相州の、ほぼ週刊、1:1250 Scale 艦船模型ブログ

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

新着モデルのご紹介:日本海軍最初の戦艦「扶桑艦」と清国北洋艦隊の「定遠級」他

本稿では最近、戦艦の揺籃期、つまり「前弩級戦艦以前の主力艦」のご紹介が続いています。

この傾向は当面続く予定で、今週も日清戦争期の日清両海軍の主力艦であった「扶桑」「定遠級」両装甲艦のモデルが到着しています。

 

装甲コルベット「扶桑」と「定遠級」装甲艦、その他清国海軍の巡洋艦の新着モデル

日本海軍 装甲コルベット「扶桑」

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(上の写真は装甲コルベット「扶桑」の4形態:by WTJ: 手前から日本海軍常備艦隊当時:三檣形態就役時:1887年)、近代化改装後:二檣形態(1894年)、日清戦争当時(1896年)、日露戦争参戦時(1900年)の順:到着素材色のまま、真鍮線等でマスト基部のみ加工しています)(上の写真は「扶桑級」装甲コルベットの4形態:by WTJ: 手前から日本海軍常備艦隊当時:三檣形態就役時:1887年)、近代化改装後:二檣形態(1894年)、日清戦争当時(1896年)、日露戦争参戦時(1900年)の順:到着素材色のまま、真鍮線等でマスト基部のみ加工しています)

清国海軍北洋艦隊「定遠級」装甲艦(戦艦)

(上の写真は「定遠級」装甲艦の3形態:by WTJ: 手前から清国北洋艦隊当時:露砲塔にフード未装着の状態=主砲発砲時のガス、熱気等で、実戦参加時にはフードを撤去することが多かったようです。清国北洋艦隊所属時・露砲塔にフードを装着した状態、と日本海編入後の「鎮遠」(1904年:日露戦争参戦時)の順:到着素材色のまま、真鍮線等でマスト基部のみ加工しています)

ほぼ同時に到着した清国海軍の巡洋艦

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(上の写真はほぼ同時に到着した清国海軍の巡洋艦群です。モデルはBrown Water Miniatures製(Shapeways)です。いずれも到着素材色のまま、真鍮線等でマスト基部のみ加工しています。1番手前は木造スループの「揚武」(Yang Wu)、2番目はは北洋艦隊に所属していた偵察巡洋艦「広甲」(Kwan Chia)、3番目は北洋艦隊所属の防護巡洋艦「済遠」(Ching Yuen)、そして奥が「致遠級」防護巡洋艦(Chi Yuen)、こちらも北洋艦隊に所属していました。いずれも到着素材色のまま、真鍮線等でマスト基部のみ加工しています)

 

例によって下地処理を施した状態をご紹介しておきます。各艦級の詳しいお話は完成時に。

日本海軍 装甲艦「扶桑」4形態(1878年就役:同型艦なし)

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創設時の明治政府海軍は、旧幕府、旧藩からの供出軍艦の寄せ集めでしかなく、海上警備に使用できる本格的な軍艦は「日進」一隻のみという状況でした。1875年度予算で英国に発注された3隻の軍艦の一隻が同艦で、旧幕府から引き継いだ「東艦」以来の装甲艦でした。

3700トン級の船体に24センチ単装砲4基を装備した、いわゆる中央砲郭形式の装甲コルベットで、13ノットの速力を発揮できました。

1898年に二等戦艦に分類され、日本海軍初の戦艦、と呼ばれることがあります。

「扶桑」(1887年)

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(装甲艦「扶桑」:55mm in 1:1250 by WTJ:三檣形態の就役当時の姿)

創設間もない日本海軍常備艦隊設立当時、まだ機帆併装で三檣形態を表しています。中央砲郭に4基の24センチ単装砲(後装砲でした)を収め、砲郭上の両舷に17センチ副砲を搭載していました。

「扶桑」(1894年)

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(装甲艦「扶桑」:帆装全廃後の姿)

近代化改装後、つまり帆装を廃止して、二檣形態(1894年)になった状態です。主要兵装はそのままでした。

「扶桑」(1896年)

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(装甲艦「扶桑」:日清戦争時の姿。速射砲を装備しています)

日清戦争当時(1896年)を表しています。17センチ副砲に変えて12センチ速射砲4基が搭載されました。

「扶桑」(1896年)

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(装甲艦「扶桑」:日露戦争時の姿。副砲として15センチ速射砲を強化しています)

日露戦争参戦時(1900年)の形態です。情景の主要兵装に加え、15センチ単装速射砲2基が増設されました。日露戦争には後述する「鎮遠」と共に、日本海軍の2隻の二等戦艦として、第三艦隊に所属し、索敵や警戒活動などに従事していました。

 

清国海軍北洋艦隊「定遠級」装甲艦(戦艦)(1885年から就役:同型艦2隻)

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清国海軍がドイツから購入した装甲艦です。いわゆる中央砲塔艦で7100トン級の当時のアジアでは他を圧倒する巨艦で、30センチ連装砲塔2基と15センチ単装速射砲2基というこちらの圧倒的な火力を誇っていました。

清国北洋艦隊当時の形態、露砲塔にフード未装着の状態

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(「定遠級」装甲艦:75mm in 1:1250 by WTJ:主砲塔のフードを外した状態です)

同艦では主砲発砲時に発生するガス、熱気等で、実戦参加時にはフードを撤去することが多かったようです。

清国北洋艦隊所属時・露砲塔にフードを装着した状態

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(「定遠級」装甲艦:主砲塔に弾片防御、波浪対策のフードを装備した状態です)

戦利艦として日本海軍へ編入後、日露戦争参加時

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日清戦争後、戦利艦として日本海軍に編入された「鎮遠」装甲艦:速射砲を増備しています)

日本海軍に編入後、二等戦艦「鎮遠」となるわけですが、副砲が長砲身の15センチ速射砲に換装され、さらに各舷に1基づつ増設されました。日露戦争では第三艦隊に編入され、警備・哨戒活動等に従事しました。

 

清国海軍福建艦隊 スループ「揚武」(1875年就役:同型艦なし)

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(木造スループ「揚武」:47mm in 1:1250 by Brown Water Miniatures)

1870年台に清国が建造した「揚武」(Yang Wu)です。1870年台の建造で、1400トン級の当時最大の木造スループでした。旋回式の6.5インチ砲1き、5インチ砲6基を搭載していました。清仏戦争1884年)時の福建艦隊の旗艦でした。馬

江海戦で避雷し失われました。

 

偵察巡洋艦「広甲」(1887年就役:同型艦なし)

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偵察巡洋艦「広甲」:46mm in 1:1250 by Brown Water Miniatures)

偵察巡洋艦「広甲」(Kwan Chia)です。1300トン級の船体に15センチ単装砲3基と10.5センチ単装砲4基を搭載していました。14ノットの速力を発揮することができました。

 

防護巡洋艦「済遠」(1885年就役:同型艦なし)

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防護巡洋艦「済遠」:58mm in 1:1250 by Brown Water Miniatures)

清国がドイツに発注した防護巡洋艦「済遠」(Ching Yuen)です。2400トン級の船体に8インチ連装砲塔1基と15センチ単装砲1基を搭載していました。15ノットの速力を発揮することができました。北洋艦隊に所属して日清戦争に参加。日清戦争後、戦利艦として日本海軍に編入されました。

 

「致遠級」防護巡洋艦(1887年から就役:同型艦2隻)

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(「致遠級」防護巡洋艦:65mm in 1:1250 by Brown Water Miniatures)

清国が英国に発注した「致遠級」防護巡洋艦(Chi Yuen)です。2隻が建造され北洋艦隊に編入されました。2隻共に日清戦争で戦没しています。2300トン級の船体を持ち、21センチ砲を連装砲と単装砲で搭載、さらに15センチ単装砲2基を装備していました。当時としては高速の18ノットの速力を発揮することができました。

 

さらに清国海軍の艦艇については、他にも何隻か発注をかけてます。

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(上の写真は今回ご紹介した清国海軍の各艦級と、現在発注をかけている2隻:清国海軍装甲巡洋艦「経遠級」(King Yuen)と装甲巡洋艦「平遠」(Ping Yuen))

いずれは清国北洋艦隊としてご紹介できるかもしれません。

ということで、今回はこの辺で。

 

次回はいずれか完成形のご紹介などできるかと。

 

もちろん、もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

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