今回は少し作業の段取りが狂いました。
週末が雨だったので、トップ・コーティングができません(できないことはないのですが、筆者はスプレー作業と乾燥を外で行いたいので、雨では作業が滞ります)。
従って仕上がったモデルのご紹介ができず、代わりに前回投稿でほぼ形のついた汎用護衛艦の艦級の次の整備艦級のデカール転写に着手したのでそちらをご紹介します。
「たかつき級」護衛艦
(就役:1967-2003:同型艦4隻 DD-164「たかつき」、DD-165 「きくづき」、DD-166「もちづき」、DD-166「ながつき」)
就役時のモデル
同級についての解説詳細は後述部分で見ていただくとして、今回のモデル整備の目玉は同級の就役時あたり鳴り物入りで導入されたDASHの装備をどのように表現するか、というあたりでした。
同級はシーレーン防衛にあたり魚雷から対艦ミサイルにその主要装備を変更することが予想される敵性潜水艦に対し、どのように対空防御と対潜掃討を兼ね備えた護衛艦を作るか、それを目的として設計されました。
そして対潜掃討域の画期的な拡大に向けての装備が、無線誘導式の無人対潜ヘリコプターDASHだったわけです。同級は艦後部にDASHの格納整備庫を備え、艦尾はその発着甲板として使用できる設計でした。

(「たかつき級」護衛艦の概観:106mm in 1:1250 Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装しています:下の写真は同級4隻の艦番号一覧と艦尾のDASH発着甲板部のマーキング)

FRAM改装後のモデル
同級は特に対空戦闘面では非常に有力な戦力でしたが、ミサイル化の流れの中で装備には陳腐化が目立つようになりました。一方で、急速な新造艦の建造には限界があるため、FRAM(艦隊再建近代化計画)の名の下に、同級の「たかつき:DDA-164」「きくづき:DDA-165」に対して大規模な改装が行われ、当時新鋭の「はつゆき級」汎用護衛艦と同等の戦力化が目指されることになりました。

(上の写真は、FRAM改装を受けた「たかつき:DDA-164」と「きくづき:DDA-165」の概観:実際にはCIWSを装備したのは「きくづき:DDA-165」のみでした)
更に、架空艦:対空ミサイル護衛艦への改造
「たかつき級」護衛艦3番艦の「もちづき:DDA-166」は、FRAM改装に代えて、DDG化の改装が行われた、と言う想定です。海上自衛隊初のミサイル護衛艦「あまつかぜ」の就役が 1965年。第二世代DDGの「たちかぜ」級の就役が1976年。この間、「あまつかぜ」は唯一のDDGであったわけで、ターター・システムの複数艦での運用データを得るためにも、この空白を埋めるために、1967年から就役の始まった「たかつき」級の1隻が早々にDDGへ改装・転用された、と言うカバーストーリーで製作されています。

(上の写真はDDG仕様への改装後の「もちづき:DDG-166」の概観(架空艦です):下段の写真ではDDG改装後の「もちづき」の主要兵装配置:艦首部の対潜ロケットランチャー、5インチ砲、アスロック(写真下段左)、対潜短魚雷発射管、ハープーン発射筒、Mk.13大層ミサイル発射機、CIWSの順(写真下段右))
もう1隻、架空艦:「ながつき:DD A-167」は簡易近代化改装へ
こちらも架空艦ですが4番艦「ながつき」は実際には大規模な改装は行われず、同級の中で最も早く退役したのですが、FRAM改装に準じた兵装の改変を実施したモデルも作ってみました。

(上の写真兵装の簡易近代化「ながつき:DDA-167」の概観(架空艦です):下段の写真では簡易改装後の「ながつき」の主要兵装配置:特に下段右では、ハープーン発射筒、CIWS、シースパロー短SAM等の装備状況を示しています:念押ししておきますが、架空艦です)
「たかつき級」の解説
同級は第2次防衛力整備計画で、対潜戦闘力に重点を置い「やまぐも級」護衛艦とのハイ・ロー・ミックス構成の構想の下、有力な対空・対潜戦闘能力を持つ多目的護衛艦(DDA)として4隻が建造されました。
船型は当時、海上自衛隊の標準となってきた感のある遮浪甲板型を採用し、主機には蒸気タービンを搭載し、32ノットの速力を得ることができました。(満載排水量:4300トン 速力32ノット)
主砲にはベストセラーとなった新型のMk.42 54口径5インチ単装速射砲(Mk.42)を採用し、これを艦首・艦尾に1基づつ配置し広範囲の防空域を構成していました。ja.wikipedia.org
本砲は毎分40発という高い射撃速度を誇り、23000メートルに達する射程距離と、同時に導入された全自動FCS(射撃指揮装置)と併せて、強力な防空圏を構成することができました。
他の兵装としては、71式ボフォース・ロケット・ランチャー、対潜誘導魚雷、アスロックに加え、さらに長距離の射程を目指しDASH無人対潜攻撃ヘリコプターを装備していました
DASH搭載に関しては、導入当初にはアスロックを超える長い射程の確保に期待が寄せられていましたが、本家の米海軍では事故が多発するなど不評であり、1969年に運用が中止され、これに連動して部品の供給等が停止。これに伴い、海自でも運用が中止されました。
FRAM改装
これまでに記述したように、本級は特に対空戦闘面では非常に有力な戦力でしたが、ミサイル化の流れの中で装備には陳腐化が目立つようになりました。一方で、急速な新造艦の建造には限界があるため、FRAM(艦隊再建近代化計画)の名の下に、同級の「たかつき」「きくづき」に対して大規模な改装が行われ、当時新鋭の「はつゆき級」汎用護衛艦と同等の戦力化が目指されることになりました。
FRAM改装の具体的な内容としては、艦尾部の5インチ砲とこれも艦尾部にスペースを取っていたDASH関連装備を撤去し、短SAM(シースパロー)、ハープーン艦対艦ミサイル、20mmCIWS(「きくつき」のみ装備)、および種々の電子装備の換装、追加などが行われ、8年程度の艦齢延長を目指酢ものとされる大規模なものでした。
これに伴い満載排水量は4572トンに増加しましたが機関はそのままでしたので、速力は31ノットに低下しています。
「やまぐも級」護衛艦
(就役:前期型1966-1995:同型艦3隻 DD-113「やまぐも」、DD-114「まきぐも」、DD-115「あさぐも」/就役:後期型1972-2005:同型艦3隻 DD-119「あおぐも」、DD-120「あきぐも」、DD-121「ゆうぐも」)
同級の詳細については後述しますが、前出の「たかつき級」を対潜掃討面で補完する目的で建造されました。小さな船体に対潜ロケット、対潜短魚雷、アスロックと充実した対潜兵装を搭載しています。筆者のコレクションには4隻ありますので、前期型2隻、後期型2隻として製作しています。

(「やまぐも級」護衛艦前期型の概観:90mm in 1:1250 Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装:「やまぐも:DDK-113」「まきぐも:DDK-114」)

(「やまぐも級」護衛艦後期型の概観:90mm in 1:1250 Hai製モデルをベースに主砲塔のみSNAFU store製のWeapopn setに換装:「あおぐも:DDK-119」「あきぐも:DDK-120」:後部マストの構造と艦尾部に可変深度ソナーを装備した姿を再現しています)
「やまぐも級」の解説
同級は、対潜担当艦「あやなみ級」、防空担当艦「むらさめ級」「あきづき級」の建造により1950年代に具現化されたいわゆるハイ・ロー・ミックス構想を継承し、本稿前回・前々回でご紹介した「たかつき級」護衛艦との役割分割の中対潜水艦掃討戦担当艦(DDK)として設計されました。
第2次防衛力整備計画で前期型3隻、次級「みねぐも級」3隻を挟んで、3次防・4次防で後期型3隻が追加建造されました。
2層の全通甲板を持つ遮浪甲板型の船体を持ち、ディーゼルエンジン6機で構成されるマルチプル・ディーゼルと言う主機方式を採用し、建造当時は世界最速・最大出力のディーゼル推進水上戦闘艦と言われました。この機関は、小型の艦型による少ない燃料搭載にも関わらず長い航続距離をもたらした一方で、満足のいく出力を得られず最大速度は27ノットにとどまりました。(満載排水量:期型2750トン・後期型2850トン)
主要対潜兵装としては、護衛艦では初めて搭載したアスロックと71式ボフォース対潜ロケットランチャー、3連装対潜短魚雷発射管2基を搭載していました。
アスロック
アスロックは同級における対潜装備の目玉と言ってもいいと考えています。
アスロックは対潜誘導魚雷をミサイルの先端に弾頭として搭載したもので、発射後は、事前に入力された飛翔距離で弾頭(魚雷)が切り離され、パラシュートにより軟着水した魚雷が捜索パターンで目標を探知し撃破する、というものであり、着水後の魚雷による目標補足能力の活用から、従来の対潜ロケットとは次元の異なる長射程での攻撃が可能となったとされています。(射程:800-9100m)
当初は専用の8連装ランチャーからの発射が主流で、「やまぐも級」もこの形式で搭載されました。後にはターター・システム(Mk.26 GMSL)、あるいはVLSなどからの発射も可能となり、現在も多くの海軍で使用されています。
71式ボフォースロケットランチャー
ボフォース対潜ロケットランチャーは1948年ごろにスウェーデンで開発されたベストセラーとも言うべき優れた前投式ロケット爆雷発射機で、弾頭重量により370mから3600mまで広いレンジを射界に収めることが出来ます。
海上自衛隊ではこれをライセンス生産し71式ボフォースロケットランチャーとして制式化しています。
誘導式の対潜兵器の開発により無誘導の対潜ロケット弾は旧式と見做されていますが、対魚雷防御兵器や誘導魚雷の使用が難しい浅海面での対潜水艦戦など、使用場面には事欠かないようです。
第二世代対潜短魚雷とMk.32短魚雷発射管
こちらも西側諸国の対潜兵装としてはベストセラーで、高速化した第二世代の誘導式の対潜短魚雷による近距離対潜水艦戦を支えるスタンダード兵装と言っていいでしょう。
Mk.33 3インチ連装速射砲
他の兵装としては、主砲には既述50口径3インチ連装速射砲2基を搭載し高い速射性により、緊密な防空火網を形成することが出来ました。
既述の通り同砲は大変優秀な砲で、12000メートル級の最大射程を持ち、自動装填装置により理論的には毎分45発(砲あたり)の発射速度を発揮することができました。
対潜哨戒ヘリを標準搭載し、かつシステム化による他艦との連携により、制圧海面(域といったほうがいいのかな?)を飛躍的に拡大した「はつゆき級」(1982年から就役)、「あさぎり級」(1988年から就役)等の新世代の「汎用護衛艦」の就役に伴い、同級は前期型は1990年台前半から、後期型は1990年台後半にそれぞれ第一線を退き特務艦・練習艦に転用されてゆき、2005年には全ての艦が除籍されています。
「みねぐも級」護衛艦
(就役:1968-2000:同型艦3隻 DD-116「みねぐも」、DD-117「なつぐも」、DD-118「むらくも」)
同級は「やまぐも級」の主要対潜装備であったアスロックをより広範囲な対潜掃討域を期待できるDASH(無線誘導式の無人対潜ヘリコプター)に変更した設計でした。
就役時:DASH装備時のモデル(「みねぐも:DDK-116」)

(「みねぐも級」護衛艦の概観:90mm in 1:1250 Hai製モデルをベースに主砲塔等をSNAFU store製のWeapopn setに換装:モデルは就役時の「みねぐも:DDK-116」、つまりDASH搭載時を再現したもの。艦尾にDASH発着甲板を有しています)
DASH からアスロックへの兵装変更時のモデル(「なつぐも:DDK-117」)

(写真はDASHからアスロックへの換装後の「なつぐも:DDK-117」:運用事故の多発など、実用性に課題のあった DASHの運用中止に伴いアスロックに換装後の姿を表しています。:Hai製モデルをベースに主砲塔等をSNAFU store製のWeapopn setに換装:しています)
50口径3インチ連装速射砲から62口径76mm単装速射砲への換装テストモデル(むらくも:DDK -118」)

(写真は次期護衛艦への搭載に先立ち、オートメララ社製62口径76mm単装速射砲の試験運用を行った「むらくも:DDK-118」をモデル化したもの。主砲を筆者のF-toysのストックパーツに置き換えてみました)
「みねくも級」の解説
同級は前出の「やまぐも級」護衛艦をタイプシップとして、主要対潜兵装を無人対潜攻撃ヘリコプターDASHとした対潜護衛艦として建造されました。
船型・機関は「やまぐも級」護衛艦に準じていましたが、後甲板をDASH 発着甲板、艦尾部にDASH2機搭載を想定した整備格納ハンガーを装備したため、上部構造の配置が変更され、煙突が一本になりました。(満載排水量2800トン)
潜水艦に対艦ミサイル搭載が想定されるにつれ、目標の早期探知と掃討海面の拡大ははその重要性を増してゆきます。対潜哨戒ヘリコプターの搭載は有効な解ではあるのですが、ヘリコプター搭載の難しい小型艦に同様な機能を持たせることを期待して、無人対戦攻撃ヘリコプターDASHは開発されました。
DASHシステムは対潜短魚雷2発を搭載できる無線誘導式の無人小型ヘリコプター(UAV)を艦上のレーダーで補足・追尾しつつ、発着艦をコントロールする操縦装置と目標までの飛行・攻撃を担当する操縦装置の2基の操縦装置で操作されます。
無人ヘリコプターは半径52キロを理論上の行動域とすることができ、アスロックの最大射程9100メートルと比較して格段の制圧海面を確保することが出来ました。
同システムの導入は、米海軍の1950年台の既存小型艦(第二次世界大戦型の駆逐艦など)のFRAM改修(艦隊近代化計画)の目玉とされ積極的な配備が進められました。
一方で13.9キロ以上の距離では管制性能が落ち、かつ飛行高度の視認ができないことなどから、機体を失う事例が多発しました。さらに当時のソナーの有効範囲の限界もあり、当初の目的であったアスロックの射程を大きく超える有効射程での運用を期待することは難しいという結論に至りました。
米海軍では1968年にDASHの継続運用の予算が国防総省によって却下され運用は縮小に向かいます。
海上自衛隊では1967年から71年にかけて、新造護衛艦「たかつき級」「みねぐも級」への搭載が始まりましたが、運用実績は米海軍よりも良好とはいえ運用機数の半数を事故で喪失するなど、課題は同様で、1979年に運用が中止されました。
DASHからアスロックへの換装(1978から)
「みねぐも級」では、DASHの運用中止決定前後に、運用設備をSH-2F小型ヘリコプター用に転用する案も検討されましたが実現せず、1979年から82年にアスロックに換装され、その他の兵装も「やまぐも級」に準じ、50口径3インチ連装速射砲、71式ボフォース・ロケット・ランチャー、対潜誘導魚雷となりました。
3番艦「むらくも」の改装(1978)
3番艦「むらくも」は1978年に、後部50口径3インチ連装速射砲を62口径76mm単装速射砲に換装し、方位盤も新型に改め、次世代砲熕兵器システムの導入テスト艦となりました。
「みねぐも級」は「やまぐも級」と同様に新世代のヘリコプター搭載汎用護衛艦「はつゆき級」(1982年から就役)、「あさぎり級」(1988年から就役)等の就役に伴い、1990年台後半に練習艦に転用されて、1999年から2000年にかけて全ての艦が除籍されています。
その他のディテイル・アップ進行中のモデル
今回はやや作業時間切れの感があり、以下は作業進捗の概要だけご紹介しておきます。
ミサイル護衛艦「あまつかぜ:DDG-163」の3形態

上の写真でご紹介しているのは、手前から、海上自衛隊初の誘導対空ミサイル搭載護衛艦「あまつかぜ:DDG-163」の就役時(対潜短魚雷が発射管式ではなく落射式で搭載されています)、アスロック搭載時(魚雷は発射管方式に変更)、就役時に計悪案として上がっていた5インチ主砲搭載案(計画案のみの未成艦です)の順です。
「たちかぜ級」ミサイル護衛艦(架空艦も含め4隻)
上の写真では「たちかぜ級」ミサイル護衛艦の4隻をご紹介しています。
手前から「たちかぜ:DDG-168」「あさかぜ:DDG-169」「さわかぜ:DDG-170」の順。更に小説「亡国のイージス」に登場するこの小説の主役である「いそかぜ:DDG-183」と第65護衛隊を編成しているという設定で登場する「うらかぜ:DDG-162」が一番奥に並んでいます(「うらかぜ」は「いそかぜ」同様、小説にのみ登場する架空艦です)。
今回ご紹介した船は全て、これから艶消しのトップコート処理(スプレーでシューっと)をされて完成になります。数が多いのでいつになることやら。
と言うわけでkん回はここまで。
次回もこの続きを。多分7隻目の「はつゆき級」護衛艦、3隻目の「あぶくま級」護衛艦、もしかすると2隻目の「はるな級」ヘリコプター護衛艦のモデルが到着しているかも。年の瀬ですので、作業等にどこまで時間が割けるか、というところが問題ではありますが。
「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。
模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。
特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。
もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。
お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。
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