相州の、ほぼ週刊、1:1250 Scale 艦船模型ブログ

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

ロイアル・ネイヴィーの駆逐艦(その1:第一次世界大戦期の駆逐艦):ああ、「箱」を開けてしまった、かも。

ああ、「●●●●の箱」を開けてしまったかも。

ちょっと長い言い訳と説明を。

 

筆者の大好物「系統の遡上」と英海軍(ロイアル・ネイヴィー)について

本稿の読者ならば、何度か目にしていただいていると思いますが、筆者は本稿を書くほどのことなので、軍艦の系統を見つけると後に先にと辿らずには置かれないという習性を持っています。(コレクターとはそういう傾向を人並外れて強く持つ類稀なる人種なのだ、と、筆者の行いに首を傾げる周囲には、そのように説明しています。もちろん、全く納得も共感も得ている実感はありませんが)

一方、ご承知のように英海軍は近代海軍の本家で、第一次世界大戦終結まで「2国標準主義=常に2カ国の海軍に対応できる戦力を整備する方針」を掲げ、従って大量の軍艦を整備して来ていました。当然そこには綿々と続く長い「系統」がある訳で、特に筆者の場合にはインテリジェンスの側面のみならずモデルのコレクションと言うフィジカルな側面からも「迷い込もうものなら抜け出せなくなるぞ」、とできるだけ近づかないようにしてきたのですが、「英国巡洋艦」の辺りから、次第に自分で立てていたフェンスに綻びが生じ始め、気がつくとついに前々回の「V/W級駆逐艦のヴァリエーションと「タウン級(初代)」軽巡洋艦の新着モデル」と言う稿に手をつけてしまっていた訳です。

fw688i.hatenablog.com

軽巡洋艦」の系統の遡上もまだ筆者の中では決着がついていないにも関わらず、別系統の「スウェーデン海軍」「ノルウェー海軍」などの系統の遡上と並行して、今回は何と「英海軍の駆逐艦」と言うおそらく最も深い迷宮の入り口へと足を踏み込むと言う暴挙に出るわけです。

 

この「暴挙」に臨み、少しこれまでとは、やり方を変えてみようかと。

これまで、ある系統をテーマとする場合には、筆者は「モデル」の整備も並行してある程度目処を立てながら、できるだけ数回に集中して、と言うミニシリーズ的な展開を心がけてきたのです。これは、「モデルコレクション」と言うフィジカルにお金と時間を使う作業が伴うため、英海軍という迷宮に挑むにあたり、これまでのように準備段階での完成度を気にせず、手元状況優先でまとめてゆこうかと考えています。ぶつぶつ理屈を並べているので「何を言いたいか、わからんよ」と言うことだと思いますが、要は「モデルの抜けとか、艦級の飛ばしとか、あまり気にせず、手元のモデル優先でいかせてもらいます」と言うことです。まあ、気楽に行きます。足りないものはもし手元に入手できたら、その都度、アップデートしてゆきます、と言うことです。

これはある意味、自分への宣言とでもいうべきでしょうかね。

 

第一次世界大戦期の英海軍駆逐艦

と、長々と言い訳めいた文章を書いて少し気楽になったところで、前々回の「V/W級」駆逐艦の流れで第一次世界大戦期の「駆逐艦」の艦級のご紹介を。

今回ご紹介するのは「M級」「R級」「S級」と前々回でご紹介した「V/W級」の艦級です。

実は英海軍は、第一次世界大戦の開戦に伴い、これらの他にも他国海軍向けに建造していたいくつかの艦級を半ば強制的に購入し自国海軍に組み入れています。そちらは、また追々と(つまりこれが冒頭にくどくどと書いた言い訳の「実行」です)。

 

第一次世界大戦が勃発すると、英海軍は駆逐艦の大量建造に入ります。折からライバルのドイツ帝国海軍は両海軍の主戦場である北海での活動を想定し、大型で高性能の駆逐艦水雷艇を建造しつつあり、従来の英海軍が大量に揃えてきた近海行動用の警備艦艇としての駆逐艦はもとより、北海での行動を想定し設計されてきた航洋型駆逐艦の艦級では、必ずしも見劣りはせずとも、圧倒できる状況ではなくなることが想定されました。そこで、特にこれらに対抗する目的から、それまでの航洋型駆逐艦よりも、より高速の駆逐艦群が生み出されることになります。

 

高速駆逐艦の第一陣

M級駆逐艦(初代)(同型艦:準同型艦103隻)

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(「アドミラルティM級」の概観:66mm in 1:1250 by Navis)

「M級」駆逐艦(初代)は、第一次世界大戦の勃発直前に建造が開始された駆逐艦の艦級で、上記の北海を巡る英独の駆逐艦の性能向上競争で御優位を目指し、特に速力の向上に重点が置かれた設計でした。その結果、それまでの英海軍の駆逐艦の速力が27ノットから31ノットの速力であったのに対し、34ノットの速力を有する高速艦が生まれました。

同級は以下のサブ・クラスを含んでいます。

アドミラリティM級:85隻

ホーソンM級:2隻

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 ヤーロウM級:10隻

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 ソーニクロフトM級:6隻

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(上記の3つのサブ・クラスについては、モデル調達中です。探せばあるんですよねえ) 

 

建造時期によって、あるいはサブ・クラスによって少し異なるのですが、概ね900トンから1000トン級の船体に、4インチ単装砲3基、53.3センチ連装魚雷発射管2基を搭載しています。また同級は初めて設計段階から高角機関砲を装備に組み入れた艦級で、当初は37mmポムポム砲、後には40mmポムポム砲を搭載していました。f:id:fw688i:20210530131437j:image

(直上の写真は「アドミラルティM級」の武装配置:連装魚雷発射管の間に対空機関砲座が設定されています)

問題の速力は「アドミラルティM級」で34ノット、「ホーソン M級」「ヤーロウM級」「ソーニクロフトM級」が標準的に35ノットでした。

各サブ・クラスの外観的な特徴としては、

ホーソンM級」は高速を発揮するために缶数を1基多く搭載したため唯一4本煙突となりました。ちなみに英海軍が建造した最後の4本煙突駆逐艦となりました。

「ヤーロウM級」は軽量化と縦横比の増大(船幅に対し船長を長く取る)により高速化を狙い、二本煙突のスマートな艦型をしていました。39ノットの高速を記録した艦も建造されています。

「ソーニクロフトM級」はやや高い乾舷を有していました。37ノットの高速を記録した艦もあったようです。

 

サブ・クラスも含め12隻が戦没、もしくは戦争中に事故で失われましたが、残りのほとんどが第一次世界大戦終結後、1920年代に売却されています。

(ちなみに、第二次世界大戦日本海軍が投入した艦隊駆逐艦(一等駆逐艦)の総数が、開戦後に完成したものなど全て合わせても、手元の粗々の計算で167隻ですので、英海軍がいかに大量の駆逐艦を整備しようとしたか・・・)

 

サブ・クラスの名前の見方

以後、暫く同様のサブ・クラス(準同型艦)は多出しますので、ここで少しこの艦級名の見方を整理しておきましょう。

「アドミラリティ」型はその名の通り「海軍本部=The Admirality」の設計を採用したサブ・クラスの艦級名で、この艦級の設計の基本形となると考えていただいていいと思います。建造される隻数も、準同型艦内では最も多くなっています。

それ以外のサブ・クラスは「海軍本部=アドミラルティ」型の設計をベースとして、民間造船所に設計委託された「特別発注型」であることを意味しています。

ホーソン M級=ホーソンレスリー社の設計案採用型、ヤーロウM級=ヤーロウ社の設計案採用型、ソーニクロフトM級=ソーニクロフト社の設計案採用型 をそれぞれ意味している、と読んでいただければ。

 

オール・ギアードタービンの採用

R級駆逐艦(初代)(同型艦:準同型艦62隻)

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(「アドミラルティR級」の概観:68mm in 1:1250 by Navis: 延長された船首楼が特徴ですね)

 

R級駆逐艦はオール・ギアードタービンの搭載の2軸艦で、以降の駆逐艦の機関・推進機の原型となった艦級です。

1000トン級の船体に、前級と同様4インチ単装砲3基、40mm対空機関砲(ポムポム砲)1基、53.3cm連装魚雷発射管2基を搭載していました。速力は36ノットを発揮することができました。

このため「アドミラルティR級」の外観は、「アドミラルティM級」に酷似していました。

以下のサブ・クラスを含んでいます。

アドミラルティR級:39隻
アドミラルティR級:11隻

ソーニクロフトR級:5隻
ヤーロウ後期M級:7隻(同サブ・クラスはオール・ギアードタービンではなく、従来の直結タービンを搭載していたため、M級の名称を冠していました)

 

それぞれのサブ・クラスの特徴を以下にまとめておきます。

「ソーニクロフトR級」は排水量をやや小さくした設計で、前期型で37ノット、後期型で40ノットを超える速力を記録しました。
「ヤーロー後期M級」はオール・ギアードタービンではなく、従来の直結タービンを搭載していたため、M級の名称を冠していました。従来型の機関ながらヤーロウ社の設計の特徴である縦横比の大きな船体(つまり細長い)を持ち「R級」と同様の速力を有していました。外観は「ヤーロウM級」同様、、2本煙突でした。

アドミラルティR級」は荒天時での航行性の確保に向けて、船首楼を長くした船体設計となり、併せて2本煙突となりました。

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(「アドミラルティR級」の武装配置:基本的な配置は「M級」と変わりませんが、特に「改R級」に場合は、2本煙突と、凌波性を考慮した長い船首楼が特徴ですね) 

 

9隻が戦没、もしくは事故で失われ、残りのほとんどは1920年台後半に売却されていますが、「アドミラルティR級」の「スケイト」のみ、第二次世界大戦に参加しています。

 

2本煙突駆逐艦時代の到来

S級駆逐艦(初代)(同型艦:準同型艦67隻) 

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(「アドミラルティS級」の概観:67mm in 1:1250 by Navis)

 「S級」駆逐艦は艦数の急速な整備という要求に応えるために、「アドミラルティR級」(2本煙突)をベースに量産された艦級です。艦首形状をシアとフレアを強めたものとして乾舷をより高くし凌波性を高めています。1000トン級の船体を有し、兵装は基本従来艦級のものを継承していましたが、従来の標準装備である53.3cm連装魚雷発射管2基に加え、45cm単装魚雷発射管を艦橋両側に装備していました。

 

以下のサブ・クラスが含まれています。

アドミラルティS級:55隻
ヤーロウS級:7隻
ソーニクロフトS級:5隻

サブ・クラスのそれぞれの特徴を少し。

「ヤーロウS級」はヤーロウ社の設計の特徴である縦横比の大きな船体を持ち、機関は直結タービンを搭載していました。
「ソーニクロフトS級」の最大の外観的な特徴は1番主砲を台座の上に装備したことと、艦橋を後ろにずらせたことでしょう。

 

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(「アドミラルティS級」の武装配置:基本的な配置は「改R級」と変わりませんが、特に「S級」に場合は、艦橋脇に45cm単装魚雷発射管を両舷に1基づつ設置したことです。艦尾の探照灯台が2番連装発射管上に装備されているのは、実際にはどうなっていたんでしょうか?図面で見てもそうなので、発射管の回転軸上に探照灯台があったのかな?) 

第一次世界大戦終結までに20隻が就役し、47隻が大戦後に就役しました。大半が1930年代に売却されていますが、11隻が第二次世界大戦時に参加、7隻が生き残りました。

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アドミラルティR級アドミラルティS級の比較)

 

 

 (ここからはちょっと手抜きです。本稿、前々回から、ほとんど一緒)

最後の第一次世界大戦駆逐艦

V/W級駆逐艦(初代)(同型艦:準同型艦67隻)

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 (「V/W級」駆逐艦の概観:写真は「アドミラルティV級」だと思われます:75mm in 1:1250 by Navis)

「V/W級」駆逐艦は、英海軍が第一次世界大戦中に建造した駆逐艦の艦級で、艦名がWまたはVで始まっているところから「V/W級」と総称されています。

同級はドイツ帝国海軍が建造中の大型駆逐艦・大型水雷艇への対抗上から、大型・重武装駆逐艦として設計されました。従来の英駆逐艦の基本装備であった40口径4インチ(10.2cm)砲3門を強化し45口径4インチ(10.2cm)4門とし、さらに連装魚雷発射管2基の標準装備を3連装発射管2基搭載へと、魚雷射線の強化も行われました。(実際には3連装発射管の製造が間に合わず、当初は連装発射管を搭載し就役し、後に三連装に換装されています)

「V/W級」と総称されますが実は大別して下記の5つのサブ・クラス(おお大好きなサブ・クラス!)に分類されます。

アドミラルティV級(28隻:大戦に間に合ったのは25隻)

アドミラルティW級(19隻)

ソーニクロフトV/W級(4隻)

ソーニクロフト改W級(2隻)

アドミラルティ改W級(14隻)

さらに「改W級」では搭載主砲を45口径4インチ(10.2cm)から45口径12センチに強化しています。

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(直上の写真は「V級」の主要武装等の拡大:艦首部・艦尾部に背負い式に主砲(45口径4インチ単装砲)を配置し、3連装魚雷発射管を2基、艦の中央部に搭載しています。艦のほぼ中央部に3インチ対空砲を搭載しています(写真中段))

武装の強化に伴い艦型は大型化(1100トン級)しましたが、機関の見直しは行われなかったため、速力は前級の36ノットから34ノットに低下しています。しかしソーニクロフト社製の「改W級」では機関の強化も併せて行われ36ノットの速力を発揮しています。

就役は1918年からで、この年の11月に第一次世界大戦終結したことから、奇しくも第一次世界大戦型の駆逐艦の最終形となりました。

 

大戦終結後、英海軍は疲弊した国力と、大戦期中に膨大に膨れ上がった大量の艦船の整理に追われるわけですが、最も艦齢の若い同級は多くが残置され、第二次世界大戦でも活用されました。

 

機雷敷設駆逐艦への改造

V級」の一部の艦は、魚雷発射管の連装から3連装への換装を行う代わりに、連装発射管1基を撤去し、さらに主砲1基も撤去、艦尾形状を整形すると共に機雷敷設軌条を設置して、60基程度の機雷敷設能力を持つ敷設駆逐艦に改造されています。

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 (「V級駆逐艦のヴァリエーション機雷敷設駆逐艦の概観 by Navis:下の写真は、「機雷敷設駆逐艦」に改装された艦の細部の拡大:艦首部の主砲配置は変わらず、魚雷発射管は連装のまま1基のみ搭載、艦尾部は主砲1基を撤去して艦尾形状を機雷敷設軌条等の張り出しを追加しています )

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第二次世界大戦時:護衛駆逐艦」への改造

第一次世界大戦駆逐艦としては最も艦齢が若かった「V/W級」は、一部(4隻?)がオーストラリア海軍に供与された他、本稿でも「巡洋艦」の回に見て来たように航空機や潜水艦の脅威の増大を見越して、通商路保護の役割を担う「護衛駆逐艦」への改装に充当されます。

 

WAIR改修艦(14隻・15隻?)

本稿前回・前々回で見たように、航空機の脅威に備えて英海軍は「C級」巡洋艦の数隻を防空艦へと改装しました。WAIR改修は、それと同趣旨で「V/W級」駆逐艦に長射程の対空砲を搭載し、併せて対潜兵装も強化して船団護衛の要として活用しようとする狙いでした。

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 (「V/W級」WAIR改修型駆逐艦の概観 by Argonaut:下の写真は、WAIR改修型の主要武装の拡大:艦首・艦尾に4インチ連装高角砲(QF 4 inch Mk XVI gun)を各1基搭載。魚雷発射管は全て撤去され、対空火器が強化されています。艦尾部には爆雷投射機と投射軌条が搭載され、対潜能力が強化されています)

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改修対象となった艦は全ての主砲・魚雷発射管を撤去し、代わりに4インチ連装高角砲(QF 4 inch Mk XVI gun)2基を搭載、他にも対空機関砲を増設した上で、対潜装備として爆雷投射機、投射軌条を搭載する他、後にはレーダーやソナーなどを装備しています。en.wikipedia.org

主要兵装となった4インチ連装対空砲は、「C級」巡洋艦を改装した防空巡洋艦などにも搭載されていた対空砲で、80度の仰角で11800m、45度の仰角で18000mの範囲をカバすることができました。

***さて、ちょっとこぼれ話。名称の「WAIR」が何に基づくものか、今でははっきりしないようです。「W級」の「対空化(ant-AIRcraft)」ではないか、という説も。

 

 長距離護衛駆逐艦への改装(21隻)

「V/W級」に限らず、「艦隊駆逐艦」は高速をその特徴の一つとするため、実はあまり長い航続距離を持たせる設計にはなっていません。しかし、通商路の保護には経済性を持つ商船で構成される低速の船団の航行に合わせた長い航続距離が必要で、「V/W級」の一部はこれに適応するような改装を受けています。

具体的には機関の一部を撤去し、そのスペースに燃料タンクと居住区画を増設し長い航続距離の獲得と、乗員の居住性を向上させました。当然、速力は落ちましたが、対潜警戒用のソナーの運用等を考慮するとかえって20ノット以上では支障が生じるなどの要件もあり、この目的では25ノット程度の速力があれば十分だったということです。

兵装は主砲を2基減らせて、ヘッジホッグや爆雷投射機・投射軌条を搭載し対潜兵装を充実させ、さらに対空砲・対空機銃等を強化しています。

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(「V/W級」改造長距離護衛駆逐艦の概観 by メーカーは不明:下の写真は、長距離護衛駆逐艦型の主要武装の拡大:艦首1番主砲が撤去されヘッジホッグに換装されています(上段写真)。主砲は45口径4.7インチ(12cm)単装砲を、艦首・艦尾に1基づつ搭載しています。機関搭載数を減らしたため煙突が一本に。魚雷発射管は全て撤去され、4インチ単装高角砲が搭載されています(中段写真)。艦尾部には爆雷投射機と投射軌条が搭載され、対潜能力が強化されています)

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ちょっと余談

以前ご紹介したことのあるニコラス・モンサラットの小説「非常の海:The Cruel Sea」にも、「V/W級」が出て来ます。

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(「非常の海」ちょっと古い本です。古書は今のところそれほど高価ではなく手に入るのですが、本の状態もちょっと不安なので文庫を出してほしいなあ。特に最近、WFHで出勤時にはPC を持ち歩きます。手荷物が重いので、是非、文庫が欲しい! (「光人」文庫あたりにあってもいいかと、お願いしてみてはいるのですが・・・)でも、いい本ですよ。船団護衛とか興味のある方にとっては、ね)

 

この小説、主人公が乗艦しているのは「フラワー級コルベット「コンパス・ローズ」なのですが、「コンパス・ローズ」が属している船団護衛部隊の指揮艦が「旧式のV/W級駆逐艦:ヴァイパラス:Viperous」と表記されています。

「ヴァイパラス」は架空の船ですので、流石に「V/W級」駆逐艦のどのタイプかまでは記述がないのですが、船団護衛部隊はこんな感じかと。

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(左から「V級長距離護衛駆逐艦」、「フラワー級コルベット」(前期型)、「フラワー級コルベット」(改良型)、「対潜型トローラー」の順。船団の規模にもよるでしょうが、ちょっと、重装備すぎるかな。下の編成の方が現実的かもしれません)

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このほかにも、アリステア・マクリーンの「女王陛下のユリシーズ号」にも「V/W級」は登場するようです(ちょっと記憶がないです。「V/W級」が登場するかどうか、というよりも物語そのものの記憶が・・・。読み返してみよう。この小説は、そもそも「ダイドー級」と「ベローナ級」の中間の架空の艦級の防空巡洋艦が舞台でしたよね。大好きな「架空艦」である訳です。作ってみたくなるかも。さらに「シアリーズ級」軽巡洋艦も出てきた記憶があります。読んだ当時には「シアリーズ級」についての認識は旧式の巡洋艦、という程度だったので、今読み返すと、もっと興味深いんだろうなあ、と期待が膨らみます。ああ、話がうんと「V/W級」から外れてしまった)

さらに未邦訳のダグラス・リーマンの「The Destroyer」という小説では「V/W級」で構成される駆逐艦部隊(8隻全部?)が主役(物語の舞台?)のようなのですが、もちろんこれは読んだことがありません。

 

これぞコレクションの醍醐味というカット

(下の写真は「V/W級」駆逐艦のヴァリエーションの贅揃い。手前から第一次世界大戦期の「V級駆逐艦のオリジナル。第一次世界大戦期の「V級」機雷敷設駆逐艦への改造。第二次政界大戦期のWAIR改修護衛駆逐艦への改装。第二次世界大戦期の長距離護衛駆逐艦の順)

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第一次世界大戦期の英海軍駆逐艦総覧

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(今回ご紹介した4艦級:手前からアドミラルティM級、アドミラルティR級アドミラルティS級、V/W級の順) 

 

ということで、取り敢えず今回はここまで。

さてさて、えらいところに手をつけてしまった、という思いが強いのですが、結局はいつか手をつけたんだろうし、冒頭に書かせていただいたように、あまり連続でミニ・シリーズ化はせずに少しづつやっていこうと考えています。たまたま今回は前々回の「V/W級」の流れを遡って第一次世界大戦期の駆逐艦の紹介ということになりましたが、系統という視点で見れば、大変中途半端なところからの開始になってしまいました。

つまり、これより「前」があるし、もちろん「後」もある訳です。「モデルコレクション」的視点でいうと、とても揃っていると言えるような状況ではなく、例えば今回も上記でも少し触れましたが、英国海軍は、第一次世界大戦の勃発に伴い本来は「他国向け」に建造していた駆逐艦を全て半ば強制的に購入し艦隊に編入しているのですが、それについては一切紹介していません。また、水雷戦隊の旗艦として大型の嚮導駆逐艦の艦級を二つほど建造しているのですが、これについても触れていません。つまり穴だらけですので、気長にやらせてもらおうと思っています。

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(これらの艦級についても、鋭意モデル調達中です。「アンザック級」はあるのかな?今のところ見当たりません)

 

次回は、この続きをやるか、あるいはフランス海軍の巡洋艦、もしくは日本海軍の空母あたり(こちらは始めると少なくとも4回程度のミニシリーズになりそうです)で・・・。

もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

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