弩級戦艦の始祖ドレッドノートの登場が1906年、それから第一次世界大戦の開戦までに、主として英独間で弩級戦艦の大建艦競争が繰り広げられた。その途上で、超弩級戦艦が登場する。
本稿は、これから第一次大戦中の海戦に言及しながら、主力艦の発達を見ていこうとしているが、それに先立ち、英独以外の列強も含め、それらがどのように準備されたか、総覧的に見ておくことは、意味があるかと考える。
実は弩級戦艦、超弩級戦艦については、ここで取り上げた列強以外にも数カ国、その保有、あるいは保有を計画した国があるが、そのほとんどがここで挙げる列強からの購入艦であり、ここでは取り上げないことにした。ご容赦願いたい。
あわせて、第一次大戦に関連するものとしたため、およそ1920年以前に建造、あるいは計画された船をまとめた。
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_dreadnought_battleships_of_the_Royal_Navy#HMS_Dreadnought
この時期、イギリス海軍は世界最大の海軍であり、その装備の他国に対する優位性は、長いイギリス海軍の歴史を通じ、おそらく頂点にあった。
ドレッドノートの母国だけに、列強中、群を抜いて、22隻の弩級戦艦、超弩級戦艦を、さらに9隻の弩級・超弩級巡洋戦艦を揃えて、第一次世界大戦に臨んだ。更に超弩級戦艦2隻、超弩級巡洋戦艦1隻が建造中であった。
https://en.wikipedia.org/wiki/HMS_Dreadnought_(1906)
(1906年:クラス一番艦の就役年、18,110トン: 30.5cm連装砲5基、21ノット)同型艦なし (126mm in 1:1250)
言わずと知れた、弩級戦艦の始祖。この艦の登場が、それまでの全ての戦艦を旧式にしてしまった。
https://en.wikipedia.org/wiki/Bellerophon-class_battleship
(1909年、18,800トン: 30.5cm連装砲5基、21ノット)同型艦3隻 (128mm in 1:1250)
実用量産型ドレッドノート。副砲の口径を強化した。
https://en.wikipedia.org/wiki/St_Vincent-class_battleship
(1910年、19,560トン: 30.5cm連装砲5基、21ノット)同型艦3隻 (130mm in 1:1250)
主砲を50口径に強化し、副砲の数を増やした。既述のように、採用した50口径主砲に不調があり、やがて長砲身砲を諦め、口径を大きく強化する超弩級艦の検討がはじまる。
https://en.wikipedia.org/wiki/HMS_Neptune_(1909)
(1911年、19,680トン: 30.5cm連装砲5基、22.7ノット)同型艦なし (132mm in 1:1250)
主砲塔の配置を変更し、全門両舷を指向できるように改善された。
https://en.wikipedia.org/wiki/Colossus-class_battleship_(1910)
(1911年、20,225トン: 30.5cm連装砲5基、21ノット)同型艦2隻 (133mm in 1:1250)
ネプチューンと同一戦隊を構成することを予定して建造された、ネプチューンの準同型艦。始めて2万トンを超えた。
https://en.wikipedia.org/wiki/HMS_Agincourt_(1913)
(1914年、27,500トン: 30.5cm連装砲7基、22ノット)同型艦なし (163mm in 1:1250)
ブラジル海軍の発注し、途中トルコ海軍が買い取った艦を、イギリスが押収した。主砲塔7基14門、副砲20門は、戦艦の搭載数としては最大である。
超弩級戦艦
https://en.wikipedia.org/wiki/Orion-class_battleship
(1912年、22,200トン: 34.3cm連装砲5基、21ノット)同型艦4隻 (141mm in 1:1250)
強力な主砲として期待された50口径30.5センチ砲であったが、命数、精度に課題があった。そのため本艦から34.3センチ砲を主砲として採用し、全ての砲塔を首尾線上に配置し両舷への射界を確保した。初の超弩級戦艦 である。
キング・ジョージ5世級戦艦 (初代) - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/King_George_V-class_battleship_(1911)
(1912年、23,000トン: 34.3cm連装砲5基、21ノット)同型艦4隻 (145mm in 1:1250)
基本的にはオライオン級の準同型艦である。 主砲が改善され弾量が上げられた。
https://en.wikipedia.org/wiki/Iron_Duke-class_battleship
(1914年、25,000トン: 34.3cm連装砲5基、21.25ノット)同型艦4隻 (150mm in 1:1250)
キング・ジョージ5世級の改良型。副砲の口径を15.2センチ砲と強化した。
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_dreadnought_battleships_of_the_Royal_Navy#HMS_Canada
https://en.wikipedia.org/wiki/Chilean_battleship_Almirante_Latorre
(1915年、イギリスで建造中のチリ戦艦アルミランテ・ラトーレを購入、28,600トン: 35.6cm(45口径)連装砲5基、22.5ノット)同型艦なし (158mm in 1:1250)
チリ海軍の発注艦を、第一次大戦の勃発とともにイギリスが買い取った。35.6センチ砲を主砲として搭載している。
https://en.wikipedia.org/wiki/HMS_Erin
(1914年、22,780トン: 34.3cm連装砲5基、21ノット)同型艦なし(126mm in 1:1250)
トルコ海軍が発注した艦を、イギリスが押収し、艦隊に編入した。 キング・ジョージ5世級を基本設計としている。
https://en.wikipedia.org/wiki/Queen_Elizabeth-class_battleship
(1915年、29,150トン: 38.1cm連装砲4基、23ノット)同型艦5隻(154mm in 1:1250)
38.1センチ砲を主砲として採用し、砲力の格段の強化を図った。あわせて速力を24ノットとして、高速化を図った。高速戦艦の登場である。
https://en.wikipedia.org/wiki/Revenge-class_battleship
(1916年、28,000トン: 38.1cm連装砲4基、23ノット)同型艦5隻 (150mm in 1:1250)
アイアン・デューク級の船体に38.1センチ砲を搭載する方針で設計された。重油専焼ボイラーを搭載し、速力を23ノットとした。
https://en.wikipedia.org/wiki/Invincible-class_battlecruiser
(1908年、17,373トン: 30.5cm連装砲4基、25.5ノット)同型艦3隻 (136mm in 1:1250)
戦艦と同等の砲力と、巡洋艦の速力を兼ね備えた新しい大型装甲巡洋艦として設計され、巡洋戦艦の始祖となった。
https://en.wikipedia.org/wiki/Indefatigable-class_battlecruiser
(1911年、18,500トン: 30.5cm連装砲4基、25ノット)同型艦3隻 (144mm in 1:1250)
インヴィンシブル級の改良型で、主砲の反対舷への射界を改善した。副砲の搭載数を増やしている。
https://en.wikipedia.org/wiki/Lion-class_battlecruiser
(1912年、26,270トン: 34.3cm連装砲4基、27ノット、27.5ノット)同型艦3隻 (167mm in 1:1250)
主砲を34.3センチ砲とし、全て首尾線上の配置とした超弩級巡洋戦艦である。
https://en.wikipedia.org/wiki/HMS_Tiger_(1913)
(1914年、28,430トン: 34.3cm連装砲4基、28ノット、28.7ノット)同型艦なし (170mm in 1:1250)
日本の金剛級の改良型として建造された。機関の配置等に工夫が見られ、射界が改善された。
ドイツ海軍: German Navy
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_battleships_of_Germany
イギリスに対抗すべく、急速にその海軍を充実させ、開戦時には弩級戦艦14隻、弩級巡洋戦艦4隻を保有し、弩級戦艦3隻、弩級巡洋戦艦2隻が建造中であった。主砲口径は英艦に比べひと回り小さいが、長砲身砲の安定性では英国を上回り、その伝統的に強靭な防御力とあわせ、英国の超弩級戦艦・巡洋戦艦に匹敵する実力を備えていた
大戦中に、38センチ級の主砲を持つ超弩級戦艦を建造し、同様の超弩級巡洋戦艦の建造計画に着手していた。
https://en.wikipedia.org/wiki/Nassau-class_battleship
(1910年、18,000トン: 28.3cm連装砲6基、19ノット)同型艦4隻 (117mm in 1:1250)
ドイツ海軍初の単一口径主砲搭載の戦艦(弩級戦艦)である。速度は低めながら、ドイツ伝統の重厚な防御力を備えていた。
https://en.wikipedia.org/wiki/Helgoland-class_battleship
(1911年、22,000トン: 30.5cm連装砲6基、20.5ノット)同型艦4隻 (133mm in 1:1250)
強力な50口径30.5センチ砲を主砲として採用した。 艦型は大型化したが、基本的な配置等は前級の拡大版である。
https://en.wikipedia.org/wiki/Kaiser-class_battleship
(1912年、25,000トン: 30.5cm砲連装砲5基、21ノット)同型艦5隻 (137mm in 1:1250)
初のタービン搭載戦艦で、主砲等の配置が大幅に変更された。これによって主砲搭載数を減らしながらも 、片舷への斉射能力は改善し強化された。
https://en.wikipedia.org/wiki/K%C3%B6nig-class_battleship
(1915年、25,000トン: 30.5cm連装砲5基、21ノット)同型艦4隻 (139mm in 1:1250)
基本設計は前級に準じたものだったが、主砲塔の配置を全て首尾線上においたため、外観上は大きく変化した。
超弩級戦艦
https://en.wikipedia.org/wiki/Bayern-class_battleship
(1916年、28,000トン: 38.1cm連装砲4基、22ノット)同型艦2隻 2隻未 (143mm in 1:1250)
主砲に38センチ砲を採用した初の超弩級戦艦である。
L20e 級戦艦(計画のみ)
https://en.wikipedia.org/wiki/L_20e_α-class_battleship
(計画のみ 43,000ト:42cm連装砲4基、26ノット) (192mm in 1:1250)
主砲に42センチ砲の採用を計画していた。速力も格段に改善され、高速戦艦を目指す設計であった。
https://en.wikipedia.org/wiki/SMS_Von_der_Tann
(1910年、19,000トン: 28.3cm連装砲4基) 同型艦なし (136mm in 1:1250)
英巡洋戦艦インヴィンシブルに対抗して設計された。高速を得るためにタービン機関を採用しているが、当時、大型艦用タービンはドイツ国内ではブローム・ウント・フォス社だけしか生できず、同社を巡洋戦艦専用メーカーと定め、戦艦への供給をしばらく見送った。
https://en.wikipedia.org/wiki/Moltke-class_battlecruiser
(1910年、19,000トン: 28.3cm連装砲5基)同型艦2隻 (151mm in 1:1250)
実験的な性格の強かった前級フォン・デア・タンの改良型で、主砲を50口径に強化し、主砲塔も1基追加して砲力を強化した。 前部乾舷が低く、波をかぶりやすかった。
https://en.wikipedia.org/wiki/SMS_Seydlitz
(1913年、24,000トン: 28.3cm連装砲5基)同型艦なし (160mm in 1:1250)
モルトケ級の改良型。 前部乾舷を一段上げ凌波性を向上させた。艦型を縦長にし、速力を向上させた。
https://en.wikipedia.org/wiki/Derfflingerclass_battlecruiser
(1914年、26,000トン: 30.5cm連装砲4基)同型艦3隻 (167mm in 1:1250)
主砲を50口径30.5センチ砲とし、4基の砲塔を首尾線上に配置し両舷への射線を確保した。
https://en.wikipedia.org/wiki/Mackensen-class_battlecruiser
(未成艦、31,000トン: 35cm連装砲4基、27ノット)同型艦4隻(予定)(178mm in 1:1250)
主砲を50口径35.6センチ砲と強化する予定であった。
https://en.wikipedia.org/wiki/Ersatz_Yorck-class_battlecruiser
(未成艦、33,500トン: 38.1cm連装砲4基、27.3ノット)同型艦3隻(予定)(182mm in 1:1250)
基本的にマッケンゼン級の設計を引き継ぎ、加えて主砲を 38.1センチとする予定であった。
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_battleships_of_Russia_and_the_Soviet_Union
日露戦争以前は世界三大海軍国の一角を占めていたロシア海軍であったが、日露戦争でほぼ壊滅に近い損害を受けた。開戦時には3隻の弩級戦艦を保有し、2隻が建造中であった。
https://en.wikipedia.org/wiki/Gangut-class_battleship
(1914年、23,360トン: 30.5cm3連装4基、23ノット)同型艦4隻
ロシア海軍初の弩級戦艦で、バルト海での運用を念頭に設計された。後述のイタリア海軍の弩級戦艦、ダンテ・アリギエリの設計をほぼ踏襲している。23ノットの優速を得るためにやや装甲が抑えられている。
https://en.wikipedia.org/wiki/Imperatritsa_Mariya-class_battleship
(1915年、22,600トン: 30.5cm3連装4基、21ノット)同型艦3隻
ロシア海軍が黒海向けに建造した弩級戦艦。前述のガングート級の改良型である。改良点としては、速力をやや抑え、防御力を高めている。
フランス海軍:French Navy
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_battleships_of_France#Dreadnoughts_(1910%E2%80%931920)
かつてはイギリスと並ぶ世界の2大海軍国の名をほしいままにしていたフランスだったが、本稿でも号外vol1で既述のように、列強の近代戦艦の開発時期に「新生学派」と言われる大艦巨砲主義の対局をいく派閥が力を持ち、以降、建艦政策において長きにわたり迷走の時代を迎え、主力艦の建造競争からは脱落した。
https://en.wikipedia.org/wiki/Courbet-class_battleship
(1913年、23,000トン: 30.5cm連装砲6基、21ノット)同型艦4隻 (128mm in 1:1250)
フランス初の弩級戦艦。前後に背負い式の砲塔配置を行い、前後方向に8射線、片舷に対し10門の射線を確保している。
超弩級戦艦
https://en.wikipedia.org/wiki/Bretagne-class_battleship
(1915年、24,000トン: 34cm連装砲5基、20ノット)同型艦3隻 (134mm in 1:1250)
34センチ主砲を連装砲塔5基に装備し、首尾線上の配置とした超弩級戦艦。上の写真は新造時の写真。
直下の写真は大改装後の外観を示している。
直下の写真:3番艦ロレーヌのみ、3番主砲塔を水上機用のカタパルトと格納庫に換装した。***「通りすがり」さんからご指摘をいただきました。ありがとうございました。
https://en.wikipedia.org/wiki/Normandie-class_battleship
(未成艦 25,230トン: 34cm4連装砲3基、21ノット)同型艦5隻(予定) (141mm in 1:1250)
主砲塔を4連装 とした先進的な設計である。以降、新造されたフランス戦艦はこの4連装砲塔を継承していくことになる。
https://en.wikipedia.org/wiki/Lyon-class_battleship
(未成艦 29,600トン: 34cm4連装砲4基、23ノット)同型艦4隻(予定)(155mm in 1:1250)
ノルマンディー級の拡大強化版として設計された。4連装砲塔を1基増やし、34センチ主砲を16門搭載した強力な艦になる予定であった。
アメリカ海軍:US Navy
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_battleships_of_the_United_States_Navy
米西戦争以降、海軍力の充実に力を入れたアメリカ海軍は、開戦時には弩級戦艦8隻、超弩級戦艦2隻を保有する、英独に次ぐ海軍に成長していた。特にその主砲配置には先進性があり、早い時期から背負い式砲塔の配置などを導入し、首尾線上に主砲塔を配置し、合理的な射線確保を追求していた。
一方、速力に関しては一貫して21ノットを貫いた。
開戦後も超弩級戦艦を次々に建造し、大戦終了時には、英海軍に次ぐ強大な戦力を保有していた。
https://en.wikipedia.org/wiki/South_Carolina-class_battleship
(1910年 16,000t: 30.5cm砲連装4基 18.86ノット)同型艦2隻 (113mm in 1:1250)
米海軍初の弩級戦艦。主砲塔は全て首尾線上に配置され、世界に先駆けて背負い式配置を採用し、両舷への射界を確保している。やや低速であった。
https://en.wikipedia.org/wiki/Delaware-class_battleship
(1910年 20,380t 30.5cm砲連装5基 21ノット)同型艦2隻 (127mm in 1:1250)
前級より主砲塔を1基増やして、主砲10門の搭載艦とした。速力は21ノットとし、以降、この速力が米戦艦の標準となる。
https://en.wikipedia.org/wiki/Florida-class_battleship
(1911年 21,825t 30.5cm砲連装5基 20.8ノット)同型艦2隻 (125mm in 1:1250)
基本設計は前級に倣い、副砲を2問増やし強化した。後部篭マストと後部煙突の位置を逆転している。
https://en.wikipedia.org/wiki/Wyoming-class_battleship
(1912年 27,243t: 30.5cm砲連装6基 20.5ノット)同型艦2隻 (137mm in 1:1250)
連装主砲塔を1基追加し、主砲12門を搭載する艦となった。
超弩級戦艦
https://en.wikipedia.org/wiki/New_York-class_battleship
(1914年 27,000t: 35.6cm砲連装5基 21ノット)同型艦2隻
主砲を35.6センチ砲とした初の超弩級戦艦である。連装砲塔5基10門を搭載している。
https://en.wikipedia.org/wiki/Nevada-class_battleship
(1916年 27,500t: 35.6cm砲三連装2基 同連装2基 20.5ノット)同型艦2隻 (142mm in 1:1250)
前級に倣い35.6センチ主砲を、初めて採用した三連装砲塔2基、連装砲塔2基を、それぞれ艦の前後に 背負式に配置した。以降、この砲塔配置は、アメリカ戦艦の標準的な配置となる。
https://en.wikipedia.org/wiki/Pennsylvania-class_battleship
(1916年 31,400t: 35.6cm砲三連装4基 21ノット)同型艦2 隻(147mm in 1:1250)
主砲塔を全て三連装とし、12門の主砲をコンパクトに搭載した。この艦以降、機関はタービンとなった。
https://en.wikipedia.org/wiki/New_Mexico-class_battleship
(1918〜1919年 32,000t: 35.6cm砲三連装4基 21nノット)同型艦3隻 (152mm in 1:1250)
主砲を50口径に強化し、新設計の主砲塔を採用した。艦首の形状をクリッパー形式とした。ニューメキシコ のみ、電気推進式タービンを採用した。
https://en.wikipedia.org/wiki/Tennessee-class_battleship
(1919〜1920年 32,600t: 35.6cm砲三連装4基 21ノット)同型艦2隻 (152mm in 1:1250)
ニューメキシコ 級の改良型で、艦橋と射撃式装置を拡充した。機関には電気推進式タービンを採用した。
日本海軍 :Imperial Japanese Navy
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_battleships_of_Japan
日露戦争後の艦隊整備に注力したため、弩級戦艦、超弩級戦艦の整備に出遅れた。実戦経験では一級海軍でありながら、旧式装備での開戦に甘んじなければならなかった。
弩級戦艦2隻、ドイツより購入した弩級巡洋戦艦2隻、超弩級巡洋戦艦2隻(2隻は建造中、大戦中に就役)で第一次大戦に臨んだが、これらの主力艦は、第一次大戦お主戦場がヨーロッパであったため、ほとんど出番がなかった。
(日本艦についてのコメントは本稿をご覧ください)
https://en.wikipedia.org/wiki/Kawachi-class_battleship
(1912年、20,800トン: 30.5cm連装砲6基、20ノット)同型艦2隻 (125mm in 1:1250)
弩級巡洋戦艦「蓼科」(独装甲巡洋艦ブリュッヒャー2番艦改造)
(1912年、16,500トン:30.5cm連装砲3基、単装砲2基、25.4ノット)同型艦なし(127mm in 1:1250)
弩級巡洋戦艦「劔」(独弩級巡洋戦艦 フォン・デア・タン2番艦改造)
(1912年、19,800 トン:50口径30.5cm連装砲塔4基、25.5ノット)同型艦なし (136mm in 1:1250)
超弩級戦艦
https://en.wikipedia.org/wiki/Fus%C5%8D-class_battleship
(1915年、29,330トン: 35.6cm連装砲6基、22.5ノット) 同型艦2隻 (165mm in 1:1250)
https://en.wikipedia.org/wiki/Ise-class_battleship
(1917年、29,900トン: 35.6cm連装砲6基、23ノット)同型艦2隻 (166mm in 1:1250)
https://en.wikipedia.org/wiki/Kong%C5%8D-class_battlecruiser
(1913年、26,330トン: 35.6cm連装砲4基、27.5ノット)同型艦4隻 (173mm in 1:1250)
イタリア海軍:Italian Navy
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_battleships_of_Italy
開戦時には弩級戦艦3隻を保有し、3隻が建造中であった。大戦中に超弩級戦艦の保有を計画したが、未成に終わった。
https://en.wikipedia.org/wiki/Italian_battleship_Dante_Alighieri
(1913年、19,500トン: 30.5cm3連装砲4基、23ノット)同型艦なし (135mm in 1:1250)
イタリア海軍初の弩級戦艦。実験艦的な性格が強く、主砲を世界初の三連装砲塔に搭載、機関にタービンを採用し当時の最高速戦艦となるなど、 意欲的な設計であった。
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_battleships_of_Italy#Conte_di_Cavour_class
(1915年、23,100トン: 30.5cm3連装砲3基、同連装砲2基、21.5ノット)同型艦3隻 (140mm in 1:1250)
前級の主砲塔配置を見直し、首尾線方向の射線を強化した。三連装砲塔3基と連装砲塔2基、計13門という主砲数は、カトリックの本家ではやや物議を醸したとか・・・。
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_battleships_of_Italy#Andrea_Doria_class
(1915年、23,000トン: 30.5cm3連装砲3基、同連装砲2基、21ノット)同型艦2隻 (140mm in 1:1250)
前級の基本設計を引き継ぎ、副砲を15.2センチ砲に強化した。
超弩級戦艦(未成艦のみ)
https://en.wikipedia.org/wiki/Francesco_Caracciolo-class_battleship
(未成艦、34,000トン: 38.1cm(40口径)連装砲4基、28ノット)同型艦4隻(予定) (167mm in 1:1250)
イタリア初の超弩級戦艦として計画された。38センチ主砲をオーソドックスに連装砲塔4基に搭載し、34,000トンの巨体に強力なタービンを搭載し、28ノットを発揮する高速艦を目指した。
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_battleships_of_Austria-Hungary
オーストリア=ハンガリー帝国は、アドリア海に僅かに海を持つ、基本内陸国である。その海軍は、アドリア海の奥深くに配置されていた。開戦時には1クラス4隻の弩級戦艦を保有していたが、背負い式の砲塔配置、3連装主砲塔の採用など、設計は大変先進的なものだった。大戦中に超弩級戦艦の保有を計画したが、未成に終わった。
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_battleships_of_Austria-Hungary#Tegetthoff_class
(1912年、21,730トン: 30.5cm3連装砲4基、20.3ノット)同型艦4隻 (126mm in 1:1250)
オーストリア=ハンガリー海軍初の弩級戦艦である。主砲を三連装砲塔に搭載し、かつ背負式配置を採用して首尾線上に配置している等、先進的な設計である。
超弩級戦艦(未成艦のみ)
Ersatz Monarch-class battleship - Wikipedia (projected)
(projected、24,500t, 21knot, 14in *3*2 + 14in *2*2, 4 ships planned)
オーストリア=ハンガリー海軍が計画した超弩級戦艦。上記のスペックはオリジナル案である。
前級のテゲトフ級は三連装砲塔の採用で艦型をコンパクトにまとめるなど、先進性が評価されていたが、その一方で、三連装砲塔には実は発砲時の強烈な爆風や、作動不良など、いくつかの課題があったとされている。
そのため、本級ではドイツ弩級戦艦の砲塔配置の採用が検討されていた、とも言われているのである。そうなれば連装砲塔5基を装備したデザインになったいたかもしれない。下の写真は、当時のドイツ戦艦ケーニヒ級の主砲塔配置案を採用した想定でのその別配置案。
いずれにせよ、計画は第一次世界大戦の勃発によりキャンセルされた。
スペイン海軍: Spain Navy
https://en.wikipedia.org/wiki/Espa%C3%B1a-class_battleship
(1913年、15,452トン: 30.5cm連装砲4基、19.5ノット、設計と重要部品は英国製)同型艦3隻
スペイン海軍初の弩級戦艦である。英海軍の弩級戦艦ネプチューンをタイプシップとし、ややコンパクトにまとめた艦である。
次回は、第一次世界大戦の主要海戦における主力艦の動向を追って行きたい。
模型についてのご質問等は、どんなことでも遠慮なくどうぞ。
***注記:これまで同様、「緑色表記」で記載の艦は未成艦・計画艦、もしくは筆者の創作(妄想)艦ですので、ご注意ください。