相州の、ほぼ週刊、1:1250 Scale 艦船模型ブログ

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

新着モデルのご紹介:リッサ海戦時のオーストリア海軍砲艦モデルの到着とその周辺

本稿では以前、以下のような投稿をおこなっています。

fw688i.hatenablog.com

上掲の投稿では、蒸気推進装甲艦を主力とした艦隊同士の史上初の海戦と言われる1866年のリッサ海戦に参加したイタリア・オーストリア両海軍の砲艦の艦級をご紹介しています。この海戦に、オーストリア海軍は、装甲艦で編成された第一戦隊、木造戦闘艦で構成された第二戦隊、そして小型艦で構成された第三戦隊の3部隊を投入しており、第三戦隊は「ダルマト級」木造砲艦3隻、「レカ級」木造砲艦4隻、「ケルカ級」木造砲艦2隻、これに外輪推進式の砲艦(武装商船?)1 隻を通報艦として加えた10隻で編成され(序列では4隻の通報艦が含まれている表記もあります)、ルートヴィヒ・エベーレ(Ludwig Eberle) 少佐(Lieutenant-Commander)が指揮していました。

上記の投稿時点では、未保有だった「ケルカ級」砲艦のモデルが入手できたので、ご紹介しておきます。

 

「ケルカ級:Kerka class」砲艦1860年ごろ就役:同型艦2隻)

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(「ケルカ級:Kerka class」砲艦の概観:42mm(水線長) in 1:1250 by FK=Friedrich Kermauner:マストが気になるので真鍮線等で手を入れています。マスト周りのネット仕上げも最近の筆者の標準的なものを施しました。下の写真は同級の細部の拡大)

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同級は501トンの船体を持つ木造砲艦でした。手元の資料では48ポンド前装滑空砲(SB)2門と24ポンド後装ライフル砲2門を装備していた、とありますが、少しこの情報は怪しい気がします。モデルを見ても上甲板状には2門の大砲しか見えません。建造年次は前出の2級よりも1年古く、この「ケルカ級」がベースとなって砲艦の各艦級へと発展したと考える方がしっくりくるのですが。

いずれにせよ、本稿ではこれまで何度か記述していていますがオーストリア海軍の主要任務が同帝国が唯一の接続海面を持つアドリア海島嶼地域での警備・治安活動であったことを考えると、こうした小型で取り回しの良さそうな艦種をある程度の数を揃えることは艦隊整備計画にとって重要な検討項目の一つだったと言えると考えています。

****これもこれまでに何度か記述しているように記憶するのですが、オーストリア海軍のこれらの艦級についての情報があまり見当たりません。どなたか詳しい方がいらっしゃったら、参考情報のありか、あるいはお持ちの情報をシェアしていただけないでしょうか?

現在、筆者が参考としている資料

https://mateinfo.hu/oldmate/a-navy-lissa.htm

https://military-history.fandom.com/wiki/Battle_of_Lissa_(1866)

https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_ships_of_Austria-Hungary

 

一応、すでに上掲の投稿でもご紹介済みですが、他の二艦級についても再掲しておきます。

「レカ級:Reka class」砲艦(1861年ごろ就役:同型艦4隻)

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(「レカ級:Reka class」砲艦の概観:45mm(水線長) in 1:1250 by Sextant:Sextantモデルの共通課題だと筆者は考えていますが、マストが気になるので真鍮線等で手を入れています。前回投稿から少しトライしているマスト周りのネット仕上げも取り入れてみました:下の写真は同級の細部の拡大:備砲の搭載形式など、同級の特徴がわかっていただけるかと)

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同級は18561年ごろに4隻が建造された木造蒸気推進砲艦です。2等砲艦に区分され、852トンの船体に、48ポンド前装滑空砲(SB)2門と24ポンド後装ライフル砲(RBL)2門を船体中央の首尾線上に装備し、11ノットの速力を発揮する設計でした。

「リッサ海戦」には「レカ:Reka」「ゼーフント:Seehund」「ヴァル:Wall」「ストレイター:Streiter」の同型艦4隻全てが、第3戦隊として参加しました。

 

「ダルマト級:Dalmat class」砲艦(1861年ごろ就役:同型艦3隻)

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(「ダルマト級:Dalmat class」砲艦の概観:57mm(水線長) in 1:1250 by Sextant:こちらも同様にマストが気になるので真鍮線等で手を入れています。前回投稿から少しトライしているマスト周りのネット仕上げも取り入れてみました:下の写真は同級の細部の拡大:備砲の搭載形式など、同級の特徴がわかっていただけるかと)

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同級は18561年ごろに3隻が建造された木造蒸気推進砲艦です。2等砲艦に分類され、869トンの船体に、48ポンド前装滑空砲(SB)2門と24ポンド後装ライフル砲(RBL)2門を船体中央の首尾線上に装備し、11ノット強の速力を発揮する設計でした。

「リッサ海戦」には「ハム:Hum」「ダルマト:Dalmat」「ヴェレビッチ:Velebich」の同型艦3隻全てが投入され、「ハム:Hum」は第三戦隊の旗艦を務めました。

 

リッサ海戦の第三戦隊 通報艦アンドレアス・ホーファー:Andreas Hofer 」(1851年就役?)

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通報艦アンドレアス・ホーファ:Andreas Hofer」の概観:44mm(水線長) in 1:1250 by Hai?:リッサ海戦時には小型の木造砲艦で編成された第三戦隊に通報艦として帯同したようです。下述のようにどうやら武装商船と考えた方がよさそうです。上掲の写真でも上段写真の艦首部に小さな大砲を積んでいるような表現になっているかと)

同艦は770トンの船体に30ポンド前装滑空砲3門を搭載していました。Sextant社のカタログでは客船と分類されていますが、一方、Hai社では武装外輪船(armed paddle wheeler)「元プリンツ・オイゲン」という紹介もあり、前身が同船であれば1851年に建造されたことになります。いずれにせよ、外輪推進式のいわゆる武装商船だったのではないかと思います。この頃の蒸気推進の船は、軍艦・商船に搭載期間や速力等の大差がなく、手頃な商船に武装を搭載して代用軍艦として使用することはそれほど得意な例ではありませんでした。

 

リッサ海戦に参加した通報艦「カイゼリン・エリザベート:Kaiserin Elisabeth」(1854年就役?)

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通報艦「カイぜリン・エリザベート:Kaiserin Elisabeth」の概観:51mm(水線長) in 1:1250 by Hai?)

同艦は1470トンの比較的大きな外輪蒸気船で、上掲の商船転用の「アンドレアス・ホーファ」と異なり、元々、正規の軍艦(外輪式フリゲート?)として建造されました。リッサ海戦時には装甲艦で構成される第一戦隊に通報艦として帯同していたようです。12ポンド前装滑空砲を4門搭載していました。

 

今回登場したモデルの大きさ比較

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(手前から「ケルカ級」砲艦、「レカ級」砲艦、「「ダルマト級」砲艦、通報艦アンドレアス・ホーファ」、通報艦「カイぜリン・エリザベート」の順:砲艦の大型化の経緯がわかります)

 

リッサ海戦ともオーストリア海軍とも関係ないけれども新着モデルのご紹介

プロイセン級:Preussen class」装甲艦(1876年就役:同型艦3隻)

en.wikipedia.org

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(「プロイセン級」装甲フリゲートの概観:74mm in 1:1250 by Mercator:マストは真鍮線で作り直しをし、最近の筆者の標準的なマスト周りの加工をしてあります:参考までに下の写真はMecator製の「プロイセン」モデル。マスト周りがやや単調だと思います。写真は例によってsammelhafen.deから拝借しています)

同級はドイツ帝国海軍が建造した装甲艦で、いわゆる中央砲塔艦の形式の艦級でした。

ドイツ帝国は1867年16隻の装甲艦を中心とした艦隊の整備計画に着手しました。しかし、装甲艦については各列強が様々な試行錯誤を繰り返している状況で、ドイツ帝国海軍も同様でした。例えばその鑑定の大きさは様々で、例えば1865年に整備された「プリンツ・アダルベルト」は、幕末から草創期の日本海軍の主力艦であった「東艦=甲鉄」と同型艦、つまり1500トン級の衝角攻撃に重点を置いた装甲コルベットでした。一方で1868年に計画された「ケーニッヒ・ウィルヘルム」は10000トン近い舷側砲門艦であったりします。

プロイセン級」装甲艦はその計画の中で、初めて整備された同型艦を持ち戦隊での運用も可能な艦級でした。

6800トン級の船体に5400馬力の機関を搭載し14ノットの速力を発揮する設計でした。英海軍の「モナーク級」装甲艦を範にとった船体中央部に26センチ砲を収めた2基の回転式連装砲塔を装備した中央砲塔艦で、17センチ単装砲を艦首と艦尾にそれぞれ補助兵装として装備していました。

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(上の写真は「プロイセン級」装甲フリゲートの主要部の拡大:艦中央部に連装砲塔2基が主要兵装として搭載されています。艦首と艦尾にはh補助兵装として17センチ砲が装備されています。艦首の17センチ砲は少し分かりにくいですが、船首楼内に設置され、モデルでも艦首の砲門から少し方針が突き出ています)

モデルでも分かるように、同艦は艦中央部に連装砲塔2基を搭載した構造から、重心を考慮して艦中央部の乾舷が低く、航洋性に課題がありました。3番艦「グローサー・クルフルスト」では航洋性向上のために舷側に防波板を上げることができる機構が組み込まれました。この気候の組み込みのために「グローサー・クルフルスト」は最も早く着工されたにも関わらず、完成は最も遅くなりました。

3隻の同型艦のうち上記の「グローサー・クルフロスト」は就役直後に衝突事故で失われましたが、残りの2隻は帆装を廃止するなどの近代化改装が施され1890年代まで艦隊で活躍したのち補助艦に移籍し、第一次世界大戦直後に解体されました。

(下の写真は近代化改装後の「プロイセン級」装甲フリゲート:by Mercator写真は例によってsammelhafen.deから拝借しています)

 

ということで、今回は取り止めないモデル紹介になりましたが、この辺で。

 

次回は、進捗次第ではSpithead Miniaturesのフランス艦モデルの進捗状況、あるいは過去投稿の再掲を考えています。

 

もちろん、もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

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