相州の、1:1250スケール艦船模型ブログ 主力艦の変遷を追って

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

第24回 大和の眷属

18インチ砲搭載戦艦の系譜 

 

大和級の建造

既述のように、大和級戦艦は、世界初の18インチ主砲搭載戦艦として、設計された。

18インチ砲は、大和級以前にも日本海軍の八八艦隊計画の一環である相模級戦艦が搭載していたが、そもそも相模級は米海軍が16インチ砲12門を搭載した戦艦として建造したケンタッキー級(サウスダコタ1920級)に対抗するもので、本来は16インチ砲10門搭載戦艦として建造された紀伊級の3番艦、4番艦として設計されたもので、16インチ砲12門搭載艦への対抗上から、便宜的に18インチ砲の採用に踏み切った。そうした意味では相模級は18インチ砲搭載艦としての防御設計に課題を抱えていた。
一方、大和級ワシントン海軍軍縮条約の期限切れを見越して複数あった新造戦艦の設計の中から選択されたもので、採用案では当初から18インチ砲防御についても設計に盛り込まれたものであった。

 

大和型戦艦 - Wikipedia

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同級の計画時にはまだワシントン海軍軍縮条約が有効であったために、その主砲は前級である相模級と同様、新型55口径16インチと公承されていたが、実は条約の制限を超える18インチ砲であった。

集中防御方式を推進し、艦型そのものは大変コンパクトであった。塔式の前檣や、集合式の新設計の通信アンテナ、強烈な主砲爆風対策のための格納式航空兵装、内火艇収納庫、シールド付きの対空砲座など、新機軸が多数採用された。

相模 級戦艦で実績のある18インチ砲ではあったが、同級は新設計の砲を新設計の三連装砲塔に搭載した。さらに27ノットの高速で機動性にも優れる戦艦として設計された。高い機動性と強力な砲力で常に相手に対し優位な位置からのアウトレンジを実施し、相手を圧倒することを実現できることが目指された。

(1941-: 64,000t, 27 knot, 18in *3*3, 3 ships, 215mm in 1:1250 by Konishi/Neptun)

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大和級の2隻:武蔵(手前)、大和。就役時には、副砲塔を上部構造の前後左右に4基配置した) 

 

大和級戦艦の改装

大和級戦艦はその新造時の設計では、6インチ三連装副砲塔を4基、上部構造の前後左右に配置した設計であったが、既述のように一連の既存戦艦の近代化改装の方針である対空戦闘能力の向上に則り、両舷の副砲塔を撤去し、対空火器に換装した。

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同級3番艦の「信濃」は新造時から対空兵装増強型で建造され、かつその対空砲として新型の長10センチ連装対空砲を採用した。

(直下の写真は大和級戦艦3隻:手前から信濃、武蔵、大和 の順。信濃は上記のように当初から対空兵装強化型として建造され、対空砲として新型の長10センチ連装砲を採用していた)

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大和級戦艦:播磨級(播磨・伊予)の建造

大和級の建造によって、日本海軍は個艦の性能で米戦艦に凌駕する戦力を保有することに成功したが、いずれは米海軍が18インチ砲搭載艦を建造することは明白であった。事実、既述のようにアイオア級の5番艦以降、改アイオア級(イリノイ級)で米海軍の18インチ砲搭載艦は実現する。

この予見される脅威への対抗策が、A-150計画であった。

 

超大和型戦艦 - Wikipedia

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A-150計画では、米海軍が建造するであろう18インチ砲搭載艦を打ち破るために更なる大口径砲の20インチ(51センチ)砲を搭載することが計画された。日本海軍は、2インチ毎の口径拡大を目指すのが常であった。12インチ(前/凖弩級戦艦弩級戦艦)、14インチ(超弩級戦艦)、16インチ(八八艦隊)、18インチ(相模級、大和級)、20インチ(播磨級))

艦型は時勢の展開を考慮して建造期間の短縮を目指し、全くの新設計ではなく前級である大和級の基本設計を踏襲した強化型、発展型として計画が進められた。

当初、新設計の20インチ砲を大和級同様、三連装砲塔形式で3基9門を搭載する予定であったが、その場合、90,000トンを超える巨艦となることが判明し、当時の日本にはこれを建造する施設がなかった。さらに言えば、18インチ砲三連装砲塔以上の重量の砲塔を回転させる技術もなく、短期間での完成を目指す日本海軍はこれを諦めた。

さらにいくつかのデザイン案の模索の後、20インチ砲を採用して連装砲塔3基搭載であれば、既存の大和級の艦型をほぼそのまま使用し建造期間を短縮できるということが判明し、同案が採用された。

(1943-: 66,000t, 27 knot, 20in *2*3, 2 ships, 217mm in 1:1250 by semi-scratched based on Neptune)

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(直上の写真は播磨級戦艦2隻:手前から伊予、播磨の順。両艦ともに、当初から対空兵装強化型として建造され、対空砲として新型の長10センチ連装砲を採用していた)

 

大和級戦艦:駿河の建造

前級播磨級において、日本海軍は念願の20インチ砲搭載戦艦を建造したが、その設計過程には無理が多く、結局、時勢の流動への対応から、大和級の船体を流用し、建造を急いだことから、主砲射撃時の散布界が大きく、さらには搭載数が6門では 単艦での運用では十分な射撃精度が得られないことが判明した。

このため米海軍が建造する18インチ砲搭載艦への対応に、大和級の設計をベースとして、18インチ主砲の搭載数を増加させる案が検討された。

駿河級は計画では2隻が建造される予定であったが、日米開戦により1隻、駿河のみ建造された。

18インチ主砲を大和級と同様、三連装砲塔に装備し、大和級よりも1基増やし、4基12門搭載とした。砲塔の増設によって船体は大型化し排水量も大幅に増加したが、機関を強化し、大和級と同速の27ノットを確保した。射撃管制システムも新型が搭載され、改良された装填機構の採用などにより、発射速度を大和級よりも早めることができた。射撃試験の結果、良好な散布界を得ることなどが検証され、日本海軍の最強艦となった。

(1945-: 71,000t, 27 knot, 18in *3*4, 220mm in 1:1250 by 3D printing: Tiny Thingajigs)

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富士級高速戦艦:富士・劔の建造

大和級の建造と併せて、この18インチ砲搭載戦艦の時代にふさわしい前衛支援艦が必要と考えられた。高速で展開するこの前衛艦は、後続する主力艦隊に敵艦隊の速度、運動等の詳細なデータを送信し、射撃管制を高める役割が期待された。

当初、大和級と同じく18インチ砲を搭載する相模級の2隻をこれにあてる予定であったが、やはり前衛には敵艦隊に肉薄、あるいは捕捉から逃れる高速力が必要とされることが明らかとなり、この目的のためには相模級を上回る速度を保有するこれに専任する艦が新たに設計された。

 

建造期間を短縮するために、ここでも装備類は大和級から流用されることが求められた。機関には大和級と同じものが使用されることが決められ、33ノットの速力が期待されるところから、船体の大きさが逆算された。また、同級は大和級と行動を共にすることが想定されるところから、主砲には同じく18インチ三連装砲塔の搭載が決定された。

これらの要件を満たすために、これまでの主力艦とは一線を画する特異な設計となった。艦体前部に主砲塔を集中装備し、その後方に機関を配置、後部には副砲塔等と航空装備、という奇しくも仏海軍のリシュリュー級に似た配置となった。射撃管制機器、上部構造等を大和級と共通化したために、遠距離からの視認では、大和級に実に似通った外観を示している。

(1945-: 38,000t, 33 knot, 18in *3*2, 2 ships, 197mm in 1:1250 by semi-scratched based on Hansa) 

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(直上の写真では、船体後部に航空兵装、副砲塔等が集中しているのがよくわかる)

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(直上の写真は富士級高速戦艦2隻:手前から「劔」、「富士」の順。両艦は対空兵装で異なる装備を有していた。2番艦の「劔」は、建造時期がジェット航空機の発展期に当たったため、当初から対空兵装強化型として実験的に自動砲を採用していた)

 
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(直上の写真は大和級 18インチ砲搭載艦の系譜:左から富士級高速戦艦大和級、播磨級、駿河の順。大和級の系譜は、18インチ砲の強烈な反動を受け止めるため艦幅を広く取っている。一方で水線長を抑え、装甲を効果的に配置するなど、全体的にコンパクト化に成功していると言っていいだろう)

 

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(直上の写真は日本海軍の高速戦艦巡洋戦艦)の系譜。:左から、金剛級(比叡)、畝傍級、高千穂級、富士級の順。高速化への模索の取り組みとして、艦幅と水線長の工夫が興味深い)

 

連合艦隊の主力艦配置

 これら一連の18インチ主砲搭載艦の建造により、日本海軍は、21インチ砲搭載艦2隻、18インチ砲搭載戦艦6隻、18インチ砲搭載高速戦艦2隻、16インチ砲搭載戦艦6隻、16インチ砲搭載高速戦艦5隻、14インチ砲搭載高速戦艦4隻、計25隻の主力艦を一線装備として保有することとなった。

これらを以下の戦闘単位に序列して、日本海軍は日米開戦に臨む事となった。

連合艦隊主隊:紀伊級(紀伊尾張)、長門級長門陸奥

主力戦艦戦隊:駿河(開戦時には未完成)、播磨級(播磨、伊予:開戦時には未完成)、大和級(大和、武蔵、信濃)、相模級(相模、近江)

主力戦艦戦隊前衛:富士級(富士、劔:開戦時には未完成)

南方展開艦隊主隊:加賀級(加賀、土佐)

空母機動部隊・支援艦隊:高千穂級(高千穂、白根)、信貴、畝傍級(畝傍、筑波)、金剛級(金剛、比叡、榛名、霧島)

 

そして1943年12月、日米は開戦を迎える。

 

次回は、少し本筋から逸れて、史実では結果的に日本海軍の最大の課題となったシーレーン保護について。本稿で扱われている歴史では、通商路保護の専任艦隊となった連合艦隊第七艦隊が設立される。 

第一次世界大戦の戦訓から、来るべき次の「総力戦」における潜水艦の脅威に対する水野広徳大佐による優れた先駆的分析に基づき、連合艦隊は通商破壊戦防衛の専任艦隊として、第七艦隊を創設する。そこには、これまでの艦隊決戦思想とは別の通商破壊戦防衛の専任艦艇が投入された。

 

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これまで本稿に登場した各艦の情報を下記に国別にまとめました。

fw688i.hatenadiary.jp

内容は当ブログの内容と同様ですが、詳しい情報をご覧になりたい時などに、辞書がわりに使っていただければ幸いです。