相州の、1:1250スケール艦船模型ブログ 主力艦の変遷を追って

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

『T-34 ナチスが恐れた最強戦車』という映画、雑感

T-34 ナチスが恐れた最強戦車」(すんごい邦題!いつも思うのですが、どうしてこの手の映画は、たいてこんな邦題なんでしょうか?まさか、原題も一緒だったりして。だったらゴメンなさい)という映画がCSで配信され、「おお、戦車の映画か」くらいの気持ちでなんという事はなく録画しておいたものを、観ました。

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予告編でもないかと探したのですが、ちょっと見つけられませんでした。字幕なしの本編なら見つけましたが(いいのかな?) 

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が、これがなかなかの映画。(実は「なかなか」どころのでは、なかったんですが)

 

この後、ネタバレしますので、以後は自己責任でお願いします。(が、読んだ方がいい!この邦題の映画、自分ではなかなか手に取らないでしょうから)

 

冒頭、ジューコフ(!)が焼けごげた戦場に佇んでいるシーンから、この映画は始まります。傍には擱座したT-37(?!)。え、なんか本物っぽいじゃない?

ja.wikipedia.org

戦跡を歩くジューコフの足元にテロップが流れ「1939年ハルハ河」の表示。

ハルハ河ですよ!このテロップだけで、実は私は「あれれ。何かちゃんと観なきゃ」と思ってしまいました。

そして「20mmの対戦車ライフルとは驚きです」とか「軽装甲の部隊を送った責任を感じている」とか反省と驚きをジューコフが述べた後で、「本物の戦車が必要です。砲火に耐える戦車です」と続くのです。

そしてタイトルテーマが始まります。

 

と、どうですが、これだけで観たくなった人がいるのでは?(ね、ハルハ河、で始まる映画なんて。もう鷲掴みでしょ?ハルハ河?はあ?という方に少しヒント。ソ連側、モンゴル側の呼称は「ハルハ河戦争」です)

ja.wikipedia.org

 

というわけでこの映画、T-34の開発期を扱った映画です。ですので、派手な戦車戦や砲撃戦は出てきません。しかし、結論から言うと十分に面白い(と思います)。

 

この映画、主人公はT-34の開発責任者である、ミハイル・コーシュキンです(実在の人物です)。ハリコフの工場でT-34の試作1号車と2号車はほぼ完成し、モスクワでの閲兵式でのお披露目を予定しているのですが、突然の電報により、「戦車の積載を禁ずる」という指令を受けます(その辺りの背景はあまり語られず、詳細は不明です)。

一同、積載が禁じられたら閲兵式参加は無理だなあ、という事になるのですが、ミハイルは、列車への積載が禁じられたなら自走して行けばいいんだ、と、情熱だけで動き始めます。一応、ジューコフの許可だけは取るのですが。(この件、間に合わないと恥をかく、と軍の上層部だけの関知事項で、軍そのものには知らされません。これも話を面白くする伏線)

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 (ウクライナの草原を爆走するT-34。主砲上のライトが目立ちますね。後にこの位置には多くの戦車で夜間戦闘用の赤外線ライトが搭載されたりしますが、この写真のライトは、あくまで前照灯です)

 

というわけで、移送の旅が始まるのですが、これにお約束として、当時の党の内務人民委員部の堅物少尉が同行者として絡んだり、同行を強く求める女性技師(彼女が装甲の設計について責任を持っているのです!)とそれを認めないミハイルのやりとりがあり(結局、彼女は随伴トラックにこっそり潜り込んでついてくるのですが。まあ、これもお約束)、加えてドイツの情報機関がこれを阻止しようとして暗躍し始めます(なんと、潜入部隊がハリコフに配置されている!どう観ても、皆んなさっぱりしたドイツ人の髪型で、ドイツ人にしか見えない。加えてご丁寧にMG34やMP40でばちばちに武装しています。最初は馬で移動する潜入部隊だったのですが、彼らが失敗するとサイドカーに乗った精鋭部隊が出てきたりして。まだ独ソ戦の開戦前のはずなんですが。下の写真は、ドイツ情報機関の司令官の女性秘書。ステレオタイプ、と言うか。まあ、この映画、ドイツ情報部だけでなく、登場人物は全てステレオタイプではあるのですが)。

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驚くべきは、山賊が襲ってくる事。映画の中の説明では、20年間国家から隠れて狩猟や盗みで生活している、とのこと。ミハイル等の車列を新型のトラクターだと勘違いして、「これは金になる」ということで狙うわけです。捕らえてみて初めて戦車だとわかってびっくり。「トラクターだと思ったもんでよ」と弁解する盗賊頭(実行部隊の長)に、「こんなもん盗んだら、軍が黙っとらんわ。どうすべ」というような、親分のやりとりがあり・・・。

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(「トラクターだと思った」って、ねえ。まあ、当時の山賊にとっては「トラクターって、なんだべ?」だったかもしれませんね。大きいから金にはなりそう。欲しがる奴は見つかるだろう、という感じ?)

 

この山賊の基地(アジトといった方が雰囲気が出ますかね。いわゆる山塞。山塞と、つい書いてしまいましたが、実はくぼ地に隠れています)が凄い。列車の引込線に貨車を連ねて屋形らしきもの形作っているようでした。歯車でギリギリ引き上げる鉄板の城門のような仕掛けがあったり、さらに機関車の動力で電気も発電できたりして、こうした設定や前述の親分と盗賊頭とのやりとり含め、この辺りはスタジオ・ジブリの映画を見ているようです。(もしかしたら、かなり影響を受けているのかも)

彼らが捕らえたT-34を目当てに、ドイツ情報機関が交渉にやってきます。

「あれは我々の戦車だ」/「そうかい、今は、俺のだ」/「保管してもらったお礼に、この金額を進呈しよう」/「そうかい、なら、この倍、持ってきな。一台に付いてだけどよ、ひひひ」

このやり取り、思わず膝をたたいてしまいます。

結局、その後ドイツ情報機関の猛攻撃が開始され(くぼ地だけにこの砦、実は周りが全て高所で、実に射撃に弱い)、結局 T-34の主砲の試射用に積んでいた砲弾が山賊を救うことになり、「もう、出てってくれ」と燃料をもらって追い出されるのです。(うーん、やっぱりジブリでしょう)

 

その後も、閲兵式に間に合わないと、騎馬警察隊の検問を強行突破したおかげで軍の阻止線で対戦車砲の砲撃を浴びたり(これは、例の女性技師が、この戦車の装甲はどんな対戦車砲でも大丈夫、と太鼓判を押し、結局跳ね返して無事。「まさか無傷」と砲兵部隊の隊長が頭を抱えて、T-34の高性能をアピールする、これもお約束。ジューコフはこの報告を受け「いいぞ」と喜びます)、川を渡る途中で橋が落ち、川に落ち込んだ2号車が動けなくなったりします。 

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(直上の写真は、川にはまり込んだ2号車。引き上げる手立てがなく、途方に暮れています。「1号車だけ先に行ってくれ」という事になるのですが・・・。砲弾の搬入口等を兼ねたため大きく前に跳ね上がる構造の、砲塔上面のハッチがよくわかります。上部に小さな車長用のペリスコープもついてますね。このハッチ、重くて、かつ大きすぎて車長の前方視界を塞いでしまうため、前方確認のためには、車長が左右いずれかに大きく体を傾けねばならず、ドイツの狙撃兵の格好の的だったようです)

 

この窮地を救ったのは、何と例の彼らを追いかけているドイツ情報機関の精鋭部隊で、未だ乗員が中に残って居るとも気づかず、サイドカー部隊を駆使して川から引き揚げたのです。もちろんT-34奪取が目的ですが、車内に潜んでいた乗員が、引き揚げてもらった後、エンジン全開で、彼らを振り解きサイドカー部隊を蹂躙して脱出します。(ああ、それで途中でサイドカー部隊が交代しないといけなかったわけですね。やっと納得。この映画では、ドイツ情報部は先のT-34車列を捕獲した山賊との交渉経緯等も含め、徹底して、真面目な顔をした間抜けな連中、というような役回りです)

 

こうして2台はスターリンの閲兵の最中にモスクワの閲兵場に登場し、無整備でこの距離(ハリコフ、モスクワ間、約1000キロ)を走行する性能を報告し、めでたしめでたし。f:id:fw688i:20200211103020j:plain

(確かに、ウクライナの草原(?)を無整備1000キロ走破、というのは、凄いんだろうなあ)

 

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(この堅物の党内務人民委員部の少尉さんも、最後には仲間の一員に溶け込んで、一時は射殺までしようとした女性技師と恋に落ちたりします)
 

冒頭に「史実に基づく物語である」という注釈が入るのですが、どこまでが史実か?でも、どうやらハリコフ、モスクワ間の実車走行を行った事は事実のようです。

 

ちょっと模型関連のサイトらしく。

この映画、T-34Wikipediaにも未掲載ですが、多分、我々が見慣れたT-34よりも単砲身の40年式のT-34(A-34)の30.5口径L-11型76mm戦車砲を搭載するなどの特徴をよくあわらしているように思いました。(通常目にするT-34 41年式は41.6口径F-34 76mm戦車砲を搭載しています)

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(下の写真は、私の1:144戦車コレクションから、上段がT-34 1940型(41年型から砲身を切り詰めてあります。本当はヘッドライトとかつけてみたいのですが)下段はオリジナルの1941年型。まあ、簡単な加工だけですので、雰囲気だけでも掴んでもらったら。ちょっとお粗末に過ぎるかな、と思うので、急遽、T-34 Mod40の1:144スケールの模型を取り寄せる事にしました。お得意の3Dです。いずれは写真を差し替えるか、追加しますので、それまではご容赦ください

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映画、興味のある方は是非ご覧になってみて下さい。レンタルとかあるかどうかは?下記では字幕版がご覧になれます。

www.youtube.com

という事で、今回はここまで。

 

感想や、情報、あるいはご質問などがあれば、是非お知らせください。

 

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