相州の、ほぼ週刊、1:1250 Scale 艦船模型ブログ

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

ドイツ帝国海軍小型巡洋艦の開発系譜(番外):新着モデルのご紹介

今回は帝政ドイツ期の植民地警備用に開発された巡洋艦の系譜をご紹介する予定でした。しかしあまり手元に情報がなく資料整備等(というか筆者の頭の中の整理、ですね)に、もう少し時間をかける必要が出てきました。そこで今回投稿は、前2回投稿分でいくつか新着モデルがありましたので、そちらのご紹介を簡単に。

 

まず、このミニシリーズの第一回、つまりAviso(=通報艦)から小型巡洋艦への発展のお話をした投稿で、一番最後にご紹介した通報艦「ヘラ」のモデルが到着しましたので、そちらのご紹介です。前回の投稿時にはこのモデルはまだ筆者の手元には届いていませんでした。

通報艦「ヘラ:Hela」(1896年就役:同型艦なし)

en.wikipedia.org

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通報艦「ヘラ」の概観:84mm in 1:1250 by Navis: モデルは機関換装後の2本煙突形態を再現したもの:第一次世界大戦期にはこの形態だったようです。就役時の形態を再現したモデルはどうやら市販されていないようです。Shapewaysならあったのかなあ、とこういう時に思ってしまう・・・)

同艦は1893年計画で建造された通報艦で、先に建造された「ヴァハト級」「メテオ級」が水雷艇対応を意識するあまり小型高速に偏り、航洋性に重大な課題を示した反省から、一転して大型艦となりました。

2000トン級の船体に6000馬力の機関を搭載して、20ノット強の高速を発揮する設計でした。

搭載魚雷口径が拡大され、45センチ単装魚雷発射管を3基、艦首水中に1基、両舷甲板に各1基搭載していました。砲兵装は前級が搭載していた8.8センチ単装速射砲4基に加えて、5センチ単装速射砲6基が搭載され強化されました。

就役時には一本煙突の形態で、「ヴァハト級」通報艦を大型化したような形態でした。

「ヴァハト級:Wacht -class」通報艦1888年から就役:同型艦2隻)

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(「ヴァハト級」通報艦の概観:68mm in 1:1250 by Mercator:モデルは1891年の速射砲への換装以降のもの

「ヴァハト級」との比較では弾薬庫と機関を保護する防御装甲甲板は厚みが強化され、防護巡洋艦としての性格も有する設計は継承されていました。

優速と航洋性を併せ持つことができたため、同艦でようやくドイツ帝国海軍は艦隊に随伴できる艦隊偵察艦の有用性を実証できたと言えるかもしれません。そういう意味では、以降の一連の同海軍の小型巡洋艦の基本設計の方向性を決めたと言ってもいいかもしれません。

就役後、1900年には遠く極東の清国で発生した義和団事件の鎮圧遠征に参加し、その後、偵察艦として主力艦隊と行動を共にしましたが、艦隊偵察艦としては武装が貧弱すぎるとして1903年から砲撃練習艦としての大規模な改修を受けることとなりました。この際に機関の換装を行い、2本煙突となり艦容が一変し、前掲のモデルの形態になりました。

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(上の写真は、改装前と改装後(下段)の比較:煙突の本数以外にも艦尾部の上部構造の形態が大きく変わっているように思われます:写真はWikipediaより拝借しています:下の写真は改装後の兵装配置の拡大: 就役時に比べると兵装にも変更があったようです。艦尾部分の大きな建屋は補給艦として改装されたのちのものでしょうか?既に砲術練習艦にあったものか、判然としません。:余談ですが、上掲の「ヴァハト級」のモデル写真と比べると、多少の彩色はモデルの立体感の演出には有効なんだと、改めて認識しました)

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1910年の艦隊への復帰後は補給艦としての任務に従事していましたが、第一次世界大戦が勃発した1914年にはドイツ湾の哨戒部隊に配備されました。

ドイツ湾はユトランド半島デンマーク本土)とオランダの間の北海に面したドイツ領海域で、ドイツ帝国海軍は(以降の海軍もですが)この湾の奥のヴィルヘルムス・ハーフェンに一大軍港を築き、大海艦隊の根拠地としていました。通報艦「ヘラ」は、前述のように艦隊随伴巡洋艦としてはやや非力で、既に艦齢も経ていましたので、他の旧式の小型巡洋艦と共にこのドイツ湾の哨戒部隊に所属していました。

同年にはこの哨戒海域でヘルゴラント海戦が起こるのですが、これは英国艦隊がこの小型巡洋艦水雷艇を中心にで構成された小規模な哨戒部隊を叩くことを企図して起こされたもので、投入された英国艦隊の編成は、緒戦の勝利を確実なものにすることを企図して、巡洋戦艦も含む大規模なものでした。「ヘラ」も哨戒部隊としてヘルゴラント海戦に参加します。

ヘルゴラント海戦の経緯は以下で。

ja.wikipedia.org

この戦いについてはドイツ小型巡洋艦第一次世界大戦緒戦の戦いであり、次回以降でご紹介できると思います。

通報艦「ヘラ」はこの戦いでは実戦には遭遇しませんでしたが、この2週間後に、ヘルゴラント島の南西海上での訓練演習中に、英潜水艦の雷撃を受けて撃沈されました。同艦は第一次世界大戦で英潜水艦によって撃沈された最初のドイツ軍艦となりました。

(前々回投稿を少し改編していますので、こちらを前回の投稿に差し替えておきます)

 

そしてもう一隻が、前回投稿でご紹介した「ドレスデン級」小型巡洋艦

こちらはNavisの旧モデルを新モデル(Nシリーズ)に更新したもので、こちらも前回投稿以降に手元に届きました(実際には前掲の通報艦「ヘラ」と一緒に届いたのですが)。

 

ドレスデン級:Dresden -class」小型巡洋艦(1908年から就役:同型艦2隻)

en.wikipedia.org

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(「ドレスデン級」小型巡洋艦の概観:94mm  in 1:1250 by Navis N)

同級は1905-06年計画で2隻が建造された防護巡洋艦です。「ケーニヒスベルク級」をさらに高速化した設計で、「ドレスデン」は18000馬力のタービン機関を「エムデン」は16000馬力のレシプロ機関を搭載し、それぞれ25ノット(「ドレスデン」)、24ノット(「エムデン」)の速力を発揮することができました。武装・防御は「ケーニヒスベルク級」のものを踏襲していました。

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(下の写真は「ドレスデン級」小型巡洋艦の主要兵装の配置の拡大:主砲塔の配置等はそれまでの艦級に準じているものであることがよくわかります)

同級の艦歴

第一次世界大戦勃発時には両艦とも海外にいて、「エムデン」は前出のシュペー提督の東洋艦隊に所属し、同艦隊がコロネル海戦、フォークランド海戦に遭遇する以前に艦隊を離れ、インド洋方面で単艦で通商破壊活動を実施しました。「ドレスデン」は北米大西洋方面にあって通商破壊活動を実施した後に、シュペー提督の艦隊と合流しています。同艦隊のコロネル海戦・フォークランド海戦に参加したのち、唯一の生存艦となりました、その後3ヶ月間、英艦隊の追跡をかわし逃走しましたが、1915年3月チリ領で捕捉され英艦隊と交戦したのち、自沈しました。

「エムデン」はインド洋での通商破壊活動で戦果を上げたのち、ココス諸島沖でオーストラリア軽巡洋艦シドニーと交戦して損傷、座礁し乗組員は同艦を放棄して捕虜となりました(1914年11月)。

(こちらも、前回の投稿に差し替えておきます)

 

新旧モデルの比較の話

下の写真は「ドレスデン級」のNavis製旧モデルの概観。前掲の新モデルと比較すると細部のディテイルの差異は明らかですが、モデルの再現性のレベルは決して低いものではありません。それなりにスッキリと全体の外観を再現した良いモデルだと思います。

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以下の2カットはいずれも旧モデルと新モデル(Nシリーズ)の比較。
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上の写真では、旧モデルが上段。下の写真では旧モデルが左列、です。モデル全体にわたってエッジを立てるような仕上げに注力されているように筆者には見えています。さらに煙突や艦橋などにモールドが追加されている事、マスト類やボート類の作りにも工夫が盛り込まれていることがわかります。

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こうして比較してしまうと両者の差は歴然としているので、筆者のようなコレクター癖のある人は全て新モデルへの置換を試みたくなってしまいます。

 

Navisモデルの新旧ヴァージョン(半分、愚痴に聞こえるかも)について

本稿ではたびたびご紹介しているように筆者のコレクションでは第一次世界大戦期とその前の時期(日本で言うと日清・日露両戦役のあたりですね)の艦船はNavis社のモデルコレクションに深く頼っています。主要海軍の主力艦についてのコレクションはほぼ完了しているのですが、このNavis社が新ヴァージョンを投入してきている、と言うのがことの発端なのです。当然、新ヴァージョンは種々のディテイル等の改善が顕著に行われているので「良いに決まっている」のですが、この更新に付き合うとなるとこれまでのコレクションが一瞬で二級品に見えてしまい(筆者はこれを勝手に「モデル・コレクションにおけるドレッド・ノート・ショック」と名づけています)、同時に更新には莫大な(筆者にとっては)経済的な負担も覚悟せねばならず(1:1250スケールのモデルは結構高いのです)、「さて、困ったなあ」と言う状況ではあるのです。

とは言え、一旦その差異を目にしてしまうと放っておけず、このところの筆者の重大な関心事になっている、そう言うことです。新旧モデルの差異については上掲の投稿でも比較をしていますので、ご覧ください。深刻さが伝わる人には伝わると思います。今回ご紹介しているドイツ帝国海軍の小型巡洋艦の系譜では、新モデルへの更新はほぼ完了しています(ほぼ完了したから、今回のミニシリーズに踏み込んだのですが)。

とはいえ、ヴァリエーションのモデルなど、いくつかの更新が必要であることに、投稿後に気づいたりしていて、それはそれで・・・。

常時モデルの更新は気にかけているので、入手次第、適宜、ご紹介していきたいと考えています。

 

ということで今回はこの辺りで。

次回こそはドイツ帝国海軍の小型巡洋艦のお話の三回目、ということで少し時間を遡って海外派遣を主任務として設計された巡洋艦群、「等級巡洋艦」のお話を。結果的には今回ご覧いただいたように、この巡洋艦群も今回の小型巡洋艦に包含されてゆきます。

もちろん、もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

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