戦艦石見の前身:オリョール(ボロジノ級戦艦3番艦)
日本海軍の前弩級戦艦石見の前身は、ロシア帝国海軍のボロジノ級戦艦3番艦オリョールである。(1904-, 14091t, 18knot, 12in *2*2, 5 ships, 95mm in 1:1250 )
ボロジノ級戦艦は、ロシア旅順艦隊における最良戦艦と評価の高かったフランス製の戦艦ツェザレヴィッチをタイプシップとしている。ライセンス契約したツェザレヴィッチの基本設計をもとに、いくつかの要求事項を盛り込みロシアで建造された。しかしその設計変更と建造の不手際から実際の排水量が計画排水量を大幅に上回ったこともあって、ベースに比べて復原性に劣り、失敗作といえるものになってしまった。
欠陥があるにせよ、日本海海戦の時点では、ロシア艦隊最新最強の戦艦であることに変わりはなく、その主力として、この4隻で最強の第一戦艦戦隊を編成し、ロジェストウェンスキーが直卒した。
日本海海戦においては主力として奮戦したが、結果、オリョールを除く3隻は浸水の末転覆、沈没した。復原性の欠陥が白日の下に晒された結果となった。
日本海軍は日本海海戦において、満身創痍の状態で、しかしまだ航行を続けていたオリョールを鹵獲し(1905年5月28日)、1905年7月から1907年11月までの期間をかけて修復、1908年艦隊に編入した。
修復にあたっては、上記の復原性の改善に主眼を置き、乾舷形状の変更や最上甲板の撤去を伴う上部構造物の簡略化、重量のある副砲塔の撤去、20センチ副砲の設置などが実施され、艦型が一変するほどのものとなった。副砲を20センチとしたことで、準弩級戦艦にも匹敵する強力な戦艦として生まれ変わった。
しかし、周知のように既に1906年に英海軍がドレッドノートを就役させており、この時期に就役した他の前弩級戦艦、準弩級戦艦と同様、二線戦力と言わざるを得なかった。
その後、1912年に海防艦の艦種変更され、海防艦籍で第一次世界大戦に参加(青島攻略戦ほか)、シベリア出兵に関連する北方警備などに従事した。
1922年に除籍。
戦艦石見の製作
戦艦石見の1:1250スケールの模型は、残念ながら筆者が知る限りでは存在しない。
そこで筆者も、史実同様、ボロジノ級戦艦をベースにこれまで二度製作を試み、二度目の作品をコレクションに加えた。
ベースとしたのはNavis社製のボロジノ級5番艦スラヴァ(ボロジノ級の中で唯一、日本海海戦に参加せず、従ってその後長くロシア帝国艦隊の主力を務めた)で、そのメタル製の船体をガシガシと削り、艦型を整えた。一応の完成を見たのだが、メタルの加工の難しさと筆者の技術の低さが相まって、決して満足のいくものだとは思っていなかった。
(現行のコレクションにあるモデル)
今回はメタルよりは加工のしやすそうな3Dプリンティングモデルに着目し、既に1:700スケールのモデルを公開していたKaja's Models and Machinationsにスケールダウンをお願いした。
(現在は上記ページで1:1250スケールも公開されています。スケールダウンは、依頼を行ってから2日ほどで対応していただけました。3D プリテンティングの製作者の方々は、こうした依頼に、概ね気持ち良く応えていただけます。多くの場合、少し手直しが必要だろうから、時間がかかるかも、というメッセージが帰ってきますが、今回のケースのように、せいぜい2−3日であることが多いです)
昨日、依頼していた3Dプリンティングが到着し、早速、上甲板の撤去、上部構造物の軽量化等の加工を行なった。
以下、作業状況を。
上の写真は、Kaja's Models and Mechanicalsのオリジナルモデルです。これに主砲塔、副砲塔が別部品で付属しています。(100mm in 1:1250)Navisのモデルより少し大きいかもしれません。 素材はWhite Natural Valsatile Plasticで、やや粘度の高いレジン(?)のようなものです。モデルそのものは、大変よくその特徴を捉えていると思います。
早速、上部構造等を切除。メタルに比べると格段に作業は楽です。
下はオリジナルとの比較。かなりスッキリした感じだと思いませんか。
舷側形状をエポキシパテとプラ板で修正。副砲を手持ちのストック部品から、両舷に3基づつ設置。そして、上部構造物を少し簡素化して再設置しました。
そして再びオリジナル(奥)と比較。
少しは課題のトップヘビーは解消できたかな?(下)
もう少しだけ手を加え、サーフェサーを塗布して今日の作業は終了です。
次回はこの続きを。
***模型についてのお問い合わせ、お待ちしています。或いは、**vs++の比較リクエストなどあれば、是非お知らせください。
これまで本稿に登場した各艦の情報を下記に国別にまとめました。
内容は当ブログの内容と同様ですが、詳しい情報をご覧になりたい時などに、辞書がわりに使っていただければ幸いです。