今回は本稿で海上自衛隊の護衛艦開発小史で取り上げた「みねぐも級」護衛艦の改装案に端を発する架空艦のご紹介です。
「みねぐも級」護衛艦:対潜哨戒ヘリコプター搭載型改装案へと至る道程の話
そもそも「みねぐも級」護衛艦とは?(この項は、基本的には本稿の以下の回の後半部分からの編集転載です)
「みねぐも級」護衛艦
就役:1968-2000:同型艦3隻 DD-116「みねぐも」、DD-117「なつぐも」、DD-118「むらくも」)

(「みねぐも級」護衛艦の概観:90mm in 1:1250 Hai製モデルをベースに主砲塔等をSNAFU store製のWeapopn setに換装:モデルは就役時、つまりDASH搭載時を再現したもの。艦尾にDASH発着甲板を有しています)
同級は海上自衛隊のハイ・ロー・ミックス構想の元、対空戦闘を主要任務とする「たかつき級」護衛艦との役割分割の中、対潜水艦掃討戦担当艦(DDK)として設計された「やまぐも級」護衛艦をタイプシップとして、主要対潜兵装を無人対潜攻撃ヘリコプターDASHとし、より広い掃討海域を展開できる対潜護衛艦として建造されました。
船型・機関は「やまぐも級」護衛艦に準じていましたが、後甲板をDASH 発着甲板、艦尾部にDASH2機搭載を想定した整備格納ハンガーを装備したため、上部構造の配置が変更され、煙突が一本になりました。(満載排水量2800トン)

(写真は「みねぐも級」護衛艦の主要兵装の配置拡大:艦首部にはMk.33 3インチ連装速射砲(砲塔式)、その後ろに71式ボフォース対潜ロケットランチャー(上段)、艦尾にDASH発着甲板と2機を収容整備するハンガーが設置されています。ハンガー上にMk.33 3インチ連装速射砲、ハンガー左右にMk.32 3連装短魚雷発射管が設置されています(下段))
潜水艦に対艦ミサイル搭載が想定されるにつれ、目標の早期探知と掃討海面の拡大ははその重要性を増してゆきます。対潜哨戒ヘリコプターの搭載は有効な解ではあるのですが、ヘリコプター搭載の難しい小型艦に同様な機能を持たせることを期待して、無人対戦攻撃ヘリコプターDASHは開発されました。
DASHシステムは対潜短魚雷2発を搭載できる無線誘導式の無人小型ヘリコプター(UAV)を艦上のレーダーで補足・追尾しつつ、発着艦をコントロールする操縦装置と目標までの飛行・攻撃を担当する操縦装置の2基の操縦装置で操作されます。
無人ヘリコプターは半径52キロを理論上の行動域とすることができ、アスロックの最大射程9100メートルと比較して格段の制圧海面を確保することが出来ました。
同システムの導入は、米海軍の1950年台の既存小型艦(第二次世界大戦型の駆逐艦など)のFRAM改修(艦隊近代化計画)の目玉とされ積極的な配備が進められました。
DASH運用上の課題が明らかに
一方で13.9キロ以上の距離では無線による管制性能が落ち、かつ飛行高度の視認ができないことなどから、機体を失う事例が多発しました。さらに当時のソナーの有効範囲の限界もあり、当初の目的であったアスロックの射程を大きく超える有効射程での運用を期待することは難しいという結論に至りました。
米海軍では1968年にDASHの継続運用の予算が国防総省によって却下され運用は縮小に向かいます。
海上自衛隊では1967年から71年にかけて、新造護衛艦「たかつき級」と、今回ご紹介している「みねぐも級」への搭載が始まりましたが、運用実績は米海軍よりも良好とはいえ運用機数の半数を事故で喪失するなど、課題は同様に見受けられ、史実では米海軍での運用縮小に伴い、1979年に運用が中止されました。
このため「みねぐも級」では、1979年から82年に主要対潜兵装はアスロックに換装され、その他の兵装も「やまぐも級」に準じ、50口径3インチ連装速射砲、71式ボフォース・ロケット・ランチャー、対潜誘導魚雷となりました。

(「みねぐも級」護衛艦 DASHの運用中止に伴いアスロックに換装後の概観:Hai製モデルをベースに主砲塔等をSNAFU store製のWeapopn setに換装:しています:下の写真では就役時(=DASH搭載時)とアスロックへの換装後の比較))

・・・・と、「みねぐも級」護衛艦をめぐる史実は上記の通りです。
しかし、本稿、今回取り上げる海上自衛隊はもう少し諦めが悪く、DASHの運用設備を対潜哨戒小型ヘリコプター用に転用する案が検討され、実現されました(この案が実際に検討されたことは記録に残っていますが、史実では前掲のようにアスロックを主要兵装とする手堅い設計となりました)。
「みねぐも級」護衛艦:対潜哨戒ヘリコプター搭載型への改装

(搭載機種をDASHから有人対潜ヘリコプターに変装した後の「みねぐも級」護衛艦の全景:後部に大型化したヘリコプター整備格納庫が搭載され、発着甲板が整備されています)
前述のようにDASHの運用中止決定前後に、搭載機種を有人の小型ヘリコプター用に転用する案が検討されます。検討の俎上に上がったのは当初は米海軍でDASHの代替候補であったカマン・エアクラフト社が開発したSH -2Dでしたが、最終的にはより設計の新しい英国のアウグスタウエストランド社のリンクスが採用されました(史実ではないのでご注意を)。

(改装後の「みねぐも級」護衛艦の細部:主砲はオート・メララ76mm速射砲に換装され(写真上段)、艦後部の格納庫が大型化、発着艦甲板が設置されています)
この搭載機種の変更とともに、対潜ヘリの発着艦甲板が改めて設置され、併せて整備格納庫は有人ヘリ向けに拡大されました。また、この改装の際に艦後部は大規模に改修され、艦尾速射砲が廃止され、艦首部の搭載砲も50口径3インチ連装速射砲からオート・メララ62口径76mm単装速射砲に換装されました。これに付随して方位盤も新型に改められ、次世代砲熕兵器システムの導入テスト艦となりました。
ヘリコプター搭載護衛艦への改装後の「みねぐも級」と汎用護衛艦「はつゆき級」
「みねぐも級」は、新世代のヘリコプター搭載汎用護衛艦「はつゆき級」(1982年から就役)、「あさぎり級」(1988年から就役)等の就役に伴い、護衛艦隊主体から地方隊に順次移籍しています。

(上の写真は、次世代の「はつゆき」級ヘリコプター搭載汎用護衛艦(写真奥)と有人哨戒ヘリコプター搭載艦に改装後の「みねぐも級」護衛艦の比較)
「はつゆき級」の就役で、「みねぐも級」はその役割を次第に終えてゆくことになり、1990年台後半に練習艦に転用されて、1999年から2000年にかけて全ての艦が除籍されています(この辺りは史実の通り)。
「みねぐも級」の二形態の比較

(「みねぐも級」二形態の艦容の比較:手前が史実に登場する「みねぐも級」)
ということで今回はこの辺で。
次週は、筆者の事情で(多分)一回お休みさせていただき、次々週から、現在、鋭意整備中の旧ソ連・ロシア海軍の小型戦闘艦艇のご紹介を開始できれば、と考えています。
もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。
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もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。
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