相州の、1:1250スケール艦船模型ブログ 主力艦の変遷を追って

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

日本海軍:大戦期の駆逐艦(その1)

 

今回は大戦期の日本海軍の駆逐艦のお話です。

 

本稿ではこれまで「艦隊駆逐艦 第1期の決定版」として「峯風級」とその系列の最終形である「睦月級」をご紹介しました。その再録も含め、終戦までの全艦級のご紹介です。

下表は太平洋戦争に投入された日本海軍の駆逐艦の一覧です。

列1 竣工年次 同型艦 残存数 基準排水量 速度 主砲口径 装備数 魚雷口径 装備数2 魚雷搭載数
峯風級 1920 12 4 1215 39 12 4 53 TTx3 6
峯風級改装:哨戒艇 (1940) 2 0 1215 20 12 2 - - -
峯風級改装:特務艦 (1944) 1 1 1215 ? ? - - -
神風級(II) 1922 9 2 1270 37.3 12 4 53 TTx3 10
睦月級 1926 12 0 1315 37.3 12 4 61 TTTx2 12
吹雪級I型 1928 10 0 1680 37 12.7 6 61 TTTx3 18
吹雪級II型 1930 10 1 1680 38 12.7 6 61 TTTx3 18
吹雪級III型 1932 4 1 1680 38 12.7 6 61 TTTx3 18
初春級(竣工時) 1933 6 - 1400 36.5 12.7 5 61 TTTx3 18
初春級(復原性改修後) (1935) 6 1 1700 33.3 12.7 5 61 TTTx2 12
白露級 1936 10 0 1685 34 12.7 5 61 TTTTx2 16
朝潮 1937 10 0 2000 35 12.7 6 61 TTTTx2 16
陽炎級 1939 19 1 2000 35 12.7 6 61 TTTTx2 16
夕雲級 1941 19 0 2077 35 12.7 6 61 TTTTx2 16
秋月級 1942 13 7 2710 33.58 10 8 61 TTTTx1 8
島風 1943 1 0 2567 40 12.7 6 61 TTTTTx3 15
松級 1944 32 23 1260 27.81 12.7 3 61 TTTTx1 4

今回は、その1回目。

 

艦隊駆逐艦 第一期決定版の登場(峯風級・神風級・ 睦月級)

 

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(直上の写真:右から、「峯風級」「野風級:後期峯風級」「神風級」「睦月級」)

 

日本艦隊駆逐艦のオリジナル

「峯風級」駆逐艦「野風級:後期峯風級」駆逐艦(15隻)

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「峯風級」は、それまで主として英海軍の駆逐艦をモデルに設計の模索を続けてきた日本海軍が試行錯誤の末に到達した日本オリジナルのデザインを持った駆逐艦と言っていいでしょう。12cm主砲を単装砲架で4基搭載し、連装魚雷発射管を3基6射線搭載する、という兵装の基本形を作り上げました。1215トン。39ノット。同型艦15隻:下記の「野風級:後期峯風級3隻を含む)

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(直上の写真:「峯風級」駆逐艦の概観 82mm in 1:1250 by The Last Square: Costal Forces) 

 

「野風級:後期峯風級」は「峯風級」の諸元をそのままに、魚雷発射管と主砲の配置を改め、主砲や魚雷発射管の統一指揮・給弾の効率を改善したもので、3隻が建造されました。

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(直上の写真:「野風級:後期峯風級」駆逐艦の概観 82mm in 1:1250 by The Last Square: Costal Forces)

 

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(直上の写真は、「峯風級」(上段)と「野風級:後期峯風級」(下段)の主砲配置の比較。主砲の給弾、主砲・魚雷発射の統一指揮の視点から、「野風級」の配置が以後の日本海駆逐艦の基本配置となりました)  

 

同艦級は太平洋戦争には既に旧式艦でしたが、12隻が駆逐艦として船団護衛等の任務につき、2隻が陸戦隊支援を主任務とする哨戒艇として、そして1隻は特務艦(標的艦)として臨みました。駆逐艦は12隻中8隻が、哨戒艇は2隻が失われました。

 

「神風級」駆逐艦(9隻) 

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「神風級」は、上記の「野風級:後期峯風級」の武装レイアウトを継承し、これに若干の復原性・安定性の改善をめざし、艦幅を若干拡大(7インチ)した「峯風級」の改良版です。9隻が建造されました。1270トン。37.25ノット。

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(直上の写真:「神風級」駆逐艦の概観 82mm in 1:1250 by The Last Square: Costal Forces)

 

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(直上の写真:「峯風級」(上段)と「神風級」の艦橋形状の(ちょっと無理やり)比較。「神風級」では、それまで必要に応じて周囲にキャンバスをはる開放形式だった露天艦橋を、周囲に鋼板を固定したブルワーク形式に改めました。天蓋は「睦月級」まで、必要に応じてキャンバスを展張する形式を踏襲しました)

 

「神風級」は太平洋戦争時は既に旧式艦ではありましたが、主として船団護衛等の任務に9隻が参加し、7隻が失われました。

 

第一次艦隊駆逐艦の決定版

「睦月級」駆逐艦(12隻)

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 「睦月級」駆逐艦は「峯風級」から始まった日本海軍独自のデザインによる一連の艦隊駆逐艦の集大成と言えるでしょう。

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(直上の写真:「睦月級」駆逐艦の概観 83mm in 1:1250 by Neptune) 

艦首形状を凌波性に優れるダブル・カーブドバウに改め、砲兵装の配置は「後期峯風級」「神風級」を踏襲し、魚雷発射管を初めて61cmとして、これを3連装2基搭載しています。太平洋戦争では、本級は既に旧式化していましたが、強力な雷装と優れた航洋性から、広く太平洋の前線に投入され、全ての艦が、1944年までに失われました。1315トン。37..25ノット。同型艦12隻。

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(直上の写真:「睦月級」(下段)と「神風級」(上段)の艦首形状の比較。「睦月級」では、凌波性の高いダブル・カーブドバウに艦首形状が改められました)

 

駆逐艦設計は新次元に:「特型駆逐艦」群の登場(吹雪級I型・II型・Ⅲ型・初春型・白露型・朝潮型)

 

ワシントン海軍軍縮条約の申し子

「吹雪級」駆逐艦(24隻)

 

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 ワシントン軍縮条約の締結により、日本海軍は進行中の八八艦隊計画を断念、さらに主力艦は保有制限が課せられ、制限外の巡洋艦以下の補助艦艇についても仮想敵国である米国との国力差から、保有数よりも個艦性能で凌駕することをより強く意識するようになります。

こうして海軍が提示した前級「睦月級」を上回る高性能駆逐艦の要求にこたえたものが「吹雪級」駆逐艦です。1700トンの船体に、61cm3連装魚雷発射管を3基(9射線:「睦月級」は6射線)、主砲口径をそれまでの12cmから12.7cmにあげて連装砲等3基6門(「睦月級」は12cm砲4門)、速力37ノット(「睦月級」と同等)と、それまでの駆逐艦とは一線を画する高性能艦となりました。

搭載主砲塔、機関形式の違い等から、Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型の3形式があり、それぞれ10隻、10隻、4隻、合計24隻が建造されました。

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(直上の写真:「吹雪級」の各形式。右からI型、II型、Ⅲ型の順。下段写真は各形式の主砲塔と缶室吸気口・煙突形状の比較。右からI型、II型、Ⅲ型の順:詳細は各形式で説明します)

 

Ⅰ型(10隻):特徴はA型と呼称される連装主砲塔を採用しています。この主砲塔は、仰角40度までの所謂平射砲塔でした。あわせて、缶室吸気口としてキセル型の吸気口を装備していました。ある程度高さを与え、海水の侵入を防ぐ工夫がされていましたが、十分ではなかったようです。このため10番艦「浦波」では、より海水の浸入防止に配慮された「お椀型」の吸気口が採用されており、このため10番艦は「改Ⅰ型」あるいは「ⅡA型」と呼ばれることもあります。

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(直上の写真:「吹雪級I型」の概観。94mm in 1:1250 by DAMEYA on Shapeways)

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(直上の写真:「吹雪級I型」の特徴。A型連装砲塔:平射用(上段)とキセル型缶室吸気口)

 

戦前に演習中の衝突事故で失われた1隻をのぞく9隻が太平洋戦争にのぞみ、全て戦没しています。

 

Ⅱ型(10隻):概観上の特徴は、連装主砲塔を仰角75度まで上げた対空射撃も可能としたB型としたことと、缶室吸気口を前出の「改Ⅰ型」で採用された、海水浸水のより少ない「お椀型」としたことです。

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(直上の写真:「吹雪級II型」の概観。94mm in 1:1250 by Trident)

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(直上の写真:「吹雪級II型」の特徴。B型連装砲塔:仰角75度まで射撃可能=対空射撃が可能になりました(上段)と、浸水対策を考慮したお椀型缶室吸気口)

10隻全てが太平洋戦争に参加し、「潮」のみが残存しました。

 

Ⅲ型(4隻):概観上の特徴は、新方式の採用により缶の数を減らしたことから生じた煙突形状にあります。「吹雪級」は重量が計画を200トン近く超過し1900トンを超える艦になっており、うち機関関連での重量超過が100トンあまりを占めていました。このため空気予熱器により効率を高めた缶(ボイラー)を採用することで缶の数を減らし重量の軽減が図られました。

缶の位置関係から、一番煙突が二番煙突に比して細い、という顕著な特徴となりました。

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(直上の写真:「吹雪級Ⅲ型」の概観。94mm in 1:1250 by Trident)

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(直上の写真:「吹雪級Ⅲ型」の特徴。B型連装砲塔:仰角75度まで射撃可能=対空射撃が可能になりました(上段)と、浸水対策を考慮したお椀型缶室吸気口と缶室の減少により細くなった1番煙突)

 4隻が太平洋戦争に参加し「響」のみ生き残りました。

 

トピック: 駆逐艦の主砲の話

これまで本稿では数回触れてきているのですが、「吹雪級」以降の駆逐艦で「秋月級」と「松級」以外の艦級では、主砲として「50口径3年式12.7cm砲」が採用されています。

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この砲は基本対艦戦闘を想定した平射砲で、50口径の長砲身から910m/秒の高い初速、18000m超の最大射程、毎分10発の射撃速度を持つ優秀砲で、艦隊戦では有効な兵器と考えられました。当初「吹雪級」に搭載されたA型連装砲塔は、平射砲としての実力を発揮すべく、その仰角は40度とされていました。

その後に対空射撃の要請に対する対応として開発された、前述のB型連装砲塔では仰角を75度まで上げるなどの改良が行われましたが、装填機構が対応できず、つまり装填時には平射位置まで仰角を戻さねばならず、対空射撃時の射撃速度は毎分4発程度で、低空からの侵入機に対する以外は対空砲としては全く効果を有しませんでした。

(直下の写真:日本海軍の駆逐艦が搭載したA型砲塔(上段)とB型砲塔(下段)の資料:軍艦メカニズム図鑑「日本の駆逐艦」より引用しています)

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このように対空兵器としての実用性の乏しさから、次のC型連装砲塔では仰角が55度に戻され、つまり再び対艦射撃に重点が置かれた本来の平射砲へと戻されます。このC型連装砲塔は「白露級」「朝潮級」「陽炎級」に搭載され、太平洋戦争開戦時の艦隊駆逐艦の基準主砲となりました。しかし開戦後、海軍戦力での航空主兵の傾向が顕著になると、再び仰角を75度に上げたD型連装砲塔が「夕雲級」には搭載されますが、やはり装填機構には手をつけないまま、という迷走を続けることとなりました。

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(直上の写真:「50口径3年式12.7cm砲」の連装砲塔の各形式(全て、Neptuneモデル)。(上段)「A型」:仰角40度の平射砲用。(中段)「B型」:仰角75度での高角射撃を可能にしました。しかし装填機構が平射用のままの為、射撃速度は毎分4発程度で、高角砲としての実用性は低いものでした。(下段)「C型」:仰角を再度55度とした平射用です) 

 

同時期の米海軍の駆逐艦は既に全てが5インチ両用砲を搭載し、揚弾機構なしの場合でも毎分12−15発の射撃速度を有しており、これに加えて両用砲用の方位盤などとの組み合わせで、既にシステム化を進めていたのに対し、日本海軍の駆逐艦は上記のような事情で実用的な対空砲を持てず、艦隊防空の任を担わねばならず、多くの駆逐艦が戦争後期には主砲塔を対空機銃座に置き換えて戦いに臨む事となります。

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(直上の写真:「吹雪級II型」では高角射撃可能なB型砲塔を装備していましたが、射撃速度の遅さから高角砲としての実用性が乏しく、二番砲を対空機銃座に換装するなどの方法で、対空戦闘能力を補完せねばなりませんでした。大戦中の駆逐艦の多く艦級で同様の措置が取られました)

 

 中型(1400トン級)駆逐艦の建造:ロンドン条約の申し子?

「初春級」駆逐艦(6隻)

ワシントン条約に続く ロンドン条約では、それまで制限のなかった補助艦艇にも制限が加えられ、駆逐艦にも保有制限枠が設けられました。特に駆逐艦には1500トンを超える艦は総保有量(合計排水量)の16%以内という項目が加えられました。このため1700トン級(公称)の「吹雪級」駆逐艦をこれ以上建造できなくなり(日本としては財政的な視点から、「吹雪級」の増産を継続するよりも、もう少し安価な艦で数を満たす切実な事情もあったのですが)、次の「初春級」では、1400トン級の船体と「吹雪級」と同等の性能の両立という課題に挑戦することになりました。

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結果として、竣工時の「初春級」駆逐艦は、主砲として、艦首部に「吹雪級」と同じ「50口径3年式12.7cm砲」B型連装砲塔とB型連装砲塔と同じく仰角を75度に改めたA型改1単装砲塔を背負い式に装備し、艦尾にB型連装砲塔を配置しました。さらに「吹雪級」と同じ61cm3連装魚雷発射管を3基(9射線)を装備し、予備魚雷も「吹雪級」と同数を搭載。加えて次発装填装置をも初めて装備し、魚雷発射後の再雷撃までの時間短縮を可能としました。機関には「吹雪級Ⅲ型」と同じ空気予熱器付きの缶3基を搭載し、36.5ノットの速力を発揮することができました。

1400トン級のコンパクトな船体に「吹雪級」とほど同等な重武装と機関を搭載し、かつ搭載する強力な主砲と雷装を総覧する艦橋は大型化したことにより、無理を重ねた設計でした。そしてそれは顕著なトップヘビーの傾向として顕在化することになります。

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(直上の写真は「初春級」竣工時の概観:88mm in 1:1250 by Neptuneをベースにセミ・スクラッチ

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(直上の写真は、「初春級」竣工時の特徴のアップ。左上:艦橋部。艦橋部の下層構造を延長し、艦橋の位置をやや後方へ。艦橋部下層構造の前端に2番主砲塔(単装)を、1番主砲塔(連装)と背負い式になるように配置。右上:2番魚雷発射管。下段左と中央:後橋部分と2番・3番発射管の配置状況。3番発射管自体は、船体中心線に対し、やや右にオフセットした位置に追加。細かいこだわりですが、一応、3番発射管用の次発装填装置を後橋部の構造建屋の上に設置。2番発射管用の次発装填装置は後橋部建屋の左側の斜め張り出し部に内蔵されています)

既に公試時の10度程度の進路変更時ですら危険な大傾斜傾向が現れ、バルジの追加等で何とか就役しますが、この設計原案での建造は「初春」と「子の日」の2隻のみのとどめられました。さらにその後の発生した友鶴事件により、設計は復原性改善を目指して全面体に見直されました。

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初春:竣工時の艦型概観(「初春」「子の日」のみ)

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このげ初春:復原性改修後の艦型概観

(上のシルエットは次のサイトからお借りしています

http://www.jam.bx.sakura.ne.jp/dd/dd_class_hatsuharu.html

残念ながら、竣工時の「初春級」については 1:1250スケールのモデルがありません。スクラッチにトライするには、やや手持ちの「初春級」のモデルが足りていません。 いずれはトライする予定ですが、今回はご勘弁を<<<セミ・スクラッチによる竣工時モデルを上記に追加投稿しました)

 

その性能改善工事は、61cm3連装魚雷発射管の3基から2基への削減(併せて搭載魚雷数も3分の2に削減)、主砲塔の配置を艦首に連装砲塔1基、艦尾部に単装砲塔と連装砲塔を各1基の配置と搭載方法を変更し、武装重量の削減とバランスの改善を目指します。さらに艦橋・煙突の高さを下げ、艦底にバラストを追加搭載するなど重心の低下をおこなった結果、艦容を一変するほどのものになりました。その結果、復原性の改善には成功しましたが、船体重量は1800トン近くに増加し速度が36.5ノットから33.3ノットに低下してしまいました。

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(直上の写真:復原性改善修復後の「初春級」の概観。88mm in 1:1250 by Neptune)

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(直上の写真:「初春級」の特徴である次発想定装置付きの3連装魚雷発射管(上段)と、艦尾部に背中合わせに配置された単装主砲砲塔と連装砲塔:仰角75度の高角射撃も可能とした砲塔でした。この砲塔は装填機構の問題から装填次に平射1に戻さねばならず、射撃速度が低く対空砲としては実用性に乏しいものでした)

 

復原性修復後のモデルとの比較は以下に。二枚とも、上が「竣工時(今回セミ・スクラッチ製作したモデル)」、下が「復原性修復後」のモデル(Neptune社の現行の市販モデル)。

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「竣工時」の過大な兵装とそれに因る腰高感が表現できているかどうか・・・。できているんじゃないかな(とちょっと自画自賛)。 

 

当初は12隻が建造される予定でしたが、上記のような不具合から6隻で建造が打ち切られ、「初霜」を除く5隻が太平洋戦争で失われました。

 

 「初春級」改良型中型駆逐艦

「白露級」駆逐艦(10隻)

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(直上の写真:「白露級」の概観。88mm in 1:1250 by Neptune)

 

「白露級」は前級「初春級」の復原性改善後の設計をベースに建造された準同型艦です。

改修後の「初春級」では前述のように雷装を設計時の3分の2、6射線に縮小せねばなりませんでした。 また、改修後の重量も1800トン弱と、結局、中型駆逐艦の枠を大きくはみ出す結果となってしまいました。(公称上は「初春級」も「白露級」も1400トンとし、ロンドン条約下での1500トン以下の保有枠内である、とされましたが)

重量が増加するならば、ということで、「白露級」は少し船型を拡大し、4連装魚雷発射管2基を搭載し、射線数を「吹雪級」に近づけたものとすることになりました。次発装填装置を搭載し、魚雷搭載数を当初16本として、雷撃能力を向上させています(当初と記載したのは、実際には搭載魚雷数は14本あるいは12本だったようです)。その他の兵装、艦容はほぼ「初春級」に準じるものとなりました。

主砲は「初春級」と同じ「50口径3年式12.7cm砲」でしたが、この砲をC型連装砲塔、B型単装砲塔に搭載しましたが、これらはいずれも仰角を55度に抑えた平射用の主砲塔でした。

速力は改修後の「初春級」とほぼ同等の34ノットでした。

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(直上の写真:「白露級」の特徴である次発想定装置付きの4連装魚雷発射管(上段)と、艦尾部に背中合わせに配置された単装主砲砲塔と連装砲塔:いずれも仰角55度の平射用砲塔でした)

太平洋戦争には10隻が参加し、全て戦没しました。

 

再び正統派艦隊駆逐艦へ(もうロンドン条約、続けないし・・・)

朝潮級」駆逐艦(10隻)

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ロンドン条約保有制約から大型駆逐艦保有制限を受けた日本海軍は、「初春級」「白露級」と中型駆逐艦を就役させた日本海軍でしたが、先述の通り、小さな船体に重武装・高性能の意欲的な設計を行ったが故に、無理の多い仕上がりとなり、結果的に期待を満たす性能は得られない結果となりました。

このため、次級の「朝潮級」では「吹雪級」並みの大型駆逐艦の設計を戻されることになりました。設計時期にはまだロンドン条約の制約は生きていましたが、ロンドン条約からの脱退を見込んでいたため、もはや艦型への制限を意識する必要がなくなる、という前提での設計方針の変更でもありました。

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(直上の写真:「朝潮級」の概観。94mm in 1:1250 by Neptune)

 

こうして「朝潮級」は2000トン級の船体に、「白露級」で採用された4連装魚雷発射管2基を搭載し8射線を確保、次発装填装置を備え魚雷16本を搭載、主砲には「50口径3年式12.7cm砲」を仰角55度の平射型C型連装砲塔3基6門搭載したバランスの取れた艦となりました。機関には空気予熱器つきの缶(ボイラー)3基を搭載、35ノットの速力を発揮する設計でした。こうして日本海軍は、ほぼ艦隊駆逐艦の完成形とも言える艦級を手に入れたわけですが、一点、航続距離の点で要求に到達できず、建造は10隻のみとなり、次の「陽炎級」に建造は移行することになりました。

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(直上の写真:「朝潮級」の特徴である次発想定装置付きの4連装魚雷発射管(上段)と、艦尾部に配置された「白露級」と同じC型連装砲塔:仰角55度の平射用砲塔でした)

 

太平洋戦争には10隻が参加し、全て戦没しました。

 

トピック:「特型駆逐艦」の呼称

少し余談になりますが、「特型駆逐艦」の呼称はそれまでの駆逐艦の概念を超えた「吹雪級」駆逐艦の別称とされることが一般的かと思いますが、軍縮条約制約下の高い個艦性能への要求(制限を受けた艦型と高い重武装要求のせめぎ合い、と言っていいと思います)を満たすべく設計・建造された「吹雪級」「初春級」「白露級」「朝潮級」を一纏めに使われる場合もあるようです。

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(直上の写真:「特型駆逐艦」群の艦型比較。上から「吹雪級」、「初春級」復原性改善後、「白露級」「朝潮級」の順)

これに対し、それ以前の駆逐艦群(「峯風級」「神風級」「睦月級」)には、「並型駆逐艦」という表現が使われることもありました。(まるで「特盛り」「並盛り」ですね)

本稿では、これに従って、一纏めの流れとして纏めてみました。

 

ということで、今回はこの辺りでおしまい。

次回は今回の続編を予定しています。

条約制約のなくなった時期から太平洋戦争中の建造されたそれまでの「艦隊決戦」思想の継承に加え、「艦隊決戦」とはやや異なる設計思想の艦級も現れてきます。それらをご紹介する予定です。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

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