相州の、ほぼ週刊、1:1250 Scale 艦船模型ブログ

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

続:迷走する模型生活:1:1250スケールと1:144スケール、二つのテーマの間で

本稿はタイトルに「ほぼ週刊」と記載しているのですが、このところ「隔週」投稿になりつつあります。

その大きな理由は、前回投稿でご紹介したとおり、昨年秋頃からメインテーマとして追ってきた「1:1250 スケール海上自衛隊護衛艦モデル」がコレクションの視点で、現時点での最終形(主には欠落モデルの調達をどこで見切るか、という「筆者の思い切り」なのですが)をなかなか見出せていないということから発生した興味の盛り上がりの停頓と、「1:144スケールAFVモデル」での新たな興味領域の発見にあります。

これらの並走状態をによる筆者の「迷走状態」を今回はご紹介します。

Hai製「たちかぜ級」護衛艦モデルに入札中

この投稿時点でも、筆者のコレクションとしては3隻目になる「たちかぜ級」ミサイル護衛艦のHai製モデルに入札中で「これが落札できれば同級の三番艦「さわかぜ」もHai製モデルで揃える事ができそう。しかし、そうなると「Hai 社製モデルが再現している「たちかぜ」では実装されていない艦橋前面のアスロック自動装填機構など、どうやって再現しようか。現有の3Dモデルベースの「さわかぜ」から移植できるかなあ。Hai製のモデルの艦橋パーツって分離できたっけ。分離がうまくできたら、現有のモデルの艦橋部分をそっくり移植できるので・・・」など、これはこれで胸がざわついています。

「分離」できなかったら、エポキシパテなどで修正造形する新たなトライが必要です。まあその前に、せっかく入手できた(まだ入手できてないのですが)Hai製モデルを、最悪、潰す覚悟で触ってみなくてはいけない、という冒険があるのですが。ですのでエポキシパテで修正造形する方が無難だなあ、などと日和っていたりします。

(現在入札中の「たちかぜ」の概観(上段:Ebay掲載の写真を拝借) 下段では、筆者コレクション現有のアスロック次発装填機構の異なる「あさかぜ」(Hai製)と「さわかぜ」(Amature Wagame miniature製モデルをベースにセミスクラッチしたもの)の両者艦橋前部の比較)

Hai製のモデルの最大の魅力は、やや大袈裟に表現されすぎて居ると感じるモデルもなくはないのですが(同社の「はるな級」など)、なんといっても優美に再現されている船体フォルムの曲線で、その一環として「たちかぜ級」の場合には艦首部のナックルが他の3Dモデルではなかなか表現できないと感じてしまうところにあります。

ただ「なかなか入手できない」という難点があり、今回の「たちかぜ級」モデルのケースなどは金額に糸目をつけず、という気合で頑張っています。しかし、すべてのコレクターが同じ状況に置かれて居ると思うので、他の入札者も本気で取りに来る、という想定が必要で、なかなか油断できません。

(追記、今回の投稿が月曜日になったので、結果が出ました。Hai製「たちかぜ級」のモデル、落札できちゃった!10日ほどで到着、でしょうか。さて、艦橋の処理、どうしましょうかね。これもまた「迷走」の一因か?)

 

ということで1:1250スケールのモデルの話から入ったので、こちらの「迷走」状況をまとめておくことにします。

前回投稿でご案内した「現役=現時点:2026.03.28で海自で就役中」の海自護衛艦のモデルコレクションの視点から、護衛艦隊から練習艦隊に移籍し、現在、「練習艦」として就役中の2隻(「しまかぜ:TV-3521 」「やまぎり:TV-3515」)のモデルの仕上げが完了しています。

練習艦「しまかぜ:TV-3521 」

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(練習艦「しまかぜ:TV-3521」の概観:121mm in 1:1250 by F-toys)

元は海自の第三世代のミサイル護衛艦「はたかぜ級」の2番艦です。ターター・システムの搭載艦としては最終世代に属し、イージスシステム搭載艦以前の従来型ミサイル駆逐艦としては頂点にあるとされていました。しかしシステムの陳腐化は否めず、ネームシップである「はたかぜ」と共に最終キャリアを練習艦として終えることになりました。「はたかぜ」は2025年3月に練習艦籍からもはずれ退役(?)していますので、現在(2026年3月時点)では「しまかぜ」のみ、練習艦として就役しています。

www.mod.go.jp

 

練習艦「やまぎり:TV-3515」

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(練習艦「やまぎり:TV-3515」の概観:108mm in 1:1250 by F-toys)

同艦は「あさぎり級」汎用護衛艦の2番艦として1989年に就役、2004年に一度練習艦籍に変更されましたが2011年に護衛艦籍に再度変更されました。同級の他艦は現在地方隊所属の所謂二桁護衛隊に所属し、地方隊の基幹戦力となっていますが、本艦のみ2025年に再度練習艦籍に移行しています。

www.mod.go.jp

練習艦「かしま」のモデルについて

前回も触れましたが、この練習艦隊には護衛艦からの転籍ではなく専任の練習艦として建造され、練習艦隊の直轄艦でもある「かしま」があります。モデル的にはこちらは素晴らしいディテイルの3Dモデルがかつてはあったのですが、例のShapeways破綻問題で、入手不可能になってしまいました。

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(かつてはShapewaysで調達できた練習艦「かしま」の概観:製作者は日本在住の幕之内弁当三次元造形さんという方で、1:2000スケールの現用艦モデルを主軸に時々1:1250スケールのモデルも製作されていました。上掲の写真は幕之内弁当三次元造形さんのブログに掲載されていた写真を拝借しています。Shapewaysでは確か1:1250スケールでのモデルも供給されていたと記憶しています。ちなみに筆者のコレクションにある試験艦「あすか」(下の写真)はまさにこの製作者さんの作品です)

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**以下余談:このモデル製作者の幕之内弁当三次元造形さんについては、Shapewaysへのご出品時点で、何度かコンタクトを試みていたのですが(2020年ごろ?)、当時からお返事等はいただけず、かつブログの更新も2019年1月で止まっていますので、なおさら入手の方策がありません。残念なことです。

切に再開を希望しているのですが・・・。もしどなたか製作者さんの事情などご存じの方があれば、教えていただけるとありがたいです。

 

とここまでは海上自衛隊の現役の練習艦隊のお話でしたが、以降はもう一つ、これも前回投稿の最後に少し触れた、こちらも入手困難な機種モデルであるHai製「ちくご級」護衛艦の2隻目のモデルを同級4番艦「とかち:DE-218」として仕上げたので、こちらもご紹介しておきます。

 

護衛艦「とかち:DE-218」

ja.wikipedia.org

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(護衛艦「とかち:DE-218」の概観:75mm in 1:1250 by Hai)

同艦は「ちくご級」護衛艦の4番艦です。

1972年に就役、就役後大湊地方隊の所属し、1985年から呉地方隊所属となり、1998年に退役しています。

「ちくご級」護衛艦は第3次防、4次防で、周辺防備を主目的とした小型護衛艦として、11隻が建造されました。

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(「ちくご級」護衛艦のネームシップ「ちくご:DE-215」と「とかち:DE-218」のツーショット)

「ちくご級」護衛艦(DE)

「ちくご級」護衛艦(DE)は、前級の「いすず級」DEの強化改良型で、満載排水量1800トンにやや拡大された遮浪甲板型船型の船体に、主機としてディーゼルエンジン4基を搭載し、25ノットの速力を発揮する設計でした。

兵装は航洋型護衛艦「やまぐも級」DDKに準じた強力なもので、主砲には前級「いすず級」で採用された50口径3インチ連装速射砲を搭載し、搭載数を1基に減じたかわり補助に米軍の上陸し堰堤から転用された56口径40mm連装機関砲を艦尾に装備しています。この40mm連装機関砲は第二次世界大戦のベストセラーともいうべき優秀な対空機関砲でしたが、既にこの時点で高速ジェット機や対艦ミサイル等への阻止能力は期待できず陳腐化していて、次世代の90l口径35mm連装機関砲への換装が予定されていましたが、実現しませんでした。

対潜兵器としての目玉は、前級の「ウエポン・アルファ」や「ボフォース対潜ロケット」等の無誘導の対潜火器に代えて「アスロック」と対潜誘導短魚雷を搭載したことでした。特に「アスロック」の採用で対潜制圧域が格段に拡大されました。しかし小さな船体という制約下で、次発装填用の予備弾の収容スペースがなく、ランチャーに搭載された8発のみの搭載でした。

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(「ちくご級」の主要兵装の配置:上段写真)艦首にMk.33 3インチ連装砲塔、三連装対潜短魚雷発射管:下段写真)アスロック発射機、40mm連装機関砲、爆雷投射機と投下軌条)

アスロック

ja.wikipedia.org

アスロックは同級における対潜装備の目玉と言ってもいいと考えています。

アスロックは対潜誘導魚雷をミサイルの先端に弾頭として搭載したもので、発射後は、事前に入力された飛翔距離で弾頭(魚雷)が切り離され、パラシュートにより軟着水した魚雷が捜索パターンで目標を探知し撃破する、というものであり、着水後の魚雷による目標補足能力の活用から、従来の対潜ロケットとは次元の異なる長射程での攻撃が可能となったとされています。(射程:800-9100m)

当初は専用の8連装ランチャーからの発射が主流で、「やまぐも級」もこの形式で搭載されました。後にはターター・システム(Mk.26 GMSL)、あるいはVLSなどからの発射も可能となり、現在も多くの海軍で使用されています。

対潜短魚雷とMk.32短魚雷発射管

ja.wikipedia.org

こちらも西側諸国の対潜兵装としてはベストセラーで、高速化した第二世代の誘導式の対潜短魚雷による近距離対潜水艦戦を支えるスタンダード兵装と言っていいでしょう。

 

同級は元々は地方隊配備用でしたが、航洋型護衛艦の配備遅れから一部は護衛艦隊に組み込まれました。1982年からは全てが地方隊配属となり、永らく地方隊の主力を担ってきましたが、「はつゆき級」汎用護衛艦が旧式化から護衛艦隊を離れ地方隊へと転属されるに伴い順次退役を開始し2003年には全ての艦が退役しました。

モデルコレクションの視点からのお話(Hai製モデルとDelphin製モデルの比較のお話)

今回ご紹介したモデルはHai製のモデルで、低い喫水、船体の優雅なフォルムなど秀逸だと思っています。Hai製のモデルの特徴として、これは冒頭の「たちかぜ級」護衛艦への入札のパートでもお話ししたとおり艦首のナックルの再現を上げておきます。モデルによってはやや大袈裟となり、少し削りたくなったりするのですが、この「ちくご級」のモデルについては惚れ惚れするバランスだと思っています。

課題があるとすれば、中々、手に入れられない、と言うこと。流通量が少ないのかな?

一方で比較的入手しやすいモデルとしてはDelphin社製のモデルがあるのですが、やや直線的に過ぎると言う評価です(すみません。全く個人的な感想です)。

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(Hai製モデル(上段)とDelphin製モデルの比較をしたものです。上述のHai製の優雅なフォルムと言う筆者の上ている「優位点」がご理解いただけるといいなあ、と思って掲載しています(写真は例によってsammelhafen.deから拝借しています))

Delphin製モデルについては筆者のコレクションでは、市販モデルのない「いすず級」護衛艦のスクラッチモデル製作の際のベースとして活躍していただいています。Delphin社のモデルは構造物がパーツ化されていて(これが直線的な表現の原因かもしれませんが)分解しやすく、こうした改造のベースとしては大変重宝します。

しかし、直線から曲線を表現すると言う作業は、結構、大変な作業で、特に1:1250スケールの艦船モデルの多くが金属製のモデルですので、金属ヤスリを多用することになります。一方で、4センチほどの小さなモデルですので、全て手作業になります。金属を削るため力が入る作業でありながら、しかし小さなモデルに手を入れる繊細な作業にもなります。薄い船体の削り出しなどでは、削り方によっては船体に歪みを生み出したり、最悪のケースでは船体が分離してダメにしてしまうことも(入手しやすい、と言うところはその辺りは勇気を持ってチャレンジできるので、ついやりすぎちゃう、と言うことでもあるのですが)。

でも出来上がったモデルに対する愛着は「ひとしお」です。

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(上の写真は、Delphin社製の「ちくご級」をベースにセミスクラッチした「いすず級」のモデル:ネームシップ「いすず:DE-211」就役時の概観)

と言うことで、ここまでは、1:1250スケールモデルのお話でした。

 

ここからはもう一つの迷走軸のお話。

フェアリーランド王国陸軍の装甲車両モデル群の製作

一点ご注意を。今回ご紹介するモデルでは、残念ながら既成の市販品は筆者が知る限りありませんので、全て原作「砂漠のウサギ」と関連する資料内での原作者の記述にヒントを得た筆者の「妄想」モデル(多くは既存モデルの組み合わせや、軽作業的なセミ・スクラッチ)です。

 

少し原作についてのおさらいを。前回投稿から引用します。

「砂漠のウサギ」とは

この作品はM .WOLVERINEさんがお書きになったコミックで、筆者の知る限りでは全6巻が刊行されています。完結しているのかどうかは、まだ全て入手していないので、また後日ご報告したいと思います。第1巻の刊行が2007年で、第6巻が2023年に刊行されています。

お話では、第二次世界大戦で連合国側に立って参戦したフェアリーランド王国の戦車部隊が北アフリカ戦線で奮闘する姿を描いておられます。

第1巻のタイトルが「1941年6月〜11月の戦い」となっていて、現時点での最終巻である第6巻のタイトルが「1942年7月〜8月の戦い」となっていますので、史実での北アフリカ戦線と照らし合わせてみると、連合国が枢軸軍に包囲されたトブルク解放を目指して発動し失敗に終わったバトルアクス作戦からエル・アラメインでの戦闘と戦線膠着、戦局をその後打開するモンゴメリーの着任あたりまで、という時期にあたります。

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(早速入手した左から1巻から4巻:小さい文字ですが、タイトルの右横に、年代が入っています)

まだ読了していませんが、フェアリーランド王国の設定や、歴史背景、兵器の設定資料、開発系譜(筆者が大好きなパートです)などが随所に散りばめられていて、筆者や本稿にお越しいただいている読者の皆さんのようないわゆる「ミリオタ」的要素を幾分か持った方にとっては実に楽しい作品になっています。

北アフリカ戦線というと、通常はロンメルとドイツ・アフリカ軍団の独壇場、という感じなのですが、物語では、フェアリーランド王国軍は防衛担当地域が内陸部、カッターラ低地前面で、主にイタリア軍と対峙する、という設定になっているところも、何ともマニアックだなあと。

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(「砂漠のウサギ」第一巻 17ページより)

カッターラ低地というと、上の地図にある通り、リビア砂漠に広がる18000㎢にわたって広がる巨大な窪地で、最も低いところでは海抜マイナス133m(海面よりも133m低い)で塩沼や断層崖が広がっていて車両(特に戦車)の通行は困難と言われている地形です。雨季には洪水が発生することも。これを淵に沿って迂回する回廊部分をフェアリーランド王国軍は防御しているわけです。

(前回投稿の引用はここまで。もっと知りたい方は前回投稿を、是非)

fw688i.hatenablog.com

 

原作者さんとのコンタクトが実現

実は前回投稿後、原作者さんとコンタクトをさせていただく機会を得ました。作品のご紹介と一部内容の引用のお断りをさせていただいたのですが、その際に筆者未入手の5巻、6巻とその他の関連エピソード(これが増援された自走砲部隊の活躍だったりして、やはり「ミリオタ」の琴線を熟知されている!)や登場車両をまとめた資料をいただきました。

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(上下の写真は、今回原作者さんからいただいたスピンアウトエピソードの冊子:上は表紙で、下は登場するオメガ部隊(第16機甲猟兵中隊)の編成図。2種の自走砲はいずれの本稿前回でご紹介した「ハイドライド巡航戦車」の車体をベースに改造された戦闘車両です。「ハイドライド巡航戦車」のキットが見つからないかなあ。編成下段にある「メジャリングワーム巡航戦車」のガレージキットはフェアリー企画さんのセットには入っているようですので、なんとかこのセットを調達せねば・・・)

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実は上述の原作者さんとのコンタクトの際に、「もしかするとフェアリー企画さんのガレージキットがいくつか見本でもらっているかも」とのことで、「見つけたら連絡します」ともおっしゃっていただいています。Yahooオークションでのサーチはもちろん続けていますが、こちらはかなり期待大かも(期待しないで待っててね、とおっしゃっているのですが、期待しちゃいますよね。ただ、今回書かせていただいているように、模型製作の手順的にも、何より筆者の頭の中が迷走状態ではあるので、時間はたっぷりかけていただいて良さそうです)

 

で、原作について驚きの事実が・・・。

「砂漠のウサギ」:1942年8月で完結の理由

フェアリーランド王国は中東の自国領防御の視点から、イタリア軍(ロマーニャ軍)のエジプト侵攻を阻むため、英国側に立って北アフリカ戦線に部隊を送っているのですが、実はあまり英国との関係がよろしくない。これは元々、本国(ヒルベニア=アイルランド)におけるイングランド支配とそれに対する抵抗運動の歴史(これは現存するアイルランドと英国の関係から推測していただければいいかと)と、キリスト教主流のヨーロッパ文化圏の中でのフェアリーランドの宗教的な立ち位置(自然由来の多神教という整理は乱暴かもしれませんが)に歴史的素地があるのだろうと思います。その素地に加えて、第一次世界大戦後に正式に王国に編入されたフェアリーランドの中東2州(キプロス=モクスター州、レバノン=ラ・デューン州)と信託統治領(?)となった「暫定シリア地域」の成立により中東での王国の存在感は増大したわけで、同地域で長く影響力を維持してきた英国にとって面白くありません。さらには英国領南アフリカに隣接する王国の南アフリカ自治領(タバス州=モザンビーク)での融和的政策による文化圏形成も、南アフリカで露骨な差別主義政策による支配を続けてきた英国には頭の痛い存在でした。

一方、北アフリカ戦線に投入された王国軍は第二次世界大戦開戦後に新設された第六軍のうち一個機甲師団(第六機甲師団)を基幹戦力として編成された第六軍団でした。

前回投稿では第六軍と第六軍団はほぼ同義、と言うような筆者の勝手な解釈を述べたのですが、誤りでした!ごめんなさい。第六軍は二個機甲師団と機械化歩兵一個師団を基幹として編成中で、そこから編成ずみの第六機甲師団にいくつかの部隊を加えて、北アフリカ戦線向けの第六軍団が編成された、という解釈が正しいようです。どうも第六軍はシリアまで拡大された中東諸州の防御に主軸を置いて編成された一種の機動軍で、第六軍司令部は(もしかすると王国政府自体も)北アフリカへの戦力展開には消極的だったようです。

というわけで、一個機甲師団基幹と戦力は小粒ながら機動性に優れた装甲車両とそれを駆使した戦術で(その後の記述で同軍団の将校の多くが、ドイツの士官学校で、しかもかの高名なアフリカ軍団指揮官の元で学んだ、などの事実が明らかにされてゆきます)、イタリア軍(ロマーニャ軍)のエジプト侵攻を食い止める戦いでは大きな働きをしました。

しかし、この事がかえって誇り高き(?)英国の現地部隊の不興を買い、海岸線の鉄道利用による補給優先度を下げられたりして、先遣した一個機甲連隊をすり潰すほどの消耗戦を展開せざるを得ませんでした。これと交代で北アフリカ戦線に移動した機甲連隊の物語りが「砂漠のウサギ」なのです(多分。だから1941年6月からこの物語は始まっているんですね)。ですので、主人公たちの部隊は、慢性的に補給不足と定数不足に悩まされ続けながら、優勢なイタリア軍(ロマーニャ軍)とこれに加勢するギリシア軍(オリュンポス軍)との戦闘に直面する訳です(なぜかこの物語では、ギリシアはイタリアと同じ、枢軸側で参戦しています)。

このような事情で、味方でありながら亀裂が深まっていった英国との関係を決定的にするのは、1942年7月のフェアリーランド国王(女王)フェアリアン・エータによる「ゴッドランド(現在のトルコにある王国)との連合王国形成と連合王国元首への就任」の宣言でした。ゴッドランドは王国でありながら王の不在期間とその混乱状態が長く続いていて、この就任宣言で、中東に強大な王国が生まれると共に、既成勢力との軋轢など物語の種がいくつもありそうなのですが、「それはまた別のお話」なんでしょうか。

いずれにせよこの連合でフェアリーランドは英国との同盟を離脱し、中立へ向かうことになります。こうして彼らの北アフリカにおける戦いは幕をおろし、「砂漠のウサギ」は完結するのです。

今回いただいた「WWIIのフェアリーランド王国戦闘車両」という冊子には、おそらく後日談的にその後欧州連合の一員となってヨーロッパ大陸の防衛に参画してゆく、という一文が記されています。

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(上下の写真は、今回原作者さんからいただいた戦闘車両情報の冊子です:上は表紙で、下は後日談である「欧州連合」の規格車両のページです。ご覧のように、全てドイツ軍の車両です。さらに驚くべきことに、右下には「V号=パンサー F型」の記載があります。AFVに興味のある方ならお分かりと思いますが、この小型化した砲塔を搭載したタイプのV号戦車はは、第二次世界大戦時には砲塔の試作までしか完了しておらず、いわゆる「架空車両」の類です。これが実装されているとなると・・・。ああ、妄想が膨らんでゆきます)

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その流れで装備を「欧州連合規格」に合わせてゆく、という記述があるのですが、この規格車両がすべて第二次世界大戦期のドイツ軍の戦闘車両になっているというのは、一体どのような第二次世界大戦が戦われたのか、おそらくAFVファンにとってはドイツ軍の戦闘車両が主流になる、というのはある種「嬉しい」仮想ではあるのだろうと思うのですが、ではドイツ自体がどのような変貌を遂げたのか、欧州連合の参加国はどこなのか、仮想敵は誰なのか、等々、興味は尽きません。

 

前回投稿でも触れた気もしますが、実は筆者はコミックに関しては恐ろしく遅読で、しかも今回のようにある程度史実と同期させて理解することで面白さが増すような仮想世界の場合には、都度、関連する事項や事件の確認をしたり資料を当たったりするので、多分、コミックを読み慣れていらっしゃる方からすると、信じられないくらい「読み進めていない」のです。この話をすると「真剣に読んでるのか?」と時折叱られたりします。

と言いつつも「いただいた巻には目を通さねば」などとおかしなところは「律儀(自分で言うか?)」なので、2巻までと最終の5巻・6巻を読み終えていて、いわゆる中飛ばしになっています。ですので上のまとめも推測で埋めているところが多いのです。もしかすると未読部分にちゃんと記述があるのかもしれませんが。

ですので理解違いなどあれば、都度、「驚きの事実が」などと、適宜修正します。何卒ご容赦ください。

 

とまあ、長々と書きましたが、今回の成果は「砂漠のウサギ」が6巻で完結したのは、フェアリーランドが連合国を離脱し中立に移ったから、ということだった、ということです。

実は作者さんとのコンタクトで、北アフリカ戦線の後(つまり「砂漠のウサギ」の後、「王国軍はイタリア戦線に参加するのですか。迷彩塗装の見通しをつけておきたいのですが」なんて質問したものですから、「コイツ、ほっとくとダメだわ」と呆れられて資料を送ってくださったのかもしれません。

 

ということで今回は歩兵戦車と南アフリカ自治領からの支援車両など、手持ちの1:144スケールのAFVモデルのストックパーツなどでせミ・スクラッチしてみましたので、そちらをサクッとご紹介します。

フェアリーランド陸軍の歩兵戦車の系譜 

フェアリーランド王国軍の戦車には、当初、二つの流れがありました。

一つは前回投稿でご紹介した「巡航戦車」。こちらは高い機動性を有し戦線の背後に浸透し敵戦力を撹乱し包囲殲滅に結びつけることを念頭に置いて設計されていました。

もう一つはここでご紹介する歩兵戦車で、重装甲を有し歩兵に帯同して敵塹壕を破壊突破する作戦を支援する役割を負っていました。

 

AZER Mk.I

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(前出の「WWIIのフェアリーランド王国戦闘車両」内でのAZER Mk,Iに関する記述部分を抜粋)

フェアリーランド王国軍の最初の量産型歩兵戦車で、第二次世界大戦開戦時には80両が完成していました。

車長7310mm、車幅:3250mm、38トンの車体を持ち、時速34kmで路上走行ができました。最大装甲は100mmで、33口径の75mm砲と機銃2丁をを搭載していました。

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(写真はAZER Mk.Iを想定し製作したセミ・スクラッチモデル:車長51mm, 車幅21mm  模型的一言:車体には寸法から英国のチャーチルの車体を流用しています(Arrowhead Miniature製?:同社のモデルはメタル製で少し寸法が大きいのが特徴です)。砲塔はレジン製のストックから角部分を丸く形状修正しています。砲塔側面には補助装甲的なキャンバス製の収納材を追加してみました)

 

AZER Mk.II

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(前出の「WWIIのフェアリーランド王国戦闘車両」内でのAZER Mk.IIに関する記述部分を抜粋)

AZER Mk.Iの砲塔形状の改良版で、車体の大きさ等は変わらず、最大装甲を20mm追加し、さらに搭載砲も長砲身のもの(42口径)に強化されています。少数が北アフリカ戦線に投入されました。高い登攀能力から、戦車には不適とされていたカッターラ低地でも行動できるとされていました。

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(写真はAZER Mk.II を想定し製作したセミ・スクラッチモデル:車長51mm, 車幅21mm  模型的一言:上掲のAZER Mk.Iと同じモデルを車体に流用し、砲塔も同社のチャーチルのものを流用、側面に追加装甲の役割も果たすとされた装甲収納庫を追加しています)

 

AZER Mk.IV

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(前出の「WWIIのフェアリーランド王国戦闘車両」内でのAZER Mk.IVに関する記述部分を抜粋)

1940年ごろ、つまり未だ英国との関係がそれほど悪くなかった時期、英国製の17ポンド砲をAZERの次期タイプに搭載する計画がありました。車体全面を傾斜装甲にするなど、車体本体にも改善計画が組まれていました。

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(写真はAZER Mk.IVの開発段階で、17ポンド砲搭載を想定し開発された新型砲塔のテスト、という想定で制作したAZER Mk.IIb のセミ・スクラッチモデル:車長51mm, 車幅21mm  模型的一言:砲塔にはArrow Head Miniature製のファイアフライの砲塔をベースに、追加装甲的な側面の装甲収納庫を追加するなどしています)

下の写真では、上掲の3形態の砲塔の比較をしています。(上からMk.I:33口径75mm砲搭載)、Mk.II:42口径75mm砲搭載、Mk.IV:17ポンド砲搭載の順)

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南アフリカ自治領からの増援部隊の車両群

北アフリカ戦線担当の第六軍団には、南アフリカ自治領(タバス州=モザンビーク)の治安部隊から増援車両が送られてきました。

MOTORHEAD MBT

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(前出の「WWIIのフェアリーランド王国戦闘車両」内でのMOTORHEAD MBTに関する記述部分を抜粋)

戦間期のベストセラー戦車の一つと言って良いであろうビッカース社の6T(6トン)戦車をベースに南アフリカ自治領向けに仕様変更をした戦車です(上掲の冊子の説明ではポーランド陸軍の7PTをベースに、という記述が見えますが、エンジンフード部分などが通常のビッカース6Tとほぼ同様ですので、元々7PTもビッカース6Tベースのポーランド軍仕様であることもあり、このような表現にしています)。

上掲の説明ではビッカース製の37mm砲を搭載していました。

ja.wikipedia.org

ビッカース6Tは、7トン強の最大装甲13mmの車体を持ち、時速35kmの速度を発揮することができる戦車でした。乗員は3名でしたので、車長は多くの役割をこなす必要があったでしょうね。

黎明期戦車のベストセラーの一つで、日本も含む10カ国に輸出され、各国陸軍において戦車導入期において、ルノ-FT戦車やカーデン・ロイド戦車などによる入門期を経て、本格的装甲車両で構成された部隊運用導入へのベンチマーク的な存在でした。その中でもポーランドでは7PTとして、ソ連ではT26として、それぞれライセンス生産され、さまざまな砲塔形式や武装形式などヴァリエーションが生産され、一時期の主力戦車となりました。

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(写真はMOTORHEAD MBTを想定したモデル:車長32mm, 車幅16mm  模型的一言:ほぼビッカース6Tをそのまま。砲塔上に車長用キューポラを追加した程度です)

 

MOTORHEAD Mk.II MBT

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(前出の「WWIIのフェアリーランド王国戦闘車両」内でのMOTORHEAD Mk.II MBTに関する記述部分を抜粋)

MOTORHEAD MBTの搭載砲と装甲を強化した南アフリカ自治領部隊の主力戦車です。主砲には南アフリカ自治領でのゲリラとの戦闘で鹵獲されたブレダ社製の47mm砲をコピーして搭載したとされています。搭載砲の強化に伴い、砲塔が大型化しています。

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(写真はMOTORHEAD Mk.II MBTを想定したモデル:車長32mm, 車幅16mm  模型的一言:車体は上掲のビッカース6Tをそのまま。大型の砲塔にブレダ社の47mm砲を搭載(実際に47mm対戦車砲のモデルから移植しています)砲塔上に車長用キューポラを追加した程度です)

下の写真ではMOTORHEAD MBT(上段)とMOTORHEAD MK.II MBTの砲塔の比較を。
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MOTORHEAD MBTベースの対戦車自走砲 

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(前出の「WWIIのフェアリーランド王国戦闘車両」内でのMOTORHEAD MBTをベースにした対戦車自走砲に関する記述部分を抜粋)

MOTORHEAD MBTの初期型車体をベースとして、対戦車自走砲や突撃砲が生産されました。搭載されているのは75mm砲?

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(写真はMOTORHEAD MBTをベースとした対戦車自走砲を想定したモデル:模型的一言:実は寸法がほとんど一緒だということに気がついたので、ドイツ軍の「マーダーIII対戦車自走砲の上部構造をそのまま使用しています。足回り=キャタピラ周りのみ、ビッカース6TベースであるT -26のものを流用しています)

 

URUSURA 76.2mm GUN TRUCK

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(前出の「WWIIのフェアリーランド王国戦闘車両」内でのURUSURA 76.2mm GUN TRUCKをに関する記述部分を抜粋)

南アフリカ自治領部隊が開発した対空自走砲車です。長砲身・高初速である高射砲は、対戦車戦でも絶大な威力を発揮したことは、皆さんもご存知かと。同様の威力を北アフリカ戦線に投入された自走砲車も発揮したはずです。

同砲は本来は高射砲ですので、陣地に据え付けて射撃精度を確保する運用が想定されています。したがって移動の際には車両で牽引する構造なのですが、対戦車戦を想定すると、その方式では迅速な部隊の機動へ帯同できません。そこで少し乱暴に「牽引車に乗せちゃえよ」という車載方式が考案され、乗せるなら車両を砲台として使えるようにしよう、と車両構造にも手が加えられるわけです(本当か?)。

 

(上の写真は、このコミックの主人公たちが被弾した「55号車」の修理中に受領した代替の「ウルスラ自走砲車」 http://www.linkclub.or.jp/~wol/wol_10_army_01.htmより拝借しています)

「砂漠のウサギ」の冒頭で、主人公等の損傷修理中の戦車の代車としてあてがわれたのが、南アフリカ自治領から送られてきた同車でした。

こちらは南アフリカ自治領から北アフリカ戦線部隊への支援物資かつ実戦テストを兼ねて届いた10台のうちの1台で、本来は自走砲部隊に提供される予定でした。しかし前線の技術部門が、うるさく修理を催促する「55号車」搭乗員に対して、代替車両として独断であてがった、という経緯がありました。搭載する76.2mm砲は本来は高射砲なのですが、対戦車戦でも取り回しがいいように、砲身が少し切り詰められていたようです。それでも76.2mmという大口径砲は1941年当時の北アフリカ戦線では威力絶大だったのですが、射撃時にはジャッキアップによる車体の固定が必要で、即応性には課題がありました。

固定ぜずに射撃しようものなら、こんなことに。

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(「砂漠のウサギ」第一巻 42-43ページより)

実は筆者をここまでこの作品にのめり込ませたのは、このエピソードでした。「ああ、これは作ってみたい」という衝動から、筆者の新たな迷走は始まった、と言っても過言ではありません。

要は、それほど興味を持った、ということですね。

模型的な視点:URUSURA GUN TRUCK的なものを作ろう

もしかすると、このURUSURA自走砲車のモデル、筆者がまだ入手できていないフェアリー企画さんの「セット」には含まれているのかもしれませんが、1:144スケールの75mm級の対空自走砲車、というのが市販モデルがなかなかなくて(90mm級ならあるんですが、ちょっと大きすぎる気がします)、自作することになるのですが、高射砲は日本軍の「八八式七糎野戦高射砲」(口径は75mm)、トラックはIMAIが発売していた古い双発機のセットにおまけ的に入っていた貨物トラックのストックを用いることにしました。貨物トラックですので、荷台があるのですが、荷台に砲を乗せてしまうと設置位置が高くなりすぎます。それで荷台は乗せず、車台に直接、台座を設置する、という形式にしてみました。

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(写真はURUSURA GUN TRUCK的な自作モデル:高射砲は台座に固定してあるのですが、台座はトラックの車台に乗っているだけなので、台座ごとであれば回転できます。固定射撃が前提なので、本当はジャッキ類を追加したいのですが、もう少し考えてみます。使えるパーツがなくはないが、ちょっと勿体無いなあ)

トラックのドアには「55」のマーキングがあるのですが、これはもちろん「砂漠のウサギ」の主人公である「55」号車を表しています。

という次第で、実は前回投稿でご紹介した巡航戦車についても、ヴァリエーションの追加作成や、修正、上記のような車番マーキングの追加など、アップデートがあるのですが、それは次回以降でご紹介、ということにしたいと思います。

ということで今回はこの辺で。

 

次回は、今回の続きで「砂漠のウサギ」関連のモデル作成を予定しているので、おそらくそちらをご紹介します。さらに、計画のみで終わった旧帝国海軍の幻の1000トン級駆逐艦の計画:F44計画駆逐艦の製作準備が整ってきたので、そちらのご紹介、そんなところを予定しています、

もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

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