相州の、ほぼ週刊、1:1250 Scale 艦船模型ブログ

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

脇道探索アップデート:スウェーデン海軍の新着モデルご紹介:第二次大戦期の海防戦艦

本稿では「日本海軍の空母機動部隊小史」をミニ・シリーズにしてこのところお届けしていますが、今回は少し嬉しい(個人的に)ことがあったので、急遽そちらをお届けします。

2021年の2月から3月にかけて、本稿では「脇道探索」と称して、「スウェーデン海軍」の艦艇について集中的にモデルをご紹介したミニ・シリーズを展開していました。その際に同海軍のいわゆる「主力艦」と位置付けられる海防戦艦の最終艦級「スヴァリイェ」級の近代化モデルのお話をしていて、筆者の主要な艦艇モデル調達先であるEbayでも出品頻度が低く、かつ落札金額がかなり高額になり、なりなかなか入手ができない、というような泣き言を記載していました。

fw688i.hatenablog.com

なんと、それが急展開、一気に「揃った」というお話です。そしてこの機会に第二次世界大戦期のスウェーデン海軍の海防戦艦をもう一度おさらいしておこうかと。今回はそういうお題です。

 

まずは今回の主役ともいうべき「スヴァリイェ級」海防戦艦のお話から。

スヴァリイェ級(同型艦3隻:1921年から就役)
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同級は結果的に、スウェーデン海軍が建造した最後の海防戦艦の艦級となりました。

設計段階で各国海軍の装備は弩級戦艦の時期に達しており、これに準じてそれまでの海防戦艦とは一線を画する設計となりました。船体は前級(4200トン)を大幅に上回る6800トン級となり、これに石炭専焼缶と初めてのタービン機関を組み合わせ22.5ノットの速力を有することが出来ました。主砲には44口径11インチ砲を連装砲塔形式で2基搭載し、副砲として6インチ連装速射砲1基と同単装砲6基、魚雷発射管2基を装備していました。

 

まずは就役時の艦型のご紹介

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海防戦艦「スヴァリイェ級」の概観:96mm in 1:1250 by Navis:ほぼ竣工時の姿を再現しています:下の写真は「スヴェリイェ級」の主砲・服配置の拡大。副砲は連装砲塔1基と単装砲6基の配置でした)

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近代化改装

1920年代にはいり、主として射撃管制関連の改装が行われ、前部マストが三脚化され同時に艦橋が大型化されました。1930年代には主として機関の換装が行われ、全て重油専焼缶と改められました。その際に煙突形状の改装が行われ、「スヴァリィエ」は湾曲煙突、「ドロットニング・ヴィクトリア」は前部煙突にキャップ、「グスタフ5世」は集合煙突に、それぞれ外観が変わりました。

一番艦「スヴァリイェ」

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海防戦艦「スヴァリイェ級」1番艦「スヴァリイェ」の近代化改装後の概観:湾曲煙突が特徴的。by Argonaut: )

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(他の海防戦艦の近代化改装と同じく、近代改装で概観の変化が大きかった前部艦橋部と後橋部分の拡大:後部艦橋上にも対空火器を増強しています) 

 

二番艦「ドロットニング・ヴィクトリア」

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海防戦艦「スヴァリイェ級」2番艦「ドロットニング・ヴィクトリア」の近代化改装後の概観:煙突の形状はほぼ原型そのまま。by Argonaut: 下の写真では前部煙突の先端にキャップをつけています。今回落札したモデルではキャップは装着されていませんが、先に紹介した一番艦の「スヴェリイェ」では湾曲煙突が、次に紹介する三番艦の「グスタフ5世」では集合煙突が採用されていますので、おそらく艦橋の大型化に伴い煤煙の逆流等が問題になったんでしょうね。日本海軍の「長門級」でも同じようなことが)

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(下の写真は「ドロットニング・ヴィクトリア」の中央部の拡大。同型艦三隻の中では最も就役時の姿を残す一隻と言えるでしょう)

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英国王ジョージ6世の戴冠記念観艦式に参加する際に、長距離の外洋航行能力を持たない隣国フィンランド海防戦艦「イルマリネン」を曳航したのは、同級の「ドロットニング・ヴィクトリア」でした。

(下の写真は「ドロットニング・ヴィクトリア」(左)とフィンランド海軍海防戦艦「イルマリネン」のツーショット)

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おまけ:フィンランド海軍「イルマリネン級」海防戦艦 

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(直上の写真は「イルマリネン級」海防戦艦の概観。74mm in 1:1250 by XP Forge:移動式要塞砲台的な感じ?)

同級はオランダの企業によって設計され、フィンランド湾での活動を想定し、幅広の吃水の浅い船体を持ち、かつ冬季の海面凍結から砕氷能力も考慮された船型をしていました。4000トン級の船体を持ち、機関には砕氷時の前進後進の操作性、速力の調整等への配慮から、デーゼル・エレクトリック方式の主機が採用され、16ノットの速力を発揮する事ができました。しかしフィンランド湾沿岸での任務に特化した強力な艦として、外洋への航行は想定から外されて設計されたため、燃料搭載量が極めて少なく航続距離は700海里程度に抑えられていました。

武装としては、主砲には 隣国スウェーデンボフォース社が新設計した46口径25.4センチ連装砲を2基装備し、併せてこれもボフォース社製の新設計の10.5センチ高角砲を連装両用砲塔で4基搭載するという沿岸警備用の海防戦艦としては意欲的な設計でした。

これらの砲装備管制のために高い司令塔を装備したために、明らかにトップ・ヘビーな艦容をしています。とはいえ、その主要任務が活動海域を限定した移動要塞砲台的なものであることを考えると、それほど大きな問題ではないのかもしれません。

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(直上の写真:「イルマリネン」(左)と「ヴァイナモイネン」(右):塗装は例によって筆者オリジナルですので、資料的な価値はありません)

 

三番艦「グスタフ5世」

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第二次世界大戦の勃発時点で、同艦はスェーデン艦隊の旗艦を務めていました。1940年7月にボイラーの爆発事故があり、損傷回復のために旗艦任務を「スヴァリイェ」に引き継いでいます。戦後、「スヴァリイェ」の退役に伴い、再び艦隊旗艦に就役しています。

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(上掲の写真は、同級3番艦の「グスタフ5世」の近代化改装後の概観。集合煙突を搭載しています。by Argonaut:s 下の写真は「グスタフ5世」の中央構造の拡大:集合煙突の採用で、艦容が一段とスマートに見えます(見えません?筆者が集合煙突が好きなだけか?)

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(「スヴェリイェ級」の就役時と改装後の比較:同型艦3隻の外観が異なると言うのは、戦術的に見れば、あまり上策とは言えないような気がします。が、スウェーデン海軍の存立目的である「プレゼンスを示し、戦いを抑止する」と言う視点で見れば、これはこれであり、のようにも思います)

 

その他の第二次世界大戦期のスェーデン海軍の「海防戦艦」を一気にご紹介

スウェーデンは二度の世界大戦を中立の態度で貫いた稀有な国の一つです。従って、長い期間に渡り同海軍は戦闘を経験せず、もちろん戦没艦もありません。(事故等での喪失艦はありますが)

同海軍は第二次世界大戦期に以下の3つの艦級、8隻の海防戦艦保有していました。

アラン級(同型艦4隻:1902年から就役)

オスカー2世(同型艦無し:1907年から就役)

スヴァリイェ級(同型艦3隻:1921年から就役)

総覧するわけですが、その前に少しそもそも「海防戦艦」という艦種について少しおさらいを。

海防戦艦という艦種

海防戦艦」という艦種が概ねどういう艦種なのか、少し触れておきたいと思います。

英語では概ね coastal defence ship と表記されます。直訳すると「沿岸防備艦」というわけで、この文字通りの意味であれば、警備艦艇はほとんどこの領域の任務に就くことになるのですが、この中でも一般的な「戦艦」の定義から見ると比較的小型の船体(沿岸部で行動することを念頭におくと、あまり深い吃水を持たせられない。このために船体の大きさに制限が出てくるのかも)に大口径の主砲を搭載し、かつ一定の装甲を有する艦を特に「海防戦艦」(Coastal defence ship)と呼ぶようです。

保有国には、以下のような大きな二つの地政学的な条件があるように思われます。つまり防備すべき比較的長い海岸線、港湾都市を持つこと。そしてその海岸線が比較的浅い、そして大洋に比べて比較的波の穏やかな内海に面していること。

結果、バルト海、地中海、黒海などに接続海岸を持つ国の占有艦種と言っても良いのではないでしょうか?従って保有国は限定され、バルト海の沿岸諸国として、ロシア帝国、初期のドイツ帝国(彼らは後に大洋海軍を建設します)、スウェーデンデンマークノルウェイフィンランド。地中海ではイタリア(装甲砲艦という艦種で装備されました)、フランス、ギリシアオーストリア=ハンガリー帝国などが同艦種に分類される軍艦を保有しました。(一部、地政学的な条件から見ると例外は南米諸国ですが、これらは新興諸国が海岸線防備のために比較的手軽に装備できる(購入できる)艦種、として整備を競った、という別の歴史的な背景があると、筆者は理解しています)

類似艦種としては沿岸防御の浮き砲台としての「モニター艦」がありますが、これは海防戦艦に比べると、さらに局地的な防御任務に適応しており、航洋性、機動性はより抑えられた設計になっています。

 

さておさらいはこの辺りにして、第二次世界大戦期のスェーデン海軍の海防戦艦を、艦齢の古い順にご紹介します。

 

アラン級(同型艦4隻:1902年から就役)

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「アラン級」海防戦艦は前級「ドリスへティン」の改良型として建造されました。3600トン級にやや前級を拡大した船体を持ち、前級と同じ44口径8.2インチ単装砲を主砲として2基装備していました。副砲も同様に6インチ単装速射砲を6基、魚雷発射管を2基装備していました。

石炭専焼缶とレシプロ主機の組み合わせで、17ノットの速力を出すことが出来ました。

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海防戦艦「アラン級」の概観:70mm in 1:1250 by Brown Water Navy Miniature in Shapeways:竣工時の姿)

 

近代化改装 

1910年ごろから順次、前部マストを3脚化し射撃指揮所を設置したのを皮切りに、機関の重油専焼缶への換装、魚雷発射管の撤去、対空兵装の強化など近代化改装が行われました。改装のレベルは艦によって異なり、外観にも差異が生じました。

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海防戦艦「アラン級」近代化改装後の概観:by Rhenania:下の写真は近代改装で概観の変化が大きかった前部艦橋部と後橋部分の拡大:主砲塔上に対空砲、後部艦橋上にも対空火器を増強しています)

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「アラン級」4番艦「マリンゲーテン」

同級4番艦の「マリンゲーテン」は1941年に艦首をクリッパー型に改装されています。スェーデン海軍の海防戦艦の中で唯一、クリッパー型艦首を持つ艦となりました。

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(「アラン級」4番艦「マリンゲーテン」の近代化改装後の概観:by Rhenania:艦首形状のクリッパー型への変更にと同時にボイラーが新型に換装され、対空会の配置変更等も行われています)

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(下の写真は艦首形状の比較:「マリンゲーテン」(下段)はクリッパー型艦首編変更に伴い、艦の全長が他の同型艦に比べ0,5mほど延長されました)

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(下の写真は「アラン級」の就役時(上段)と改装後の外観の変化を示したもの)

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オスカーII世(同型艦無し:1907年から就役)

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 前級「アラン級」の武装強化版として1隻だけ建造されました。船体は4200トン級に拡大され、主砲は44口径8.2インチ単装砲塔2基のままですが、副砲が6インチ連装砲塔4基に強化されました。魚雷発射管を2基装備していました。

機関は、石炭専焼缶の搭載数が増やされ、18.5ノットの速力を出すことが出来ました。

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海防戦艦「オスカーII世」の概観:86mm in 1:1250 by Brown Water Navy Miniature in Shapeways:竣工時の姿)

 

近代化改装 

1911年に近代化改装が行われ、前部マストを3脚化し射撃指揮所が設けられ、1937年にボイラーを重油・石炭混焼缶に変更した際に煙突の太さが変更されるなどの外観の変更がありました。兵装面では魚雷発射管の撤去が行われ、一方で対空火器の近代化、増強が行われました。

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海防戦艦「オスカー2世」の近代化改装後の概観:by Mercator:下の写真は近代改装で概観の変化が大きかった前部艦橋部と後橋部分の拡大:主砲塔上に対空砲、後部艦橋上にも対空火器を増強しています)

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(下の写真は「オスカーII世」の就役時(上段)と改装後の外観の比較:改装時にボイラーを就役時の石炭専焼缶から重油・石炭混焼缶に変更し、この換装に伴い煙突が若干太くなっています)

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スェーデン海軍第二次世界大戦期の海防戦艦の一覧

下の写真は第二次世界大戦期の同海軍の海防戦艦を一覧したものです。右から「「アラン」「マリンゲーテ」「オスカーII世」「スヴェリイェ」「ドロットニング・ヴィクトリア」「グスタフ5世」の順です。この他に「アラン級」の「ヴァーサ」と「タッパーレーテン」(いずれも外観は「アラン」とほぼ同じ(?))が就役し、都合8隻が同時期に就役していました。

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上記に紹介した3つの艦級以外にも、スェーデン海軍は、スヴェア級(同型艦3隻:1886年から就役)、オーディン級(同型艦3隻:1897年から就役)、ドリスへティン(同型艦なし:1901年から就役)、以上7隻の海防戦艦を建造していますが、これらは既に老朽化のため1920年代に海防戦艦の艦籍を外れ、「スヴェア」は潜水母艦に、残りは「ハルク」つまり宿泊施設や燃料や弾薬その他物資の収納施設として転用され、1930年台から徐々に解体されてゆきました。

艦齢の最も若い「ドリスへティン」は1927年に水上機母艦に改造され、第二次世界大戦期は水上機母艦として運用されていました。

 

ドリスへティン(海防戦艦として建造、1927年に水上機母艦に改装)

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海防戦艦「ドリスへティン」は1901年に就役した海防戦艦で、同型艦はありません。ほぼ前級である「オーディン級」と同じ規模の3400トンクラスの船体に、主砲を新型の44口径8.2インチ単装砲に変更し2基を搭載しています。副砲に6インチ単装速射砲6基を搭載し、魚雷発射管2基を装備していました。16.5ノットの速力を発揮することが出来ました。

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海防戦艦「ドリスへティン」の概観:72mm in 1:1250 by Brown Water Navy Miniature in Shapeways:竣工時の姿)

水上機母艦への改装(1927年)

1927年に同艦は水上機母艦に改装されました。主砲、副砲等を全て撤去し、主兵装は高角砲、高角機関砲も換装されています。水上機3機の運用能力を有していました。同艦は1947年まで運用されていました。

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(「ドリスへティン」の水上機母艦への改装後の概観:72mm in 1:1250 by C.O.B. Construvts and Miniature in Shapewaysからのセミ・スクラッチ)f:id:fw688i:20210228113324j:image

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(艦首・艦尾の主砲を撤去し、飛行整備甲板を装備し、対空火器を増強しています。)

少し制作の裏話水上機母艦形態の「ドリスへティン」には、Mercator社から、1:1250スケールのモデルが発売されています。しかし、なかなか見かけないし、入手の目処が立たなかったので、「では、ストックしているモデルをベースにセミ・スクラッチしてみようか」と。

実はこのセミ・スクラッチには、Brown Water Navy MiniatureのDristighetenのモデルをベースにはしていません。ベースとなったのは同じくShapewaysに出品されているC.O.B. Construvts and Miniatureのスウェーデン海防戦艦「アラン級」の近代化改装後のモデルです。ほぼ同寸であることと、近代化後の姿ということで、前部艦橋、三脚マストなどが再現されていた、というのが主な理由です。

主砲塔を削り、副砲等部分をマスクして上甲板を制作、というのが大まかな工程ですが、実は飛行整備甲板の形状を少し簡略化し過ぎてしまっているのです。正確な写真も図面も見つけられなかった、という背景はあるものの、「まあ、ベースも違うし、ダメならダメでいいか」といわゆる習作のつもりで作ったので、実はその後、Brown Water Navy MiniatureのDristighetenをベースに再度、トライしています。しかし、どうも上手くいかない。筆者的には上掲でいいのかな、と考えています。とはいえ気にはなっているので、どこかで再度トライするかも。

 

おまけ。同海軍の未成海防戦艦のデザイン・バリエーション・モデルが発売されています。こちらもご紹介。

番外:未成海防戦艦:Project 1934

1933年(34年?)に設計された未成の海防戦艦がありました。

ヴァイキング級(仮称)」と命名される予定だった同級は、それまでの「海防戦艦」と異なり、塔形状の前部マストやコンパクトにまとめられた上部構造など、フィンランド海軍の「イルマリネン級」にやや似た近代的(?)な外観をしています。7500トン級の船体に、武装は10インチ連装砲2基と、4.5インチ両用連装砲4-6基を予定していたようです。速力は22−23ノット程度。

"Viking class" (1934/36): Dimensions: 133m x 19,5m x 6,85m, Displacement: 7.150tons standard, Populsion: 20.000shp, 4 shafts, 22 knots, protected by a belt 254mm thick and 50 mm decks, four 254mm Guns (2x2) and 2x3 120m DP-AA Guns, 4x2 40m AA Guns.

https://naval-encyclopedia.com/ww2/swedish-navy.php

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(直上の写真と直下の写真:未成海防戦艦「Project 1934」の概観:by Anker: 対空砲等を艦の左右舷側に配置し、対空砲を強化したデザインになっています) 

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副砲配置のデザインバリエーションも出ています。

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(未成海防戦艦「Project 1934」の概観:103mm in 1:1250 by Anker:下の写真は両案の比較:上掲の資料が確かだとすると、「Project1934]には「ヴァイキング級」という名前が予定されていたようですね)
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(下の写真は、未成の海防戦艦「Project1934=ヴァイキング」と「グスタフ5世」の外観の比較:主兵装や上部構造の配置から、集中防御等への意識が高い設計であったことが推測されます)

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番外その2:海防戦艦「アンサルド社」提案(未成艦)

Coastal Battleship projects:

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Ansaldo Project 1 (1941): 173 m x 20m x 7m and 17.000 tons standard, propelled by 90.000shp on 4 shafts, and a top speed of 23 knots, protected by a belt of 200 mm, Decks of 120 mm and armed with six (3x2) 280 mm, 4x2 120 DP, 5x2 57 AA, 2x2 40 AA, 6x 20 mm AA Guns. The latter could have been in effect too large and costly for Sweden's needs.
Coastal Battleship projects

出典元:Swedish Navy in WW2

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(海防戦艦「アンサルド社1941年提案」の概観:129mm in 1:1250 by Anker)

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(直上の写真は、11インチ主砲の配置の拡大)

同艦はイタリアのアンサルド社が1941年にスウェーデン海軍に新しい海防戦艦として提案したものです。上述のように17000トンの船体を持ち23ノットの速力を発揮する設計で、11インチ(28センチ)主砲を連装砲塔で3基、さらに12センチ両用連装砲4基搭載する強力な兵装を有する設計でした。スウェーデン海軍の艦船としては大きすぎ、かつ高価すぎるということで採用されなかったようです。f:id:fw688i:20220206101640p:image

(「アンサルド社提案海防戦艦」と実在の海防戦艦「グスタフ5世」との比較:アンサルド社提案がかなり大型であることがわかります)

 

1945年提案デザインもある

アンサルド社は1945年にもこれをややコンパクトにした設計案(13900トン、37ノット、21センチ連装砲塔3基、という設計なので、海防戦艦というよりは巡洋艦ですね)を提案していますが、こちらも採用には至りませんでした。(こちらはモデルを未入手です)

> Ansaldo Project 2 (1945): Displacement of 13.900 tons (unknown dimensions), propelled by 56.000 shp on 2 shafts, top speed of 37 km/h or 20 knots, protected by a 300 mm belt and 120 mm deck. Armed with 2x3 210 mm, 2x2 120mm DP, 6x2 57mm and 16x1 25mm AA Guns.  

これらの計画は、いずれも第二次世界大戦の勃発と大戦期中の航空主兵化により計画は中止となり、その後海防戦艦は建造されませんでした。以降、スエーデン海軍は潜水艦と高速艦艇中心の編成に変わっていくことになります。

 

というわけで今回はここまで。

 

次回は「空母機動部隊小史」に戻って、「ミッドウェー海戦」の予定です。・・・が、海戦の詳細は資料が沢山あって、詳細はそれらにもちろんお任せするのですが、どんな切り口にするのか、結構、苦しんでいます。もう一回、新着モデル、挟むかも。

もちろん、もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

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