本稿で紹介した主力艦開発史の中で、長らく、唯一、1:1250スケールモデル未入手であったイタリア海軍前弩級戦艦「エマニュエレ・フィリベルト級」が日本に到着した。
3D PrintingメーカーであるWTJに1:1250スケールモデルへのスケールアップを依頼していたが、ようやく対応していただき日本に到着、早速製作した。
(1901-, 10082t, 18.3knot, 10in *2*2, 2 ships)
10,000トンを少し下回るほどの小ぶりな船体を持った戦艦である。主砲に40口径25.4センチ砲を採用し、これを新設計の連装式砲塔2基に収め前後に配置している。速力は18ノットを発揮する。
各国海軍から、そのバランスの良さから相次いで購入の申し入れのあった装甲巡洋艦ジュゼッペ・カリバルデイ級は、本級を小型化した艦型を基本設計としている。
同時にスペイン海軍装甲巡洋艦クリストーバル・コロン(同型艦なし)も到着した。
クリストーバル・コロン (装甲巡洋艦) - Wikipedia
(1897-, 7970t, 20.02kot, 10in *2 )
こちらはイタリア製の装甲巡洋艦で、ジュゼッペ・ガリバルディ級の1隻を建造中に取得したものである。同じく日本海軍がアルゼンチンから購入した「日進」「春日」とは準同型艦にあたる。
本艦はスペイン海軍の新型砲である「Model 1896 24cm(42口径)砲」を前後に単装砲塔で搭載したが、この砲は欠陥品で使用に耐えなかったので、米西戦争の直前に軍事委員会によって「インファンタ・マリア・テレサ級」などにも採用された9.92インチ砲に換装する計画が立てられた。しかし米西戦争開戦には間に合わず、主砲未装備で戦争に臨まざるを得なかった。サンディエゴ・デ・キューバ海戦には主砲未装備のままで参加し、戦闘の末、撃沈された。本稿では、一応、主砲換装後を想定して製作した。
主砲未装備で艦隊に編入、海外へ派遣、戦闘参加の末に沈没とは、なんと数奇な・・・。あるいは、それほど「主砲は恃むに足らず」と言うことか。単装砲、発射速度毎分一発、確かに命中弾を得る確率は低いであろうが。
**本稿ではこれまで上述のように準同型艦である「春日」の写真を、参考として掲載してきたが(直下)、今回、こちらもWTJからモデルを入手し製作した。
本級の原型であるジュゼッペ・ガリバルディ級装甲巡洋艦は、そもそもエマニュエレ・フィリベルト級の小型化、と言う狙いであったために、両級の艦型は非常に類似している。
これで本稿の主力艦コレクションは装甲巡洋艦の一部を除き、一応完成。装甲巡洋艦については、米海軍とオーストリア=ハンガリー帝国海軍の装甲巡洋艦ラインナップがほぼ準備完了しましたので、近日アップデートします。
おまけ:太平洋戦争後期の日米両艦載機
(本稿は、第26回にも追加掲載されます。写真はいずれも1:144スケールモデル)
主力艦発達史からは、大きく脱線するが、大戦後期の艦上戦闘機を比較する。
日本海軍空母機動部隊の無力化
スチームカタパルトの実用化に目処の立たない日本海軍は、ジェット戦闘機、ジェット攻撃機などの開発には成功していたものの、艦載機として運用することができず、大戦後半、その空母機動部隊は、艦隊決戦兵力としてはほぼ無力化されてしまったと言ってよかった。
日本海軍は、それでも史上発のエンテ翼戦闘機「震電」の艦載機型を採用するなど、その機材の高速化には務めたが、速度の差は埋め難く、両軍の空母機動部隊が投入されたマリアナ沖、レイテ沖両海戦においては、意に反して一方的な戦闘とならざるを得なかった。
(日本海軍が開発した史上初のエンテ翼戦闘機「震電」。レシプロ機としては、高速を誇り、かつ機首に集中搭載された重火器で、艦載機型は空母機動部隊の主力戦闘機となった。しかし同時期に米海軍の艦載機は既にジェット化されており、その速度の差は埋め難く、実戦では一方的な戦いを強いられた。「震電改」はジェットエンジンを搭載し実用化されており、その速度、運動性ともに米海軍の艦載ジェット戦闘機を凌駕する性能を示したが、日本の空母からは発艦できず、陸上機としての運用に限られざるを得なかった)
米海軍の艦上戦闘機
(艦上機には定評のあるグラマン社のジェット艦上戦闘機である。初期型は直線翼を有し、既に設計としてはやや古い部類に属するが、それでも920kmの最高速度を発揮し、当時の日本海軍主力の艦上戦闘機「震電艦上型」の最高速度750kmを大きく凌駕していた)
両艦上戦闘機の形状比較。大きさ自体にはそれほど大きな差は見られないが、重量が「震電艦上型」が4.3トンであるのに対し、「F9Fパンサー」は6.5トンであった。(参考:零式艦上戦闘機52型 重量:2.7トン、最高速度:565km)
前回「本稿最終回」と声高に宣言しましたが、早速、不定期更新の第一回です。
***模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。
これまで本稿に登場した各艦の情報を下記に国別にまとめました。
内容は当ブログの内容と同様ですが、詳しい情報をご覧になりたい時などに、辞書がわりに使っていただければ幸いです。