今回は、前回投稿でご紹介した筆者が現在依頼中の海上自衛隊の艦番号とヘリ発着甲板のマーキング用のデカールに続く、次のテーマとしての「船体色の模索」のお話です。
依頼中のデカール
依頼中のデカールについては、発注の意思表示はしたのですが、特に進展の知らせはありません。こうした製作者の多くは自身の趣味の延長である場合が多く、マイペースで作業をされますので、後はお任せするしかありません。多分、出来上がった時点で「はい、出来ましたよ。発送するから支払って頂戴」と請求書を送ってくるのだろうと思います。実は以前、請求書の受信と同時に支払いを送金して「せっかちだなあ」とちょっと迷惑がられました。ですので今回はちょっと我慢です。請求書も送ってこないので、先方も前回の件で懲りているのかも、などと想像したりしています。

コレクションの充実にあたってはデカール問題の解決に伴い、現時点で筆者の関心は船体色の選択に向いています。
これは兼ねてからの懸案であったのですが、筆者の抱えている課題感を簡単に説明すると、特に彩色済のF-toys製のモデル(これは完成度が高く、あまり彩色のし直しなどしたくない)と、その他のモデルの船体色の統一性を考慮する際にどの塗料を選択するべきか、ということになります。作業的にはデカールの転写前に船体色のリファインを済ませておく必要があり、丁度いい検討時期だと言えます。
繰り返しを恐れずに少し前提のお話をしておくと、1:1250スケールのモデルが多くはヨーロッパ製(ドイツ製・オーストリア製・イギリス製が多いのですが)の真鍮製・ホワイトメタル製のモデルであることは、これまだ何度か本稿で触れてきています。
ほとんどが完成品ですので、基本的には彩色済みのモデルが手元に届きます。もちろん気になる箇所があったり、そもそもの塗装に違和感があったりした場合には、モデル全体を彩色し直すケースもあるのですが、多くは一部パーツに対する部分塗装であったり、ディテイル・アップ目的で行う色入れであることが多いため、これまで筆者は素材を問わず定着性の強いエナメル塗料を多用してきました。調達の容易さと重ね塗りの際のカバー力の高さ、筆塗りの際の伸びの良さからタミヤ製のエナメル塗料がその大半を占めています。
これまで海上自衛隊の艦艇には船体の基本色として「ライト・グレー」を用いてきたのですが、F-toysモデルの色はもっと明るめのグレーが基調となっているため、やや違和感を持ち、長い間、より違和感の少ない色を求め続けてきました。
実は今回の模索ではエナメル塗料を離れ、アクリル塗料、ラッカー系塗料までその選択肢の幅を広げて検討してみました。実はこの両者にはいずれも「海上自衛隊護衛艦色」というのがあり、以前から気になっていたのですが、試してみる良い機会となりました。
水性アクリル塗料(VIC製護衛艦色)での試行
下の写真はF-toys製の「あたご」(上段)とアクリル塗料(VIC製)護衛艦色で塗装した「まや級」護衛艦の比較です。

単体で見るとVIC製塗料で塗装した「まや」の仕上がりは重厚感があり悪くないのですが、今回の課題意識の原点がF-toys モデルの軽い船体色(主観です)にどう合わせるか、ということですので、ちょっと違うかなあ、と思っています。
水性アクリル塗料は、その名の通り筆等の手入れも水でできるので手軽で便利なんですが。金属への塗布については下地の塗布が前提だと考えた方がいいと思います。(筆者は通常、金属モデルの部分塗装には下地処理をしませんので、これまであまり使用してきませんでした)
ラッカー系アクリル塗料での試行
次に試したのはクレオスのMr. Color海上自衛隊護衛艦色です。

こちらも一般に広く出回っている模型用塗料の代表格です。金属への塗布には下地作りをすることを前提に考えた方がいいと思います。
下の写真はF-toys 製モデルのストックパーツへの塗布事例です。

ややクレオス製の護衛艦色はF-toys のモデル色に対して「赤み」が強いように思います。艦首の艦番号はしっかりカバーされていますが、船体全体を塗装し直す必要があるかもしれません。
エナメル系塗料(タミヤ製)での試行
筆者お気に入りのタミヤ製エナメル塗料です。(かなり以前ですが「パクトラ・タミヤ」って言ってませんでしたっけ?)
そして下の写真が筆者が常用しているタミヤ製エナメル塗料(ライト・シーグレー)での塗装例です。

こちらもピッタリとはいきませんが、F-toys モデルの船体色とは一番近しいように思われます。(ああ、「ライト・グレー」ではなく「ライト・シーグレー」だったんだ、というのは実は大きな発見でした。なぜこれまで「ライト・グレー」を選んでいたんだろう?)
下の写真では、クレオス製Mr. Color「護衛艦色」とタミヤ製エナメル塗料「ライト・シーグレー」の塗装例の比較をしています。
(左がMr. Color・護衛艦色、右がタミヤ・エナメル「ライト・シーグレー』)

今回筆者が求めているF-toys 製モデルの船体色、「軽い明るめのグレー」との統合船体色候補としてはタミヤ製エナメル塗料「ライト・シーグレー」(右側)を採用することにします。
(余談ですが筆者はMr.Colorの甘い(ように筆者には感じられるのですが)香りがやや苦手ですので、ちょっとホッとしています)
すでにお気付きかと思いますが、筆者の海自の護衛艦はこれまで「ライト・グレー」(タミヤ製エナメル塗料)で塗装されています。
今回の「ライト・シーグレー」への変更でどの程度の差異が生じるかみておきます。
直下の写真は護衛艦「はつゆき級」モデル(Hai製)が船体色の使用塗料変更に伴いどの程度変わるのかを見ています。(上段が従来の「ライト・グレー」、下段が以降採用の「ライト・シーグレー」です)

従来の「ライト・グレー」の塗装を甲板部分はそのまま残して、船体と上部構造を「ライト・シーグレー」に再塗装しています。手前味噌的な感想にならざるを得ませんが、「しまった感じになった」と言っておきたいと思います。
下は再塗装後の「はつゆき級」護衛艦の概観です。

そして更に角部武装関連の拡大を。
これで例のデカールが到着すれば、艦首やヘリ甲板に番号を転写して出来上がりです。海自の護衛艦のうちF-toys製モデル以外の全てのモデルが再塗装対象ですので、かなり気長な作業になるでしょうね。
が、これも楽しみ、「嬉しい悲鳴」の類です。
以下は最近の新着モデルでの塗装事例をご紹介しておきます。各モデルまだ完成ではなく(特にデカールがまだ手元にはないので)、作業途中で、一応基本塗装は完了した、という状況です。
「まや級」イージス護衛艦
(就役:2020- 同型艦2隻 DDG179「まや」、DDG-180「はぐろ」)

(Smelly Cat Worksの「まや級」イージス護衛艦の概観:モデルには「まや級」の表記はなく「27DD+」という表記です。137mm in 1:1250:高密度レジンでの出力で、サーフェサーでサッと下地処理をして写真を撮っています。下の写真は細部の拡大)

このモデルは細部まで再現された素晴らしいモデルです。

(「まや級」イージスミサイル護衛艦の概観:137mm in 1:1250 3D Printing メーカー、Smelly Cat Worksのキット。特に手を入れた他書はありません。強いていうとマストトップを補修)
「まや級」DDGは、「はたかぜ級」DDG の代艦として建造されたイージスシステム搭載ミサイル護衛艦(DDG)です。本級の建造で、海上自衛隊の4個護衛隊群は、その艦隊防空をそれぞれ2隻のイージス艦で賄う事が可能となりました。
本級は「あたご級」DDGの設計を基本として、推進機関を電気推進(COGLAG)に改めたもので、これに伴い、艦型がやや大型化しています。(満載排水量:10250トン、速力30ノット)
搭載するイージス・システムは、弾道ミサイル防衛(BMD:Ballistic Missile Defense)により対応力を向上させたバージョンを搭載しています。
兵装は「あたご級」に準じています。対艦兵装としては、国産の90式対艦誘導弾を4連装キャニスター2基に装備、さらに主砲として62口径5インチ単装砲(Mk. 45)が装備されています。
前甲板にMk . 41 VLSを64セル、艦尾部のヘリハンガー上部に32セルを搭載、ここからSMー2, SMー3と、併せて垂直発射型のアスロックを発射することが可能です。対潜兵装として対潜短魚雷発射管を2基、艦の両舷に配置し、また近接防御兵器としてはCIWS2基を、艦上部構造の前後に配置しています。
前級「あたご級」同様、固有の搭載ヘリコプターは保有しない設定ですが、艦後方のハンガーでは2機の運用が可能です。

(「まや級」イージス護衛艦の主要兵装の配置:62口径5インチ単装速射砲、Mk..41 VLS 64セル、CIWS(写真上段)、ヘリハンガー上に設置されたMk..41 VLS 32セル、CIWS、ヘリコプター発着甲板が設定されています。ヘリハンガーの格納庫シャッターも再現されています(写真下段左)、90式対艦誘導弾4連装発射筒(写真下段右)これもモデルにモールドされているものそのままです)
懸案のF-toys 製「あたご」との比較

「あたご」との比較では外観の差異などは表現されながらも、準同型と言って遜色のないディテイルの再現は保持されれいると思っています。早く艦番号やヘリ甲板のマーキングなど入れたいですね。
以下、参考までにF-toys 製「あたご」のディテイルも掲載しておきます
インジェクションモデルならではのクオリティ、と言っていいかと。
次にこちらの前々回新着モデルとしてご紹介した「もがみ級」多機能護衛艦のモデルを
「もがみ級」多機能護衛艦
(就役:2022-就役中:同型艦:就役中8隻 FFM-1〜8(建造中4隻)

(Smelly Cat Worksの「もがみ級」多機能護衛艦の概観:106mm in 1:1250:高密度レジンでの出力で、写真で細部がわかりやすいように、サーフェサーでサッと下地を作ってあります。下の写真は細部の拡大)

こちらも特にディテイルアップを狙って武装パーツの換装など必要なさそうな素晴らしいモデルです。

(Smelly Cat Worksの「もがみ級」多機能護衛艦の新基本色での塗装後の概観:106mm in 1:1250:高密度レジンでの出力で、素晴らしい外観を示しています)
同級はそれまでの海上自衛隊の護衛艦に見られたシステム化と高性能化に伴う大型化の傾向と一線を画し、任務の多様化を踏まえた多機能化とコンパクト化を両立した設計となっています。それを反映して艦分類記号もDD(駆逐艦)よりは小型のイメージを持つFF(フリゲート)に”Multi-purpose"の頭文字のMを加えたFFMとされています。
ちなみにこれまで海上自衛隊にフリゲートという呼称で艦種分類記号が付与されたのは、その草創期の米海軍からの貸与艦「くす級護衛艦」(1950−60年代)以来です。
満載排水量5500トン級の船体にCODAG方式の機関を搭載し、30ノットの速力を発揮することができます。舷側等の通路を廃止し傾斜平面を多用した船体設計に加え、艦橋部とその上部に設置された複合空中線およびその下部のセンサーが概観上、これまでの海上自衛隊の護衛艦とは大きな差異を示しています。
兵装等は対空戦闘にはSeeRAM近接防空ミサイルシステムを搭載し、対水上戦闘には5インチ砲、遠隔操作型の50口径機銃架を備えています。対艦兵器としては17式艦対艦誘導弾の4連装発射筒を2基搭載しています。艦種部には16セルのMk.41 VLSを設置する設計になっていますが、ここから発射される垂直発射式魚雷投射ロケット(現時点では計画のみ?)と舷側に装備された三連装魚雷発射管が対潜装備ということになります。
(「もがみ級」多機能護衛艦の主要兵装の配置:62口径5インチ単装速射砲、Mk..41 VLS 16セル、艦橋下方の船体にモールドされた開閉部に短魚雷発射管が収納されています。特徴的な統合マスト:UNICORNの後方には2基の重機関銃銃架(写真上段)、ヘリハンガー上にSeaRAM、ヘリコプター発着甲板とヘリハンガーの格納庫シャッターも再現されています(写真下段左)、対艦誘導弾4連装発射筒(写真下段右)が再現されています)
同級の多機能対応を象徴するのが機雷戦装備で、簡易型の機雷敷設装備を搭載し、機雷敷設任務にも対応でき、かつ水陸両用戦に対応すべく対機雷戦ソナーシステムを搭載し、無人機による機雷捜索や機雷除去の装備を搭載しています。
併せて艦尾部にはヘリハンガーを設置し、哨戒ヘリ1機を搭載しています。

(同級の多機能性を象徴する各種の開閉口:機雷戦用の機雷敷設口(下段右?)、無人機雷除去用の水上走行型ドローン(USV)や機雷捜索用の無人水上ドローンなどを搭載し、その運用のための各種の開閉口がモールドされています:下の写真は搭載しているUSV)

Smelly Cat Worksモデルと3D Shipsモデルの比較
筆者は「もがみ級」については以前3D Ships製のモデルを調達済みでした。下が3D Shipsモデル(上段)とSmelly Cat Worksモデルを比較した写真です。

寸法や概観、さらに兵装の配置やモールドの有無には大差がないのですが、大きな差異は上述の舷側の各種の開閉口のモールドの有無でしょう。もしかするとSmelly Cat Worksモデルほど強調する必要はないのかもしれませんが、3D Shipsモデルでは開閉口のモールドは皆無ですので、大きな差異だと考えます。さらに3D Shipsモデルのプリンターでの出力時の積層跡が目立つことも気になります(こちらは丁寧にペーパーなどかければ対処はできそうですが)。
下の写真にある3D ShipsモデルではSmelly Cat Worksモデルに刺激を受けてUNICORN(統合アンテナ)にアンテナ線を追加してみました。いい感じです。
追加で、新着モデルという訳ではないですが、特に上述の「まや級」のモデルに刺激されて「あさひ級」護衛艦のAmature Wargame Figures(Nomadire)のモデルも少しディテイルアップし、新基準色で塗装し直しました。
「あさひ級」護衛艦
(就役時期:2018- 同型艦 2隻:DD119、DD120)

(「あさひ級」汎用護衛艦の概観:121mm in 1:1250 3D Printing メーカー、Amature Wargame Figures(Nomadire)のキット。マストと兵装の一部はF-toysのキットから転用:VLSと対艦ミサイルも他モデルから換装しています:下の写真では各shの兵装を拡大:

さらに下の写真ではF-toys 製の「あきづき級」との概観の比較をしてみました。

やはりディテイルの再現等、F-toys のインジェクションモデルが圧倒的にシャープで優位ではありますが、フォルムはかなりいいのではないかと再認識しました。もしかすると今回ご紹介しているSmelly Cat Works製のモデルがあれば、十分同等に見れるのになるのではないかと期待していまします。
Smelly Cat Worksへの要請
本稿では前々回投稿の際にも記述しましたが、筆者はSmelly Cat WorksのEbayでの出品者に、「あさひ級」モデルの作成の意思の有無を問い合わせています。
実はEbayでは「あさひ級:25DD=「あさひ級」の計画符号」のモデルが出品されています。しかしこれは明らかに誤りで出品されているのは「あきづき級」のモデルなのです。その点を指摘し、修正モデルの上梓をリクエストしてみたのですが、出品者相手では多分真意が伝わらず、「それは計画されていない」との返答でした。F-toys にも今のところ現用艦船キットコレクションでの新作の計画もなさそうですし、Smelly Cat Worksの対応に期待しているのですが。
製作者と直に接触できる方法がないでしょうかね。
「あさひ級」汎用護衛艦について
本級は「あきづき級」をベースとして新型ソナーシステムを搭載し対潜戦闘能力を強化する一方で、僚艦防空の能力を省いたシステムを搭載したタイプとして、建造コスト等に配慮が払われています。
主機には、海上自衛隊の護衛艦として初めて電気式推進を主推進としたハイブリッド推進機関(COGLAG)を搭載しています。これは低速時、巡航時にはガスタービン発電を用いた電気式推進を用い、高速時にはガスタービンエンジンによる直接機械駆動も併用する形式で、燃費に優れるとされています。(満載排水量6800トン、30ノット)
兵装は、基本的に「あきづき級」に準じ、艦首部のMk. 41 VLS 32セルに、発展型シースパロー(ESSM)と垂直発射型アスロック(VLA)を搭載、 主砲には62口径5インチ単装砲(Mk. 45)、対艦兵装として90式対艦誘導弾の4連装キャニスター2基、さらに対潜兵装として対潜短魚雷3連装発射管を両舷に装備、個艦防空用にCIWS2基を搭載しています。
ヘリコプターの運用については、搭載機定数1、搭載能力2機は「あきづき級」に準じたものですが、RASTの機体移送軌条は、2条から1条に改められており、洋上での2機の同時運用は現実的ではないとされています
参考までに、F-toys 製の「あきづき級」汎用護衛艦のモデル概観
(「あきづき級」護衛艦の概観:121mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをほぼストレートに組んだもの:下の写真は各種兵装の拡大:(上段写真)艦首部の主要兵装。Mk. 41 VLS 32セル:発展型シースパロー(ESSM)と垂直発射型アスロックを搭載しています: 主砲:62口径5インチ単装砲(Mk. 45)とCIWS:(下段左写真)哨戒ヘリの発着甲板とハンガー、ハンガー上のレーダードーム:(下段写真右)対艦ミサイル発射筒)

細部まで表現の行き届いたF-toys 標準ともいうべき素晴らしいモデルです。
ということで、今回は以降のモデル作成における海自護衛艦の標準塗装色を決めた、というご報告と、それに準じた新着モデルの作成状況のアップデートでした。
次回はこの続きで筆者の海自護衛艦の既存コレクションの再塗装のお話か、或いは別途進行中の「旧ソ連・ロシア海軍の小型艦艇」モデルの一部(ミサイル艇?)のご紹介でも。
もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。
模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。
特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。
もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。
お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。
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