相州の、ほぼ週刊、1:1250 Scale 艦船模型ブログ

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

日本海軍八八艦隊計画「第11号艦級」の制作:「紀伊級後期型」か「改紀伊級」か?:Shapewaysモデルの最後の手持ち在庫を使ってしまった!

2025年のゴールデン・ウィークが終わってしまいました。

巷では大阪万博の開幕など、なかなか盛り上がってきているようですが、筆者はゆっくりと、日頃、手のつかない自宅の庭仕事(夏に向けたゴーヤ:サラダゴーヤと言って生でも食べられる:を植えました)、録り溜めたドラマや映画の鑑賞(やっと「Sakamoto Days」の第1期を観ました。「MOZU」のドラマ・映画の一気見も。劇場で映画「アマチュア」の2回目の鑑賞も実行:これはいい映画です。主人公はもちろん、脇がいい。もう一つ「教皇選挙」という映画も「あまりにも今の状況にフィットしたテーマ過ぎるか」ということを差し引いても、非常に色々と考えさせられる奥深いテーマを持ついい映画です)の合間を縫って、模型制作もちまちまと(資料を当たりながら、ということで進めていたので、一週スキップしてしまいました)。

筆者としては好きなことに囲まれて、大変、いい連休を過ごせました。

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(庭の近況:薔薇はいい感じ(上の2点):実は昨年の秋から2月ごろまで、咲き続けてきたので、この5月は咲き疲れを心配していたのですが、元気に咲いてくれています。寄せ植えは大正解だったかも(左下):昨年の11月の家族の誕生日に求めたのですが、実によく咲いてくれています。そしてこの夏に向けての「サラダ・ゴーヤ」君(右下):生で食べれるって、どんな感じ?楽しみです)

 

そして模型のお話。

今回は筆者の最後のShapewaysモデルの手持ち在庫、日本海軍の八八艦隊計画の「紀伊級」戦艦の強化型としての「紀伊級後期型:第11号艦級」そして「第13号艦級」巡洋戦艦をベースにした新設計船体を持つ「改紀伊級:第11号艦級」の製作のお話です。

 

日本海八八艦隊計画紀伊級」戦艦・「第13号艦級」巡洋戦艦

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上の写真は日本海軍の八八艦隊計画、そのうち「紀伊級」戦艦(左上)と「13号級」巡洋戦艦(右上)の塗装前の写真です。製作者はModelFunShipyardで、モデルのオリジナルの煙突はすでに撤去し、諸々の経緯から集合煙突に置き換えてあります。一連のモデルについては本稿でも下記の投稿など何度かの投稿でご紹介しています。その際にも少しお話ししていますが、筆者のコレクションの以前の世代に比べると、前檣の造作、再現性が、素晴らしいモデルだと感じています。

fw688i.hatenablog.com

上掲の投稿でも冒頭に触れていますが、本稿は、そもそも筆者自身のコレクションに「八八艦隊」のモデル群がある程度揃ったことで、その記録のために2018年に本稿をスタートさせたという経緯があります。つまり「八八艦隊計画」は本稿の「原点」でもあるわけです。当初「八八艦隊」ご紹介のつもりが、であれば、「いっそ八八艦隊に至る道のりも簡単に(当初は本当に数回の投稿のつもりで)まとめておこう」程度の気持ちで始めたのですが、それが実は27回の第一期シリーズの始まりとなり、やがて今日に至るまで足掛け7年、334投稿に大化けしてしまいました。

その中でも「八八艦隊計画」の主力艦群のモデル最新版が上掲の投稿で見ていただける2023年度版で、筆者のコレクション的には第三版にあたるものです。このモデル群はShapewaysのMarket Placeに出品されていたModelFunShipyard製のモデルをベースに、やや手を入れた仕上げになっています。

そしてShapewaysの破綻

模型の話に戻ると、その後、ご承知のように世界最大の3D Printing productの供給先であったShapewaysが破綻し、後継企業により事業は再生されたようですが、Market Placeの再開には至っておらず、現時点ではモデルの再調達の目処が立っていません(出品者によっては別ルートで供給を再開されている方もいらっしゃるので、期待はしているのですが)。ですので、今回、ご紹介するモデルは、筆者の手元にある最後の在庫を仕上げたもの、ということなのです。

さらに説明を続けると、オリジナルのModelFunShipyardのモデル群を制作したのちに、筆者は同製作者に「主砲塔可動型のモデルはできないか」というリクエストを上げ、気持ちよく制作してもらった、そのモデルが今回ご紹介するモデルなのです。

ShapewaysのMarket Placeは、スケールの変更、ディテイルの追加など、そんなリクエストもお願いできる、さらにたいていは探しているパーツも手に入る、筆者にとってはそんな夢のような場所だったのです(今回モデルに手を入れるために別途入手した集合煙突は、まさにその好例です)。

そんな「場所」がなくなってしまった、この喪失感は今でもたいへん重いものとなっています。

 

八八艦隊計画について

前述と重複する部分もありますが、モデルの話に移る前に、ここで少し「八八艦隊計画」のおさらいを。

史実の八八艦隊計画

史実の八八艦隊計画第一次世界大戦後に列強の軍備拡張に倣い日本海軍が実施しようとした大建艦計画で、「長門級」戦艦2隻、「土佐級」戦艦2隻、「紀伊級」4隻のいずれも41センチ主砲を搭載し26ノット以上の速力を発揮する戦艦8隻で構成される高速戦艦群と、30ノット以上の速力を発揮する「天城級巡洋戦艦4隻(41センチ主砲搭載)、「13号級」巡洋戦艦4隻(46センチ主砲搭載)の8隻の巡洋戦艦で構成される強大な艦隊を建造する、という計画でした。これらの諸主力艦の建造は、「長門級」戦艦2隻を除いて、大艦の建造競争により国家財政の破綻を恐れた列強各国の間で締結されたワシントン軍縮条約により中止されてしまいます。

ja.wikipedia.org

筆者版八八艦隊計画

一方、筆者版の八八艦隊計画では、史実よりも少し制約の緩いワシントン軍縮条約の下で進水済みの「長門級」戦艦2隻、「土佐級」戦艦2隻はそのまま完成されています。さらに規定の艦齢に達した既存戦艦については代艦建造を認めるという条件下で「扶桑級」「伊勢級」の代艦として「紀伊級」戦艦は2隻のみ建造され、「13号級」巡洋戦艦が、戦艦の高速化によって構造的に脆弱性を懸念された巡洋戦艦という艦種自体の建造意義が希薄になった、そんな理由から「改紀伊級」戦艦として防御構造を強化、再設計され、46センチ主砲搭載の戦艦として建造されています(筆者版ワシントン条約でも主砲口径は16インチ(41センチ)を最大とする、という制約はありましたので、条約失効を前提として計画された「改紀伊級」戦艦は条約の制約外の46センチ主砲を搭載する戦艦として建造されるのですが、設計段階では未だ条約は有効であったため同級の搭載する46センチ主砲は新開発の「2年式55口径41センチ砲」と実態を偽った正式名称を与えられていました)。こうして揃えた8隻の戦艦と、既に存在した「金剛級巡洋戦艦4隻を可能な限り改装等により延命させ、さらに条約で認められる「金剛級」の耐用艦齢年次における代艦として設計されていた4隻を条約失効後に加え、8隻の巡洋戦艦(この頃には巡洋戦艦の概念はほぼ無くなっており、「高速軽戦艦」的な存在でしたが)を揃える、という計画でした。

ということで、「八八艦隊」と言いながらも、筆者のコレクションに2023年版としてあるのは「長門級」「土佐級」「紀伊級」「改紀伊級=相模級」の戦艦4艦級のモデルで、今回の投稿ではそのうち「紀伊級」戦艦、「改紀伊級=相模級」戦艦のモデルを、改めてご紹介します。

 

紀伊級」戦艦:同型艦2隻(計画当初は4隻)(by ModelFunShipyard:就役時(1925年ごろ?)を想定した姿)

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(「紀伊級」戦艦の概観:200mm in 1:1250 by ModelFunShipyard:同級は「土佐級」の機動性強化型で、主要兵装は「土佐級」と同じ41センチ主砲連装砲塔5基を搭載していました)

紀伊級」戦艦は「土佐級」戦艦に続き4隻が建造される予定でした(「紀伊」「尾張」「駿河(仮称)」「近江(仮称)」)。設計は「土佐級」とは一線を画し、建造期間や予算面から巡洋戦艦天城級」の設計をベースとして、これに防御強化を図り本格的な高速戦艦としての完成を目指したものでした。排水量は42,000トン、「天城級巡洋戦艦の設計を基礎としたため、速力は「長門級」「土佐級」の26ノット台から29ノット台へと飛躍しています。

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(「紀伊級」戦艦の主要兵装のアップ:今回のモデルが砲塔可動での依頼品であるために、一応、可動状態を示してみました)

紀伊級」は史実では4隻が建造される予定でしたが、筆者版では米海軍の海軍整備計画「ダニエルズ・プラン」にもとづく次期戦艦「サウスダコタ級(1926年版)」が16インチ主砲を12門搭載する設計であることが判明し、「紀伊級」戦艦ではこれに対抗するには「やや心もとない」と評価されたため、建造は「紀伊」「尾張」の2隻で打ち切られ、今回投稿の以下でご紹介する「紀伊級後期型」さらにその発展形である「改紀伊級」の設計案へと移行してゆきます。

当初設計案:二本煙突形態

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(「紀伊級」戦艦の初期設定、つまり「天城級巡洋戦艦の基本設計であったニ本煙突形態の概観:by ModelFunShipyard)

同級の当初設計案は「天城級巡洋戦艦の設計を踏襲したものでしたので、「長門級」と同様の二本煙突形態が予定されていました。上の写真ではこの二本煙突形態を再現しています(ModelFunShipyardのオリジナルデザインはこの形態です。つまりモデルをそのまま仕上げたもの)。

しかし「長門級」で煤煙の前檣への還流などの課題が現れたため、煙突頂部にキャップをかぶせたり対策が取られました。「長門級」では最終的には湾曲煙突形態への改装が行われたことは大変有名です。ですので筆者版の八八艦隊計画では設計時から集合煙突形態が採用されました(史実ではないですので、ご注意を。「実現していたらそんなこともあったかも」程度にご理解ください)。

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(上の写真はオリジナルの二本煙突形態(上段)と集合煙突形態の比較:やはり個人的には集合煙突案の方が圧倒的に好みですね。前檣の少しクラシックなデザインと集合煙突の先進性のアンバランスというか、妙な調和を感じるのですが。やや日本艦離れした感じがするもの好きな点かも)

 

主砲12門搭載形態(筆者が主砲可動型モデルの製作を依頼した狙いは・・・)

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上掲の書籍は光人社から刊行されている奥本剛氏の「図解:八八艦隊の主力艦」という写真・図面等を満載した大作です。上掲の写真下段にあるように、「一般配置図」というタイトルで、図面が多数掲載されており、特に計画段階で建造が中止された「紀伊級」以降については主砲の搭載数、搭載砲塔数については複数の試案が掲載されています。

これは前述のように次期の米海軍の計画戦艦(「サウスダコタ級:1920」として知られている艦級です)が16インチ主砲12門搭載艦(3連装砲塔3基搭載)であることが伝わると、特に「土佐級」「紀伊級」の41センチ砲10門搭載、という仕様自体が非力に見えたことと関連していると思われます。そのため後期型である3番艦(仮称第11号艦:当初「紀伊級」は4隻建造される予定でした)以降は主砲12門搭載艦の試案に加え14門搭載艦、16門搭載艦、さらには46センチ砲搭載艦等の設計案の配置図が掲載されています(上掲の写真下段は、そのうちの12門搭載艦の一般平面図より)。

興味深いのはこれらの図面に掲載されているのが連装砲塔か四連装砲塔、あるいはその混載、という形態であることです。三連装を飛ばして四連装を指向する理由として、既存の連装砲塔の2基統合で済む四連装砲塔が構造化が比較的容易で、砲塔総重量も軽く、集中防御の観点からも砲塔数を減らせば重点防御が必要な弾庫の数を減らすことができ、かつ砲塔への敵弾の被弾確率を減らすことができる点等が挙げられてています。実際には砲塔の駆動系の開発、複数の形式の砲塔の回転の同期機構等、課題が沢山あったでしょうが・・・。

いずれにせよ大変興味深い(特に図面には1:700等の縮尺も記載されていたりします)著作ですので、興味のある方は是非。本書はAmazonでも入手可能です。

以下の砲塔ヴァリエーションのモデルご紹介の際には、本書には記載のない三連装砲塔搭載案も含め、いくつかをご紹介します。

 

まず「紀伊級後期型:第11号艦級」の制作にトライ

上述のように奥本氏の著作では「紀伊級後期型:第11号艦級」には主砲搭載のヴァリエーションが数多く存在します。

**余談:仮称艦番号の話:「第11号艦級」の意味:八八艦隊計画での11番目の建造計画艦、と言うほどの意味です。オリジナルの計画では「長門級」戦艦が1・2号艦、「土佐級」が3・4号艦、それに続いて「天城級巡洋戦艦が4隻続きます(5・6・7・8号艦)。その後「紀伊級」が計画当初では4隻(9・10・11・12号艦)予定されていましたので、「紀伊級」は「第9号艦級」という仮称となり、従って「紀伊級後期型」は「第11号艦級(11・12号艦)」と呼称されるわけです。「第13号艦級」の呼称も、もちろん同級が13番目から16番目の建造予定であった、というところから来ているわけです。

筆者版八八艦隊では、ワシントン条約で「天城級巡洋戦艦の建造は各国の新造艦の総トン数枠の観点から中止され、従って5号艦から8号艦は欠番になっています。更に追記しておくと、史実と同じように別枠で設定された航空母艦へ「天城」「赤城」の進水済みの船体は転用されることになるのです。(余談ここまで)**

筆者がModelFunShipyardに主砲塔分離型の制作を依頼したのは、この主砲のヴァリエーションをやってみたかった、という背景がありました。

ということで「筆者の妄想」も含め、いくつかトライしてみたので、そのご紹介を。奥本氏の肖像から大きな刺激を受けていますので、ご著作に図面があるものは掲載箇所(ページ数)を表示しています(ひたすら感謝!)。

 

「第11号艦級:紀伊級後期型」41センチ主砲12門搭載艦:その1

この砲塔配置案では連装砲塔2基と新開発の四連装砲塔2基の組み合わせで主砲12門搭載を達成しようとしています。奥本氏の著作の110-111ページに基本配置図が掲載されています。

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(「紀伊級後期型=第11号艦級」戦艦の概観:Based on ModelFunShipyard model:下の写真では、連装砲塔と四連装砲塔の搭載部分を拡大しています)

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この試案は「紀伊級」の艦首部の砲塔配置設計等を変更する必要はなく、艦中央から艦尾にかけて配置された3基の連装砲塔を2基の四連装砲塔に置き換える案で、重量配置的観点からも基本設計を大幅に活かすことができそうです。

奥本氏の著作には12門搭載の第一試案として連装砲塔を1基追加し6基搭載とする案も示されていましたが、砲塔配置がかなり窮屈で、重量増加も大きく、四連装砲塔さえ開発できれば上記案の方が基本設計を活かす範囲を広げられるなど、利点が大きそうです。

既述のように、形式の異なる砲塔(この場合は連装砲塔と四連装砲塔)の旋回の同期などの駆動系の機構がどのようになるのかなど、疑問点は種々ありますが。

 

「第11号艦級:紀伊級後期型」41センチ主砲12門搭載艦:その2

こちらは連装砲塔と新開発の三連装砲塔の組み合わせで12門搭載を実現しようとしたものです(奥本氏の著作には特に記述はありません)。

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(「紀伊級後期型=第11号艦級」戦艦:三連装砲塔・連装砲塔混載試案の概観:Based on ModelFunShipyard model:下の写真では、連装砲塔と三連装砲塔の搭載部分を拡大しています)

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この試案も三連装砲塔さえ開発できれば、「紀伊級」の基本配置を用いた場合には艦全体のバランス等は良さげに見えます。「金剛代艦」の設計試案でも41センチ三連装砲塔の搭載案は議論されたりしていた経緯もあったようですので、実現確度は高かったかも、などと思います。この案も異なる砲塔形式の混載ですので、やはり駆動系はどうなっているんだろう、などの疑問は残りますが。

 

「第11号艦級:紀伊級後期型」41センチ主砲12門搭載艦:その3

搭載形式を三連装砲塔に統一する試案です。

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(「紀伊級後期型=第11号艦級」戦艦:三連装砲塔搭載試案の概観:Based on ModelFunShipyard model:下の写真では、三連装砲塔の搭載部分を拡大しています)

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この試案は一見すっきりとしていますが、主砲塔の重量配分等が原型(「紀伊級」の基本設計)とは大きく異なりそうですので、三連装砲塔単一での搭載を考慮する場合には、「紀伊級」設計の流用・手直しではなく、新設計を検討することになるのではないでしょうか?

 

「第11号艦級:紀伊級後期型」41センチ主砲14門搭載艦:その1

さらに搭載主砲数を増やし、14門搭載艦とする試案です。(奥本氏の著作、112-113ページに一般配置図が掲載されています)

紀伊級」の主砲塔5基搭載形式をベースに、その搭載砲塔の変更(連装砲塔2基を四連装砲塔に変更)により搭載主砲数を増加させる試案です。

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(「紀伊級後期型=第11号艦級」戦艦:41センチ主砲14門搭載試案の概観:Based on ModelFunShipyard model:下の写真では、艦首部・艦尾部の搭載砲塔を拡大しています)

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艦首部の負荷が大きくなりすぎるような気がしますが、一般配置図を奥本氏が示している、ということは、「紀伊級」の基本設計を生かしてそれなりに実現可能性がありそうだ、ということでしょうか?

 

「第11号艦級:紀伊旧後期型」41センチ主砲14門搭載艦:その2

こちらは12門搭載試案その1の拡張系として示したものです。「12門搭載試案・その1」の艦首部の連装主砲塔を四連装主砲塔に置き換えています。

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(「紀伊級後期型=第11号艦級」戦艦:41センチ主砲14門搭載試案の概観:Based on ModelFunShipyard model:下の写真では、艦首部・艦尾部の搭載砲塔を拡大しています)

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艦首部が重量過多になりそうですね。バランスがいかにも悪いかも。「12門搭載試案・その1」をベースとするなら、艦首部はそのまま連装砲塔2基、艦尾部を四連装砲塔、連装砲塔、四連連装砲塔とした方が原型のバランスに近いかもしれません。

 

「第11号艦級:紀伊級後期型」41センチ主砲16門搭載艦

こちらは搭載主砲塔を全て四連装砲塔に統一する試案です。奥本氏の著作では114−115ページに一般配置図が掲載されています。

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(「紀伊級後期型=第11号艦級」戦艦:41センチ主砲16門搭載試案の概観:Based on ModelFunShipyard model:下の写真では、艦首部・艦尾部の搭載砲塔を拡大しています)

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概観的には非常にすっきりした艦容だと思います。しかし「紀伊級」の基本設計を拡張使用するには艦首部の重量が大きくなりすぎるのでは?ここまでやるなら新設計の船体にした方がいいのではないでしょうか?

 

さらに、上掲の奥本氏の著作では「紀伊級後期型:第11号艦級」には46センチ主砲搭載案もあったとされ、図面が掲載されています。

これはかの平賀造船中将のノートに残された案のようで、46センチ主砲連装砲塔5基搭載という、途方もない設計案だった、と奥本氏の著作では紹介されています。

たまたま(というか、これまで八八艦隊に関心を寄せてきていた、その遺産ともいうべきかと思うのですが)、手持ちの46センチ連装主砲塔がありますので(筆者の旧世代の八八艦隊の「第13号艦級」に使用していた砲塔です。これもShapewaysで求めたもの。今のところは新たな入手経路なし、という貴重品です)これで一応再現してみました。

 

「第11号艦級:紀伊級後期型」46センチ主砲10門搭載艦

この試案はこれまでの41センチ主砲の搭載数を増加することによる火力強化から、主砲口径を41センチから46センチに強化することにより打撃力の強化を目指すものです。奥本氏の著作では116-117ページの一般平面図が掲載されていますが、「平賀試案を図面化」という注釈が付記されています。

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(「紀伊級後期型=第11号艦級」戦艦:46センチ主砲10門搭載試案の概観:Based on ModelFunShipyard model:下の写真では、艦首部・艦尾部の搭載砲塔を拡大しています)

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この試案では主砲塔の配置は原型のまま、41センチ連装砲塔を46センチ連装砲塔に置き換えた配置です。このモデルでは46センチ連装主砲塔はかなり以前にShapewaysで調達した3D printing modelのストックを使っています。今回、主役で登場してもらっているModelFunShipyardの46センチ主砲塔に比べるとややコンパクトなデザインになっています。

下の写真は41センチ連装砲塔(ModelFunShipyard製:左)との比較。ひとまわり大きいことがわかります。
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ということで、ここまではあくまでも「紀伊級」の船体をベースにした「紀伊級後期型」としての「第11号艦級」の筆者妄想モデルをご紹介してきたのですが、奥本氏の著作ではこの46センチ主砲搭載案について、大型砲塔の重量で喫水が増加し、速力が「長門級」程度まで低下してしまい、さらに航洋性も損なわれるなど、46センチ主砲を搭載するならば、いずれにせよ「紀伊級」戦艦の設計の延長、手直しではなく、全くの新設計船体が必要になったであろう、という結論でまとめられています(筆者は、前述のように「41センチ主砲16門搭載艦」の辺りから、もしかすると既に14門搭載試案のあたりから、この新設計船体が必要だったのではないかと考えています)。

 

新設計船体での「第11号艦級:改紀伊級」の制作

ということで、ここからはお話が「新設計船体での「第11号艦級=改紀伊級」」の設計案のお話に移っていくのですが、大型化した新設計の船体に「第13号艦級」として知られる船体をベースにしたものを「改紀伊級」(「後期型」ではなく「改」です)として製作し、以下でご紹介したいと思います。

「改紀伊級:第11号艦級」戦艦:「第13号艦級」巡洋戦艦の船体設計をベースとした新設計船体:同型艦2隻(by ModelFunShipyard:就役時(1930年頃?)を想定した姿)

ja.wikipedia.org

史実での「第13号艦級」巡洋戦艦の計画のお話を少し。

同級は筆者版八八艦隊計画の戦艦の最終整備艦級で、巡洋戦艦として30ノットを超える速力を持ちながらも「紀伊級」戦艦を凌駕する次世代の強力な砲力をも併せ持つ設計案として世に知られています。47,000トンの船体を持ち、50口径46センチ連装主砲塔4基搭載、速力30ノットを発揮する、というのが基本仕様とされてきていました。防御装甲は「紀伊級」を上回るものが予定されていましたが、巡洋戦艦としての設計案であるため、46センチ砲弾での砲戦に対して十分とは言えないものだったようで(「大和級」の舷側装甲410ミリに対して330ミリ。ちなみに「紀伊級」の舷側装甲は292ミリ、というデータが残されています)、この辺りが従来の通説として筆者も含め多くの艦船ファンが目にしてきた「第13号艦級」であったかと思われます。

しかし実際には同艦の建造予定時期には、46センチ砲についてはようやく設計図面が完成した段階で製造設備の建設や量産体制の構築にはまだまだ時間を要したであろうことが推測され、現実的には41センチ主砲搭載艦として完成させ、46センチ主砲については生産体制や運用機構の完成後、換装する、あるいは後期型のみ搭載する、そのようなことになったのではないかと言われています。

「第13号艦級」については砲塔の積載案が複数案残されており、確かにその中に46センチ砲搭載思案もあったのですが、上述のように時期的には完成が見込まれておらず、奥本氏の著作でも46センチ主砲の搭載案が八八艦隊の計画時期に実現することについては懐疑的で、46センチ主砲搭載といういわば先取り「試案の一人歩き」が架空戦記的な「通説」を生んだと言えるのではないかというようなニュアンスでまとめられています。

 

今回筆者がご紹介するのは、史実の「第13号艦級」巡洋戦艦ではなく、「紀伊級」の火力増強案として新設計船体を持つ「第11号艦級:改紀伊級」のモデルです。

こちらは、「紀伊級」の船体を拡張する事で実現可能とされた「紀伊級後期型」の41センチ主砲12門を上回る火力を有する戦艦として、排水量50,000トンの船体に41センチ主砲14門搭載試案を2例(四連装砲塔3基と連装砲塔1基・四連装砲塔と三連装砲塔の混載)、41センチ主砲16門(四連装砲塔4基)した形態と、「通説」通り46センチ連装主砲塔4基を搭載した形態の四形態を作成しました。

 

「第11号艦級:改紀伊級」41センチ主砲14門搭載艦:その1

こちらは「第13号艦級」の船体を使用して「新設計船体」として、これに41センチ連装砲塔1基と四連装砲塔3基を混載した形態です。奥本氏の著作では131-132ページに一般平面図が記載されています(配置はやや異なります)。

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(「改紀伊級=第11号艦級」戦艦:41センチ主砲14門搭載試案の概観:Based on ModelFunShipyard model:下の写真では、艦首部・艦尾部の搭載砲塔を拡大しています)

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新設計の船体ですので搭載数、搭載形式に無理はないと思いますが、これならば以下で紹介する16門搭載でいいような気もします。

 

「第11号艦級:改紀伊級」41センチ主砲14門搭載艦:その2

三連装砲塔と四連装砲塔の混載試案です。こういう大型砲塔の混載になると駆動系・回転同機の機構などが気になります。

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(「改紀伊級=第11号艦級」戦艦:41センチ主砲14門搭載試案の概観:Based on ModelFunShipyard model:下の写真では、艦首部・艦尾部の搭載砲塔を拡大しています)

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バランスの取れた砲塔配置です。しかしやはりこれなら次案(16門搭載試案)でいいような気がします。

 

「第11号艦級:改紀伊級」41センチ主砲16門搭載艦

新開発の四連装砲塔4基を搭載する試案です。奥本氏の著作では114-115ページに一般配置図が掲載されています。

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(「改紀伊級=第11号艦級」戦艦:41センチ主砲16門搭載試案の概観:Based on ModelFunShipyard model:下の写真では、艦首部・艦尾部の搭載砲塔を拡大しています)

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41センチ砲16門という強大な火力をバランス良く配置した試案です。ここでご紹介しているのは「改紀伊級」戦艦ですが、ベースとなっている「第13号艦級」といえば、これまでは46センチ砲装備艦という印象が強いのですが、実際には八八艦隊計画の時点では、46センチ砲は設計が完了するかどうか、という状況で、実際に量産体制ができるまでにはかなり時間を要しただろうと考えられています。前述したことですが、奥本氏も「46センチ主砲」という箇所だけが一人歩きして印象を形成してしまった感が否めない、という見解を持っていらっしゃいます。

一方で四連装砲塔の設計・製造は未経験ながらも連装砲塔の複合化という点では技術的な難度は高くなかっただろうと考えられますので、現実的にはこの16門搭載艦の試案が実現性は高かったのではないでしょうか?

 

「第11号艦級:改紀伊級」46センチ主砲8門搭載艦

再三のご紹介で恐縮ですが「第13号艦級」といえば46センチ主砲搭載、と言われる、ある種「通説」通りの設計試案です。奥本氏の著作では118-119ページに一般平面図が掲載されています。

ModelFunShipyard製モデルではかなり大型の砲塔が再現されています。前出の「紀伊級後期型」モデルでご紹介した他社(どこだったかな?)製の砲塔に比べるとやや大きすぎるかもしれません。

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(「改紀伊級=第11号艦級」戦艦:46センチ主砲8門搭載試案の概観:Based on ModelFunShipyard model:下の写真では、艦首部・艦尾部の搭載砲塔を拡大しています。可動式砲塔モデルであることを少し強調したカットになっています)

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前述のように、八八艦隊計画の進行時点では46センチ砲の開発にはかなり時間を要する状況だったようで、実現したとしても41センチ主砲搭載艦として就役することになったのではないかと考えられています。

ちょっと架空戦記等で「46センチ主砲搭載」という仕様が強調されすぎたかもしれません。我々はその刷り込みを受けてしまっていたかも。

少し模型的なお話を;46センチ連装砲塔について

46センチ連装主砲塔についてですが、ModelFunShipyard製モデルではかなり大型の砲塔が再現されています。前出の「紀伊級後期型」モデルでご紹介した他社(どこだったかな?)製の砲塔に比べるとやや大きすぎるかもしれません。

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上の写真では46センチ主砲塔の大きさの比較をしています。左から1:1250スケールの「大和級」三連装主砲塔、ModelFunShipyard社の連装砲塔、筆者のストックしていた他社製の46センチ連装砲塔の順です、左端の「大和級」の三連装砲塔と比較するとModelFunShipyardの砲塔はやはり大きすぎるような気もします。

もう一つ模型的な話:煙突の件

本稿の以前の投稿で、筆者は「改紀伊級」のご紹介の際に以下のようなコメントをしています。

「今回のモデル製作にあたり、「13号級」の図面を見る限り、その大きな特徴である巨大な煙突(米海軍の「レキシントン級巡洋戦艦でも同じような話がありましたが、高速の巡洋戦艦の搭載する巨大な機関を考えると、排煙は大きな課題なのでしょうね)が、筆者にはどうしても違和感があり、「紀伊級」と同じ集合煙突に換装したモデルを製作しています。46センチ主砲搭載艦ですので長大な射程を想定した一際高い前檣を考えると、もう少し高いものにしないと煤煙の前檣への逆流等に悩まされることになるかもしれませんね」

ということで気になっていた集合煙突の高さを少しアップする工夫をしてみました。

下の写真は下段が以前のモデルの煙突で、上段が高さを調整したのちの煙突です。メタルグレー部分が高さ調整分です。

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ということで、今回は八八艦隊計画の「第11号艦級」を、奥本剛氏の著作に大いに刺激を受けながら、「紀伊級」の基本設計を元にした発展形としての「紀伊級後期型」と、新設計の船体による「改紀伊級」の二つの視点で整理して搭載砲塔のヴァリエーションを中心にモデルの作り分けを展開してみました。

ご紹介したのは「紀伊級後期型」として41センチ主砲12門搭載試案3形態、14門搭載試案2形態、16門搭載試案1形態、46センチ主砲10門搭載試案1形態の都合7形態、さらに「改紀伊級」として、41センチ主砲14門搭載試案2形態、16門搭載試案1形態、46センチ主砲8門搭載試案1形態の都合4形態をモデルとして再現しご紹介しました。

こうしたヴァリエーションの再現は、モデル制作ならではの醍醐味だと思っています。冒頭、好きなことづくめの良いGWだったという話で始めた今回の投稿でしたが、もちろん模型製作も、このところ続いていた機帆併装艦のマスト周りのディテイル・アップの細かい作業を続けてきていたので技術的な満足感は高かったものの、久々に想像の羽を大いに伸ばし、かつ非常に素晴らしい奥本氏の著作に刺激を得て、充実した休日を過ごす事ができました。

諸々感謝です。

 

さて朗報が・・・。

今回の投稿でもShapwaysからの調達モデルやディテイル・アップ・パーツの話が何度か出てきています。ご承知のようにShapewaysは2024年の夏に破綻し、以降、筆者は主要なモデル・パーツ等の調達ルートの一つを撓った形になっていたのですが、先週、Shapewaysの事業継承先から下記の通知があり、以前のようなMarket Placeに近い形態のものが期待できそうな動きが出てきました。

www.shapeways.com

一度痛い目を見た出品者の皆さんが戻ってくるのか、そこに大きな懸念を抱いてはいますが、良い方向での動きを期待したいと思っています。

 

ということで今回はこの辺りで。

次回はスウェーデン海軍の謎の未成巡洋艦(情報が全くないのにモデルだけ入手してしまった!)のモデルも並行して作成していたので、その辺りのお話を予定しています

もちろん、もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

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