諸々あって、今回は非常に小さな話題で。
これまで1:1250スケールの艦船模型メーカーについて、あれこれ紹介してきましたが、実はコレクターにとって、かなり嬉しくて、しかし少し悩ましい問題が、艦船模型メーカー自身による、モデルのグレードアップなのです。
くどくど説明するより、見ていただいた方が早いと思うので、まずは実例をご紹介。
重雷装艦「北上」のケース
今週、EbayでTrident社製の日本海軍軽巡洋艦「北上」の重雷装艦形態の模型を入手しました。
(直上の写真は、重雷装艦「北上」の最近のモデル(上段)と従来のモデル(下段)の比較。メーカーはいずれもTrident社)
ご覧のように、特に魚雷発射管のディテイルが、格段に再現度が向上されています。
(直上の写真は、重雷装艦「北上」の最近のモデル(左列)と従来のモデル(右列)の細部の比較。上段では魚雷発射管のディテイルの再現度が格段に進歩していることがわかります。さらに下段では艦尾部の再現も随分変更されていることがよくわかります)
このように同じメーカーでも、どんどんそれぞれのモデルのディテイルの再現がグレードアップしていて、それはそれで素晴らしい事なのですが、一方で都度、コレクションが確定できない、という悩みにも繋がるわけです。
「キング・エドワード7世級」の場合
もう一つ、Navisの「キング・エドワード7世級」の事例が下に。
(直上の写真は、「キング・エドワード7世級」戦艦の旧モデル。Navis社製)
まず最初がいわゆる旧モデルと前級にあたる「フォーミダブル級」の比較。
(直下の写真は、「キング・エドワード7世級」戦艦(奥)とその前級にあたる「フォーミダブル級」戦艦の比較。いずれもNavis社製)
「キング・エドワード7世級」戦艦は、近代戦艦としては初めて主砲と副砲の中間の口径の砲、いわゆる中間砲を搭載した艦級として有名です。この艦級をタイプシップとして、準弩級戦艦と言われるクラスの戦艦が列強各国で建造される、その「はしり」となった艦級です。直後に(実際にはほぼ並行して)「ドレッドノート 」が建造されたため、影が薄いですが、実際にはやはり一種のエポックメイキングな重要な艦級です。「フォーミダブル級」と比べれば、搭載された中間砲の搭載位置や変化がよくわかります。
次に、「キング・エドワード7世級」のNavis社製の新モデル。
そして、新旧モデルの比較。ディテイルの再現性が格段に上がっているのがよくわかると思います。
(直下の写真は、「キング・エドワード7世級」の新旧モデルの比較。新モデルが下段)
(直上の写真は、「キング・エドワード7世級」の新旧モデルの比較。新モデルが左列、旧モデルが右列。ブリッジ周りやボートの細部、主砲塔や煙突などの細部の再現性が向上していることがよくわかると思います)
当然のことですが、艦船模型のメーカー各社は、自社の模型の品質向上を目指しています。それは新たな資料に基づいた修正や姉妹艦との差異の再現であったり、あるいは、艦級によっては竣工時からの改装を年次を追って再現していく、というようなラインナップの充実であったりします。さらにこれに模型製作側の技術向上や、それに伴う細部の再現等の努力が加わり、新しく市場に登場する模型は、前のものを凌駕した品質になっているわけです。
モデルとしては、明らかに再現性の高い方が優れているのですが、今度は他の艦級の模型との差が気になり、むくむくと、こちらのグレードで揃えたいなあ、という野望(?)が、鎌首を持ち上げてきます、しかし、こちらのグレードでコレクションをやり直すとなると・・・。これは大きな覚悟が要りますよね。
そして、これも間違いなく、おそらくさらに数年後には、再現度の改善された模型が登場する。際限のない「追いかけっこ」に対する、こちらの覚悟が問われるわけです。
「ああ、大変なことになっちゃったなあ」と、(実は少し嬉しい)ため息をつく訳です。困ったなあ、と思いながら、とても「嬉しい」こと、「コレクションの醍醐味」ということなんでしょうね。
にしても、あるモデルの登場で、それまでのコレクションが1日で全て旧式、色あせた物に見えてしまうこともある、というお話です。あれ?なんか「ドレッドノート 」の登場の時の状況になんか似ていやしないか?
ということで、取り敢えず今回は、ここまで。
次回は、どうしようかな?
前回ご紹介した3D モデルがいくつか完成しつつあります。そのご紹介?
先だっての「巡洋艦開発小史」の番外編で、未成巡洋艦、If巡洋艦のまとめでも?
あるいは日本海軍の駆逐艦?「吹雪級」が完成すれば、ほぼ準備が整います。
もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。
模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。
特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。
もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。
お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。
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