーソンズI級特型=パーソンズ社の設計案採用型、ファイアドレイクI級特型=ファイアドレイク社の設計案採用型 をそれぞれ意味している、と読んでいただければ。
K級駆逐艦:(就役時期:1912-1923:同型艦・特型をふくみ20隻)
(K級駆逐艦アドミラルティ型の概観:65mm in 1:1259 by Navis)
G級、H級、I 級と、建造コストを制限してきた英海軍でしたが、著しい性能向上を謳う仮想敵であるドイツ帝国海軍の大型水雷艇に対抗する必要から、本級は再び大型化した艦型を与えられます。950トンクラスの船体にタービンと重油専焼式の組み合わせの機関を搭載し 31ノットの速力を発揮しました。
兵装も強化され、前級までの4インチ砲と3インチ砲の混載から、4インチ単装砲3基に改められました。雷装は前級同等の53センチ単装発射管2基としていました。
(「アドミラルティK級」の主要兵装配置の拡大:艦首に4インチ単装砲、艦中央部に単装魚雷発射管(写真上段)。煙突直後に単装魚雷発射管、その後ろに4インチ単装砲塔2基(写真下段)と続きます)
艦型の大型化から重油搭載量を増やし、仮想戦場である北海全域での行動に十分な航続距離を備えていました。
「I級」から始められた民間造船所への委託による特型建造の試みは継続され、基本形であるアドミラルティ(海軍本部設計)型12隻に加え、特型4タイプ8隻が建造されています。
(「ソーニクロフトK級」特型:WTJモデルの3D CAD Graphic)
(「ソーニクロフトK級」特型の概観:65mm in 1:1250 by WTJ:下の写真はふ¥主要兵装の配置:「アドミラルティK級とは単装魚雷発射管2基と後方の単装砲2基の配置順が異な流ことがわかります)
「K級」は北海全域での行動を想定し、重油搭載量を増やして航続距離を延伸していましたが、ソーニクロフトK級特型の1隻「ハーディ」では、さらなる航続距離の延伸への試みとして巡航用のディーゼルエンジンを搭載し推進機軸を増やした3軸推進艦として予定されていました。実際にはエンジンが間に合わず、結局、他艦と同様の2軸推進艦として完成しました。
(「デニーK級」特型:WTJモデルの3D CAD Graphic)
(「デニーK級」特型の概観:65mm in 1:1250 by WTJ:下の写真ではデニーK級特型の兵装配置、特に2番砲・3番砲と2基の魚雷発射管の配列が異なることがわかります)
デニーK級特型の「アーデント」は同級で唯一の二本煙突艦でした。船体構造の設計などに新基軸が盛り込まれています。
(「フェアフィールドK級」特型:WTJモデルの3D CAD Graphic)
(「フェアフィールドK級」特型の概観:65mm in 1:1250 by WTJ:下の写真は「フェアフィールドK級」特型の兵装配置:配置順は「デニーK級」特型と同じですが、2番砲が台座に設定されていることが特徴です。三本煙突の高さは同じになっています)
フェアフィールド特型の「フォーチュン」はクリッパー型の艦首形状が特徴でした。
(モデル見当たらず:概観は「アドミラルティK級」にほぼ準じていたようです:下の写真はWTJ製の「アドミラルティK級」3D CAD Graphic。ご参考まで:モデルは未入手)
パーソンズK級特型の「ガーランド」はセミ・ギアード・タービンを搭載した設計でしたが、推進器の回転数は直結田^便とあまり変わらず、公試では海軍本部型と同等の31ノットの速力にとどまりました。
WTJの話、再び
本稿では何度かご紹介しているのですが、WTJ=War Time Journalは筆者のモデル調達のルートとしてはかなり以前からお世話になっています。
元々は上掲のショップで、モデルそのものを販売していたのですが、前述のようにWTJが製造を委託していたモデルの製作会社が不調で(体調の問題というような説明を受けた記憶があります)ほぼ廃業されたためモデルの販売から3D prnting modelのデータ販売に切り替えたという経緯があります。
その経緯の最中に筆者がいくつかのモデルを発注しており、最初は少し時間がかかる等の連絡を受け、やがて上掲の数点がキャンセルされるというトラブルがありました。
その対話の途上で、Shapewaysに委託したらどうか、等の筆者からの提言に対し、「クオリティが自信が持てない」等の理由で(本当はビジネス上の問題もあったのかもしれません)、「以後はデータ販売のみにしようと思う。君は自身でアウトプットしてくれる業者を見つけられるかい」などの会話をした記憶があります。
筆者自身に3D printingについての知識が乏しいこともあり、筆者自身では製造ルートの確保ができず、知人に相談など始めていたのですが、最近のWTJのサイトには3D Print Shop Listという項目が新設されており、その中の一つに再発注という経緯になっています。(下記のDobbies Hobbiesですね)
今回、初めての発注ですので、Shapewaysで「課題」として挙げられた「クオリティ」がどのようなものなのか、興味深く品物の到着を待っているところです。一応、マテリアル等についてはこのShopからは「前回のものとほぼ同等のマテリアルで、品質は満足してもらえると思う」という返事をいただいており、うまくいけば調達先が復活します。WTJのオリジナルのモデルリストからは、まだいくつかShopに開示されていないモデルデータがあるようで、そちらも追々充実してゆくとのことですので、これからも長くお世話になりたいと思っています。
今回、写真のクレジットでもお分かりになるように、WTJのページに掲載されてるCAD graphicの写真を拝借しています。
L級駆逐艦:(就役時期:1913-1923:同型艦・特型をふくみ 22隻)
(L級駆逐艦アドミラルティ型の概観:67mm in 1:1259 by Hai)
本級は前級K級同様、大型化路線を継承して建造された駆逐艦の艦級です。
艦型は前級が高速性能を重視した細長い船型を持っているのに対し、同級ではやや艦幅を増して凌波性の向上を目指しています。タービンと重油専焼式の組み合わせは変わらず、29ノットの速度を発揮することができました。
兵装は、3基の4インチ単装砲は射撃速度の早い速射砲(に改められ、53センチ魚雷発射管は連装を2基搭載し射線を倍にするなど、著しい強化が図られています。
(下の写真は本級で初めて搭載された連装魚雷発射管:本級では兵装が強化されています)
本級でも民間造船所への委託による特型建造の試みは継続され、基本形であるアドミラルティ(海軍本部設計)前期型12隻、後期型2隻に加え、特型3タイプ8隻が建造されています。
ホワイトL級特型(2隻:2本煙突)/ヤーローL級特型(4隻:2本煙突)
(「ホワイトL級」特型/「ヤーローL級」特型:WTJモデルの3D CAD Graphic)
(「ホワイトL級」特型/「ヤーローL級」特型の概観:64mm in 1:1250 by WTJ: WTJのコメントではホワイトL級特型、ヤーローL級特型、両方このモデルで大丈夫、というような案内になっています:下の写真では主要兵装配置を見ていただけるtかと。日本の煙突の間に台座に配置された2番砲、その後に連装魚雷発射管2基、さらに3番砲と続きます)
ホワイト特型L級、ヤーロー特型L級、いずれもアドミラルティL級が蒸気ボイラー4缶構成だったのに対し、3缶構成に改められています。さらにヤーロー特型L級では直結タービンが採用されています。
(モデル見当たらず:下の写真はWTJ製のアドミラルティ「L級」の3D CAD Graphic:パーソンズL級特型はアドミラルティL級と同様、3便煙突でした。ご参考まで:モデルは未入手です)
パーソンズL級特型の2隻はオール・ギアード・タービンを初めて採用したことで推進器効率が向上し、とくに燃費効率に著しい効果が見られた、と言われています。
ということで今回は第一次世界大戦に突入する前のロイヤル・ネイヴィーの「航洋型駆逐艦」の設計を巡る模索の系譜を見てきました。
英海軍の常として、二カ国標準をテーマとした海軍建設を意識せねばならず、そのためには数を揃える必要があり、これは現実面では常に性能と予算の天秤ばかりを横目で見ながら海軍整備を考えてゆく、ということを意味しています(駆逐艦にかぎたことではないのですが)。
(手前から、E級、F級、G級、H級、I級、K級 L級の順:当時世界一を誇る栄光の英海軍ならではの、強力な駆逐艦への要望と、世界の海を支配するために数を揃えることを想定した予算との兼ね合いの苦悩がその艦型の変遷に伺えるように思います)
そして、これは既に本稿で触れたことですが、この後、英海軍は第一次世界大戦に突入し、ドイツ帝国海軍に対し実戦での優位を目指し、34ノットの速力を発揮する高速航洋型駆逐艦の建造に移行してゆくことになるのですが、これは戦時ならではの決断、と言えるのかもしれません。
ということで今回はここまで。
次回は、第一次世界大戦期の「ロイヤル・ネイヴィーの駆逐艦」をご紹介。
模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。
特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。
もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。
お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。
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