相州の、ほぼ週刊、1:1250 Scale 艦船模型ブログ

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

ドイツ海軍の第二次世界大戦での通商破壊戦:Uボート総覧

本稿ではこれまで通商路保護のための護衛艦艇を種々紹介してきましたが、今回は前回に引き続き、「通商路破壊」の視点から、ドイツ海軍が大量に投入した潜水艦をご紹介します。

いわゆる「Uボート」ですね。

筆者はこれまで「護衛艦艇が大好き」というお話をしてきましたが、経緯的には「Uボート」好きから転じて護衛艦艇への興味を持った、というのが事実でして、したがって「Uボート」も大好きなのです。

今回はそういうお話。

本稿は基本的に1:1250スケールのモデルを中心に話を進めていくのですが、潜水艦などをご紹介するには、少しスケールが小さいのかな、と考えています、ですので、今回は他のスケールのモデルも併せてご紹介しながら・・・。

 

ドイツ海軍Uボートの復活とその戦果

本稿では何度か触れてきましたが、第一次世界大戦後のベルサイユ条約で、ドイツは大幅な海軍軍備に関する制約を課せられました。潜水艦の保有は禁じられ、海軍は沿岸警備に限定された戦力の保有しか許されませんでした。

しかし、大戦後の混乱の中でナチスが台頭し政権を掌握すると、1935年にヒトラー再軍備を宣言。同年に締結された英独海軍協定で、潜水艦の保有も含め事実上の制限撤廃が行われました。

第一次世界大戦で様相が垣間見られた総力戦の諸相の中でも、特に対英戦略の中で潜水艦を用いた通商路破壊の有効性は顕著で(であるがゆえに潜水艦保有が禁じられたのですが)、ドイツ海軍は潜水艦戦力の再整備を急ぎます。

ドイツ海軍の想定では通商破壊戦でUボートが効果を上げるには、300隻の通商破壊作戦用Uボートが必要とされていましたが、ドイツのポーランド侵攻と共に第二次世界大戦が勃発し、その時点でドイツ海軍が就役させていた潜水艦はわずか57隻、しかも通商路破壊戦に適した航洋型のUボートはそのうち30隻程度にすぎませんでした。

 

その後、ドイツの敗戦まで5年8ヶ月の戦いの中で、1131隻のUボートが就役し、830隻が作戦行動を実施し、連合国船舶約3000隻、約1400万トンを撃沈する戦果を挙げました。これに対し失われたUボートは793隻で、約40000人の将兵が潜水艦戦に身を投じ、戦死約28000名(損耗率70%!)、捕虜となったもの約5000名という大きな犠牲が払われました。

 

Uボートの諸形式

第二次世界大戦で投入されたドイツ海軍のUボートの形式は、以下の通りです。

 

Uボート復活:バランスの取れた航洋型潜水艦。ちょっとサイズが中途半端でしたかね?

I型(同型艦2隻)

航洋型潜水艦として設計された艦級で、700トン級の船体に魚雷発射管を艦首部に4基、艦尾部に2基搭載し、魚雷14本を搭載していました。

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(直上の写真: I型の概観:56mm in 1:1250 by Neptune)

第一次世界大戦に投入されたUBIII型を原型とし、水上で18ノット、水中で8ノットの速力を発揮することができました。12ノットの速度で6300海里の航続距離を持っていました。43名が乗組み、200mまで潜水可能とされていました。

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(U26 I型 1:350スケール モデル)


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その後、設計の方針が量産性を考慮した中型潜水艦(VII型)と、より長期の作戦行動に適した大型潜水艦(IX型)に定まったため、この形式は2隻しか建造されませんでした、

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(直上の写真: ドイツ海軍が建造した航洋型潜水艦の比較:I型(中央)、手前がVII型、奥がIX型です。I型が中間的なサイズで2隻が建造され、以降はVII型、IX型の量産体制へと移行してゆきます)

 

沿岸警備用、小型潜水艦:みんな最初はこれで訓練したのかな(?)

II型(A〜Dタイプまで、同型艦60隻)

沿岸警備用に設計された小型潜水艦で、250トン級の船体に艦首部に魚雷発射管3基を持ち、魚雷5本を搭載していました。水上速力は13ノット、水中速力は7ノットで圧壊震度150mとされていました。(いずれもIIA型)

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(II型:U9の1:350スケールモデル。下段右の写真は、II型の特徴である艦首の3門の魚雷発射管。(底辺を上にしたような逆三角形配置なんだけど、ちょっと暗くてわかりにくいかな?)私がずいぶん以前に楽しんだUボートのPCゲームでは、II型の艦長からキャリアをスタートしました)

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from uboat.net

小改良を加えながらIIAからIIDまでの3タイプが建造され、同型艦は総数で60隻でした。大戦初期には北海、バルト海等、近海での作戦行動を行いましたが、大西洋等の遠洋に戦場が移ると作戦従事は困難で、主として訓練用と沿岸警備に用いられました。乗組員は25名でした。

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(U9:II型とU552:VIIC型の大きさの比較)

 

 

中型航洋潜水艦:通商破壊戦の主役。Uボートといえばコレ!

VII型(VIIA, VIIB, VIIC, VIIC/41、併せて同型艦734隻)

I型の紹介で触れたように、通商破壊戦の主戦力として大量に戦場に投入されることを想定して設計された艦級で、I型よりも少し小ぶりな500トン型(中型)と称して設計されました。

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(直上の写真: VII型の概観:51mm in 1:1250 by Mercator? 両舷にあるサドルタンクが大きな特徴です)

大まかにVIIA、VIIB、VIIC、VIIC後期型(VIIC/41)の4形式があり、VIIAは10隻、VIIBは24隻、VIIC前期型はさらに諸形式に分化しながらも626隻、VIIC後期型(VIIC/41)が74隻、それそれ就役しています。

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(直上の写真: VII型の艦橋のヴァリエーション。米国の参戦以降、連合国の航空機による通商路警戒が活発化するとUボートの兵装も対空兵装へと重点が移ってゆきます)

小差はもちろんありますが基本的な設計は同じで、艦首部に4基、艦尾部に1基の魚雷発射管を備え、魚雷を11本から14本搭載していました。乗組員は44名でうち4名が士官でした。圧壊震度は200mとされていましたが、VIIC後期型では耐圧殻を厚くしたことにより300mとなりました。

いずれも10ノットの巡航速度でVIIA型で6200海里、VIIB型で8700海里、VIIC型で8500海里のそれぞれの航続距離を持ち、大西洋での通商破壊戦の主役を務めました。

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(U47 VIIB型 1:350スケールモデル:初期のUボートエース プリーン大尉の乗艦でした。ブリーン大尉の率いる本艦は英海軍の根拠地スカパフロー に侵入し、戦艦「ロイヤル・オーク」を撃沈しています)

 

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(U552 VIIC型 1:350スケールモデル 197,460トンを沈め歴代三位の戦績を誇るエーリヒ・トップの乗艦でした)

 

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(U255 VIIC型 1:350スケールモデル 47,640トンの商船撃沈する戦果を上げています)

 

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(VII型の艦橋のヴァリエーション。特に大戦後期には対空火器が増備され、これら以外にも多彩なヴァリエーションが生まれました) 

 

VII型派生形:機雷敷設潜水艦

VIID型(同型艦6隻)

VIID型はVIIC型をベースに艦橋後方に機雷敷設のための機雷筒ブロックを挿入した機雷敷設潜水艦で、900トン級のやや大きな船体を持ち、魚雷発射管5基と魚雷12本の他に機雷15基を敷設する能力がありました。機雷敷設ブロックの挿入により船体が延長され、燃料搭載量が増えたため、11200海里という長大な航続距離を持っていました。

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(直上の写真: VIID型の概観:61mm in 1:1250 by Neptune: 下段右では艦橋後部の特徴である機雷射出筒がよくわかります)。

 

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(U214: VIID型の1:350スケールモデル。艦橋後部の機雷射出筒が、よりよくわかります)

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(上の二点の写真は、いずれもVIID型とVIIC型の1:1250スケールと1:350スケールでのそれぞれの艦型比較。いずれでもVIID型がVIIC型をベースに艦橋後部に機雷射出筒関連のブロックを挿入して設計されたことがよくわかります)

 

VII型派生形:補給潜水艦:ウルフパックへの補給係

VIIF型(同型艦4隻)

VIIF型はVIIC型をベースに予備魚雷搭載用のブロックを艦橋後方に挿入した魚雷補給用の潜水艦で、、1000トンの船体に、通常のVII型同様、魚雷発射管5基と魚雷14本を搭載した上に予備魚雷21本を搭載し、他のUボートに補給することができました。VIID型と同様に延長された船体により燃料搭載量が増え、14700海里の航続距離を持っていました。大戦後期にはその大きな航続距離と搭載能力を買われ、貨物の輸送任務にも活躍しました。

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(直上の写真: VII F型の概観:60mm in 1:1250 by Mercator?)

 

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(直上の写真: 通常のVII型とVIIF型の比較。VIIF型は通常のVII型の艦橋の後部に補給用魚雷の収納スペースを挿入した船体を持っていました)

 

大型航洋潜水艦:狩場を広げるぞ!

IX型(IXA, IXB, IXC, IXC/40、併せて同型艦 165隻)

IX型はより遠洋での通商破壊戦の展開を意図して設計された潜水艦で、1000トンを超える大きな船体を持ち、水上で18ノット、水中で7.7ノットの速力を発揮し、10ノットの巡航速度でそれぞれIXA型で10500海里、IXB型で12000海里、さらに改良が加えられIXC型で13450海里、IXC/40型で13800海里という長い航続距離を持っていました。

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(直上の写真: IXC型の概観:61mm in 1:1250 by Neptune: IXA,IXB,IXCはほぼ同型でした。VII型と同様に、砲兵装は対空火器に重点が移行してゆきます)

 

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(直上の写真: IXC/40型の概観:61mm in 1:1250 by Neptune) 

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(直上の写真: IXC/40型とIXC型の関係の比較。概観も違うのですが、時期によって砲兵装の配備重点が対空火器に移行してゆきました)

主要武装はいずれの形式もほぼ同等で、艦首部に4基、艦尾部に2基の魚雷発射管を装備し、予備魚雷を含め22本の魚雷を搭載していました。

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大型航洋潜水艦の完成形

IXD2型(同型艦29隻)

形式名としてはIX型を冠してはいますが、1600トンの大きな船体を持つ全く別形式の潜水艦です。通常の4基のディーゼルエンジンに加え、低速巡航用のディーゼルエンジンを2基搭載し、長距離作戦への適用をいとして設計された潜水艦です。水上では19.2ノットの高速を発揮し、10ノットの巡航速度で31500海里という長大な航続距離を誇っていました。

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(直上の写真: IXD2型の概観:69mm in 1:1250 by Neptune)

 

艦首部に4基、艦尾部に2基の魚雷発射管を備え、予備魚雷を含め24本の魚雷を搭載し、長期の作戦行動を行い南アフリカやインド洋まで進出しました。

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(直上の写真: IXD2型(奥)とIXC/40型(手前)の概観比較。同じIX型の形式表示ながら、全く異なる設計です)

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(U181 IXD2型 1:350スケールモデル 歴代二位の撃沈記録を持つヴォルフガンク・リュート大尉の乗艦。モザンビーク南アフリカに進出し活躍しました。リュートが少佐に進級し司令官として下船すると、インド洋に進出し活躍を続けました。ドイツ降伏後は日本軍が接収して、呂501号潜水艦となりました)

 

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(U181 IXD2型とU 47 VIIB型の大きさの比較)

 

IXD2型派生形:補給潜水艦

IXD1型 (同型艦2隻)

本来は20ノット超えの速力を持つ高速巡洋潜水艦を目指した設計でしたが、搭載したエンジンが期待の性能を発揮せず、主機をVIIC型と同型式として予備燃料を252トン搭載できる補給潜水艦に改造されました。

(ほぼ上掲のIXD2型と同型です)

 

大型機雷敷設潜水艦

X型(同型艦8隻)

1600トン級の船体を持ち、機雷筒30本を搭載した機雷敷設潜水艦です。魚雷発射管2基を艦尾に備え予備も含め15本の魚雷と66基の機雷を搭載していました。

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(直上の写真: X型の概観:70mm in 1:1250 by Mecator?)

 

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(直上の写真: X型の機雷筒の配置状況。写真上:艦首部の機雷筒、写真下:艦尾部に2列に並列配置された機雷筒)

大きな燃料タンクを持ち、10ノットの巡航速度で18450海里の航続距離を持っていましたが、このタンクの燃料は他の作戦展開中の潜水艦への給油にも広く使用され、「Uタンカー」と称されることもありました。

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大型補給潜水艦:「おーい、ミルヒ・クーが来たぜ!野菜、積んでる?」

XIV型(同型艦10隻)

最初から前線で展開する潜水艦への補給用潜水艦として設計されました。1600トンの大きな船体を持ち、補給用燃料432トン、食糧45トン、魚雷4本を搭載することができました。

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from uboat.net

(no photo:残念ながら、模型を保有していません)

 

自艦の兵装としての魚雷発射管は搭載していませんでした。遠隔地で展開するUボートの活動に大きく貢献し、「ミルヒ・クー(乳牛)」の愛称で親しまれました。

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 水中高速攻撃型潜水艦:「可潜艦」から真の「潜水艦」へ

XXI型(同型艦118隻)

米国の参戦に伴い、有力な海軍航空機により空中からの船団護衛やレーダーの発達によって、VII型やIX型など従来型の水上航行を主たる移動手段とする潜水艦の活動は次第に困難になってゆきます。

こうして水中高速潜水艦の構想への要求は高まってゆきます。

一方、ドイツ海軍は非大気依存推進の研究を進め、高濃度過酸化水素を用いた推進機関(ヴァルター機関)の試作潜水艦を既に建造していました。

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(直上の写真: ヴァルター機関の実験艦として試作されたXVII型の概観:22mm in 1:1250 by Mercator? なのですが、この寸法は水上に露呈している部分だけの寸法なのでご注意を。同艦はヴァルター機関を搭載した水中高速艦であり、基本的にほとんどの行動を、現在の潜水艦同様に水中で行う前提で設計されていました。・・・・というか、現在の潜水艦のある意味ご先祖がこの船なのですが)

 

しかし実際の運用面でのヴァルター機関には、水中での低速航行が難しい、過酸化水素自体の取り扱いの難しさ、機関室を密閉せねばならず、過酸化水素の補給等を考えると限定的な運用しか想定できない(実際には従来型の主機の搭載も不可欠)、排出された二酸化炭素が気泡化し、探知されやすくなる、種々の等の課題が明らかになるにつれ、戦局に合わせた早急な実用化は困難という判断がされます。そして、次善の選択肢として、多数の蓄電池の搭載と新開発のモーターの組み合わせによる水中高速潜水艦建造へと、構想を転換しました。これがXXI型で、エレクトロ・ボートとも呼ばれ、従来の潜水艦の概念を覆す画期的なものでした。

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(直上の写真: XXI型の概観:61mm in 1:1250 by Mercator?)

 XXI型はシュノーケルも装備しており、その行動は原則水中で行われ、それまでの「潜水することも出来る」可潜艦とは一線を画する真の「潜水艦」の登場と言っても良いでしょう。

船体の設計は、実用化までの時間短縮のために既に準備されていたヴァルター機関搭載予定のXVIII型のものが使われました。

船体は水中での運行が基本となるために水中抵抗の排除に配慮された流線形を多用したものになり、1600トンの従来のUボートの概念から考えると大型のものとなりました。艦首部に6基の魚雷発射管を備え、23本の魚雷を搭載していました。水中で17.5ノットの速力を発揮することができ(従来型は7ノット程度)、水中5ノットの速度で365海里の航続距離がありました(VIIC/41 では4ノットで80海里)。乗組員は57名でした。

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建造方法にも徹底的なブロック形式での建造が取り組まれ、建造期間を6ヶ月に縮めるなどの量産が目指されました。しかし油圧系統の不具合などから最初の艦の実戦投入はドイツ降伏の前月の1945年4月で、戦局に寄与することはありませんでした。

この時期、既にドイツ海軍はホーミング魚雷を開発していましたので、実際に戦場に投入される機会があれば大きな威力を発揮したでしょうね。

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(直上の写真: XXI型(奥)と従来型航洋潜水艦(IXD型(中央)、VIIC型(手前)の艦型比較。XXI型ではいわゆる甲板的なスペースがほとんど考慮されていないことが良くわかります)

 

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(U2540 XXI型 1:350スケールモデル 敗戦時に自沈しましたが、その後浮揚されドイツ連邦海軍の「ヴィルヘルム・バウアー」として再就役しました。写真下段では、XXI型の各部の特徴をクローズアップしてみました。左:引き込み式の潜舵。中央:艦橋部。環境に組み込まれた対空砲とシュノーケル。右:推進器と潜舵・方向舵)

 

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(U2540  XXI型とU47 VIIB型の大きさと関係の比較)

 

戦後、賠償艦として連合国各国に譲渡され、その後の潜水艦設計の基礎となりました。

 

XXI型の派生形:斜め後方へ6社戦?12射線?船団、丸ごと面倒見ようじゃないか。

XXIB型・XXIC型(計画のみ)

XXI型は艦首部に魚雷発射管を6基搭載していましたが、ブロック建造であったため、バリエーションの設定が可能でした。例えば、前方の魚雷発射管室の後に斜め後方むけの魚雷発射管6基を搭載するブロックを挿入し後方向けの魚雷6射線を持たせる設計案がXXIB型として提出されています。

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(XXIB型の図面。艦首の発射管室の後方に、斜め後方向けに設置された魚雷発射管がわかります。グランドパワー別冊より)

さらにもう1組、斜め後方向けの魚雷発射管室のブロックを挿入し、斜め後方向けに12射線を持たせる案がXXIC型です。これらはいずれも建造されませんでした。

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(XXIC型の図面。斜め後方向けの魚雷発射管がもう1組追加されています。「世界の艦船」より)

XXI型の建造時期には、魚雷の次発装填装置も完成していましたので、短時間で最大36本の魚雷を発射することができました。

ホーミング魚雷と組み合わせれば、船団丸ごと撃破する、なんてことも可能だったかもしれません。

(no photo:残念ながらいずれも模型を保有していません)

 

XXI型の発展型:中型エレクトロ・ボート、VIIC型の後継。これが量産されていればなあ。究極のIF兵器かも?

XXX型(計画のみ)

XXX型はXXI型をやや小ぶりにした1100トン級の船体を持つ設計で、XXI型よりも取り扱い易い艦型でVIIC型の後継として検討されました。兵装の配置は前述のXXIB型に類似して、艦首部に前方向けの魚雷発射管を8基、その直後に斜め後方向けの魚雷発射管を4基の発射室ブロックを保有していました。

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(XXX型の図面。艦首に魚雷発射管8基が装備されています「世界の艦船」より)

 

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(直上の写真: XXX型の概観:44mm in 1:1250 by Mercator? このモデル、もう一つ小型のヴァルター機関搭載の量産型航洋潜水艦XXVI型のものかもしれません。航洋型のエレクトロ・ボートは蓄電池を大量に搭載する必要があるため、ここまで小型化はできなかったかも)

 

ブロック工法が安定し、XXX型が量産されていれば、と、妄想してしまいます。

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(直上の写真: XXI型とXXX型の二つのエレクトロ・ボート。もう少し早ければ・・・)

 

小型水中高速潜水艦:こっそり忍び寄って、侵攻作戦はこれで防げる(?) 

XXIII型(同型艦63隻)

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from boat.net

(no photo:残念ながら、模型を保有していません)

沿岸警備用の小型水中高速潜水艦として、XXI型とほぼ同じ構想で設計、建造された潜水艦です。230トンの小さな船体を持ち、水中で12.5ノットを発揮することができました。艦首部に魚雷発射管2基を装備し、予備魚雷は搭載していませんでした。ドイツの降伏までに63隻が完成しましたが、戦果を上げることはできませんでした。

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ということで、今回はここまで。

ああ、映画の話をしなかった。Uボートエースの話も・・・。

 

次回は、どうしましょうか。準備中は、英海軍巡洋艦、イタリア海軍巡洋艦、英海軍駆逐艦、米海軍駆逐艦・・・。

 

もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

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